JP2002269823A - 光情報記録媒体およびその製造方法 - Google Patents

光情報記録媒体およびその製造方法

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JP2002269823A JP2001067620A JP2001067620A JP2002269823A JP 2002269823 A JP2002269823 A JP 2002269823A JP 2001067620 A JP2001067620 A JP 2001067620A JP 2001067620 A JP2001067620 A JP 2001067620A JP 2002269823 A JP2002269823 A JP 2002269823A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 相変化型光情報記録媒体において、高線速記
録・消去に対応し、反射放熱層への冷却効果が保持で
き、記録層材料の酸化による変質を伴うことがない、保
存特性の良い光情報記録媒体の構成と製造方法を提供す
る。 【解決手段】 透明基板上に第一誘電体層、記録層、第
二誘電体層、反射層を順次積層した相変化型光情報記録
媒体であって、第一誘電体層と第二誘電体層の少なくと
も一方が、硫化亜鉛および炭化珪素の混合体からなるこ
とを主要な構成とする。その他8項ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光情報記録媒体に
関し、さらに詳しくは、相変化型記録材料により書き換
え可能とした光情報記録媒体等の熱伝達性を制御するよ
うなデバイス類において、高線速対応で、かつオーバー
ライトによる良好な記録が行え、さらにまた環境変化に
も強い記録媒体とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】記録型光ディスクのうち、相変化型記録
ディスクは、一般にプラスチック基板/ZnS-SiO2/カル
コゲン系相変化記録媒体/ZnS-SiO2/Al系合金のような
4 層構成の膜構成を持っている。ここで用いられている
ZnS-SiO2は誘電体材料である。この誘電体材料の機能
は、瞬間的に融点以上に昇温する記録層の熱から基板を
保護するとともに記録層の変形や破損を防ぐ、光干渉効
果により記録情報再生時に十分な信号強度を得る、記録
時に良好な形状のアモルファスマークを形成するのに適
した冷却速度を実現することである。そのために、この
誘電体材料に要求される特性は充分な耐熱性、大きな屈
折率、適当な熱伝導率等である。このような材料として
は、各種の酸化物、窒化物、カルコゲナイド化合物ある
いはこれらの混合物が知られている。
【0003】特開平5-298749号公報には、誘電体層がカ
ルコゲン化合物と酸化物と炭化物を含む複合物からなる
光記録媒体が開示されている。これは膜の内部応力緩
和、接着性、クラックの発生に主眼が置かれている。ま
た、直流スパッタには言及されていず、かつ濃度的には
炭化物5〜30mol%までである。
【0004】また特開平5-217211号公報には、急冷構造
という表記はないが、ZnS・SiO2 とSiC との積層
構造が開示されている。ただし、記録層側がSiCとな
っている。
【0005】また特開平6-314439号公報には、記録層周
辺の誘電体膜を稀ガスのみでスパッタして形成するこ
と、記録層から離れた誘電体は窒素または酸素と稀ガス
によりスパッタすることが記載されている。さらに特開
平11-86341号公報には、ZnS・SiO2 とSiCとの
交互積層とし、高線速対応およびDOW回数の向上が可
能であることが開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】相変化型の書換え可能
光ディスクは、加熱して記録膜を溶融して記録するた
め、多数回の書き換えを行うと、膜中の欠陥が増加して
エラーが増大しやすい。また、記録および消去の処理時
間を短くするためにそれらの処理速度を上げ、さらに書
換え回数を伸ばすためには記録層材料の周辺を耐急冷構
造にする必要がある。このような急冷構造の具体例とし
ては、誘電体材料の面からは熱伝導性のいい材料を積層
する( 上記特開平11-86341) などがある。しかし、多層
構造で熱伝導性を向上させる構造では、記録時の加熱に
よる熱膨張性の差から膜界面に応力が発生し、界面で剥
離を生ずる可能性がある。また、プロセス上も、成膜す
るための成膜処理槽を設けなくてはならず処理槽の数が
増える、あるいは工程が増えるため歩留まりが落ちてし
まうなどコストアップとなる要因が同時に発生してしま
う。
【0007】本発明は、このような問題点に鑑みてなさ
れたもので、相変化型光情報記録媒体において、高線速
記録・消去に対応し、反射放熱層への冷却効果が保持で
き、記録層材料の酸化による変質を伴うことがない、保
存特性の良い光情報記録媒体が得られる光情報記録媒体
の構成と製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記本発明の課題は下記
の手段より解決される。すなわち、本発明によれば、第
一に、請求項1では、透明基板上に第一誘電体層、記録
層、第二誘電体層、反射層を順次積層した相変化型光情
報記録媒体であって、第一誘電体層と第二誘電体層の少
なくとも一方が、硫化亜鉛および炭化珪素の混合体から
なる光情報記録媒体であることを主要な特徴とする。
【0009】第二に、請求項2では、上記請求項1記載
の光情報記録媒体において、上記混合体からなる誘電体
層中の炭化珪素の組成比が、20 mol% 以上95 mol% 以下
の範囲である光情報記録媒体であることを特徴とする。
【0010】第三に、請求項3では、上記請求項1また
は2記載の光情報記録媒体において、上記硫化亜鉛およ
び炭化珪素の混合体からなる誘電体層が酸化物を含有す
る膜( または酸素を含有する膜) である光情報記録媒体
であることを特徴とする。
【0011】第四に、請求項4では、上記請求項3記載
の光情報記録媒体において、上記酸化物を含有する誘電
体膜を記録層と隣接する部分に配置する光情報記録媒体
であることを特徴とする。
【0012】第五に、請求項5では、上記請求項1また
は2記載の光情報記録媒体を製造する方法であって、上
記混合体からなる誘電体層が硫化亜鉛および炭化珪素の
混合物をターゲットとし、稀ガスのみでスパッタして作
製される光情報記録媒体の製造方法であることを特徴と
する。
【0013】第六に、請求項6では、上記請求項3また
は4記載の光情報記録媒体を製造する方法であって、上
記混合体からなる誘電体層が硫化亜鉛および炭化珪素の
混合物をターゲットとし、稀ガスに加え酸素ガスを導入
してスパッタする光情報記録媒体の製造方法であること
を特徴とする。
【0014】第七に、請求項7では、上記請求項6記載
の光情報記録媒体の製造方法において、酸素の分圧が1.
0 ×10-4〜9.0 ×10-4Torrである光情報記録媒体の製造
方法であることを特徴とする。
【0015】第八に、請求項8では、上記請求項3およ
び4記載の光情報記録媒体を製造する方法であって、上
記混合体からなる誘電体層が硫化亜鉛、炭化珪素および
酸化珪素の混合物をターゲットとし、稀ガスのみでスパ
ッタして作製される光情報記録媒体の製造方法であるこ
とを特徴とする。
【0016】第九に、請求項9では、上記請求項5、
6、7または8記載の光情報記録媒体の製造方法におい
て、上記混合体からなる誘電体膜がSiC の濃度が15vol%
以上(または25mol%以上) のターゲットを用い、直流ス
パッタあるいは直流マグネトロンスパッタにより作製さ
れる光情報記録媒体の製造方法であることを特徴とす
る。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
本発明は、相変化記録材料に半導体レーザを照射した
際、必要となる適度な熱伝導性を得るために、一般に使
われている硫化亜鉛(ZnS) と硫化亜鉛より熱伝導が
良好な炭化珪素(SiC)を第一誘電体層と第二誘電体
層の少なくとも一方に混合して使用した。
【0018】ZnS自体は熱伝導性が悪く熱を記録層周
辺に保持するのに適している。一方のSiCは熱伝導性
が良好なので急冷構造を形成するのに適している。Zn
S単体では相変化材料を高速で非結晶化しにくく、更に
材料自体が経時的に結晶化し易い。一方SiC単体では
相変化記録材料に熱が保持されないので結晶化するため
には過大なレザーパワーが必要になる。ZnSとSiC
の実用的な比率としてはSiCの組成比が20mol%以上
95mol%以下である。
【0019】また、熱伝導率抑制の一つの手段としてS
iCあるいはZnSの一部を酸化物に置き換えて酸化物
を含有させてもよい。
【0020】酸化物を含有させる場合は記録層に熱を保
持させ易くすることが目的なので記録層に隣接する部分
に配置する。
【0021】またこれらの膜の製造方法としては、酸化
物を含有しない場合は稀ガス元素Arのみにより実施
し、酸化物を含有させる場合はArに加えて反応性ガス
の酸素を導入するか、はじめから焼結体に酸化物を混合
してArガスのみで成膜してもよい。記録層近傍は熱伝
導性を抑え、近傍から離れた部分では熱伝導性を向上さ
せることで記録層の結晶化と非結晶化に必要な除冷と急
冷という相反する温度プロファイルを実現できる。
【0022】ここで、酸素を導入して成膜する場合は酸
素により記録層材料が酸化される場合が考えられるが、
1.0 ×10-4〜9.0 ×10-4Torrの酸素分圧であれば、記録
層を酸化劣化させずに光記録媒体を製造することが可能
である。また、SiCは導電性が高いため15vol%( 2
5mol%に相当) 以上であれば、直流スパッタあるいは直
流マグネトロン・スパッタ、またはパルス印可的に改造
した直流スパッタあるいは直流マグネトロン・スパッタ
で成膜できる。
【0023】このように混合膜とした場合は、混合比お
よび反応性ガスの導入により熱伝導性をコントロールで
きるとともに多層化する場合の難点である成膜処理槽数
の増加や歩留りの低下と積層構造間での膜の剥離等の欠
陥を回避できる。
【0024】図1に代表的な光ディスクの構造を示す。
1はポリカーボネートなどによる透明プラスチック基
板、厚みは0.6mm または1.2mm 厚。2は第一誘電体層、
厚みは50〜250nm 。3は相変化型記録層で、基本的な材
料組成はAg1In8Sb65Te26四元系の材料ま
たはAg2In5Sb71Te20Ge2( 数字は原子
%) となる五元系材料を用い、厚みは8 〜30nm。4は第
二誘電体材料層、厚みは10〜30nm。5は反射層でAl、
Ag、Cu、Auなどの金属層で、厚みは100 〜200nm
。6は有機材料による保護層である。上記各層の膜厚
は光学的熱的な特性上で最適化し微調整されるので幅を
もって記述してある。
【0025】〔実施例〕次に、実施例によって本発明を
さらに詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例
によって限定されるものではない。 実施例1 片側の誘電体層のみZnS とSiC の混合膜にした例を示
す。プラスチック基板として厚さが0.6mm のポリカーボ
ネート基板上にマグネトロンスパッタ装置を用いて光記
録媒体を成膜した。第一誘電体層はZnS ・SiO2とした。
組成は原子比でZnS 80% SiO2 20%である。このZnS ・
SiO2熱伝導率は 0.66W/mK 。膜厚は70nmである。次に、
相変化記録層はAg2In5Sb71Te20Ge2(比率はモル比)
を成膜した。膜厚は20nm。この組成の記録膜は結晶化速
度が中程度で、中線速記録に適している。第二誘電体層
はZnS とSiC の混合膜とした。組成はモル比でZnS 60
%、SiC40 %である。膜厚は20nmである。ZnS ・SiO2
第一誘電体層、 ZnS・SiC を第二誘電体層として用いた
場合は、この記録層の組成で12m/s の線速に対応でき
る。一方、反射放熱層はAI膜厚140nm である。このディ
スクを大出力レーザーを使用して初期結晶化を行い、そ
の後 650nmNA0.6 の光ピックアップを持つドライブで評
価した。線記録密度0.267 μm/bit、トラックピッチ 0.
74 μm 、記録線速度 8.5m/s 、信号は 8/16 変調し
た。このディスクの初期ジッターは、6%であった。10
000 回の書換え後も8%以下と良好であった。このよう
な成果は、ZnS ・SiO2に比べ、熱伝導性の良いSiCが含
まれることでZnS とSiC の混合膜は急冷構造となるの
で、記録マークの形成がシャープにできるとともに、熱
的なダメージの蓄積が起こり難いためと思われる。
【0026】実施例2 両側ともZnS とSiC の混合膜を使用した。第一誘電体層
をZnS ・SiO2にかわりに、組成がでZnS 70%、SiC30 %
( モル比) であるZnS とSiC の混合膜とした他は実施例
1と同様にして、光記録媒体を作製した。この組成の構
造で、実施例1と同じく12m/s の線速に対応できた。た
だし、記録時の半導体レーザーの出力パワーは実施例1
のときと比べ1 〜2mW高めに設定した。このディスクを
大出力レーザーを使用して初期結晶化を行い、実施例1
と同様に評価した。このディスクの初期ジッターは、6
%であった。10000 回の書換え後も8%以下と良好であ
った。
【0027】実施例3 ZnS とSiC の混合膜に酸化物を含有させる。実施例1
で、第二誘電体層のZnS とSiC のかわりに、ZnS とSiC
の混合材料にSiO2を含有させた誘電体材料とした。組成
比はそれぞれモル比でZnS 51%、SiC36% 、SiO2 13%で
ある。作製した光記録媒体を初期結晶化後に評価したと
ころ、実施例1とほぼ同じ結果を得た。すなわち、初期
ジッターが6.2%であった。10000 回の書換え後も
8.5%以下と良好であった。
【0028】実施例4 熱伝導性を悪くできるので、熱エネルギーを記録層周辺
に閉じ込めることができる。実施例3と同じ組成の酸化
物含有誘電体を記録層の周辺に用いて光記録媒体を製作
した。第一誘電体側は記録層側から30μm 、第二誘電体
側は記録層側から14μm のところまでを酸化物含有誘電
体としその外の誘電体部分はSIC の組成は36%で、酸化
物を含有しない誘電体とした。ここでスパッタ成膜は、
稀ガスのArガスのみ用いて行った。作製した光記録媒
体を初期結晶化後に評価したところ、実施例1とほぼ同
じ結果を得た。すなわち、初期ジッターが6%であっ
た。10000 回の書換え後も8%以下と良好であった。
【0029】実施例5 ターゲットを変えずに酸化物を誘電体層に導入した。実
施例3で、酸化物含有ターゲットを用いるかわりに、Zn
S とSiC の混合ターゲットを用い、酸素を導入した反応
性スパッタにより誘電体膜を形成した。組成比はそれぞ
れモル比でZnS 55%、SiC 45% である。導入した酸素ガ
スの量は酸素ガス単体の分圧で6.5 ×10-4Torrであっ
た。作製した光記録媒体を初期結晶化後に評価したとこ
ろ、実施例1とほぼ同じ結果を得た。すなわち、初期ジ
ッターが6.4%であった。10000 回の書換え後も8.
5%以下と良好であった。
【0030】実施例6 ターゲットを変えずに酸化物を誘電体層に導入した。実
施例5と同じZnS とSiC の混合ターゲットを用い、酸素
を導入した反応性スパッタにより誘電体膜を形成した。
組成比はそれぞれモル比でZnS 55%、SiC 45% である。
導入した酸素ガスの量は酸素ガス単体の分圧で2.4 ×10
-4Torrであった。酸素を導入した反応性スパッタにより
誘電体膜を形成したのは、第一誘電体側は記録層側から
30μm 、第二誘電体側は記録層側から14μm のところま
でに相当する部分とし、その他の誘電体の部分は稀ガス
のみによりスパッタ成膜した。作製した光記録媒体を初
期結晶化後に評価したところ、実施例4とほぼ同じ結果
を得た。すなわち、初期ジッターが6.2%であった。
10000 回の書換え後も8%以下と良好であった。この場
合では、成膜処理槽の増加を伴わず、成膜条件の変更の
みで時間配分のみによって酸化物を含有する誘電体部分
と含有しない誘電体部分を形成できた。
【0031】実施例7 直流スパッタの実施例である。導電処理したSiC15
vol%以上(25mol% 相当以上) では焼結体自体の比抵抗
が小さくなり直流マグネトロンスパッタが可能である。
純粋に近いものはSiC単体の電気抵抗は比抵抗で100 〜2
00 Ωcmであるが、不純物準位としてSi、Nあるいは
Alを添加導入すると導電性が良くなり、10-3Ωcm台ま
で比抵抗が下がる。この様な組成のSiC を導電材として
絶縁材料であるZnSと混合していくと比抵抗は表1の
ようになる。
【0032】
【表1】 この結果からすると、10vol%を超えるあたり以降
のSiC 濃度が低抵抗化に有効で直流スパッタ可能な範囲
の比抵抗の値である。ただし、10-1Ωcm台まではアーク
放電が発生することがあるので、スパッタ陰極電圧をパ
ルス状に反転させ、陰極への電圧をパルス印可とした方
法で成膜をする必要がある。10-2Ωcm台より小さくなる
とパルス化しなくとも直流スパッタが可能となる。
【0033】ZnS:導電処理したSiC=60:40
vol%(44:56 mol% に相当) のスパッタ用焼結体タ
ーゲットを真空装置のカソードにセットし、Arガス圧
4.0×10-3Torr、酸素ガス圧2.4 ×10-4Torrの条件下で
最大印可電力5kWの直流スパッタ電源を用いて3kW
のパルス印可でない定常の出力電圧でスパッタ放電をた
てた。アーキングなどの異常放電を起こさずに安定して
スパッタができた。その成膜速度は定格電力当りの値で
示すと2.0〜2.5nm/sec・ kWであった。(ZnS・
SiOでは2.2nm/sec・ kW)また、光学的には屈折率
が2.01〜2.20、消衰係数は0.014〜0.0
085であった。実施例1と同様な光学膜厚構成で光記
録媒体を作製し、初期結晶化後に評価したところ、次の
結果を得た。すなわち、初期ジッターが6.4%であっ
た。10000 回の書換え後も8.5%以下と良好であっ
た。
【0034】比較例1 第二誘電体を第一誘電体と同じ組成のZnS ・ SiO2とし他
は全て同じ材質・膜厚条件で光記録媒体を製作した。こ
の構成では、対応できる線速は10m/s であった。このデ
ィスクを大出力レーザーを使用して初期結晶化を行い、
その後 650nmNA0.6 の光ピックアップを持つドライブで
評価した。線記録密度0.267 μm/bit、トラックピッチ
0.74 μm 、記録線速度 8.5m/s 、信号は8/16変調し
た。このディスクの初期ジッターは、7%であった。10
00回の書換え後に8.5%まで上昇し、10000 回の書換
え後は10.2%にまで上昇した。ZnS ・ SiC に比較
し、熱を保持しやすいZnS ・ SiO2材料では記録マーク形
成のシャープ性が落ちるのと熱的なダメージの蓄積を受
けやすいことに原因していると考えられる。
【0035】比較例2 SiCの量が多いときの弊害を示す。第一誘電体を実施
例1と同じ組成のZnS ・ SiO2とし、第二誘電体をSiC と
した他は全て同じ材質・光学膜厚条件で光記録媒体を製
作した。初期化後、この光記録媒体を評価したところ、
初期ジッターが悪く10%あった。繰り返し記録後のジ
ッター上昇は少なかったが、初期ジッターが大きいため
実用的ではない。
【0036】比較例3 SiCの量が多いときの弊害を示す。第二誘電体に加
え、第一誘電体もSiC として光記録媒体を製作した。こ
の光記録媒体では、記録層の非晶質化が行えなかったた
め記録マークを形成することができなかった。光記録媒
体として熱伝導性が高すぎるため、記録層を充分に高温
にすることができないためと思われる。
【0037】比較例4 SiCの量が少ないときの弊害を示す。第一および第二
誘電体をZnS のみで形成した。このディスクを大出力レ
ーザーを使用して初期結晶化を行い、その後 650nm NA
0.6の光ピックアップを持つドライブで評価した。この
ディスクの初期ジッターは、7%であった。しかし、10
00回の書換え後に10.5%まで上昇し、ZnS の結晶化
と思われる変質が起きていた。
【0038】比較例5 酸素導入量が多い場合の弊害を示す。酸素と記録層の反
応により記録特性が悪くなる。Arガス分圧が4.0 〜4.
1 ×10-3Torrとし酸素分圧が1.1 ×10-3Torrとして、S
iCを約50mol%含有するZnSを誘電体として用い、
AgInSbTe四元系相変化記録材料を記録層として
メディアを作製し評価した。500Wのレザーパワーに
より初期化後、660nmの半導体レーザーで書き込みし
たところ、条件を色々と変えても記録層をアモルファス
化することができず、情報の書き込みができなかった。
【0039】比較例6 SiC濃度が15vol%未満の場合の直流マグネトロンス
パッタ放電時の異常放電を示す。ZnS とSiC の組成比
で、SiC が15vol%未満(57mol% 未満) の場合は、直流マ
グネトロンスパッタ放電時にアーク放電が起こり、直流
スパッタ電源が異常電流を検出しダウンし、薄膜を形成
することができなかった。スパッタ陰極電圧をパルス状
に反転させ、陰極への電圧をパルス印可してもアーク放
電が継続して発生し成膜できなかった。
【0040】
【発明の効果】以上のように、請求項1の光情報記録媒
体によれば、誘電体層の少なくとも一方が、硫化亜鉛お
よび炭化珪素の混合体からなることから、積層する場合
の難点、すなわち、熱膨張差による膜の剥離、処理槽の
増大や歩留り低下がなく、高線速記録・消去に対応した
適当な熱伝導性の誘電体層を有する光情報記録媒体を得
ることができる。
【0041】請求項2の光情報記録媒体によれば、Si
C単独では熱伝導が大き過ぎるのをZnSを混合するこ
とで熱伝導の増大を押さえることができると共に高線速
に対応した反射放熱層への冷却効果を保持できる。
【0042】請求項3の光情報記録媒体によれば、酸化
物を含有すること熱伝導性を熱伝導性が悪くなる方向に
変化させることが可能となる。そのため記録層を囲む誘
電体の熱伝導性の制御が容易になり、光情報記録媒体の
熱的な面での設計上の対応範囲を広くできる。
【0043】請求項4の光情報記録媒体によれば、酸化
物を含有する誘電体膜を記録層と隣接する部分に配置し
たことことから、記録または消去時に、半導体レーザか
らのエネルギーを記録層周辺に留めることができるの
で、記録または消去の特性を損なうことなく高線速対応
が実現できる。
【0044】請求項5の光情報記録媒体によれば、反応
性ガスとして酸素を用いないので、記録層材料の酸化に
よる変質を伴うことがなく上記請求項3の効果が実現で
きる。
【0045】請求項6の光情報記録媒体によれば、同一
のターゲットで熱伝導率の異なる膜の形成が可能であ
る。また、同一誘電体膜中で熱伝導率の勾配を形成する
ことも可能である。さらに、反射層にAg,Cuなど硫
化亜鉛中に存在する遊離のイオウ成分との反射放熱層の
硫化に対し、誘電体材料を安定な酸化層に変えることが
できるので保存特性が向上する。
【0046】請求項7の光情報記録媒体によれば、この
ガス圧範囲であれば記録層の劣化を伴うことがなく上記
請求項3に対応する誘電体への酸化物の導入が実施でき
る。
【0047】請求項8の光情報記録媒体によれば、ター
ゲットは異なるものを用いることになるが、プロセス上
のガス圧変動を受けることがないので、再現性が良好で
ある。
【0048】請求項9の光情報記録媒体によれば、直流
スパッタまたは直流マグネトロン・スパッタでは、高周
波スパッタに比べ装置コストも安くまた成膜速度も若干
速いので、光情報記録媒体の効率的な生産を行うことが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかわる代表的な光デイスクの構造を
示す断面図である。
【符号の説明】
1 透明基板 2 第一誘電体層 3 記録層 4 第二誘電体層 5 反射層 6 保護層

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明基板上に第一誘電体層、記録層、第
    二誘電体層、反射層を順次積層した相変化型光情報記録
    媒体であって、第一誘電体層と第二誘電体層の少なくと
    も一方が、硫化亜鉛および炭化珪素の混合体からなるこ
    とを特徴とする光情報記録媒体。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の光情報記録媒体におい
    て、前記混合体からなる誘電体層中の炭化珪素の組成比
    が、20 mol% 以上95 mol% 以下の範囲であることを特徴
    とする光情報記録媒体。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の光情報記録媒体
    において、前記硫化亜鉛および炭化珪素の混合体からな
    る誘電体層が酸化物を含有する膜( または酸素を含有す
    る膜) であることを特徴とする光情報記録媒体。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の光情報記録媒体におい
    て、前記酸化物を含有する誘電体膜を記録層と隣接する
    部分に配置することを特徴とする光情報記録媒体。
  5. 【請求項5】 請求項1または2記載の光情報記録媒体
    を製造する方法であって、前記混合体からなる誘電体層
    が硫化亜鉛および炭化珪素の混合物をターゲットとし、
    稀ガスのみでスパッタして作製されることを特徴とする
    光情報記録媒体の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項3または4記載の光情報記録媒体
    を製造する方法であって、前記混合体からなる誘電体層
    が硫化亜鉛および炭化珪素の混合物をターゲットとし、
    稀ガスに加え酸素ガスを導入してスパッタすることを特
    徴とする光情報記録媒体の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の光情報記録媒体の製造方
    法において、酸素の分圧が1.0 ×10-4〜9.0 ×10-4Torr
    であることを特徴とする光情報記録媒体の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項3および4記載の光情報記録媒体
    を製造する方法であって、前記混合体からなる誘電体層
    が硫化亜鉛、炭化珪素および酸化珪素の混合物をターゲ
    ットとし、稀ガスのみでスパッタして作製されることを
    特徴とする光情報記録媒体の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項5、6、7または8記載の光情報
    記録媒体の製造方法において、前記混合体からなる誘電
    体膜がSiC の濃度が15vol%以上( または25mol%以上) の
    ターゲットを用い、直流スパッタあるいは直流マグネト
    ロンスパッタにより作製されることを特徴とする光情報
    記録媒体の製造方法。
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