JP4786808B2 - 光ファイバひずみ検出装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバに生じるひずみの検出に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、光ファイバのFBG部にひずみが発生すると、ブラッグ波長が変化する。しかし、ブラッグ波長は、温度変化でも変化が生じる。例えば、波長が1550nm帯の光の場合、ひずみ変化に対しては、1.2pm/μεであり、温度変化に対しては、10pm/℃である。このように、ひずみ測定に対する温度の影響は、約9με/℃と非常に大きい。そのため、別に正確に温度を測定して補正しなければならなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
<イ>本発明は、光ファイバに発生するひずみと温度によるひずみの変化分を分離することにある。
<ロ>また、本発明は、ひずみを正確に求めることにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ひずみを検出する光ファイバひずみ検出装置において、光ファイバを保持するセンサ部と、センサ部内において、センサ部に保持された光ファイバに形成され、ほぼ同一の温度領域に配置された第1FBG部と第2FBGと、光ファイバに広帯域の光を送出し、反射光を受信する測定装置とを備え、センサ部にひずみが作用すると、第1FBG部と第2FBGに差動的に張力が作用し、第1FBG部と第2FBGから反射してくる反射光の波長が変化することを特徴とする、光ファイバひずみ検出装置、又は、前記光ファイバひずみ検出装置において、センサ部は、相対的に移動可能な第1保持具と第2保持具とを備え、第1保持具と第2保持具が相対的に移動すると、第1FBG部と第2FBGに差動的に張力が作用することを特徴とする、光ファイバひずみ検出装置、又は、前記光ファイバひずみ検出装置において、光ファイバを固定する第1固定点と第2固定点と、第1固定点と第2固定点に対して移動可能で、光ファイバを保持する移動体とを備え、第1固定点と移動体の光ファイバに第1FBGを配置し、第2固定点と移動体の光ファイバに第2FBGを配置し、移動体が移動すると、第1FBG部と第2FBGに差動的に張力が作用することを特徴とする、光ファイバひずみ検出装置にある。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
【0006】
<イ>光ファイバひずみ検出装置
光ファイバひずみ検出装置は、光ファイバのFBG部を有するセンサ部を利用してひずみを検出するものであり、光ファイバを利用したひずみ計や傾斜計などがある。光ファイバひずみ検出装置の構成例を図1に示す。図1には、光ファイバ3に複数個のセンサ部1(S1、S2、・・・、Sn)が配置されている。光ファイバ3の一端に測定器21や演算装置22を備えた測定装置2が接続されている。測定装置2は、光ファイバ3に送出光スペクトルを送り、光ファイバ3から反射してくる反射光スペクトルを受信する。
【0007】
<ロ>光ファイバのFBG部
光ファイバ3は、周囲にクラッド部35、内部にコア部34を有している。FBG部33は、特定の波長の光を反射するものであり、図2に一例を示してあり、コア部34の屈折率が一定周期で変化している素子である。光ファイバ3に広帯域光を入射すると、屈折率の周期に応じた波長の光(ブラッグ波長)がFBG部33で反射される。FBG部33にひずみが発生すると、ブラッグ波長の波長が変化し、ひずみを検出することができる。なお、広帯域光とは、FBG部33が歪で変化しても、少なくとも反射できる波長を含むものであれば良い。当然、もっと多くの波長を含むより広帯域であっても良い。
【0008】
なお、図2では、光ファイバのFBG部は、屈折率の変化ピッチが一定の素子を示してあるが、特定の波長の光を反射するものであれば良く、例えば、屈折率の変化ピッチがチャ−プ型(変化ピッチが一定の割合で変化し、特定の複数波長を反射する)素子を使用することもできる。
【0009】
<ハ>センサ部
センサ部1は、少なくとも2個のFBG部33、33を備え、差動的に動作する構成になっている。なお、差動的に動作するとは、一方に張力が強まるように作用すると他方に張力が弱まるように動作することを意味している。この構成にすることにより、ひずみと温度をそれぞれ独立して、かつ、同時に測定することができ、FBG部33の高精度の基本特性を活かすことができる。なお、2個のFBG部33、33は、ほぼ同じ温度の領域に配置する。また、2個のFBG部33、33は、2本の光ファイバ3、3に形成されていても、また、同一の光ファイバ3に形成されていてもよい。
【0010】
<ニ>ひずみ計のセンサ部
光ファイバ検出装置の例としてひずみ計を説明する。ひずみ計1のセンサ部1の一例を図3(A)に示す。ひずみ計1は、一対の保持具、第1保持具11、第2保持治具12を備え、1本の光ファイバ3を保持している。一対の保持具は、連結バネ等の連結材14で光ファイバが伸縮する方向(矢印の向きX)に相対的に移動可能に配置される。第1保持具11は、第1保持部111と第2保持部112を備え、その個所で光ファイバ3を保持する。第2保持具12は、第1保持部121を備え、光ファイバ3を保持する。第2保持具12の第1保持部121は、第1保持具11の第1保持部111と第2保持部112の間の光ファイバ3を保持する。第1保持具11の第1保持部111と第2保持具12の第1保持部121の間には、第1FBG部331が配置され、第2保持具12の第1保持部121と第1保持具12の第2保持部112の間には、第2FBG部332が配置される。連結材14は、一対の保持具11、12の移動を妨げないように構成される。これにより、第2保持具12が第1保持具11に対して相対的に移動すると、第1FBG部331と第2FBG部332は、差動的にひずみが生じる。即ち、一方のFBG部33は、ひずみが大きくなり、他方のFBG部33は、ひずみが小さくなる。
【0011】
<ホ>測定装置
測定装置2は、光ファイバ3に広帯域の光信号を送出し、光ファイバ3から反射してきた光信号を受信して、第1FBG部331と第2FBG部332のひずみを測定するものである。測定装置2の測定器21は、光ファイバ3の一端に接続され、広帯域の光信号を送出し、光ファイバ3から戻ってきたブラッグ波長を測定する。図1では、1本の光ファイバ3に複数個のセンサ部1(S1、S2、・・・、Sn)を配置し、広帯域の送出光スペクトルを光ファイバ3へ送出し、光ファイバ3から戻ってきた反射光スペクトルは、各センサ部1(S1、S2、・・・、Sn)の第1FBG331と第2FBG332による一対のブラッグ波長を含んでいる。なお、複数のセンサ部を1本の光ファイバ3に直列に配置する場合、ブラック波長を異ならせることで、各センサ1の識別をする。
【0012】
測定装置2の演算装置22は、測定器2の測定値を演算処理するものであり、測定器21と一体に構成されていても良い。演算装置22は、例えばパソコンを使用し、複数個のセンサ部1(S1、S2、・・・、Sn)の第1FBG331と第2FBG332からのフラッグ波長の測定値を演算処理して、それらのひずみ量や温度を求める。
【0013】
<ヘ>ひずみの算出
図3を用いて、ひずみ計のひずみの測定例を示す。第2保持具12がXの+方向(図3(A)の右方向)に移動すると、光ファイバ3の第1FBG331は伸張し、張力が大きくなり、逆に、第2FBG332は縮小し、張力が小さくなる。従って、第1FBG331と第2FBG332は、差動的に張力が作用し、それぞれのFBG部331とFBG部332に差動的にひずみが発生する。また、一対の保持具11、12がXの−方向に移動すると、第1FBG331は縮小し、張力が小さくなり、第2FBG332は伸張し、張力が大きくなる。従って、一対の保持具がどちらに移動しても、差動的に張力が作用し、それぞれのFBG部331とFBG部332に差動的にひずみが発生する。
【0014】
図3(B)は、センサ部1が初期状態、即ち、センサ部1にひずみが発生しておらず、一対の保持具(第1保持具と第2保持具)が相対的に移動していない際の第1FBG331(左側の信号)と第2FBG332(右側の信号)からのブラッグ波長(ピーク)を示している。
【0015】
図3(C)は、第2保持具がXの+方向(図3(A)の右側)に移動した際のブラッグ波長(ピーク)の変化を示している。第1FBG331は伸張し、第2FBG332は縮小し、差動的に作動する。その結果、第1FBG331のブラッグ波長は大きくなり、ピークは右側に移動し、第2FBG332のブラッグ波長は短くなり、ピークは左側に移動する。
【0016】
図3(D)は、図3(C)とは反対に、第2保持具がXの−方向(図3(A)の左側)に移動した際のブラッグ波長の変化を示している。第1FBG331は縮小し、第2FBG332は伸張し、差動的に作動する。その結果、第1FBG331のブラッグ波長は小さくなり、ピークは左側に移動し、第2FBG332のブラッグ波長は長くなり、ピークは右側に移動している。
【0017】
図3(E)は、図3(A)と同様に初期状態にあり、ただ、図3(A)の状態から温度が上昇した状態を示している。第1FBG331と第2FBG332のブラッグ波長は、共に長くなり、両ピークは右側に移動して、同じ変化を示している。従って、両ピークの中間値の変化ΔT(初期状態の2つのピークの中間値Tb−温度変化後の中間値Te)から温度変化を求めることができる。なお、2つのピークの中間値又は和を取るので、ひずみによるブラッグ波長の変化は打ち消される。
【0018】
第2保持部12が右方向に相対移動したことによる2つのピークの間隔の変化δλ(初期状態の2つのピークの間隔Δλb−右方向移動後の2つのピークの間隔Δλc)から、センサ部1に作用したひずみ量を求めることができる。なお、温度によるブラッグ波長の変化は、このように差を取ることにより打ち消されるので、ひずみ量に温度の変化は影響しない。
【0019】
第2保持部12が左方向に相対移動したことによる2つのピークの間隔の変化δλ(初期状態の2つのピークの間隔Δλb−左方向移動後の2つのピークの間隔Δλd)から、センサ部1に作用したひずみ量を同様に求めることができる。なお、ブラッグ波長の波長変化について記載してあるが、振動数fの変化として扱っても算出することはできる。
【0020】
このように測定装置2により、ひずみは、2つのピークの間隔又は差を測定することにより求まり、温度は、両ピークの中点又は和を測定することにより求まる。また、光ファイバひずみ検出装置の波長測定の誤差は、両ピークに同じ作用をするので、差動的に動作するひずみ測定については、キャンセルすることができる。
【0021】
なお、図3では、光ファイバのFBG部は、屈折率の変化ピッチが一定の素子を示してあるが、屈折率の変化ピッチがチャ−プ型(変化ピッチが一定の割合で変化する)素子の場合、2つのピークではなく、1つの台形状の波形となり、これらの幅と中点の位置を測定することにより、ひずみと温度を測定することができる。
【0022】
<ト>ひずみ計の他のセンサ部形状
ひずみ計1の他のセンサ部を図4に示す。ひずみ計1は、一対の保持具11、12を備え、2本の光ファイバ31、32を保持している。一対の保持具11、12は、光ファイバ3が伸縮する方向(矢印の向きX)に相対的に移動可能に配置される。第1保持具11は、第1保持部111と第2保持部112を備え、第2保持具12は、第1保持部121と第2保持部122を備えている。
【0023】
一方の光ファイバ、第1光ファイバ31は、第1保持具11の第1保持部111と、第2保持具12の第1保持部121で保持される。他方の光ファイバ、第2光ファイバ32は、第1保持具11の第2保持部112と、第2保持具12の第2保持部122で保持される。第1光ファイバ31の第1保持部111と121の間には、第1FBG部331が配置され、第2光ファイバ32の第2保持部112と122の間には、第2FBG部332が配置される。第1光ファイバ31と第2光ファイバ32は相互に分離した2本でもよく、また、端でつながっていて一本でもよい。一対の保持具11、12の間に外筒13を配置し、ひずみ計1内部への異物の侵入を防止する。外筒13は、一対の保持具11、12の移動を妨げないように構成される。
【0024】
一対の保持具11、12が離間する方向(Xの+方向)に移動すると、第1FBG部331は伸張し、ひずみが大きくなり、第2FBG部332は縮小し、ひずみが小さくなる。従って、第1FBG部331と第2FBG部332は、差動的に張力が作用していることになる。また、一対の保持具11、12が接近する方向(Xの−方向)に移動すると、第1FBG部331は縮小し、ひずみが小さくなり、第2FBG部332は伸張し、ひずみが大きくなる。従って、FBG部331とFBG部332に差動的にひずみが発生する。
【0025】
<チ>傾斜計のセンサ部
光ファイバ検出装置の例として傾斜計を説明する。傾斜計のセンサ部1として、図5に検出原理図を示す。傾斜計のセンサ部1は、一対の固定点(第1固定点42と第2固定点43)と移動体41との間に光ファイバ3を張ったものである。第1FBG部331を移動体41と第1固定点42との間に張り、第2FBG部332を移動体41と第2固定点43との間に張る。
【0026】
傾斜計4が左右(φ方向)に傾斜すると移動体41が左右(−側、+側)どちらかに移動するので、第1FBG部331と第2FBG部332に差動的に張力がかかる。例えば、図5の右側(+側)に傾斜すると、第1FBG部331の張力が強くなり、第2FBG部332の張力が弱くなり、第1FBG部331と第2FBG部332に差動的にひずみが発生する。
【0027】
【発明の効果】
本発明は、次のような効果を得ることができる。
<イ>本発明は、光ファイバに発生する張力と温度によるひずみの変化分を分離することができる。
<ロ>また、本発明は、張力を正確に求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】光ファイバひずみ検出装置の説明図
【図2】光ファイバのFBG部の説明図
【図3】ひずみ計のセンサ部の説明図
【図4】他のひずみ計のセンサ部の説明図
【図5】傾斜計の説明図
【符号の説明】
1・・・センサ部
11・・第1保持具
111・第1保持部
112・第2保持部
12・・第2保持具
121・第1保持部
122・第2保持部
13・・外筒
2・・・検出装置
21・・検出器
22・・演算装置
3・・・光ファイバ
31・・第1光ファイバ
32・・第2光ファイバ
33・・FBG部
331・第1FBG部
332・第2FBG部
34・・コア部
35・・グラッド部
4・・・傾斜計
41・・移動体
42・・第1固定点
43・・第2固定点

Claims (3)

  1. ひずみを検出する光ファイバひずみ検出装置において、
    光ファイバを保持するセンサ部と、
    センサ部内において、保持された光ファイバに形成され、ほぼ同一の温度領域に配置された第1FBG部と第2FBGと、
    光ファイバに広帯域の光を送出し、反射光を受信する測定装置とを備え、
    センサ部にひずみが作用すると、第1FBG部と第2FBGに差動的に張力が作用し、第1FBG部と第2FBGから反射してくる反射光の波長が変化することを特徴とする、
    光ファイバひずみ検出装置。
  2. 請求項1に記載の光ファイバひずみ検出装置において、
    センサ部は、相対的に移動可能な第1保持具と第2保持具とを備え、
    第1保持具と第2保持具が相対的に移動すると、第1FBG部と第2FBGに差動的に張力が作用することを特徴とする、
    光ファイバひずみ検出装置。
  3. 請求項1に記載の光ファイバひずみ検出装置において、
    光ファイバを固定する第1固定点と第2固定点と、
    第1固定点と第2固定点に対して移動可能で、光ファイバを保持する移動体とを備え、
    第1固定点と移動体の光ファイバに第1FBGを配置し、第2固定点と移動体の光ファイバに第2FBGを配置し、
    移動体が移動すると、第1FBG部と第2FBGに差動的に張力が作用することを特徴とする、光ファイバひずみ検出装置。
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