以下に、本発明に係る駆動力伝達装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。また、下記の実施形態では、駆動力伝達装置に伝達される駆動力を発生する駆動源として、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、LPGエンジンなどのエンジンを用いるが、これに限定されるものではなく、モータなどの電動機を駆動源として、あるいはモータなどの電動機と併用して用いても良い。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るトルクコンバータの要部断面図、図2は、本発明の実施形態1に係るトルクコンバータが備える締結プレートの平面図、図3は、本発明の実施形態1に係るトルクコンバータの第2連結部の平面図である。なお、以下の説明では、特に断りのない限り、出力軸60の回転軸線Xに沿った方向を軸方向といい、回転軸線Xに直交する方向、すなわち、軸方向に直交する方向を径方向といい、回転軸線X周りの方向を周方向という。また、径方向において回転軸線X側を径方向内側といい、反対側を径方向外側という。また、軸方向において駆動源が設けられる側(駆動源から駆動力が入力される側)をエンジン側といい、反対側、つまり、トランスミッションが設けられる側(トランスミッションに駆動力を出力する側)を出力軸側という。
図1に示すように、実施形態1に係る駆動力伝達装置としてのトルクコンバータ1は、第1部材としてのドライブプレート10と、ダンパー手段としてのダンパー機構20と、第2部材としてのフロントカバー30と、流体伝達手段としての流体伝達機構40と、ロックアップ手段としてのロックアップクラッチ機構50と、出力軸60とを備える。このトルクコンバータ1は、駆動源からドライブプレート10に伝達された駆動力をダンパー機構20を介してフロントカバー30に伝達し、フロントカバー30から流体伝達機構40、ロックアップクラッチ機構50に伝達するものである。
すなわち、本実施形態のトルクコンバータ1は、軸方向に対して、駆動源から駆動力が伝達されるドライブプレート10と、流体伝達機構40に駆動力を伝達するフロントカバー30との間にダンパー機構20が設けられた、いわゆるプレダンパー型のトルクコンバータである。つまり、このダンパー機構20は、複数の弾性体としての複数のダンパースプリング21を介してドライブプレート10とフロントカバー30とを連結するものである。
このトルクコンバータ1は、駆動源からの駆動力の伝達方向に対してドライブプレート10の下流側、フロントカバー30の上流側にダンパー機構20を配置することで、ダンパー機構20のダンパースプリング21より上流の駆動側(エンジン側)の慣性質量とダンパースプリング21より下流の被駆動側(出力軸(トランスミッション)側)の慣性質量とのバランスを最適化することができる。すなわち、従来のトルクコンバータにおいては駆動側の慣性質量が被駆動側の慣性質量より大きくなる傾向にあったが、このトルクコンバータ1は、駆動側の慣性質量と被駆動側の慣性質量とのバランスを最適化することができることから、駆動側と被駆動側との共振点を低下させ共振を効果的に抑制することができ、よって、ダンパー機構20のこもり音の発生防止などのダンパー性能を向上することができる。つまり、振動の低減性能を向上することができることから、こもり音などの発生を抑制することができ、ロックアップクラッチ機構50をONにすることができる回転数領域を拡大することができ、比較的に低回転数の領域でロックアップクラッチ機構50をONにすることができるので燃費を向上できる。また、このトルクコンバータ1は、作動流体で満たされている流体伝達機構40に対して、軸方向にフロントカバー30を挟んで反対側の部分にダンパー機構20が設けられることから、ダンパースプリング21を配置する領域を比較的に広く確保することができ、この結果、比較的大きなダンパースプリング21を設けたり、ダンパースプリング21を比較的多く設けたりすることができる。言い換えれば、ダンパー機構20の設計が容易になる。
そして、本実施形態のトルクコンバータ1は、このプレダンパー型のトルクコンバータにおいて、ダンパー機構20のドライブプレート10との連結部又はフロントカバー30との連結部のいずれか一方を高剛性部を介して固定して連結し他方を軸方向に移動可能に連結することで、大型化を抑制しつつさらなる振動低減性能の向上を図ったものであり、プレダンパー型のトルクコンバータにおいてコンパクト化と高性能化との両立を図ったものである。
以下、トルクコンバータ1の各構成について具体的に説明する。
このトルクコンバータ1では、図1に示すように、軸方向に対してエンジン側から出力軸側に向かって、ドライブプレート10、ダンパー機構20、フロントカバー30、ロックアップクラッチ機構50、流体伝達機構40の順番で配置されている。
ドライブプレート10は、第1部材であり、駆動源であるエンジン(不図示)の駆動力が伝達されるものである。ドライブプレート10は、ドライブプレート本体部11と、ドライブプレートフランジ部12とを有する。
ドライブプレート本体部11は、出力軸60の中心軸線である回転軸線Xと同軸の円環板状に形成され、径方向内側端部側で連結部材120(例えば、ボルト)によりエンジン(不図示)の駆動源出力軸であるクランクシャフト110と締結されている。クランクシャフト110は、出力軸60の回転軸線Xを中心として出力軸60に対して相対回転可能である。つまり、ドライブプレート10は、クランクシャフト110に対して固定され、回転軸線Xを中心としてクランクシャフト110と共に一体回転可能である。したがって、エンジンの駆動力は、クランクシャフト110から連結部材120を介してドライブプレート10のドライブプレート本体部11に伝達される。
ドライブプレートフランジ部12は、ドライブプレート本体部11の径方向外側端部から出力軸側に突出して形成される。ドライブプレートフランジ部12は、回転軸線Xと同軸の円筒形状に形成される。
また、ドライブプレート10には、連結切欠部12aが形成されている。連結切欠部12aは、第1連結部71の一部を構成するものであり、ドライブプレート10のうち後述するダンパー機構20の径方向外側端部に設けられる外側連結部としての外側連結突起部25a、外側連結突起部26aと径方向において対向する部分、すなわちドライブプレートフランジ部12に形成されている。
連結切欠部12aは、ドライブプレートフランジ部12の出力軸側の端部がエンジン側に向かって軸方向に沿って切り欠かれることで形成される。連結切欠部12aは、径方向に対してドライブプレートフランジ部12の外周面から内周面まで貫通して形成される。連結切欠部12aは、ドライブプレートフランジ部12に対して周方向に等間隔に複数個形成されている。
ダンパー機構20は、ダンパー手段であり、複数のダンパースプリング21を介してドライブプレート10とフロントカバー30とを連結するものである。さらに言えば、ダンパー機構20は、複数のダンパースプリング21を介してドライブプレート10とフロントカバー30とを相対回転可能に連結するものである。
ダンパー機構20は、複数の弾性体としての複数のダンパースプリング21と、外側連結部としての外側連結突起部25a及び外側連結突起部26aと、内側連結部としての内側連結突起部27a及び内側連結突起部28aとを有する。ダンパー機構20は、ドライブプレート10に伝達された駆動力を外側連結突起部25a、外側連結突起部26aから複数のダンパースプリング21を介して内側連結突起部27a、内側連結突起部28aに伝達しフロントカバー30に伝達する。
さらに具体的には、ダンパー機構20は、外側ダンパー22と、内側ダンパー23と、伝達部材としての中心保持プレート24とを有する。外側ダンパー22と内側ダンパー23とは、外側ダンパー22が径方向外側に配置され外側連結突起部25a及び外側連結突起部26aが設けられる一方、内側ダンパー23が径方向内側に配置され内側連結突起部27a及び内側連結突起部28aが設けられる。外側ダンパー22と内側ダンパー23とは、中心保持プレート24により連結されている。また、外側連結突起部25a、外側連結突起部26aは、外側ダンパー22の径方向外側端部に設けられる一方、内側連結突起部27a、内側連結突起部28aは、内側ダンパー23の径方向内側端部に設けられる。つまり、ダンパー機構20は、径方向外側端部に外側連結突起部25a、外側連結突起部26aが設けられ、径方向内側端部に内側連結突起部27a、内側連結突起部28aが設けられる。
そして、ダンパー機構20は、外側連結突起部25a、外側連結突起部26aが第1連結部71にてドライブプレート10の径方向外側部に一体回転可能かつ軸方向に移動可能に連結され、内側連結突起部27a、内側連結突起部28aが第2連結部72により高剛性部としての締結プレート29を介してフロントカバー30の径方向内側部に一体回転可能に固定して連結される。
複数のダンパースプリング21は、例えば、複数のコイルスプリングであり、軸方向に対してドライブプレート10とフロントカバー30との間に設けられるものである。複数のダンパースプリング21は、外側ダンパー22の一部をなす複数の外側弾性体としての外側ダンパースプリング21aと、内側ダンパー23の一部をなす複数の内側弾性体としての内側ダンパースプリング21bとを含んでいる。外側ダンパースプリング21aと内側ダンパースプリング21bとは、外側ダンパースプリング21aが径方向外側に配置され、内側ダンパースプリング21bが外側ダンパースプリング21aの径方向内側に配置される。
外側ダンパースプリング21aと内側ダンパースプリング21bとは、ともに中心保持プレート24により保持され、言い換えれば、中心保持プレート24を介して連結されている。ここでは、ダンパー機構20は、ドライブプレート10に伝達された駆動力を外側ダンパー22の外側連結突起部25a、外側連結突起部26aから複数の外側ダンパースプリング21aに伝達し、複数の外側ダンパースプリング21aに伝達された駆動力をこの中心保持プレート24を介して複数の内側ダンパースプリング21bに伝達し、複数の内側ダンパースプリング21bに伝達された駆動力を内側ダンパー23の内側連結突起部27a、内側連結突起部28aに伝達してフロントカバー30に伝達する。つまり、ダンパー機構20は、駆動力の伝達経路に対して直列に外側ダンパー22の外側ダンパースプリング21aと内側ダンパー23の内側ダンパースプリング21bとが配置されている。
外側ダンパー22は、外側側方保持部材としての外側リヤ保持プレート25と、外側側方保持部材としての外側フロント保持プレート26と、上述の複数の外側ダンパースプリング21aとを有する。
内側ダンパー23は、内側側方保持部材としての内側リヤ保持プレート27と、内側側方保持部材としての内側フロント保持プレート28と、上述の複数の内側ダンパースプリング21bとを有する。
ここで、中心保持プレート24は、上述のように、複数の外側ダンパースプリング21a及び複数の内側ダンパースプリング21bを駆動力伝達可能に保持する。つまり、本実施形態の中心保持プレート24は、外側ダンパー22にて各外側ダンパースプリング21aを保持する部材として機能すると共に、内側ダンパー23にて各内側ダンパースプリング21bを保持する部材としても機能する。中心保持プレート24は、回転軸線Xと同軸の円環板状に形成され、外側中心保持部24aと、内側中心保持部24bとを有する。
中心保持プレート24は、径方向外側から径方向内側に向かってドライブプレート10側、すなわち、エンジン側に段階的に突出するように段付部24c及び段付部24dが形成されている。段付部24cは、中心保持プレート24の径方向外側端部近傍に回転軸線Xと同軸の円環状に形成される。段付部24dは、径方向に対して段付部24cと径方向内側端部との中間部分近傍に回転軸線Xと同軸の円環状に形成される。中心保持プレート24は、径方向に対して段付部24cと段付部24dとの間に外側中心保持部24aが設けられ、段付部24dと径方向内側端部との間に内側中心保持部24bが設けられる。つまり、外側中心保持部24aと内側中心保持部24bとは、外側中心保持部24aが径方向外側に設けられる一方、内側中心保持部24bが径方向内側に設けられる。
外側中心保持部24a、内側中心保持部24bは、それぞれ外側ダンパースプリング21a、内側ダンパースプリング21bが挿入されこの外側ダンパースプリング21a、内側ダンパースプリング21bを保持するものである。外側中心保持部24aは、中心保持プレート24の段付部24cと段付部24dとの間に円弧状に形成されたスリットである。外側中心保持部24aは、内部に外側ダンパースプリング21aが挿入されこれを保持する。内側中心保持部24bは、中心保持プレート24の段付部24dと径方向内側端部との間に円弧状に形成されたスリットである。内側中心保持部24bは、内部に内側ダンパースプリング21bが挿入されこれを保持する。外側中心保持部24a、内側中心保持部24bは、それぞれ中心保持プレート24に対して周方向に等間隔に複数個形成されている。
各外側中心保持部24aは、その周方向の長さが各外側ダンパースプリング21aを付勢した状態で保持できる長さに設定されている。したがって、外側中心保持部24aに外側ダンパースプリング21aが保持されると、外側中心保持部24aの周方向における両端部が外側ダンパースプリング21aの両端部にそれぞれ接触することとなる。つまり、外側ダンパースプリング21aは、各外側中心保持部24aの周方向における両端部に接触し、両端部の間に付勢された状態で保持される。中心保持プレート24は、この外側中心保持部24aと外側ダンパースプリング21aとの周方向端部接触部分において外側ダンパースプリング21aとの間で駆動力の伝達が可能となる。同様に、各内側中心保持部24bは、その周方向の長さが各内側ダンパースプリング21bを付勢した状態で保持できる長さに設定されている。したがって、内側中心保持部24bに内側ダンパースプリング21bが保持されると、内側中心保持部24bの周方向における両端部が内側ダンパースプリング21bの両端部にそれぞれ接触することとなる。つまり、内側ダンパースプリング21bは、各内側中心保持部24bの周方向における両端部に接触し、両端部の間に付勢された状態で保持される。中心保持プレート24は、この内側中心保持部24bと内側ダンパースプリング21bとの周方向端部接触部分において内側ダンパースプリング21bとの間で駆動力の伝達が可能となる。
そして、外側ダンパー22の外側リヤ保持プレート25、外側フロント保持プレート26は、中心保持プレート24の軸方向に対する側方、ここでは両側で複数の外側ダンパースプリング21aの一部分を駆動力伝達可能に保持する。
外側リヤ保持プレート25及び外側フロント保持プレート26は、回転軸線Xと同軸の円環板状に形成され、軸方向に対してドライブプレート10とフロントカバー30との間に配置される。外側リヤ保持プレート25、外側フロント保持プレート26は、ドライブプレート10とフロントカバー30との間の空間部における径方向外側の部分に配置されている。ここでは、外側リヤ保持プレート25と外側フロント保持プレート26とは、外側リヤ保持プレート25がフロントカバー30側(出力軸側)、外側フロント保持プレート26がドライブプレート10側(エンジン側)に配置されている。
外側リヤ保持プレート25と外側フロント保持プレート26とは、軸方向に対する外側リヤ保持プレート25と外側フロント保持プレート26との間の空間部分に複数の外側ダンパースプリング21aと共に中心保持プレート24が配置され、この中心保持プレート24及び複数の外側ダンパースプリング21aを挟み込みこれらを保持する。外側リヤ保持プレート25と外側フロント保持プレート26とは、中心保持プレート24の軸方向両側を挟んで相対回転可能に保持する。
つまり、外側ダンパー22は、軸方向に対してエンジン側から出力軸側に向かって、外側フロント保持プレート26、中心保持プレート24及び複数の外側ダンパースプリング21a、外側リヤ保持プレート25の順番で配置されている。
外側リヤ保持プレート25は、上述の外側連結突起部25aと、外側リヤ保持部25bとを有する。外側フロント保持プレート26は、上述の外側連結突起部26aと、外側フロント保持部26bとを有する。
外側リヤ保持部25b、外側フロント保持部26bは、それぞれ、中心保持プレート24により軸方向に対する中心部分が保持される各外側ダンパースプリング21aの一部分を収容し保持するものである。
外側リヤ保持部25bは、外側リヤ保持プレート25のエンジン側の壁面(外側フロント保持プレート26側の壁面)、すなわち、中心保持プレート24と対向する壁面に設けられる。外側リヤ保持部25bは、外側リヤ保持プレート25の中心保持プレート24と対向する壁面が出力軸側(中心保持プレート24側とは反対側)に窪むことで形成される。外側リヤ保持部25bは、外側リヤ保持プレート25の周方向に沿って円弧状に形成される。外側リヤ保持部25bは、外側リヤ保持プレート25に対して周方向に等間隔に複数個形成されている。
外側フロント保持部26bは、外側フロント保持プレート26の出力軸側の壁面(外側リヤ保持プレート25側の壁面)、すなわち、中心保持プレート24と対向する壁面に設けられる。外側フロント保持部26bは、外側フロント保持プレート26の中心保持プレート24と対向する壁面がエンジン側(中心保持プレート24側とは反対側)に窪むことで形成される。外側フロント保持部26bは、外側フロント保持プレート26の周方向に沿って円弧状に形成される。外側フロント保持部26bは、外側フロント保持プレート26に対して周方向に等間隔に複数個形成されている。
そして、各外側リヤ保持部25bと各外側フロント保持部26bとは、ともに中心保持プレート24の外側中心保持部24aと軸方向に対向する位置に形成されている。
したがって、この外側ダンパー22は、中心保持プレート24の外側中心保持部24aが各外側ダンパースプリング21aの中心部分(軸方向の中心部分)を保持し、外側リヤ保持プレート25の外側リヤ保持部25bが外側中心保持部24aに保持された各外側ダンパースプリング21aのうちこの外側中心保持部24aより出力軸側の部分を収容し保持する一方、外側フロント保持プレート26の外側フロント保持部26bが外側中心保持部24aよりエンジン側の部分を収容し保持する。
そして、各外側リヤ保持部25b、外側フロント保持部26bの周方向における両端部は、各外側中心保持部24aに外側ダンパースプリング21aが保持された状態で、それぞれ外側ダンパースプリング21aの両端部に周方向において対向し、接触可能となる。この結果、外側リヤ保持プレート25、外側フロント保持プレート26は、この外側リヤ保持部25b、外側フロント保持部26bと外側ダンパースプリング21aとの周方向端部接触部分において外側ダンパースプリング21aとの間で駆動力の伝達が可能となる。
つまり、各外側ダンパースプリング21aは、中心保持プレート24の外側中心保持部24a、外側リヤ保持プレート25の外側リヤ保持部25b及び外側フロント保持プレート26の外側フロント保持部26bにより保持され、外側リヤ保持プレート25、外側フロント保持プレート26と中心保持プレート24との間で相互に駆動力の伝達が可能となる。
ここで、外側ダンパー22は、外側リヤ保持プレート25と外側フロント保持プレート26とが連結手段、例えばリベット73により一体化されている。リベット73により一体化された外側リヤ保持プレート25と外側フロント保持プレート26との間には、スリーブ73aが設けられている。スリーブ73aは、円筒形状であり、リベット73は、スリーブ73aの内部に挿入するようにして設けられる。スリーブ73aは、外側リヤ保持プレート25と外側フロント保持プレート26との間で軸方向におけるスペーサとして作用し、つまり、外側リヤ保持プレート25と外側フロント保持プレート26との軸方向に対する相対的な位置関係を固定する。これにより、外側リヤ保持プレート25と外側フロント保持プレート26との間に中心保持プレート24及び複数の外側ダンパースプリング21aを設けるための空間部分を確実に確保することができる。この結果、外側リヤ保持プレート25、外側フロント保持プレート26と中心保持プレート24とが複数の外側ダンパースプリング21aを介して相対的に回転する際には、外側リヤ保持プレート25と外側フロント保持プレート26との間にスリーブ73aが介在され、外側リヤ保持プレート25、外側フロント保持プレート26と中心保持プレート24との間に適正なクリアランスが確保されることで、この相対回転が滑らかに行われる。
なお、このリベット73、スリーブ73aは、中心保持プレート24を貫通している。ただし、中心保持プレート24は、このリベット73、スリーブ73aの部分にスライド部24eが形成されている。スライド部24eは、軸方向に対して外側リヤ保持プレート25と外側フロント保持プレート26との間に設けられる中心保持プレート24に設けられている。スライド部24eは、中心保持プレート24においてリベット73、スリーブ73aに対応する部分に円弧状のスリットとして中心保持プレート24を貫通して形成される。スライド部24eは、軸方向に対してリベット73、スリーブ73aを内部に挿入可能な位置に円弧状に設けられている。つまり、このスライド部24eは、外側リヤ保持プレート25、外側フロント保持プレート26と中心保持プレート24との相対回転に伴ったリベット73、スリーブ73aの移動を外側リヤ保持プレート25、外側フロント保持プレート26と中心保持プレート24とが所定の捩れ角となるまで許容する。つまり、スライド部24eは、リベット73、スリーブ73aを中心保持プレート24に対して周方向に摺動可能とする。さらに言えば、このスライド部24eは、外側リヤ保持プレート25、外側フロント保持プレート26と中心保持プレート24との相対回転が阻害されることを防止することができる。なお、外側リヤ保持プレート25、外側フロント保持プレート26と中心保持プレート24との捩れ角は、外側リヤ保持プレート25、外側フロント保持プレート26と中心保持プレート24との相対回転角であり、外側リヤ保持プレート25、外側フロント保持プレート26又は中心保持プレート24に駆動力等が何も伝達されていない状態のときに0度となる。
そして、外側リヤ保持プレート25は、径方向外側端部(すなわち、外周面側の端部)に外側連結突起部25aが設けられる一方、外側フロント保持プレート26は、径方向外側端部(すなわち、外周面側の端部)に外側連結突起部26aが設けられる。
外側連結突起部25a、外側連結突起部26aは、ドライブプレート10の径方向外側部と一体回転可能かつ軸方向に移動可能に連結される。この外側連結突起部25a、外側連結突起部26aは、上述したドライブプレート10の連結切欠部12aと共に第1連結部71を構成する。外側連結突起部25a、外側連結突起部26aは、それぞれ外側リヤ保持プレート25、外側フロント保持プレート26に対して周方向に等間隔にそれぞれ複数個形成されている。
外側連結突起部25a、外側連結突起部26aは、それぞれ、外側リヤ保持プレート25、外側フロント保持プレート26がドライブプレート10に挿入された状態で、ドライブプレート10の連結切欠部12aと径方向において対向するように、外側リヤ保持プレート25、外側フロント保持プレート26の径方向外側端部から径方向外側に突出して形成されている。外側連結突起部25a、外側連結突起部26aは、外側リヤ保持プレート25、外側フロント保持プレート26がドライブプレート10の内部に挿入された状態で、連結切欠部12aに挿入されるように突出量が設定されている。
外側リヤ保持プレート25、外側フロント保持プレート26は、ドライブプレート10内部に挿入された状態で、第1連結部71をなす外側連結突起部25a、外側連結突起部26aがそれぞれ連結切欠部12aに挿入され係合することで、ドライブプレート10に対して相対回転することが規制されると共に軸方向に沿った相対移動が許容される。言い換えれば、第1連結部71は、ドライブプレート10の径方向外側部であるドライブプレートフランジ部12に設けられた連結切欠部12aと外側ダンパー22の外側連結突起部25a、外側連結突起部26aとが一体回転可能かつ軸方向に移動可能に連結される部分である。つまり、外側リヤ保持プレート25、外側フロント保持プレート26は、外側連結突起部25a、外側連結突起部26aと連結切欠部12aとによって構成される第1連結部71にて、ドライブプレート10と一体回転可能かつこのドライブプレート10に対して軸方向に移動可能に連結され、駆動力を伝達可能にドライブプレート10と連結される。したがって、ドライブプレート10に伝達されたエンジンからの駆動力は、この第1連結部71にてダンパー機構20の外側ダンパー22における外側連結突起部25a、外側連結突起部26aに伝達される。なお、ここでは外側連結突起部26aは、その先端部が外側連結突起部25a側に向かって折り返され外側連結突起部25aと接触している。
一方、内側ダンパー23の内側リヤ保持プレート27、内側フロント保持プレート28は、中心保持プレート24の軸方向に対する側方、ここでは両側で複数の内側ダンパースプリング21bの一部分を駆動力伝達可能に保持する。
内側リヤ保持プレート27及び内側フロント保持プレート28は、回転軸線Xと同軸の円環板状に形成され、軸方向に対してドライブプレート10とフロントカバー30との間に配置される。内側リヤ保持プレート27、内側フロント保持プレート28は、ドライブプレート10とフロントカバー30との間の空間部における径方向内側の部分に配置されている。ここでは、内側リヤ保持プレート27と内側フロント保持プレート28とは、内側リヤ保持プレート27がフロントカバー30側(出力軸側)、内側フロント保持プレート28がドライブプレート10側(エンジン側)に配置されている。つまり、内側リヤ保持プレート27は、外側リヤ保持プレート25の径方向内側でこの外側リヤ保持プレート25と径方向に対向する。内側フロント保持プレート28は、外側フロント保持プレート26の径方向内側でこの外側フロント保持プレート26と径方向に対向する。
内側リヤ保持プレート27と内側フロント保持プレート28とは、軸方向に対する内側リヤ保持プレート27と内側フロント保持プレート28との間の空間部分に複数の内側ダンパースプリング21bと共に中心保持プレート24が配置され、この中心保持プレート24及び複数の内側ダンパースプリング21bを挟み込みこれらを保持する。内側リヤ保持プレート27と内側フロント保持プレート28とは、中心保持プレート24の軸方向両側を挟んで相対回転可能に保持する。
つまり、内側ダンパー23は、軸方向に対してエンジン側から出力軸側に向かって、内側フロント保持プレート28、中心保持プレート24及び複数の内側ダンパースプリング21b、内側リヤ保持プレート27の順番で配置されている。
そして、内側リヤ保持プレート27は、上述の内側連結突起部27aと、内側リヤ保持部27bとを有する。内側フロント保持プレート28は、上述の内側連結突起部28aと、内側フロント保持部28bとを有する。
内側リヤ保持部27b、内側フロント保持部28bは、それぞれ、中心保持プレート24により軸方向に対する中心部分が保持される各内側ダンパースプリング21bの一部分を収容し保持するものである。
内側リヤ保持部27bは、内側リヤ保持プレート27のエンジン側の壁面(内側フロント保持プレート28側の壁面)、すなわち、中心保持プレート24と対向する壁面に設けられる。内側リヤ保持部27bは、内側リヤ保持プレート27の中心保持プレート24と対向する壁面が出力軸側(中心保持プレート24側とは反対側)に窪むことで形成される。内側リヤ保持部27bは、内側リヤ保持プレート27の周方向に沿って円弧状に形成される。内側リヤ保持部27bは、内側リヤ保持プレート27に対して周方向に等間隔に複数個形成されている。
内側フロント保持部28bは、内側フロント保持プレート28の出力軸側の壁面(内側リヤ保持プレート27側の壁面)、すなわち、中心保持プレート24と対向する壁面に設けられる。内側フロント保持部28bは、内側フロント保持プレート28の中心保持プレート24と対向する壁面がエンジン側(中心保持プレート24側とは反対側)に窪むことで形成される。内側フロント保持部28bは、内側フロント保持プレート28の周方向に沿って円弧状に形成される。内側フロント保持部28bは、内側フロント保持プレート28に対して周方向に等間隔に複数個形成されている。
そして、各内側リヤ保持部27bと各内側フロント保持部28bとは、ともに中心保持プレート24の内側中心保持部24bと軸方向に対向する位置に形成されている。
したがって、この内側ダンパー23は、中心保持プレート24の内側中心保持部24bが各内側ダンパースプリング21bの中心部分(軸方向の中心部分)を保持し、内側リヤ保持プレート27の内側リヤ保持部27bが内側中心保持部24bに保持された各内側ダンパースプリング21bのうちこの内側中心保持部24bより出力軸側の部分を収容し保持する一方、内側フロント保持プレート28の内側フロント保持部28bが内側中心保持部24bよりエンジン側の部分を収容し保持する。
そして、各内側リヤ保持部27b、内側フロント保持部28bの周方向における両端部は、各内側中心保持部24bに内側ダンパースプリング21bが保持された状態で、それぞれ内側ダンパースプリング21bの両端部に周方向において対向し、接触可能となる。この結果、内側リヤ保持プレート27、内側フロント保持プレート28は、この内側リヤ保持部27b、内側フロント保持部28bと内側ダンパースプリング21bとの周方向端部接触部分において内側ダンパースプリング21bとの間で駆動力の伝達が可能となる。
つまり、各内側ダンパースプリング21bは、中心保持プレート24の内側中心保持部24b、内側リヤ保持プレート27の内側リヤ保持部27b及び内側フロント保持プレート28の内側フロント保持部28bにより保持され、中心保持プレート24と内側リヤ保持プレート27、内側フロント保持プレート28との間で相互に駆動力の伝達が可能となる。
ここで、内側ダンパー23の内側フロント保持プレート28は、径方向内側端部がフロントカバー30側、すなわち、出力軸側に突出するように段付部28cが形成されている。段付部28cは、回転軸線Xと同軸の円筒状に形成される。内側フロント保持プレート28は、径方向に対して段付部28cと径方向外側端部との間に上述の内側フロント保持部28bが設けられる。そして、内側フロント保持プレート28は、径方向内側端部が段付部28cを介して出力軸側に突出するように形成されていることで、この径方向内側端部が内側リヤ保持プレート27の径方向内側端部と軸方向に対向し接触している。
なお、この内側フロント保持プレート28の段付部28cは、上述の外側ダンパー22のスリーブ73aと同様に、内側リヤ保持プレート27と内側フロント保持プレート28との間で軸方向におけるスペーサとして作用する。つまり、中心保持プレート24と内側リヤ保持プレート27、内側フロント保持プレート28とが複数の内側ダンパースプリング21bを介して相対的に回転する際には、内側リヤ保持プレート27の内側リヤ保持部27bが設けられている部分と内側フロント保持プレート28の内側フロント保持部28bが設けられている部分との間に段付部28cが介在され、中心保持プレート24と内側リヤ保持プレート27、内側フロント保持プレート28との間に適正なクリアランスが確保されることで、この相対回転が滑らかに行われる。
そして、内側リヤ保持プレート27は、径方向内側端部(すなわち、内周面側の端部)に内側連結突起部27aが設けられる一方、内側フロント保持プレート28は、径方向内側端部(すなわち、内周面側の端部)に内側連結突起部28aが設けられる。この内側連結突起部27aと内側連結突起部28aとは、軸方向に対向し接触している。
内側連結突起部27a、内側連結突起部28aは、締結プレート29を介してフロントカバー30の径方向内側部と一体回転可能に固定され、すなわち、フロントカバー30に対して軸方向に相対移動不能に連結される。この内側連結突起部27a、内側連結突起部28aは、締結プレート29と共に第2連結部72を構成する。
内側連結突起部27aは、内側リヤ保持プレート27の径方向内側端部が径方向内側に向かって突出することで形成される。内側連結突起部28aは、内側フロント保持プレート28の径方向内側端部が径方向内側に向かって突出することで形成される。内側連結突起部27a、内側連結突起部28aは、それぞれ内側リヤ保持プレート27、内側フロント保持プレート28に対して周方向に等間隔にそれぞれ複数個(ここでは、8個)形成されている。
締結プレート29は、高剛性部であり、第2連結部72の剛性を高めるための部材である。締結プレート29は、図1、図2に示すように、回転軸線Xと同軸の円環板状に形成される。締結プレート29は、径方向内側端部29a側(すなわち、内周面側)にフロントカバー30の径方向中心部に設けられる後述の膨出部31aが挿入されるようにして配置される。また、締結プレート29は、内側リヤ保持プレート27、内側フロント保持プレート28の径方向内側に挿入されるようにして配置される。つまり、このダンパー機構20は、径方向に対して径方向外側から径方向内側に向かって、外側ダンパー22、内側ダンパー23、締結プレート29及びフロントカバー30の膨出部31aの順番で配置されている。
締結プレート29は、軸方向に対する一方の面がフロントカバー30と接触するようにして設けられ、径方向内側端部29aで固定手段、例えば、溶接Sなどにより固定されることで、フロントカバー30の膨出部31aに固定されている。したがって、締結プレート29は、フロントカバー30と一体回転可能かつ軸方向に相対移動不能に固定して連結される。そして、締結プレート29は、連結凹部29bと、ボルト孔29cとを有する。
連結凹部29bは、締結プレート29が内側リヤ保持プレート27、内側フロント保持プレート28の径方向内側に挿入されるように位置した状態で、締結プレート29のうち内側リヤ保持プレート27、内側フロント保持プレート28の内側連結突起部27a、内側連結突起部28aと径方向において対向する部分である径方向外側端部(すなわち、外周面)に形成されている。連結凹部29bは、軸方向に対する他方の面(すなわち、フロントカバー30と接触する面とは反対側のドライブプレート10側の面)がフロントカバー30側に窪むようにして形成される。つまり、連結凹部29bは、径方向における断面形状が締結プレート29の外周面から径方向内側に向かって窪んだ形状でかつドライブプレート10側の面からフロントカバー30側の面に向かって窪んだ形状である。連結凹部29bは、締結プレート29に対して周方向に等間隔に複数個(ここでは、8個)形成されている。
そして、上述の内側連結突起部27a、内側連結突起部28aは、それぞれ、締結プレート29が内側リヤ保持プレート27、内側フロント保持プレート28の径方向内側に挿入されるように位置した状態で、締結プレート29の連結凹部29bに挿入されるように内側リヤ保持プレート27、内側フロント保持プレート28の径方向内側端部から径方向内側に突出して形成される。
ボルト孔29cは、締結プレート29をドライブプレート10側の面からフロントカバー30側の面まで貫通するようにして形成される。ボルト孔29cは、締結プレート29において周方向に隣接する連結凹部29bの間に設けられている。ボルト孔29cは、締結プレート29に対して周方向に等間隔に複数個(ここでは、8個)形成されている。
つまり、締結プレート29は、周方向に沿って連結凹部29bとボルト孔29cとが交互に等間隔で複数個形成されている。
ここで、この第2連結部72は、さらにカバープレート72aと、ボルト72bとを含んで構成される。カバープレート72aは、回転軸線Xと同軸の円環板状に形成されるものである。カバープレート72aは、内側連結突起部28aのドライブプレート10側の面に接触するようにして配置される。また、カバープレート72aは、締結プレート29のボルト孔29cとほぼ同等の位置にボルト孔72cが形成されている。ボルト72bは、各ボルト孔29c、ボルト孔72cに螺合されるものである。
そして、内側リヤ保持プレート27、内側フロント保持プレート28は、図1、図3に示すように、締結プレート29が内側リヤ保持プレート27、内側フロント保持プレート28の径方向内側に挿入されるように配置された状態で、第2連結部72をなす内側連結突起部27a、内側連結突起部28aがそれぞれ連結凹部29bに挿入され係合することで、高剛性部である締結プレート29に対して相対回転することが規制されて連結される。さらに、カバープレート72aは、第2連結部72をなす内側連結突起部27a、内側連結突起部28aがそれぞれ連結凹部29bに挿入され係合された状態で、内側連結突起部28aのドライブプレート10側の面に接触して設けられ、ボルト孔72cと締結プレート29のボルト孔29cにボルト72bが挿入され螺合することで、締結プレート29に対して固定して締結される。これにより、内側リヤ保持プレート27、内側フロント保持プレート28は、連結凹部29bに内側連結突起部27a、内側連結突起部28aが挿入され係合された状態で、この内側連結突起部27a、内側連結突起部28aがドライブプレート10側からカバープレート72aにより押さえられることで、軸方向への移動が規制される。
言い換えれば、この第2連結部72は、フロントカバー30の径方向外側部と内側ダンパー23の内側連結突起部27a、内側連結突起部28aとが締結プレート29を介して一体回転可能かつ軸方向に移動不能に固定して連結される部分である。つまり、内側リヤ保持プレート27、内側フロント保持プレート28は、上述のように締結プレート29がフロントカバー30の径方向内側部と一体回転可能かつ軸方向に相対移動不能に固定して連結されることから、第2連結部72により内側連結突起部27a、内側連結突起部28aがこの締結プレート29を介してフロントカバー30の径方向内側部と一体回転可能にかつフロントカバー30に対して軸方向に相対移動不能に固定して連結され、駆動力を伝達可能にフロントカバー30と連結される。したがって、内側ダンパー23に伝達された駆動力、さらに言えば、中心保持プレート24から内側ダンパースプリング21b介して内側リヤ保持プレート27、内側フロント保持プレート28に伝達されたエンジンからの駆動力は、この第2連結部72によりダンパー機構20の内側ダンパー23における内側連結突起部27a、内側連結突起部28aから締結プレート29を介してフロントカバー30の径方向内側部に伝達される。
そして、この第2連結部72では、高剛性部である締結プレート29を介して内側リヤ保持プレート27、内側フロント保持プレート28の内側連結突起部27a、内側連結突起部28aとフロントカバー30の径方向内側部とが連結されることから、内側リヤ保持プレート27、内側フロント保持プレート28の内側連結突起部27a、内側連結突起部28aとフロントカバー30の径方向内側部との連結部分において、十分な剛性を確保することができる。すなわち、第2連結部72は、内側リヤ保持プレート27、内側フロント保持プレート28の内側連結突起部27a、内側連結突起部28aとフロントカバー30の径方向内側部とを高剛性部である締結プレート29を介して高剛性でかつ動力伝達可能に締結することができることから、内側リヤ保持プレート27、内側フロント保持プレート28に種々の荷重が作用した場合であっても、この第2連結部72にて内側リヤ保持プレート27、内側フロント保持プレート28の内側連結突起部27a、内側連結突起部28aが変形することを抑制することができる。
なお、この第2連結部72では、内側リヤ保持プレート27の内側連結突起部27aと、内側フロント保持プレート28の内側連結突起部28aとが一体で締結プレート29に固定されると共に段付部28cが内側リヤ保持プレート27と内側フロント保持プレート28との間のスペーサとして作用する。このため、例えば、内側リヤ保持プレート27と内側フロント保持プレート28とを一体化させるためにリベットやスリーブを設ける必要がないことから、このダンパー機構20をコンパクト化することができると共に軽量化、低コスト化を図ることができる。
上記のように構成されるダンパー機構20は、ドライブプレート10に伝達されたエンジンからの駆動力を第1連結部71にてドライブプレート10の径方向外側部から外側ダンパー22の外側連結突起部25a、外側連結突起部26aに伝達し外側リヤ保持プレート25、外側フロント保持プレート26に伝達する。そして、ダンパー機構20は、外側ダンパー22の外側リヤ保持プレート25、外側フロント保持プレート26に伝達された駆動力を各外側リヤ保持部25b、外側フロント保持部26bの周方向端部から外側ダンパー22の各外側ダンパースプリング21aの一方の周方向端部を介してこの各外側ダンパースプリング21aに伝達する。ダンパー機構20は、外側ダンパースプリング21aに伝達された駆動力を各外側ダンパースプリング21aの他方の周方向端部から各外側中心保持部24aの周方向端部を介して中心保持プレート24に伝達する。
そして、ダンパー機構20は、外側ダンパー22の外側ダンパースプリング21aを介して中心保持プレート24に伝達された駆動力を内側中心保持部24bの周方向端部から内側ダンパー23の各内側ダンパースプリング21bの一方の周方向端部を介してこの各内側ダンパースプリング21bに伝達する。ダンパー機構20は、内側ダンパースプリング21bに伝達された駆動力を各内側ダンパースプリング21bの他方の周方向端部から各内側リヤ保持部27b、内側フロント保持部28bの周方向端部を介して内側ダンパー23の内側リヤ保持プレート27、内側フロント保持プレート28に伝達する。そして、ダンパー機構20は、内側リヤ保持プレート27、内側フロント保持プレート28に伝達された駆動力を第2連結部72により内側連結突起部27a、内側連結突起部28aから締結プレート29に伝達しフロントカバー30の径方向内側部に伝達する。
このように、ダンパー機構20は、ドライブプレート10の径方向外側部から外側リヤ保持プレート25、外側フロント保持プレート26に伝達されたエンジンからの駆動力を中心保持プレート24、内側リヤ保持プレート27、内側フロント保持プレート28を介してフロントカバー30の径方向内側部に伝達する際に、各外側ダンパースプリング21aの一方の端部が外側リヤ保持部25b、外側フロント保持部26bの端部にて外側リヤ保持プレート25、外側フロント保持プレート26と接触し、外側ダンパースプリング21aの他方の端部が各外側中心保持部24aの端部にて中心保持プレート24と接触することなる。またこのとき、各内側ダンパースプリング21bの一方の端部が内側中心保持部24bの端部にて中心保持プレート24と接触し、内側ダンパースプリング21bの他方の端部が各内側リヤ保持部27b、内側フロント保持部28bの端部にて内側リヤ保持プレート27、内側フロント保持プレート28と接触することとなる。
そして、各外側ダンパースプリング21aは、ドライブプレート10に伝達されたエンジンからの駆動力を外側リヤ保持プレート25、外側フロント保持プレート26から中心保持プレート24に伝達する際に、外側リヤ保持プレート25、外側フロント保持プレート26と中心保持プレート24とに接触し駆動力に応じて弾性変形しつつ、これらによって保持される。内側ダンパースプリング21bは、外側ダンパースプリング21aを介して中心保持プレート24に伝達されたエンジンからの駆動力を中心保持プレート24から内側リヤ保持プレート27、内側フロント保持プレート28に伝達する際に、中心保持プレート24と内側リヤ保持プレート27、内側フロント保持プレート28とに接触し駆動力に応じて弾性変形しつつ、これらによって保持される。したがって、フロントカバー30は、ドライブプレート10に伝達されたエンジンからの駆動力がダンパー機構20よって外側ダンパー22の各外側ダンパースプリング21aと内側ダンパー23の各内側ダンパースプリング21bを順番に介して伝達され、ドライブプレート10と同一方向に回転する。つまり、ダンパー機構20は、ドライブプレート10の径方向外側部からフロントカバー30の径方向内側部に駆動力を伝達する際に、駆動力の伝達経路に対して直列に外側ダンパー22の外側ダンパースプリング21aと内側ダンパー23の内側ダンパースプリング21bとを介して駆動力を伝達する。
フロントカバー30は、図1に示すように、第2部材であり、ダンパー機構20から駆動力が伝達されると共に、ダンパー機構20から伝達された駆動力を流体伝達機構40に伝達するものである。フロントカバー30は、フロントカバー本体部31と、フロントカバーフランジ部32と、フロントカバーボス部33とを有する。
フロントカバー本体部31は、回転軸線Xと同軸の円板形状に形成される。フロントカバー本体部31は、上述の膨出部31aを有する。膨出部31aは、フロントカバー本体部31の径方向内側中心部近傍がドライブプレート10側、すなわち、エンジン側に向かって突出するようにして形成される。膨出部31aは、回転軸線Xと同軸の円板形状に形成される。
フロントカバーフランジ部32は、フロントカバー本体部31の径方向外側端部から出力軸側に突出して形成されている。フロントカバーフランジ部32は、回転軸線Xと同軸の円筒形状に形成される。
そして、フロントカバー本体部31は、フロントカバーフランジ部32から膨出部31aに向かってエンジン側に段階的に突出するように段付部31b及び段付部31cが形成されている。段付部31bは、膨出部31aの径方向外側端部、すなわち、膨出部31aの外周端部に回転軸線Xと同軸の円筒状に形成される。段付部31cは、径方向に対してフロントカバーフランジ部32と段付部31bとの中間部分近傍に回転軸線Xと同軸の筒状に形成される。この段付部31cは、フロントカバーフランジ部32側から段付部31b側に向かって徐々に径が小さくなるような円筒形状(円錐台筒形状)に形成されている。
そして、上述の締結プレート29は、径方向内側端部29a側(すなわち、内周面側)にこの膨出部31aが挿入されるようにして配置され、径方向内側端部29aで溶接Sなどにより膨出部31aに固定されている。このとき、締結プレート29は、径方向内側端部29aが段付部31bと径方向に対向し接触するように配置されている。
フロントカバーボス部33は、フロントカバー本体部31の膨出部31aにドライブプレート10側、すなわち、エンジン側に向かって突出するように設けられる。このフロントカバーボス部33は、回転軸線Xと同軸の円柱状に形成される。フロントカバーボス部33は、クランクシャフト110の嵌合部110aに挿入され、この嵌合部110aに対して軸受130により回転自在に支持されている。
つまり、フロントカバー30は、フロントカバーボス部33がクランクシャフト110に対して軸受130を介して回転自在に支持されることで、回転軸線Xを中心としてクランクシャフト110に対して相対回転可能に支持される。
流体伝達機構40は、流体伝達手段であり、フロントカバー30に伝達された駆動力を作動流体(作動油)を介して出力軸60に伝達するものである。流体伝達機構40は、図1に示すように、ポンプインペラ41と、タービンライナ42と、ステータ43と、ワンウェイクラッチ44と、ポンプインペラ41とタービンライナ42との間に介在する作動流体である作動油とにより構成されている。
ポンプインペラ41は、フロントカバー30に伝達されたエンジンからの駆動力が伝達されるものであり、伝達された駆動力を作動油を介してタービンライナ42に伝達するものである。ポンプインペラ41は、複数のポンプブレード41aと、ポンプシェル41bと、インナーコア41cとを有する。各ポンプブレード41aは、翼であり、トルクコンバータ1の周方向に等間隔に設けられている。各ポンプブレード41aは、内周にインナーコア41cが取り付けられている。ポンプシェル41bは、回転軸線Xと同軸のリング形状で出力軸側に凹んでおり、凹むことで形成されたポンプシェル41bの内面に各ポンプブレード41aが取り付けられている。ポンプシェル41bは、径方向外側端部41dがフロントカバー30のフロントカバーフランジ部32の出力軸側端部に固定されることで、フロントカバー30に固定されている。つまり、ポンプインペラ41は、フロントカバー30と一体回転し、フロントカバー30に伝達されたエンジンからの駆動力がポンプシェル41bを介して各ポンプブレード41aに伝達される。また、ポンプシェル41bは、径方向内側端部41eがスリーブ61に固定されている。このスリーブ61は、回転運動により作動する装置、例えばオイルポンプ(不図示)などに連結されている。
タービンライナ42は、ポンプインペラ41から作動油を介して伝達されたエンジンからの駆動力を出力軸60に伝達するものである。ここで、出力軸60は、例えば出力軸側に配置されたトランスミッション(変速機)のインプットシャフトなどである。タービンライナ42は、タービンブレード42aと、タービンシェル42bと、インナーコア42cと、タービンハブ42dとを有する。各タービンブレード42aは、翼であり、トルクコンバータ1の周方向に等間隔に設けられている。各タービンブレード42aは、内周にインナーコア42cが取り付けられている。タービンシェル42bは、回転軸線Xと同軸のリング形状でエンジン側に湾曲しており、湾曲したタービンシェル42bの内面に各タービンブレード42aが取り付けられている。ここで、タービンライナ42は、ポンプインペラ41に対向するように配置されている。タービンハブ42dは、タービンライナ42の基部であり、径方向内側に配置されている。タービンハブ42dは、径方向外側端部42eがタービンシェル42bの径方向内側端部42fに、例えばリベット42gなどにより固定されることで、タービンシェル42bに固定されている。また、タービンハブ42dは、例えばタービンハブ42dの径方向内側端部の内周面において軸方向に形成されたスプライン42hと、出力軸60の外周面において軸方向に形成されたスプライン60aとがスプライン嵌合することにより、出力軸60に固定されている。つまり、タービンシェル42bは、タービンハブ42dを介して出力軸60と一体回転することとなり、タービンライナ42が出力軸60と一体回転することで、流体伝達機構40を構成するポンプインペラ41、作動油およびタービンライナ42を介して伝達されたエンジンからの駆動力が出力軸60に伝達される。
ステータ43は、周方向に形成された複数のステータブレード43aを有し、ポンプインペラ41とタービンライナ42との間に配置されるものである。ステータ43は、ポンプインペラ41とタービンライナ42との間を循環する作動油の流れを変化させ、エンジンから伝達される駆動力に基づいて所定のトルク特性を得るためのものである。
ワンウェイクラッチ44は、ハウジング62に対してステータ43を一方向のみに回転可能に支持するものである。このワンウェイクラッチ44は、スリーブ61およびタービンハブ42dに対して、軸受45,46によりそれぞれ回転可能に支持されている。
ロックアップクラッチ機構50は、ロックアップ手段であり、フロントカバー30に伝達された駆動力をロックアップピストン51を介して出力軸60に伝達するものである。すなわち、ロックアップクラッチ機構50は、フロントカバー30に伝達されたエンジンからの駆動力を流体伝達機構40の作動流体を介さずに直接出力軸60に伝達するものである。
ロックアップクラッチ機構50は、係合部材としてのロックアップピストン51と、摩擦係合面52と、作動流体流路53と、ピストン油圧室54とを有する。本実施形態では、ロックアップクラッチ機構50の摩擦係合面52は、ロックアップピストン51に設けられる摩擦材55とフロントカバー30のフロントカバー内壁面31dとにより構成される。
ロックアップクラッチ機構50は、軸方向に対してエンジン側から出力軸側に向かって、摩擦係合面52の一方の面をなすフロントカバー30のフロントカバー内壁面31d、摩擦係合面52の他方の面をなす摩擦材55、ロックアップピストン51の順番で配置されている。
ロックアップピストン51は、フロントカバー30の流体伝達機構40側に設けられる。つまり、ロックアップピストン51は、フロントカバー30と流体伝達機構40のポンプシェル41bとによって区画され作動流体(作動油)で満たされる空間部に設けられる。さらに、このロックアップピストン51は、フロントカバー30の流体伝達機構40側にこのフロントカバー30に対して軸方向に相対移動可能に設けられる。
ロックアップピストン51は、回転軸線Xと同軸の円環板状に形成され、軸方向に対してフロントカバー30とタービンライナ42との間に配置されている。さらに具体的に言えば、ロックアップピストン51は、軸方向に対してフロントカバー30のフロントカバー本体部31とタービンライナ42のタービンシェル42b、タービンハブ42dとの間に配置されている。ロックアップピストン51は、径方向外側突出部51aと、径方向内側突出部51bと、径方向中央段付部51cと、スプライン51dとを有する。
径方向外側突出部51aは、ロックアップピストン51の径方向外側端部がタービンライナ42側に折れ曲がるようにして形成される。つまり、径方向外側突出部51aは、タービンライナ42側に突出して回転軸線Xと同軸の円筒状に形成される部分である。
径方向内側突出部51bは、ロックアップピストン51の径方向内側端部がフロントカバー30側に折れ曲がるようにして形成される。つまり、径方向内側突出部51bは、フロントカバー30側に突出して回転軸線Xと同軸の円筒状に形成される部分である。
径方向中央段付部51cは、ロックアップピストン51の径方向において、径方向外側突出部51aと径方向内側突出部51bとの中間部近傍に設けられる。このロックアップピストン51は、径方向中央段付部51cを境界として径方向内側の部分が径方向外側の部分よりエンジン側に突出するようにこの径方向中央段付部51cが形成されている。つまり、このロックアップピストン51は、径方向中央段付部51cを境界として径方向内側突出部51b側の部分が径方向外側突出部51a側の部分よりフロントカバー30側に突出するようにこの径方向中央段付部51cが形成されている。したがって、ロックアップピストン51は、径方向外側突出部51aから径方向内側突出部51bに向かってエンジン側に段階的に突出するように径方向中央段付部51cが形成される。この径方向中央段付部51cは、回転軸線Xと同軸の円筒状に形成される。
スプライン51dは、径方向中央段付部51cの内周面において軸方向に沿って形成される。ロックアップピストン51は、このスプライン51dと、タービンハブ42dの径方向外側端部42eの外周面において軸方向に形成されたスプライン42iとがスプライン嵌合することで、タービンハブ42dに対して軸方向に相対移動可能で、かつ、このタービンハブ42dと一体回転可能に支持される。つまり、ロックアップピストン51は、スプライン51dとスプライン42iとにより、タービンハブ42dに一体回転可能かつ軸方向に相対移動可能に連結される。したがって、ロックアップピストン51は、このロックアップピストン51に伝達された駆動力をタービンハブ42dに伝達可能に連結されると共に、フロントカバー30に対しても軸方向に相対移動可能な構成となり、すなわち、フロントカバー30に対して軸方向に接近、離間可能な構成となる。
なお、ロックアップピストン51は、スプライン51d、スプライン42iを介してタービンハブ42dに一体回転可能かつ軸方向に相対移動可能に連結された状態で、径方向外側突出部51aがフロントカバーフランジ部32と径方向に所定の間隔を有して対向する。また、ロックアップピストン51は、スプライン51d、スプライン42iを介してタービンハブ42dに一体回転可能かつ軸方向に相対移動可能に連結された状態で、径方向内側突出部51bがタービンハブ42dの径方向内側端部の外周面(スプライン42hが形成されている面とは反対側の面)と対向し接触し軸方向に摺動自在に支持されている。さらに、ロックアップピストン51は、スプライン51d、スプライン42iを介してタービンハブ42dに一体回転可能かつ軸方向に相対移動可能に連結された状態で、径方向中央段付部51cがフロントカバー本体部31の段付部31cと径方向に所定の間隔を有して対向する。
摩擦係合面52は、上述のようにロックアップピストン51に設けられる摩擦材55とフロントカバー30のフロントカバー内壁面31dとにより構成される。フロントカバー内壁面31dは、フロントカバー30のフロントカバー本体部31においてロックアップピストン51と軸方向に対向する壁面である。摩擦材55は、ロックアップピストン51においてフロントカバー本体部31と軸方向に対向する壁面の径方向外側端部、すなわち、径方向外側突出部51a近傍に設けられる。つまり、この摩擦材55は、ロックアップピストン51においてフロントカバー本体部31と軸方向に対向する壁面で最も流体伝達機構40側(出力軸側)となる位置に設けられている。摩擦係合面52は、この摩擦係合面52をなすフロントカバー本体部31とロックアップピストン51に設けられた摩擦材55とが対向して接触することで摩擦係合可能であり、すなわち、ロックアップピストン51の径方向外側端部とフロントカバー30とを摩擦係合可能である。
そして、ロックアップピストン51は、上述のようにタービンハブ42dに対して軸方向に相対的に移動してフロントカバー30のフロントカバー本体部31に対して接近、離間することで、摩擦材55のフロントカバー本体部31に対する相対距離を変化させることができる。そして、このロックアップピストン51の軸方向の摺動により、摩擦材55をフロントカバー本体部31に接触させ摩擦係合することができ、またフロントカバー本体部31と非接触とし、摩擦係合を解除することができる。
なお、ロックアップピストン51の径方向内側突出部51bとタービンハブ42dの径方向内側端部の外周面との間には、タービンハブ42dの径方向内側端部の外周面とこの外周面上を摺動する径方向内側突出部51bとの間からの作動流体(作動油)の漏れを抑制するシール部材Pが配置されている。したがって、フロントカバー30と流体伝達機構40のポンプシェル41bとによって区画されるトルクコンバータ1の内部は、ロックアップピストン51により、流体伝達機構40が位置する流体伝達機構空間部Aと、ロックアップクラッチ機構50の摩擦材55が位置するクラッチ空間部Bとに区画される。流体伝達機構空間部Aは、軸方向に対してロックアップピストン51より出力軸側の空間、すなわち、軸方向に対してロックアップピストン51とポンプシェル41bとによって区画される空間、クラッチ空間部Bは、軸方向に対してフロントカバー30とロックアップピストン51とによって区画される空間である。この流体伝達機構空間部Aとクラッチ空間部Bとは、摩擦係合面52側で径方向外側突出部51aとフロントカバーフランジ部32との間の連通部分を介して連通可能となっている。
作動流体流路53は、軸方向に対してロックアップピストン51とフロントカバー30との間に作動流体(作動油)が通過可能な空間部として形成される。ここでは、トルクコンバータ1の内部にて摩擦材55が位置するクラッチ空間部Bが作動流体流路53として機能する。摩擦係合面52は、この作動流体流路53として機能するクラッチ空間部B内の径方向外側の部分に設けられている。そして、この作動流体流路53は、上述のように摩擦係合面52側で径方向外側突出部51aとフロントカバーフランジ部32との間の連通部分を介して流体伝達機構40の内部の流体伝達機構空間部Aと連通可能に形成される。
ここで、上述したように、フロントカバー30は、フロントカバー本体部31がフロントカバーフランジ部32から膨出部31aに向かってエンジン側に段階的に突出するように段付部31b及び段付部31cが形成されている。一方、ロックアップピストン51は、径方向外側突出部51aから径方向内側突出部51bに向かってエンジン側に段階的に突出するように径方向中央段付部51cが形成されている。そして、ロックアップピストン51は、径方向中央段付部51cがフロントカバー本体部31の段付部31cと径方向に所定の間隔を有して対向している。このため、このフロントカバー30のフロントカバー本体部31とロックアップピストン51とにより区画される作動流体流路53(クラッチ空間部B)は、径方向外側から径方向内側に向かってエンジン側に段階的に突出するように形成される。
したがって、この作動流体流路53(クラッチ空間部B)は、流体伝達機構40の内部(流体伝達機構空間部A)側から作動流体が流れる際に、摩擦係合面52より下流側の作動流体の軸方向に沿った流れが流体伝達機構40側から離間する側、すなわち、エンジン側に向う一方向の流れとなるように形成される。逆に言えば、この作動流体流路53は、流体伝達機構40の内部側に向かって作動流体が流れる際には、摩擦係合面52より上流側の作動流体の軸方向に沿った流れが流体伝達機構40側に接近する側、すなわち、出力軸側に向う一方向の流れとなるように形成される。つまり、この作動流体流路53は、例えば、軸方向に対してUターンするように折れ曲る部分がないような形状に形成される。
また、この作動流体流路53(クラッチ空間部B)は、流体伝達機構40の内部(流体伝達機構空間部A)側から作動流体が流れる際の摩擦係合面52より下流側の流路断面積が下流側に向かって段階的に徐々に大きくなるように形成されている。逆に言えば、この作動流体流路53は、流体伝達機構40の内部(流体伝達機構空間部A)側に向かって作動流体が流れる際の摩擦係合面52より上流側の流路断面積が上流側に向かって段階的に徐々に大きくなるように形成されている。
ピストン油圧室54は、ロックアップピストン51を軸方向に移動させるための油圧押圧力を発生させるためのものである。ここでは、トルクコンバータ1の内部にて流体伝達機構40が位置する流体伝達機構空間部Aがピストン油圧室54として機能する。このピストン油圧室54として機能する流体伝達機構空間部Aは、上述したように、ロックアップピストン51とポンプシェル41bとの間に形成されている。
上記のように構成されるロックアップクラッチ機構50は、ピストン油圧室54として機能する流体伝達機構空間部Aに供給される作動流体(作動油)の液圧(油圧)により、ロックアップピストン51が軸方向に沿ってフロントカバー30側に接近移動し、ロックアップクラッチ機構50の摩擦係合面52を構成する摩擦材55とフロントカバー本体部31のフロントカバー内壁面31dとが接触し摩擦係合することで、ロックアップクラッチ機構50がONとなる。ロックアップクラッチ機構50がONとなると、フロントカバー30とロックアップピストン51とが一体回転することとなるので、このロックアップクラッチ機構50は、フロントカバー30に伝達されたエンジンからの駆動力をフロントカバー内壁面31d、摩擦材55、ロックアップピストン51を介して直接タービンハブ42dに伝達し、出力軸60に伝達することとなる。
ここで、このトルクコンバータ1は、ロックアップピストン51とポンプシェル41bとの間に形成されピストン油圧室54として機能する流体伝達機構空間部A又はフロントカバー30とロックアップピストン51との間に形成され作動流体流路53として機能するクラッチ空間部Bの一方に図示しない油圧制御手段から作動流体としての作動油が供給される。
油圧制御手段は、ピストン油圧室54として機能する流体伝達機構空間部Aの油圧と、作動流体流路53として機能するクラッチ空間部Bの油圧との圧力差、すなわち、ロックアップクラッチ機構50のロックアップピストン51の出力軸側の面に軸方向に作用する押圧力を制御することができる。油圧制御手段は、ロックアップクラッチ機構50のON制御時に、例えば、ピストン油圧室54として機能する流体伝達機構空間部Aに作動油を供給し、流体伝達機構40の内部側であるこの流体伝達機構空間部A側からクラッチ空間部Bに作動油を流し、作動流体流路53として機能するクラッチ空間部Bからトルクコンバータ1の外部に排出することで、作動流体流路53として機能するクラッチ空間部Bの油圧を低下させ、ピストン油圧室54として機能する流体伝達機構空間部Aの油圧をクラッチ空間部Bの油圧よりも大きくする。これにより、ロックアップピストン51をフロントカバー30に接近する側(エンジン側)に移動させ、摩擦材55をフロントカバー内壁面31dと接触させ、この摩擦係合面52を介してフロントカバー30とロックアップピストン51とを摩擦係合させて、フロントカバー30とロックアップピストン51とを一体回転させる。
また、油圧制御手段は、ロックアップクラッチ機構50のOFF制御時に、例えば、作動流体流路53として機能するクラッチ空間部Bに作動油を供給し、クラッチ空間部B側から流体伝達機構空間部Aに作動油を流し、ピストン油圧室54として機能する流体伝達機構空間部Aからトルクコンバータ1の外部に作動油を排出することで、作動流体流路53として機能するクラッチ空間部Bの油圧をピストン油圧室54として機能する流体伝達機構空間部Aの油圧よりも大きく、あるいは同等とする。これにより、ロックアップピストン51をフロントカバー30から離間する側(出力軸側)に移動させ、フロントカバー内壁面31dと摩擦係合していた摩擦材55をフロントカバー内壁面31dから離間させ、摩擦係合を解除し、ロックアップピストン51とフロントカバー30との一体回転を解除する。
次に、本実施形態に係るトルクコンバータ1の動作について説明する。エンジンが駆動力を発生し、クランクシャフト110が回転すると、エンジンからの駆動力がドライブプレート10を介してダンパー機構20に伝達され、ダンパー機構20に伝達されたエンジンからの駆動力は、フロントカバー30に伝達される。
ダンパー機構20を介してフロントカバー30に伝達されたエンジンからの駆動力は、フロントカバー30に連結されているポンプインペラ41のポンプシェル41bに伝達され、ポンプインペラ41が回転する。流体伝達機構空間部Aの作動油は、ポンプインペラ41が回転すると、ポンプブレード41aとタービンブレード42aとステータ43のステータブレード43aの間を循環し、流体継手として作用する。これにより、フロントカバー30に伝達されたエンジンからの駆動力が、ポンプインペラ41及び作動油を介してタービンライナ42に伝達され、タービンライナ42がフロントカバー30と同一方向に回転する。このとき、ステータ43は、ステータブレード43aを介してポンプブレード41aとタービンブレード42aとの間を循環する作動油の流れを変化させ、これにより、このトルクコンバータ1は、所定のトルク特性を得ることができる。
そして、ロックアップクラッチ機構50のOFF時は、フロントカバー30とロックアップピストン51に設けられた摩擦材55との摩擦係合が解除されている。したがって、上記のように作動油を介してタービンライナ42に伝達されたエンジンからの駆動力は、タービンハブ42dを介して出力軸60が伝達される。つまり、ロックアップクラッチ機構50のOFF時は、フロントカバー30に伝達されたエンジンからの駆動力が流体伝達機構40を介して出力軸60に伝達される。
一方、ロックアップクラッチ機構50のON時は、フロントカバー30とロックアップピストン51に設けられた摩擦材55とが摩擦係合することで、フロントカバー30とロックアップピストン51とが一体回転する。したがって、ダンパー機構20を介してフロントカバー30に伝達された駆動力は、摩擦係合面52を介してロックアップピストン51に伝達される。ロックアップピストン51に伝達されたエンジンからの駆動力は、タービンハブ42dを介して出力軸60に伝達される。つまり、ロックアップクラッチ機構50のON時は、フロントカバー30に伝達されたエンジンからの駆動力は、ロックアップクラッチ機構50を介して出力軸60に伝達される。
そして、ロックアップクラッチ機構50のON・OFFにかかわらず、ドライブプレート10に伝達された駆動力をダンパー機構20を介してフロントカバー30に伝達する際には、このドライブプレート10に伝達された駆動力は、ドライブプレート10の径方向外側部からダンパー機構20の外側ダンパー22と内側ダンパー23を順番に介してフロントカバー30の径方向内側部に伝達される。
すなわち、ドライブプレート10に伝達されたエンジンからの駆動力は、第1連結部71にてドライブプレート10の径方向外側部であるドライブプレートフランジ部12から外側ダンパー22の外側連結突起部25a、外側連結突起部26aに伝達され外側リヤ保持プレート25、外側フロント保持プレート26に伝達される。外側リヤ保持プレート25、外側フロント保持プレート26に伝達された駆動力は、各外側リヤ保持部25b、外側フロント保持部26bを介して各外側ダンパースプリング21aに伝達される。各外側ダンパースプリング21aに伝達された駆動力は、各外側中心保持部24aを介して中心保持プレート24に伝達される。外側ダンパー22の外側ダンパースプリング21aを介して中心保持プレート24に伝達された駆動力は、内側中心保持部24bを介して内側ダンパー23の各内側ダンパースプリング21bに伝達される。各内側ダンパースプリング21bに伝達された駆動力は、各内側リヤ保持部27b、内側フロント保持部28bを介して内側リヤ保持プレート27、内側フロント保持プレート28に伝達される。内側リヤ保持プレート27、内側フロント保持プレート28に伝達された駆動力は、第2連結部72にて内側連結突起部27a、内側連結突起部28aから締結プレート29に伝達されフロントカバー30の径方向内側部に伝達される。
そして、ロックアップクラッチ機構50がOFF時からON時、あるいはON時からOFF時に切り替わる場合や、エンジンからの駆動力が変動した場合、出力軸60に伝達される路面からの抵抗力が変動した場合などでは、ドライブプレート10とフロントカバー30との間で伝達される力(エンジンからの駆動力と路面から伝達される被駆動力)が変動し、ダンパー機構20を挟んで駆動側に位置するドライブプレート10と被駆動側に位置するフロントカバー30とが相対的に回転しようとする。このとき、ダンパー機構20の各外側ダンパースプリング21a、内側ダンパースプリング21bは、駆動側のドライブプレート10と被駆動側のフロントカバー30との相対的に回転に伴って、ドライブプレート10とフロントカバー30との間で伝達される力の変動に応じて、それぞれ外側リヤ保持プレート25、外側フロント保持プレート26と中心保持プレート24との間、中心保持プレート24と内側リヤ保持プレート27、内側フロント保持プレート28との間で弾性変形する。これにより、例えば、エンジンの爆発に起因する振動を各外側ダンパースプリング21a、内側ダンパースプリング21bが吸収するので、ダンパー機構20を介した駆動力伝達時におけるこもり音などの振動を低減することができる。
本実施形態のトルクコンバータ1は、ドライブプレート10の径方向外側部からフロントカバー30の径方向内側部に駆動力を伝達する際、ドライブプレート10に伝達された駆動力は、駆動力の伝達経路に対して直列に外側ダンパー22の外側ダンパースプリング21aと内側ダンパー23の内側ダンパースプリング21bとを順番に介してフロントカバー30に伝達されることから、ダンパー機構20の各外側ダンパースプリング21a、内側ダンパースプリング21bで蓄積可能なエネルギーを多くすることができ、ダンパー機構20におけるこもり音の防止などの振動減衰特性、すなわち、ダンパー性能をさらに向上することができる。つまり、振動の低減性能をさらに向上することができることから、こもり音などの発生をさらに抑制することができ、ロックアップクラッチ機構50をONにすることができる回転数領域を拡大することができ、比較的に低回転数の領域でロックアップクラッチ機構50をONにすることができるので燃費をさらに向上できる。
そして、本実施形態のトルクコンバータ1は、ダンパー機構20を構成する外側ダンパー22の外側連結突起部25a、外側連結突起部26aが第1連結部71にてドライブプレート10のドライブプレートフランジ部12に一体回転可能かつ軸方向に移動可能に連結される一方、ダンパー機構20を構成する内側ダンパー23の内側連結突起部27a、内側連結突起部28aが第2連結部72にて高剛性部としての締結プレート29を介してフロントカバー30の径方向内側部に一体回転可能に固定して連結される。これにより、ダンパー機構20が軸方向の荷重を受けた際に変形(変位)が大きくなる傾向にある径方向内側の内側連結突起部27a、内側連結突起部28aとフロントカバー30の径方向内側部との連結部分である第2連結部72にて、締結プレート29により十分な剛性を確保することができ、よって、内側連結突起部27a、内側連結突起部28aが変形することを抑制することができる。そして、ダンパー機構20の径方向外側の外側連結突起部25a、外側連結突起部26aとドライブプレート10のドライブプレートフランジ部12との連結部分である第1連結部71にて、ダンパー機構20が軸方向に沿って移動可能になっていることから、このダンパー機構20全体での変形が軸方向に沿った平行移動に近い形の変形となる。
したがって、例えば、流体伝達機構空間部Aの油圧により流体伝達機構40側が膨張するなどしてダンパー機構20に軸方向の荷重が作用した際には、このダンパー機構20全体での変形が軸方向に沿った平行移動に近い形の変形となることから、ダンパー性能を悪化させるような変形、例えば、ダンパー機構20全体が折れ曲がって捩れるような変形を低減することができ、変形に起因したダンパー機構20におけるフリクションを低減することができるので、その分、ダンパー機構20におけるこもり音の防止などのダンパー性能をさらに向上することができる。つまり、例えば、軸方向に対する長さを長くすることなく振動の低減性能をさらに向上することができることから、こもり音などの発生をさらに抑制することができ、ロックアップクラッチ機構50をONにすることができる回転数領域を拡大することができ、比較的に低回転数の領域でロックアップクラッチ機構50をONにすることができるので燃費をさらに向上できる。この結果、装置の大型化を抑制しつつさらなる振動低減性能の向上を図ることができる。
特に、上記のようにダンパー機構20において径方向外側に外側ダンパー22を配置し径方向内側に内側ダンパー23を配置して、ドライブプレート10に伝達された駆動力を径方向に沿って外側連結突起部25a、外側連結突起部26aから外側ダンパースプリング21aと内側ダンパースプリング21bとを順番に介して内側連結突起部27a、内側連結突起部28aに直列的に伝達するような構成である場合、外側ダンパー22と内側ダンパー23との中間部分で折れ曲がって捩れるような変形が生じ易い傾向にある。しかしながら、本実施形態のトルクコンバータ1は、上述のようにこのダンパー機構20全体での変形が軸方向に沿った平行移動に近い形の変形となることから、確実に適正なダンパー性能を確保することができ、信頼性を向上することができる。
ところで、このようなトルクコンバータ1では、いわゆるスリップ制御を実行することで、さらなる振動低減を図る場合がある。このトルクコンバータ1におけるスリップ制御は、油圧制御手段がピストン油圧室54として機能する流体伝達機構空間部Aと作動流体流路53として機能するクラッチ空間部Bの油圧を所定のバランスで維持するように作動油の供給を制御することで実行される。すなわち、油圧制御手段は、スリップ制御では、例えば、ピストン油圧室54として機能する流体伝達機構空間部Aに作動油を供給し、流体伝達機構空間部A側からクラッチ空間部Bに作動油を流し、作動流体流路53として機能するクラッチ空間部Bからトルクコンバータ1の外部に排出すると共にこの流体伝達機構空間部Aとクラッチ空間部Bの油圧を所定のバランスで維持する。流体伝達機構空間部Aとクラッチ空間部Bの油圧が所定のバランスで維持されると、ロックアップクラッチ機構50の摩擦係合面52を構成するフロントカバー内壁面31dと摩擦材55とはスリップ状態(半係合状態)となり、このフロントカバー内壁面31dと摩擦材55との接触面において解放と係合の中間の動力伝達状態が形成される。この結果、このスリップ制御を実行しフロントカバー内壁面31dと摩擦材55とをスリップ状態とすることで、このロックアップクラッチ機構50において、例えば、ダンパー機構20ではとりきれなかった振動などをさらに低減することができる。
そして、本実施形態のトルクコンバータ1は、スリップ制御において流体伝達機構空間部A側からクラッチ空間部Bに作動油が流れる際に、摩擦係合面52より下流側の作動油の流れが軸方向に対してはエンジン側に向う一方向の流れとなるように作動流体流路53として機能するクラッチ空間部Bが形成されることから、作動流体流路53(クラッチ空間部B)において摩擦係合面52より下流側の作動油の流れが軸方向に対してUターンするように折れ曲るような部分や作動油の流れが滞るような部分など、作動油の流れが不安定となるような部分が形成されることを防止することができ、よって、作動油の流れを安定化することができる。この結果、例えば、キャビテーションにより作動油中に気泡や渦が発生することを抑制することができ、摩擦係合面52における油膜状態が均一となる。また、摩擦係合面52の上流側と下流側とで圧力差が安定し、摩擦係合面52における摩擦係数を安定化することができる。したがって、スリップ制御の制御性を向上することができ、スリップ制御を精度よく実行することができることから、さらに振動を低減することができ、こもり音などの発生をさらに抑制することができ、燃費をさらに向上できる。
なお、本実施形態のトルクコンバータ1は、スリップ制御において流体伝達機構空間部A側からクラッチ空間部Bに作動油が流れる際に、摩擦係合面52より下流側の流路断面積が下流側に向かって段階的に徐々に大きくなるように作動流体流路53として機能するクラッチ空間部が形成されることから、摩擦係合面52より下流側の流路容積が急激に膨張することで作動油の流れが不安定となるような部分が形成されることも防止することができ、したがって、スリップ制御の制御性をさらに向上することができ、スリップ制御をさらに精度よく実行することができる。
以上で説明した本発明の実施形態に係るトルクコンバータ1によれば、エンジンから駆動力が伝達されるドライブプレート10と流体伝達機構40にこの駆動力を伝達するフロントカバー30との間に設けられる複数のダンパースプリング21と、ドライブプレート10の径方向外側部と一体回転可能に連結される外側連結突起部25a、外側連結突起部26aと、フロントカバー30の径方向内側部と一体回転可能に連結される内側連結突起部27a、内側連結突起部28aとを有し、ドライブプレート10に伝達された駆動力を外側連結突起部25a、外側連結突起部26aから複数のダンパースプリング21を介して内側連結突起部27a、内側連結突起部28aに伝達しフロントカバー30に伝達するダンパー機構20を備え、ダンパー機構20は、内側連結突起部27a、内側連結突起部28aが締結プレート29を介して固定して連結され外側連結突起部25a、外側連結突起部26aが回転軸線Xに沿った軸方向に移動可能に連結される。
したがって、ダンパー機構20の径方向内側の内側連結突起部27a、内側連結突起部28aとフロントカバー30の径方向内側部との第2連結部72にて締結プレート29により十分な剛性が確保される一方、径方向外側の外側連結突起部25a、外側連結突起部26aとドライブプレート10のドライブプレートフランジ部12との第1連結部71にてダンパー機構20が軸方向に沿って移動可能であることから、このダンパー機構20全体での変形が軸方向に沿った平行移動に近い形の変形となるので、ダンパー性能を悪化させる変形を低減することができ、大型化を抑制しつつ振動低減性能を向上することができる。この結果、こもり音などの振動の発生をさらに抑制することができ、ロックアップクラッチ機構50をONにすることができる回転数領域を拡大することができ、比較的に低回転数の領域でロックアップクラッチ機構50をONにすることができことから燃費を向上できる。つまり、プレダンパー型のトルクコンバータ1においてコンパクト化とダンパー性能の高性能化及び燃費向上との両立を図ることができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施形態に係るトルクコンバータ1によれば、エンジンから駆動力が伝達されるドライブプレート10と、複数の外側ダンパースプリング21aを含んで構成され径方向外側の外側連結突起部25a、外側連結突起部26aがドライブプレート10の径方向外側部と連結される外側ダンパー22と、複数の外側ダンパースプリング21aの径方向内側に設けられる複数の内側ダンパースプリング21bを含んで構成される内側ダンパー23と、外側ダンパースプリング21aと内側ダンパースプリング21bとを連結する中心保持プレート24とを有するダンパー機構20と、径方向内側部が内側ダンパー23の径方向内側の内側連結突起部27a、内側連結突起部28aと連結され流体伝達機構40に駆動力を伝達するフロントカバー30と、ドライブプレート10の径方向外側部と外側ダンパー22の外側連結突起部25a、外側連結突起部26aとが一体回転可能かつ回転軸線Xに沿った軸方向に相対移動可能に連結される第1連結部71と、フロントカバー30の径方向内側部と内側ダンパー23の内側連結突起部27a、内側連結突起部28aとが締結プレート29を介して一体回転可能に固定されて連結される第2連結部72とを備える。
言い換えれば、以上で説明した本発明の実施形態に係るトルクコンバータ1によれば、径方向外側に設けられる外側ダンパー22の外側連結突起部25a、外側連結突起部26aに伝達された駆動力をこの外側ダンパー22の複数の外側ダンパースプリング21aに伝達し、複数の外側ダンパースプリング21aに伝達された駆動力を中心保持プレート24を介して外側ダンパースプリング21aの径方向内側に設けられる内側ダンパー23の複数の内側ダンパースプリング21bに伝達し、複数の内側ダンパースプリング21bに伝達された駆動力をこの内側ダンパー23の内側連結突起部27a、内側連結突起部28aに伝達するダンパー機構20と、エンジンから駆動力が伝達されるドライブプレート10の径方向外側部と外側ダンパー22の外側連結突起部25a、外側連結突起部26aとが駆動力を伝達可能にかつ回転軸線Xに沿った軸方向に相対移動可能に連結される第1連結部71と、流体伝達機構40に駆動力を伝達するフロントカバー30の径方向内側部と内側ダンパー23の内側連結突起部27a、内側連結突起部28aとが締結プレート29を介して駆動力を伝達可能に固定されて連結される第2連結部72とを備える。
したがって、ダンパー機構20において径方向外側に外側ダンパー22が配置され径方向内側に内側ダンパー23が配置されて、ドライブプレート10に伝達された駆動力が径方向に沿って外側連結突起部25a、外側連結突起部26aから外側ダンパースプリング21a、中心保持プレート24、内側ダンパースプリング21bを順番に介して内側連結突起部27a、内側連結突起部28aに直列的に伝達されることから、振動低減性能をさらに向上することができ、こもり音などの発生をさらに抑制することができ、燃費をさらに向上することができる。そして、このダンパー機構20が内側連結突起部27a、内側連結突起部28aとフロントカバー30の径方向内側部との第2連結部72にて締結プレート29により十分な剛性が確保される一方、径方向外側の外側連結突起部25a、外側連結突起部26aとドライブプレート10のドライブプレートフランジ部12との第1連結部71にてダンパー機構20が軸方向に沿って移動可能であることから、このダンパー機構20全体での変形が軸方向に沿った平行移動に近い形の変形となるので、ダンパー性能を悪化させる変形を低減することができる。この結果、ダンパー機構20において駆動力を径方向に沿って外側連結突起部25a、外側連結突起部26aから外側ダンパースプリング21aと内側ダンパースプリング21bとを順番に介して内側連結突起部27a、内側連結突起部28aに直列的に伝達することでさらに装置のコンパクト化及び振動低減性能の向上を図った上で、変形に起因したダンパー機構20におけるフリクションを低減することができ、ダンパー機構20におけるこもり音の防止などのダンパー性能をさらに向上することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施形態に係るトルクコンバータ1によれば、ダンパー機構20は、外側ダンパースプリング21a及び内側ダンパースプリング21bを駆動力伝達可能に保持する中心保持プレート24と、中心保持プレート24の軸方向に対する側方で外側ダンパースプリング21aを駆動力伝達可能に保持すると共に径方向外側端部に外側連結突起部25a、外側連結突起部26aが設けられる外側リヤ保持プレート25、外側フロント保持プレート26と、中心保持プレート24の軸方向に対する側方で内側ダンパースプリング21bを駆動力伝達可能に保持すると共に径方向内側端部に内側連結突起部27a、内側連結突起部28aが設けられる内側リヤ保持プレート27、内側フロント保持プレート28とを有する。
したがって、ダンパー機構20は、外側リヤ保持プレート25、外側フロント保持プレート26の外側連結突起部25a、外側連結突起部26aに伝達された駆動力を径方向に沿って外側ダンパースプリング21a、中心保持プレート24、内側ダンパースプリング21bを介して内側リヤ保持プレート27、内側フロント保持プレート28の内側連結突起部27a、内側連結突起部28aに直列的に伝達することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施形態に係るトルクコンバータ1によれば、エンジンから駆動力が伝達されるドライブプレート10と、ドライブプレート10に伝達された駆動力を複数のダンパースプリング21を介してフロントカバー30に伝達するダンパー機構20と、フロントカバー30に伝達された駆動力を作動流体(作動油)を介して出力軸60に伝達可能な流体伝達機構40と、フロントカバー30の流体伝達機構40側にこのフロントカバー30に対して軸方向に相対移動可能に設けられるロックアップピストン51と、ロックアップピストン51の径方向外側端部とフロントカバー30とが摩擦係合可能な摩擦係合面52と、軸方向に対するロックアップピストン51とフロントカバー30との間に摩擦係合面52側で流体伝達機構40の内部(流体伝達機構空間部A)と連通可能に形成され作動油が通過可能な作動流体流路53(クラッチ空間部B)とを有し、流体伝達機構40の内部側から作動流体流路53に作動油が流れることでロックアップピストン51がフロントカバー30に接近し摩擦係合面52を介してフロントカバー30と摩擦係合し、フロントカバー30に伝達された駆動力をロックアップピストン51を介して出力軸60に伝達可能なロックアップクラッチ機構50とを備え、作動流体流路53(クラッチ空間部B)は、流体伝達機構40の内部側から作動油が流れる際に、摩擦係合面52より下流側の作動油の軸方向に沿った流れが流体伝達機構40側から離間する側(エンジン側)に向う一方向の流れとなるように形成される。
したがって、スリップ制御において流体伝達機構空間部A側からクラッチ空間部Bに作動油が流れる際に、摩擦係合面52より下流側の作動油の流れが軸方向に対してはエンジン側に向う一方向の流れとなるように作動流体流路53として機能するクラッチ空間部Bが形成されることから、作動流体流路53(クラッチ空間部B)において摩擦係合面52より下流側の作動油の流れを安定化することができ、スリップ制御の制御性を向上することができ、スリップ制御を精度よく実行することができるので、大型化を抑制しつつさらに振動を低減することができ、こもり音などの発生をさらに抑制することができ、燃費をさらに向上できる。そして、高精度なスリップ制御ができることから、振動を低減するためのスリップ量(回転数)を抑制することができ、これによっても燃費を向上できる。また、こもり音や振動を低減するために要するスリップ量(回転数)を抑制することができることから、摩擦係合面52の寿命も向上することができる。
(実施形態2)
図4は、本発明の実施形態2に係るトルクコンバータの要部断面図である。実施形態2に係る駆動力伝達装置は、実施形態1に係る駆動力伝達装置と略同様の構成であるが伝達部材の構成が実施形態1に係る駆動力伝達装置とは異なる。その他、上述した実施形態と共通する構成、作用、効果については、重複した説明はできるだけ省略するとともに、同一の符号を付す。
実施形態2に係る駆動力伝達装置としてのトルクコンバータ201は、図4に示すように、ダンパー手段としてのダンパー機構220を備える。
ダンパー機構220は、複数の弾性体としての複数のダンパースプリング21と、外側連結部としての外側連結突起部225aと、内側連結部としての内側連結突起部27a及び内側連結突起部28aとを有する。ダンパー機構220は、ドライブプレート10に伝達された駆動力を外側連結突起部225aから複数のダンパースプリング21を介して内側連結突起部27a、内側連結突起部28aに伝達しフロントカバー30に伝達する。
さらに具体的には、ダンパー機構220は、外側ダンパー222と、内側ダンパー23と、伝達部材としての外側リヤ内側中心保持プレート224とを有する。外側ダンパー222と内側ダンパー23とは、外側ダンパー222が径方向外側に配置され外側連結突起部225aが設けられる一方、内側ダンパー23が径方向内側に配置され内側連結突起部27a及び内側連結突起部28aが設けられる。外側ダンパー222と内側ダンパー23とは、外側リヤ内側中心保持プレート224により連結されている。また、外側連結突起部225aは、外側ダンパー222の径方向外側端部に設けられる一方、内側連結突起部27a、内側連結突起部28aは、内側ダンパー23の径方向内側端部に設けられる。つまり、ダンパー機構220は、径方向外側端部に外側連結突起部225aが設けられ、径方向内側端部に内側連結突起部27a、内側連結突起部28aが設けられる。
そして、ダンパー機構220は、外側連結突起部225aが第1連結部271にてドライブプレート10の径方向外側部に一体回転可能かつ軸方向に移動可能に連結され、内側連結突起部27a、内側連結突起部28aが第2連結部72にて高剛性部としての締結プレート29を介してフロントカバー30の径方向内側部に一体回転可能に固定して連結される。
複数のダンパースプリング21は、外側ダンパー222の一部をなす複数の外側弾性体としての外側ダンパースプリング21aと、内側ダンパー23の一部をなす複数の内側弾性体としての内側ダンパースプリング21bとを含んでいる。
外側ダンパースプリング21aと内側ダンパースプリング21bとは、ともに外側リヤ内側中心保持プレート224により保持され、言い換えれば、外側リヤ内側中心保持プレート224を介して連結されている。ここでは、ダンパー機構220は、ドライブプレート10に伝達された駆動力を外側ダンパー222の外側連結突起部225aから複数の外側ダンパースプリング21aに伝達し、複数の外側ダンパースプリング21aに伝達された駆動力をこの外側リヤ内側中心保持プレート224を介して複数の内側ダンパースプリング21bに伝達し、複数の内側ダンパースプリング21bに伝達された駆動力を内側ダンパー23の内側連結突起部27a、内側連結突起部28aに伝達してフロントカバー30に伝達する。
外側ダンパー222は、外側中心保持部材としての外側中心保持プレート225と、外側フロント保持プレート226と、上述の複数の外側ダンパースプリング21aとを有する。
内側ダンパー23は、内側側方保持部材としての内側リヤ保持プレート27と、内側側方保持部材としての内側フロント保持プレート28と、上述の複数の内側ダンパースプリング21bとを有する。
外側中心保持プレート225は、回転軸線Xと同軸の円環板状に形成され、軸方向に対してドライブプレート10とフロントカバー30との間に配置される。外側中心保持プレート225は、ドライブプレート10とフロントカバー30との間の空間部における径方向外側の部分に配置されている。外側中心保持プレート225は、上述の外側連結突起部225aと、外側中心保持部225bを有する。外側中心保持部225bは、外側中心保持プレート225に円弧状に形成されたスリットである。外側中心保持部225bは、内部に外側ダンパースプリング21aが挿入されこれを保持する。外側中心保持部225bは、外側中心保持プレート225に対して周方向に等間隔に複数個形成されている。
各外側中心保持部225bは、その周方向の長さが各外側ダンパースプリング21aを付勢した状態で保持できる長さに設定されている。したがって、外側中心保持部225bに外側ダンパースプリング21aが保持されると、外側中心保持部225bの周方向における両端部が外側ダンパースプリング21aの両端部にそれぞれ接触することとなる。つまり、外側ダンパースプリング21aは、各外側中心保持部225bの周方向における両端部に接触し、両端部の間に付勢された状態で保持される。外側中心保持プレート225は、この外側中心保持部225bと外側ダンパースプリング21aとの周方向端部接触部分において外側ダンパースプリング21aとの間で駆動力の伝達が可能となる。
そして、外側ダンパー22の外側フロント保持プレート226は、外側中心保持プレート225の軸方向に対する側方、ここではエンジン側で複数の外側ダンパースプリング21aの一部分を保持する。
外側フロント保持プレート226は、回転軸線Xと同軸の円環板状に形成され、軸方向に対して外側中心保持プレート225のドライブプレート10側(エンジン側)、すなわち、外側中心保持プレート225とドライブプレート10との間に配置される。外側フロント保持プレート226は、外側フロント保持部226aを有する。
外側フロント保持部226aは、外側中心保持プレート225により軸方向に対する中心部分が保持される各外側ダンパースプリング21aの一部分を収容し保持するものである。
外側フロント保持部226aは、外側フロント保持プレート226の出力軸側の壁面、すなわち、外側中心保持プレート225と対向する壁面に設けられる。外側フロント保持部226aは、外側フロント保持プレート226の外側中心保持プレート225と対向する壁面がエンジン側(外側中心保持プレート225側とは反対側)に窪むことで形成される。外側フロント保持部226aは、外側フロント保持プレート226の周方向に沿って円弧状に形成される。外側フロント保持部226aは、外側フロント保持プレート226に対して周方向に等間隔に複数個形成されている。
ここで、外側リヤ内側中心保持プレート224は、上述のように、複数の外側ダンパースプリング21a及び複数の内側ダンパースプリング21bを駆動力伝達可能に保持する。つまり、本実施形態の外側リヤ内側中心保持プレート224は、外側ダンパー222にて各外側ダンパースプリング21aを保持する部材として機能すると共に、内側ダンパー23にて各内側ダンパースプリング21bを保持する部材としても機能する。外側リヤ内側中心保持プレート224は、回転軸線Xと同軸の円環板状に形成され、外側リヤ保持部224aと、内側中心保持部224bとを有する。
外側リヤ内側中心保持プレート224は、径方向外側端部224cから径方向内側端部224dに向かってドライブプレート10側、すなわち、エンジン側に段階的に突出するように段付部224e及び段付部224fが形成されている。段付部224eは、外側リヤ内側中心保持プレート224の径方向外側端部224c近傍に回転軸線Xと同軸の円環状に形成される。段付部224fは、径方向に対して段付部224eと径方向内側端部224dとの中間部分近傍に回転軸線Xと同軸の円環状に形成される。外側リヤ内側中心保持プレート224は、径方向に対して段付部224eと段付部224fとの間に外側リヤ保持部224aが設けられ、段付部224fと径方向内側端部224dとの間に内側中心保持部224bが設けられる。つまり、外側リヤ保持部224aと内側中心保持部224bとは、外側リヤ保持部224aが径方向外側に設けられる一方、内側中心保持部224bが径方向内側に設けられる。
この外側リヤ内側中心保持プレート224は、外側ダンパー222においては、外側中心保持プレート225の軸方向に対する側方、ここでは出力軸側で、外側リヤ保持部224aによって複数の外側ダンパースプリング21aの一部分を駆動力伝達可能に保持する。また、外側リヤ内側中心保持プレート224は、内側ダンパー23においては、内側中心保持部224bによって複数の内側ダンパースプリング21bの軸方向に対する中心部分を保持する。
つまり、外側ダンパー222においては、軸方向に対してエンジン側から出力軸側に向かって、外側フロント保持プレート226、外側中心保持プレート225及び複数の外側ダンパースプリング21a、外側リヤ内側中心保持プレート224の順番で配置されている。そして、外側リヤ内側中心保持プレート224と外側フロント保持プレート226とは、軸方向に対する外側リヤ内側中心保持プレート224と外側フロント保持プレート226との間の空間部分に複数の外側ダンパースプリング21aと共に外側中心保持プレート225が配置され、この外側中心保持プレート225及び複数の外側ダンパースプリング21aを挟み込みこれらを保持する。外側リヤ内側中心保持プレート224と外側フロント保持プレート226とは、外側中心保持プレート225の軸方向両側を挟んで相対回転可能に保持する。
外側リヤ保持部224aは、外側中心保持プレート225により軸方向に対する中心部分が保持される各外側ダンパースプリング21aの一部分を収容し保持するものである。外側リヤ保持部224aは、外側リヤ内側中心保持プレート224のエンジン側の壁面(外側フロント保持プレート226側の壁面)、すなわち、外側中心保持プレート225と対向する壁面に設けられる。外側リヤ保持部224aは、外側リヤ内側中心保持プレート224の段付部224eと段付部224fとの間の部分において、この外側リヤ内側中心保持プレート224の外側中心保持プレート225と対向する壁面が出力軸側(外側中心保持プレート225側とは反対側)に窪むことで形成される。外側リヤ保持部224aは、外側リヤ内側中心保持プレート224の周方向に沿って円弧状に形成される。外側リヤ保持部224aは、外側リヤ内側中心保持プレート224に対して周方向に等間隔に複数個形成されている。
そして、各外側リヤ保持部224aと各外側フロント保持部226aとは、ともに外側中心保持プレート225の外側中心保持部225bと軸方向に対向する位置に形成される。
したがって、外側ダンパー222は、外側中心保持プレート225の外側中心保持部225bが各外側ダンパースプリング21aの中心部分(軸方向の中心部分)を保持し、外側リヤ内側中心保持プレート224の外側リヤ保持部224aが外側中心保持部225bに保持された各外側ダンパースプリング21aのうちこの外側中心保持部225bより出力軸側の部分を収容し保持する一方、外側フロント保持プレート226の外側フロント保持部226aが外側中心保持部225bよりエンジン側の部分を収容し保持する。
そして、各外側リヤ保持部224a、外側フロント保持部226aの周方向における両端部は、各外側中心保持部225bに外側ダンパースプリング21aが保持された状態で、それぞれ外側ダンパースプリング21aの両端部に周方向において対向し、接触可能となる。この結果、外側リヤ内側中心保持プレート224、外側フロント保持プレート226は、この外側リヤ保持部224a、外側フロント保持部226aと外側ダンパースプリング21aとの周方向端部接触部分において外側ダンパースプリング21aとの間で駆動力の伝達が可能となる。
つまり、各外側ダンパースプリング21aは、外側中心保持プレート225の外側中心保持部225b、外側リヤ内側中心保持プレート224の外側リヤ保持部224a及び外側フロント保持プレート226の外側フロント保持部226aにより保持され、外側中心保持プレート225と外側リヤ内側中心保持プレート224、外側フロント保持プレート226との間で相互に駆動力の伝達が可能となる。
ここで、外側ダンパー222は、外側リヤ内側中心保持プレート224の径方向外側端部224cと外側フロント保持プレート226の径方向外側端部226bとが例えばリベット73により外側中心保持プレート225を挟んで一体化されている。また、リベット73により一体化された外側リヤ内側中心保持プレート224と外側フロント保持プレート226との間には、スペーサとして機能するスリーブ73aが設けられている。また、外側中心保持プレート225は、このリベット73、スリーブ73aが貫通する部分にスライド部225cが形成されている。外側リヤ内側中心保持プレート224、外側フロント保持プレート226は、このリベット73、スリーブ73aを介して外側中心保持プレート225の軸方向両側にこの外側中心保持プレート225に対して相対回転可能に組み付けられている。
そして、外側中心保持プレート225は、径方向外側端部(すなわち、外周面側の端部)に上述の外側連結突起部225aが設けられる。外側連結突起部225aは、ドライブプレート10の連結切欠部12aと共に第1連結部271を構成する。外側連結突起部225aは、外側中心保持プレート225がドライブプレート10に挿入された状態で、ドライブプレート10の連結切欠部12aと径方向において対向するように、外側中心保持プレート225の径方向外側端部から径方向外側に突出して形成されている。外側連結突起部225aは、外側中心保持プレート225に対して周方向に等間隔に複数個形成されている。
外側中心保持プレート225は、ドライブプレート10内部に挿入された状態で、第1連結部271をなす外側連結突起部225aがそれぞれ連結切欠部12aに挿入され係合することで、ドライブプレート10に対して相対回転することが規制されると共に軸方向に沿った相対移動が許容される。つまり、外側中心保持プレート225は、外側連結突起部225aと連結切欠部12aとによって構成される第1連結部271にて、ドライブプレート10と一体回転可能かつこのドライブプレート10に対して軸方向に移動可能に連結され、駆動力を伝達可能にドライブプレート10と連結される。したがって、ドライブプレート10に伝達されたエンジンからの駆動力は、この第1連結部271にてダンパー機構220の外側ダンパー222における外側連結突起部225aに伝達される。
一方、内側ダンパー23の内側リヤ保持プレート27、内側フロント保持プレート28は、内側リヤ保持部27b、内側フロント保持部28bを介して外側リヤ内側中心保持プレート224の軸方向に対する側方、ここでは両側で複数の内側ダンパースプリング21bの一部分を駆動力伝達可能に保持する。
つまり、内側ダンパー23においては、軸方向に対してエンジン側から出力軸側に向かって、内側フロント保持プレート28、外側リヤ内側中心保持プレート224及び複数の内側ダンパースプリング21b、内側リヤ保持プレート27の順番で配置されている。そして、内側リヤ保持プレート27と内側フロント保持プレート28とは、軸方向に対する内側リヤ保持プレート27と内側フロント保持プレート28との間の空間部分に複数の内側ダンパースプリング21bと共に外側リヤ内側中心保持プレート224が配置され、この外側リヤ内側中心保持プレート224及び複数の内側ダンパースプリング21bを挟み込みこれらを保持する。内側リヤ保持プレート27と内側フロント保持プレート28とは、外側リヤ内側中心保持プレート224の軸方向両側を挟んで相対回転可能に保持する。
そして、外側リヤ内側中心保持プレート224の内側中心保持部224bは、内側ダンパースプリング21bが挿入されこの内側ダンパースプリング21bを保持するものである。内側中心保持部224bは、外側リヤ内側中心保持プレート224の段付部224fと径方向内側端部224dとの間に円弧状に形成されたスリットである。内側中心保持部224bは、外側リヤ内側中心保持プレート224に対して周方向に等間隔に複数個形成されている。
各内側中心保持部224bは、その周方向の長さが各内側ダンパースプリング21bを付勢した状態で保持できる長さに設定されている。したがって、内側中心保持部224bに内側ダンパースプリング21bが保持されると、内側中心保持部224bの周方向における両端部が内側ダンパースプリング21bの両端部にそれぞれ接触することとなる。つまり、内側ダンパースプリング21bは、各内側中心保持部224bの周方向における両端部に接触し、両端部の間に付勢された状態で保持される。外側リヤ内側中心保持プレート224は、この内側中心保持部224bと内側ダンパースプリング21bとの周方向端部接触部分において内側ダンパースプリング21bとの間で駆動力の伝達が可能となる。
そして、各内側リヤ保持部27bと各内側フロント保持部28bとは、ともに外側リヤ内側中心保持プレート224の内側中心保持部224bと軸方向に対向する位置に形成される。
したがって、内側ダンパー23は、外側リヤ内側中心保持プレート224の内側中心保持部224bが各内側ダンパースプリング21bの中心部分(軸方向の中心部分)を保持し、内側リヤ保持プレート27の内側リヤ保持部27bが内側中心保持部224bに保持された各内側ダンパースプリング21bのうちこの内側中心保持部224bより出力軸側の部分を収容し保持する一方、内側フロント保持プレート28の内側フロント保持部28bが内側中心保持部224bよりエンジン側の部分を収容し保持する。
そして、各内側リヤ保持部27b、内側フロント保持部28bの周方向における両端部は、各内側中心保持部224bに内側ダンパースプリング21bが保持された状態で、それぞれ内側ダンパースプリング21bの両端部に周方向において対向し、接触可能となる。この結果、内側リヤ保持プレート27、内側フロント保持プレート28は、この内側リヤ保持部27b、内側フロント保持部28bと内側ダンパースプリング21bとの周方向端部接触部分において内側ダンパースプリング21bとの間で駆動力の伝達が可能となる。
つまり、各内側ダンパースプリング21bは、外側リヤ内側中心保持プレート224の内側中心保持部224b、内側リヤ保持プレート27の内側リヤ保持部27b及び内側フロント保持プレート28の内側フロント保持部28bにより保持され、外側リヤ内側中心保持プレート224と内側リヤ保持プレート27、内側フロント保持プレート28との間で相互に駆動力の伝達が可能となる。
そして、内側リヤ保持プレート27は、径方向内側端部(すなわち、内周面側の端部)に内側連結突起部27aが設けられる一方、内側フロント保持プレート28は、径方向内側端部(すなわち、内周面側の端部)に内側連結突起部28aが設けられる。内側連結突起部27a、内側連結突起部28aは、高剛性部としての締結プレート29を介してフロントカバー30の径方向内側部と一体回転可能に固定され、すなわち、フロントカバー30に対して軸方向に相対移動不能に連結される。つまり、この内側連結突起部27a、内側連結突起部28aは、締結プレート29と共に第2連結部72を構成する。なお、本実施形態の締結プレート29は、径方向内側端部229a(すなわち、内周面側)が段付部31bと径方向に対向しているが接触していない。つまり、締結プレート29は、内径が実施形態1の締結プレート29(図1参照)の内径よりもやや大きく設定されている。
上記のように構成されるダンパー機構220は、ドライブプレート10に伝達されたエンジンからの駆動力を第1連結部271にてドライブプレート10の径方向外側部から外側ダンパー222の外側連結突起部225aに伝達し外側中心保持プレート225に伝達する。そして、ダンパー機構220は、外側ダンパー222の外側中心保持プレート225に伝達された駆動力を各外側中心保持部225bの周方向端部から外側ダンパー222の各外側ダンパースプリング21aの一方の周方向端部を介してこの各外側ダンパースプリング21aに伝達する。ダンパー機構220は、外側ダンパースプリング21aに伝達された駆動力を各外側ダンパースプリング21aの他方の周方向端部から各外側リヤ保持部224a、外側フロント保持部226aの周方向端部を介して外側リヤ内側中心保持プレート224、外側フロント保持プレート226に伝達する。
そして、ダンパー機構220は、外側ダンパー222の外側ダンパースプリング21aを介して外側リヤ内側中心保持プレート224、外側フロント保持プレート226に伝達された駆動力を外側リヤ内側中心保持プレート224の内側中心保持部224bの周方向端部から内側ダンパー23の各内側ダンパースプリング21bの一方の周方向端部を介してこの各内側ダンパースプリング21bに伝達する。ダンパー機構220は、内側ダンパースプリング21bに伝達された駆動力を各内側ダンパースプリング21bの他方の周方向端部から各内側リヤ保持部27b、内側フロント保持部28bの周方向端部を介して内側ダンパー23の内側リヤ保持プレート27、内側フロント保持プレート28に伝達する。そして、ダンパー機構220は、内側リヤ保持プレート27、内側フロント保持プレート28に伝達された駆動力を第2連結部72にて内側連結突起部27a、内側連結突起部28aから締結プレート29に伝達しフロントカバー30の径方向内側部に伝達する。
以上で説明した本発明の実施形態に係るトルクコンバータ201によれば、ダンパー機構220の径方向内側の内側連結突起部27a、内側連結突起部28aとフロントカバー30の径方向内側部との第2連結部72にて締結プレート29により十分な剛性が確保される一方、径方向外側の外側連結突起部225aとドライブプレート10のドライブプレートフランジ部12との第1連結部271にてダンパー機構220が軸方向に沿って移動可能であることから、このダンパー機構220全体での変形が軸方向に沿った平行移動に近い形の変形となるので、ダンパー性能を悪化させる変形を低減することができ、大型化を抑制しつつ振動低減性能を向上することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施形態に係るトルクコンバータ201によれば、ダンパー機構220において径方向外側に外側ダンパー222が配置され径方向内側に内側ダンパー23が配置されて、ドライブプレート10に伝達された駆動力が径方向に沿って外側連結突起部225aから外側ダンパースプリング21a、外側リヤ内側中心保持プレート224、内側ダンパースプリング21bを順番に介して内側連結突起部27a、内側連結突起部28aに直列的に伝達されることから、振動低減性能をさらに向上することができると共にこのダンパー機構220全体での変形が軸方向に沿った平行移動に近い形の変形となるので、ダンパー性能を悪化させる変形を低減することができる。この結果、ダンパー機構220において駆動力を径方向に沿って外側連結突起部225aから外側ダンパースプリング21aと内側ダンパースプリング21bとを順番に介して内側連結突起部27a、内側連結突起部28aに直列的に伝達することでさらに装置のコンパクト化及び振動低減性能の向上を図った上で、変形に起因したダンパー機構220におけるフリクションを低減することができ、ダンパー機構220におけるこもり音の防止などのダンパー性能をさらに向上することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施形態に係るトルクコンバータ201によれば、ダンパー機構220は、外側ダンパースプリング21aを駆動力伝達可能に保持すると共に径方向外側端部に外側連結突起部225aが設けられる外側中心保持プレート225と、外側中心保持プレート225の軸方向側方で外側ダンパースプリング21aを駆動力伝達可能に保持すると共に内側ダンパースプリング21bを駆動力伝達可能に保持する外側リヤ内側中心保持プレート224と、外側リヤ内側中心保持プレート224の軸方向側方で内側ダンパースプリング21bを駆動力伝達可能に保持すると共に径方向内側端部に内側連結突起部27a、内側連結突起部28aが設けられる内側リヤ保持プレート27、内側フロント保持プレート28とを有する。
したがって、ダンパー機構220は、外側中心保持プレート225の外側連結突起部225aに伝達された駆動力を径方向に沿って外側ダンパースプリング21a、外側リヤ内側中心保持プレート224、内側ダンパースプリング21bを介して内側リヤ保持プレート27、内側フロント保持プレート28の内側連結突起部27a、内側連結突起部28aに直列的に伝達することができる。
(実施形態3)
図5は、本発明の実施形態3に係るトルクコンバータの要部断面図である。実施形態3に係る駆動力伝達装置は、実施形態1に係る駆動力伝達装置と略同様の構成であるが外側ダンパー位置決め部を備える点で実施形態1に係る駆動力伝達装置とは異なる。その他、上述した実施形態と共通する構成、作用、効果については、重複した説明はできるだけ省略するとともに、同一の符号を付す。なお、図5では、回転軸線Xを中心軸線としてトルクコンバータの一方側のみを図示し、他方側の図示は省略している。
実施形態3に係る駆動力伝達装置としてのトルクコンバータ301は、図5に示すように、外側ダンパー位置決め部381と、内側ダンパー位置決め部382とを備える。
外側ダンパー位置決め部381は、ドライブプレート10に設けられ、ダンパー機構20の外側ダンパー22を径方向に対して位置決めするものである。外側ダンパー位置決め部381は、ドライブプレート側挿入穴311aと、外側ダンパー側挿入穴326cと、ノックピン381aとを有する。
ドライブプレート側挿入穴311aは、ドライブプレート10のドライブプレート本体部11に設けられる。ドライブプレート側挿入穴311aは、ドライブプレート本体部11の出力軸側の壁面、すなわち、外側フロント保持プレート26と対向する壁面の径方向外側端部近傍、すなわち、ドライブプレートフランジ部12の近傍に設けられる。ドライブプレート側挿入穴311aは、ドライブプレート本体部11の外側フロント保持プレート26と対向する壁面に円柱状の穴として形成される。ドライブプレート側挿入穴311aは、その中心軸線が回転軸線Xと平行になるように形成される。ドライブプレート側挿入穴311aは、ドライブプレート本体部11に対して周方向に等間隔に複数個形成されている。
外側ダンパー側挿入穴326cは、外側ダンパー22の外側フロント保持プレート26に設けられる。外側ダンパー側挿入穴326cは、外側フロント保持プレート26のエンジン側の壁面、すなわち、ドライブプレート本体部11と対向する壁面の径方向外側端部近傍、すなわち、外側連結突起部26aの近傍の膨出部326dに設けられる。膨出部326dは、外側フロント保持プレート26の外側連結突起部26aの近傍においてドライブプレート本体部11と対向する壁面がドライブプレート本体部11側に突出するようにして形成される部分である。外側ダンパー側挿入穴326cは、外側フロント保持プレート26の膨出部326dにおいて、ドライブプレート本体部11と対向する壁面に円柱状の穴として形成される。外側ダンパー側挿入穴326cは、その中心軸線が回転軸線Xと平行になるように形成される。外側ダンパー側挿入穴326cは、外側フロント保持プレート26に対して周方向に等間隔に複数個形成されている。また、各外側ダンパー側挿入穴326cは、それぞれ軸方向に対して各ドライブプレート側挿入穴311aと対向する位置に形成されている。
ノックピン381aは、一組の外側ダンパー側挿入穴326c、ドライブプレート側挿入穴311aに対してそれぞれ1個ずつ設けられる。各ノックピン381aは、円柱状に形成され、一方の端部がドライブプレート側挿入穴311aに挿入されるようにして設けられる。そして、外側ダンパー22の外側フロント保持プレート26は、外側ダンパー側挿入穴326cにこのノックピン381aの他方の端部が挿入されるようにして設けられる。
したがって、外側ダンパー位置決め部381は、ノックピン381aがドライブプレート本体部11のドライブプレート側挿入穴311aと、外側フロント保持プレート26の外側ダンパー側挿入穴326cとに挿入されることで、ドライブプレート本体部11に対するダンパー機構20の外側ダンパー22の径方向への相対移動を規制することができる一方、軸方向への相対移動は許容することができる。つまり、外側ダンパー位置決め部381は、ダンパー機構20の外側ダンパー22の軸方向への相対移動を許容しつつ、ダンパー機構20の外側ダンパー22とドライブプレート本体部11との径方向に対する相対的な位置関係を固定することができる。
そして、ドライブプレート10は、上述したように、ドライブプレート本体部11が連結部材120によりクランクシャフト110に固定され、回転軸線Xを中心としてクランクシャフト110と共に一体回転可能である。つまり、ドライブプレート10は、クランクシャフト110に対する径方向への相対移動が規制されており、クランクシャフト110との径方向に対する相対的な位置関係が固定されている。
この結果、ダンパー機構20の外側ダンパー22は、クランクシャフト110を基準にドライブプレート10と外側ダンパー位置決め部381を介して径方向に対して位置決めされ、すなわち、クランクシャフト110に対する径方向への相対移動が規制される。
内側ダンパー位置決め部382は、フロントカバー30に設けられ、ダンパー機構20の内側ダンパー23を径方向に対して位置決めするものである。本実施形態では、内側ダンパー位置決め部382は、第2連結部72により兼用される。
内側ダンパー位置決め部382として兼用される第2連結部72は、上述したように、フロントカバー30の径方向内側部に設けられ、締結プレート29を介して内側ダンパー23の内側連結突起部27a、内側連結突起部28aとフロントカバー30の径方向内側部とを固定して連結する。
そして、フロントカバー30は、フロントカバーボス部33がクランクシャフト110の嵌合部110aに挿入され、この嵌合部110aに対して軸受130により回転軸線Xを回転中心として、すなわち、クランクシャフト110と同軸で回転自在に支持されている。つまり、フロントカバー30は、クランクシャフト110に対する径方向への相対移動が規制されており、クランクシャフト110との径方向に対する相対的な位置関係が固定されている。
この結果、ダンパー機構20の内側ダンパー23は、クランクシャフト110を基準に軸受130と、フロントカバー30と、内側ダンパー位置決め部382として兼用される第2連結部72を介して径方向に対して位置決めされ、すなわち、クランクシャフト110に対する径方向への相対移動が規制される。
そして、このダンパー機構20は、外側ダンパー位置決め部381及び内側ダンパー位置決め部382により径方向に対して位置決めされる外側ダンパー22の外側ダンパースプリング21aと内側ダンパー23の内側ダンパースプリング21bとを連結するように中心保持プレート24が設けられている。
したがって、このダンパー機構20は、外側ダンパー22と内側ダンパー23の芯だしを正確に行うことができ、すなわち、外側ダンパー22の回転中心と内側ダンパー23の回転中心とを正確に回転軸線Xにあわせることができる。この結果、外側ダンパー22の回転中心と内側ダンパー23の回転中心とが回転軸線Xに対して偏心することを防止することができ、偏心に起因して回転中に振動が発生することを防止することができ、ダンパー機構20のダンパー性能を安定化させることができる。
また、このダンパー機構20は、外側ダンパー位置決め部381、内側ダンパー位置決め部382により外側ダンパー22、内側ダンパー23が径方向に対して位置決めされることから、流体伝達機構空間部Aの油圧により流体伝達機構40側が膨張するなどしてダンパー機構20に軸方向の荷重が作用した際に、ダンパー性能を悪化させるような変形、例えば、外側ダンパー22と内側ダンパー23との中間部分で折れ曲がって捩れるような変形をより確実に低減することができる。
以上で説明した本発明の実施形態に係るトルクコンバータ301によれば、ダンパー機構20の径方向内側の内側連結突起部27a、内側連結突起部28aとフロントカバー30の径方向内側部との第2連結部72にて締結プレート29により十分な剛性が確保される一方、径方向外側の外側連結突起部25a、外側連結突起部26aとドライブプレート10のドライブプレートフランジ部12との第1連結部71にてダンパー機構20が軸方向に沿って移動可能であることから、このダンパー機構20全体での変形が軸方向に沿った平行移動に近い形の変形となるので、ダンパー性能を悪化させる変形を低減することができ、大型化を抑制しつつ振動低減性能を向上することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施形態に係るトルクコンバータ301によれば、ダンパー機構20において径方向外側に外側ダンパー22が配置され径方向内側に内側ダンパー23が配置されて、ドライブプレート10に伝達された駆動力が径方向に沿って外側連結突起部25a、外側連結突起部26aから外側ダンパースプリング21a、中心保持プレート24、内側ダンパースプリング21bを順番に介して内側連結突起部27a、内側連結突起部28aに直列的に伝達されることから、振動低減性能をさらに向上することができると共にこのダンパー機構20全体での変形が軸方向に沿った平行移動に近い形の変形となるので、ダンパー性能を悪化させる変形を低減することができる。この結果、ダンパー機構20において駆動力を径方向に沿って外側連結突起部25a、外側連結突起部26aから外側ダンパースプリング21aと内側ダンパースプリング21bとを順番に介して内側連結突起部27a、内側連結突起部28aに直列的に伝達することでさらに装置のコンパクト化及び振動低減性能の向上を図った上で、変形に起因したダンパー機構20におけるフリクションを低減することができ、ダンパー機構20におけるこもり音の防止などのダンパー性能をさらに向上することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施形態に係るトルクコンバータ301によれば、ドライブプレート10は、エンジンから駆動力を出力するクランクシャフト110に対して固定され、外側ダンパー22を径方向に対して位置決めする外側ダンパー位置決め部381が設けられ、フロントカバー30は、クランクシャフト110に対して軸受130を介してこのクランクシャフト110と同軸で回転自在に支持され、内側ダンパー23を径方向に対して位置決めする内側ダンパー位置決め部382として兼用される第2連結部72が設けられる。したがって、外側ダンパー位置決め部381、内側ダンパー位置決め部382により外側ダンパー22、内側ダンパー23が径方向に対して位置決めされることから、外側ダンパー22と内側ダンパー23の芯だしを正確に行おうことができ、ダンパー機構20のダンパー性能を安定化させることができるので、こもり音などの発生をさらに効果的に抑制することができる。また、ダンパー性能を悪化させる変形をより確実に低減することができ、より確実に適正なダンパー性能を確保することができ、さらに信頼性を向上することができる。
なお、以上の説明では、本発明の外側ダンパー位置決め部は、ドライブプレート側挿入穴311aと、外側ダンパー側挿入穴326cと、ノックピン381aとによって構成されるものとして説明したが、これに限らない。
図6は、本発明の変形例1に係るトルクコンバータの要部断面図である。
変形例1に係る駆動力伝達装置としてのトルクコンバータ301Aは、図6に示すように、外側ダンパー位置決め部381(図5参照)に代えて外側ダンパー位置決め部381Aを備える。
本変形例の外側ダンパー位置決め部381Aは、ドライブプレート側インロー部311bと、膨出部326dとを有する。
膨出部326dは、上述したように、外側フロント保持プレート26の外側連結突起部26aの近傍においてドライブプレート本体部11と対向する壁面がドライブプレート本体部11側に突出するようにして形成される部分である。
ドライブプレート側インロー部311bは、ドライブプレート10のドライブプレート本体部11とドライブプレートフランジ部12とが交わる入隅部に設けられる。ドライブプレート側インロー部311bは、ドライブプレート本体部11とドライブプレートフランジ部12とが交わる入隅部において、ドライブプレート本体部11の外側フロント保持プレート26と対向する壁面が外側フロント保持プレート26側に突出するようにして形成される部分である。言い換えれば、ドライブプレート側インロー部311bは、ドライブプレート本体部11とドライブプレートフランジ部12とが交わる入隅部において、ドライブプレートフランジ部12の内周面が径方向内側に突出するようにして形成される部分である。このドライブプレート側インロー部311bは、回転軸線Xと同軸の円筒状に形成される。
外側ダンパー位置決め部381Aは、膨出部326dがドライブプレート側インロー部311bの内側に挿入され、膨出部326dの外周面とドライブプレート側インロー部311bの内周面とが当接することで、ドライブプレート10に対するダンパー機構20の外側ダンパー22の径方向への相対移動を規制することができる一方、軸方向への相対移動は許容することができる。つまり、外側ダンパー位置決め部381Aは、ダンパー機構20の外側ダンパー22の軸方向への相対移動を許容しつつ、ダンパー機構20の外側ダンパー22とドライブプレート本体部11との径方向に対する相対的な位置関係を固定することができる。したがって、外側ダンパー位置決め部381Aをドライブプレート側インロー部311bと膨出部326dとによって構成した場合であっても、上記で説明した実施形態3に係るトルクコンバータ301(図5参照)と同様の効果を奏することができる。
また、図7は、本発明の変形例2に係るトルクコンバータの要部断面図である。
変形例2に係る駆動力伝達装置としてのトルクコンバータ301Bは、図7に示すように、外側ダンパー位置決め部381(図5参照)、外側ダンパー位置決め部381Aに代えて外側ダンパー位置決め部381Bを備える。
本変形例の外側ダンパー位置決め部381Bは、外側ダンパー側インロー部326eを有する。外側ダンパー側インロー部326eは、膨出部326dに設けられている。
膨出部326dは、外側フロント保持プレート26の径方向外側端部326aの近傍においてドライブプレート本体部11と対向する壁面がドライブプレート本体部11側に突出するようにして形成される部分である。外側ダンパー側インロー部326eは、外側フロント保持プレート26の膨出部326dにおいて、径方向に対してドライブプレートフランジ部12と対向する壁面、すなわち、膨出部326dの外周面に形成される。外側ダンパー側インロー部326eは、外側フロント保持プレート26の膨出部326dのドライブプレートフランジ部12と対向する壁面が径方向に沿ってこのドライブプレートフランジ部12側に突出するようにして形成される。外側ダンパー側インロー部326eは、回転軸線Xと同軸の円環状に形成される。
外側ダンパー位置決め部381Bは、この外側ダンパー側インロー部326eがドライブプレートフランジ部12の内側に挿入され、外側ダンパー側インロー部326eの外周面とドライブプレートフランジ部12の内周面とが当接することで、ドライブプレート10に対するダンパー機構20の外側ダンパー22の径方向への相対移動を規制することができる一方、軸方向への相対移動は許容することができる。つまり、外側ダンパー位置決め部381Bは、ダンパー機構20の外側ダンパー22の軸方向への相対移動を許容しつつ、ダンパー機構20の外側ダンパー22とドライブプレート本体部11との径方向に対する相対的な位置関係を固定することができる。したがって、外側ダンパー位置決め部381Bを外側ダンパー側インロー部326eによって構成した場合であっても、上記で説明した実施形態3に係るトルクコンバータ301(図5参照)と同様の効果を奏することができる。
なお、変形例2に係るトルクコンバータ301Bは、第1連結部371Bの構成も実施形態3に係るトルクコンバータ301(図5参照)の第1連結部71(図5参照)の構成とは異なる。
トルクコンバータ301Bが備える第1連結部371Bは、連結切欠部12a(図5参照)、外側連結突起部25a(図5参照)、外側連結突起部26a(図5参照)に代えて、ドライブプレート側スプライン312bと、外側連結部としての外側ダンパー側スプライン326fとを有する。
ドライブプレート側スプライン312bは、ドライブプレートフランジ部12の内周面において軸方向に沿った溝として形成される。ドライブプレート側スプライン312bは、ドライブプレートフランジ部12の内周面において軸方向に沿った溝が周方向に沿って所定の間隔で複数形成される。
外側連結部としての外側ダンパー側スプライン326fは、外側フロント保持プレート26の膨出部326dのドライブプレートフランジ部12と対向する壁面、すなわち、膨出部326dの外周面に設けられる。外側ダンパー側スプライン326fは、膨出部326dの外周面において外側ダンパー側インロー部326eよりエンジン側の位置に設けられる。外側ダンパー側スプライン326fは、膨出部326dの外周面において軸方向に沿った溝として形成される。外側ダンパー側スプライン326fは、膨出部326dの外周面において軸方向に沿った溝が周方向に沿って所定の間隔で複数形成される。
したがって、このトルクコンバータ301Bでは、ドライブプレート側スプライン312bと外側ダンパー側スプライン326fとがスプライン嵌合することで、第1連結部371Bにてドライブプレート10の径方向外側部であるドライブプレートフランジ部12のドライブプレート側スプライン312bと外側ダンパー22の外側ダンパー側スプライン326fが一体回転可能かつ軸方向に移動可能に連結される。
また、変形例2に係るトルクコンバータ301Bは、リベット73(図1参照)、スリーブ73a(図1参照)、スライド部24e(図1参照)なども備えておらず、これに代えて、外側リヤ保持プレート25の径方向外側端部325aと外側フロント保持プレート26の径方向外側端部326aとがボルト374などの連結手段により締結されることで、外側リヤ保持プレート25と外側フロント保持プレート26とが一体化されている。
(実施形態4)
図8は、本発明の実施形態4に係るトルクコンバータの要部断面図、図9は、本発明の実施形態4に係るトルクコンバータが備える中心保持プレート組立体の部分平面図である。実施形態4に係る駆動力伝達装置は、実施形態1に係る駆動力伝達装置と略同様の構成であるが伝達部材の構成が実施形態1に係る駆動力伝達装置とは異なる。その他、上述した実施形態と共通する構成、作用、効果については、重複した説明はできるだけ省略するとともに、同一の符号を付す。
実施形態4に係る駆動力伝達装置としてのトルクコンバータ401は、図8に示すように、ダンパー手段としてのダンパー機構420を備える。
ダンパー機構420は、外側ダンパー422と、内側ダンパー423と、伝達部材としての中心保持プレート組立体424とを有する。外側ダンパー422と内側ダンパー423とは、外側ダンパー422が径方向外側に配置され外側連結部としての外側ダンパー側スプライン426fが設けられる一方、内側ダンパー423が径方向内側に配置され内側連結部としての内側連結突起部27a及び内側連結突起部28aが設けられる。外側ダンパー422と内側ダンパー423とは、中心保持プレート組立体424により連結されている。
外側ダンパー422は、外側側方保持部材としての外側リヤ保持プレート425と、外側側方保持部材としての外側フロント保持プレート426と、上述の複数の外側弾性体としての外側ダンパースプリング21aとを有する。外側リヤ保持プレート425、外側フロント保持プレート426は、中心保持プレート組立体424の軸方向に対する側方、ここでは、外側リヤ保持プレート425がフロントカバー30側(出力軸側)、外側フロント保持プレート426がドライブプレート10側(エンジン側)に設けられる。
外側リヤ保持プレート425と外側フロント保持プレート426とは、変形例2に係るトルクコンバータ301B(図7参照)と同様に、外側リヤ保持プレート425の径方向外側端部425aと外側フロント保持プレート426の径方向外側端部426aとがボルト474などの連結手段により締結されることで一体化されている。
外側リヤ保持プレート425は、外側リヤ保持部425bを有し、外側フロント保持プレート426は、外側フロント保持部426bを有する。
外側リヤ保持部425bは、中心保持プレート組立体424により軸方向に対する中心部分が保持される各外側ダンパースプリング21aの一部分、ここでは出力軸側の部分を収容し駆動力を伝達可能に保持するものである。外側フロント保持部426bは、中心保持プレート組立体424により軸方向に対する中心部分が保持される各外側ダンパースプリング21aの一部分、ここではエンジン側の部分を収容し駆動力を伝達可能に保持するものである。
そして、外側フロント保持プレート426は、膨出部426dに上述の外側連結部としての外側ダンパー側スプライン426fが設けられている。膨出部426dは、外側フロント保持プレート426の径方向外側端部426aの近傍においてドライブプレート本体部11と対向する壁面がドライブプレート本体部11側に突出するようにして形成される部分である。この外側ダンパー側スプライン426fは、ドライブプレート側スプライン412bと共に第1連結部471を構成する。
外側ダンパー側スプライン426fは、外側フロント保持プレート426の膨出部426dのドライブプレートフランジ部12と対向する壁面、すなわち、膨出部426dの外周面に設けられる。外側ダンパー側スプライン426fは、膨出部426dの外周面において軸方向に沿った溝として形成される。外側ダンパー側スプライン426fは、膨出部426dの外周面において軸方向に沿った溝が周方向に沿って所定の間隔で複数形成される。
ドライブプレート側スプライン412bは、ドライブプレートフランジ部12の内周面において軸方向に沿った溝として形成される。ドライブプレート側スプライン412bは、ドライブプレートフランジ部12の内周面において軸方向に沿った溝が周方向に沿って所定の間隔で複数形成される。
したがって、このトルクコンバータ401では、ドライブプレート側スプライン412bと外側ダンパー側スプライン426fとがスプライン嵌合することで、第1連結部471にてドライブプレート10の径方向外側部であるドライブプレートフランジ部12のドライブプレート側スプライン412bと外側ダンパー422の外側ダンパー側スプライン426fが一体回転可能かつ軸方向に移動可能に連結される。また、この第1連結部471は、クランクシャフト110を基準にダンパー機構420の外側ダンパー422を径方向に対して位置決めする外側ダンパー位置決め部481としても機能する。このドライブプレート側スプライン412bと外側ダンパー側スプライン426fとは、それぞれドライブプレートフランジ部12の内周面、膨出部426dの外周面の全周にわたって形成されている。なお、この第1連結部471は、スプライン嵌合に限らず、例えば、ドライブプレートフランジ部12の内周面に設けられる連結凹部と、膨出部426dの外周面に設けられる連結凸部とが係合することで、ドライブプレート10の径方向外側部と外側ダンパー422の径方向外側部とを一体回転可能かつ軸方向に移動可能に連結するようにしてもよい。この場合、ドライブプレートフランジ部12の内周面に設けられる連結凹部と、膨出部426dの外周面に設けられる連結凸部とは、それぞれ周方向に複数個設けられていればよい。
内側ダンパー423は、内側側方保持部材としての内側リヤ保持プレート427と、内側側方保持部材としての内側フロント保持プレート428と、上述の複数の内側弾性体としての内側ダンパースプリング21bとを有する。内側リヤ保持プレート427、内側フロント保持プレート428は、中心保持プレート組立体424の軸方向に対する側方、ここでは、内側リヤ保持プレート427がフロントカバー30側(出力軸側)、内側フロント保持プレート428がドライブプレート10側(エンジン側)に設けられる。
内側リヤ保持プレート427は、内側リヤ保持部427bを有し、内側フロント保持プレート428は、内側フロント保持部428bを有する。
内側リヤ保持部427bは、中心保持プレート組立体424により軸方向に対する中心部分が保持される各内側ダンパースプリング21bの一部分、ここでは出力軸側の部分を収容し駆動力を伝達可能に保持するものである。内側フロント保持部428bは、中心保持プレート組立体424により軸方向に対する中心部分が保持される各内側ダンパースプリング21bの一部分、ここではエンジン側の部分を収容し駆動力を伝達可能に保持するものである。
そして、内側リヤ保持プレート427は、径方向内側端部(すなわち、内周面側の端部)に上述の内側連結突起部27aが設けられる一方、内側フロント保持プレート428は、径方向内側端部(すなわち、内周面側の端部)に内側連結突起部28aが設けられる。内側連結突起部27a、内側連結突起部28aは、高剛性部としての締結プレート29を介してフロントカバー30の径方向内側部と一体回転可能に固定され、すなわち、フロントカバー30に対して軸方向に相対移動不能に連結される。つまり、この内側連結突起部27a、内側連結突起部28aは、締結プレート29と共に第2連結部72を構成する。また、この第2連結部72は、クランクシャフト110を基準にダンパー機構420の内側ダンパー423を径方向に対して位置決めする内側ダンパー位置決め部482としても機能する。
中心保持プレート組立体424は、複数の外側ダンパースプリング21a及び複数の内側ダンパースプリング21bを駆動力伝達可能に保持する。中心保持プレート組立体424は、外側ダンパー422にて各外側ダンパースプリング21aを保持する部材として機能すると共に、内側ダンパー423にて各内側ダンパースプリング21bを保持する部材としても機能する。中心保持プレート組立体424は、回転軸線Xと同軸の円環板状に形成され、外側中心保持部424aと、内側中心保持部424bとを有する。ここでは、中心保持プレート組立体424は、実施形態1で説明したような段付部24c(図1参照)、段付部24d(図1参照)等を有しておらず、全体として平板状に形成される。
ここで、本実施形態の中心保持プレート組立体424は、図9に示すように、外側リング424cと、内側リング424dと、中央リング424eとを有する。外側リング424c、内側リング424d及び中央リング424eは、それぞれ別体に回転軸線Xと同軸の円環板状に形成され、径方向外側から径方向内側に向かって外側リング424c、中央リング424e、内側リング424dの順番で配置されている。
本実施形態の中心保持プレート組立体424は、ダンパー機構420における駆動力の伝達経路に対して外側ダンパースプリング21aと内側ダンパースプリング21bとを直列的に連結すると共に、さらに、複数の外側ダンパースプリング21a、ここでは2つの外側ダンパースプリング21a同士を直列に連結し、複数の内側ダンパースプリング21b、ここでは2つの内側ダンパースプリング21b同士を直列に連結するものである。つまり、本実施形態の中心保持プレート組立体424は、駆動力の伝達経路に対して直列に連結された2つの外側ダンパースプリング21aと、直列に連結された2つの内側ダンパースプリング21bとをさらに直列に連結するものであり、すなわち、2つの外側ダンパースプリング21aと2つの内側ダンパースプリング21bの合計4つのダンパースプリング21を1組として駆動力の伝達経路に対して直列に連結するものである。
具体的には、外側リング424cは、2つの外側ダンパースプリング21aを相互に駆動力を伝達可能に連結するものである。ここで、以下の説明では、特に断りのない限り、外側リング424cにより連結される2つの外側ダンパースプリング21aのうちの一方を「第1外側ダンパースプリング21aa」、他方を「第2外側ダンパースプリング21ab」という。ここでは、外側リング424cは、相互に駆動力を伝達可能に連結される第1外側ダンパースプリング21aaと第2外側ダンパースプリング21abとの組を3組、つまり、合計で6個(本図中ではそのうちの4個を図示)の外側ダンパースプリング21aが設けられる。
外側リング424cは、外側リング状部424fと、外側弾性体連結部としての外側スプリング連結部424gとを有する。外側リング424cは、この外側スプリング連結部424gを介して第1外側ダンパースプリング21aaと第2外側ダンパースプリング21abとを相互に駆動力を伝達可能に、すなわち、ダンパー機構420における駆動力の伝達経路に対して直列に連結する。
外側リング状部424fは、回転軸線Xと同軸の円環板状に形成される。外側スプリング連結部424gは、外側リング状部424fの内周端部の一部が径方向内側に向かって突出するようにして形成される。この外側スプリング連結部424gは、回転軸線Xに向かって突出している。外側スプリング連結部424gは、径方向内側の先端部424hに向かって徐々に幅が狭くなるように形成されている。外側スプリング連結部424gは、周方向に対する一方の端部である第1周方向端部424i側に第1外側ダンパースプリング21aaが配置される一方、周方向に対する他方の端部である第2周方向端部424j側に第2外側ダンパースプリング21abが配置される。外側スプリング連結部424gは、外側リング状部424fに対して周方向に等間隔に3個(本図中ではそのうちの3個を図示)形成されている。
内側リング424dは、2つの内側ダンパースプリング21bを相互に駆動力を伝達可能に連結するものである。ここで、以下の説明では、特に断りのない限り、内側リング424dにより連結される2つの内側ダンパースプリング21bのうちの一方を「第1内側ダンパースプリング21ba」、他方を「第2内側ダンパースプリング21bb」という。ここでは、内側リング424dは、相互に駆動力を伝達可能に連結される第1内側ダンパースプリング21baと第2内側ダンパースプリング21bbとの組を3組、つまり、合計で6個(本図中ではそのうちの4個を図示)の内側ダンパースプリング21bが設けられる。
内側リング424dは、内側リング状部424kと、内側弾性体連結部としての内側スプリング連結部424lとを有する。内側リング424dは、この内側スプリング連結部424lを介して第1内側ダンパースプリング21baと第2内側ダンパースプリング21bbとを相互に駆動力を伝達可能に、すなわち、ダンパー機構420における駆動力の伝達経路に対して直列に連結する。
内側リング状部424kは、回転軸線Xと同軸かつ外側リング状部424fより小径の円環板状に形成される。内側スプリング連結部424lは、内側リング状部424kの外周端部の一部が径方向外側に向かって突出するようにして形成される。この内側スプリング連結部424lは、回転軸線Xとは反対側に向かって突出している。内側スプリング連結部424lは、径方向外側の先端部424mに向かって徐々に幅が広くなるように形成されている。内側スプリング連結部424lは、周方向に対する一方の端部である第1周方向端部424n側に第1内側ダンパースプリング21baが配置される一方、周方向に対する他方の端部である第2周方向端部424o側に第2内側ダンパースプリング21bbが配置される。
さらに、この内側スプリング連結部424lは、径方向外側端部、すなわち、先端部424mの周方向両側に内側リップ部424pがそれぞれ設けられている。内側リップ部424pは、内側スプリング連結部424lの先端部424mから周方向に沿って形成される突起であり、第1内側ダンパースプリング21ba、第2内側ダンパースプリング21bbから作用する径方向分力を受ける部分である。内側スプリング連結部424lは、内側リング状部424kに対して周方向に等間隔に3個(本図中ではそのうちの3個を図示)形成されている。
中央リング424eは、径方向に対して外側リング424cと内側リング424dとの間に外側リング424c及び内側リング424dに対して相対回転可能に設けられる。中央リング424eは、外側ダンパースプリング21aと内側ダンパースプリング21bとを相互に駆動力を伝達可能に連結するものである。
中央リング424eは、中央リング状部424qと、駆動力伝達部424rとを有する。中央リング424eは、この駆動力伝達部424rを介して外側ダンパースプリング21aと内側ダンパースプリング21bとを相互に駆動力を伝達可能、すなわち、ダンパー機構420における駆動力の伝達経路に対して直列に連結する。
中央リング状部424qは、回転軸線Xと同軸かつ外側リング状部424fより小径、内側リング状部424kより大径の円環板状に形成される。駆動力伝達部424rは、中央リング状部424qの外周端部及び内周端部の一部がそれぞれ径方向に沿って突出するようにして形成される。すなわち、この駆動力伝達部424rは、伝達部外側突出部424raと、伝達部内側突出部424rbとを有する。
伝達部外側突出部424raは、中央リング状部424qの外周端部の一部が径方向外側に向かって突出するようにして形成される。この伝達部外側突出部424raは、回転軸線Xとは反対側に向かって突出している。伝達部外側突出部424raは、径方向外側の先端部424sに向かって徐々に幅が広くなるように形成されている。
伝達部内側突出部424rbは、中央リング状部424qの内周端部の一部、ここでは、伝達部外側突出部424raが設けられている部分が径方向内側に向かって突出するようにして形成される。この伝達部内側突出部424rbは、回転軸線Xに向かって突出している。伝達部内側突出部424rbは、径方向内側の先端部424vに向かって徐々に幅が狭くなるように形成されている。
駆動力伝達部424rを構成するこの伝達部外側突出部424raと伝達部内側突出部424rbとは、周方向に対する中心位置がほぼ一致するように設けられている。つまり、この駆動力伝達部424rは、全体として伝達部外側突出部424raと伝達部内側突出部424rbとが一体となって径方向に沿って延在するような形状で形成される。
駆動力伝達部424rは、中央リング状部424qに対して周方向に等間隔に3個(本図中ではそのうちの2個を図示)形成されている。駆動力伝達部424rは、外側リング424cの周方向に隣接する2つの外側スプリング連結部424gの間に伝達部外側突出部424raが1つずつ位置し、内側リング424dの周方向に隣接する2つの内側スプリング連結部424lの間に伝達部内側突出部424rbが1つずつ位置するように設けられている。
なお、伝達部外側突出部424raは、先端部424sと外側リング状部424fの内周端部との間に所定のクリアランスが設けられている。また、上述の外側スプリング連結部424gは、先端部424hと中央リング状部424qの外周端部との間に所定のクリアランスが設けられている。さらに、伝達部内側突出部424rbは、先端部424vと内側リング状部424kの外周端部との間に所定のクリアランスが設けられている。また、上述の内側スプリング連結部424lは、先端部424mと中央リング状部424qの内周端部との間に所定のクリアランスが設けられている。これにより、中央リング424eと外側リング424c、内側リング424dとが相対的に回転する際に、中央リング424eと外側リング424c、内側リング424dとの間で回転に伴うフリクションが発生することを抑制することができ、滑らかに回転させることができる。
そして、各伝達部外側突出部424raは、周方向に対する一方の端部である第1周方向端部424t側に第1外側ダンパースプリング21aaが配置される一方、周方向に対する他方の端部である第2周方向端部424u側に第2外側ダンパースプリング21abが配置される。ここで、第1周方向端部424tは、一方の外側スプリング連結部424gの第1周方向端部424iと周方向に対向する周方向端部である。また、第2周方向端部424uは、他方の外側スプリング連結部424gの第2周方向端部424jと周方向に対向する周方向端部である。
さらに、伝達部内側突出部424rbは、周方向に対する一方の端部である第1周方向端部424w側に第1内側ダンパースプリング21baが配置される一方、周方向に対する他方の端部である第2周方向端部424x側に第2内側ダンパースプリング21bbが配置される。ここで、第1周方向端部424wは、一方の内側スプリング連結部424lの第1周方向端部424nと周方向に対向する周方向端部である。また、第2周方向端部424xは、他方の内側スプリング連結部424lの第2周方向端部424oと周方向に対向する周方向端部である。
そして、中心保持プレート組立体424は、外側リング424cの外側リング状部424f、中央リング424eの中央リング状部424q、外側スプリング連結部424g及び駆動力伝達部424rの伝達部外側突出部424raによって外側ダンパースプリング21aが挿入されこれを保持するための外側中心保持部424aを形成する。
さらに具体的には、中心保持プレート組立体424は、外側リング状部424fの内周端部と、中央リング状部424qの外周端部と、外側スプリング連結部424gの第1周方向端部424iと、伝達部外側突出部424raの第1周方向端部424tとによって、外側中心保持部424aのうち第1外側ダンパースプリング21aaを保持する第1外側中心保持部424aaを形成する。一方、中心保持プレート組立体424は、外側リング状部424fの内周端部と、中央リング状部424qの外周端部と、外側スプリング連結部424gの第2周方向端部424jと、伝達部外側突出部424raの第2周方向端部424uとによって、外側中心保持部424aのうち第2外側ダンパースプリング21abを保持する第2外側中心保持部424abを形成する。
つまり、中心保持プレート組立体424は、駆動力伝達部424rにおける伝達部外側突出部424raの第1周方向端部424tと、周方向に隣接する別の駆動力伝達部424rにおける伝達部外側突出部424raの第2周方向端部424uとの間に、外側スプリング連結部424gによって直列的に連結される第1外側ダンパースプリング21aa及び第2外側ダンパースプリング21abを保持する。
各第1外側中心保持部424aa、第2外側中心保持部424abは、ともに円弧状のスリット状の形状となり、それぞれ内部に第1外側ダンパースプリング21aa、第2外側ダンパースプリング21abが挿入されこれを保持する。第1外側中心保持部424aa、第2外側中心保持部424abは、その周方向の長さが少なくとも第1外側ダンパースプリング21aa、第2外側ダンパースプリング21abを付勢した状態で保持できる長さに設定されている。したがって、第1外側中心保持部424aa、第2外側中心保持部424abに第1外側ダンパースプリング21aa、第2外側ダンパースプリング21abが保持されると、第1外側中心保持部424aaの第1周方向端部424iと第1周方向端部424tとが第1外側ダンパースプリング21aaの両端部にそれぞれ接触し、第2外側中心保持部424abの第2周方向端部424jと第2周方向端部424uとが第2外側ダンパースプリング21abの両端部にそれぞれ接触することとなる。つまり、第1外側ダンパースプリング21aaは、各第1外側中心保持部424aaの第1周方向端部424i、第1周方向端部424tに接触し、両端部の間に付勢された状態で保持され、第2外側ダンパースプリング21abは、各第2外側中心保持部424abの第2周方向端部424j、第2周方向端部424uに接触し、両端部の間に付勢された状態で保持される。
この結果、この中心保持プレート組立体424の外側リング424cは、第1外側中心保持部424aaの第1周方向端部424i(言い換えれば、外側スプリング連結部424gの第1周方向端部424i)と第1外側ダンパースプリング21aaとの接触部分、第2外側中心保持部424abの第2周方向端部424j(言い換えれば、外側スプリング連結部424gの第2周方向端部424j)と第2外側ダンパースプリング21abとの接触部分において、第1外側ダンパースプリング21aa、第2外側ダンパースプリング21abとの間で相互に駆動力の伝達が可能となる。また、中心保持プレート組立体424の中央リング424eは、第1外側中心保持部424aaの第1周方向端部424t(言い換えれば、駆動力伝達部424rにおける伝達部外側突出部424raの第1周方向端部424t)と第1外側ダンパースプリング21aaとの接触部分、第2外側中心保持部424abの第2周方向端部424u(言い換えれば、周方向に隣接する別の駆動力伝達部424rにおける伝達部外側突出部424raの第2周方向端部424u)と第2外側ダンパースプリング21abとの接触部分において、第1外側ダンパースプリング21aa、第2外側ダンパースプリング21abとの間で相互に駆動力の伝達が可能となる。
また、この第1外側中心保持部424aa、第2外側中心保持部424abの周方向の長さは、中央リング424eと外側リング424cとの相対回転に伴って、駆動力伝達部424rの伝達部外側突出部424raと外側スプリング連結部424gとが接近又は離間することで変化する。このとき、第1外側ダンパースプリング21aa、第2外側ダンパースプリング21abは、第1周方向端部424iと第1周方向端部424tとの間、あるいは、第2周方向端部424jと第2周方向端部424uとの間に保持されつつ弾性変形する。
なお、各伝達部外側突出部424raは、径方向外側端部、すなわち、先端部424sの周方向両側に外側リップ部424yがそれぞれ設けられている。外側リップ部424yは、伝達部外側突出部424raの先端部424sから周方向に沿って形成される突起であり、第1外側ダンパースプリング21aa、第2外側ダンパースプリング21abから作用する径方向分力を受ける部分である。
そして、上述した外側リヤ保持プレート425の各外側リヤ保持部425bと、外側フロント保持プレート426の各外側フロント保持部426bとは、ともに中心保持プレート組立体424の第1外側中心保持部424aa及び第2外側中心保持部424abと軸方向に対向する位置及び大きさに形成されている。したがって、各外側リヤ保持部425bと各外側フロント保持部426bとは、第1外側中心保持部424aa及び第2外側中心保持部424abによって軸方向の中心部分が保持された1組の第1外側ダンパースプリング21aa及び第2外側ダンパースプリング21abの一部分をまとめて収容しこれを保持する。
各外側リヤ保持部425b、各外側フロント保持部426bの周方向における両端部は、各第1外側中心保持部424aa、各第2外側中心保持部424abに第1外側ダンパースプリング21aa、第2外側ダンパースプリング21abが保持された状態で、それぞれ一方の端部が第1外側ダンパースプリング21aaの一方の端部に周方向において対向し接触可能となり、他方の端部が第2外側ダンパースプリング21abの他方の端部に周方向において対向し接触可能となる。この結果、外側リヤ保持プレート425、外側フロント保持プレート426は、この外側リヤ保持部425b、外側フロント保持部426bと第1外側ダンパースプリング21aa、第2外側ダンパースプリング21abとの周方向端部接触部分において、第1外側ダンパースプリング21aa、第2外側ダンパースプリング21abとの間で相互に駆動力の伝達が可能となる。
なお、第1外側ダンパースプリング21aaは、回転軸線X上の中心点と第1外側ダンパースプリング21aaの長手方向中心点とを通る直線に垂直に交わる仮想線に対して、スプリング長手方向中心線が所定角度θ11だけ傾くようにして設けられる。第1外側ダンパースプリング21aaは、仮想線に対してスプリング長手方向中心線の第1周方向端部424t側が径方向内側に所定角度θ11だけ傾くようにして設けられる。言い換えれば、第1外側中心保持部424aaは、仮想線に対してスプリング長手方向中心線の第1周方向端部424t側が所定角度θ11だけ径方向内側に傾いた状態で第1外側ダンパースプリング21aaを保持できるように形成されている。
また、第2外側ダンパースプリング21abは、回転軸線X上の中心点と第2外側ダンパースプリング21abの長手方向中心点とを通る直線に垂直に交わる仮想線に対して、スプリング長手方向中心線が所定角度θ11だけ傾くようにして設けられる。第2外側ダンパースプリング21abは、仮想線に対してスプリング長手方向中心線の第2周方向端部424u側が径方向内側に所定角度θ11だけ傾くようにして設けられる。言い換えれば、第2外側中心保持部424abは、仮想線に対してスプリング長手方向中心線の第2周方向端部424u側が所定角度θ11だけ径方向内側に傾いた状態で第2外側ダンパースプリング21abを保持できるように形成されている。
つまり、外側リング424cは、駆動力伝達部424rの伝達部外側突出部424raを挟んで周方向に隣り合う第1外側ダンパースプリング21aa、第2外側ダンパースプリング21abのスプリング長手方向中心線同士が交差して径方向内側でなす角度θ12が外側スプリング連結部424gを挟んで周方向に隣り合う第1外側ダンパースプリング21aa、第2外側ダンパースプリング21abのスプリング長手方向中心線同士が交差して径方向内側でなす角度θ13より大きくなるように第1外側ダンパースプリング21aa、第2外側ダンパースプリング21abを連結することとなる。この結果、外側リップ部424yの径方向に沿った長さを適正に確保した上で、第1外側ダンパースプリング21aa、第2外側ダンパースプリング21abから外側リップ部424yに作用する径方向分力を低減することができることから、その分、外側リップ部424yの径方向に沿った長さを相対的に短くすることができる。これにより、中央リング424eの小型化、軽量化を図ることができることから、振動の低減性能をさらに向上することができ、こもり音などの発生をさらに抑制することができ、燃費をさらに向上できる。
同様に、中心保持プレート組立体424は、内側リング424dの内側リング状部424k、中央リング424eの中央リング状部424q、内側スプリング連結部424l及び駆動力伝達部424rの伝達部内側突出部424rbによって内側ダンパースプリング21bが挿入されこれを保持するための内側中心保持部424bを形成する。
さらに具体的には、中心保持プレート組立体424は、内側リング状部424kの外周端部と、中央リング状部424qの内周端部と、内側スプリング連結部424lの第1周方向端部424nと、伝達部内側突出部424rbの第1周方向端部424wとによって、内側中心保持部424bのうち第1内側ダンパースプリング21baを保持する第1内側中心保持部424baを形成する。一方、中心保持プレート組立体424は、内側リング状部424kの外周端部と、中央リング状部424qの内周端部と、内側スプリング連結部424lの第2周方向端部424oと、伝達部内側突出部424rbの第2周方向端部424xとによって、内側中心保持部424bのうち第2内側ダンパースプリング21bbを保持する第2内側中心保持部424bbを形成する。
つまり、中心保持プレート組立体424は、駆動力伝達部424rにおける伝達部内側突出部424rbの第1周方向端部424wと、周方向に隣接する別の駆動力伝達部424rにおける伝達部内側突出部424rbの第2周方向端部424xとの間に、内側スプリング連結部424lによって直列的に連結される第1内側ダンパースプリング21ba及び第2内側ダンパースプリング21bbを保持する。
各第1内側中心保持部424ba、各第2内側中心保持部424bbは、ともに円弧状のスリット状の形状となり、それぞれ内部に第1内側ダンパースプリング21ba、第2内側ダンパースプリング21bbが挿入されこれを保持する。第1内側中心保持部424ba、第2内側中心保持部424bbは、その周方向の長さが少なくとも第1内側ダンパースプリング21ba、第2内側ダンパースプリング21bbを付勢した状態で保持できる長さに設定されている。したがって、第1内側中心保持部424ba、第2内側中心保持部424bbに第1内側ダンパースプリング21ba、第2内側ダンパースプリング21bbが保持されると、第1内側中心保持部424baの第1周方向端部424nと第1周方向端部424wとが第1内側ダンパースプリング21baの両端部にそれぞれ接触し、第2内側中心保持部424bbの第2周方向端部424oと第2周方向端部424xとが第2内側ダンパースプリング21bbの両端部にそれぞれ接触することとなる。つまり、第1内側ダンパースプリング21baは、各第1内側中心保持部424baの第1周方向端部424n、第1周方向端部424wに接触し、両端部の間に付勢された状態で保持され、第2内側ダンパースプリング21bbは、各第2内側中心保持部424bbの第2周方向端部424o、第2周方向端部424xに接触し、両端部の間に付勢された状態で保持される。
この結果、この中心保持プレート組立体424の内側リング424dは、第1内側中心保持部424baの第1周方向端部424n(言い換えれば、内側スプリング連結部424lの第1周方向端部424n)と第1内側ダンパースプリング21baとの接触部分、第2内側中心保持部424bbの第2周方向端部424o(言い換えれば、内側スプリング連結部424lの第2周方向端部424o)と第2内側ダンパースプリング21bbとの接触部分において、第1内側ダンパースプリング21ba、第2内側ダンパースプリング21bbとの間で相互に駆動力の伝達が可能となる。また、中心保持プレート組立体424の中央リング424eは、第1内側中心保持部424baの第1周方向端部424w(言い換えれば、駆動力伝達部424rにおける伝達部内側突出部424rbの第1周方向端部424w)と第1内側ダンパースプリング21baとの接触部分、第2内側中心保持部424bbの第2周方向端部424x(言い換えれば、周方向に隣接する別の駆動力伝達部424rにおける伝達部内側突出部424rbの第2周方向端部424x)と第2内側ダンパースプリング21bbとの接触部分において、第1内側ダンパースプリング21ba、第2内側ダンパースプリング21bbとの間で相互に駆動力の伝達が可能となる。
また、この第1内側中心保持部424ba、第2内側中心保持部424bbの周方向の長さは、中央リング424eと内側リング424dとの相対回転に伴って、駆動力伝達部424rの伝達部内側突出部424rbと内側スプリング連結部424lとが接近又は離間することで変化する。このとき、第1内側ダンパースプリング21ba、第2内側ダンパースプリング21bbは、第1周方向端部424nと第1周方向端部424wとの間、あるいは、第2周方向端部424oと第2周方向端部424xとの間に保持されつつ弾性変形する。
そして、上述した内側リヤ保持プレート427の各内側リヤ保持部427bと、内側フロント保持プレート428の各内側フロント保持部428bとは、ともに中心保持プレート組立体424の第1内側中心保持部424ba及び第2内側中心保持部424bbと軸方向に対向する位置及び大きさに形成されている。したがって、各内側リヤ保持部427bと各内側フロント保持部428bとは、第1内側中心保持部424ba及び第2内側中心保持部424bbによって軸方向の中心部分が保持された1組の第1内側ダンパースプリング21ba及び第2内側ダンパースプリング21bbの一部分をまとめて収容しこれを保持する。
各内側リヤ保持部427b、各内側フロント保持部428bの周方向における両端部は、各第1内側中心保持部424ba、各第2内側中心保持部424bbに第1内側ダンパースプリング21ba、第2内側ダンパースプリング21bbが保持された状態で、それぞれ一方の端部が第1内側ダンパースプリング21baの一方の端部に周方向において対向し接触可能となり、他方の端部が第2内側ダンパースプリング21bbの他方の端部に周方向において対向し接触可能となる。この結果、内側リヤ保持プレート427、内側フロント保持プレート428は、この内側リヤ保持部427b、内側フロント保持部428bと第1内側ダンパースプリング21ba、第2内側ダンパースプリング21bbとの周方向端部接触部分において、第1内側ダンパースプリング21ba及び第2内側ダンパースプリング21bbとの間で相互に駆動力の伝達が可能となる。
なお、第1内側ダンパースプリング21baは、回転軸線X上の中心点と第1内側ダンパースプリング21baの長手方向中心点とを通る直線に垂直に交わる仮想線に対して、スプリング長手方向中心線が所定角度θ21だけ傾くようにして設けられる。第1内側ダンパースプリング21baは、仮想線に対してスプリング長手方向中心線の第1周方向端部424n側が径方向内側に所定角度θ21だけ傾くようにして設けられる。言い換えれば、第1内側中心保持部424baは、仮想線に対してスプリング長手方向中心線の第1周方向端部424n側が所定角度θ21だけ径方向内側に傾いた状態で第1内側ダンパースプリング21baを保持できるように形成されている。
また、第2内側ダンパースプリング21bbは、回転軸線X上の中心点と第2内側ダンパースプリング21bbの長手方向中心点とを通る直線に垂直に交わる仮想線に対して、スプリング長手方向中心線が所定角度θ21だけ傾くようにして設けられる。第2内側ダンパースプリング21bbは、仮想線に対してスプリング長手方向中心線の第2周方向端部424o側が径方向内側に所定角度θ21だけ傾くようにして設けられる。言い換えれば、第2内側中心保持部424bbは、仮想線に対してスプリング長手方向中心線の第2周方向端部424o側が所定角度θ21だけ径方向内側に傾いた状態で第2内側ダンパースプリング21bbを保持できるように形成されている。
つまり、内側リング424dは、内側スプリング連結部424lを挟んで周方向に隣り合う第1内側ダンパースプリング21ba、第2内側ダンパースプリング21bbのスプリング長手方向中心線同士が交差して径方向内側でなす角度θ23が駆動力伝達部424rの伝達部内側突出部424rbを挟んで周方向に隣り合う第1内側ダンパースプリング21ba、第2内側ダンパースプリング21bbのスプリング長手方向中心線同士が交差して径方向内側でなす角度θ22より大きくなるように第1内側ダンパースプリング21ba、第2内側ダンパースプリング21bbを連結することとなる。この結果、内側リップ部424pの径方向に沿った長さを適正に確保した上で、第1内側ダンパースプリング21ba、第2内側ダンパースプリング21bbから内側リップ部424pに作用する径方向分力を低減することができることから、その分、内側リップ部424pの径方向に沿った長さを相対的に短くすることができる。これにより、内側リング424dの小型化、軽量化を図ることができることから、振動の低減性能をさらに向上することができ、こもり音などの発生をさらに抑制することができ、燃費をさらに向上できる。
上記のように構成されるダンパー機構420は、図8、図9に示すように、ドライブプレート10に伝達されたエンジンからの駆動力を第1連結部471にてドライブプレート10の径方向外側部であるドライブプレートフランジ部12のドライブプレート側スプライン412bから外側ダンパー422の外側ダンパー側スプライン426fに伝達し外側リヤ保持プレート425、外側フロント保持プレート426に伝達する。そして、ダンパー機構420は、外側ダンパー422の外側リヤ保持プレート425、外側フロント保持プレート426に伝達された駆動力を各外側リヤ保持部425b、外側フロント保持部426bの周方向端部から外側ダンパー422の各外側ダンパースプリング21aの一方の周方向端部を介してこの各外側ダンパースプリング21aに伝達する。
なお、以下の説明では、各外側リヤ保持部425b、各外側フロント保持部426bの周方向端部から各第1外側ダンパースプリング21aaの第1周方向端部424t側の周方向端部を介してこの各第1外側ダンパースプリング21aaに駆動力が伝達された場合で説明する。
ダンパー機構420は、第1周方向端部424t側から各第1外側ダンパースプリング21aaに伝達された駆動力を各第1外側ダンパースプリング21aaの他方の周方向端部から第1周方向端部424iを介して外側リング424cの各外側スプリング連結部424gに伝達する。ダンパー機構420は、各外側スプリング連結部424gに伝達された駆動力を第2周方向端部424jから第2外側ダンパースプリング21abの一方の周方向端部を介してこの各第2外側ダンパースプリング21abに伝達する。
ダンパー機構420は、各第2外側ダンパースプリング21abに伝達された駆動力を第2外側ダンパースプリング21abの他方の周方向端部から第2周方向端部424uを介して中央リング424eの各駆動力伝達部424rにおける伝達部外側突出部424raに伝達する。
ダンパー機構420は、各駆動力伝達部424rにおける伝達部外側突出部424raに伝達された駆動力を各駆動力伝達部424rにおける伝達部内側突出部424rbの第1周方向端部424wから各第1内側ダンパースプリング21baの一方の周方向端部を介してこの各第1内側ダンパースプリング21baに伝達する。
ダンパー機構420は、各第1内側ダンパースプリング21baに伝達された駆動力を各第1内側ダンパースプリング21baの他方の周方向端部から第1周方向端部424nを介して内側リング424dの各内側スプリング連結部424lに伝達する。ダンパー機構420は、各内側スプリング連結部424lに伝達された駆動力を第2周方向端部424oから第2内側ダンパースプリング21bbの一方の周方向端部を介してこの各第2内側ダンパースプリング21bbに伝達する。
そして、ダンパー機構420は、各第2内側ダンパースプリング21bbに伝達された駆動力を各第2内側ダンパースプリング21bbの第2周方向端部424x側の周方向端部から各内側リヤ保持部427b、各内側フロント保持部428bの周方向端部を介して内側ダンパー423の内側リヤ保持プレート427、内側フロント保持プレート428に伝達する。そして、ダンパー機構420は、内側リヤ保持プレート427、内側フロント保持プレート428に伝達された駆動力を第2連結部72にて内側連結突起部27a、内側連結突起部28aから締結プレート29に伝達しフロントカバー30の径方向内側部に伝達する。したがって、フロントカバー30は、ドライブプレート10に伝達されたエンジンからの駆動力がダンパー機構420よって外側ダンパー422の各第1外側ダンパースプリング21aa、各第2外側ダンパースプリング21ab、内側ダンパー423の各第1内側ダンパースプリング21ba、各第2内側ダンパースプリング21bbを順番に介して伝達され、ドライブプレート10と同一方向に回転する。
この間、各第1外側ダンパースプリング21aaは、各外側リヤ保持部425b、各外側フロント保持部426bの各周方向端部と各第1周方向端部424iとの間に保持されつつ弾性変形する。各第2外側ダンパースプリング21abは、各第2周方向端部424jと各第2周方向端部424uとの間に保持されつつ弾性変形する。各第1内側ダンパースプリング21baは、第1周方向端部424wと第1周方向端部424nとの間に保持されつつ弾性変形する。各第2内側ダンパースプリング21bbは、第2周方向端部424oと各内側リヤ保持部427b、各内側フロント保持部428bの周方向端部との間に保持されつつ弾性変形する。
なお、各外側リヤ保持部425b、各外側フロント保持部426bの周方向端部から各第2外側ダンパースプリング21abの第2周方向端部424u側の周方向端部を介してこの各第2外側ダンパースプリング21abに駆動力が伝達された場合は、フロントカバー30は、ドライブプレート10に伝達されたエンジンからの駆動力がダンパー機構420によって外側ダンパー422の各第2外側ダンパースプリング21ab、各第1外側ダンパースプリング21aa、内側ダンパー423の各第2内側ダンパースプリング21bb、各第1内側ダンパースプリング21baを順番に介して伝達され、ドライブプレート10と同一方向に回転する。
この間、各第2外側ダンパースプリング21abは、各外側リヤ保持部425b、各外側フロント保持部426bの各周方向端部と各第2周方向端部424jとの間に保持されつつ弾性変形する。各第1外側ダンパースプリング21aaは、各第1周方向端部424iと各第1周方向端部424tとの間に保持されつつ弾性変形する。各第2内側ダンパースプリング21bbは、第2周方向端部424xと第2周方向端部424oとの間に保持されつつ弾性変形する。各第1内側ダンパースプリング21baは、第1周方向端部424nと各内側リヤ保持部427b、各内側フロント保持部428bの周方向端部との間に保持されつつ弾性変形する。
したがって、本実施形態のトルクコンバータ401は、ドライブプレート10の径方向外側部からフロントカバー30の径方向内側部に駆動力を伝達する際、ドライブプレート10に伝達された駆動力は、駆動力の伝達経路に対して直列に外側ダンパー422の第1外側ダンパースプリング21aa、第2外側ダンパースプリング21ab及び内側ダンパー423の第1内側ダンパースプリング21ba、第2内側ダンパースプリング21bbを介してフロントカバー30に伝達されることから、ダンパー機構420の各外側ダンパースプリング21a、内側ダンパースプリング21bで蓄積可能なエネルギーを多くすることができ、ダンパー機構420におけるこもり音の防止などの振動減衰特性、すなわち、ダンパー性能をさらに向上することができる。
ここで、中央リング424eにおいて第2外側ダンパースプリング21abと第1内側ダンパースプリング21baとの間、あるいは、第1外側ダンパースプリング21aaと第2内側ダンパースプリング21bbと間で相互に駆動力を伝達する駆動力伝達部424rは、作用点近接部424zとしても機能する。
すなわち、作用点近接部424zとして機能する駆動力伝達部424rは、上述したように、伝達部外側突出部424raと伝達部内側突出部424rbとが周方向に対する中心位置がほぼ一致するように設けられ、全体として伝達部外側突出部424raと伝達部内側突出部424rbとが一体となって径方向に沿って延在するような形状で形成される。
そして、中心保持プレート組立体424は、第2外側ダンパースプリング21abと第1内側ダンパースプリング21baとの間で駆動力を伝達する際には、第2外側ダンパースプリング21abが駆動力伝達部424rの第2周方向端部424uに接触し、第1内側ダンパースプリング21baが駆動力伝達部424rの第1周方向端部424wに接触する。また、中心保持プレート組立体424は、第1外側ダンパースプリング21aaと第2内側ダンパースプリング21bbと間で駆動力を伝達する際には、第1外側ダンパースプリング21aaが駆動力伝達部424rの第1周方向端部424tに接触し、第2内側ダンパースプリング21bbとが駆動力伝達部424rの第2周方向端部424xに接触する。
つまり、中心保持プレート組立体424は、第2外側ダンパースプリング21abと第1内側ダンパースプリング21baとの間、あるいは、第1外側ダンパースプリング21aaと第2内側ダンパースプリング21bbと間で駆動力を伝達する際には、径方向に沿って延在し作用点近接部424zとして機能する駆動力伝達部424rにおいて、第1外側ダンパースプリング21aa又は第2外側ダンパースプリング21abから力が作用する作用点と、第1内側ダンパースプリング21ba又は第2内側ダンパースプリング21bbから力が作用する作用点とが周方向に近接することとなる。すなわち、伝達部外側突出部424raと伝達部内側突出部424rbとが周方向に対する中心位置がほぼ一致し、径方向に沿って重なるように配置されていることから、作用点近接部424zとして機能する駆動力伝達部424rにおいて、第1外側ダンパースプリング21aa又は第2外側ダンパースプリング21abから力が作用する作用点と、第1内側ダンパースプリング21ba又は第2内側ダンパースプリング21bbから力が作用する作用点とが周方向に近接することとなる。
この結果、作用点近接部424zとして機能する駆動力伝達部424rにおいて、第1外側ダンパースプリング21aa又は第2外側ダンパースプリング21abから力が作用する作用点と、第1内側ダンパースプリング21ba又は第2内側ダンパースプリング21bbから力が作用する作用点とを周方向に極力近づけることができることから、中央リング424eにおいて駆動力を伝達する部分である駆動力伝達部424rの周方向に沿った長さを極力短くすることができる。そして、中央リング424eにおいて駆動力を伝達しない中央リング状部424qは、径方向の厚みを遠心力に耐えられる程度の強度が確保できる厚みまで薄くすることができる。つまり、駆動力伝達部424rの周方向に沿った長さを極力短くすることができることから、中央リング424eにおいて駆動力を伝達する部分である駆動力伝達部424rの径方向の厚みを相対的に厚くして十分な強度を確保した上で、径方向の厚みを薄くすることができる中央リング状部424qの領域を広くすることができる。この結果、中央リング424eにおいて駆動力を伝達する駆動力伝達部424rの剛性を十分に確保した上で、中央リング424eを軽量化することができる。
以上で説明した本発明の実施形態に係るトルクコンバータ401によれば、ダンパー機構420の径方向内側の内側連結突起部27a、内側連結突起部28aとフロントカバー30の径方向内側部との第2連結部72にて締結プレート29により十分な剛性が確保される一方、径方向外側の外側ダンパー側スプライン426fとドライブプレート10におけるドライブプレートフランジ部12のドライブプレート側スプライン412bとの第1連結部71にてダンパー機構420が軸方向に沿って移動可能であることから、このダンパー機構420全体での変形が軸方向に沿った平行移動に近い形の変形となるので、ダンパー性能を悪化させる変形を低減することができ、大型化を抑制しつつ振動低減性能を向上することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施形態に係るトルクコンバータ401によれば、ダンパー機構420において径方向外側に外側ダンパー422が配置され径方向内側に内側ダンパー423が配置されて、ドライブプレート10に伝達された駆動力が径方向に沿って外側ダンパー側スプライン426fから外側ダンパースプリング21a、中心保持プレート組立体424、内側ダンパースプリング21bを順番に介して内側連結突起部27a、内側連結突起部28aに直列的に伝達されることから、振動低減性能をさらに向上することができると共にこのダンパー機構420全体での変形が軸方向に沿った平行移動に近い形の変形となるので、ダンパー性能を悪化させる変形を低減することができる。この結果、ダンパー機構420において駆動力を径方向に沿って外側ダンパー側スプライン426fから外側ダンパースプリング21aと内側ダンパースプリング21bとを順番に介して内側連結突起部27a、内側連結突起部28aに直列的に伝達することでさらに装置のコンパクト化及び振動低減性能の向上を図った上で、変形に起因したダンパー機構420におけるフリクションを低減することができ、ダンパー機構420におけるこもり音の防止などのダンパー性能をさらに向上することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施形態に係るトルクコンバータ401によれば、中心保持プレート組立体424は、径方向に沿って形成される作用点近接部424zとして機能する駆動力伝達部424rを有し、駆動力を伝達する際には、外側ダンパースプリング21aが駆動力伝達部424rの周方向一端部に接触し内側ダンパースプリング21bが駆動力伝達部424rの周方向他端部に接触する。したがって、作用点近接部424zとして機能する駆動力伝達部424rにおいて、外側ダンパースプリング21aから力が作用する作用点と、内側ダンパースプリング21bから力が作用する作用点とを周方向に極力近づけることができることから、駆動力伝達部424rの周方向に沿った長さを極力短くすることができる。この結果、中心保持プレート組立体424において駆動力を伝達する駆動力伝達部424rの剛性を十分に確保した上で、駆動力を伝達しない他の部分の領域を広くしこの部分を軽量化することができ、よって、振動の低減性能をさらに向上することができ、こもり音などの発生をさらに抑制することができ、燃費をさらに向上できる。
さらに、以上で説明した本発明の実施形態に係るトルクコンバータ401によれば、中心保持プレート組立体424は、少なくとも2つの外側ダンパースプリング21aを外側スプリング連結部424gを介して相互に駆動力を伝達可能に連結する外側リング424cと、外側リング424cの径方向内側に設けられ少なくとも2つの内側ダンパースプリング21bを内側スプリング連結部424lを介して相互に駆動力を伝達可能に連結する内側リング424dと、径方向に対して外側リング424cと内側リング424dとの間にこの外側リング424c及び内側リング424dに対して相対回転可能に設けられ、外側ダンパースプリング21aと内側ダンパースプリング21bとを駆動力伝達部424rを介して相互に駆動力を伝達可能に連結する中央リング424eとを有する。
したがって、中心保持プレート組立体424は、ダンパー機構420における駆動力の伝達経路に対して、外側リング424cにより外側スプリング連結部424gを介して直列に連結された少なくとも2つの外側ダンパースプリング21aと、内側リング424dにより内側スプリング連結部424lを介して直列に連結された少なくとも2つの内側ダンパースプリング21bとをさらに中央リング424eにより駆動力伝達部424rを介し直列に連結することから、少なくとも2つの外側ダンパースプリング21aと2つの内側ダンパースプリング21bの合計4つのダンパースプリング21を1組として駆動力の伝達経路に対して直列に連結することができる。この結果、振動の低減性能をさらに向上することができることから、こもり音などの発生をさらに抑制することができ、ロックアップクラッチ機構50をONにすることができる回転数領域を拡大することができ、比較的に低回転数の領域でロックアップクラッチ機構50をONにすることができるので燃費をさらに向上できる。
さらに、以上で説明した本発明の実施形態に係るトルクコンバータ401によれば、中央リング424eは、駆動力伝達部424rの径方向外側端部である先端部424sに外側ダンパースプリング21aから作用する径方向分力を受ける外側リップ部424yを有し、外側リング424cは、駆動力伝達部424rを挟んで周方向に隣り合う外側ダンパースプリング21aのスプリング長手方向中心線同士が交差して径方向内側でなす角度θ12が外側スプリング連結部424gを挟んで周方向に隣り合う外側ダンパースプリング21aのスプリング長手方向中心線が交差して径方向内側でなす角度θ13より大きくなるように外側ダンパースプリング21aを連結し、内側リング424dは、内側スプリング連結部424lの径方向外側端部である先端部424mに内側ダンパースプリング21bから作用する径方向分力を受ける内側リップ部424pを有し、内側スプリング連結部424lを挟んで周方向に隣り合う内側ダンパースプリング21bのスプリング長手方向中心線同士が交差して径方向内側でなす角度θ23が駆動力伝達部424rを挟んで周方向に隣り合う内側ダンパースプリング21bのスプリング長手方向中心線同士が交差して径方向内側でなす角度θ22より大きくなるように内側ダンパースプリング21bを連結する。
したがって、外側リップ部424y、内側リップ部424pの径方向に沿った長さを適正に確保した上で、外側ダンパースプリング21a、内側ダンパースプリング21bから外側リップ部424y、内側リップ部424pに作用する径方向分力を低減することができることから、その分、外側リップ部424y、内側リップ部424pの径方向に沿った長さを相対的に短くすることができる。これにより、中心保持プレート組立体424の小型化、軽量化を図ることができることから、振動の低減性能をさらに向上することができ、こもり音などの発生をさらに抑制することができ、燃費をさらに向上できる。
なお、上述した本発明の実施形態に係る駆動力伝達装置は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。本発明の実施形態に係る駆動力伝達装置は、以上で説明した実施形態を複数組み合わせることで構成してもよい。例えば、本発明の作用点近接部を実施形態1乃至実施形態3の伝達部材に設けるようにしてもよい。
以上の説明では、ダンパー手段は、内側連結部が高剛性部を介して固定して連結され外側連結部が回転軸線に沿った軸方向に移動可能に連結されるものとして説明したが、外側連結部が高剛性部を介して固定して連結され内側連結部が回転軸線に沿った軸方向に移動可能に連結されるものであってもよい。
以上の説明では、ダンパー手段は、駆動力の伝達経路に対して直列に外側ダンパーの外側弾性体と内側ダンパーの内側弾性体とが配置されるものとして説明したが、これに限らず、駆動力の伝達経路に対して並列に外側ダンパーの外側弾性体と内側ダンパーの内側弾性体とが配置されるものであってもよい。
以上の説明では、駆動力伝達部424rは、上述したように、伝達部外側突出部424raと伝達部内側突出部424rbとが周方向に対する中心位置がほぼ一致するように設けられ、全体として伝達部外側突出部424raと伝達部内側突出部424rbとが一体となって径方向に沿って延在するような形状で形成されるものとして説明したがこれに限らない。駆動力伝達部424rは、例えば、伝達部外側突出部424raの周方向に対する中心位置と伝達部内側突出部424rbの周方向に対する中心位置とがずれていてもよい。この場合、中央リング状部424qにおいて、伝達部外側突出部424raと伝達部内側突出部424rbとの間で駆動力を伝達する部分の径方向の厚みを厚くしておけばよい。
以上の説明では、ロックアップ手段は、摩擦係合面が係合部材としてのロックアップピストン51に設けられる摩擦材55と第2部材としてのフロントカバー30のフロントカバー内壁面31dとにより構成されるものとして説明したが、摩擦材55をフロントカバー内壁面31dに設け、ロックアップピストン51において摩擦材55と軸方向に対向する壁面とこの摩擦材55により摩擦係合面を構成するようにしてもよい。