本発明は、高誘電体膜を用いたキャパシタおよびキャパシタの製造方法およびそのキャパシタを用いた半導体装置に関するものである。
従来のキャパシタ用絶縁膜には、窒化酸化シリコン(SiON)(比誘電率4〜7)、窒化シリコン(SiN)(比誘電率7)等が用いられてきた。しかし、デバイスの微細化とそれに伴う高集積化に伴い、メモリーセルのキャパシタの高容量化、DRAM(ダイナミックランダムアクセスメモリ)の特性向上のためにキャパシタのリーク電流を低く抑える必要が生じてきている。
キャパシタ容量を上げるためには、キャパシタ面積を広げること、単位面積あたりの容量を上げる等の手法がある。前者のキャパシタ面積を広げるためには、キャパシタ構造に、例えばピラー形状やトレンチ形状など、さまざまな形状を採用することが行われている。さらにキャパシタの表面積を増加させるため、KSGや粗面ポリシリコンなどの技術も開発され、実デバイスでの適用が図られている。
キャパシタの容量は一般的に、C=ε×S/t(ε:キャパシタ絶縁膜の誘電率、S:キャパシタの実行面積、t:キャパシタ絶縁膜の膜厚)で表される。ここで、単位面積あたりの容量を上げるには、誘電体膜を薄くする、もしくは誘電体膜自体の誘電率を上げればよい。誘電体膜自体の薄膜化は、ある程度可能であるが、薄くなるに従いリーク電流が増えるため、薄膜化には限界がある。そこで、残された方法としてキャパシタの誘電体膜に高誘電体材料を用いることが行われている。例えば、高誘電率の金属酸化膜の薄膜が用いられている。高誘電体金属酸化膜には、酸化アルミニウム(Al2O3):比誘電率10、酸化ハフニウム(HfO2):比誘電率15〜40、ハフニウムシリケート(HfSiOx):比誘電率11〜15などがある。成膜には原子層蒸着法〔ALD(Atomic Layer Deposition)法〕、有機金属−化学的気相成長法(MO−CVD法)、スパッタリング法などがあるが、カバリッジ性能の面からALD法、MO−CVD法が用いられる。
例えば、酸化ハフニウムを誘電体膜に用いたキャパシタの製造工程は、まず、図9(1)に示すように、シリコン基板101を用意する。次に、図9(2)に示すように、上記シリコン基板101上に酸化ハフニウムからなる高誘電体層102を形成する。次に、図9(3)に示すように、酸化ハフニウム102上に電流層103を形成する。その後、熱処理を行う。この結果、図9(4)に示すように、高誘電体層102の酸化ハフニウムが結晶化する。
さらに、金属酸化膜からなる高誘電体膜の誘電率を向上させるためや、リーク性能、耐熱性の向上を図るために、金属酸化膜からなる高誘電体膜を成膜した後、アンモニア(NH3)雰囲気などでアニール処理を行うことで、膜中に窒素を導入し、高誘電体金属酸窒化薄膜にする方法がとられている(例えば、非特許文献1参照。)。
T.Watababe,M.Takayanagi,R.Iijima,K.Ishimaru,H.Ishiuchi,Y.Tsunashima著 「Design Guideline of HfSiON Gate Dielectrics for 65 nm CMOS Generation」Symposium on VLSI Technology Digest of Technical Papers 2003年
解決しようとする問題点は、ディープトレンチ向けの高誘電体材料(High−k材料)の一つである酸化ハフニウム(HfO2)は、耐熱性が不十分であり、後工程でかかる熱工程により結晶化が進み、結晶粒界に電流のリーク経路が形成されてしまい、その結果、リーク電流の増大が引き起こされるという点がある。また、リーク電流を低減させる施策として、シリコン(Si)や窒素(N)を添加したHfSiO膜や、HfSiON膜があるが、これらの膜を利用した場合、耐熱性は向上するものの誘電率が低下してしまうため、耐熱性を確保しつつ、リーク電流を抑え、容量を確保することが難しい点である。
本発明のキャパシタは、シリコンよりなる第1電極と、第1電極の上に形成され、シリコン窒化膜よりなる厚さ1nm以下の界面層と、界面層上に形成され、結晶構造がアモルファスで、ハフニウム元素に対するシリコン元素の量が60%以上70%以下の窒化ハフニウムシリケートよりなり、厚さ2nm以下の第1高誘電体層と、第1高誘電体層の上に形成され、アルミニウム、ハフニウム、タンタル、ジルコニウム、チタン、イリジウム、ランタン、イットリウムおよびプラセオジムのうちの少なくとも一つの元素を含む金属酸化膜よりなる第2高誘電体層と、第2高誘電体層の上に形成され、結晶構造がアモルファスで、ハフニウム元素に対するシリコン元素の量が60%以上70%以下の窒化ハフニウムシリケートよりなり、厚さ2nm以下の第3高誘電体層と、第3高誘電体層上に形成され、シリコンよりなる第2電極と、を備える。
本発明のキャパシタの製造方法は、シリコンよりなる第1電極を形成する工程と、第1電極上に、シリコン窒化膜よりなる厚さ1nm以下の界面層を形成する工程と、界面層上に、結晶構造がアモルファスで、ハフニウム元素に対するシリコン元素の量が60%以上70%以下のハフニウムシリケートよりなり、厚さ2nm以下の第1高誘電体層を、原子層蒸着法又は有機金属−化学気相成長法により形成する工程と、第1高誘電体層上に、アルミニウム、ハフニウム、タンタル、ジルコニウム、チタン、イリジウム、ランタン、イットリウムおよびプラセオジムのうちの少なくとも一つの元素を含む金属酸化膜よりなる第2高誘電体層を形成する工程と、第2高誘電体層上に、結晶構造がアモルファスで、ハフニウム元素に対するシリコン元素の量が60%以上70%以下のハフニウムシリケートよりなり、厚さ2nm以下の第1高誘電体層を、原子層蒸着法又は有機金属−化学気相成長法により形成する工程と、第1から第3高誘電体層を窒化処理する工程と、第3高誘電体層上に、シリコンよりなる第2電極を形成する工程と、を含む。
本発明の半導体装置は、基板上にキャパシタを備え、このキャパシタは、シリコンよりなる第1電極と、第1電極の上に形成され、シリコン窒化膜よりなる厚さ1nm以下の界面層と、界面層上に形成され、結晶構造がアモルファスで、ハフニウム元素に対するシリコン元素の量が60%以上70%以下の窒化ハフニウムシリケートよりなり、厚さ2nm以下の第1高誘電体層と、第1高誘電体層の上に形成され、アルミニウム、ハフニウム、タンタル、ジルコニウム、チタン、イリジウム、ランタン、イットリウムおよびプラセオジムのうちの少なくとも一つの元素を含む金属酸化膜よりなる第2高誘電体層と、第2高誘電体層の上に形成され、結晶構造がアモルファスで、ハフニウム元素に対するシリコン元素の量が60%以上70%以下の窒化ハフニウムシリケートよりなり、厚さ2nm以下の第3高誘電体層と、第3高誘電体層上に形成され、シリコンよりなる第2電極と、を備える。
本発明のキャパシタは、キャパシタを構成する誘電体層が、高誘電体材料からなる高誘電体層を含み、この高誘電体層は、少なくともキャパシタを構成する第1電極、第2電極および誘電体層の一部を構成する界面層との界面を有するもので、第1電極側および第2電極側の少なくとも一方の側に結晶構造がアモルファスの層を有するため、このアモルファス層によってリーク電流経路の生成が防止でき、リーク電流の発生を防止することができるという利点がある。また、誘電体層の内部は結晶化した状態であってよいので、高誘電率状態を維持でき、誘電体層としては高い誘電率を確保することができる。よって、耐熱性を有した低リーク電流で高容量のキャパシタを提供することができる。
本発明のキャパシタの製造方法は、誘電体層の一部を構成する界面層上にアモルファス状態を維持する第1高誘電体層を形成する工程と、第1高誘電体層上に高誘電体からなる第2高誘電体層を形成する工程と、第2高誘電体層上にアモルファス状態を維持する第3高誘電体層を形成する工程とを有するため、第2高誘電体層を結晶化した状態とすることができるので、第2誘電体層を高誘電率状態に維持でき、誘電体層としては高い誘電率を確保することができる。また、第2高誘電体層を挟むようにアモルファス状態を維持する第1、第3高誘電体層を形成するので、これらのアモルファス層によってリーク電流経路の生成が防止でき、リーク電流の発生を防止することができるという利点がある。よって、耐熱性を有した低リーク電流で高容量のキャパシタを提供することができる。
本発明の半導体装置は、本発明のキャパシタを用いているため、耐熱性を有した低リーク電流で高容量のキャパシタを用いることができるという利点がある。これにより、半導体装置のキャパシタ性能の向上が期待できる。
キャパシタの耐熱性を確保しつつキャパシタの誘電体層のリーク電流の発生を抑制するという目的を、キャパシタの誘電体層にアモルファス層を導入することで実現した。
本発明のキャパシタおよびその製造方法に係る第1実施例を、図1の製造工程断面図によって説明する。
図1(1)に示すように、少なくとも表面に第1電極11が形成された基板を用意する。この第1電極11は、例えばシリコン層からなる。このシリコン層は、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコンのいずれでもよい。また、上記シリコン層は表面が平面であるが、表面形状は凹形状であってもよく平面に限らない。すなわち、シリコン層11が表面に出ていれば、その形状はスタック形状、トレンチ形状でもよい。
次に、前洗浄処理によって、上記シリコン層表面の洗浄を行う。この前洗浄は、例えば0.1%フッ酸(HF)溶液を用いて、シリコン層表面の自然酸化膜を除去する。これはシリコン層と高誘電体金属酸窒化膜で形成される誘電体層との界面に誘電率が低い層が形成されるのを防ぐためのものである。
さらに窒化処理を行う。この時の窒化処理は、アンモニア(NH3)ガス雰囲気で800℃の熱窒化処理である。この窒化処理は処理形態に限定することはなく、ラジカル窒化などの処理であってもよく、シリコン層への酸素拡散が抑制される厚さの窒化シリコン膜12が形成されればよい。上記窒化シリコン膜12は、例えば1nm以下の厚さに形成されることが好ましい。
次に、図1(2)に示すように、上記窒化シリコン膜12上に、アモルファス状態を維持する第1高誘電体層13を形成する。この第1高誘電体層13は、例えば高誘電体金属酸化膜(高誘電体金属シリケート膜)からなり、例えばハフニウムシリケート(HfSiOx)膜からなる。この成膜方法は、例えばALD法、MO−CVD法などを用いることができ、この例ではALD法にてHfSiOx膜を成膜した。その膜厚は、2nm以下が望ましく、本実施例においては2nmの厚さに形成している。また、本実施例でのシリコン量は、ハフニウム元素に対し、例えば50%程度としている。このハフニウム元素に対するシリコンの割合は、誘電体層の耐熱性と誘電率とから設定することができる。上記成膜では、ALD法にて、ハフニウムプリカーサの吸着→酸化→シリコンプリカーサの吸着→酸化→ハフニウムプリカーサの吸着→酸化というように、ハフニウムプリカーサの吸着と酸化、シリコンプリカーサの吸着と酸化という工程を順に繰り返し行えばよい。上記ハフニウムプリカーサは、例えばハフニウム−トリ−ブトキサイド(Hf−t−butoxide)を用いることができ、上記シリコンプリカーサには、テトラクロロシラン(TCS)を用いることができる。また、酸化には、H2O、オゾン(O3)などの酸化性ガスを用いることができる。この成膜温度は、例えば300℃に設定し、ここでは、ハフニウムシリケート(HfSiO)膜を2nmの厚さに形成している。
次に、図1(3)に示すように、上記第1高誘電体層13上に、第2高誘電体層14を形成する。この第2高誘電体層14は、例えば高誘電体金属酸化膜からなり、例えば酸化ハフニウム(HfO2)膜からなる。HfO2膜の形成も、上記同様にALD法で行うことができる。例えば、ハフニウムプリカーサの吸着→酸化→ハフニウムプリカーサの吸着…というように、ハフニウムプリカーサの吸着と酸化を繰り返し行えばよい。上記ハフニウムプリカーサは、例えばハフニウム−トリ−ブトキサイド(Hf−t−butoxide)を用いることができ、また、酸化には、H2O、オゾン(O3)などの酸化性ガスを用いることができる。この成膜温度は、例えば300℃に設定し、ここでは、酸化ハフニウム(HfO2)膜を4nmの厚さに形成している。
次に、図1(4)に示すように、上記第2高誘電体層14上に、アモルファス状態を維持する第3高誘電体層15を形成する。この第3高誘電体層15は、前記第1高誘電体層13と同様に、例えば高誘電体金属酸化膜(高誘電体金属シリケート膜)からなり、例えばハフニウムシリケート(HfSiO)膜からなる。この成膜方法は、例えばALD法、MO−CVD法などを用いることができ、この例ではALD法にてHfSiOx膜を成膜した。その膜厚は、2nm以下が望ましく、本実施例においては2nmの厚さに形成している。また、本実施例でのシリコン量は、ハフニウム元素に対し、例えば50%程度としている。このハフニウム元素に対するシリコンの割合は、誘電体層の耐熱性と誘電率とから設定することができる。上記成膜では、ALD法にて、ハフニウムプリカーサの吸着→酸化→シリコンプリカーサの吸着→酸化→ハフニウムプリカーサの吸着→酸化というように、ハフニウムプリカーサの吸着と酸化、シリコンプリカーサの吸着と酸化という工程を順に繰り返し行えばよい。上記ハフニウムプリカーサは、例えばハフニウム−トリ−ブトキサイド(Hf−t−butoxide)を用いることができ、上記シリコンプリカーサには、テトラクロロシラン(TCS)を用いることができる。また、酸化には、H2O、オゾン(O3)などの酸化性ガスを用いることができる。この成膜温度は、例えば300℃に設定し、ここでは、ハフニウムシリケート(HfSiO)膜を2nmの厚さに形成している。
次に、図1(5)に示すように、第3高誘電体層15から第1高誘電体層13までを窒化処理する。この窒化処理は、例えば、800℃のアンモニア(NH3)ガス雰囲気で行う。
次に、図1(6)に示すように、上記第3高誘電体層15上にキャパシタの第2電極16を形成する。この第2電極16は、例えば、ポリシリコン膜を用い、望ましくは、100nm程度の厚さのポリシリコン膜で形成する。
このようにして、シリコン層からなる第1電極11、窒化シリコン膜12、アモルファス状態を維持する第1高誘電体層13、酸化ハフニウムからなる第2高誘電体層14、アモルファス状態を維持する第3高誘電体層15、第2電極16を積層してなるキャパシタ1が完成する。
また、図2に示すように、上記構成のキャパシタ1は、後に熱工程で1050℃程度の熱処理(例えばRTA処理)などが入っても、第1電極11、第2電極16近傍の誘電体層である第1高誘電体層13、第3高誘電体層15はアモルファス状態が保たれる。また、第2高誘電体層14を構成する酸化ハフニウム(HfO2)は耐熱性に乏しいため、結晶化を起こし、粒界からなる電流リーク経路Lが形成されるが、第1電極11、第2電極16近傍にあるアモルファス層が電流リーク経路Lを遮断しているため、良好なリーク特性を保ちつつ、誘電率の高い酸化ハフニウム(HfO2)を第2高誘電体層14に使用することができるので、キャパシタ1は高容量のものとすることができる。
また、上記第1、第3高誘電体層13、15は、例えば、ハフニウムに、シリコン、酸素、窒素のうちの少なくとも一つの元素を含むものを用いる。上記第2高誘電体層14は、例えば、アルミニウム、ハフニウム、タンタル、ジルコニウム、チタン、イリジウム、ランタン、イットリウムおよびプラセオジムのうちの少なくとも一つの元素を含むものを用いることができ、結晶化されている。したがって、上記高誘電体金属酸化膜としては、上記酸化ハフニウムの他に、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ジルコニウム(Zr2O3)、酸化プラセオジム(PrO2)、酸化ランタン(La2O3)などの膜、これらのシリケート膜、また、これら元素の多元系材料の膜として、例えば酸化アルミニウムハフニウム(HfAlOx)を用いることができる。
次に、本発明のキャパシタおよびその製造方法に係る第2実施例を、図3の製造工程断面図によって説明する。
図3(1)に示すように、少なくとも表面に第1電極11が形成された基板を用意する。この第1電極11は、例えばシリコン層からなる。このシリコン層は、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコンのいずれでもよい。また、上記シリコン層は表面が平面であるが、表面形状は凹形状であってもよく平面に限らない。すなわち、シリコン層11が表面に出ていれば、その形状はスタック形状、トレンチ形状でもよい。
次に、前洗浄処理によって、上記シリコン層表面の洗浄を行う。この前洗浄は、例えば0.1%フッ酸(HF)溶液を用いて、シリコン層表面の自然酸化膜を除去する。これはシリコン層と高誘電体金属酸窒化膜で形成される誘電体層との界面に誘電率が低い層が形成されるのを防ぐためのものである。
さらに窒化処理を行う。この時の窒化処理は、アンモニア(NH3)ガス雰囲気で800℃の熱窒化処理である。この窒化処理は処理形態に限定することはなく、ラジカル窒化などの処理であってもよく、シリコン層への酸素拡散が抑制される厚さの窒化シリコン膜12が形成されればよい。上記窒化シリコン膜12は、例えば1nm以下の厚さに形成されることが好ましい。
次に、上記窒化シリコン膜12上に、アモルファス状態を維持する第1高誘電体層13を形成する。この第1高誘電体層13は、例えば高誘電体金属酸化膜(高誘電体金属シリケート膜)からなり、例えばハフニウムシリケート(HfSiOx)膜からなる。この成膜方法は、例えばALD法、MO−CVD法などを用いることができ、この例ではALD法にてHfSiOx膜を成膜した。その膜厚は、2nm以下が望ましく、本実施例においては2nmの厚さに形成している。また、本実施例でのシリコン量は、ハフニウム元素に対し、例えば50%程度としている。このハフニウム元素に対するシリコンの割合は、誘電体層の耐熱性と誘電率とから設定することができる。上記成膜では、ALD法にて、ハフニウムプリカーサの吸着→酸化→シリコンプリカーサの吸着→酸化→ハフニウムプリカーサの吸着→酸化というように、ハフニウムプリカーサの吸着と酸化、シリコンプリカーサの吸着と酸化という工程を順に繰り返し行えばよい。上記ハフニウムプリカーサは、例えばハフニウム−トリ−ブトキサイド(Hf−t−butoxide)を用いることができ、上記シリコンプリカーサには、テトラクロロシラン(TCS)を用いることができる。また、酸化には、H2O、オゾン(O3)などの酸化性ガスを用いることができる。この成膜温度は、例えば300℃に設定し、ここでは、ハフニウムシリケート(HfSiO)膜を2nmの厚さに形成している。
次に、図3(2)に示すように、第1高誘電体層13を窒化処理する。この窒化処理は、例えば、800℃のアンモニア(NH3)ガス雰囲気で行って、第1高誘電体層13をHfSiON化する。上記窒化処理の形態はラジカル窒化などの処理を用いることもできる。
次に、図3(3)に示すように、上記窒化処理を行った第1高誘電体層13上に、第2高誘電体層14を形成する。この第2高誘電体層14は、例えば高誘電体金属酸化膜からなり、例えば酸化ハフニウム(HfO2)膜からなる。HfO2膜の形成も、上記同様にALD法で行うことができる。例えば、ハフニウムプリカーサの吸着→酸化→ハフニウムプリカーサの吸着…というように、ハフニウムプリカーサの吸着と酸化を繰り返し行えばよい。上記ハフニウムプリカーサは、例えばハフニウム−トリ−ブトキサイド(Hf−t−butoxide)を用いることができ、また、酸化には、H2O、オゾン(O3)などの酸化性ガスを用いることができる。この成膜温度は、例えば300℃に設定し、ここでは、酸化ハフニウム(HfO2)膜を4nmの厚さに形成している。
次に、図3(4)に示すように、第2高誘電体層14を窒化処理する。この窒化処理は、例えば、800℃のアンモニア(NH3)ガス雰囲気で行って、第2高誘電体層14をHfON化する。上記窒化処理の形態はラジカル窒化などの処理を用いることもできる。
次に、図3(5)に示すように、上記窒化処理した第2高誘電体層14上に、アモルファス状態を維持する第3高誘電体層15を形成する。この第3高誘電体層15は、前記第1高誘電体層13と同様に、例えば高誘電体金属酸化膜(高誘電体金属シリケート膜)からなり、例えばハフニウムシリケート(HfSiO)膜からなる。この成膜方法は、例えばALD法、MO−CVD法などを用いることができ、この例ではALD法にてHfSiOx膜を成膜した。その膜厚は、2nm以下が望ましく、本実施例においては2nmの厚さに形成している。また、本実施例でのシリコン量は、ハフニウム元素に対し、例えば50%程度としている。このハフニウム元素に対するシリコンの割合は、誘電体層の耐熱性と誘電率とから設定することができる。上記成膜では、ALD法にて、ハフニウムプリカーサの吸着→酸化→シリコンプリカーサの吸着→酸化→ハフニウムプリカーサの吸着→酸化というように、ハフニウムプリカーサの吸着と酸化、シリコンプリカーサの吸着と酸化という工程を順に繰り返し行えばよい。上記ハフニウムプリカーサは、例えばハフニウム−トリ−ブトキサイド(Hf−t−butoxide)を用いることができ、上記シリコンプリカーサには、テトラクロロシラン(TCS)を用いることができる。また、酸化には、H2O、オゾン(O3)などの酸化性ガスを用いることができる。この成膜温度は、例えば300℃に設定し、ここでは、ハフニウムシリケート(HfSiO)膜を2nmの厚さに形成している。
次に、上記第3高誘電体層15上にキャパシタの第2電極16を形成する。この第2電極16は、例えば、ポリシリコン膜を用い、望ましくは、100nm程度の厚さのポリシリコン膜で形成する。
このようにして、シリコン層からなる第1電極11、窒化シリコン膜12、アモルファス状態を維持する第1高誘電体層13、窒化酸化ハフニウムからなる第2高誘電体層14、アモルファス状態を維持する第3高誘電体層15、第2電極16を積層してなるキャパシタ2が完成する。
また、図4に示すように、上記構成のキャパシタ2は、後に熱工程で1050℃程度の熱処理(例えばRTA処理)などが入っても、第1電極11、第2電極16近傍の誘電体層である第1高誘電体層13、第3高誘電体層15はアモルファス状態が保たれる。また、第2高誘電体層14を構成する窒化酸化ハフニウム(HfON)は耐熱性に乏しいため、結晶化を起こし、粒界からなる電流リーク経路Lが形成されるが、第1電極11、第2電極16近傍にあるアモルファス層が電流リーク経路Lを遮断しているため、良好なリーク特性を保ちつつ、誘電率の高い酸化ハフニウム(HfON)を第2高誘電体層14に使用することができるので、キャパシタ2は高容量のものとすることができる。
また、上記第1、第3高誘電体層13、15は、例えば、ハフニウムに、シリコン、酸素、窒素のうちの少なくとも一つの元素を含むものを用いる。上記第2高誘電体層14は、例えば、アルミニウム、ハフニウム、タンタル、ジルコニウム、チタン、イリジウム、ランタン、イットリウムおよびプラセオジムのうちの少なくとも一つの元素を含むものを用いることができ、結晶化されている。したがって、上記高誘電体金属酸化膜としては、上記酸化ハフニウムの他に、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ジルコニウム(Zr2O3)、酸化プラセオジム(PrO2)、酸化ランタン(La2O3)などの膜、これらのシリケート膜、また、これら元素の多元系材料の膜として、例えば酸化アルミニウムハフニウム(HfAlOx)を用いることができる。
次に、本発明のキャパシタおよびその製造方法に係る第3実施例を、図5の製造工程断面図によって説明する。
図5(1)に示すように、少なくとも表面に第1電極11が形成された基板を用意する。この第1電極11は、例えばシリコン層からなる。このシリコン層は、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコンのいずれでもよい。また、上記シリコン層は表面が平面であるが、表面形状は凹形状であってもよく平面に限らない。すなわち、シリコン層11が表面に出ていれば、その形状はスタック形状、トレンチ形状でもよい。
次に、前洗浄処理によって、上記シリコン層表面の洗浄を行う。この前洗浄は、例えば0.1%フッ酸(HF)溶液を用いて、シリコン層表面の自然酸化膜を除去する。これはシリコン層と高誘電体金属酸窒化膜で形成される誘電体層との界面に誘電率が低い層が形成されるのを防ぐためのものである。
さらに窒化処理を行う。この時の窒化処理は、アンモニア(NH3)ガス雰囲気で800℃の熱窒化処理である。この窒化処理は処理形態に限定することはなく、ラジカル窒化などの処理であってもよく、シリコン層への酸素拡散が抑制される厚さの窒化シリコン膜12が形成されればよい。上記窒化シリコン膜12は、例えば1nm以下の厚さに形成されることが好ましい。
次に、図5(2)に示すように、上記窒化シリコン膜12上に、アモルファス状態を維持する第1高誘電体層13を形成する。この第1高誘電体層13は、例えば高誘電体金属酸化膜(高誘電体金属シリケート膜)からなり、例えばハフニウムシリケート(HfSiOx)膜からなる。この成膜方法は、例えばALD法、MO−CVD法などを用いることができ、この例ではALD法にてHfSiOx膜を成膜した。その膜厚は、2nm以下が望ましく、本実施例においては2nmの厚さに形成している。また、本実施例でのシリコン量は、ハフニウム元素に対し、例えば60%〜70%程度とする。このハフニウム元素に対するシリコンの割合は、誘電体層の耐熱性と誘電率とから設定することができる。上記成膜では、ALD法にて、ハフニウムプリカーサの吸着→酸化→シリコンプリカーサの吸着→酸化→ハフニウムプリカーサの吸着→酸化というように、ハフニウムプリカーサの吸着と酸化、シリコンプリカーサの吸着と酸化という工程を順に繰り返し行えばよい。上記ハフニウムプリカーサは、例えばハフニウム−トリ−ブトキサイド(Hf−t−butoxide)を用いることができ、上記シリコンプリカーサには、テトラクロロシラン(TCS)を用いることができる。また、酸化には、H2O、オゾン(O3)などの酸化性ガスを用いることができる。この成膜温度は、例えば300℃に設定し、ここでは、ハフニウムシリケート(HfSiO)膜を2nmの厚さに形成している。
次に、図5(3)に示すように、上記第1高誘電体層13上に、第2高誘電体層14を形成する。この第2高誘電体層14は、例えば高誘電体金属酸化膜からなり、例えば酸化ハフニウム(HfO2)膜からなる。HfO2膜の形成も、上記同様にALD法で行うことができる。例えば、ハフニウムプリカーサの吸着→酸化→ハフニウムプリカーサの吸着…というように、ハフニウムプリカーサの吸着と酸化を繰り返し行えばよい。上記ハフニウムプリカーサは、例えばハフニウム−トリ−ブトキサイド(Hf−t−butoxide)を用いることができ、また、酸化には、H2O、オゾン(O3)などの酸化性ガスを用いることができる。この成膜温度は、例えば300℃に設定し、ここでは、酸化ハフニウム(HfO2)膜を4nmの厚さに形成している。
次に、図5(4)に示すように、上記第2高誘電体層14上に、アモルファス状態を維持する第3高誘電体層15を形成する。この第3高誘電体層15は、前記第1高誘電体層13と同様に、例えば高誘電体金属酸化膜(高誘電体金属シリケート膜)からなり、例えばハフニウムシリケート(HfSiO)膜からなる。この成膜方法は、例えばALD法、MO−CVD法などを用いることができ、この例ではALD法にてHfSiOx膜を成膜した。その膜厚は、2nm以下が望ましく、本実施例においては2nmの厚さに形成している。また、本実施例でのシリコン量は、ハフニウム元素に対し、例えば60%〜70%程度とする。このハフニウム元素に対するシリコンの割合は、誘電体層の耐熱性と誘電率とから設定することができる。上記成膜では、ALD法にて、ハフニウムプリカーサの吸着→酸化→シリコンプリカーサの吸着→酸化→ハフニウムプリカーサの吸着→酸化というように、ハフニウムプリカーサの吸着と酸化、シリコンプリカーサの吸着と酸化という工程を順に繰り返し行えばよい。上記ハフニウムプリカーサは、例えばハフニウム−トリ−ブトキサイド(Hf−t−butoxide)を用いることができ、上記シリコンプリカーサには、テトラクロロシラン(TCS)を用いることができる。また、酸化には、H2O、オゾン(O3)などの酸化性ガスを用いることができる。この成膜温度は、例えば300℃に設定し、ここでは、ハフニウムシリケート(HfSiO)膜を2nmの厚さに形成している。
次に、図5(5)に示すように、第3高誘電体層15から第1高誘電体層13までを窒化処理する。この窒化処理は、例えば、800℃のアンモニア(NH3)ガス雰囲気で行う。
次に、図5(6)に示すように、上記第3高誘電体層15上にキャパシタの第2電極16を形成する。この第2電極16は、例えば、ポリシリコン膜を用い、望ましくは、100nm程度の厚さのポリシリコン膜で形成する。
このようにして、シリコン層からなる第1電極11、窒化シリコン膜12、アモルファス状態を維持する第1高誘電体層13、酸化ハフニウムからなる第2高誘電体層14、アモルファス状態を維持する第3高誘電体層15、第2電極16を積層してなるキャパシタ3が完成する。
また、図6に示すように、上記構成のキャパシタ3は、後に熱工程で1050℃程度の熱処理(例えばRTA処理)などが入っても、第1電極11、第2電極16近傍の誘電体層である第1高誘電体層13、第3高誘電体層15はアモルファス状態が保たれる。また、第2高誘電体層14を構成する酸化ハフニウム(HfO2)は耐熱性に乏しいため、結晶化を起こし、粒界からなる電流リーク経路Lが形成されるが、第1電極11、第2電極16近傍にあるアモルファス層が電流リーク経路Lを遮断しているため、良好なリーク特性を保ちつつ、誘電率の高い酸化ハフニウム(HfO2)を第2高誘電体層14に使用することができるので、キャパシタ3は高容量のものとすることができる。
また、上記第1、第3高誘電体層13、15は、例えば、ハフニウムに、シリコン、酸素、窒素のうちの少なくとも一つの元素を含むものを用いる。上記第2高誘電体層14は、例えば、アルミニウム、ハフニウム、タンタル、ジルコニウム、チタン、イリジウム、ランタン、イットリウムおよびプラセオジムのうちの少なくとも一つの元素を含むものを用いることができ、結晶化されている。したがって、上記高誘電体金属酸化膜としては、上記酸化ハフニウムの他に、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ジルコニウム(Zr2O3)、酸化プラセオジム(PrO2)、酸化ランタン(La2O3)などの膜、これらのシリケート膜、また、これら元素の多元系材料の膜として、例えば酸化アルミニウムハフニウム(HfAlOx)を用いることができる。
上記第3実施例では、第1、第3高誘電体層13、15のハフニウム元素に対するシリコンの量を60%〜70%とすることから、シリコン量が50%の第1、第3高誘電体層13、15の耐熱温度である1080℃よりも高い耐熱温度を有することが期待できる。なお、シリコン量を60%〜70%としたことから、第1実施例の誘電体層よりも誘電率は低下する。このように、耐熱温度とキャパシタ容量とはトレードオフの関係にあり、キャパシタを用いる環境によって、上記シリコン量は適宜選択することができる。
次に、本発明のキャパシタに係る第4実施例を、図7の概略構成断面図によって説明する。
図7に示すように、シリコン基板20にはトレンチ21が形成されている。このトレンチ21の内面の上記シリコン基板20には、第1電極11が形成されている。さらに、第1電極11の表面には、窒化シリコン膜12、アモルファス状態を維持する第1高誘電体層13、第2高誘電体層14、アモルファス状態を維持する第3高誘電体層15が形成され、さらに第2電極16としてポリシリコンが埋め込まれている。このように、トレンチ構造のキャパシタ4が構成されている。
上記第1〜第4実施例の各キャパシタ1〜4は、キャパシタ1〜4を構成する誘電体層が、高誘電体材料からなる第1〜第3高誘電体層13〜15を含み、この第1〜第3高誘電体層13〜15のうち、少なくともキャパシタを構成する第1電極11、第2電極16および誘電体層の一部を構成する界面層となる窒化シリコン層12との界面を有するもので、第1電極11側および第2電極16側となる第1高誘電体層13および第3高誘電体層15は、その結晶構造がアモルファスとなっているため、このアモルファス層によってリーク電流経路の生成が阻止でき、リーク電流の発生を防止することができるという利点がある。また、誘電体層の内部である第2高誘電体層14は結晶化した状態であるので、高誘電率状態を維持でき、誘電体層としては高い誘電率を確保することができる。よって、耐熱性を有した低リーク電流で高容量のキャパシタを提供することができる。
本発明のキャパシタの製造方法は、誘電体層の一部を構成する界面層上にアモルファス状態を維持する第1高誘電体層13を形成する工程と、第1高誘電体層13上に高誘電体からなる第2高誘電体層14を形成する工程と、第2高誘電体層14上にアモルファス状態を維持する第3高誘電体層15を形成する工程とを有するため、第2高誘電体層14を結晶化した状態とすることができるので、第2高誘電体層14を高誘電率状態に維持でき、誘電体層としては高い誘電率を確保することができる。また、第2高誘電体層14を挟むようにアモルファス状態を維持する第1、第3高誘電体層13、15を形成するので、これらのアモルファス層によってリーク電流経路の生成が阻止でき、リーク電流の発生を防止することができるという利点がある。よって、耐熱性を有した低リーク電流で高容量のキャパシタを提供することができる。
上記第1〜第3実施例では、第1〜第3高誘電体膜13〜15は、ALD法もしくはMO−CVD法により形成されることから、成膜ガス流量を制御することで所望の膜組成を容易に得ることができる。例えば、実施例3で説明したように、シリコン濃度を高めることで耐熱性を高くすることができ、ハフニウム濃度を上げることで誘電率を高くすることができる。また窒素濃度はその他の原料元素の量を制御することで容易にできる。さらに、例えばALD法を用いれば、上記濃度制御によって、高誘電体層を形成する際に組成制御が可能であり、界面近傍→膜中→界面近傍というように連続的に組成を変化させた膜の成膜もできる。
次に、本発明の半導体装置に係る一実施例を、図8の回路図によって説明する。
図8に示すように、本発明の半導体装置は、一般的な1キャパシタ、1トランジスタ型のダイナミックランダムアクセスメモリのメモリセルに用いるキャパシタに採用することができる。
本発明の半導体装置は、本発明のキャパシタを用いているため、耐熱性を有した低リーク電流で高容量のキャパシタを用いることができるという利点がある。これにより、半導体装置(ダイナミックランダムアクセスメモリ)のキャパシタ性能の向上が期待できる。
本発明のキャパシタおよびキャパシタの製造方法および半導体装置は、キャパシタを用いた各種電子回路およびその製造方法という用途にも適用できる。
本発明のキャパシタおよびキャパシタの製造方法に係わる第1実施例を示した製造工程断面図である。
本発明のキャパシタに係わる第1実施例を示した概略構成断面図である。
本発明のキャパシタおよびキャパシタの製造方法に係わる第2実施例を示した製造工程断面図である。
本発明のキャパシタに係わる第2実施例を示した概略構成断面図である。
本発明のキャパシタおよびキャパシタの製造方法に係わる第3実施例を示した製造工程断面図である。
本発明のキャパシタに係わる第3実施例を示した概略構成断面図である。
本発明のキャパシタに係わる第4実施例を示した概略構成断面図である。
本発明の半導体装置に係わる一実施例を示した回路図である。
従来のキャパシタの製造方法を示した製造工程断面図である。
符号の説明
1…キャパシタ、11…第1電極、13…第1高誘電体層、14…第2高誘電体層、15…第3高誘電体層、16…第2電極