JP4783214B2 - プレス加工性に優れたチタン合金およびプレス成形部材 - Google Patents

プレス加工性に優れたチタン合金およびプレス成形部材 Download PDF

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Description

本発明は、プレス加工性に優れたチタン合金およびプレス成形部材に関し、詳細には、高延性、低耐力、高冷間加工性を有しており、プレス加工後の肌荒れが生じにくいチタン合金およびプレス成形部材に関するものである。本発明のチタン合金は、例えば、プレート式熱交換器・燃料電池のセパレータ、携帯電話・モバイルパソコン・カメラなどの筐体などのプレス成形加工品、メガネのフレームなどのように、高度で複雑なプレス加工性が要求される部材に好適に用いられる。
チタンは、その優れた耐食性や比強度などを利用して、例えば、熱交換器、化学プラント部材、沿岸部の構造材(特に、海水が接触し腐食が促進するような湾岸構造材)などに汎用されている。特に、海水に対して極めて高い耐食性を示すことから、チタンは、海水を利用した熱交換器などに好適である。プレート式熱交換器では、伝熱効率の向上を目的として、チタン合金材をプレス成形して表面に凹凸形状の加工を施している。近年、伝熱効率向上に対する要請は益々強くなっており、チタン合金材の薄肉化や凹凸形状の複雑化などのニーズに充分対応可能なプレス加工性に優れたチタン合金の開発が進められている。
一般に、β型合金は、成形加工性に優れる体心立方晶の結晶構造を主体にしているため、α型合金やα+β型合金に比べ、延性に優れ、室温での成形加工が可能であるだけでなく、時効処理後の強度上昇も期待できるため、例えば、純チタンでは強度を充分確保できない用途への適用が拡大されつつある。
従来、β型合金としては、例えば、Ti―15V−3Cr−3Sn−3Al合金、Ti−15Mo−5Zr−3Al合金、Ti−3Al−8V−6Cr−4Mo−4Sn合金、Ti−13V−11Cr−3Al合金などが汎用されている。これらのβ型合金は、室温での変形能(溶体化処理後であって、時効熱処理の前)は比較的良好であるが、耐力(0.2%耐力)が高いため、成形加工時にスプリングバック現象が起こり易いという問題がある。また、上記のβ型合金は、複雑な成形加工に用いるには冷間加工性および延性が不充分であり、更なる改善が求められている。溶体化処理は、β相単相で行なうために粒成長速度が大きく、溶体化時に粗大粒になりやすい。従って、複雑な成形加工を行うと、表面に肌荒れが生じるなどの問題も指摘されている。
そこで、例えば、プレート式熱交換器などのように高度で複雑なプレス加工性が要求される部材にも適用可能なβ型チタン合金の開発が望まれている。具体的には、従来よりも溶体化処理後の耐力が低く延性が高く、冷間加工性に優れており、高度で複雑な成形加工を行っても肌荒れが生じない、プレス加工性に優れたβ型チタン合金の開発が望まれている。
これまで、主に冷間加工性などの向上を目的として、例えば、特許文献1〜特許文献3に記載のチタン合金が提案されている。
特許文献1には、重量%で、V:8〜25%、Al:0.5〜5%、Cr:1.0%未満、Fe:1.0%以下、Mn:1.0%以下を含み、残部:Tiおよび不可避不純物からなり、溶体化処理後の硬さがHRC25以下である冷間塑性加工性に優れたチタン合金が開示されている。
ここでは、Vのみが硬さを高くすることなく冷間塑性加工性を改善できるという知見に基づき、Vの含有量が制御されている。また、Alは、時効処理後の延性を高くするという観点に基づき、積極的に添加されている。一方、Feは、溶体化処理後の硬さを低くするためにはできるだけ少ない方が良いという観点に基づき、1.0%以下(実施例では0.1〜0.2%)の範囲に抑制されている。Snは含有していない。
特許文献2には、重量%で、V:15〜25%、Al:2.5〜5.0%、Sn:0.5〜4%、酸素(O):0.12%以下、残部:Tiおよび不可避不純物からなる冷間加工性に優れたβ型チタン合金が開示されている。
ここでは、特に、AlとSnの含有量が適切に制御されている。Alは、時効析出したα相の硬化に有効であるが、溶体化時の固溶体化作用が大きいため過度の添加は冷間加工性の低下をもたらすという観点に基づき、Alの一部を、固溶硬化作用の小さいSnに置き換え、冷間加工性の低下を防止している。ただし、Snは過剰に添加すると素地の硬度上昇を招くため、その上限を4%に定めている。更に、不純物のOに着目し、冷間加工性向上の観点から上限を規定している。一方、Feは、溶体化処理後の硬度を高くする有害元素であるという認識に基づき、できるだけ少ない方が望ましい(例えば、0.3%以下)と記載されている。
特許文献3には、Moおよび/またはNbを0.5〜18重量%、V:13〜19重量%、Al:0.5〜6重量%、Sn:0.5〜6重量%を含有し、残部:Tiおよび不可避不純物からなる冷間鍛造性に優れたチタン合金が開示されている。
ここでは、Alを適量添加して適当な強度を確保したうえで、Mo、Nbのβ相安定化元素を添加すれば、変形抵抗を低く抑えつつ据込み限界を高められるという知見に基づき、チタン合金の組成を上記のように定めている。また、Snの上限が6%を超えると変形抵抗が上昇するため、上限を6%に定めている。特許文献3には、Feについて何も記載されていない。
特公平6−99765号公報 特許第2669004号公報 特許第2936754号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、溶体化処理後の耐力が低く延性が高く、冷間加工性に優れており、複雑な成形加工を行っても肌荒れが生じ難い新規なプレス成形性に優れたチタン合金、およびプレス成形部材を提供することにある。
上記課題を解決することのできた本発明のチタン合金は、V:12〜20%(質量%の意味、以下同じ。)、Fe:0.5〜3.5%、Sn:4〜15%、O:0.15%以下(0%は含まない)を含み、残部:Tiおよび不可避的不純物であることに要旨を有している。
好ましい実施形態において、本発明のチタン合金は、更に、Al:3.5%以下(0%をふくまない)を含有している。
本発明には、上記のチタン合金を用いて得られるプレス成形部材も本発明の範囲内に包含される。
本発明のチタン合金は、上記のように、成分が適切に制御されているため、溶体化処理後の延性が高く耐力が低く、冷間加工性も良好であり、既存のβ型チタン合金と同等以上の優れた特性を有している。更に、本発明のチタン合金は、大きな変形を加えてもプレス成形性に優れ、肌荒れの発生がほとんど見られず、既存のβ型チタン合金では得られ難い優れた特性も兼ね備えている。
従って、本発明のチタン合金は、形状の種類(板状、棒状、線状、管状など)にかかわらず、良好なプレス加工性を発揮することができる。そのため、本発明者のチタン合金は、例えば、高度で複雑な成形加工性や冷間加工性が要求される分野(薄板分野など)に好適に用いられる。
本発明者は、高延性および低耐力を有し、冷間加工性に優れるだけでなく、加工後の肌荒れも防止し得る新規な組成のチタン合金を提供するため、鋭意検討してきた。成分設計の基本指針としては、原料のコスト低減を目的として、特許文献3に提案されているような比較的高価なMoやNbを使用しないことを掲げ、具体的には、Ti−V−Fe−Sn合金をベースにして検討を進めてきた。
その結果、下記(1)〜(2)の知見を見出し、本発明のTi合金に到達した。
(1)本発明者の実験によれば、加工後の肌荒れを防止するためには、従来、有害元素として全く着目されていなかったFeを適切量添加することが極めて有効であることが分かった(後記する実施例を参照)。このように、本発明では、Feを積極的に添加している点で、前述した特許文献1〜特許文献3の技術と相違している。
(2)更に、本発明者の実験によれば、溶体化処理後の強度上昇を招くことなく延性のみを高めて冷間加工性を向上するためには、Alを添加せず、Snの含有量を従来よりも高く設定することが有効であることが分かった。
従来、延性低下の原因となる脆化相(ω相)を抑制するためにはAlまたはSnの添加が有用であることは知られているが、本発明では、Alは強度の上昇を招くという悪影響を考慮し、Snのみによる脆化相の抑制効果を狙って延性の向上を図ることにした。そして、そのような作用を有効に発揮し得るSnの量を種々検討したところ、Sn量を従来よりも高めて添加すれば良いことを突き止めた。
Sn量に関しては、例えば、前述した特許文献2や特許文献3に記載されているように、ω相の生成抑制作用を有することは知られていたが、多量の添加は、溶体化処理後の固溶硬化により強度の上昇や変形抵抗の増加を招くため避けられていたのが実情である。これに対し、本発明では、Snを多量に含有させることで、溶体化処理後の耐力を低下させ、延性の向上を図るものである点で、上記特許文献の技術と相違している。
なお、AlとSnの関係については、前述した特許文献2にも上記とほぼ同様の内容が記載されているが、最終的に、特許文献2に記載のTi合金と本願発明とは、組成が異なるチタン合金に到達している。すなわち、特許文献2では、Alを必須成分とし、Sn量の上限が4%(実施例ではすべて1%)に制限されたチタン合金を提案している点で、Alを必須成分として含有せず、Sn量を4〜15%の範囲内で多量に含有する本発明のチタン合金とは、成分組成が相違している。
本発明のチタン合金は、以下に詳述するように、各構成成分の含有量が適切に制御されているため、従来のようにAlを全く添加しなくても、既存のβ型チタン合金と同等以上の特性が発揮されるほか、更に、加工後の肌荒れも防止できる点で、極めて有用である。
本明細書において、「プレス加工性に優れている」とは、溶体化処理後の耐力(0.2%耐力)が低く延性(破断伸び)が高く、冷間加工性に優れており、高度で複雑な成形加工を行って肌荒れが生じないことを意味している。
以下、本発明のチタン合金を構成する各元素について説明する。
V:12〜20%
Vは、変形抵抗を殆ど上昇させずに、β相を安定化して所望のβ単相組織を確保すると共に、延性向上作用を有する元素である。このような作用を有効に発揮させるため、Vの下限を12%とする。Vが12%未満では、溶体化処理後に所望のβ単相が得られない。また、冷間加工性も著しく低下する。
ただし、過剰に添加しても上記作用が飽和してしまい、逆に、強度が増加するなどの不具合を招き、コストも上昇するため、Vの上限を20%とする。V量は、13%以上19%以下であることが好ましく、14%以上18%以下であることがより好ましい。
Fe:0.5〜3.5%
Feは、β相を安定化する効果を有し、マルテンサイト変態を抑制して冷間加工性を大きく向上させる作用を有している。また、Feは、成形加工後の肌荒れ抑制効果も有している。Feによる肌荒れ抑制作用のメカニズムは、詳細には不明であるが、おそらく、Feの添加によってβ変態点の低下に伴い適切な溶体化処理温度が下がるため、結晶粒成長速度の低下が可能となり、さらにTi中に固溶したFeが粒界移動を拘束する効果が発揮されるためではないかと推察される。
Feによる上記作用を有効に発揮させるため、Feの下限を0.5%とする。ただし、Feを過剰に添加すると、Feの固溶硬化によって耐力が上昇し、それに伴って延性が劣化してしまう。また、鋳塊製造時の偏析が顕著になり、品質の安定性に悪影響を及ぼすようになるため、Feの上限を3.5%とする。Fe量は、1.0%以上3.0%以下であることが好ましく、1.5%以上2.5%以下であることがより好ましい。
Sn:4〜15%
Snは、β相を若干安定にし、脆化相として知られているω相の析出を抑制する作用を有している。特に、Snを上記範囲内に制御すれば、溶体化処理後の強度上昇を殆ど招くことなく延性のみを高めて冷間加工性を向上し得ることが分かった(後記する実施例を参照)。
Sn量が4%未満の場合、ω相の抑制が不十分であり、脆化が見られるため、Sn量の下限を4%とした。ただし、SnはTiより高密度であり、Sn量の過剰な添加は、Tiによる低密度化特性を損なうため避けるべきであり、後記する実施例に示すように、Sn量が15%を超えると、延性の低下および強度の上昇が見られた。Sn量は、5%以上12%以下であることが好ましく、6%以上10%以下であることがより好ましい。
O:0.15%以下(0%は含まない)
Oは、固溶強化元素であり、過剰に添加すると耐力の上昇を招くため、上限を0.15%とした。O量は出来るだけ少ない方が良く、例えば、0.15%以下であることが好ましく、0.13%であることがより好ましく、0.11%以下であることが更に好ましい。
本発明のチタン合金は上記の成分を含有し、残部:Tiおよび不可避的不純物である。
ただし、上記の成分以外に、他の更なる特性の付与を目的として、例えば、AlやCrを以下の範囲で含有してもよい。
Al:3.5%以下
前述したように、Alは、本発明の必須成分ではないが、時効処理による強度の上昇を促進する作用を有しているため、選択成分として用いることができる。
Alによる上記作用を有効に発揮させるため、Alの下限を1.0%とすることが好ましい。ただし、過剰に添加すると、固溶強化による耐力の上昇および延性の低下を招くため、Alの上限を3.5%とすることが好ましい。Al量は、1.2%以上3.0%以下であることが好ましい。
Cr:5.0%以下
本発明のチタン合金は、更に、Crを含有してもよい。
Crは、Feと同様、共析型のβ相安定化元素であり、冷間加工性を高める作用を有している。このような作用を有効に発揮させるため、Crの下限を0.5%とすることが好ましい。ただし、Cr量が過剰になると、溶体化処理後の耐力が高くなり、冷間加工性が低下するため、Cr量の上限を5.0%とすることが好ましい。Cr量は、1%以上3%以下であることがより好ましい。
本発明に係るチタン合金の製造に当たっては、例えば、Feを0.2〜2%含有するスポンジチタン(低級スポンジチタン)を主原料として用いることができる。
前述したように、従来、Feは、溶体化処理後の硬度が高くなるなどの理由から出来る限り低く抑えられており、そのため、例えば、Fe含有量が約0.05%以下に低減された高純度なスポンジチタン(高級スポンジチタン)を用いて製造するなどしていた。これに対し、本発明では、Feによる加工後の肌荒れ防止が有効に発揮されるように、Feを積極的に所定量添加しているため、上記のような低級スポンジチタンを利用することが可能であり、これにより、製造コストを削減することができる。
具体的には、Feを0.2〜2%含有する低級スポンジチタンを、その他の添加元素と共にアーク溶解法、電子ビーム溶解法、プラズマアーク溶解などの方法(好ましくはアーク溶解法)で溶製し、製造すれば良い。
本発明のプレス成形部材は、上記の成分組成からなるチタン合金を用いて得られるものであり、具体的には、例えば、プレート式熱交換器・燃料電池のセパレータなどのプレス成形加工品、携帯電話・モバイルパソコン・カメラなどの筐体、メガネのフレームなどのように、高度で複雑なプレス加工性が要求される部材などが好適に挙げられる。
プレス成形部材の製造方法は、特に限定されず、所定の成分組成からなるチタン合金を用い、例えば、熱間圧延および冷間加工を行った後、溶体化処理を行なえば良い。溶体化処理は、通常、チタン合金の延性を更に高め、高度の成形加工性を確保するために実施されており、通常、β単相域での溶体化処理が行なわれている。溶体化処理の条件は特に限定されないが、例えば、約650℃〜750℃の温度で約0.5〜120分保持する方法などが挙げられる。
更に、強度の更なる向上を目的として、溶体化処理を行った後、必要に応じて時効処理を更に行っても良い。時効処理の条件は、特に限定されないが、例えば、約450〜600℃の温度で約4〜12時間保持した後に冷却する(空冷または水冷)などの方法が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例によって制限されるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適切に変更を加えて実施することも可能であり、それらは何れも本発明の技術的範囲に含まれる。
表1に記載の成分組成からなる原料をアーク溶解法にて溶製し、直径50mm×15mmの鋳塊(重量約120g)を得た。得られた鋳塊を1150℃に加熱し、10mmの厚さになるまで熱間圧延した後、更に950℃に加熱して再度熱間圧延を行ない、表面に形成されたスケールを除去して1.0mmの厚さとした。その後、80%の冷間加工を行い、大気炉にて、(β変態点+50℃)の温度で30分保持して溶体化処理を行なった後、空冷した。その後、表面に形成されたスケールを除去し、厚さ1.0mmの供試材を得た(表1のNo.1〜20)。
上記のようにして得られた溶体化処理後の供試材について、下記の特性を評価した。
(0.2%耐力および破断伸び)
供試材からゲージ長25.0mm,厚さ1.0mmの引張試験片を切り出し、JIS Z 2241の試験法に基づき、圧延方向と同方向に引張試験を実施し、0.2%耐力および破断伸びを測定した。詳細には、JIS14号B試験片を用い、歪量1%まで0.5%/min、それ以降は30%/minの引張強度で引張試験を行なった。
ここでは、0.2%耐力:720MPa以下、破断伸び:20.0%以上のものを合格とした。
(冷間加工性の評価)
以下に示す方法で冷間加工率90%での耳割れ性を測定し、冷間加工性評価した。
引張試験に用いた板片(ゲージ長25.0mm、厚さ1.0mm)から幅20mm、長さ100mmの板片を採取し、厚さが0.1mmになるまで冷間加工(冷間加工率90%)を行なったときの耳割れの程度を目視で確認した。
冷間加工性は、下記基準に従って評価した。ここでは、評価が○のものを合格とした。
○:耳割れがみられなかったもの
△:1mm未満の耳割れがみられたもの
×:1mm以上の耳割れがみられたもの。
(プレス成形性)
本実施例では、複雑な成形加工を行ったときのプレス成形性を評価する目的で、以下の実験を行なった。
まず、90mm×90mm×1mmtのサイズに加工した試料を用意し、JIS Z2247に記載のエリクセン試験に基づいて7.0mmまで押し込みを行なった後に試験をストップさせ、表面の割れ発生程度を目視で確認し、下記基準に基づいて評価した。
0:肌荒れ、及び微小な割れがない。
1:肌荒れがごく僅かに発生している。
2:肌荒れが発生しているものの微小なものを含めた割れはない。
3:割れ発生。
この評価基準において、肌荒れがほぼ無くプレス成形性が可能(合格)と判断されるものは、0または1段階とし、2段階および3段階は不合格であるとした。
更に、表1のNo.16〜19について、溶体化処理後に500℃×8時間の時効処理を行った。
時効処理を行った上記の供試材について、時効後のビッカース硬さ(Hv)を測定した(荷重10kg、3点の平均値)。
ここでは、ビッカース硬さ:350Hv以上のものを合格とした。
これらの結果を表1にまとめて記載する。
なお、表1には、「プレス加工性の総合評価」の欄を設け、下記基準で評価した。
○:冷間加工性、0.2%耐力、破断伸び、プレス成形性のすべての項目が○
△:冷間加工性、0.2%耐力、破断伸び、プレス成形性の項目のうち
1〜2個が○でないもの
×:冷間加工性、0.2%耐力、破断伸び、プレス成形性の項目のうち
3〜4個が○でないもの
Figure 0004783214
表1の結果より、以下のように考察することができる。
表1中、No.2〜4、7〜9、12〜13、16〜18は、いずれも、本発明の範囲を満足するチタン合金であり、低耐力、高延性、高度の冷間加工性を有しており、加工後の肌荒れも見られず、プレス加工性に優れている。
上記のうち、溶体化処理後に時効処理を行なったNo.16〜18は、いずれも、時効により硬度の上昇が見られた。特に、Alを本発明の好ましい範囲内で含有するNo.17〜18では、冷間加工性などを阻害することなしに、Al添加による固溶強化作用が有効に発揮されている。
これに対し、本発明の要件のいずれかを満足しない下記の比較例は、以下の不具合を有している。
No.1は、Vの含有量が少ないため、冷間加工性および延性が大きく低下し、更に耐力の上昇が著しい。
No.5は、Vの含有量が多いため、強度(0.2%耐力)が上昇し、破断伸びが低下した。
No.6は、Snの含有量が少ないため、冷間加工性が若干低下し、破断伸びも低下した。
No.10は、Snの含有量が多いため、強度が上昇し、破断伸びが低下した。
No.11は、Feの含有量が少ないため、冷間加工性が若干低下したほか、プレス成形性も低下した。
No.14は、Feの含有量が多いため、強度が上昇し、破断伸びが低下した。
No.15は、Oの含有量が多いため、冷間加工性が低下した。
No.19は、Alの含有量が本発明の好ましい範囲を超える例であり、冷間加工性が若干低下し、破断伸びも低下した。
No.20は、従来のTi−15V−3Cr−3Sn−3Al合金を模擬した参考例であり、冷間加工性、強度、および破断伸びは良好であるが、プレス成形性が低下した。

Claims (3)

  1. V :12〜20%(質量%の意味、以下同じ。)、
    Fe:0.5〜3.5%、
    Sn:4〜15%、
    O :0.15%以下(0%は含まない)
    を含み、
    残部:Tiおよび不可避的不純物であることを特徴とするプレス加工性に優れたチタン合金。
  2. 更に、Al:3.5%以下(0%を含まない)を含有する請求項1に記載のチタン合金。
  3. 請求項1または2に記載のチタン合金を用いて得られるプレス成形部材。
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