JP2009215650A - 形状記憶合金 - Google Patents

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【課題】低融点の元素を含有する冷間加工性に優れた形状記憶合金を提供する。
【解決手段】Tiのβ相安定化に寄与する第1の元素、例えば、FeおよびCrから選択される元素のいずれか1種を1ないし9モル%又は2種の合計を1ないし9モル%含み、ω脆性の抑制とマルテンサイトの熱弾性化に寄与する第2の元素、例えば、SnおよびAuから選択される元素のいずれか1種を1ないし9モル%又は2種の合計を1ないし9モル%含み、残部がTiおよび不可避的不純物からなる。
【選択図】なし

Description

本発明は、形状記憶合金に関し、特に、冷間加工性の良好な形状記憶合金に関する。
形状記憶合金は、内在する熱弾性型マルテンサイト変態に起因して、形状記憶効果や超弾性機能を示す。前者は、形状記憶合金をAS点(マルテンサイト逆変態開始温度)以下の温度で任意に変形しても、Af点(マルテンサイト逆変態終了温度)以上の温度に加熱すると元の形に戻ってしまう現象であり、後者は、形状記憶合金にAf点以上の温度で応力を負荷したときに生じた応力誘起マルテンサイトが除荷過程で逆変態して歪みが回復する現象であり、形状記憶合金は従来の金属にはないユニークな機能を有するので、様々な工業分野や医学分野などに利用されている。
形状記憶合金としては、様々な合金が提案されている。中でも、引っ張り強さが1000MPaで、破断伸びが60%であるという極めて優れた機械的性質を有するという理由で、Ti−Ni系合金に代表されるTiベースのTi合金の実用化が進んでいる。Ti合金における合金元素は、低温相のα領域を高温側に広げてα−β変態点を上昇させるα安定化元素と、高温相のβ領域を低温側に広げてα−β変態点を低下させるβ安定化元素とに大別され、Ti合金は常温組織によって、α型Ti合金、α+β型Ti合金、β型Ti合金の3種類に大別することができる。
α型Ti合金の結晶構造は最密六方構造であり、α+β型Ti合金の結晶構造は最密六方と体心立方構造を組みあわせたものであり、β型Ti合金の結晶構造は体心立方構造である。α型Ti合金は、その結晶構造に由来して、冷間加工性が悪いという不都合な点がある。
α+β型Ti合金は、α安定化元素とβ安定化元素を複合添加することにより、常温でα相とβ相を共存させた二相合金で、熱間加工性はβ相が多いほどよくなるため、鋳塊の粗鍛造はβ域で行い、仕上げ鍛造はα+β域で行うことにより、α相とβ相の体積率が広範囲に変えられ、それに対応して機械的性質が大きく変化するが、一般に、熱間加工履歴の違いにより、等軸微細粒組織、粗い等軸α相組織または粗い針状α相組織が現れる。等軸微細粒組織にすると、延性は向上するものの破壊靱性は低下し、粗い等軸α相組織または粗い針状α相組織にすると、延性は劣化するが、破壊靱性は上昇する。すなわち、α+β型Ti合金では、組織制御により延性と破壊靱性を同時に向上させることは難しい。
このように、α型Ti合金やα+β型Ti合金の加工性は良くない。これらの合金に比べれば、β型Ti合金の加工性は比較的良好であると言えるが、それでも、実用化が進んでいるTi−Ni系合金からなる板材の冷間加工率(冷間加工を実施した場合に、耳割れ(幅方向端部の割れ)などの欠陥を生じない限界の加工度をいい、例えば、10mm厚の材料が冷間圧延により最終的に9mm厚になれば、冷間加工率は10%である)は10ないし15%程度が限度とされている。そのため、従来のTi−Ni系形状記憶合金の板材の製造方法は、鋳塊を700ないし850℃で熱間圧延した後、冷間圧延に続いて中間焼鈍を施し、さらに冷間圧延を施した後に中間焼鈍を行うという冷間圧延−中間焼鈍プロセスを多数回繰り返して、最終的に冷間圧延により所望の板厚まで圧延している。このように、最終製品を得るために焼鈍工程と冷間圧延工程を多数回繰り返して行うため、製品コストを大きく上昇させている。
そこで、冷間加工性の良好なチタン合金を提供するために、特許文献1には、5ないし40原子%のNbと、10原子%以下のMoと、Alと、Geと、Gaと、Inと、Tiとを含有する生体用超弾性チタン合金が開示され、特許文献2には、2ないし12原子%のMoと、14原子%以下のGaまたは8原子%以下のGeと、Tiとを含有する生体用超弾性チタン合金が開示され、特許文献1、2に開示された合金からなる材料は、どちらも合計冷間加工率が50%以上であることが示されている。
特許第4015080号明細書 特許第3884316号明細書
しかし、特許文献1および2に開示されたように、融点が2470℃であるNbや融点が2620℃であるMoのような高融点の元素を用いると、溶解が困難であり、合金化するためには超高温にしなければならず、超高温に耐える特別の製造設備が必要であり、大きな溶解エネルギーを要するので製造コストが上昇する。また、超高温では低融点金属の蒸発が無視できない。さらに、溶解法として電子ビーム溶解を用いた場合、均一に高温に溶解することは困難であり、溶解開始初期と終期では合金組成が変わることがあり、また、アーク溶解を用いると、溶け残りが起きやすく、場所によって合金組成が異なるということがあり、均質な合金組成を得ることは困難である。
本発明は、従来の技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、低融点(2000℃以下)の元素を含有する冷間加工性に優れた形状記憶合金を提供することにある。
本発明者は、形状記憶効果の発現メカニズムに基づいて、好ましい合金組成について検討した。
形状記憶効果は、AS点以下の温度で変形させたものをAf点以上の温度に加熱したときに生じるが、母相状態にある当該合金試料をMf点(マルテンサイト変態終了温度)以下の温度に冷却すると、母相からマルテンサイトに変態する。マルテンサイトは格子欠陥を多く含んでおり、一般に双晶の場合が多い。このような試料に外力を加えると、その試料の変形は双晶変形により進む。この試料をAf点以上の温度に加熱すると、マルテンサイト相から母相への逆変態進行により弾性的に初めの状態に戻る。この熱弾性型のマルテンサイト変態は、逆変態が結晶学的に可逆的に起こるので、各双晶はもとの方位の母相に戻り、試料全体としても元の形に戻ることになる。これが形状記憶効果である。従って、形状記憶効果を発現させるためには、変形温度でマルテンサイト変態が起こっているか、または変形時に応力が加わることによって応力誘起マルテンサイト変態が生成し、それが除荷しただけでは完全に逆変態せずにマルテンサイト変態が残っていることが必要である。マルテンサイトの双晶変形が担っている分の歪みが、Af点以上の温度に加熱することで逆変態が起こるときに回復するからである。
そこで、形状回復現象を容易に発現しうる合金を得るためには、マルテンサイト変態開始温度を下げる元素を含むことと、マルテンサイトを熱弾性型にするのに効果的に寄与する元素を含むことである。また、本発明者は、軽量であり、強度に優れ、耐食性があるという理由で、ベース金属としては、Tiを採用した。
(1)β安定化元素(マルテンサイト変態開始温度の低下)
上記したように、Ti合金は常温組織によって、α型Ti合金、α+β型Ti合金、β型Ti合金の3種類に大別することができ、高温で安定なβを焼き入れてMS点(マルテンサイト変態開始温度)以下の温度まで急冷すると、マルテンサイト変態する。MS点は、Tiに対するβ安定化元素の添加量に依存し、β安定化元素が多くなるとMS点が下がる。
従って、β安定化元素を含むことはMS点を低下するのに有効である。
ところが、β安定化元素の添加量が多くなりすぎると、MS点が室温以下まで下がり、 高温から焼き入れても、β相がマルテンサイト変態せずに室温で準安定状態で存在するようになる。この残留β相は加熱すると分解してα相が析出し、中間段階としてω相が生成することがある。このω相が生成すると、合金は硬くなるが、同時に脆くなるのでω脆性と呼ばれている。β安定化元素が多くなりすぎるとω相が生成しやすい。
そこで、MS点を下げるためにはβ安定化元素を1モル%以上含むことが好ましいが、ω脆性を避けるためには、β安定化元素は9モル%以下とするのが好ましい。
β安定化元素としては、特に、Feおよび/又はCrが好ましい。
特に、Feおよび/又はCrの含有量が9モル%を超える場合、β相が安定化しすぎ、マルテンサイト変態が起こらないか、又はマルテンサイト変態が起こっても容易に逆変態してしまう。
そこで、これらFeおよびCrから選択される第1の元素のいずれか1種を1ないし9モル%又は2種の合計を1ないし9モル%含有することが好ましい。
(2)ω脆性の抑制とマルテンサイトの熱弾性化
β合金の時効処理時におけるω相の出現を抑えるためには、Snのようなα安定化に寄与するものと考えられる元素を含むことが好ましい。また、Snはそうした元素であるものの、マルテンサイト変態温度をほとんど上昇させずに、β相を不安定化することによりマルテンサイトを熱弾性型にすることができる。また、Auは、ω相の出現を抑え、マルテンサイトの熱弾性化に寄与する。
しかし、これらの元素が多くなりすぎると、形状記憶効果が低下する。
そこで、これらω脆性の抑制とマルテンサイトの熱弾性化に寄与する第2の元素(Sn、Au)のいずれか1種又は2種の合計を1モル%以上含有することが好ましいが、形状記憶効果を良好ならしめるためには、第2の元素のいずれか1種または2種の合計の含有量は9モル%以下とすることが好ましい。
特に、Snは、ω相の生成を抑制し、材料を強化し、マルテンサイトの生成を助長するという効果がある。また、Auは、Snと同様の効果に加えて、原子拡散を抑制し、ω相の生成を抑えるという効果がある。しかし、Auが9モル%を超えると、脆化相(Ti3Au)が大量に生成し、機械的性質が著しく劣化してしまう。
(3)冷間加工性
本発明者は、形状回復現象を容易に発現しうる合金として、Tiのβ相安定化に寄与する第1の元素(Feおよび/又はCr)を1ないし9モル%含み、ω脆性の抑制とマルテンサイトの熱弾性化に寄与する第2の元素(Snおよび/又はAu)を1ないし9モル%含み、残部がTiおよび不可避的不純物からなる合金(合計100モル%)を採用したが、Ti、Fe、Cr、Sn、Auの融点は、それぞれ1660℃、1540℃、1860℃、232℃、1064℃であって、2000℃を超えない。また、すべり系が多くて冷間加工性の良いβ相が生成し、且つ材料を脆化させるω相の生成が抑制されるため、良好な冷間加工性を発揮することができる。
本発明によれば、低融点の元素を含有する冷間加工性に優れた形状記憶合金を提供することができる。
板材の形状回復特性を評価するための板材の曲げ方法を説明する図である。 曲率半径の測定位置を説明する図である。
以下に本発明の実施例を説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲を逸脱しない範囲において適宜変更や修正が可能である。
(1)板材の作製
以下の表1に示す組成(モル%)のTi系合金を、非消耗タングステン電極型アルゴンアーク溶解炉を用いて溶解した。得られたインゴットに1000℃で2時間の均質化処理を施した。この均質化処理後のインゴットは後記する冷間加工性の評価に供した。
また、上記均質化処理後のインゴットに熱間圧延に引き続いて冷間圧延を施し、さらに、真空雰囲気(10-5Paの圧力)において、900℃で5分間の熱処理を行った。冷間圧延に供した板材の厚みは6mmであり、最終的に厚みが0.3mmで、幅が10mmの板材を得た。この加工率は95%の高加工率であるが、本発明の大多数の試料(表1および後記する表2ないし表5において加工率が95%以上であるもの)は、1回の冷間圧延でこの高加工率を達成することができた。ただ、一部の試料(表1および後記する表2ないし表5において加工率が40ないし50%のもの)については、1回の冷間圧延でこの高加工率を達成することは圧延に伴う加工硬化のために困難であった。そこで、この一部の試料については、冷間圧延と、900℃で5分間の熱処理との組み合わせ処理を1回から4回行った後、最終的に冷間圧延により、上記最終厚みと幅の板材を得た。
なお、従来の組成のTi50モル%−Ni50モル%合金であれば、上記冷間圧延と熱処理との組み合わせ処理を、少なくとも10回以上繰り返して行わなければ、95%の加工率を達成することは困難であると思われるが、本発明の組成のTi系合金は冷間加工性に優れているので、冷間圧延と熱処理の繰り返しを4回以下に抑えることができた。
このようにして得た形状記憶Ti系合金板材(厚さ0.3mm、幅10mm、長さ400mm)を真空雰囲気(10-5Paの圧力)にある石英板で挟み、1000℃で30分の溶体化処理を行った後、水中に焼き入れた。
(2)冷間加工性の評価
上記インゴットを研削することにより厚さが1cmで、幅が2cmの板状とし、1回の加工率が2ないし3%の冷間圧延を行って、板材に割れが発生するまで冷間圧延を行った。表1には、板材に割れが発生したときの直前の冷間圧延時における厚みt2と、冷間圧延に供した板材の厚みt1(1cm)より得られた加工率(((t1−t2)/t1)×100(%))を示す。
Figure 2009215650
表1において、Ti92モル%−Fe5モル%−Sn3モル%の試料番号1と、Ti91モル%−Cr5モル%−Au4モル%の試料番号4とは、加工率が50%以上であって、優れた冷間加工性を備えていることが分かる。
(3)板材の形状回復特性の評価
板材の形状回復特性を評価するため、図1に示すように、焼き入れ後の板材(厚さ0.3mm、幅10mm)1を室温(20ないし25℃)において、直径7mmのステンレス鋼製丸棒2に沿わせて180℃曲げた状態で30秒間保持した。その後、板材1をステンレス鋼製丸棒2から外し、図2(a)に示すように、板材1の曲率半径R1を測定した。
その後、板材1を電気炉に挿入して、加熱速度を10℃/分以上として加熱しながら、400℃以上まで加熱した後、室温まで空冷して、図2(b)に示すように、板材1の曲率半径R2を測定した。
そして、曲率半径R1とR2より、曲率ρ1(1/R1)とρ2(1/R2)を求め、〔(ρ1−ρ2)/ρ1〕×100(%)を形状回復率(表面最大回復歪み)として表1に示す。
表1において、すべての試料、すなわち、Ti92モル%−Fe5モル%−Sn3モル%の試料番号1と、Ti93モル%−Fe3モル%−Au4モル%の試料番号2と、Ti90モル%−Cr7モル%−Sn3モル%の試料番号3と、Ti91モル%−Cr5モル%−Au4モル%の試料番号4のすべては、形状回復率が50%以上であって、高温での良好な形状回復特性があることが確認できた。
以下の表2ないし表5に示す組成(モル%)のTi系合金を、上記実施例1と同じ方法により、インゴットと、厚さが0.3mmで幅が10mmの板材とを得、その板材(厚さが0.3mm、幅が10mm、長さが400mm)を実施例1と同じ方法により水中に焼き入れ処理した。
そして、インゴットについては実施例1と同じ方法により冷間加工性の評価を行い、焼き入れ後の板材については実施例1と同じ方法により形状回復特性の評価を行った。
冷間加工性を評価する加工率と、形状回復特性を評価する形状回復率とを表2ないし表5に示す。加工率と形状回復率の意味は実施例1と同じである。
なお、表2および表3において、実験不可とは、冷間圧延時の割れが著しく、実験を続行できなかったものをいう。
Figure 2009215650
表2は、Ti−Cr−Sn系合金の加工率と形状回復率を示す。表2において、試料番号5ないし13の本発明の実施例は、加工率が46%以上であって、優れた冷間加工性を備えていることが分かる。加工率は高い方が実用的な用途が拡がるという点で好ましい。一方、形状回復率については、試料番号13や後記する表3の試料番号28や後記する表4の試料番号35のように、必ずしも形状回復率の数値が高くなくても、その形状回復率に見合った実用上の用途がある。
しかし、試料番号14ないし21の比較例のTi−Cr−Sn系合金はすべて形状回復特性を備えておらず、試料番号16、17および19のTi−Cr−Sn系合金は実質的に冷間加工できないほどに加工性が悪い。
Figure 2009215650
表3は、Ti−Cr−Au系合金の加工率と形状回復率を示す。表3において、試料番号22ないし28の本発明の実施例は、加工率が50%以上であって、優れた冷間加工性を備えていることが分かる。
しかし、試料番号29ないし32の比較例のTi−Cr−Au系合金はすべて形状回復特性を備えておらず、試料番号29、30および32のTi−Cr−Au系合金は実質的に冷間加工できないほどに加工性が悪い。
Figure 2009215650
表4は、Ti−Fe−Sn系合金の加工率と形状回復率を示す。表4において、試料番号33ないし35の本発明の実施例は、加工率が95%以上であって、極めて優れた冷間加工性を備えていることが分かる。
しかし、試料番号37ないし40の比較例のTi−Fe−Sn系合金は、加工率が40%以下であって冷間加工性が悪く、試料番号41および42の比較例のTi−Fe−Sn系合金は、実質的に冷間加工できないほどに加工性が悪い。また、試料番号36、38、40、41および42の比較例のTi−Fe−Sn系合金は形状回復特性を備えていない。
Figure 2009215650
表5は、Ti−Fe−Au系合金の加工率と形状回復率を示す。表5において、試料番号43ないし46の本発明の実施例は、加工率が95%以上であって、極めて優れた冷間加工性と極めて優れた形状回復特性とを備えていることが分かる。
しかし、試料番号47の比較例のTi−Fe−Au系合金は形状回復特性を備えていない。
実施例2の実験結果を以下にまとめる。
(1)表2に示すように、Tiのβ相安定化に寄与する5.0ないし8.0モル%の第1の元素(Cr)と、ω脆性の抑制とマルテンサイトの熱弾性化に寄与する第2の元素(Sn)とを合計で8.0ないし11.0モル%含み、残部がTiおよび不可避的不純物からなり、且つ、33%≦(第2の元素の含有量/第1の元素の含有量)≦73%である組成比を有するTi系合金は、優れた冷間加工性と良好な形状回復特性とを備えている。
(2)表3に示すように、Tiのβ相安定化に寄与する3.0ないし8.0モル%の第1の元素(Cr)と、ω脆性の抑制とマルテンサイトの熱弾性化に寄与する第2の元素(Au)とを合計で5.0ないし14.0モル%含み、残部がTiおよび不可避的不純物からなり、且つ、25%≦(第2の元素の含有量/第1の元素の含有量)≦80%である組成比を有するTi系合金は、優れた冷間加工性と良好な形状回復特性とを備えている。
(3)表4に示すように、Tiのβ相安定化に寄与する4.0ないし6.0モル%の第1の元素(Fe)と、ω脆性の抑制とマルテンサイトの熱弾性化に寄与する第2の元素(Sn)とを合計で7.0ないし12.0モル%含み、残部がTiおよび不可避的不純物からなり、且つ、60%≦(第2の元素の含有量/第1の元素の含有量)≦100%である組成比を有するTi系合金は、極めて優れた冷間加工性と良好な形状回復特性とを備えている。
(4)表5に示すように、Tiのβ相安定化に寄与する3.0ないし7.0モル%の第1の元素(Fe)と、ω脆性の抑制とマルテンサイトの熱弾性化に寄与する第2の元素(Au)とを合計で7.0ないし11.0モル%含み、残部がTiおよび不可避的不純物からなり、且つ、57%≦(第2の元素の含有量/第1の元素の含有量)≦133%である組成比を有するTi系合金は、極めて優れた冷間加工性と極めて優れた形状回復特性とを備えている。
本発明は、歯列矯正ワイヤ、電子レンジダンパー、エアコン風向制御部材、炊飯器蒸気調圧弁、建築用の換気口、携帯電話アンテナ、ブラジャー用ワイヤ、メガネフレームなどに幅広く利用することができる。
1 板材
2 ステンレス鋼製丸棒

Claims (9)

  1. Tiのβ相安定化に寄与する第1の元素を1ないし9モル%含み、ω脆性の抑制とマルテンサイトの熱弾性化に寄与する第2の元素を1ないし9モル%含み、残部がTiおよび不可避的不純物からなる形状記憶合金。
  2. 第1の元素と第2の元素は融点が2000℃未満の金属元素である請求項1記載の形状記憶合金。
  3. FeおよびCrから選択される第1の元素のいずれか1種を1ないし9モル%又は2種の合計を1ないし9モル%含み、SnおよびAuから選択される第2の元素のいずれか1種を1ないし9モル%又は2種の合計を1ないし9モル%含む請求項1または2記載の形状記憶合金。
  4. Tiのβ相安定化に寄与する元素を第1の元素とし、ω脆性の抑制とマルテンサイトの熱弾性化に寄与する元素を第2の元素とした場合、5.0ないし8.0モル%の第1の元素と、第2の元素とを合計で8.0ないし11.0モル%含み、残部がTiおよび不可避的不純物からなり、且つ、33%≦(第2の元素の含有量/第1の元素の含有量)≦73%である組成比を有する形状記憶合金。
  5. Tiのβ相安定化に寄与する元素を第1の元素とし、ω脆性の抑制とマルテンサイトの熱弾性化に寄与する元素を第2の元素とした場合、3.0ないし8.0モル%の第1の元素と、第2の元素とを合計で5.0ないし14.0モル%含み、残部がTiおよび不可避的不純物からなり、且つ、25%≦(第2の元素の含有量/第1の元素の含有量)≦80%である組成比を有する形状記憶合金。
  6. Tiのβ相安定化に寄与する元素を第1の元素とし、ω脆性の抑制とマルテンサイトの熱弾性化に寄与する元素を第2の元素とした場合、4.0ないし6.0モル%の第1の元素と、第2の元素とを合計で7.0ないし12.0モル%含み、残部がTiおよび不可避的不純物からなり、且つ、60%≦(第2の元素の含有量/第1の元素の含有量)≦100%である組成比を有する形状記憶合金。
  7. Tiのβ相安定化に寄与する元素を第1の元素とし、ω脆性の抑制とマルテンサイトの熱弾性化に寄与する元素を第2の元素とした場合、3.0ないし7.0モル%の第1の元素と、第2の元素とを合計で7.0ないし11.0モル%含み、残部がTiおよび不可避的不純物からなり、且つ、57%≦(第2の元素の含有量/第1の元素の含有量)≦133%である組成比を有する形状記憶合金。
  8. 第1の元素と第2の元素は融点が2000℃未満の金属元素である請求項4ないし7のいずれか1項に記載の形状記憶合金。
  9. 第1の元素がFeおよびCrから選択される元素の1種以上からなり、第2の元素がSnおよびAuから選択される元素の1種以上からなる請求項4ないし8のいずれか1項に記載の形状記憶合金。
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