JP4783178B2 - アルミニウム微粒子分散フィルムおよびその形成用組成物並びに形成方法 - Google Patents
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Description
本発明方法で使用される錯体は、アミン化合物と水素化アルミニウムとの錯体である。ここで、水素化アルミニウム(しばしば慣用的に「アラン」と呼ばれる。)はアルミニウムと水素原子とからなる化合物であり、一般的にはAlH3で表される。本発明で使用される錯体(以下アラン・アミン錯体という)は、J.K.Ruffら、J.Amer.Chem.Soc.,82巻,2141ページ,1960年、G.W.Fraserら、J.Chem.Soc.,3742ページ,1963年、J.L.Atwoodら、J.Amer.Chem.Soc.,113巻,8183ページ,1991年等の方法に準じて合成できる。本発明方法で使用されるアラン・アミン錯体を構成するアミン化合物としては、例えば下記式(1)で表される化合物が挙げられる。
R1R2R3N ・・・(1)
(ここで、R1、R2、R3は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、環式アルキル基又はアリール基である。)
これらのポリマーは複数種混合して用いることもできる。
本発明におけるアルミニウム微粒子分散フィルム形成用組成物の固形分濃度は、好ましくは0.1〜80重量%であり、より好ましくは10〜80重量%である。所望の導電性膜の膜厚に応じて適宜調製することができる。
Ti原子を含む有機金属化合物としては、例えばチタニウムアルコシド、アミノ基を含有するチタニウム化合物、β−ジケトンとのチタニウム錯体、シクロペンタジエニル基を含有するチタニウム化合物、ハロゲン基を含有するチタニウム化合物等を挙げることができる。
熱処理の温度は、100℃以上とするのが好ましく、150℃〜500℃とするのがさらに好ましい。加熱時間は30秒から120分程度で十分である。
トリエチルアミン20gのエチルエーテル(100ml)溶液に、5倍モルの塩化水素ガスをバブリングして反応させ、沈殿した塩をフィルターで濾別後、100mlのエチルエーテルで洗浄し乾燥させて24gのトリエチルアミン塩酸塩を合成した。得られたトリエチルアミン塩酸塩14gをテトラヒドロフラン500mlに溶解し、3.8gのリチウムアルミニウムハイドライドと500mlのエチルエーテルの懸濁液中へ窒素下室温で1時間かけ滴下した。滴下終了後更に6時間室温で反応させた。反応溶液を0.2μmのメンブレンフイルターで濾過し、濾液を窒素下で減圧濃縮し、濃縮中に析出した塩を0.2μmのメンブレンフイルターで濾別した。更に300mlのトルエンを添加後、溶媒を窒素下で飛散させ、減圧濃縮し、濃縮中に析出した塩を再度0.2μmのメンブレンフイルターで濾過して精製し、最終的にトルエンの留出がなくなるまで減圧を続け、液状のアラン−アミン錯体を得た。
単量体としてビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン 750ミリモル(70.5 g)、エンド(endo)含有量が95%のトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン 475 ミリモル(63.6g)、5−トリエトキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン 25ミリモル(6.4g)を溶媒としてシクロヘキサン562g、塩化メチレン141g、分子量調節剤としてスチレン 15.0ミリモルを2,000mlの反応容器に窒素下で仕込んだ。予めヘキサン溶液のオクタン酸Niを六フッ化アンチモン酸と−10℃でモル比1:1で反応させ、副生する沈殿したNi(SbF6)2を除去したのち、トルエン溶液で希釈したオクタン酸Niの六フッ化アンチモン酸変性体をNi原子として0.25ミリモル、メチルアルミノキサン2.50ミリモルおよび三フッ化ホウ素エチルエーテラート0.75ミリモルを仕込み、重合を行った。25℃で3時間重合を行い、メタノールで重合を停止した。単量体の共重合体への転化率は90%であった。共重合体溶液に水660ml、乳酸47.5ミリモルを加えて、攪拌、混合して触媒成分と反応させ、共重合体溶液と水を静止分離した。触媒成分の反応物を含む水相を除去した共重合体溶液を3Lのイソプロピルアルコールに入れて共重合体を凝固し、未反応単量体と残る触媒残さを除去した。凝固した共重合体を乾燥し、共重合体Aを得た。共重合体溶液中の未反応単量体のガスクロマトグラフィー分析から、共重合体A中のトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エンに由来する構造単位の割合は35モル%であった。5−トリエトキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンに由来する構造単位の割合は2.0モル%であった。共重合体Aのポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は142,000、重量平均分子量(Mw)は284,000で、Mw/Mnは2.0であった。また共重合体Aのガラス転移温度は390℃であった。
重量平均分子量が50,000のポリスチレン20gをトルエン90gに溶解した溶液に、合成例1の方法で合成したアラン・アミン錯体10gを溶解してフィルム形成用組成物を調製し、アプリケーターを用いてガラス基板上に塗工した。これを50℃の熱風乾燥機に入れ溶媒を除去した後、基板から剥離することにより無色透明のアラン・アミン錯体が分散したポリスチレンフィルムを作製した。このフィルムの膜厚は10μmで、シート抵抗を測定したところ10MΩ/□以上であり、高絶縁体であった。このフィルムを150℃のホットプレートで加熱するとフィルムが灰色に変色した。加熱処理後のフィルムのシート抵抗を測定したところ95KΩ/□であった。このフィルムを顕微鏡観察したところ図1のようにアルミニム微粒子が均一に分散された状態であった。
実施例1に使用したポリスチレンを1,2−ポリブタジン(JSR(株)製RB830)に変え、その他は実施例1と同様のフィルム形成用組成物を調製した。図3はこれを用いてフィルムを製造する工程を説明した図である。このフィルム形成用組成物1を塗工するガラス基板を予めチタニウムビス(エチルアセトアセテート)ジイソプロポキシドの1%トルエン溶液に1時間浸漬した後に100℃で30分間および300℃で30分間乾燥させ親水性基板2を作製した。この基板2にアプリケーターを用いて100μm厚のフィルムを形成した(図3(a))。この後150℃のホットプレートにて、フィルム側から10分間加熱(図3(b))するか若しくはガラス基板側から、10分間加熱(図3(b’))した。この加熱3によってガラス基板側つまりチタニウム処理界面に優先的に反応が推進しAl膜4が析出した(図3(c))ため、このフィルムをガラス基板から剥離した(図3(d))ところ、アルミニムがポリマーとガラス基板の界面に集積し、ポリマーフィルムに強固に付着し、アルミニム膜の鏡面を有するフィルム6ができたことを確認した。アルミニム膜の比抵抗は6μΩcm、反射率は84%であり、導電性、反射率共極めて良好であった。なお、ここではガラス基板上に予めチタニウムビス(エチルアセトアセテート)ジイソポロポキシドを塗工したが、図3(a’)の様にチタニウムビス(エチルアセトアセテート)ジイソプロポキシドを塗工若しくは分散したフィルム5をラミネートしてもよい。
実施例1に使用したポリスチレンに替わって、上記合成例2で得られたノルボルネンの付加重合ポリマーを用い、その他は実施例1と同様にしてフィルム形成用組成物を調製した。この溶液をテフロン(登録商標)処理を施したステンレス基板に塗工してアラン・アミン錯体を含有するポリマーフィルムを作製した。フィルムを剥離した後、フィルムのシート抵抗を測定したところ10MΩ/□以上の高抵抗フィルムであった。これを250℃で30分間加熱処理を施したところ、シート抵抗14KΩ/□の導電性を示した。この熱処理後のアルミニウム微粒子分散ポリマーフィルムの顕微鏡観察を行った。結果を図2に示す。アルミニウム微粒子が良好に分散されていることが分かる。
図4に実施例2で作製したフィルムの応用例を示す。実施例2と同様にチタニウム処理を施した基板2(図4(a))上にフィルム形成組成物1(図4(a))を形成したものを使用し、上方からレーザー12(YAGレーザー、出力100mW、ビーム幅2.5mm)を照射し反応を誘起させAl4を析出した。その後チタニウムビス(エチルアセトアセテート)ジイソポロポキシドを形成した裏面基板から剥がし、Alパターン膜が形成されたフィルム6(図4(b))を得た。このとき得られた配線幅は、200μmであった。
ここでは、レーザー印加によって反応を誘起したが、サーマルプリンタや配線型を熱圧着することで配線を書き込むことも可能である。例えば、サーマルプリンタの発熱体は、印字時に容易に200℃以上にすることができるため、上記150℃程度で反応が進行する本基板に適用してAlを析出させることが可能である。
なお、形成される配線幅は、本実施例で形成した幅に限定されるものではない。
図5(a’)は、同図(a)を別の角度から見たものである。ここでは、配線フィルムの端子は、配線ピッチ2mm、配線幅500μmとした。ガラスエポキシ基板側にも同ピッチにて幅800μmの端子を形成した。なお、この配線寸法は実施に際しての例でありこれに限定されるものではない。
配線フィルム6を位置合わせしたのち、ガラスエポキシ基板に圧力をかけて接触させ(図5(b)、5(b’))、シリコン樹脂10にて固定した。固定に際しては室温で樹脂硬化を行なった(図5(c)、5(c’))。配線フィルムの裏面は、Al配線がむき出しになっている為、ここでは同シリコン樹脂にて配線部を保護した。また接着に関してもこの例に限定されるものではなく、エポキシ樹脂を使用することや、配線部には例えばTACフィルムのような保護フィルム11を貼ってもよい(図5(d))。
チタニウムビス(エチルアセトアセテート)ジイソプロポキシドを予め備えた配線形成用のフィルム5(図6(a))は、予めガラスエポキシ等の基板9にフィルム5を接着した(図6(b))後に配線パターンを形成することで準備することも可能である。図6は、このように、配線形成フィルムを接着した後に配線を形成することを示している。
チタニウムビス(エチルアセトアセテート)ジイソプロポキシドを予め備えた配線形成用のフィルム5をガラスエポキシ基板9上にシリコン樹脂10で接着した(図7(c))のちにレーザー光の照射や、サーマルヘッドを走査して熱印加すると、反応が進行し、熱印加された部分のみにAlが析出する(図6(d))。この場合は後で配線を形成するので、配線形成用のフィルムをガラスエポキシ基板に接着する際に、ガラスエポキシ基板側のパターンと配線フィルムのパターンとの特別な位置あわせが必要ないという利点がある。配線形成はガラスエポキシ基板側のパターンを確認しながらレーザーやサーマルヘッドを走査すればよいからである。
なお、図6(e)の様に保護や補強を目的としたフィルム11を貼ってもよく、これは図5で説明したとおりである。また、保護や補強を目的としたフィルム11は、本実施例では後から貼ったが、フィルム形成組成物1(図4(a))、チタニウムビス(エチルアセトアセテート)ジイソプロポキシドを予め備えた配線形成用のフィルム5(図6(a))に予め貼っておいてもよいことは言うまでもない。
次に本発明を用いた別の実施例を図8、9および10を用いて説明する。図8は本発明の配線形成用フィルムの反応を模式的に示した図である。
実施例1、2、3で開示した無色透明のアラン・アミン錯体分散したポリスチレンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ノルボルネン付加重合フィルム1は、熱3を印加することでアラン・アミン錯体からAl18を析出する(図8(b))。ここで、実施例1のように析出したAlはフィルム中に分散しているため、導体との観点から抵抗を考えるとその抵抗値は高い。そこで図9(a)のようにフィルムを発熱体19で両側から挟み熱を印加してAlを析出させる。アラン・アミン錯体はフィルム中に一様に分布しているため、Alの析出密度は同じであるが、熱印加と同時に圧力をかけて挟み込むと、挟まれた部分のみにAlが析出する上に、圧力をかけてフィルムを押し込んでいるため、析出するAlの量は同じでも挟まれてフィルム厚が薄くなった分、析出Alの密度が見かけ上増加し、より導電性が向上する(図9(b))。
ここでは、2.0mm幅の金属片でフィルムを上下から挟み、150℃の熱を5分間掛けたところ、シート抵抗が680Ω/□となり導電性が向上した。
この後、基板、フィルム及び電子部品を固定するために接着剤を流し込んだ。
本発明のフィルムを用いた別の実施例を説明する。実施例2で形成したAl膜は、6μΩ・cmと抵抗が低いことからも分かるとおり、充分Al密度が高く表面は鏡面状態であった。このためこのフィルムは反射フィルムとしても使用することが可能である。図11はこの例を示した図である。チタニウムビス(エチルアセトアセテート)ジイソプロポキシドを含んだフィルムを貼り合せたアラン・アミン錯体を含むフィルム5を基体20上にエポキシ系接着剤で接着した後150℃で5分間熱印加して反応させAl膜を形成して鏡とした。このとき基体は平面でも曲面でもかまわない。
チタニウムビス(エチルアセトアセテート)ジイソプロポキシドは内部にTiO2を含むため、TiO2の光触媒作用によって汚れを寄付け難い。そのため、チタニウムビス(エチルアセトアセテート)ジイソプロポキシドが表面に出てくるこのミラーは野外に設置しても汚れ難いという効果がある。また該フィルム6は、反応前は透明に近いので、基体に貼る際、基体の位置や張り合わせマーク等を容易に観察することができるため貼り合わせが容易になるという利点も持つ。また熱印加をしたところのみにAl膜が形成されるので、必要な部分のみをミラーに加工することも可能である。
更に、印加時間を短くすることによって、形成膜厚をコントロールすることが可能であり、例えば150℃1分の熱印加処理では、150Å程度の半透過膜を作製することも可能である。
また実施例2の基体から剥がした鏡面Al膜の付いたフィルムを、UV樹脂で透明基板に貼りミラーとしてもよいことも言うまでもない。この例を図12に示した。ここでは、凸面の基体20に貼り付けた例で示した。尚、基体は、金属、樹脂等材質は問わない。
Claims (8)
- アミン化合物と水素化アルミニウムとの錯体、フィルム形成能を有するポリマー成分及び溶媒を含有することを特徴とする、アルミニウム微粒子分散フィルム形成用組成物。
- ポリマー成分が、アミン化合物と水素化アルミニウムとの錯体と反応しない炭化水素系ポリマーである請求項1記載の組成物。
- 請求項1記載の組成物を基板上に塗布してフィルム化する工程と、該フィルムに光照射および/または熱処理を施すことによりフィルム内部にアルミニウム微粒子を生成させる工程からなることを特徴とするアルミニウム微粒子分散フィルムの形成方法。
- フィルム化が基板上で行われそしてフィルム化を行う基板面がTi、Pd、Alよりなる群から選ばれる金属原子の有機金属化合物の塗膜を有する請求項3に記載の方法。
- 請求項3または4に記載の方法で形成されたアルミニウム微粒子分散フィルム。
- アルミニウム微粒子の粒径が1μm以下である請求項4に記載のアルミニウム微粒子分散フィルム。
- フィルム表面にアルミニウム鏡面を有する請求項5に記載のアルミニウム微粒子分散フィルム。
- 導電性である請求項7に記載のアルミニウム微粒子分散フィルム。
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