JP4154729B2 - 導電性積層膜およびその導電性積層膜形成方法 - Google Patents

導電性積層膜およびその導電性積層膜形成方法 Download PDF

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本発明は、導電性積層膜の形成方法に関する。さらに詳しくは、電子デバイスの電極または配線に好適に用いることができる導電性積層膜の形成方法に関する。
太陽電池や半導体デバイス、電子ディスプレイデバイスなど多くの電子デバイスに使用されている配線材料としてアルミニウムが使用されている。従来このようなアルミニウム膜はスパッタリング法、真空蒸着法、CVD法などの真空プロセスで形成し、得られたアルミニウム膜をレジストを用いるフォトエッチング法でアルミニウムのパターンを形成するのが一般的であった。この方法は大がかりな真空蒸着装置が必要なため消費エネルギー上不利であるばかりでなく、大面積基板に均一にアルミニウム配線を形成することが困難であるため歩留まりが悪くコスト高の一因となっていた。
これに対して近年、アルミニウム微粒子をバインダーに分散したペーストが開発され、このペーストをスクリーン印刷法などでパターン印刷し、焼成することによりアルミニウムのパターンを形成する方法が報告されている。この方法はアルミニウムペーストの印刷による直接パターニングであるためコスト的には安価であるが、得られたアルミニウムは不純物を有し低抵抗のものを得ることが困難であるとともに、微細パターンの形成は技術上困難であった。
従来、金属アルミニウム膜は表面が容易に酸化され絶縁層を形成するために、配線等に用いる場合、金属アルミウム膜表面に形成される酸化膜が抵抗値をアップさせるので金属アルミニウム膜と接触する他金属および/または半導体との導通(コンタクト)を取ることが非常に難しい問題がある。半導体シリコン等の他材料とのコンタクトをとる場合は、空気中で安定な何らかの導電性材料を介在して導通をとる必要があるが、チタニウム、チタニウムナイトライド、モリブデン、タングステン、タンタル等比較的安定な金属膜をスパッタリング法等の気相法で形成する以外に使用できる工業的材料はなかった。
一方、誘電体層からの酸素を取り込みにくい電極材料として、白金、ルテニウム、酸化ルテニウムがキャパシターの電極材料として検討されている。これらのうち白金膜は、ドライエッチングによる加工が困難であるのに対して、ルテニウム膜あるいは酸化ルテニウム膜は比較的容易にドライエッチングにより加工することができるので、キャパシタの電極として好適に用いることができることが知られている。
該ルテニウム膜の形成には、スパッタリング法が多く用いられ、酸化ルテニウム膜の形成には、反応性スパッタリング法が多く用いられている。また、より微細化した構造や、量産性への対応として、CVD法の検討も行われている。しかし、いずれも大がかりな装置が必要となり、装置自体が高価であるばかりでなく、真空系やプラズマ系等に多大なエネルギーを消費するため、製品のコスト高につながっている。
近年、これに対して真空系を使わずに液体状のルテニウム化合物を塗布する方法が提案されている。非特許文献1には、Ru(NH36Cl2水溶液を塗布した後、焼成することにより、ルテニウム金属に変換する方法が開示されているが、この方法によると、生成するルテニウム金属は微粒子状となり、均一な膜とはならない。また、非特許文献2には、蒸気圧を高めるため液体状のRu(EtCp)2からCVD法により、金属ルテニウム膜を形成する方法が開示されているが、この方法によると、ルテニウム膜中に多量の炭素が不純物として残存し、キャパシタ電極用材料としては、好適なものではない。
「表面技術協会講演大会後援要旨集」、164頁、(1990年) Jpn. J. Appl. Phys. 38, pp 1134 (1999)
本発明は上記事情を鑑みなされたもので、その目的は、多くの電子デバイスの配線や電極に容易かつ安価に使用できる導電性積層膜の形成法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになろう。
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第に、ルテニウムの有機金属錯体を基体上に塗布し次いで熱処理することにより導電性膜を形成し、そして該導電性膜上にアミン化合物とアランとの錯体を塗布し次いで不活性気体雰囲気中熱および/または光処理して金属アルミニウム膜を形成し、さらに該金属アルミニウム膜上にルテニウムの有機金属錯体を塗布し次いで水素を含有する還元性雰囲気中で熱処理して導電性膜を形成する、ことを特徴とする、導電性積層膜の形成法によって達成される。
本発明によれば、従来のスパッタリング法、真空蒸着法、CVD法などの真空プロセスによる導電性の金属積層膜の形成方法と異なり、積層膜中の少なくとも1層は、特定の有機金属ルテニウム錯体および特定の有機アルミニウム錯体をスピンコート法、インクジェット法などの溶液塗布法で塗布膜を形成し、次いで熱および/または光処理することで簡便に導電性を有するルテニウム/アルミニウム/ルテニウム積層膜を形成する工業的方法が提供される。また従来のCVD法のような気相からの堆積ではなく、積層膜の少なくとも1層は塗布方法で形成した前駆体膜を熱処理および/または光照射することにより、低コストで均一且つ緻密な膜質の導電性積層膜が得られ、それを用いた配線および電極を形成することができる。
以下に本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明において用いることができるルテニウム有機金属錯体としては、例えばビス(シクロペンタジエニル)ルテニウム、ビス(エチルシクロペンタジエニル)ルテニウム、ビス(アセチルシクロペンタジエニル)ルテニウム、ビス(メトキシシクロペンタジエニル)ルテニウム、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ルテニウム、(シクロペンタジエニル)(エチルシクロペンタジエニル)ルテニウム、(シクロペンタジエニル)(アセチルシクロペンタジエニル)ルテニウム、(シクロペンタジエニル)(メトキシシクロペンタジエニル)ルテニウム、(シクロペンタジエニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ルテニウム、(1,5−シクロオクタジエニル)(1,3,5−シクロオクタトリエニル)ルテニウム、(1,4−シクロヘキサジエニル)(1,3,5−シクロオクタトリエニル)ルテニウム、(1,3−シクロヘキサジエニル)(1,3,5−シクロオクタトリエニル)ルテニウム、(1,5−シクロオクタジエニル)(シクロペンタジエニル)ルテニウム、(1,4−シクロヘキサジエニル)(シクロペンタジエニル)ルテニウム、(1,3−シクロヘキサジエニル)(シクロペンタジエニル)ルテニウム、(1,3,5−シクロオクタトリエニル)(シクロペンタジエニル)ルテニウム、(ビシクロ[2.2.1]ヘプタジエニル)(シクロペンタジエニル)ルテニウム、(ビシクロ[2.2.1]ヘプタジエニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ルテニウム、(1,5−シクロオクタジエニル)(インデニル)ルテニウム、(1,4−シクロヘキサジエニル)(インデニル)ルテニウム、(1,3−シクロヘキサジエニル)(インデニル)ルテニウム、(1,3,5−シクロオクタトリエニル)(インデニル)ルテニウム、(ビシクロ[2.2.1]ヘプタジエニル)(インデニル)ルテニウム、(1,3,5−シクロオクタトリエニル)ジメチルルテニウム、(1,3,5−シクロオクタトリエニル)ジエチルルテニウム、(1,5−シクロオクタジエニル)ジメチルルテニウム、(1,5−シクロオクタジエニル)ジエチルルテニウム、ビス(アリル)ジカルボニルルテニウム、(シクロペンタジエニル)メチルジカルボニルルテニウム、(ヘキサフルオロ−2−ブチン)テトラカルボニルルテニウム、ビス(シクロペンタジエニル)テトラカルボニル二ルテニウム、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)テトラカルボニル二ルテニウム、ドデカカルボニル四ルテニウムテトラヒドリド、ドデカカルボニル三ルテニウム、ペンタカルボニルルテニウム、トリカルボニル(1,3,5−シクロオクタテトラエニル)トリカルボニルルテニウム、(1,5−シクロオクタジエニル)トリカルボニルルテニウム、(1,4−シクロヘキサジエニル)トリカルボニルルテニウム、(1,3−シクロヘキサジエニル)トリカルボニルルテニウム、(2,3−ジメチル−1,3−ブタジエニル)トリカルボニルルテニウム、(1,3−ブタジエニル)トリカルボニルルテニウム、(1,3,5−シクロオクタテトラエニル)ルテニウムジヒドリド、(1,5−シクロオクタジエニル)ルテニウムトリヒドリド、(1,4−シクロヘキサジエニル)ルテニウムトリヒドリド、(1,3−シクロヘキサジエニル)ルテニウムトリヒドリド、(シクロペンタジエニル)(1,5−シクロオクタジエニル)ルテニウムヒドリド、(シクロペンタジエニル)(1,4−シクロヘキサジエニル)ルテニウムヒドリド、ビス(η6−ベンゼン)ルテニウム、ビス(η6−トルエン)ルテニウム、(1,4−シクロヘキサジエニル)(η6−ベンゼン)ルテニウム、(1,3−シクロヘキサジエニル)(η6−ベンゼン)ルテニウム、1,5−シクロオクタジエニル)(η6−ベンゼン)ルテニウム、(1,4−シクロヘキサジエニル)(η6−トルエン)ルテニウム、(1,3−シクロヘキサジエニル)(η6−トルエン)ルテニウム、(1,5−シクロオクタジエニル)(η6−トルエン)ルテニウム、ビス(アリル)(1,5−シクロオクタジエニル)ルテニウム、ビス(アリル)(1,4−シクロヘキサジエニル)ルテニウム、ビス(アリル)(ビシクロ[2.2.1]ヘプタジエニル)ルテニウム、トリス(ペンタ−2,4−ジケト)ルテニウム、トリス(2,2,6,6−テトラメチルへプタ−3,5−ジケト)ルテニウム、トリス(1−エトキシブタン−1,3−ジケト)ルテニウム、トリス(1,1,1,5,5,5−ヘキサフロロペンタ−2,4−ジケト)ルテニウム、トリス(2,2−ジメチルヘキサ−3,5−ジケト)ルテニウム、トリス(1−エトキシ−4,4−ジメチルペンタ−1,3−ジケト)ルテニウム、トリス(1,1,1−トリフロロ−ペンタ−2,4−ジケト)ルテニウム、酢酸ルテニウム(III)、トリフロロ酢酸ルテニウム(III)、プロピオン酸ルテニウム(III)、2−エチルヘキサン酸ルテニウム(III)、アクリル酸ルテニウム(III)、メタクリル酸ルテニウム(III)等を挙げることができる。なかでも好ましくは、ビス(エチルシクロペンタジエニル)ルテニウム、ビス(アセチルシクロペンタジエニル)ルテニウム、(1,5−シクロオクタジエニル)(1,3,5−シクロオクタトリエニル)ルテニウム、(1,4−シクロヘキサジエニル)(1,3,5−シクロオクタトリエニル)ルテニウム、(1,3−シクロヘキサジエニル)(1,3,5−シクロオクタトリエニル)ルテニウム、1,3,5−シクロオクタトリエニル)(シクロペンタジエニル)ルテニウム、(ビシクロ[2.2.1]ヘプタジエニル)(シクロペンタジエニル)ルテニウム、(1,5−シクロオクタジエニル)(η6−ベンゼン)ルテニウム、(1,5−シクロオクタジエニル)(η6−トルエン)ルテニウム、トリス(ペンタ−2,4−ジケト)ルテニウム、トリス(1−エトキシブタン−1,3−ジケト)ルテニウム、(1,1,1トリフロロ−ペンタ−2,4−ジケト)ルテニウム、トリフロロ酢酸ルテニウム(III)、2−エチルヘキサン酸ルテニウム(III)であり、さらに好ましくは、ビス(アセチルシクロペンタジエニル)ルテニウム、(1,5−シクロオクタジエニル)(1,3,5−シクロオクタトリエニル)ルテニウム、(1,4−シクロヘキサジエニル)(1,3,5−シクロオクタトリエニル)ルテニウム、1,3,5−シクロオクタトリエニル)(シクロペンタジエニル)ルテニウム、トリス(ペンタ−2,4−ジケト)ルテニウム、トリス(1−エトキシブタン−1,3−ジケト)ルテニウム、(1,1,1トリフロロ−ペンタ−2,4−ジケト)ルテニウムが挙げられる。
上記のルテニウム有機金属錯体は溶媒に溶解して塗布溶液として使用する。使用される溶媒は、ルテニウム有機金属錯体を溶解し溶媒と反応しないものであれば特に限定されない。例えば、n−ペンタン、シクロペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘプタン、n−オクタン、シクロオクタン、デカン、シクロデカン、ジシクロペンタジエン水素化物、ベンゼン、トルエン、キシレン、デュレン、インデン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、スクワランの如き炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサンの如きエーテル系溶媒;プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、塩化メチレン、クロロホルムの如き極性溶媒;およびメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、オクタノール、デカノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、グリセロール、グリセロールモノメチルエーテル、グリセロールジメチルエーテル、グリセロールモノエチルエーテル、グリセロールジエチルエーテルの如きアルコール系溶媒;乳酸メチル、乳酸エチルの如き水酸基を有するエステル類および水を挙げることができる。これらのうち、ルテニウム有機金属錯体の溶解性と該溶液の安定性の点で炭化水素系溶媒およびエーテル系溶媒または炭化水素系溶媒とエーテル系溶媒との混合溶媒が好ましい。これらの溶媒は、単独でも、あるいは2種以上の混合物としても使用できる。
上記ルテニム有機金属錯体の溶液の濃度は、好ましくは1〜70重量%程度である。所望のルテニウム膜厚に応じて適宜選択することができる。
かくして得られたルテニウム有機金属錯体の溶液は、必要に応じて酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ケイ素などの金属酸化物の微粒子などと適宜混合して使用することができる。
また、溶液の塗布対象物への濡れ性を良好化し、塗布した膜のレベルリング性を改良し、塗膜のぶつぶつの発生、ゆず肌の発生などを防止するため、目的の機能を損なわない範囲で必要に応じてフッ素系、シリコーン系、非イオン系界面活性剤などの表面張力調節剤を少量添加することができる。かかる非イオン系界面活性剤としては、例えばフッ化アルキル基もしくはパーフルオロアルキル基を有するフッ素系界面活性剤およびオキシアルキル基を有するポリエーテルアルキル系界面活性剤を挙げることができる。前記フッ素系界面活性剤としては、例えばC919CONHC1225、C817SO2NH−(C24O)6H、C917O(プルロニックL−35)C917、C917O(プルロニックP−84)C917などを挙げることができる。ここで、プルロニックL−35は旭電化工業(株)製、ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロック共重合体、平均分子量1,900であり、プルロニックP−84は、旭電化工業(株)製、ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロック共重合体、平均分子量4,200である。これらのフッ素系界面活性剤の具体例としては、エフトップEF301、同EF303、同EF352(新秋田化成(株)製)、メガファックF171、同F173(大日本インキ(株)製)、アサヒガードAG710(旭硝子(株)製)、フロラードFC−170C、同FC430、同FC431(住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−382、同SC101、同SC102、同SC103、同SC104、同SC105、同SC106(旭硝子(株)製)、BM−1000、同1100(B.M−Chemie社製)、Schsego−Fluor(Schwegmann社製)などを挙げることができる。ポリエーテルアルキル系界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックポリマーなどを挙げることができる。これらのポリエーテルアルキル系界面活性剤の具体例としては、エマルゲン105、同430、同810、同920、レオドールSP−40S、同TW−L120、エマノール3199、同4110、エキセルP−40S、ブリッジ30、同52、同72、同92、アラッセル20、エマゾール320、ツィーン20、同60、マージ45(いずれも(株)花王製)、ノニボール55(三洋化成(株)製)などを挙げることができる。上記以外の非イオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリアルキレンオキサイドブロック共重合体などがあり、具体的にはケミスタット2500(三洋化成工業(株)製)、SN−EX9228(サンノプコ(株)製)、ノナール530(東邦化学工業(株)製)などを挙げることができる。
かくして得られたルテニウム有機金属錯体を含有する溶液または組成物を支持体上に塗布して塗膜を形成する。支持体の材質、形状等は特に制限はないが、材質は次工程の熱処理に耐えられるものが好ましく、また塗膜を形成する支持体は平面でもよく段差のある非平面でもよく、その形態は特に限定されるものではない。これらの支持体の材質の具体例としては、ガラス、金属、プラスチック、セラミックスなどを挙げることができる。ガラスとしては、例えば石英ガラス、ホウ珪酸ガラス、ソーダガラス、鉛ガラスが使用できる。金属としては、例えば金、銀、銅、ニッケル、シリコン、アルミニウム、鉄の他ステンレス鋼などが使用できる。プラスチックとしては、例えばポリイミド、ポリエーテルスルホンが使用できる。これらの材質形状はバルク形状、板状、フィルム形状などで特に制限されるものではない。また、上記溶液の塗布に際しては、塗布方法は特に限定されず、例えばスピンコート、ディップコート、カーテンコート、ロールコート、スプレーコート、インクジェット、印刷法などにより採用することができる。塗布は1回で、または複数回、重ね塗りすることもできる。好適な塗膜の厚みは、塗布方法、固形分濃度に依存して適宜変動するが、焼成膜の膜厚として0.01〜100μmとなるのが好ましく、0.02〜10μmとなるのがさらに好ましい。また、微細パターンを有する基板上に本発明の塗布液を塗布する際は、基板を塗布液に浸漬し超音波を照射するかあるいは該基板上に塗布液を盛り超音波を照射するか等の液を振動させて塗布することもできる。
本発明は、ルテニウム有機金属錯体の塗布膜を熱処理により金属ルテニウム膜または酸化ルテニウム膜に変換する。熱処理の温度は、200℃以上とするのが好ましく、300℃〜500℃とするのがさらに好ましい。加熱時間は30秒から30分程度で十分である。また、加熱雰囲気により得られる膜質が異なり、酸素を含有する酸化性雰囲気中での焼成では酸化ルテニウム膜が得られ易く、水素を含有する還元性雰囲気中での焼成では金属ルテニウム膜が得られ易い。上記焼成雰囲気の酸素または水素は、例えば窒素、ヘリウム、アルゴンなどとの混合ガスで用いても良い。また、得られた金属ルテニウム膜、酸化ルテニウム膜の特性を改質するために光処理を行なっても良い。光処理に使用する光源としては、低圧あるいは高圧の水銀ランプ、重水素ランプあるいはアルゴン、クリプトン、キセノン等の希ガスの放電光の他、YAGレーザー、アルゴンレーザー、炭酸ガスレーザー、XeF、XeCl、XeBr、KrF、KrCl、ArF、ArClなどのエキシマレーザーなどを光源として使用することができる。これらの光源は、一般には、10〜5,000Wの出力のものが用いられるが、好ましくは100〜1,000Wである。これらの光源の波長は特に限定されないが、好ましくは170nm〜600nmである。またルテニウム膜または酸化ルテニウム膜の改質効果の点でレーザー光の使用が特に好ましい。これらの光処理時の温度は、好ましくは室温〜200℃程度である。また光照射に際しては、特定部位のみを照射するためにマスクを介して照射しても良い。
かくして、基板上に形成された導電性膜上に、次いでアミン化合物とアランとの錯体を塗布し、さらに熱および/または光処理することにより金属アルミニウム膜を形成するかあるいはスパッタリングおよび/または蒸着で金属アルミニウム膜を形成する。
アランとはアルミニウムと水素元素とからなる化合物、一般的にはAlH3で表される化合物をさす。
アミン化合物とアランとの錯体は、J.K.Ruffら、J.Amer.Chem.Soc., 82巻, 2141ページ, 1960年、G.W.Fraser ら、J.Chem.Soc.,3742ページ, 1963年、J.L.Atwoodら、J.Amer.Chem.Soc.,113巻, 8183ページ, 1991年、特許公報、特願2002-118381に記載された方法に準じて合成した。
アミン化合物とアランとの錯体を構成するアミン化合物は下記式(1)で表される。
アミン化合物とアランとの錯体を構成するアミン化合物は下記式(1)で表される。
123N−−−−−−−−−(1)
(ここで、R1、R2、R3は水素原子もしくは炭素数1〜12のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、またはフェニル基で同一もしくは異なる。)
式(1)におけるR1、R2、R3の具体例としては、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基の如き飽和アルキル基、メタアリル基の如き不飽和基を有するアルケニル基、フェニルエチニル基の如きアルキニル基、シクロプロピル基の如き脂環式アルキル基、フェニル基、ベンジル基の如きフェニル基を有する基などを好適に使用することができる。またこれらアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、またはフェニル基を有する基は直鎖状でも、環状でも、また分岐していてもよい。
式(1)で示される化合物の具体例としては、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−イソプロピルアミン、トリシクロプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリ−t−ブチルアミン、トリ−2−メチルブチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミン、トリ(2−エチルヘキシル)アミン、トリオクチルアミン、トリフェニルアミン、トリベンジルアミン、ジメチルフェニルアミン、ジエチルフェニルアミン、ジイソブチルフェニルアミン、メチルジフェニルアミン、エチルジフェニルアミン、イソブチルジフェニルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジシクロプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−t−ブチルアミン、メチルエチルアミン、メチルブチルアミン、ジ−n−ヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジ(2−エチルヘキシル)アミン、ジオクチルアミン、ジフェニルアミン、ジベンジルアミン、メチルフェニルアミン、エチルフェニルアミン、イソブチルフェニルアミン、メチルメタクリルアミン、メチル(フェニルエチニル)アミン、フェニル(フェニルエチニル)アミン、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、シクロプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、t−ブチルアミン、2−メチルブチルアミン、n−ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、2−エチルヘキシルアミン、オクチルアミン、フェニルアミン、ベンジルアミン、エチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N’−ジエチルエチレンジアミン、N,N’−ジイソプロピルエチレンジアミン、N,N’−ジ−t−ブチルエチレンジアミン、N,N’−ジフェニルエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、1,7−ジメチル−1,4,7−トリアザヘプタン、1,7−ジエチル−1,4,7−トリアザヘプタン、トリエチレンテトラアミン、フェニレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルジアミノベンゼン、1−アザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン(キヌクリジン)、1−アザシクロヘキサン、1−アザ−シクロヘキサン−3−エン、N−メチル−1−アザシクロヘキサン−3−エン、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、ピペラジン、N,N’,N''−トリメチル−1,3,5−トリアザ−シクロヘキサン等を用いることができる。これらのアミン化合物は、単独でも、あるいは2種以上の化合物を混合して使用することもできる。
金属アルミニウム膜形成用組成物は、上記の如く、アミン化合物とアランとの錯体を含有するが、アミン化合物とアランとの錯体以外のアルミニウム化合物を含有することもできる。かかるアルミニウム化合物としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリシクロプロピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−t−ブチルアルミニウム、トリ−2−メチルブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリシクロヘキシルアルミニウム、トリ(2−エチルヘキシル)アルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、トリベンジルアルミニウム、ジメチルフェニルアルミニウム、ジエチルフェニルアルミニウム、ジイソブチルフェニルアルミニウム、メチルジフェニルアルミニウム、エチルジフェニルアルミニウム、イソブチルジフェニルアルミニウム、ジエチルアルミニウムヒドリド、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、ジフェニルアルミニウムヒドリド、ジメチルメタクリルアルミニウム、ジメチル(フェニルエチニル)アルミニウム、ジフェニル(フェニルエチニル)アルミニウム、ジメチルアミン・ジメチルアルミニウム錯体、ジエチルアミン・ジエチルアルミニウム錯体、ジメチルアミン・ジエチルアルミニウム錯体、ジエチルアミン・ジメチルアルミニウム錯体、ジフェニルアミン・ジメチルアルミニウム錯体、ジフェニルアミン・ジエチルアルミニウム錯体等を挙げることができる。これらのアルミニウム化合物は、単独でも、あるいは2種以上の化合物を混合して使用することもできる。
上記式(1)で表されるアミン化合物とアランとの錯体は錯体の融点が室温以下であればそのまま用いることができるが、融点に関わらず溶媒に溶解して塗布溶液として使用することもできる。使用する溶媒としては、式(1)で表されるアミン化合物とアランとの錯体を溶解し溶媒と反応しないものであれば特に限定されないが、例えば、n−ペンタン、シクロペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘプタン、n−オクタン、シクロオクタン、デカン、シクロデカン、ジシクロペンタジエン水素化物、ベンゼン、トルエン、キシレン、デュレン、インデン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、スクワランの如き炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサン、アニソール、4−メチルアニソール、2−メチルアニソール、エチルアニソールの如きエーテル系溶媒、および塩化メチレン、クロロホルムなどの極性溶媒を用いることができる。これらのうち、式(1)で表されるアミン化合物とアランとの錯体の溶解性と該溶液の安定性の点で炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、または炭化水素系溶媒とエーテル系溶媒との混合物を用いるのが好ましい。これらの溶媒は、単独でも、あるいは2種以上の混合物としても使用することができる。
上記式(1)で表されるアミン化合物とアランとの錯体の溶液の濃度は、好ましくは0.1〜90重量%である。所望の導電性膜の膜厚に応じて適宜選択することができる。
アミン化合物とアランとの錯体の溶液は、導電性を調製するために、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニオビウム、チタン、ケイ素、インジウム、錫等の金属または/および半導体の微粒子を適宜混合して使用することができる。また、必要に応じて酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ケイ素などの金属酸化物の微粒子などと適宜混合して使用することもできる。また、溶液の塗布対象物への濡れ性を良好化し、塗布した膜のレベルリング性を改良し、塗膜のぶつぶつの発生、ゆず肌の発生などを防止するため、目的の機能を損なわない範囲で必要に応じてフッ素系、シリコーン系、非イオン系界面活性剤などの表面張力調節剤を少量添加することができる。添加することのできる表面張力調整剤としては、ルテニウム錯体の溶液に添加することができる表面張力調整剤と同じものが挙げられる。
本発明は、上記式(1)で表されるアミン化合物とアランとの錯体を用いた溶液の塗布膜を熱および/または光処理することにより金属アルミニウム膜に変換する。熱処理温度は、50℃以上とするのが好ましく、100℃〜500℃とするのがさらに好ましい。加熱時間は30秒から30分程度で十分である。また、熱処理するときの雰囲気はできる限り酸素および水分のない不活性気体雰囲気が好ましい。このような雰囲気中で熱処理すると良質の導電性膜を得ることができる。不活性気体としては、例えば窒素、ヘリウム、アルゴン、およびこれら気体と水素ガスとの混合ガスを用いることができる。また、光処理に使用する光源としては、例えば低圧あるいは高圧の水銀ランプ、重水素ランプあるいはアルゴン、クリプトン、キセノンの如き希ガスの放電光の他、YAGレーザー、アルゴンレーザー、炭酸ガスレーザー、XeF、XeCl、XeBr、KrF、KrCl、ArF、ArClの如きエキシマレーザーなどを挙げることができる。これらの光源は一般には、10〜5,000Wの出力のものが用いられるが、好ましくは、100〜1,000Wである。これらの光源の波長は特に限定されないが、好ましくは170nm〜600nmである。また導電性膜の改質効果の点でレーザー光の使用が特に好ましい。これらの光処理時の温度は、好ましくは室温〜200℃である。また光照射に際しては、特定部位のみを照射するためにマスクを介して照射しても良い。
かくして得られた溶液組成物を該ルテニウム膜を形成した基板上に塗布して式(1)で表されるアミン化合物とアランとの錯体からなる塗膜を形成する。該溶液の塗布方法は特に限定されず、例えばスピンコート、ディップコート、カーテンコート、ロールコート、スプレーコート、インクジェット、印刷法などを採用することができる。塗布は1回で、または複数回、重ね塗りすることもできる。好適な塗膜の厚みは、塗布方法、固形分濃度に依存して適宜変動するが、膜厚として0.01〜100μmとなるのが好ましく、0.02〜10μmとなるのがさらに好ましい。
金属アルミニウム膜は、アミン化合物とアランとの錯体からなる導電性膜形成用組成物から形成される。
本発明の導電性積層膜は、ルテニウムを含有する導電性膜、金属アルミニウム膜およびルテニウムを含有する導電性膜がこの順序で積層された3層からなる。
金属アルミニウム膜上にルテニウムを含有する導電性膜を形成するには、前記したと全く同様の方法で行うことができる。
本発明の導電性積層膜は、電子デバイスの電極あるいは配線として有利に使用することができる。
次に、本発明の積層膜、例えばガラス基板上への形成方法については実施例中で説明する。
以下に、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、下記実施例のうち、本発明の実施例は実施例5と6のみであり、実施例1〜4は参考例である。
合成例1
14.5gのナトリウムメトキシドを110mlのメタノールに溶解させ、アセト酢酸エチル9.76gのメタノール100ml溶液中へ室温で約15分で滴下した。滴下終了後1時間攪拌した。攪拌と共に溶液は無色から黄色に着色した。5.19gの三塩化ルテニウムを200mlのメタノールに溶解した溶液を約30分で攪拌しながら滴下し、滴下後5時間加熱還流させ、さらに一昼夜室温で放置した。次に、孔径0.45μmのメンブランフィルターで沈殿した塩を除去した後、エバポレーターでメタノールを除去した。残渣を100mlのエタノールに溶解させ1時間室温に放置した後、析出した塩を再度0.45μmのメンブランフィルターで除去した濾液をエバポレーターで濃縮し、9.1gの生成物を得た。生成物のIRスペクトルおよび元素分析から、生成物がトリス(1−エトキシブタン−1,3−ジケト)ルテニウムであることを確認した。IRスペクトルは図1に示した。また、元素分析は次のとおりである。
Ru=20.41%、C=44.24%、H=5.65%、O=29.60%(トリス(1−エトキシブタン−1,3−ジケト)ルテニウムとしての計算値は、Ru=20.69%、C=44.26%、H=5.57%、O=29.48%である。)。
合成例2
温度計、コンデンサー、および滴下ロートを取り付けた内容量が500mlの3口フラスコ内をアルゴンガスで置換した後、亜鉛末60gとメタノール50mlと1,5−シクロオクタジエンを仕込み、70℃で超音波攪拌しながら、3塩化ルテニウム3水和物5.3gをメタノール120mlに溶解した溶液をゆっくりと滴下した。滴下終了後、70℃でさらに2時間超音波攪拌を続けた。反応液をセライトカラムに通して不溶物を除き、溶出溶液を減圧濃縮することにより暗褐色油状物を得た。これをさらにシクロヘキサンで抽出した溶液をアルミナのカラムクロマトグラフイーによって精製し、その後、ペンタンで再結晶することにより黄色結晶5.5gを得た。このものは融点が92℃〜93℃で元素分析から目的とする化合物(1,5−シクロオクタジエニル)(1,3,5−シクロオクタトリエニル)ルテニウムであることを確認した。
合成例3
トリエチルアミン20gのエチルエーテル(100ml)溶液に、5倍モルの塩化水素ガスをバブリングさせ反応し、沈殿した塩をフィルターで濾別後、100mlのエチルエーテルで洗浄し乾燥させ24gのトリエチルアミン塩酸塩を合成した。得られたトリエチルアミン塩酸塩14gを、3.8gのリチウムアルミニウムハイドライドの500mlのエチルエーテル懸濁液中へ窒素下室温で1時間かけ滴下し滴下終了後さらに6時間室温で反応させた。反応溶液を0.45μmのメンブレンフイルターで濾過した。濾液を窒素下で濃縮し、濃縮中に析出した塩を0.1μmのメンブレンフイルターで濾別した。さらに300mlの4−メチルアニソールを添加後窒素下で減圧濃縮し、濃縮中に析出する塩を再度0.1μmのメンブレンフイルターで濾過・精製し、反応生成物の45%4−メチルアニソール溶液を得た。
得られた反応生成物のIRスペクトルおよびNMRスペクトルから、生成物が目的物のトリエチルアミンーアラン錯体であることが分かった。
実施例1
市販品のアルカリ洗浄液および超純水を用いて超音波洗浄したホウケイ酸ガラス上へ、合成例1で合成したトリス(1−エトキシブタン−1,3−ジケト)ルテニウムの10%トルエン溶液を、回転数2,000rpmでスピンコートし、3%H2入りN2中450℃で30分間熱処理して熱処理膜を形成した。この熱処理膜の膜厚は50nmであった。この膜のESCAスペクトルを測定したところ、Ru3d軌道に帰属されるピークが280eVと284eVに観察され金属ルテニウムであることが判った。また炭素に基づくピークは観察されなかった。また、この金属ルテニウム膜を4端子法で抵抗率を測定したところ、25μΩ・cmであった。
次に、このルテニウム膜上へ、合成例3で得られたトリエチルアミンーアラン錯体の45%4−メチルアニソール溶液を回転数1,000rpmで塗布した後、N2中80℃10分間および250℃で30分間熱処理し、金属光沢を有するアルミニウム膜を形成した。この基板上の膜の膜厚をαstep(Tenchor社製)で測定したところ250nmであった。この膜のESCAを測定した所、73.5eVにAl2pのアルミニウムに帰属されるピークが観察され、この積層膜の導電性を調べた所、12μΩ・cmの抵抗値を示し導電性を有するルテニウム/アルミニウムの積層膜が形成できたことがわかった。
実施例2
実施例1のトリス(1−エトキシブタン−1,3−ジケト)ルテニウムの代わりに合成例2で得られた(1,5−シクロオクタジエニル)(1,3,5−シクロオクタトリエニル)ルテニウムの10%トルエン溶液を用い、市販品のアルカリ洗浄液および超純水を用いて超音波洗浄したホウケイ酸ガラス上へ、回転数2,000rpmでスピンコートし、3%H2入りN2中450℃で30分間熱処理し熱処理膜を形成した。この熱処理膜の膜厚は40nmであった。この膜のESCAスペクトルを測定したところ、実施例1と同様にRu3d軌道に帰属されるピークが280eVと284eVに観察され金属ルテニウム膜であることが判った。また、この金属ルテニウム膜の比抵抗を測定した所、20μΩ・cmであった。
次に、このルテニウム膜上へ、実施例1と同様に合成例3で得られたトリエチルアミンーアラン錯体の45%4−メチルアニソール溶液を用い膜厚280nmの積層膜を形成した。この積層膜の導電性を調べた所、8μΩ・cmの抵抗値を示し導電性を有するルテニウム/アルミニウムの積層膜が形成できたことがわかった。
実施例3
実施例1と同様に、合成例1で合成したトリス(1−エトキシブタン−1,3−ジケト)ルテニウムの10%トルエン溶液を用いて、膜厚35nmのルテニウム膜を形成した。このルテニウム膜上へ市販のスパッタリング装置を用いて膜厚270nmのアルミニウム膜を形成した。この積層膜の比抵抗を測定した所、4.0μΩ・cmの抵抗値を示し導電性を有するルテニウム/アルミニウムの積層膜が形成できたことがわかった。
実施例4
実施例2と同様に、合成例2で得られた(1,5−シクロオクタジエニル)(1,3,5−シクロオクタトリエニル)ルテニウムの10%トルエン溶液を用い、膜厚45nmのルテニウム膜を形成した。このルテニウム膜上へ市販の蒸着装置を用いて膜厚320nmのアルミニウム膜を形成した。この積層膜の比抵抗を測定した所、3.6μΩ・cmの抵抗値を示し導電性を有するルテニウム/アルミニウムの積層膜が形成できたことがわかった。
実施例5
実施例1と同様にルテニウム/アルミニウムの積層膜を形成した。この積層膜上へ合成例1で得られたトリス(1−エトキシブタン−1,3−ジケト)ルテニウムの10%トルエン溶液を、回転数2,000rpmでスピンコートし、3%H2入りN2中450℃で30分間焼成しルテニウム/アルミニウム/ルテニウム積層膜を形成した。この膜の比抵抗を測定した所、28μΩ・cmの抵抗値を示し導電性を有する積層膜が形成できたことがわかった。
実施例6
実施例2と同様にルテニウム/アルミニウムの積層膜を形成した。この積層膜上へ合成例2で得られた(1,5−シクロオクタジエニル)(1,3,5−シクロオクタトリエニル)ルテニウムの10%トルエン溶液を用いてルテニウム膜を形成した。この膜の比抵抗を測定した所、22μΩ・cmの抵抗値を示し導電性を有するルテニウム/アルミニウム/ルテニウム3層の積層膜が形成できたことがわかった。
合成例1で得られた生成物のIRスペクトル図。

Claims (1)

  1. ルテニウムの有機金属錯体を基体上に塗布し次いで熱処理することにより導電性膜を形成し、そして該導電性膜上にアミン化合物とアランとの錯体を塗布し次いで不活性気体雰囲気中熱および/または光処理して金属アルミニウム膜を形成し、さらに該金属アルミニウム膜上にルテニウムの有機金属錯体を塗布し次いで水素を含有する還元性雰囲気中で熱処理して導電性膜を形成する、ことを特徴とする、導電性積層膜の形成法。
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