JP4782584B2 - ステアリング装置 - Google Patents

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本発明はステアリング装置に関する。
ラックピニオン式ステアリング装置において、特許文献1に記載の如く、ステアリング入力軸に連動するラック軸をステアリングギヤハウジングに移動可能に収容し、ステアリングギヤハウジングの開口端に設けたブッシュ支持部材から外部に突出するラック軸の端部に継手を介してタイロッドを連結し、継手を覆うダストカバーの一端取付部をステアリングギヤハウジングの外周に抱着させ、該ダストカバーの他端取付部をタイロッドの外周に抱着させてなるものがある。この特許文献1のステアリング装置では、ステアリングギヤハウジングの開口端外に位置するブッシュ支持部材の外端フランジをステアリングギヤハウジングの開口端面に突合せるとともに、該ステアリングギヤハウジングの外径より大径にし、このブッシュ支持部材の外端フランジをダストカバーの一端取付部のための組付位置規制部としている。
特許文献2のステアリング装置では、ステアリングギヤハウジングをアルミ鋳物からなるものにし、ステアリングギヤハウジングの外周に2個の環状肩部を離隔させて膨出形成し、2個の環状肩部に挟まれる環状凹所にダストカバーの一端取付部を嵌着可能にしている。
実開平5-49566 特開平7-259996
特許文献1のステアリング装置のダストカバー取付構造では、ステアリングギヤハウジングの開口端外に位置するブッシュ支持部材の外端フランジだけをダストカバーの組付位置規制部とするものであり、ダストカバーの組付位置を一方向においてだけ規制できるに過ぎない。ダストカバーは他方向において位置ずれするおそれがある。
特許文献2のステアリング装置のダストカバー取付構造では、ステアリングギヤハウジングの外周の2個の環状肩部により、ダストカバーの組付位置を双方向において規制できる。しかしながら、ステアリングギヤハウジングの軽量化のために、ステアリングギヤハウジングに鋼管等からなるシリンダパイプを設け、このシリンダパイプを設け、このシリンダパイプにラック軸を移動可能に収容するものにあっては、シリンダパイプの外周にダストカバーを取付けるための2個の環状肩部を膨出形成することに多くの無駄と困難を伴なう。
本発明の課題は、ステアリングギヤハウジングに設けたシリンダパイプにラック軸を移動可能に収容するステアリング装置において、部品点数を増やすことなく、簡易な構成により、ダストカバーをシリンダパイプの外周に確実に固定することにある。
請求項1の発明は、ステアリング入力軸に連動するラック軸をステアリングギヤハウジングに設けたシリンダパイプに移動可能に収容し、シリンダパイプの開口端に設けたシリンダエンドを貫通して外部に突出するラック軸の端部に継手を介してタイロッドを連結し、継手を覆うダストカバーの一端取付部をシリンダパイプの外周に抱着させ、該ダストカバーの他端取付部をタイロッドの外周に抱着させてなるステアリング装置において、シリンダパイプの開口端外に位置するシリンダエンドの外端フランジをシリンダパイプの開口端面に突合せるとともに、該シリンダパイプの外径より大径にし、シリンダパイプを抱持して該シリンダパイプを車体側に取付ける取付具の抱持部を該シリンダパイプの外周に設け、シリンダパイプの外周であって、シリンダエンドの外端フランジと取付具の抱持部に挟まれる凹所に、ダストカバーの一端取付部を嵌着してなるようにしたものである。
(請求項1)
ステアリング装置において、シリンダパイプの外周であって、シリンダエンドの外端フランジと取付具の抱持部に挟まれる凹所に、ダストカバーの一端取付部を嵌着する。シリンダパイプの外周において、ダストカバーの一端取付部のための組付位置を規制する一方の肩部をシリンダエンドの外端フランジにより、他方の肩部を取付具の抱持部により形成するものであり、部品点数を増やすことなく、簡易な構成により、ダストカバーをシリンダパイプの外周に確実に固定できる。
図1はパワーステアリング装置を示す全体断面図、図2はステアリングギヤハウジングを示す断面図、図3は図1の要部断面図、図4はダストカバー取付構造を示し、(A)は断面図、(B)は(A)の要部拡大図、図5は図4のV−V線に沿う断面図である。
油圧パワーステアリング装置10は、図1〜図3に示す如く、ステアリングギヤハウジング11のラック軸収容部11Aに鋼管等からなるシリンダパイプ13を圧入等により設け、このシリンダパイプ13にラック軸12を直線移動可能に収容する。ラック軸12は、ステアリングギヤハウジング11のラック軸収容部11Aに内蔵される不図示のラックガイドと、シリンダパイプ13の開口端に螺着等により設けたシリンダエンド14の内周に圧入されているブッシュ15に摺動可能に支持される。
シリンダパイプ13の内部に位置するラック軸12はピストン12Aを備え、シリンダパイプ13の内部の左右のオイルシール13A、13Bとピストン12Aとの間に第1室16Aと第2室16Bを形成している。そして、油圧パワーステアリング装置10は、ステアリングギヤハウジング11のシリンダパイプ13とラック軸収容部11Aの開口端から外部に突出するラック軸12の左右の端部に、継手17A、17Bを介してタイロッド18A、18Bを連結し、運転者によるステアリングホイールの操舵力をアシストする。
油圧パワーステアリング装置10は、ステアリングギヤハウジング11に、コントロールバルブ20のバルブボディ21を固定してある。コントロールバルブ20は、ステアリングホイールに連動して回転する入力軸22をバルブボディ21に枢支し、入力軸22に一体の円形ロータ(不図示)と、入力軸22に固定されるトーションバー22Aの先端部にピニオン(不図示)とともに固定される円形スリーブ(不図示)とを、ステアリングホイールに加えた操舵トルクに応ずるトーションバー22Aの弾性ねじり変形によって相対変位可能に同軸配置し、第1室16Aと第2室16Bにそれぞれ接続されている第1と第2の給排流路19A、19Aにポンプ側供給流路とタンク側戻り流路をステアリング操作に応じて切換接続する。尚、スリーブ(不図示)に固定されるピニオン(不図示)は、ラック軸12のラック歯に噛み合いされる。
油圧パワーステアリング装置10は、ステアリングギヤハウジング11のラック軸収容部11Aの長手方向に沿う一方側に取付部31、32を備え、他方側に取付具40を備える。油圧パワーステアリング装置10は、取付部31、32をステアリングギヤハウジング11の鋳造成形時に一体成形し、それらの取付孔31A、32Aに挿入されるボルトを車体フレームの支持部(ねじ孔)に螺着するとともに、取付具40によりシリンダパイプ13を抱持し、その取付孔40Aに挿入されるボルトを車体フレームの支持部(ねじ孔)に螺着する。これにより、ステアリングギヤハウジング11を車体フレームに対する所定の取付位置に固定的に取付ける。以下、取付具40について説明する。
取付具40は、図5に示す如く、ブラケット50とカラー60を有する。ブラケット50は、ステアリングギヤハウジング11のシリンダパイプ13を抱持する概ね環状をなすC字状の抱持部51を備え、かつ抱持部51のC字の両端から外方へ延在して互いに平行をなすように相対する一対の接合片52を備える。ブラケット50は、一定板巾の板材のプレス加工により成形できる。カラー60は、パイプ材からなり、ブラケット50の一対の接合片52に設けた孔52Aに挿着される。
取付具40は、ブラケット50の抱持部51をステアリングギヤハウジング11のシリンダパイプ13に抱着させた状態で、抱持部51の周方向複数位置(本実施例では4位置)のそれぞれにおいて抱持部51の板巾方向に延在させてあるスリット51Aの内面をシリンダパイプ13の外周にレーザービーム溶接(アーク溶接でも可)する(溶接部53)。また、取付具40は、ブラケット50の一対の接合片52の各孔52Aにカラー60を挿着した状態で、各接合片52の外向き面(ステアリングギヤハウジング11を図5に示す上下配置状態で視たときの、上側接合片52の上向き面と下側接合片52の下向き面)をカラー60の外周にレーザービーム溶接(アーク溶接でも可)する(溶接部54)。溶接部54はカラー60の外周に沿う周方向複数位置(全周でも可)に設けられる。
取付具40は、図3に示す如く、カラー60の内周にマウントブッシュ61を嵌着され、マウントブッシュ61の内径を前述の取付孔40Aとする。尚、取付具40のブラケット50はシリンダパイプ13においてシリンダエンド14が挿入されている部分の外径部を抱持する。
以下、取付具40をステアリングギヤハウジング11に設ける手順について説明する。
(1)取付具40のブラケット50の抱持部51をステアリングギヤハウジング11のシリンダパイプ13に抱着する。
(2)ブラケット50の一対の接合片52を両側から加圧することにて挟み込み、抱持部51をシリンダパイプ13に隙間なく密着させる。この状態で、抱持部51の上半周側の2個のスリット51Aの内面を、溶接部53にて、シリンダパイプ13に溶接する。続いて、上側の接合片52を、溶接部54にて、カラー60の外周に溶接する。
(3)ステアリングギヤハウジング11を反転し、又は反転させないそのままの状態で、再び、ブラケット50の一対の接合片52を両側から加圧することにて挟み込み、抱持部51をシリンダパイプ13に隙間なく密着させる。この状態で、抱持部51の下半周側の2個のスリット51Aの内面を、溶接部53にて、シリンダパイプ13に溶接する。続いて、上側の接合片52を、溶接部54にて、カラー60の外周に溶接する。
上述(3)に際し、ステアリングギヤハウジング11を反転させたときには、抱持部51の下半周側の溶接、下側の接合片52の溶接を下向き溶接できる。ステアリングギヤハウジング11を反転させないときには、抱持部51の下半周側の溶接、下側の接合片52の溶接を上向き溶接するものになる。
しかるに、油圧パワーステアリング装置10にあっては、ステアリングギヤハウジング11のシリンダパイプ13とラック軸収容部11Aの開口端から外部に突出するラック軸12の左右の端部に継手17A、17Bを介してタイロッド18A、18Bを連結するに際し、継手17A、17Bを覆うゴム製蛇腹状ダストカバー70、80を設けている。ダストカバー70、80は、ステアリングギヤハウジング11のシリンダパイプ13とラック軸収容部11Aの内部や継手17A、17Bの内部に泥水や異物が侵入するのを防止する。
以下、図2、図4に示す如く、ステアリングギヤハウジング11のシリンダパイプ13の開口端に設けたシリンダエンド14を貫通して外部に突出するラック軸12の一端部に設けられる継手17Aまわりにおけるダストカバー70の取付構造について説明する。
シリンダパイプ13の開口端に設けられるシリンダエンド14は、シリンダパイプ13の開口端外に位置する外端フランジ14Aの側端面をシリンダパイプ13の開口端面に突合せるとともに、該外端フランジ14Aの外径をシリンダパイプ13の外径より大径にする。
シリンダパイプ13においてシリンダエンド14が挿入されている部分の外周には、前述の如く、シリンダパイプ13を抱持してシリンダパイプ13を車体側に取付ける取付具40のブラケット50の概ね環状をなす抱持部51が設けられる。
そこで、シリンダパイプ13の外周には、シリンダエンド14の外端フランジ14Aの側端面と、取付具40の抱持部51の側端面に挟まれる環状凹所90が形成される。ダストカバー70の一端取付部71はシリンダパイプ13の外周の環状凹所90に嵌着され、クランプ装置71Aにより緊着される。ダストカバー70の他端取付部72はタイロッド18Aの外周に被着され、クランプ装置72Aにより緊着される。
尚、ダストカバー80の一端取付部はステアリングギヤハウジング11のラック軸収容部11Aの外周に嵌着されてクランプ装置により緊着され、ダストカバー80の他端取付部はタイロッド18Bの外周に被着されてクランプ装置により緊着される。
本実施例によれば以下の作用効果を奏する。
ステアリング装置10において、シリンダパイプ13の外周であって、シリンダエンド14の外端フランジ14Aと取付具40の抱持部51に挟まれる環状凹所90に、ダストカバー70の一端取付部71を嵌着する。シリンダパイプ13の外周において、ダストカバー70の一端取付部71のための組付位置を規制する一方の肩部をシリンダエンド14の外端フランジ14Aにより、他方の肩部を取付具40の抱持部51により形成するものであり、部品点数を増やすことなく、簡易な構成により、ダストカバー70をシリンダパイプ13の外周に確実に固定できる。
以上、本発明の実施例を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。例えば、本発明は油圧パワーステアリング装置に限らず、電動パワーステアリング装置又は他の一般のラックピニオン式ステアリング装置に広く適用できる。
図1はパワーステアリング装置を示す全体断面図である。 図2はステアリングギヤハウジングを示す断面図である。 図3は図1の要部断面図である。 図4はダストカバー取付構造を示し、(A)は断面図、(B)は(A)の要部拡大図である。 図5は図4のV−V線に沿う断面図である。
符号の説明
10 パワーステアリング装置(ステアリング装置)
11 ステアリングギヤハウジング
12 ラック軸
13 シリンダパイプ
14 シリンダエンド
14A 外端フランジ
17A 継手
18A タイロッド
22 入力軸
40 取付具
51 抱持部
70 ダストカバー
71 一端取付部
72 他端取付部
90 凹所

Claims (1)

  1. ステアリング入力軸に連動するラック軸をステアリングギヤハウジングに設けたシリンダパイプに移動可能に収容し、シリンダパイプの開口端に設けたシリンダエンドを貫通して外部に突出するラック軸の端部に継手を介してタイロッドを連結し、継手を覆うダストカバーの一端取付部をシリンダパイプの外周に抱着させ、該ダストカバーの他端取付部をタイロッドの外周に抱着させてなるステアリング装置において、
    シリンダパイプの開口端外に位置するシリンダエンドの外端フランジをシリンダパイプの開口端面に突合せるとともに、該シリンダパイプの外径より大径にし、
    シリンダパイプを抱持して該シリンダパイプを車体側に取付ける取付具の抱持部を該シリンダパイプの外周に設け、
    シリンダパイプの外周であって、シリンダエンドの外端フランジと取付具の抱持部に挟まれる凹所に、ダストカバーの一端取付部を嵌着してなることを特徴とするステアリング装置。
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