JP4782273B2 - 芳香族ジカルボン酸組成物およびそれを用いた液晶ポリエステル樹脂 - Google Patents
芳香族ジカルボン酸組成物およびそれを用いた液晶ポリエステル樹脂 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4782273B2 JP4782273B2 JP2000228910A JP2000228910A JP4782273B2 JP 4782273 B2 JP4782273 B2 JP 4782273B2 JP 2000228910 A JP2000228910 A JP 2000228910A JP 2000228910 A JP2000228910 A JP 2000228910A JP 4782273 B2 JP4782273 B2 JP 4782273B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- polyester resin
- liquid crystal
- aromatic dicarboxylic
- crystal polyester
- acid
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
- LQQKHWUVRBYGOY-UHFFFAOYSA-N C[NH+](c(cc1)ccc1OC)[O-] Chemical compound C[NH+](c(cc1)ccc1OC)[O-] LQQKHWUVRBYGOY-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C08—ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
- C08G—MACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED OTHERWISE THAN BY REACTIONS ONLY INVOLVING UNSATURATED CARBON-TO-CARBON BONDS
- C08G63/00—Macromolecular compounds obtained by reactions forming a carboxylic ester link in the main chain of the macromolecule
- C08G63/02—Polyesters derived from hydroxycarboxylic acids or from polycarboxylic acids and polyhydroxy compounds
- C08G63/60—Polyesters derived from hydroxycarboxylic acids or from polycarboxylic acids and polyhydroxy compounds derived from the reaction of a mixture of hydroxy carboxylic acids, polycarboxylic acids and polyhydroxy compounds
- C08G63/605—Polyesters derived from hydroxycarboxylic acids or from polycarboxylic acids and polyhydroxy compounds derived from the reaction of a mixture of hydroxy carboxylic acids, polycarboxylic acids and polyhydroxy compounds the hydroxy and carboxylic groups being bound to aromatic rings
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C09—DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- C09K—MATERIALS FOR MISCELLANEOUS APPLICATIONS, NOT PROVIDED FOR ELSEWHERE
- C09K19/00—Liquid crystal materials
- C09K19/04—Liquid crystal materials characterised by the chemical structure of the liquid crystal components, e.g. by a specific unit
- C09K19/38—Polymers
- C09K19/3804—Polymers with mesogenic groups in the main chain
- C09K19/3809—Polyesters; Polyester derivatives, e.g. polyamides
Landscapes
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
- Medicinal Chemistry (AREA)
- Polymers & Plastics (AREA)
- Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Materials Engineering (AREA)
- Polyesters Or Polycarbonates (AREA)
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶ポリエステル樹脂を製造する際に用いられる、芳香族ジカルボン酸組成物に関する。さらに詳しくは、着色性に優れ、かつ耐熱性が向上すると共に機械的性質の良好な液晶ポリエステル樹脂を得るために用いられる、芳香族ジカルボン酸組成物ならびに該組成物を用いて製造した液晶ポリエステル樹脂に関する。
【0002】
【従来の技術】
サーモトロピック液晶ポリエステル樹脂(以下液晶ポリエステル樹脂またはLCPと略称する)は、耐熱性、剛性等の機械物性、耐薬品性、寸法精度等に優れているため、成形品用途のみならず、繊維やフィルムといった各種用途にその使用が拡大しつつある。特にパーソナル・コンピューターや携帯電話等の情報・通信分野においては、部品の高集積度化、小型化、薄肉化、低背化等が急速に進んでおり0.5mm以下の非常に薄い肉厚部が形成されるケースが多く、LCPの優れた成形性、すなわち、流動性が良好であり、かつバリが出ないという他の樹脂にない特徴を活かして、その使用量が大幅に増大している。
【0003】
その一方で、液晶ポリエステル樹脂の流動性、耐熱性、機械物性等のさらなる改善も求められており、それらについても数多く提案されている。例えば特表平8−511573号には特定のモノマー中にアルカリ金属を含有させ、それを重合することによって製造した、耐熱性の改善された液晶ポリエステル樹脂組成物が開示されている。
【0004】
しかしながらカーボンブラック、アゾ顔料等の着色剤による均一な着色性および発色性については改善の余地があり、均一な着色性および発色性が要求される用途においてはその使用が制限されていた。
そこで、着色性が良好で、かつ耐熱性が向上すると共に機械的性質の良好な液晶ポリエステル樹脂が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、鋭意研究の結果、芳香族ジカルボン酸へ微量の6−ホルミル−2−ナフトエ酸、6−メトキシカルボニル−2−ナフトエ酸およびトリメリット酸からなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物、および特定量のアルカリ金属イオンを含有させたモノマー組成物を用いることによって、着色性に優れかつ耐熱性が向上すると共に機械的性質の良好な液晶ポリエステル樹脂が得られることを見出し、本発明に至ったものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、1または複数の芳香族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸全量に対して1〜3000ppmの6−ホルミル−2−ナフトエ酸、6−メトキシカルボニル−2−ナフトエ酸およびトリメリット酸からなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物、ならびにアルカリ金属として1〜1000ppmのアルカリ金属化合物を含有する、芳香族ジカルボン酸組成物を提供する。本発明の芳香族ジカルボン酸組成物は、サーモトロピック液晶ポリエステル樹脂の製造に用いられる。本発明の芳香族ジカルボン酸組成物を用いて製造された液晶ポリエステル樹脂は着色性に優れ、耐熱性が向上すると共に機械的性質が良好であり、上記課題は解決される。
【0007】
本発明はまた、6−ホルミル−2−ナフトエ酸、6−メトキシカルボニル−2−ナフトエ酸およびトリメリット酸からなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物に由来するモノマー単位を、液晶ポリエステル樹脂の全構成モノマー成分の0.1〜100ミリモル%含み、アルカリ金属化合物をアルカリ金属として1〜100ppm含有することを特徴とする液晶ポリエステル樹脂を提供する。
【0008】
本発明の液晶ポリエステル樹脂は、上記本発明の芳香族ジカルボン酸組成物を用いて好適に調製することができるが、液晶ポリエステル樹脂の各モノマー成分中へ各化合物を添加して得てもよい。出発原料に係わり無く、特定の化合物を上記範囲で含む液晶ポリエステル樹脂も、本発明に含まれる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の芳香族ジカルボン酸組成物は、1または複数の芳香族ジカルボン酸と、6−ホルミル−2−ナフトエ酸、6−メトキシカルボニル−2−ナフトエ酸およびトリメリット酸からなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物を、芳香族ジカルボン酸の全量に対して1〜3000ppm、好ましくは5〜2500ppm、より好ましくは10〜2000ppm含有している。
【0010】
本発明において、6−ホルミル−2−ナフトエ酸、6−メトキシカルボニル−2−ナフトエ酸およびトリメリット酸からなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物を芳香族ジカルボン酸へ含有させることにより、該芳香族ジカルボン酸組成物を用いて得られる液晶ポリエステル樹脂の着色性が向上すると共に、上記化合物由来のモノマーが液晶ポリエステル樹脂を構成することによって、高真空下で長い時間保持でき、発生ガスが少なくなる上、溶融粘度の安定した樹脂が得られる等の利点がある。
【0011】
6−ホルミル−2‐ナフトエ酸は、6−メトキシカルボニル−2−ナフトエ酸のカルボキシル基を、常法により還元してホルミル基とした後、他方のメチルエステルを加水分解して得たものを精製して調製することができる。
【0012】
6−メトキシカルボニル−2‐ナフトエ酸は、2,6−ナフタレンジカルボン酸を、N,N−ジメチルホルムアミドなどの溶媒に溶解し、炭酸カリウムなどの存在下で1当量のヨウ化メチルなどと反応して得たものを精製して調整することができる。
【0013】
トリメリット酸は市販のものを用いることができる。
【0014】
本発明の芳香族ジカルボン酸組成物は、さらにアルカリ金属として1〜1000ppm、好ましくは2〜500ppm、より好ましくは5〜300ppmのアルカリ金属化合物を含有している。
【0015】
アルカリ金属としては、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、セシウムおよびルビジウムが挙げられる。これらのうち、好ましくはナトリウムおよびカリウムであり、より好ましくはカリウムである。
【0016】
本発明の芳香族ジカルボン酸組成物は、好適にはさらに遷移金属として1〜3000ppm、好ましくは1〜2000ppm、より好ましくは2〜1000ppmの遷移金属化合物を含有する。
【0017】
遷移金属は、例えばコバルト、マンガン、鉄、亜鉛、ニッケルおよび銅が挙げられる。これらのうち、好ましくはコバルト、マンガンおよび鉄であり、より好ましくはコバルトおよびマンガンである。
【0018】
アルカリ金属化合物および遷移金属化合物は、塩の形で含まれていても良い。塩としては、例えばアルカリ金属および遷移金属の硫酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、硝酸塩、カルボン酸塩、およびハロゲン塩が挙げられる。これらのうち、カルボン酸塩、硫酸塩および炭酸塩が好ましい。カルボン酸塩としては、2〜6の炭素原子を含む脂肪族カルボン酸および液晶ポリエステル樹脂の構成単位を導入するカルボン酸が好ましく、たとえば酢酸塩、4−ヒドロキシ安息香酸塩、6−ホルミル−2−ナフトエ酸塩、6−メトキシカルボニル−2−ナフトエ酸塩、トリメリット酸塩、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸塩およびその他の芳香族カルボニル繰返し単位が由来する重合性モノマーの塩等が挙げられる。
【0019】
芳香族ジカルボン酸組成物中に存在するアルカリ金属塩および遷移金属塩の体積平均径で表した平均粒子径は0.01〜500μm、好ましくは0.05〜150μmであるのがよい。
【0020】
本発明の芳香族ジカルボン酸組成物の主成分である芳香族ジカルボン酸の具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6―ナフタレンジカルボン酸、1,6―ナフタレンジカルボン酸、2,7―ナフタレンジカルボン酸、4,4'― ジカルボキシビフェニル、ビス(4−カルボキシフェニル)エーテル、ビス(4−カルボキシフェノキシ)ブタン、ビス(4−カルボキシフェニル)エタン、ビス(3−カルボキシフェニル)エーテル、ビス(3−カルボキシフェニル)エタン等の芳香族ジカルボン酸、これらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体、ならびにそのエステル形成性誘導体が挙げられる。これらの中ではテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸が得られる液晶ポリエステル樹脂の機械物性、耐熱性、融点温度、成形性を適度なレベルに調節しやすいことから好ましい。特に好ましくは2,6−ナフタレンジカルボン酸である。
【0021】
本発明の芳香族ジカルボン酸組成物の製造法は特に限定されないが、例えば、1以上の芳香族ジカルボン酸混合物中へ、一定量の上記各化合物を添加し、均一に混合する方法が好ましく挙げられる。
【0022】
本発明は、さらに6−ホルミル−2−ナフトエ酸、6−メトキシカルボニル−2−ナフトエ酸およびトリメリット酸からなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物に由来するモノマー単位を、液晶ポリエステル樹脂の全構成モノマー単位の0.1〜100ミリモル%含み、アルカリ金属化合物をアルカリ金属として1〜100ppm含有する液晶ポリエステル樹脂を提供する。本発明の液晶ポリエステル樹脂は、本発明の芳香族ジカルボン酸組成物を用いて好適に製造される。
【0023】
本発明の液晶ポリエステル樹脂は異方性溶融相を形成するポリエステル樹脂であり、当業者にサ−モトロピック液晶ポリエステル樹脂と呼ばれているものであって、本発明の範囲に含まれるものであれば特に限定されない。
【0024】
異方性溶融相の性質は直行偏向子を利用した通常の偏向検査法、すなわちホットステージにのせた試料を窒素雰囲気下で観察することにより確認できる。
【0025】
本発明の液晶ポリエステル樹脂はモノマー単位として、本発明の芳香族ジカルボン酸組成物、およびたとえば芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン、芳香族アミノカルボン酸などから選ばれたモノマー単位、とくには芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシカルボン酸から選ばれたモノマー単位を構成単位とする異方性溶融相を形成する液晶ポリエステル樹脂ならびに液晶ポリエステルアミド樹脂が好ましく用いられる。
【0026】
本発明の液晶ポリエステル樹脂の製造において、本発明の芳香族ジカルボン酸組成物を用いない場合、芳香族ジカルボン酸モノマー単位として、上述の好ましい芳香族ジカルボン酸のいずれかを用いてもよい。
【0027】
芳香族ヒドロキシカルボン酸の具体例としては、たとえば4−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸、5−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3―ヒドロキシ−2―ナフトエ酸、4'−ヒドロキシフェニル−4−安息香酸、3'−ヒドロキシフェニル−4−安息香酸、4'−ヒドロキシフェニル−3−安息香酸、これらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体、ならびにこれらのエステル形成性誘導体が挙げられる。これらの中では4−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸が得られる液晶ポリエステル樹脂の特性や融点を調整しやすいという点から好ましい。
【0028】
芳香族ジオールの具体例としては、ハイドロキノン、レゾルシン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、4,4'−ジヒドロキシビフェニル、3,3'−ジヒドロキシビフェニル、3,4'−ジヒドロキシビフェニル、4,4'−ジヒドロキシビフェニルエーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等の芳香族ジオール、これらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体、ならびにそれらのエステル形成性誘導体が挙げられる。これらの中ではハイドロキノンおよび4,4'−ジヒドロキシビフェニルが重合時の反応性、得られる液晶ポリエステル樹脂の特性などの点から好ましい。
【0029】
芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン、芳香族アミノカルボン酸の具体例としては、たとえば4−アミノフェノール、N−メチル−4−アミノフェノール、3−アミノフェノール、3−メチル−4−アミノフェノール、4−アミノ−1−ナフトール、4−アミノ−4'−ヒドロキシジフェニル、4−アミノ−4'−ヒドロキシジフェニルエーテル、4−アミノ−4'−ヒドロキシビフェニルメタン、4−アミノ−4'−ヒドロキシビフェニルスルフィドなどの芳香族ヒドロキシアミン、1,4−フェニレンジアミン、N−メチル−1,4−フェニレンジアミン、N,N'−ジメチル−1,4−フェニレンジアミン、4,4'−ジアミノフェニルスルフィド(チオジアニリン)、2,5−ジアミノトルエン、4,4'−エチレンジアニリン、4,4'−ジアミノジフェノキシエタン、4,4'−ジアミノビフェニルメタン(メチレンジアニリン)、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル(オキシジアニリン)、4,4'−ジアミノジフェニルスルホンなどの芳香族ジアミン、4−アミノ安息香酸、6−アミノ−2−ナフトエ酸、7−アミノ−2−ナフトエ酸などの芳香族アミノカルボン酸、ならびにそれらのエステル形成性誘導体が挙げられる。
【0030】
また本発明の液晶ポリエステル樹脂は、本発明の目的を損なわない範囲で前記モノマーの他に、他のモノマーたとえば脂環族ジカルボン酸、脂肪族ジオール、脂環族ジオール、芳香族メルカプトカルボン酸、芳香族ジチオール、芳香族メルカプトフェノールなどを共重合せしめてもよい。これらの他の成分は、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸および芳香族ジオールの合計に対し、10モル%以下であるのが好ましい。
【0031】
脂環族ジカルボン酸、脂肪族ジオールおよび脂環族ジオールの具体例としては、たとえばヘキサヒドロテレフタル酸の如き脂環族ジカルボン酸;トランス−1,4−シクロヘキサンジオール、シス−1,4−シクロヘキサンジオール、トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノール、シス−1,4−シクロヘキサンジメタノール、トランス−1,3−シクロヘキサンジオール、シス−1,2−シクロヘキサンジオール、トランス−1,3−シクロヘキサンジメタノールの如き脂環族ジオールおよびエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコールなどの直鎖状または分鎖状の脂肪族ジオール、ならびにこれらのエステル形成性誘導体が挙げられる。
【0032】
芳香族メルカプトカルボン酸、芳香族ジチオール、芳香族メルカプトフェノールの具体例としては、たとえば4−メルカプト安息香酸、2−メルカプト−6−ナフトエ酸、2−メルカプト−7−ナフトエ酸の如き芳香族メルカプトカルボン酸;ベンゼン−1,4−ジチオール、ベンゼン−1,3−ジチオール、2,6−ナフタレン−ジチオール、2,7−ナフタレン−ジチオールの如き芳香族ジチオール;4−メルカプトフェノール、3−メルカプトフェノール、6−メルカプトフェノール、7−メルカプトフェノールの如き芳香族メルカプトフェノールならびにこれらのエステル形成性誘導体が挙げられる。
【0033】
各成分からなる液晶ポリエステル樹脂は構成成分およびポリエステル樹脂中の組成比、シークエンス分布によっては、異方性溶融相を形成するものとしないものが存在するが、本発明に使用される液晶ポリエステル樹脂は異方性溶融相を形成するものに限られる。
【0034】
好ましい液晶ポリエステル樹脂の具体例としては、例えば基本的モノマー構成単位が下記の化合物からなるものが挙げられる。
2,6−ナフタレンジカルボン酸/4−ヒドロキシ安息香酸/ハイドロキノン共重合体
2,6−ナフタレンジカルボン酸/4−ヒドロキシ安息香酸/4,4'−ジヒドロキシビフェニル共重合体
2,6−ナフタレンジカルボン酸/4−ヒドロキシ安息香酸/2,6−ナフタレンジオール共重合体
2,6−ナフタレンジカルボン酸/4−ヒドロキシ安息香酸/4,4'−ジヒドロキシビフェニルエーテル共重合体
2,6−ナフタレンジカルボン酸/4−ヒドロキシ安息香酸/エチレングリコール共重合体
2,6−ナフタレンジカルボン酸/4−ヒドロキシ安息香酸/ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン共重合体
2,6−ナフタレンジカルボン酸/2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸/ハイドロキノン共重合体
2,6−ナフタレンジカルボン酸/2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸/4,4'−ジヒドロキシビフェニル共重合体
2,6−ナフタレンジカルボン酸/2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸/2,6−ナフタレンジオール共重合体
2,6−ナフタレンジカルボン酸/2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸/4,4'−ジヒドロキシビフェニルエーテル共重合体
2,6−ナフタレンジカルボン酸/2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸/エチレングリコール共重合体
2,6−ナフタレンジカルボン酸/2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸/ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン共重合体
2,6−ナフタレンジカルボン酸/4−ヒドロキシ安息香酸/2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸/ハイドロキノン共重合体
2,6−ナフタレンジカルボン酸/4−ヒドロキシ安息香酸/2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸/4,4'−ジヒドロキシビフェニル共重合体
2,6−ナフタレンジカルボン酸/4−ヒドロキシ安息香酸/2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸/2,6−ナフタレンジオール共重合体
2,6−ナフタレンジカルボン酸/4−ヒドロキシ安息香酸/2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸/4,4'−ジヒドロキシビフェニルエーテル共重合体
2,6−ナフタレンジカルボン酸/4−ヒドロキシ安息香酸/2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸/エチレングリコール共重合体
2,6−ナフタレンジカルボン酸/4−ヒドロキシ安息香酸/2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸/ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン共重合体
【0035】
これらのうち本発明において特に好ましい液晶ポリエステル樹脂は、下記式〔I〕および〔II〕で示される繰り返し単位、ならびに下記式〔III〕および/または〔IV〕で表される繰り返し単位を主として含むものがよい。
【0036】
【化5】
【0037】
【化6】
【0038】
[式中、Ar1はベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、ビフェニルエーテル環またはビフェニルアルカン環(ただし、アルカンの炭素数は1〜4である)であり、そしてこれらの環はアルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子で置換されていてもよい。]
【0039】
【化7】
【0040】
【化8】
【0041】
式〔I〕で示される繰り返し単位を導入するために使用されるモノマーとしては、2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましく挙げられる。特に好適には、本発明の芳香族ジカルボン酸組成物において、ジカルボン酸成分が2,6−ナフタレンジカルボン酸である組成物をモノマー組成物として用いる。
【0042】
式〔II〕で示される繰り返し単位を導入するために使用されるモノマーとしてはハイドロキノン、4,4'−ジヒドロキシビフェニル、2,6−ナフタレンジオール、4,4'−ジヒドロキシビフェニルエーテル 、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン(アルカンの炭素数は1〜4である)が挙げられ、好ましくはハイドロキノン、4,4'−ジヒドロキシビフェニルが挙げられる。
【0043】
式〔I〕および〔II〕で示される繰り返し単位は、実質的に等モルとなるよう、調製するのが好ましい。
【0044】
また、本発明の液晶ポリエステル樹脂はさらに式〔III〕および〔IV〕のうちの少なくとも一方の繰返し単位を有するのが好ましい。本発明の好ましい液晶ポリエステル樹脂においては、式〔I〕および〔II〕の繰り返し単位が上記のモル比で含まれており、かつ式〔I〕および〔II〕の合計量/式〔III〕および/または〔IV〕の合計量のモル比が10/90〜70/30、好ましくは25/75〜50/50の範囲であるのがよい。
【0045】
式〔III〕および〔IV〕で表される繰返し単位の両方を含んでいる場合、式〔III〕/〔IV〕のモル比は、0/100〜100/0、好ましくは1/99〜99/1の範囲であるのがよい。
【0046】
本発明の液晶ポリエステル樹脂は、6−ホルミル−2−ナフトエ酸、6−メトキシカルボニル−2−ナフトエ酸およびトリメリット酸からなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物、アルカリ金属化合物、および所望により遷移金属化合物を一定量含有する本発明の芳香族ジカルボン酸組成物を用いて好適に調製できる。または、本発明の液晶ポリエステル樹脂は、6−ホルミル−2−ナフトエ酸、6−メトキシカルボニル−2−ナフトエ酸およびトリメリット酸からなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物、アルカリ金属化合物、および所望により遷移金属化合物を上に説明した各モノマー成分のいずれか、あるいは混合物へ、液晶ポリエステル樹脂の重合前あるいは重合途中のいずれの段階に添加してもよい。
【0047】
本発明の液晶ポリエステル樹脂の製造方法としては、特に制限はなく、本発明の芳香族ジカルボン酸組成物、およびその他のモノマー成分を用いてエステル結合を形成させる公知の液晶ポリエステル樹脂の重縮合法、たとえば溶融アシドリシス法、スラリー重合法などを用いることができる。
【0048】
溶融アシドリシス法とは、本発明で用いるのに好ましい方法である。この方法は、最初にモノマーを加熱して反応物質の溶融溶液を形成し、続いて反応を続けて溶融ポリマーを得るものである。なお、縮合の最終段階で副生する揮発物(たとえば酢酸、水など)の除去を容易にするために真空を適用してもよい。
【0049】
スラリー重合法とは、熱交換流体の存在下で反応させる方法であって、固体生成物は熱交換媒質中に懸濁した状態で得られる。
【0050】
溶融アシドリシス法およびスラリー重合法のいずれの場合においても、液晶ポリエステル樹脂を製造する際に使用される重合性モノマー成分は、常温において、ヒドロキシル基をエステル化した変性形態、すなわち低級アシルエステルとして反応に供することもできる。低級アシル基は炭素原子数2〜5のものが好ましく、炭素原子数2または3のものがより好ましい。特に好ましくは前記モノマー成分の酢酸エステルを反応に用いる方法が挙げられる。
【0051】
モノマーの低級アシルエステルは、別途アシル化して予め合成したものを用いてもよいし、液晶ポリエステル樹脂の製造時にモノマーに無水酢酸等のアシル化剤を加えて反応系内で生成せしめることもできる。
【0052】
溶融アシドリシス法またはスラリー重合法のいずれの場合においても反応時、必要に応じて触媒を用いてもよい。
触媒の具体例としては、ジアルキルスズオキシド(たとえばジブチルスズオキシド)、ジアリールスズオキシドなどの有機スズ化合物;二酸化チタン、三酸化アンチモン、アルコキシチタンシリケート、チタンアルコキシドなどの有機チタン化合物;カルボン酸のアルカリおよびアルカリ土類金属塩(たとえば酢酸カリウム);ルイス酸(たとえばBF3)、ハロゲン化水素(たとえばHCl)などの気体状酸触媒などが挙げられる。
【0053】
触媒を使用する場合、そのモノマー合計量に対し好ましくは10〜1000ppm、より好ましくは20〜200ppmである。
【0054】
また本発明の液晶ポリエステル樹脂は、ペンタフルオロフェノール中で対数粘度を測定することが可能なものが好ましく、その場合0.1g/dlの濃度で60℃で測定した値で0.3以上が好ましく、より好ましくは0.5〜10dl/g、さらに好ましくは1〜8dl/gである。
【0055】
また、本発明の液晶ポリエステル樹脂の溶融粘度は、キャピラリーレオメーターで測定した溶融粘度が、好ましくは1〜1000Pa・s、より好ましくは5〜300Pa・sである。
【0056】
本発明の液晶ポリエステル樹脂には、繊維状、板状、粉状の充填剤および/または強化材の1種以上を配合せしめてもよい。
【0057】
繊維状の充填剤および強化材としては、たとえばガラス繊維、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、炭素繊維、アラミド繊維、などが挙げられる。これらの中では、ガラス繊維が物性とコストのバランスが優れている点から好ましい。
【0058】
板状あるいは粉状の充填剤としては、たとえばタルク、マイカ、グラファイト、ウォラストナイト、炭酸カルシウム、ドロマイト、クレイ、ガラスフレーク、ガラスビーズ、硫酸バリウム、酸化チタンなどが挙げられる。
【0059】
この液晶ポリエステル樹脂における繊維状、板状および粉状の充填剤および/または強化材の配合割合は、液晶ポリエステル樹脂100重量部に対して、好ましくは0〜100重量部、好ましくは20〜70重量部である。前記繊維状、板状および/または粉状の無機充填剤が100重量部を超える場合には、成形加工性が低下したり、成形機のシリンダーや金型の磨耗が大きくなる傾向がある。
【0060】
本発明の液晶ポリエステル樹脂には、必要に応じてさらに、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸金属塩、ポリシロキサン、フッ素樹脂などの離型改良剤;染料、顔料などの着色剤;酸化防止剤;熱安定剤;紫外線吸収剤;帯電防止剤;界面活性剤などの通常の添加剤を1種または2種以上を組み合わせて添加してもよい。
【0061】
高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸金属塩、フルオロカーボン系界面活性剤等の外部滑剤効果を有するものを成形に際して予めペレットに付着せしめて用いてもよい。
【0062】
その他の樹脂成分、たとえばポリアミド、ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテルおよびその変性物、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミドなどの熱可塑性樹脂や、たとえばフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂を1種または2種以上を組み合わせて添加してもよい。
【0063】
これらの充填剤、強化材等は液晶ポリエステル樹脂中に添加され、バンバリーミキサー、ニーダー、一軸もしくは二軸押出機などを用いて、液晶ポリエステル樹脂の融点近傍ないし融点プラス100℃で溶融混練して組成物とすることができる。
【0064】
得られた液晶ポリエステル樹脂およびその組成物は、従来公知の射出成形、圧縮成形、押出成形、ブローなどの成形法が適用でき、得られた成形品、フィルム、繊維などは電気・電子部品、機械機構部品、自動車部品等として有用である
【0065】
【実施例】
使用モノマー
POB:原子吸光測定において検出されるアルカリ金属及び遷移金属含有量がいずれも1ppm未満である4−ヒドロキシ安息香酸。
BON6:原子吸光測定において検出されるアルカリ金属及び遷移金属含有量がいずれも1ppm未満である2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸。
HQ:原子吸光測定において検出されるアルカリ金属及び遷移金属含有量がいずれも1ppm未満であるハイドロキノン。
NDA:原子吸光測定において検出されるアルカリ金属及び遷移金属含有量がいずれも1ppm未満であり、6−ホルミル−2−ナフトエ酸、6−メトキシカルボニル−2−ナフトエ酸、トリメリット酸がガスクロマログラフィーにおいていずれも検出限界以下の2,6−ナフタレンジカルボン酸。
添加物
FNA:6−ホルミル−2−ナフトエ酸
TMA:トリメリット酸
6MNA:6−メトキシカルボニル−2−ナフトエ酸
【0066】
重合条件
<重合方法−1>
4−ヒドロキシ安息香酸、ハイドロキノン、2,6−ナフタレンジカルボン酸の比が58/21/21(モル%)である組成をLCP−1とする。
NDAには予め表1に記載する成分を添加し、ミキサーにて均一に混合した。
トルクメーター付攪拌装置及び留出管を備えた反応器に、POB、HQ、NDAの全モノマー量が7.5molとなるように、LCP−1の組成でこれらのモノマーを反応器に投入し、ついで全モノマー量に対し1.025倍molとなるように無水酢酸を仕込み、窒素雰囲気下で150℃まで昇温し、30分間保持した後、副成する酢酸を留去させつつ190℃まですみやかに昇温し、1時間保持した。その後、360℃まで3.75時間かけて昇温したのち、約30分かけて20mmHgにまで減圧を行ない、所定のトルクを示したところで重合反応を終了させ、反応容器から取り出したのち、粉砕機でペレットにした。この時、留出した酢酸量は、ほぼ理論値どおりであった。
<重合方法−2>
4−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸、ハイドロキノン、2,6−ナフタレンジカルボン酸の比が65/5/15/15(モル%)である組成をLCP−2とする。
NDAには予め表1に記載する成分を添加し、ミキサーにて均一に混合した。
LCP−2の組成となるよう、POB、BON6、HQ、NDAを仕込む以外は重合方法−1と同様に重合を行い、各実施例の液晶ポリエステル樹脂を調製した。
【0067】
LCPの黒色化コンパウンド方法及び試験片作成方法
重縮合で得た樹脂を、池貝(株)製2軸押出機PCM−30を用いて、樹脂ペレット100重量部に対し、カーボンブラック(三菱化学(株)製 三菱カーボンブラック #45) 1重量部となるように溶融混練し、ストランドカッターを用いてペレット化した。
【0068】
この黒色ペレットを、住友重機械(株)製射出成形機 MINIMAT 26/15 (シリンダ温度:350−350−310−280℃、金型温度:70℃ )により射出成形し、12.7×64×3.0 (mm)の短冊状曲げ試験片を得た。
【0069】
着色度の評価方法
短冊状曲げ試験片を、分光光度計(サカタインクス社製 マクベスCOLOR−EYE7000)の窓枠(10×7.5mmΦ)にセットし、L*、a*、b*を測定した。L*は明るさを示した数値であり、この値が低いほど試験片が黒く着色されている事を示すため、実施例の着色度に関する評価方法として使用した。
【0070】
Izod衝撃値の測定方法
短冊状曲げ試験片を用いて、ASTM D256に準拠して測定した。
【0071】
【実施例1】
表1に示すように、FNA9ppm(生成液晶ポリエステル樹脂中の構成割合は0.20ミリモル%)および硫酸カリウムをカリウム量で58ppmとなるように2,6−ナフタレンジカルボン酸へ添加し、ミキサーによって混合して実施例1の芳香族ジカルボン酸組成物を調製した。この芳香族ジカルボン酸組成物をNDA成分として用い、LCP−1の他のモノマー成分と共に反応容器に仕込み、重合方法−1に示した方法で脱酢酸重合を行なって液晶ポリエステル樹脂ペレットを得た。得られたペレットの着色度の評価およびIzod衝撃値を測定した。重合後に得られたペレットを原子吸光法で測定したカリウム量は21ppmであった。
【0072】
【実施例2】
FNAを6MNA9ppm(生成液晶ポリエステル樹脂中の構成割合は0.18ミリモル%)に変更する以外は、実施例1と同様に行い評価した。重合後に得られたペレットを原子吸光法で測定したカリウム量は18ppmであった。
【0073】
【実施例3】
FNAをTMA12ppm(生成液晶ポリエステル樹脂中の構成割合は0.25ミリモル%)に変更し、さらに酢酸コバルトをコバルト量で860ppmとなるように2,6−ナフタレンジカルボン酸に加える以外は、実施例1と同様に行い評価した。重合後に得られたペレットを原子吸光法で測定したカリウム量は20ppmであり、コバルト量は299ppmであった。
【0074】
【実施例4】
FNA12ppm、TMAを1940ppm(生成液晶ポリエステル樹脂中の構成割合はそれぞれ0.20ミリモル%、30.0ミリモル%)および硫酸カリウムをカリウム量で80ppmとなるように2,6−ナフタレンジカルボン酸へ添加して、ミキサーによって混合して実施例4の芳香族ジカルボン酸組成物を調製した。この芳香族ジカルボン酸組成物をNDA成分として用い、LCP−2の他のモノマー成分と共に反応容器に仕込み、重合方法−2に示した方法で脱酢酸重合を行なって液晶ポリエステル樹脂ペレットを得た。得られたペレットの着色度の評価およびIzod衝撃値を測定した。重合後に得られたペレットを原子吸光法で測定したカリウム量は21ppmであった。
【0075】
【実施例5】
FNA12ppm(生成液晶ポリエステル樹脂中の構成割合は0.20ミリモル%)、硫酸カリウムをカリウム量で80ppmおよび酢酸コバルトをコバルト量で36ppmとなるように2,6−ナフタレンジカルボン酸へ添加して、ミキサーによって混合して実施例5の芳香族ジカルボン酸組成物を調製した。この芳香族ジカルボン酸組成物をNDA成分として用い、LCP−2の他のモノマー成分と共に反応容器に仕込み、重合方法−2に示した方法で脱酢酸重合を行なって液晶ポリエステル樹脂ペレットを得た。得られたペレットの着色度の評価およびIzod衝撃値を測定した。重合後に得られたペレットを原子吸光法で測定したカリウム量は20ppmであり、コバルト量は9ppmであった。
【0076】
【比較例1】
硫酸カリウムをカリウム量で58ppmおよび酢酸コバルトをコバルト量で1000ppmとなるように2,6−ナフタレンジカルボン酸へ添加して、ミキサーによって混合して比較例1の芳香族ジカルボン酸組成物を調製した。この芳香族ジカルボン酸組成物をNDA成分として用い、重合方法−1に示した方法で脱酢酸重合を行なって液晶ポリエステル樹脂ペレットを得た。得られたペレットの着色度の評価およびIzod衝撃値を測定した。重合後に得られたペレットを原子吸光法で測定したカリウム量は19ppmであり、コバルト量は351ppmであった。
【0077】
【比較例2】
FNA9ppmおよび6MNA9ppm(生成液晶ポリエステル樹脂中の構成割合はそれぞれ0.20ミリモル%、0.18ミリモル%)を、2,6−ナフタレンジカルボン酸へ添加して、ミキサーによって混合して比較例2の芳香族ジカルボン酸組成物を調製した。この芳香族ジカルボン酸組成物をNDA成分として用い、重合方法−1に示した方法で脱酢酸重合を行なって液晶ポリエステル樹脂ペレットを得た。得られたペレットの着色度の評価およびIzod衝撃値を測定した。重合後に得られたペレットを原子吸光法で測定したカリウム量は0.5ppmであった。
【0078】
【比較例3】
FNA15500ppm、6MNA7600ppm(生成液晶ポリエステル樹脂中の構成割合はそれぞれ350ミリモル%、150ミリモル%)および硫酸カリウムをカリウム量で58ppmを、2,6−ナフタレンジカルボン酸へ添加して、ミキサーによって混合して比較例3の芳香族ジカルボン酸組成物を調製した。この芳香族ジカルボン酸組成物をNDA成分として用い、重合方法−1に示した方法で脱酢酸重合を行なって液晶ポリエステル樹脂ペレットを得た。得られたペレットの着色度の評価およびIzod衝撃値を測定した。重合後に得られたペレットを原子吸光法で測定したカリウム量は20ppmであった。
【0079】
【比較例4】
TMA12ppm(生成液晶ポリエステル樹脂中の構成割合は0.25ミリモル%)および酢酸コバルトをコバルト量で10200ppmを、2,6−ナフタレンジカルボン酸へ添加して、ミキサーによって混合して比較例4の芳香族ジカルボン酸組成物を調製した。この芳香族ジカルボン酸組成物をNDA成分として用い、重合方法−1に示した方法で脱酢酸重合を行なって液晶ポリエステル樹脂ペレットを得た。得られたペレットの着色度の評価およびIzod衝撃値を測定した。重合後に得られたペレットを原子吸光法で測定したカリウム量は0.7ppmであり、コバルト量は3554ppmであった。
【0080】
【比較例5】
6MNA29800ppm(生成液晶ポリエステル樹脂中の構成割合は420ミリモル%)、硫酸カリウムをカリウム量で80ppmおよび酢酸コバルトをコバルト量で140ppmを、2,6−ナフタレンジカルボン酸へ添加して、ミキサーによって混合して比較例5の芳香族ジカルボン酸組成物を調製した。この芳香族ジカルボン酸組成物をNDA成分として用い、重合方法−2に示した方法で脱酢酸重合を行なって液晶ポリエステル樹脂ペレットを得た。得られたペレットの着色度の評価およびIzod衝撃値を測定した。重合後に得られたペレットを原子吸光法で測定したカリウム量は22ppmであり、コバルト量は36ppmであった。
実施例および比較例の着色度およびIzod衝撃値の評価結果を表1に示す。
【表1】
Claims (9)
- 1または複数の芳香族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸全量に対して1〜3000ppmの6−ホルミル−2−ナフトエ酸、および6−メトキシカルボニル−2−ナフトエ酸からなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物、ならびにアルカリ金属として1〜1000ppmのアルカリ金属化合物を含有する、液晶ポリエステル樹脂を製造するための芳香族ジカルボン酸組成物。
- さらに遷移金属化合物を遷移金属として1〜3000ppm含有する、請求項1記載の液晶ポリエステル樹脂を製造するための芳香族ジカルボン酸組成物。
- アルカリ金属がカリウムおよび/またはナトリウムである、請求項1または2記載の液晶ポリエステル樹脂を製造するための芳香族ジカルボン酸組成物。
- 遷移金属がコバルトおよび/またはマンガンである請求項2記載の液晶ポリエステル樹脂を製造するための芳香族ジカルボン酸組成物。
- アルカリ金属化合物および遷移金属化合物が、アルカリ金属および遷移金属の硫酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、硝酸塩、カルボン酸塩およびハロゲン塩よりなる群から選択される1種以上の塩である、請求項2から4いずれかに記載の液晶ポリエステル樹脂を製造するための芳香族ジカルボン酸組成物。
- アルカリ金属塩および遷移金属塩の体積平均径で表した平均粒子径がいずれも、0.01〜500μmである請求項5記載の液晶ポリエステル樹脂を製造するための芳香族ジカルボン酸組成物。
- 芳香族ジカルボン酸が2,6−ナフタレンジカルボン酸である、請求項1から6いずれかに記載の液晶ポリエステル樹脂を製造するための芳香族ジカルボン酸組成物。
- 6−ホルミル−2−ナフトエ酸に由来するモノマー単位を、液晶ポリエステル樹脂の全構成モノマー成分の0.1〜100ミリモル%含み、アルカリ金属化合物をアルカリ金属として1〜100ppm含有することを特徴とする液晶ポリエステル樹脂。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000228910A JP4782273B2 (ja) | 2000-07-28 | 2000-07-28 | 芳香族ジカルボン酸組成物およびそれを用いた液晶ポリエステル樹脂 |
US09/917,209 US6755991B2 (en) | 2000-07-28 | 2001-07-30 | Aromatic dicarboxylic acid composition and liquid crystalline polyester resin made from the same |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000228910A JP4782273B2 (ja) | 2000-07-28 | 2000-07-28 | 芳香族ジカルボン酸組成物およびそれを用いた液晶ポリエステル樹脂 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002037869A JP2002037869A (ja) | 2002-02-06 |
JP4782273B2 true JP4782273B2 (ja) | 2011-09-28 |
Family
ID=18722117
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000228910A Expired - Lifetime JP4782273B2 (ja) | 2000-07-28 | 2000-07-28 | 芳香族ジカルボン酸組成物およびそれを用いた液晶ポリエステル樹脂 |
Country Status (2)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US6755991B2 (ja) |
JP (1) | JP4782273B2 (ja) |
Families Citing this family (16)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE10256151B4 (de) * | 2002-11-29 | 2009-04-30 | Peguform Gmbh | Kunststoffformteil |
US20040135118A1 (en) * | 2002-12-18 | 2004-07-15 | Waggoner Marion G. | Process for producing a liquid crystalline polymer |
TWI276660B (en) * | 2002-12-18 | 2007-03-21 | Sumitomo Chemical Co | Aromatic liquid crystal polyester and film thereof |
JP4510420B2 (ja) * | 2003-10-02 | 2010-07-21 | 上野製薬株式会社 | 液晶ポリエステル樹脂 |
JP2005213418A (ja) * | 2004-01-30 | 2005-08-11 | Sumitomo Chemical Co Ltd | 液晶ポリエステル樹脂組成物 |
JP4625340B2 (ja) * | 2005-01-31 | 2011-02-02 | 上野製薬株式会社 | 液晶ポリエステル樹脂およびその製造方法 |
US20070057236A1 (en) * | 2005-09-12 | 2007-03-15 | Sumitomo Chemical Company, Limited | Conductive resin composition and the use thereof |
JP4974501B2 (ja) * | 2005-09-30 | 2012-07-11 | 上野製薬株式会社 | 液晶ポリエステル樹脂組成物 |
CN101089042A (zh) * | 2006-06-15 | 2007-12-19 | 住友化学株式会社 | 液晶聚合物组合物及其应用 |
CN102449026B (zh) | 2009-08-11 | 2015-04-29 | 东丽株式会社 | 液晶聚酯及其制造方法 |
WO2014099377A1 (en) * | 2012-12-19 | 2014-06-26 | Ticona Llc | Liquid crystalline composition having a dark black color |
WO2015094486A1 (en) | 2013-12-19 | 2015-06-25 | Ticona Llc | Liquid crystalline composition having a pearly luster |
CN105885370A (zh) * | 2016-04-13 | 2016-08-24 | 金发科技股份有限公司 | 一种液晶聚酯组合物 |
CN105801823A (zh) * | 2016-04-13 | 2016-07-27 | 金发科技股份有限公司 | 一种液晶聚酯组合物 |
CN105801824A (zh) * | 2016-04-13 | 2016-07-27 | 金发科技股份有限公司 | 一种液晶聚酯组合物 |
WO2021124966A1 (ja) | 2019-12-19 | 2021-06-24 | 住友化学株式会社 | 液晶性ポリエステルの製造方法及び液晶性ポリエステル |
Family Cites Families (20)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US4390681A (en) * | 1982-03-04 | 1983-06-28 | Monsanto Company | Liquid crystal copolyesters |
JPS6143654A (ja) * | 1984-08-07 | 1986-03-03 | Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd | 樹脂組成物 |
JPS63229611A (ja) * | 1987-03-19 | 1988-09-26 | Nippon Oil Co Ltd | 高密度磁気記録媒体用フイルム |
US4942087A (en) * | 1987-12-28 | 1990-07-17 | Mitsui Petrochemical Industries, Ltd. | Films of wholly aromatic polyester and processes for preparation thereof |
JP3116375B2 (ja) * | 1990-01-23 | 2000-12-11 | 東レ株式会社 | 共重合ポリエステルの製造方法 |
JP2590585B2 (ja) * | 1990-03-26 | 1997-03-12 | 東レ株式会社 | 共重合ポリエステル樹脂 |
JPH04304229A (ja) * | 1991-04-02 | 1992-10-27 | Mitsubishi Kasei Corp | ポリエステルの製造方法 |
JPH05117915A (ja) * | 1991-10-22 | 1993-05-14 | Kuraray Co Ltd | 耐疲労性に優れたポリエステル繊維 |
DE69426177T2 (de) * | 1993-02-17 | 2001-05-17 | Mitsubishi Gas Chemical Co., Inc. | Harzzusammensetzung |
US5397502A (en) * | 1993-06-10 | 1995-03-14 | E. I. Du Pont De Nemours And Company | Heat resistant liquid crsytalline polymers |
JPH0770331A (ja) * | 1993-09-07 | 1995-03-14 | Toyobo Co Ltd | ポリエステル粒子 |
FI101308B1 (fi) * | 1994-07-01 | 1998-05-29 | Optatech Oy | Nestekidekopolyesteri-imidit ja menetelmä niiden valmistamiseksi |
JP3578433B2 (ja) * | 1996-09-10 | 2004-10-20 | 三井化学株式会社 | ポリエチレンナフタレートの製造方法 |
ID18868A (id) * | 1996-12-11 | 1998-05-14 | Kolon Inc | Film poliester yang mudah dicetak dan pembuatannya |
JPH11246654A (ja) * | 1998-03-04 | 1999-09-14 | Polyplastics Co | 液晶性ポリエステルの製造方法およびその成形品 |
JP4208990B2 (ja) * | 1998-04-10 | 2009-01-14 | 新日本石油株式会社 | コレステリック液晶性積層体 |
CA2273664A1 (en) * | 1998-06-08 | 1999-12-08 | Takanari Yamaguchi | Aromatic liquid crystalline polyester resin and resin composition thereof |
JP2000017065A (ja) * | 1998-07-03 | 2000-01-18 | Teijin Ltd | ポリエステル組成物及びフィルム |
JP2000037633A (ja) * | 1998-07-22 | 2000-02-08 | Cosmo Sogo Kenkyusho:Kk | 粗芳香族ジカルボン酸の精製方法および精製に使用する触媒 |
US6284920B1 (en) * | 1998-10-07 | 2001-09-04 | Bp Corporation North America Inc. | Aromatic acid monomers, polymers, products and processes for their manufacture |
-
2000
- 2000-07-28 JP JP2000228910A patent/JP4782273B2/ja not_active Expired - Lifetime
-
2001
- 2001-07-30 US US09/917,209 patent/US6755991B2/en not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
US6755991B2 (en) | 2004-06-29 |
JP2002037869A (ja) | 2002-02-06 |
US20020045728A1 (en) | 2002-04-18 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4522627B2 (ja) | 液晶ポリエステル樹脂 | |
JP4782273B2 (ja) | 芳香族ジカルボン酸組成物およびそれを用いた液晶ポリエステル樹脂 | |
JP5017060B2 (ja) | 全芳香族液晶ポリエステル | |
JP5369054B2 (ja) | 液晶ポリエステルブレンド組成物 | |
JP4681268B2 (ja) | 全芳香族液晶ポリエステル樹脂の製造方法 | |
JP5225653B2 (ja) | 液晶ポリエステルブレンド | |
JP5036106B2 (ja) | サーモトロピック液晶ポリマー | |
EP1686144B1 (en) | Wholly aromatic liquid-crystalline polyester and method for preparing the same | |
JP5271479B2 (ja) | 液晶ポリエステル樹脂組成物 | |
JP4510420B2 (ja) | 液晶ポリエステル樹脂 | |
JP4632394B2 (ja) | 液晶ポリエステル樹脂 | |
JPH0723446B2 (ja) | 安定化ポリエステル樹脂組成物 | |
WO2011132390A1 (ja) | 高熱伝導性熱可塑性樹脂 | |
JP6258771B2 (ja) | 液晶ポリマー | |
JP2017043705A (ja) | 液晶ポリマー | |
JP3675757B2 (ja) | 液晶ポリエステル樹脂の製造方法 | |
JP5030867B2 (ja) | 液晶ポリマー組成物 | |
JP2006002114A (ja) | 3,5−ジ−tert−ブチル−4−オキシベンゾイル繰返し単位を含む液晶性樹脂 | |
JPH07157550A (ja) | 液晶ポリエステルの製造方法 | |
JPH05105806A (ja) | 樹脂組成物 | |
JPH0632971A (ja) | 液晶ポリエステル樹脂組成物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20070726 |
|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711 Effective date: 20071204 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20100615 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20101109 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20110111 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20110215 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20110329 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20110614 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20110707 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140715 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Ref document number: 4782273 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |