JP4781768B2 - 水中用ロープ - Google Patents
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Description
しかしながら、水及び海水は空気よりも粘性が高く、絶対流速が空気より小さく、しかも水中用のロープは、橋梁用ケーブルに比較してロープ径が通常小さいので、先行技術のようなディンプルを水中用ロープに付したとしても断面形状の変化の小さいのでカルマン渦の発生防止に大きな効果を期待することは難しいという問題があった。
被覆はロープ外周に接着一体化させた樹脂製であり、射出成形機あるいは押出し機などにより連続的に施すことができるので、必要長を安価に製作することができる。
第2の態様においては、ロープ本体に条体がらせん状に巻き付けられ、樹脂被覆層がロープ本体および前記条体を囲繞することにより異形断面を構成している。
これによれば、流れの方向による性能変化が小さくなり、360度どの方向の水流に対しても流れを乱してカルマン渦の発生を抑制する安定した性能が得られ、かつ、被覆により条体の位置ずれが防止されるので形状安定性もよいものとなる。
これによれば、水の流れを乱しやすくしつつ、流れと直角方向の投影面積を大きくせず、流れに対する抗力を不必要に増さないですむ。
これによれば、カルマン渦の発生を効果的に防止するこことができる。
また、好ましくは、凸部の表面は外接円に接する円弧状となっている。これによれば、リールに巻き取る際やロープの途中に海洋観測機器をクランプ等で物理的に取り付ける場合に扱いやすい利点がある。
図1は本発明を適用した海洋観測係留システムを例示しており、100は海底に設置されたアンカー、101は計測用のブイ、102は係留型自動昇降装置、103は超音波式切離し装置であり、それらは本発明にかかる水中ロープ1で連結されており、ブイ101は海中待機時には係留型自動昇降装置102と機械的に結合され、観測時には仮想線のようにロープを繰り出し、ブイ101を海面まで浮上させる機能を有している。Kは水中ロープ1に作用する潮流や海流である。
ロープ本体2は繊維ロープあるいはワイヤロープのいずれをも含む。繊維ロープは、汎用の合成繊維あるいは高強力高弾性繊維など任意である。ロープ構造は限定はないものの、1点係留に適用される場合には、張力が作用しても回転トルクが発生しにくい形式のものが好ましい。繊維ロープの場合、組紐構造の八つ打ち,12打ち,二重組紐構造などが好適である。ワイヤロープの場合は、トルクバランスを取りやすいストランドロープが最適であるが、特に限定はない。ロープの太さは、繊維ロープの場合6〜150mm程度、ワイヤロープの場合6〜100mm程度である。
被覆層3はロープの表面に射出ないし押出し成形可能な軟質の熱可塑性樹脂、たとえばポリエチレン、塩化ビニル、ポリウレタン、ナイロン、テフロン(登録商標)などからなっている。
この例では、凸部31と凹部32はそれぞれ4つであり、ロープ長手方向に平行に走っている。
このようならせん状の凹凸は比較的長いピッチでも効果があり、あまり短いピッチで施しても効果の向上は期待できない。有効な範囲は、ロープの外径:D、ロープ周囲を一回りする長さ:Lとすると、一般に、∞>L/D>0.5である。なお∞は真っ直ぐな状態を意味する。らせんをロープ軸線に対する角度で表現すれば、1〜12°の範囲が実用的である。
なお、図5は、らせんの方向がたとえば右回りから左回りとなるがごとき途中で切り替わっている例を示している。
図6は異形部の凸部31の高さ関係を示しており、各凸部31の外接円で構成される直径をAとし、最低被覆主層厚さ(直径)をBとし、ロープ本体の直径をCとし、異形部としての凸部高さをHとすると、H/A=0.03〜0.5の範囲が望ましい。
この限定理由は、凸部高さが小さいと水流を乱す作用が脆弱となり、カルマン渦防止の効果を期待できず、凸部高さを大きくすると、カルマン渦防止の効果は期待できるが、流れと直角方向の投影面積が大きくなるので、流れに対する抗力が大きくなり、かえってロープの水中でのたわみが大きくなるなどの不具合を生ずるからである。H/A=0.03〜0.5であれば、水流を乱す作用と流れと直角方向の投影面積による抗力とをバランスよく達成することができる。
この範囲であればロープ表面に突起物や溝を付けると効果的にカルマン渦の発生をコントロールすることができ、かつ製作も容易に行なえる。
すなわち、リールにロープ状のものを巻きつけていくときに断面が円形でなくいびつな形状では、隙間なく並列巻きが困難となるが、一部が外接円の円弧でらせん状に溝が付いていれば、並列巻きが可能となる。また、クランプ手段も、外接円と同じ曲率で内面を加工しておけば、ロープとクランプ手段内面が面接触となり、効率よく掴むことができる。
ノズル91は凹部32を形成するための内径方向に凸となった型部911と凸部31を成形するための外径方向で凹となった型部910が周方向で交互に繰り返された貫通孔を有しており、かかるノズル91は外周に歯車を持つ回転盤92に周り止めされている。回転盤92はウォームホイールなどの駆動手段93により押出し木軸線の周りで回転されるようになっており、下流の引き取りキャプスタンなどと同期回転されるように駆動系に組み込まれ、ロープ本体2の引き出し速度と回転盤92の回転が同期するようになっている。
なお、図3のような凹部と凸部が軸線と平行な形態にしたい場合には、回転盤92の駆動を停止させておけばよい。
1)被覆層3は必ずしも1層である場合に限られない。図8のようにロープ本体1を囲繞する第1層3aの外周に、異形断面形状を有する第2層3bを設けてもよく、これも本発明に含まれる。この態様は、テフロンなどの高価な樹脂を用いて異形断面を形成する場合に適しており、第1層3aには取り扱いが容易で価格の安い樹脂を被覆し、さらにその上に第2層3bとしてテフロンなど目的の樹脂を被覆すれば、コストを下げることができる。
3)さらに、(e)のように多数の凸部31と凹部32を有していてもよく、(f)のようにその多数の凸部31と凹部32の断面が三角状をなしていてもよい。
5)また、(j)(k)のように凸部31の幅が広く、凹部32の幅が狭いものも含まれる。
6)また、異形断面は、場合によっては、(l)、(m)のように流線型翼に類する断面形状をなしていてもよいし、(n)ないし(q)のような多角形断面をなしていてもよい。
この実施例においては、被覆層それ自体を異形断面形状にするのでなく、ロープ本体2に条体4をらせん状に巻装することで異形断面形状とし、その異形断面形状をそのまま呈するように被覆層3を設けていることが特徴である。
詳しく説明すると、ロープ本体2は繊維ロープあるいはワイヤロープのいずれをも含む。繊維ロープは、汎用の合成繊維あるいは高強力高弾性繊維など任意である。被覆層3はロープ本体2の表面に射出ないし押出し成形可能な軟質の熱可塑性樹脂、たとえばポリエチレン、塩化ビニール、ポリウレタン、ナイロン、テフロンなどからなっていて、条体4およびロープ本体2の周りに密着して施されている。
図12は、ロープ本体2としてストランド40を複数本撚りあわせた7×7構造のワイヤロープを例としており、前記条体4はこの例では2本用いられ、ロープ本体2のストランド40,40の谷間に1本が、円周方向で位相のずれた別のストランド40,40間の谷間に他の1本がそれぞれ位置され、ストランド谷間に沿って巻装されている。この例では、条体4,4は180度位相をずらして配置されている。
条体4は柔軟である程度の硬さのあるもの、たとえば鋼線、銅線、合成樹脂のソリッドロッド、繊維の紐あるいは細いロープなどが選択的に用いられる。断面形状も円形に限定されない。
したがって、ロープ全体が、ロープ本体2の断面形状に即応した凹部(溝)32と、これを底として半径方向に突出し条体4,4の形状に沿った凸部(凸条)31がらせん状に連続している。被覆層3が断面形状どおりに密着しているので、条体4のらせんの位置ずれすることがない。
有効な範囲は、ロープの外径:D、ロープ周囲を一回りする長さ:Lとすると、一般に、∞>L/D>0.5である。なお∞は真っ直ぐな状態を意味する。らせんをロープ軸線に対する角度で表現すれば、一般に、1〜12°の範囲が実用的である。
この場合、前記アッセンブリーロープそのものを軸線の周りで回転させてもよいが、これに代えて、ノズルとして、凹部を形成するための内径方向に凸となった型部と凸部を成形するための外径方向で凹となった型部を周方向で交互に形成した貫通孔を持つ回転ノズルを用い、かかるノズルを前記アッセンブリーロープの引き出し速度と同期回転させる方法をとってもよい。
こうすれば、型部により凸部と凹部を外径側に有する被覆層3がロープ本体2の周りに形成される。しかもノズルが回転するので、凹部と凸部は継ぎ目のないらせん状となって連続的に被覆されるのである。
1)らせん状に巻装する条体4は2本に限定されず、1本でも3本以上でもかまわない。図13(a)は1本の条体4を用いた場合を、(b)は3本の条体4を用いた場合を、(c)は4本の条体を用いた場合をそれぞれ示している。
ただし、細い条体を複数本密に巻き付けると前記したような異形断面による効果は薄くなるので、太目の条体を比較的大きなピッチで巻き付けるとよい。
このときに水中ロープが真円形断面である場合には、図2のように水流が円弧に沿って整流状態で下流へと向かうことにより、互いに反対方向に回転するカルマン渦が発生し、それによる変動する負圧で水中ロープが振動を起こす。
これに対して、本発明は第1実施例ではロープに凹部32と突部31を有する異形断面の樹脂被覆を設け、第2実施例では、ロープ本体2に条体4をらせんに巻き付けそれをほぼ一様な厚みの被覆層3で覆うことでらせん状の凹部32と凸部31を設けているので、水流が凹部32と突部31に衝突、反射して乱流状態となり、それが拡散しながら下流へと流れる。このため、カルマン渦が発生しなくなり、ロープ下流側に負圧が発生しにくくなるので、ロープの振動が抑制される。
2 ロープ本体
3 被覆層
4 条体
30 主層
31 凸部(突条)
32 凹部(溝)
Claims (1)
- 流れのある水中で係留索あるいは支索として用いられるロープであって、ロープ本体2に条体4をらせん状に巻装することで異形断面形状とし、その異形断面形状をそのまま呈するように被覆層3を設けることにより、前記被覆層3はロープ本体2の外周を囲む主層と条体を囲み前記条体の形状に沿った部分を有しており、ロープ全体がロープ本体2の断面形状に即応した凹部32とこれを底として半径方向に突出し条体4の形状に沿った凸部31がらせん状に連続した異形断面となっており、かつ、前記異形断面は、ロープを囲む被覆主層とこれから半径方向に突出する部分を有して全体が凹凸形状となっており、凸部の外接円直径:A、凸部高さ:Hにおいて、H/A=0.03〜0.5であり、前記らせんのピッチPは、ロープ外径:D、ロープ周囲を一回りする長さ:Lにおいて、∞>P=L/D>0.5であり、凸部31の表面は外接円に接する円弧状となっている、ことを特徴とする水中用ロープ。
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