JP4692964B2 - 水中ロープ - Google Patents
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Description
各センサーは一般に電源と記録装置(通常は電子的なメモリー)を内蔵しており、従来では、設置後、所定の観測期間経過した後、それぞれのセンサーを回収して観測したデータを取り出すバッチ処理を行っている。
この対策として、絶縁被覆ワイヤロープにサーミスタチエーンを沿わせて取り付け、ワイヤロープと海水で構成される電気回路を通じて、電磁誘導データ伝送により海上の信号処理装置に送信する、電磁誘導式の通信手段が実用化されているが、それぞれのセンサーに電磁モデムを装備させて信号を発信させるので、機器が高価でオペレーションシステムも大規模なものになる問題がある。
しかし、前者は、電線をストランドに拠り込むので製造工程が煩雑になる点、ロープ強度が損なわれたり、荷重によって電線が切断されたりする危険がある点、さらに特定のストランドの特定の箇所だけに電線部分が露出するので、信号や電力の取り出しや授受の位置が制限され、事実上、端部で信号や電力の取り出しや授受を行なわざるを得なくなるので、各長さ単位でのセンサーの接続などが困難になる問題があった。
後者は、電線をビニールなどのシースで包むので構造が複雑化するとともにロープ径が大きくなり、また、信号や電力の取り出し・授受位置が端末部分に制限され、各長さ単位でのセンサーの接続などが困難である問題があった。
これによれば、流れの方向による性能変化が小さくなり360度のどの方向からの水流に対しても流れを乱してカルマン渦の発生を抑制する安定した性能が得られる。
図1と図2は本発明を海洋観測用ブイの係留索に適用した実施例を示しており、1は観測ブイであり、風向・風速計,温・湿度計、気圧計、雨量計、日射計などの観測センサーが搭載され、計測データを送信アンテナから衛星などに送信するようになっている。2は観測ブイ1の下部に連結された本発明の水中ロープで、全長が500〜800mとなっている。3は前記水中ロープ2の下端に連結されたナイロンなどの合成繊維ロープであり、下端が海底のアンカー4に連結されている。
前記水中ロープ2には、所要の深度ごとにセンサーたとえば、流向流速計9a、電気伝導度・水温計(CT)9b、電気伝導度・水温・深度計(CTD)9cなどが取り付けられている。
7は前記電線6a、6b及びワイヤロープ5の周りに密着した樹脂被覆である。
樹脂被覆7は、図4と図5(a)のように、ワイヤロープ5の断面形状に沿った部分70と電線6(6a、6b)の形状に沿った部分71を有し、この例ではひし形に類する断面が連続的に回転してゆく異形断面となっている。
したがって、ロープ全体が、ワイヤロープ5の断面形状に即応した凹部(溝)70と、これを底として半径方向に突出し電線6a、6bの形状に沿った凸部(凸条)71がらせん状に連続している。
有効な範囲は、ロープの外径:D、ロープ周囲を一回りする長さ:Lとすると、一般に、∞>L/D>0.5である。なお∞は真っ直ぐな状態を意味する。らせんをロープ軸線に対する角度で表現すれば、一般に、1〜12°の範囲が実用的である。
この限定理由は、凸部高さが小さいと水流を乱す作用が脆弱となり、カルマン渦防止の効果を期待できず、凸部高さを大きくすると、カルマン渦防止の効果は期待できるが、流れと直角方向の投影面積が大きくなるので、流れに対する抗力が大きくなり、かえってロープの水中でのたわみが大きくなるなどの不具合を生ずるからである。H/A=0.03〜0.5であれば、水流を乱す作用と流れと直角方向の投影面積による抗力とをバランスよく達成することができる。したがって、この条件となるように電線の太さや被覆厚さを選定すればよい。
この場合、前記アッセンブリーロープそのものを軸線の周りで回転させてもよいが、あるいは、ノズルとして、凹部を形成するための内径方向に凸となった型部と凸部を成形するための外径方向で凹となった型部を周方向で交互に形成した貫通孔を持つ回転ノズルが用いられ、かかるノズルを前記アッセンブリーロープの引き出し速度と同期回転させる。
こうすれば、型部により凸部と凹部を外径側に有する樹脂被覆層がロープの周りに形成される。しかもノズルが回転するので、凹部と凸部は継ぎ目のないらせん状となって連続的に被覆されるのである。
1)電線は2本に限定されず、1本でも3本以上でもかまわない。図6(a)は1本の電線6aとした場合を、(b)は4本の電線6a〜6dを用いた場合である。
ただ、細い電線を複数本密に巻き付け過ぎると前記したような異形断面による効果は薄くなるので、カルマン渦の防止が重視される場合には、太目の電線を比較的大きなピッチで巻き付けるとよい。
3)樹脂被覆7は内部の電線の色相が判別できればよいので、淡く着色してあってもよい。
ロープは、海洋観測に使用する場合、所定の水深ごとにセンサーを取り付けて電線6a、6bに対して信号や電力を授受あるいは取り出しするが、ロープ5の外周を電線6a、6bがらせん状に存しており、しかも、これを透明または半透明の樹脂被覆7が囲んでいるため、どの位置においても巻き付けられた電線の位置と色相判別が容易になる。したがって、それぞれの電線の色相を変えておくだけで、ケーブル中間部何れかの場所においても目視により通信用、電力用などの目的電線を識別、確認ができる。
これにより、任意の位置で、電気信号のやり取りあるいは電力の取り出しが可能となり、海面上までデータを電送ができるので、無線あるいは衛星通信等の手段で陸上基地にデータを転送することが可能になる。なお、被覆樹脂で絶縁されるので、ロープ自体も信号電送に使用可能である。
このときに水中ロープが真円形断面である場合には、水流が円弧に沿って整流状態で下流へと向かうことにより、互いに反対方向に回転するカルマン渦が発生し、それによる変動する負圧で水中ロープが振動を起す。
これに対して、本発明はロープ2の外周を電線6a、6bがらせん状に巻回していることで、ワイヤロープ5の断面形状に即応した凹部(溝)70と、これを底として半径方向に突出し電線6a、6bの形状に沿った凸部(凸条)71により異形断面が構成されているので、水流が凹部70と突部71に衝突、反射して乱流状態となり、それが拡散しながら下流へと流れる。このため、カルマン渦が発生しなくなり、ロープ下流側に負圧が発生しにくくなるので、ロープの振動が抑制される。ことに、らせんにより360度の全方位に水の流れを乱す異形部が存するので、水の流れの方向によるカルマン渦発生防止効果の変化が小さくなり、安定した性能が期待できる。
実験水槽には水平循環型、全長9.6m、全幅3.96m、全高2.20mの回流水槽を用いた。試験に使用した供試体は、長さ600mmとし、本発明品は、構造が7×7のワイヤロープ本体に直径が2.3mmの電線を2本、ピッチ100mmでらせん状に巻装し、全体を樹脂で被覆した径12mmのものとした。比較のため、構造が1×37、直径が10.3mmのブイ用ワイヤロープに樹脂被覆を施した直径16.3mmの被覆ロープ(比較品)について試験を行った。
なお、抵抗値には保持フレームの抵抗値も含まれるため、予め各流速について供試体をつけずに抵抗値を計測し、供試体つきの抵抗値から差し引いた。また、比較品と本発明品は断面積が異なるので、抵抗値を次式によって無次元化した。
抗力係数CFx=Fx/(0.5*ρ*V2*S)
ここで、Fx:抵抗値(N),ρ:水の密度(N・sec2/m4)、V:流速(m/s)、S:供試体の正面投影面積(m2)である。
そして、供試体の振動の判定として、抵抗計測時系列データからのばらつきを示す分散(V)を測定した。V=(計測値―平均値)の2乗の総和/データ総数である。
2 本発明ロープ
5 ワイヤロープ
6、6a、6b、6c、6d 電線
7 樹脂被覆
60 導体
61 被覆
70 凹部
71 凸部
Claims (2)
- ワイヤロープ5の外周に樹脂被覆を持つ通信用ないし信号用、電力用電線6a、6aをらせん状に巻装し、それら電線とワイヤロープ5の周りに透明もしくは半透明の樹脂を密着した樹脂被覆7を設けており、前記樹脂被覆7はワイヤロープ5の断面形状に沿った部分70と電線6の形状に沿った部分71を有し、ロープ全体が、ワイヤロープ5の断面形状に即応した凹部70と、これを底として半径方向に突出し電線6a、6aの形状に沿った凸部71がらせん状に連続した異形断面形状となっており、かつ、前記らせん状の凹凸が電線6a、6aの外接円で構成される直径Aの凸部高さHにおいて、H/Aが0.03〜0.5であることを特徴とする水中ロープ。
- 電線とロープのらせんのピッチPが、ロープ外径:D、ロープ周囲を一回りする長さ:Lにおいて、∞>P=L/D>0.5であることを特徴とする請求項1に記載の水中ロープ。
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