JP4780988B2 - 光重合性樹脂積層体およびブラックマトリックス付きガラス基板 - Google Patents
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Description
上記ブラックマトリックスは、画素間の隙間から光が洩れるのを防止することによって表示コントラストを高める目的で形成される。このブラックマトリックスには、クロムや酸化クロムなどの金属薄膜によるものと、黒色樹脂によるものがあるが、近年黒色樹脂によるブラックマトリックスの開発が盛んである。該黒色樹脂によるブラックマトリックスを形成するに当たっては、黒色でかつ光重合性を有する樹脂を用いる方法が、コスト、プロセスの面から、例えば黒色樹脂を別の光重合性を有する樹脂でパターニングする手法に比べて優れている。
特許文献1では、着色剤とバインダーポリマー、重合性化合物、光重合開始剤および光重合開始助剤を含有した組成物であって、光重合開始剤に2−メチル−2−モルフォリノ−1−(4−(メチルチオフェニル)−プロパン−1−オンを、光重合開始助剤に4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノンを用いた着色光重合性樹脂組成物が記載されている。しかし、この樹脂組成物では光に対する感度が十分ではなく、特に黒色の光重合性樹脂組成物にした場合に光硬化が不十分であり、ガラス基板上にブラックマトリックスとして用いた場合の密着性が満足のいくものではなかった。
特許文献4には、仮支持体上にアルカリ可溶な熱可塑性支持層、中間層、黒色の感光性樹脂層を設けた転写材料を用いて、ガラス基板に遮光性画素を形成する手法が記載されている。しかし露光前に仮支持体を剥離する必要があり、3層の転写材料は工程面やコスト面からも満足行くものではなく、ガラス基板上にブラックマトリックスとして用いた場合の密着性や遮光性においても満足のいくものではなかった。
(1) (a)重量平均分子量が3000〜50000で酸当量が100〜600である線状重合体を1〜70質量%、(b)エチレン性不飽和二重結合を少なくとも一つ以上有する光重合性化合物を5〜50質量%、(c)光重合開始剤を0.1〜20質量%、(d)着色物質を5〜70質量%、それぞれ含有し、(c)成分として、下記式(I)で示される化合物を0.1〜20質量%含有する光重合性樹脂組成物からなる層を、厚みが5〜40μmである透明な支持フィルム上に、積層したことを特徴とするブラックマトリックス用光重合性樹脂積層体。
(3) 線状重合体(a)の含有量が光重合性化合物(b)の含有量の2.0〜3.0倍であり、かつ、上記式(I)で示される化合物を5〜20質量%含有する光重合性樹脂組成物からなる層を支持フィルム上に積層したことを特徴とする(1)または(2)に記載のブラックマトリックス用光重合性樹脂積層体。
(6) 露光工程と現像工程の間に、光重合性樹脂組成物からなる層が積層されたガラス基板を60〜130℃で1〜6分加熱する加熱工程を有することを特徴とする(5)記載のブラックマトリックス付きガラス基板の製造方法。
(7) (5)または(6)に記載の方法により製造されるブラックマトリックス付きガラス基板。
(8) (4)または(5)に記載の方法によりブラックマトリックス付きガラス基板を製造する工程、及び該ブラックマトリックス付きガラス基板の少なくともブラックマトリックスで覆われていない部分の一部に感熱性または感光性のカラーインクをインクジェット方式により印刷する印刷工程を含むことを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
(9) (8)に記載の方法により製造されるカラーフィルタ。
本発明のブラックマトリックス用光重合性樹脂積層体に用いられる光重合性樹脂組成物は、下記の式(I)で表される化合物を0.1〜20質量%含有することが必須である。感度の点から0.1質量%以上である必要がある。また、露光時にフォトマスクを通した光の回折によるかぶりを減少し十分な解像度を得るという観点から20質量%以下である必要がある。より好ましくは0.5%以上10%以下である。式(I)で表される化合物を用いることにより、高遮光性を維持しつつ高感度と高解像高密着性を発現することが出来る。
上記の光重合開始剤としては、例えば、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ビス−(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、及び2−(p−メトシキフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体類が挙げられる。
また、p−アミノベンゾフェノン、p−ブチルアミノフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノベンゾフェノン、p,p’−ビス(エチルアミノ)ベンゾフェノン、p,p’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン[ミヒラーズケトン]、p,p’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、及びp,p’−ビス(ジブチルアミノ)ベンゾフェノン等のp−アミノフェニルケトン類が挙げられる。
また、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−O−ベンゾイルオキシム、及び1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシム、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−エタン−1−オンオキシム−O−アセテート、等のオキシムエステル類等が挙げられる。
また、N−アリール−α−アミノ酸化合物も用いることも可能であり、これらの中では、N−フェニルグリシンが好ましい。
また、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、及び2−メチル−2−モルフォリノ−1−(4−(メチルチオフェニル)−プロパン−1−オン等が挙げられる。
本発明に用いられる(a)線状重合体(以下、「バインダー樹脂」ともいう。)の重量平均分子量は、3000〜50000である必要がある。現像性の観点から分子量は50000以下が好ましく、エッジフューズの観点から3000以上が好ましい。ここでいうエッジフューズとは、本発明の光重合性樹脂組成物を少なくとも支持体と積層し、ロール状に巻き取った場合に、光重合性樹脂組成物の一部がロール端面より染み出す現象のことを示す。本発明の効果をさらに良く発揮するためには、分子量が、10000〜40000であることが特に好ましい。なお、分子量の測定は、日本分光(株)製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(ポンプ:Gulliver、PU−1580型、カラム:昭和電工(株)製Shodex(登録商標)(KF−807、KF−806M、KF−806M、KF−802.5)4本直列、移動層溶媒:テトラヒドロフラン、ポリスチレン標準サンプルによる検量線使用)により重量平均分子量(ポリスチレン換算)として求められる。
本発明に用いられる(a)線状重合体は、アクリル系重合体、エポキシ系重合体、フェノキシ系重合体、ポリエステル系重合体、ポリエーテル系重合体、及びウレタン系重合体、などが挙げられるが、中でもアクリル系重合体とウレタン系重合体が好ましく、特にアクリル系重合体が特に好ましい。
第一の単量体は、分子中にエチレン性不飽和二重結合を一個有するカルボン酸又は酸無水物である。例えば、(メタ)アクリル酸、フマル酸、ケイ皮酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、マレイン酸無水物、及びマレイン酸半エステル等が挙げられる。
第二の単量体は、非酸性で、分子中にエチレン性不飽和二重結合を一個有し、光重合性樹脂層の現像性、硬化膜の可とう性等の種々の特性を保持するように選ばれる。このようなものとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、フェニル基を有するビニル化合物(例えば、スチレン)、及びベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、ブラックマトリックスとしての耐熱性の点でベンジル(メタ)アクリレートを用いることは本発明の好ましい実施態様である。
本発明に用いられる前記アクリル系重合体は、上記単量体の混合物を、アセトン、メチルエチルケトン、イソプロパノール等の溶剤で希釈した溶液に、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリル等のラジカル重合開始剤を適量添加し、加熱攪拌することにより合成を行うことが好ましい。混合物の一部を反応液に滴下しながら合成を行う場合もある。反応終了後、さらに溶媒を加えて、所望の濃度に調整する場合もある。合成手段としては、溶液重合以外に、塊状重合、懸濁重合及び乳化重合を用いてもよい。
本発明における(b)エチレン性不飽和二重結合を少なくとも一つ以上有する光重合性化合物には公知の種々の化合物を用いることが出来る。
また、式(III)で挙げられる化合物としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートにエチレンオキサイドを1〜3モル追加した化合物とヘキサヒドロフタル酸とのハーフエステル化合物、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートにエチレンオキサイドを1〜3モル追加した化合物とコハク酸とのハーフエステル化合物、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートにエチレンオキサイドを1〜3モル追加した化合物とイソフタル酸とのハーフエステル化合物、及び2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートにエチレンオキサイドを1〜3モル追加した化合物とテレフタル酸とのハーフエステル化合物などが挙げられる。
これらの化合物は、基材への密着性の観点から、0.1質量%以上が好ましく、現像性の観点から30質量%以下であることが好ましい。1〜30質量%含有することがより好ましい。
(b)エチレン性不飽和二重結合を少なくとも一つ以上有する光重合性化合物(以下、「光重合性モノマー」ともいう。)の、光重合性樹脂組成物全体に対する割合は、5〜50質量%の範囲が好ましい。この割合が、5質量%未満では感度の点で充分ではなく、エッジフューズの観点から50質量%以下が好ましい。好ましくは10〜50質量%、より好ましくは10〜40質量%である。
本発明において、(a)/(b)の値と前記の式(I)で表される化合物の量は、光重合性樹脂組成物の光に対する感度と重要な関連性がある。(a)/(b)は過現像密着性の観点からより大きい値が好ましいが、(a)/(b)が大きくなると、パターンを十分に硬化させるために必要な露光量が多くなり、感度が相対的に低くなる傾向がある。 (a)/(b)の値が2.0〜3.0である場合が過現像密着性の観点から好ましいが、この場合は十分な感度を維持する観点から、同時に式(I)で表される化合物を5〜20質量%含有することが好ましい。(a)/(b)が2.0〜3.0でありかつ式(I)で表される化合物を8〜20質量%含有することがより好ましい。
顔料としては、例えば、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists社発行)において、ピグメント(Pigment)に分割されている化合物、具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを挙げることが出来る。
更に、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ40、C.I.ピグメントオレンジ42、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ51、C.I.ピグメントオレンジ55、C.I.ピグメントオレンジ59、C.I.ピグメントオレンジ61、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントオレンジ65、C.I.ピグメントオレンジ71、及びC. I.ピグメントオレンジ73などの橙色顔料が挙げられる。
染料としては、例えば、フクシン、フタロシアニングリーン、カルコキシドグリーンS,パラマジエンタ、クリスタルバイオレット、メチルオレンジ、ナイルブルー2B、ビクトリアブルー、マラカイトグリーン(保土ヶ谷化学(株)製 アイゼン(登録商標) MALACHITE GREEN)、ベイシックブルー20、ダイアモンドグリーン(保土ヶ谷化学(株)製 アイゼン(登録商標) DIAMOND GREEN GH)等が挙げられる。
本発明における光重合性樹脂組成物には、光照射により発色する発色系染料を含有させることも、硬化前の光感度と硬化後の遮光性を両立させる観点から、好ましい態様である。用いられる発色系染料としては、例えば、ロイコ染料又はフルオラン染料と、ハロゲン化合物の組み合わせがある。
上記ロイコ染料としては、例えば、トリス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)メタン[ロイコクリスタルバイオレット]等が挙げられる。
上記トリアジン化合物としては、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンが挙げられる。
このような発色系染料の中でも、トリブロモメチルフェニルスルフォンとロイコ染料との組み合わせや、トリアジン化合物とロイコ染料との組み合わせが有用である。
(d)着色物質の光重合性樹脂組成物全体に対する割合は、5〜70質量%の範囲である必要がある。ブラックマトリックスの遮光性から5質量%以上が必要であり、光重合性組成物の硬化性、ブラックマトリックスパターンの形成性から70質量%以下である。
また、本発明における光重合性樹脂組成物に、必要に応じて可塑剤等の添加剤を含有させることもできる。そのような添加剤としては、例えば、ジエチルフタレート等のフタル酸エステル類やp−トルエンスルホンアミド、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル等が挙げられる。
また、上記支持フィルムのヘーズは5.0以下であるものが好ましい。ここでいうヘーズ(Haze)とは濁度を表す値であり、ランプにより照射され試料中を透過した全透過率Tと、試料中で拡散され散乱した光の透過率Dにより、ヘーズ値H=D/T×100として求められる。これらはJIS−K−7105により規定されており、市販の濁度計によって容易に測定可能である。より好ましいヘーズ値は2.5%以下であり、さらに好ましくは1.0%以下である。
このような保護フィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、及びポリプロピレンフィルム等が挙げられる。さらに保護フィルム上の凹凸が感光性樹脂層に転写するのを抑制する観点から、表面が平滑な保護フィルムを用いることが好ましい。保護フィルム上の凹凸が感光性樹脂層に転写するとこれが基材にラミネートされた際に基材と感光性樹脂層との間にマイクロエアーボイドが発生する場合がある。上述のような転写は光重合性樹脂からなる層が薄い場合に顕著になる傾向がある。例えば延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)などを用いることが好ましい。具体的には王子製紙(株)製E−200AおよびE−200Cなどを挙げることが出来る。
上記溶媒としては、上記のバインダー樹脂と光重合性モノマーと光重合開始剤と顔料と顔料分散剤とラジカル重合禁止剤の各成分を溶解する液体であれば公知の溶媒を用いることが出来る。例えば、アルコール類、エーテル類、芳香族炭化水素類、ケトン類、分子内に1つ以上のエーテル結合またはエステル結合を有する炭化水素化合物などの有機溶媒があげられる。中でもメチルエチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、が好ましい。
上記顔料分散剤としては上記溶媒に分散する公知の化合物を挙げることが出来るが、例えば、ポリウレタン、ポリアクリレートなどのカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボン酸基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩などが挙げられ、(a)線状重合体の分子量が20000以下のものも顔料分散剤として用いることが出来る。上記の分散助剤としては、例えばポリカルボン酸型高分子活性剤、ポリスルホン酸型高分子活性剤等のアニオン性の活性剤、ポリオキシエチレン、ポリオキシレンブロックポリマー等のノニオン系の活性剤などが挙げられる。
次に、マトリックスパターンを有するフォトマスク(マスクフィルムまたはガラスマスク)を通して活性光線により支持フィルム側から照射する露光工程を行う。この際、支持フィルムを剥離せずに露光を行うことは感度が高くなって好ましい。また、必要に応じて、露光中または露光後にガラス基板を加熱する加熱工程を行うことが、感度やガラス基板への密着性の点から好ましい。加熱温度は60〜130℃が好ましく、加熱時間は1〜6分であることが好ましい。加熱工程は露光開始直後から露光終了後10分以内に行うことが好ましく、露光終了後1〜5分以内に行うことがより好ましい。
これらの現像液は浴液、あるいは噴霧液として用いられ、これらの現像液を用いた現像方法としては、ディップ現像や、シャワー現像、スプレー現像やパドル現像などが挙げられる。
また、未露光部の光重合性樹脂層を除去する手法として、アルカリ水溶液によって未露光部の光重合性樹脂層を膨潤または変性させるにとどめておき、ディップ水洗や、シャワー水洗、スプレー水洗やパドル水洗等の水洗手法によって未露光部の光重合性樹脂層を除去することも出来る。この場合、未露光部の光重合性樹脂層がガラス基板に残っているため、アルカリ水溶液によるレジストサイドからの染み込みが少なく、ガラス基板への密着性が高く好ましい手法である。
ブラックマトリックスの形状は画素を囲む格子状のものが一般的である。また、格子の各辺のパターン幅は5μm〜50μm、格子点間隔は30μm〜500μmであるのが一般的である。
赤・青・緑の画素パターンは、液状レジストあるいはドライフィルムレジストなどのカラーレジストを用いたフォトリソグラフィーによって作製したり、カラーインクを用いたインクジェット法によって作製したり、種々の方法を用いることが出来る。中でもインクジェット法は、高価なマスクを必要とする露光工程を必要としない、現像工程を必要としない、凹凸にかかわらず画素パターンを形成できる、歩留まりが向上する、などの面から、低コストで簡便に画素パターンを形成できるので好ましい。感熱性または感光性のカラーインクとしては公知のものを用いることが出来る。また、本発明において、着色物質として例示した顔料および染料、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマー、熱または光重合性開始剤とを有し、溶剤により粘度を適宜調整した組成物を用いることが出来る。例えば特開2004−213033号公報の実施例1に記載の着色インクなどを用いることが出来る。
本発明の光重合性樹脂積層体を用いて作製されたブラックマトリックス付きガラス基板は、光重合性樹脂組成物をガラス基板に直接塗布して乾燥し、後にフォトマスクを通して露光・現像して作製されたブラックマトリックス付きガラス基板と比較して、露光時に、光重合性樹脂組成物が透明な支持フィルムとガラス基板との間にあって、空気に接していないために酸素阻害の影響を受けにくいと考えられ、着色物質を高濃度に含んでいても光に対する感度が高く、ガラス基板への密着性や解像度が優れているので好ましい。
支持フィルムの厚みは、上記の理由から40μm以下であり、強度を維持する観点から5μm以上である。より好ましくは10μm以上25μm以下である。
[実施例1〜7]
○光重合性樹脂組成物溶液の作製
バインダー溶液とモノマーと光重合開始剤と添加剤とを表1に示す割合で混合し、固形分量が20質量%の光重合性樹脂組成物溶液1〜7を得る。なお、表1において、略号(P−1〜B−3)で表した光重合性樹脂組成物を構成する成分は次に示すとおりである。
P−1:ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=8/2(質量比)の共重合体で重量平均分子量20000、酸当量430、固形分濃度40%のバインダーのメチルエチルケトン溶液
M−1:トリエトキシメチロールプロパントリアクリレート
M−2:ノナエチレングリコールジアクリレート
M−3:コハク酸変性ペンタエリスリトールトリアクリレート (東亜合成(株)社製 アロニックス TO−756)
M−4:2−ヒドロキシエチルメタクリレートにエチレンオキサイドを1モル追加した化合物とヘキサヒドロフタル酸とのハーフエステル化合物
A−1:2−(4−メチルベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン (チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製 IRGACURE379)
A−2:2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン (チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製 IRGACURE907)
A−3:2−メルカプトベンゾトリアゾール
A−4:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド (チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製 IRGACURE819)
I−1:トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−ターシャリブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート] (チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製 IRGANOX245)
B−1:ダイアモンドグリ−ン(保土ヶ谷化学(株)製 アイゼン(登録商標) DIAMOND GREEN GH)
B−2:ロイコクリスタルバイオレット
B−3:カーボンブラック
MEK:メチルエチルケトン
前記光重合性樹脂組成物溶液1〜7を、厚さ20μmのポリエチレンテレフタレート製支持フィルム(帝人デュポンフィルム(株)製AT301)にバーコーターを用いて均一に塗布し、95℃の乾燥機中で3分間乾燥する。次いで、得られる光重合性樹脂組成物積層体上に厚さ25μmのポリエチレン製保護フィルム(タマポリ(株)製GF85)を貼り合わせ、実施例1〜7の光重合性樹脂積層体を得ることができる。また、保護フィルムを厚さ20μmの延伸ポリプロピレン製保護フィルム(王子製紙(株)製E−200A)に代える以外は実施例1と同様に作成し、実施例8の光重合性樹脂積層体を得ることが出来る。
上記実施例1〜7の光重合性樹脂積層体の保護フィルムを剥がして、厚み0.7mmの無アルカリガラス基板に95℃でラミネートした後、ライン幅/スペース幅が5μm/45μm、10μm/90μmのパターンのガラス製フォトマスクを通して、超高圧水銀ランプ((株)オーク製作所製HMW−801)により露光する。このとき、支持フィルムは剥離せずに、支持フィルム側から露光を行う。露光量は100mJ/cm2を標準露光量とし、光重合性樹脂積層体の感度に応じて25〜200mJ/cm2の範囲で調整する。支持フィルムを剥離した後、0.2質量%の炭酸ナトリウム水溶液を30℃でスプレーし、未露光部分の光重合性樹脂層を溶解除去して現像する。このときの標準現像時間は、未露光部分の光重合性樹脂層がガラス基板からちょうど除去されたときの時間(ブレイクポイントと定義)の1.5倍とする。その後、240℃で60分ポストベークし、ブラックマトリックス付きガラス基板を形成する。
(1)膜厚
上記のガラス基板上のブラックマトリックスについて、テンコール・インスツルメンツ社製アルファステップ(AS200)を用いてガラス基板に形成されたパターンの高さを測定し、これを膜厚とする。
(2)遮光性(光学濃度)
上記のブラックマトリックス付きガラス基板と同様の方法でベタパターン付きガラス基板を作成し、遮光性の評価として、グレタグマクベス社製光学濃度計D200−IIを用いて光学濃度を測定する。光学濃度とは、ある光源の光に対して入射光強度をI0、透過光強度をIとした場合に、光学濃度=log10(I0/I)の関係で表される。
(3)密着性
密着性の評価として、ライン幅/スペース幅=5μm/45μm、10μm/90μmのマトリックスパターンが形成できているかどうかを光学顕微鏡で目視にて観察する。
過現像密着性の評価として、現像時間を標準現像時間の1.5倍にして上記のブラックマトリックスを作製した時に、ライン幅/スペース幅=5μm/45μm、10μm/90μmのマトリックスパターンが形成できているかどうかを光学顕微鏡で目視にて観察する。
(5)線幅再現性
ガラス基板上に形成されたライン幅/スペース幅=10μm/90μmのマトリックスパターンの線幅を、測長顕微鏡を用いて測定する。マスクの線幅に対してパターンの線幅測定値が2μm以上太ければ線幅太りとし、2μm以上細くなっていれば線幅細りとし、それぞれ不良とする。
(6)ST感度
光に対する感度の評価として、別途用意したガラス基板に上記と同じように光重合性樹脂積層体をラミネートした後、ストーファー21段ステップタブレットのマスクフィルムを通して、上記と同じように露光・現像、ポストベークしたガラス基板を、ステップタブレットパターンが何段まで残っているかを目視で読み取った評価する。
上記(1)〜(6)の評価結果を表2に示す。実施例8の評価結果は実施例1の評価結果と同様である。
実施例に用いたバインダー溶液とモノマーと光重合開始剤と添加剤を表1に示す割合で混合し、固形分量が20重量%の光重合性樹脂組成物溶液8および9を得る。この光重合性樹脂組成物溶液8および9を、実施例と同じようにして厚さ20μmのポリエチレンテレフタレート製支持フィルム上に製膜して、ポリエチレン製保護フィルムを張り合わせて、比較例1および2の光重合性樹脂積層体を作製する。これらの比較例1および2の光重合性樹脂積層体を用いて、実施例1と同じようにして、ブラックマトリックス付きガラス基板を形成する。比較例1、2の評価については、実施例と同じ項目を評価し、結果を表2に示す。
実施例1に用いた光重合性樹脂組成物溶液1を、厚み0.7mmの無アルカリガラス基板に滴下した後、スピンコーターを用いて乾燥膜厚が1.2μmになるように塗布し、オーブンを用いて95℃で2分間乾燥させる。ライン幅/スペース幅が5μm/45μmおよび10μm/90μmのパターンのガラスマスクを通して、超高圧水銀ランプ((株)オ−ク製作所製HMW−801)により200mJ/cm2で露光する。このとき、マスクとガラス基板との間が50μmになるようにギャップを固定する。0.2質量%の炭酸ナトリウム水溶液を30℃で標準現像時間スプレ−し、未露光部分の光重合性樹脂層を溶解除去して現像する。その後、240℃で60分ポストベークし、ブラックマトリックス付きガラス基板を形成する。評価については、実施例1と同じようにして評価し、結果を表2に示す。
[比較例4]
実施例1に用いた光重合性樹脂組成物溶液1を、実施例1と同じようにして厚さ75μmのポリエチレンテレフタレート製支持フィルム上に製膜して、ポリエチレン製保護フィルムを張り合わせて、比較例4の光重合性樹脂積層体を作製する。この比較例4の光重合性樹脂積層体を用いて、実施例1と同じようにして、ブラックマトリックス付きガラス基板を形成する。評価については、実施例1と同じようにして評価し、結果を表2に示す。
実施例1に用いた光重合性樹脂組成物溶液1を、実施例1と同じようにして厚さ20μmのポリエチレンテレフタレート製支持フィルム上に製膜して、ポリエチレン製保護フィルムを張り合わせて、比較例5の光重合性樹脂積層体を作製する。この光重合性樹脂積層体の保護フィルムを剥がして、厚み0.7mmの無アルカリガラス基板に95℃でラミネートした後、支持フィルムを剥がしてから、ライン幅/スペース幅が5μm/45μm、10μm/90μmのパターンのガラス製のフォトマスクを通して、超高圧水銀ランプ((株)オ−ク製作所製HMW−801)により200mJ/cm2で露光する。このとき、マスクとガラス基板との間が50μmになるようにギャップを固定する。また、光重合性樹脂積層体側から露光を行う。0.2質量%の炭酸ナトリウム水溶液を30℃で標準現像時間スプレ−し、未露光部分の光重合性樹脂層を溶解除去して現像する。その後、240℃で60分ポストベークし、ブラックマトリックス付きガラス基板を形成する。評価については、実施例1と同じようにして評価し、結果を表2に示す。
Claims (7)
- (a)重量平均分子量が3000〜50000で酸当量が100〜600である線状重合体を1〜70質量%、(b)エチレン性不飽和二重結合を少なくとも一つ以上有する光重合性化合物を5〜50質量%、(c)光重合開始剤を0.1〜20質量%、(d)着色物質を5〜70質量%、それぞれ含有し、上記(c)光重合開始剤が、2−(4−メチルベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−(4−エチルベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−(4−イソプロピルベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−(4−n−プロピルベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−[4−(2−メチルプロパ−1−イル)−ベンジル]−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−(4−n−ブチルベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オンから選択される少なくとも1種の化合物である光重合性樹脂組成物からなる層を、厚みが5〜40μmである透明な支持フィルム上に積層したブラックマトリックス用光重合性樹脂積層体を、該光重合性樹脂組成物からなる層がガラス基板と接触するように該ガラス基板に積層する積層工程、支持フィルム側からマトリックスパターンを有するフォトマスク及び支持フィルムを通して該光重合性樹脂組成物からなる層に活性光線を照射する露光工程、及び該露光工程で硬化しなかった光重合性樹脂組成物を現像液にて除去し硬化した光重合性樹脂組成物からなるブラックマトリックスを該ガラス基板上に形成する現像工程を含むことを特徴とするブラックマトリックス付きガラス基板の製造方法。
- 線状重合体(a)の含有量が光重合性化合物(b)の含有量の1.0〜3.0倍である光重合性樹脂組成物からなる層を支持フィルム上に積層したことを特徴とする請求項1記載のブラックマトリックス付きガラス基板の製造方法。
- 線状重合体(a)の含有量が光重合性化合物(b)の含有量の2.0〜3.0倍であり、かつ、光重合開始剤(c)を5〜20質量%含有する光重合性樹脂組成物からなる層を支持フィルム上に積層したことを特徴とする請求項1または2に記載のブラックマトリックス付きガラス基板の製造方法。
- 光重合性化合物(b)として下記式(II)または式(III)で示される化合物のうち少なくとも1種類以上を0.05〜10質量%含有する光重合性樹脂組成物からなる層を支持フィルム上に積層したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のブラックマトリックス付きガラス基板の製造方法。
- 露光工程と現像工程の間に、光重合性樹脂組成物からなる層が積層されたガラス基板を60〜130℃で1〜6分加熱する加熱工程を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のブラックマトリックス付きガラス基板の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の方法により製造されるブラックマトリックス付きガラス基板。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の方法によりブラックマトリックス付きガラス基板を製造する工程、及び該ブラックマトリックス付きガラス基板の少なくともブラックマトリックスで覆われていない部分の一部に感熱性または感光性のカラーインクをインクジェット方式により印刷する印刷工程を含むことを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
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