JP4779828B2 - 車両用防眩装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両用防眩装置に係り、特に、車両シートに着座する乗員に対する防眩機器を制御するうえで好適な車両用防眩装置に関する。
従来から、車両乗員に眩惑を与える光を遮光する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この装置は、乗員の顔面の照度を計測し、その顔面照度に基づいて算出した輝度が予め定めた所定輝度を超える場合に、太陽光が乗員の顔面に直接に当たっているとして、車両乗員の眼球に入射する光を遮光する。従って、上記従来の装置によれば、乗員が太陽光により視界を遮られるときに遮光制御を行うことで、乗員が手動操作でサンバイザーを開けなくても、光による乗員の眩惑を防止することが可能となる。
特開2005−35384号公報
しかしながら、上記従来の装置は、遮光制御を、単に乗員の顔面照度に基づく輝度値を予め定めた所定輝度値と比較した結果に基づいて行うだけである。一方、乗員顔面の輝度値は、車両周囲の状況に応じて変化し、太陽光が直接に当たっていない状況でも路面反射等に起因して比較的大きくなることもあり、一方、太陽光が直接に当たっている状況でも車両周囲の暗さに起因して比較的小さくなることもある。従って、車両の走行環境によっては、上記従来の装置の如く単に予め定めた所定輝度値と検出輝度値とを比較するだけでは、太陽光が乗員の顔面に直接に当たっている状況を正確に把握することができない可能性がある。
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、太陽光が乗員の顔面に直接に当たっている状況を正確に把握して、乗員が手動操作でサンバイザーを開けなくても、光による乗員の眩惑を確実に防止することが可能な車両用防眩装置を提供することを目的とする。
上記の目的は、車両シートに着座する乗員の顔を撮影する撮影手段により撮影された撮像画像に基づいて、該撮像画像に写し出される乗員の顔面に対応する部分の第1輝度値を検出する第1輝度値検出手段と、前記撮像画像に基づいて、該撮像画像に写し出される乗員後方の背景部位に対応する部分の第2輝度値を検出する第2輝度値検出手段と、前記第1輝度値検出手段により検出された前記第1輝度値と前記第2輝度値検出手段により検出された前記第2輝度値との差が所定以上である場合に太陽光が乗員に直接に当たっていると判定し、一方、前記差が所定未満である場合に太陽光が乗員に直接に当たっていないと判定する直射光判別手段と、前記直射光判別手段による判別結果に基づいて、太陽光が乗員に直接に当たっていると判定される場合に乗員用防眩機器としてのサンバイザーを開け、一方、太陽光が乗員に直接に当たっていないと判定される場合に前記サンバイザーを収納する自動制御を行う防眩機器制御手段と、を備える車両用防眩装置により達成される。
この態様の発明においては、撮影手段による撮像画像に写し出される乗員の顔面に対応する部分の第1輝度値、及び、その撮像画像に写し出される乗員後方の背景部位に対応する部分の第2輝度値が検出される。乗員の顔面部分の輝度値及び乗員後方の背景部分の輝度値は共に車両の走行環境によって影響を受け得るが、その差は車両の走行環境によってあまり影響を受けることはない。また、乗員の顔面に太陽光が当たらないときは、その顔面部分の輝度値は、乗員後方の背景部分の輝度値に対してあまり大きくならないが、乗員の顔面に太陽光が当たるときは、その顔面部分の輝度値は、乗員後方の背景部分の輝度値に対して極めて大きくなる。本発明において、乗員用防眩装置は、検出した乗員顔面部分の第1輝度値と乗員背景部分の第2輝度値との差に基づいて自動制御される。従って、本発明によれば、太陽光が乗員の顔面に直接に当たっている状況を正確に把握することができ、太陽光が乗員の顔面に直接に当たっているときは乗員が手動操作で乗員用防眩装置を作動させることなくその光による乗員の眩惑を確実に防止することが可能となる。
また、上記の目的は、車両シートに着座する乗員の顔を撮影する撮影手段により撮影された撮像画像に基づいて、該撮像画像に写し出される乗員の顔面に対応する部分の第1輝度値を検出する第1輝度値検出手段と、前記撮像画像に基づいて、該撮像画像に写し出される乗員後方の背景部位に対応する部分の第2輝度値を検出する第2輝度値検出手段と、前記第1輝度値検出手段により検出された前記第1輝度値と前記第2輝度値検出手段により検出された前記第2輝度値との差と共に、車両進行方向又は時間帯に基づいて、太陽光が乗員に直接に当たっているか否かを判別するものであって、前記差が所定以上であり、かつ、車両が朝日若しくは西日に向けて走行する状態にある又は現時点が乗員に太陽光が入射する時間帯である場合に太陽光が乗員に直接に当たっていると判定し、一方、前記差が所定未満であり、又は、車両が朝日若しくは西日に向けて走行する状態にない若しくは現時点が乗員に太陽光が入射する時間帯でない場合に太陽光が乗員に直接に当たっていないと判定する直射光判別手段と、前記直射光判別手段による判別結果に基づいて、太陽光が乗員に直接に当たっていると判定される場合に乗員用防眩機器としてのサンバイザーを開け、一方、太陽光が乗員に直接に当たっていないと判定される場合に前記サンバイザーを収納する自動制御を行う防眩機器制御手段と、を備える車両用防眩装置により達成される。
尚、上記した車両用防眩装置において、前記背景部位は、太陽光が直接に当たり難い車内の所定部位であることとすれば、太陽光が乗員の顔面に直接に当たるかを判断する際に車外の影響を排除することができる。
本発明によれば、太陽光が乗員の顔面に直接に当たっている状況を正確に把握して、乗員が手動操作で乗員用防眩装置を作動させなくても、光による乗員の眩惑を確実に防止することができる。
以下、図面を用いて、本発明の具体的な実施の形態について説明する。
図1は、本発明の第1実施例である車両に搭載される車両用防眩装置10の構成図を示す。本実施例の車両用防眩装置10は、車載カメラを用いて車両シートに着座する車両乗員(主に運転者)の顔を撮影して、その撮像画像に写し出される乗員の顔の輝度値に基づいて、太陽光が直接に乗員の眼に入射するのを防止するためのサンバイザーを自動的に開閉する装置である。
図1に示す如く、本実施例の車両用防眩装置10は、コンピュータを主体に構成されたサンバイザー用電子制御ユニット(以下、サンバイザーECUと称す)12を備えている。サンバイザーECU12には、太陽光が直接に車両運転者の眼に入るのを防止するためのサンバイザーを開閉するサンバイザーアクチュエータ14が接続されている。このサンバイザーは、車室内天井に取り付けられた板状の部材であって、収納時(閉時)は車室内天井に平行に対面するように、一方、非収納時(開時)は車両のフロントガラスに平行に対面して運転者への太陽光を遮るように位置変化される。また、サンバイザーアクチュエータ14は、後述の如くサンバイザーECU12からの指令に従って、サンバイザーを開閉駆動する。
サンバイザーECU12には、また、顔向きECU16が接続されている。顔向きECU16には、車両シートに着座する運転者の顔を撮影するために設けられた顔向きカメラ18が接続されている。顔向きカメラ18は、例えばステアリングコラムアッパカバーの上面やコンビネーションメータ内,ダッシュボード上面に配置されている。顔向きカメラ18は、車両進行方向と正対する方向かつ車両運転者の顔面が存在する方向へ指向されており、車両運転者の顔面をほぼ正面から撮影することが可能である。尚、夜間撮影のため、車両運転者の顔面へ向けて赤外線を投光するランプを設けることとしてもよい。
顔向きカメラ18の撮影した映像信号は、顔向きECU16に供給される。顔向きECU16は、コンピュータを主体に構成されており、顔向きカメラ18から供給される映像信号を処理して、後に詳述する如く車両運転者の顔面の状態を検知する。顔向きECU16の検知した運転者の顔面状態を示す情報は、サンバイザーECU12に供給される。サンバイザーECU12は、顔向きECU16での検知情報に基づいて、後述の如く、サンバイザーアクチュエータ14に対して指令信号を供給する。
尚、顔向きカメラ18を用いて顔向きECU16の検知した運転者の顔面状態を示す情報(例えば、眼の閉じ度合いを示す情報や車両正面方向からの顔向き角度に関する情報)は、運転者の居眠りを判定するシステムや、自車両を設定車速或いは先行車両に追従して走行させるクルーズコントロールシステムに供給されることとしてもよい。かかる居眠り判定システムは、眼の閉じ度合いに応じて警報を発するものであればよく、また、クルーズコントロールシステムは、顔向き角度に応じて設定車速へ至るまでの目標加速度や先行車両との目標車間距離を変更するものであればよい。すなわち、顔向きカメラ18は、サンバイザーの開閉制御と共に、居眠り判定やクルーズコントロールの如き車両の走行制御に利用されるものであってもよい。
サンバイザーECU12には、また、通信バス19を介してナビゲーションECU20が接続されている。ナビゲーションECU20には、GPS受信機とジャイロセンサとが内蔵されていると共に、GPSアンテナ22が接続されている。GPS受信機は、GPS衛星から送られる軌道信号と信号発信時刻を示す信号とからなるGPS信号をGPSアンテナ22で受信して復調すると共に、自車両の位置及び現在時刻を計算する。ナビゲーションECU20は、GPS受信機の計算結果に基づいて自車両の現在位置(緯度及び経度)を検出すると共に、現在時刻を把握する。また、ジャイロセンサは、車両の進行方向に応じた信号を出力する。ナビゲーションECU20は、ジャイロセンサの出力信号に基づいて自車両の進行方向を検出する。ナビゲーションECU20の検出した情報は、通信バス19を通じてサンバイザーECU12に供給される。
尚、ナビゲーションECU20には、HDDやDVDなどの記録媒体からなる地図データベースが接続される。この地図データベースには、地図データとして、道路リンクごとの位置情報や、道路リンクが所定距離以上の直進路であるか或いは所定曲率以上のカーブ路であるか、国道や県道などの一般道であるか、自動車専用道路や首都高速などの高速道路であるかなどの道路種別データなどが格納されている。ナビゲーションECU20は、GPS受信機やジャイロセンサなどによる検出信号に基づいて、地図データベースに格納されている地図データを参照して、現時点での自車両の道路上の位置に関するマップマッチングを行い、そして、必要に応じて運転者の視認可能な表示ディスプレイに写し出されている道路地図に重畳してその自車位置を示すマークを表示する。
サンバイザーECU12には、更に、通信バス19を介してステアリングセンサ24が接続されている。ステアリングセンサ24は、車両運転者の操作するステアリングホイールの中立位置からの操舵角に応じた信号を出力する。ステアリングセンサ24の検出した情報は、通信バス19を通じてサンバイザーECU12に供給される。
次に、図2及び図3を参照して、本実施例の車両用防眩装置10の動作について説明する。図2は、顔向きカメラ18の撮像画像を模式的に表した図を示す。尚、図2(A)には運転席が車両右側にある右ハンドル車の場合を、また、図2(B)には運転席が車両左側にある左ハンドル車の場合を、それぞれ示す。更に、図3は、本実施例の車両用防眩装置10において実行される制御ルーチンの一例のフローチャートを示す。
本実施例の車両用防眩装置10において、顔向きECU16は、顔向きカメラ18からの映像信号を画像処理してエッジ抽出処理を施すことにより、まず、その撮像画像からその画像内での車両運転者の顔左右両端位置と、鼻上を通る顔左右中心位置と、眉上、目下、及び口裂それぞれの上下位置と、をそれぞれ検出する。そして、顔左右両端位置と顔左右中心位置とに基づいて、撮像画像に写し出される運転者の顔の左右間隔比率を算出し、更に、円筒形モデルを参照して、運転者の車両正面方向からの顔向き角度を検出する。この顔向き角度の情報は、サンバイザーECU12に供給される。
サンバイザーECU12は、予め、カメラ撮像画像から運転者の顔向き角度を検出することが可能なその許容値(例えば、±15°)を格納している。サンバイザーECU12は、顔向きECU16から運転者の顔向き角度の情報が供給された場合、検出した顔向き角度を上記の許容値と比較して、運転者の顔向き角度が許容値の範囲内に収まっているか否かを判別する。
また、ステアリングセンサ24は、ステアリングホイールの中立位置からの操舵角に応じた信号をサンバイザーECU12に向けて出力する。サンバイザーECU12は、ステアリングセンサ24からの信号に基づいてステアリング操舵角を検出する。サンバイザーECU12は、予め、車両が直進して走行するか否かの境界を示すステアリング操舵角の境界値(例えば、±15°)を格納している。サンバイザーECU12は、ステアリング操舵角を検出した場合、その検出したステアリング操舵角を上記の境界値と比較して、車両が直進して走行しているか否かを判別する。
サンバイザーECU12は、上記した判別の結果、運転者の顔向き角度が許容値範囲内に収まっていない或いは車両が直進走行を行っていない場合は、サンバイザーの作動を禁止して、サンバイザーの収納状態を保持する。これは、後に詳述する如く、サンバイザーの自動開閉を行ううえでのパラメータである、カメラ撮像画像に写る運転者の顔面などの輝度値を検出することが不可能となるからである。一方、上記した判別の結果、運転者の顔向き角度が許容値範囲内に収まっておりかつ車両が直進走行を行っている場合は、サンバイザーの作動を許可する。
サンバイザーECU12は、運転者の顔向き角度が許容値範囲内に収まっておりかつ車両が直進走行を行っていることによりサンバイザーの作動を許可した場合、まず、顔向きECU16に対してカメラ撮像画像の所定箇所における輝度値を検出するように指示する。顔向きECU16は、サンバイザーECU12に対して運転者の顔向き角度の情報を供給した後にそのサンバイザーECU12から輝度値検出を行うべき指示を受けた場合、まず、顔向きカメラ18による撮像画像から検出した運転者の各種の顔位置に基づいて、運転者の眼の辺りを含む顔中央近傍の位置(図2において点線aで囲まれる領域)および運転者後方の背景の位置(図2において点線bで囲まれる領域)をそれぞれ特定し、そして、カメラ撮像画像を処理して、その特定した運転者の顔中央近傍における輝度値(以下、この輝度値を第1輝度値と称す)および背景範囲における輝度値(以下、この輝度値を第2輝度値と称す)をそれぞれ検出する(ステップ100)。これら第1輝度値および第2輝度値の情報は、サンバイザーECU12に供給される。
尚、顔向きカメラ18による撮像画像から第2輝度値を検出するうえで用いる運転者後方の背景は、太陽光が直接に当たり難くて車外景色などの外界の影響を受け難い車内天井部位であることが望ましく、従って、その背景位置は、運転席が車両右側にある右ハンドル車のときは図2(A)に示す如く運転席側のサイドガラスとは反対側の車内天井部位が写る画像右上の位置であり、一方、運転席が車両左側にある左ハンドル車のときは図2(B)に示す如く運転席側のサイドガラスとは反対側の車内天井部位が写る画像左上の位置である。
サンバイザーECU12は、サンバイザーの作動許可後に、顔向きECU16からカメラ撮像画像での運転者の顔面に対応する部分の第1輝度値および運転者後方の背景に対応する部分の第2輝度値の情報を受信すると、次に、それら第1輝度値と第2輝度値との差を演算して、その差が所定閾値以上であるか否かを判別する(ステップ102)。尚、この所定閾値は、運転者の眼に太陽光が入射していると判断できる、運転者の顔面部分の輝度値と運転者以外の後方背景部分の輝度値との差の最小値であり、予めサンバイザーECU12に設定されている。
サンバイザーECU12は、上記した第1輝度値と第2輝度値との差が所定閾値未満であると判別した場合は、運転者の顔面に太陽光は入射していないとして、サンバイザーアクチュエータ14に対してサンバイザーを収納し或いはその収納状態を保持する指令を発する(ステップ104)。従って、運転者の顔向き角度が許容値範囲内に収まっておりかつ車両が直進走行を行っていることによりサンバイザーの開作動が許可される場合においても、運転者の顔面部分の第1輝度値と運転者以外の後方背景部分の第2輝度値との差が比較的小さいときは、サンバイザーは、閉じて収納状態になる。
更に、ナビゲーションECU20は、自車両の現在位置及び進行方向並びに現在時刻を検出し(ステップ106)、その各情報をサンバイザーECU12に供給する。サンバイザーECU12は、予め、日或いは季節ごとの時間帯別の太陽の位置情報を格納していると共に、それらの各位置に対して太陽の方向や太陽に直交する方向に向けて車両が走行すると判断できる進行方向範囲ならびに太陽光が車両運転者の顔面に入射すると判断できる時間帯の情報を格納している。サンバイザーECU12は、上記した第1輝度値と第2輝度値との差が所定閾値以上であると判別した場合、運転者の顔面に太陽光が入射している可能性があるとして、次に、ナビゲーションECU20から供給される自車両の現在位置及び進行方向並びに現在時刻を基に、自車両が朝日や西日に向けて走行しかつ現時点が車両運転者の顔面に太陽光の入射する時間帯であるか否かを判別する(ステップ108)。
その判別の結果、自車両が朝日や西日に向けて走行する状態にない或いは現時点が車両運転者の顔面に太陽光の入射する時間帯でない場合は、運転者の顔面に太陽光は入射していないとして、サンバイザーアクチュエータ14に対してサンバイザーを収納し或いはその収納状態を保持する指令を発する(ステップ104)。従って、運転者の顔向き角度が許容値範囲内に収まっておりかつ車両が直進走行を行っていることによりサンバイザーの開作動が許可される場合においても、車両が朝日や西日に向けて走行していないときや太陽光が運転者の顔面に入射する時間帯でないときは、サンバイザーが閉じて収納状態になる。
一方、自車両が朝日や西日に向けて走行しかつ現時点が車両運転者の顔面に太陽光の入射する時間帯である場合は、運転者の顔面に太陽光が入射しているとして、サンバイザーアクチュエータ14に対してサンバイザーを開け或いはその非収納状態を保持する指令を発する(ステップ110)。従って、運転者の顔向き角度が許容値範囲内に収まっておりかつ車両が直進走行を行っていることによりサンバイザーの開作動が許可される場合において、運転者の顔面部分の第1輝度値と運転者以外の後方背景部分の第2輝度値との差が比較的大きく、かつ、太陽光が運転者の顔面に入射する時間帯において自車両が朝日や西日に向けて走行しているときは、サンバイザーが開いて非収納状態になる。
このように、本実施例の車両用防眩装置10においては、運転者の顔面部分の第1輝度値と運転者以外の後方背景部分の第2輝度値との差に基づいてサンバイザーを自動的に開閉することができる。具体的には、その差が所定閾値未満であるときはサンバイザーを閉じて収納状態にする一方、その差が所定閾値以上であるときはサンバイザーを開けて運転者に入射する太陽光を遮るように非収納状態にする。
運転者の顔面部分の輝度値及び運転者後方の背景部分の輝度値は共に車両の走行環境によって影響を受け得るが、その差は車両の走行環境によってあまり影響を受けることはない。例えば、車両周囲が明るければ暗いときに比べて、両輝度値は共に相対的に大きくなるが、両輝度値の差が大きく広がることは抑制される。また、運転者の顔面に太陽光が当たらないときは、その顔面部分の輝度値は、太陽光が直接に当たり難くて車外景色などの外界の影響を受け難い車内天井部位である運転者後方の背景部分の輝度値に対してあまり大きくならないが、乗員の顔面に太陽光が当たるときは、その顔面部分の輝度値は、その運転者後方の背景部分の輝度値に対して極めて大きくなる。
従って、本実施例の車両用防眩装置10によれば、運転者の顔面部分の第1輝度値と運転者後方の背景部分の第2輝度値とを比較するので、太陽光が運転者の顔面に直接に当たっているか否かの状況を正確に把握することが可能となっている。そして、太陽光が運転者の顔面に直接に当たっているときは、運転者が手動でサンバイザーを開ける操作を行うことなく、サンバイザーを自動的に開けることができるので、太陽光が運転者の眼に直接に入るのを防止することができ、太陽光による乗員の眩惑を確実に防止することができる。このため、本実施例によれば、車両走行中にサンバイザーを開けて運転者への太陽光を遮断するのに、運転者によるサンバイザーの手動操作によって運転者の視界が遮られるのを防止することができ、車両の安全走行を確保することが可能である。
尚、本実施例において、顔向きカメラ18による撮像画像から上記の第2輝度値を検出するうえで用いる運転者後方の背景は、上記の如く、太陽光が直接に当たり難くて車外景色などの外界の影響を受け難い車内天井部位であって、その背景位置は、右ハンドル車,左ハンドル車に関係なく、運転席側のサイドガラスとは反対側の車内天井部位が写る画像位置である。従って、本実施例の構成によれば、カメラ撮像画像から上記の第2輝度値を検出して太陽光が運転者の顔面に直接に入射するかを判断するに際し、車両窓外の風景や景色などの外界の影響を排除することが可能であるので、太陽光が運転者の顔面に直接に当たっているか否かの状況把握の正確性を向上させることが可能となっている。
ところで、上記の第1実施例においては、顔向きカメラ18が特許請求の範囲に記載した「撮影手段」に、サンバイザーが特許請求の範囲に記載した「乗員用防眩機器」に、それぞれ相当していると共に、顔向きECU16が、顔向きカメラ18による撮像画像に基づいて、その画像に写し出される運転者の顔中央近傍における第1輝度値を検出することにより特許請求の範囲に記載した「第1輝度値検出手段」が、その画像に写し出される運転者後方の背景部位における第2輝度値を検出することにより特許請求の範囲に記載した「第2輝度値検出手段」が、サンバイザーECU12が、図3に示すルーチン中ステップ102、104、及び110の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した「防眩機器制御手段」が、ステップ108の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した「状況判別手段」が、それぞれ実現されている。
上記した第1実施例では、車両のフロントガラスから入射する太陽光を想定して、非収納時にフロントガラスに平行に対面するように開作動されるサンバイザーを設け、そのサンバイザーを非収納時にフロントガラスに平行に対面するように開作動させるサンバイザーアクチュエータ14を設けることとした。
これに対して、本発明の第2実施例においては、第1実施例におけるフロントガラス用のサンバイザー及びサンバイザーアクチュエータ14と共に、車両のサイドガラスから入射する太陽光をも想定して、非収納時にサイドガラスに平行に対面するように開作動されるサイドサンバイザーを設け、そのサイドサンバイザーを非収納時にサイドガラスに平行に対面するように開作動させるサンバイザーアクチュエータを設ける。本実施例の車両用防眩装置10は、サンバイザーECU12及び顔向きECU16に、上記図3に示すルーチンに代えて図4に示すルーチンを実行させることにより実現される。
すなわち、本実施例において、サンバイザーは、非収納時(開時)において車両ガラスに平行に対面して太陽光を遮るように位置変化されるが、この際には車両のフロントガラスだけでなくサイドガラスにも対面可能に構成される。尚、サンバイザー自体は、フロント用とサイド用とに別個に分けることとしてもよいが、フロント用とサイド用とで兼用することとしてもよい。また、サンバイザーアクチュエータ14は、フロント用のサンバイザーをフロントガラスに対して開閉駆動するアクチュエータと、サイド用のサンバイザーをサイドガラスに対して開閉駆動するアクチュエータと、を有する。両アクチュエータは、サンバイザーECU12からの指令に従って適宜、対応するサンバイザーを開閉駆動する。
次に、図4を参照して、本実施例の車両用防眩装置10の動作について説明する。図4は、本実施例の車両用防眩装置10において実行される制御ルーチンの一例のフローチャートを示す。尚、図4において、上記図3に示す処理と同一の処理を実行するステップについては、同一の符号を付してその説明を省略又は簡略する。
すなわち、サンバイザーECU12は、上記ステップ108の判別の結果、自車両が朝日や西日に向けて走行しかつ現時点が車両運転者の顔面に太陽光の入射する時間帯である場合は、運転者の顔面に車両のフロントガラスを通じて太陽光が入射しているとして、サンバイザーアクチュエータ14に対して、フロントガラスから入射する太陽光を遮るべくフロント用のサンバイザーを開け或いはその非収納状態を保持する指令を発する(ステップ200)。従って、運転者の顔向き角度が許容値範囲内に収まっておりかつ車両が直進走行を行っていることによりサンバイザーの開作動が許可される場合において、運転者の顔面部分の第1輝度値と運転者以外の後方背景部分の第2輝度値との差が比較的大きく、かつ、太陽光がフロントガラスを通じて運転者の顔面に入射する時間帯において自車両が朝日や西日に向けて走行しているときは、フロント用のサンバイザーが開いてフロントガラス側に降り非収納状態になる。
一方、上記ステップ108の判別の結果、自車両が朝日や西日に向けて走行する状態にない或いは現時点が車両運転者の顔面に太陽光の入射する時間帯でない場合は、次は、ナビゲーションECU20から供給される自車両の現在位置及び進行方向並びに現在時刻を基に、自車両が朝日や西日に直交する方向に向けて走行しかつ現時点が車両運転者の顔面に太陽光の入射する時間帯であるか否かを判別する(ステップ202)。
その判別の結果、自車両が朝日や西日に直交する方向に向けて走行する状態にない或いは現時点が車両運転者の顔面に太陽光の入射する時間帯でない場合は、運転者の顔面に太陽光は入射していないとして、サンバイザーアクチュエータ14に対してすべてのサンバイザーを収納し或いはその収納状態を保持する指令を発する(ステップ104)。従って、運転者の顔向き角度が許容値範囲内に収まっておりかつ車両が直進走行を行っていることによりサンバイザーの開作動が許可される場合においても、車両が朝日や西日に向けて或いは朝日や西日に直交する方向に向けて走行していないときや太陽光が運転者の顔面に入射する時間帯でないときは、すべてのサンバイザーが閉じて収納状態になる。
一方、上記ステップ202の判別の結果、自車両が朝日や西日に直交する方向に向けて走行しかつ現時点が車両運転者の顔面に太陽光の入射する時間帯である場合は、運転者の顔面に車両のサイドガラスを通じて太陽光が入射しているとして、サンバイザーアクチュエータ14に対して、サイドガラスから入射する太陽光を遮るべくサイド用のサンバイザーを開け或いはその非収納状態を保持する指令を発する(ステップ204)。従って、運転者の顔向き角度が許容値範囲内に収まっておりかつ車両が直進走行を行っていることによりサンバイザーの開作動が許可される場合において、運転者の顔面部分の第1輝度値と運転者以外の後方背景部分の第2輝度値との差が比較的大きく、かつ、太陽光がサイドガラスを通じて運転者の顔面に入射する時間帯において自車両が朝日や西日に直交する方向に向けて走行しているときは、サイド用のサンバイザーが開いてサイドガラス側に降り非収納状態になる。
このように、本実施例の車両用防眩装置10においては、運転者の顔面部分の第1輝度値と運転者以外の後方背景部分の第2輝度値との差に基づいてサンバイザーを自動的に開閉する。具体的には、その差が所定閾値以上である場合において、太陽光がフロントガラスを通じて運転者の顔面に入射する時間帯において自車両が朝日や西日に向けて走行しているときは、フロント用のサンバイザーを開けてフロントガラス側に降ろし、一方、太陽光がサイドガラスを通じて運転者の顔面に入射する時間帯において自車両が朝日や西日に直交する方向に向けて走行しているときは、サイド用のサンバイザーを開けてサイドガラス側に降ろす。
従って、本実施例の車両用防眩装置10においても、運転者の顔面部分の第1輝度値と運転者後方の背景部分の第2輝度値とを比較するので、太陽光が運転者の顔面に直接に当たっているか否かの状況を正確に把握することが可能となっている。また、本実施例の車両用防眩装置10によれば、太陽光がフロントガラスを通じて運転者の顔面に直接に当たっているときは、サンバイザーを、運転者が手動でフロントガラス側に開ける操作を行うことなく、そのフロントガラス側に自動的に開けることができ、また、太陽光がサイドガラスを通じて運転者の顔面に直接に当たっているときは、サンバイザーを、運転者が手動でサイドガラス側に開ける操作を行うことなく、そのサイドガラス側に自動的に開けることができるので、このため、自車両の進行方向が朝日や西日に向いているときだけでなく、朝日や西日に直交した方向に向いているときにも、太陽光が運転者の眼に直接に入るのを防止することができ、太陽光による乗員の眩惑を確実に防止することが可能となっている。
ところで、上記の第2実施例においては、サンバイザーECU12が、図4に示すルーチン中ステップ102、104、200、及び204の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した「防眩機器制御手段」が、ステップ108及び202の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した「状況判別手段」が、それぞれ実現されている。
尚、上記の第2実施例においては、自車両が朝日や西日に直交する方向に向けて走行しかつ現時点が車両運転者の顔面に太陽光の入射する時間帯である場合、運転者の顔面に車両のサイドガラスを通じて太陽光が入射しているとして、サイドガラスから入射する太陽光を遮るべくサイド用のサンバイザーを開けるが、運転者の顔面に運転席側のサイドガラスを通じて太陽光が入射する状況においてのみ、運転席側に取り付けられたサイド用のサンバイザーを開けることとすればよく、助手席側のサイドガラスを通じて太陽光が入射する状況においては、運転席側に取り付けられたサイド用のサンバイザーを閉じて収納状態に保持したままでもよい。
ところで、上記の第1及び第2実施例においては、運転者の顔面部分の第1輝度値と運転者後方の背景部分の第2輝度値との比較結果に基づいて、太陽光が運転者の顔面に直接に当たっているか否かを判別するが、運転者の顔面部分の第1輝度値が予め定めた所定以上にある状況においてその第1輝度値と第2輝度値との差が所定閾値以上である場合にのみ、太陽光が運転者の顔面に直接に当たっていると判別することとしてもよい。
また、上記の第1及び第2実施例においては、車両運転者の顔を撮影する顔向きカメラ18を設けたうえで、そのカメラ撮像画像から運転者の顔面部分における輝度値などを検出して、車両運転者の眼に太陽光が入射するのを防止するサンバイザーを開閉制御することとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、その運転席側と共に或いは運転席側に代えて、助手席に座る乗員の顔を撮影するカメラを設けたうえで、そのカメラ撮像画像から助手席乗員の顔面部分における輝度値などを検出して、助手席乗員の眼に太陽光が入射するのを防止するサンバイザーを開閉制御することとしてもよい。
また、上記の第1及び第2実施例においては、顔向きカメラ18を用いて車両運転者の顔を撮影したうえで、そのカメラ撮像画像から運転者の顔面部分における輝度値などを検出して、車両運転者の眼に太陽光が入射するのを防止するサンバイザーを開閉制御するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その運転者の顔面部分における輝度値に基づいて、運転席用のサンバイザーに加えて同時に、助手席に座る乗員の眼に太陽光が入射するのを防止する助手席用のサンバイザーをも開閉制御することとしてもよい。通常、太陽光が直接に車両運転者の眼に入るときは同時に、太陽光が直接に助手席に座る乗員の眼にも入るので、かかる構成によれば、助手席に座る乗員のための専用のカメラを設けることなく、助手席用のサンバイザーの自動開閉制御を行うことが可能となる。
本発明の第1実施例である車両に搭載される車両用防眩装置の構成図である。 撮影手段による撮像画像を模式的に表した図である。 本実施例の車両用防眩装置において実行される制御ルーチンの一例のフローチャートである。 本発明の第2実施例である車両用防眩装置において実行される制御ルーチンの一例のフローチャートである。
符号の説明
10 車両用防眩装置
12 サンバイザーECU
14 サンバイザーアクチュエータ
16 顔向きECU
18 顔向きカメラ
20 ナビゲーションECU

Claims (3)

  1. 車両シートに着座する乗員の顔を撮影する撮影手段により撮影された撮像画像に基づいて、該撮像画像に写し出される乗員の顔面に対応する部分の第1輝度値を検出する第1輝度値検出手段と、
    前記撮像画像に基づいて、該撮像画像に写し出される乗員後方の背景部位に対応する部分の第2輝度値を検出する第2輝度値検出手段と、
    前記第1輝度値検出手段により検出された前記第1輝度値と前記第2輝度値検出手段により検出された前記第2輝度値との差が所定以上である場合に太陽光が乗員に直接に当たっていると判定し、一方、前記差が所定未満である場合に太陽光が乗員に直接に当たっていないと判定する直射光判別手段と、
    前記直射光判別手段による判別結果に基づいて、太陽光が乗員に直接に当たっていると判定される場合に乗員用防眩機器としてのサンバイザーを開け、一方、太陽光が乗員に直接に当たっていないと判定される場合に前記サンバイザーを収納する自動制御を行う防眩機器制御手段と、
    を備えることを特徴とする車両用防眩装置。
  2. 車両シートに着座する乗員の顔を撮影する撮影手段により撮影された撮像画像に基づいて、該撮像画像に写し出される乗員の顔面に対応する部分の第1輝度値を検出する第1輝度値検出手段と、
    前記撮像画像に基づいて、該撮像画像に写し出される乗員後方の背景部位に対応する部分の第2輝度値を検出する第2輝度値検出手段と、
    前記第1輝度値検出手段により検出された前記第1輝度値と前記第2輝度値検出手段により検出された前記第2輝度値との差と共に、車両進行方向又は時間帯に基づいて、太陽光が乗員に直接に当たっているか否かを判別するものであって、前記差が所定以上であり、かつ、車両が朝日若しくは西日に向けて走行する状態にある又は現時点が乗員に太陽光が入射する時間帯である場合に太陽光が乗員に直接に当たっていると判定し、一方、前記差が所定未満であり、又は、車両が朝日若しくは西日に向けて走行する状態にない若しくは現時点が乗員に太陽光が入射する時間帯でない場合に太陽光が乗員に直接に当たっていないと判定する直射光判別手段と、
    前記直射光判別手段による判別結果に基づいて、太陽光が乗員に直接に当たっていると判定される場合に乗員用防眩機器としてのサンバイザーを開け、一方、太陽光が乗員に直接に当たっていないと判定される場合に前記サンバイザーを収納する自動制御を行う防眩機器制御手段と、
    を備えることを特徴とする車両用防眩装置。
  3. 前記背景部位は、太陽光が直接に当たり難い車内の所定部位であることを特徴とする請求項1又は2記載の車両用防眩装置。
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