JP4779712B2 - 可動ガードレール - Google Patents

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Description

本発明は、回動することにより車両の通行を選択的に規制又は許容する可動ガードレールに関する。
従来から、走行路の分岐部に配設する可動ガードレールであって、先端が分岐路のいずれの側にも移動可能なよう、分岐部に可動ガードレール本体の基部を回動自在に軸着したことを特徴とする可動ガードレールが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2005−188193号公報
ところで、この種の可動ガードレールにおいては、万が一、車両が所定進路を逸脱して可動ガードレールに衝突した場合において、衝突時に車両が受ける衝撃を小さくし、更に可能な場合には、所定進路へと車両の進路(逸脱)を矯正することが有用である。この点、車両の所定進路に対して可動ガードレールのなす角度を小さくすると、車両が斜め方向に可動ガードレールに衝突することになるので、衝突時の衝撃が緩和され、また、可動ガードレールの延在方向に沿って、所定進路へと車両の進路を矯正させることが可能となりうる。
しかしながら、車両の所定進路に対して可動ガードレールのなす角度を小さくするためには、可動ガードレールの長さを長くする必要があり、可動ガードレールの長さを長くすると、主に、衝突に対する可動ガードレールの耐荷重が小さくなってしまうという問題が生ずる。
そこで、本発明は、車両の所定進路に対するなす角度を小さくしても、必要な耐荷重を有することができる可動ガードレールの提供を目的とする。
上記目的を達成するため、第1の発明は、側壁を有する道路に設けられ、道路に略垂直な回動軸を後端側に備え、回動することにより車両の通行を選択的に規制又は許容する可動ガードレールであって、
前記側壁に向けて回動した際に前記側壁に接する当接部を先端側に備え、前記当接部は、当該可動ガードレールに設けられる当接部生成機構の作動により可動して構成され、
前記当接部は、前記側壁に向けて回動した際の回動方向に対抗する方向の力を前記側壁から受ける態様で、前記側壁に当接することを特徴とする。
第2の発明は、第1の発明に係る可動ガードレールにおいて、
前記当接部生成機構は、当該可動ガードレールの壁を前記側壁に向けて突出させる機構である、ことを特徴とする。
第3の発明は、第2の発明に係る可動ガードレールにおいて、
当該可動ガードレールの壁は、後端側壁部と、後端側壁部に対してスライド可能且つ回動可能に支持されたスライド壁部と、スライド壁部の前端側に対して回動可能に支持された当接壁部であって、前記当接部を構成する当接壁部とを含み、
前記当接部生成機構は、前記スライド壁部又は前記当接壁部を、前記側壁に向けて押し出す機構であることを特徴とする。
第4の発明は、第1の発明に係る可動ガードレールにおいて、
前記当接部生成機構は、当該可動ガードレールに設けられた可動な当接部材であって、前記当接部を構成する当接部材を前記側壁に向けて押し出す機構であることを特徴とする。これにより、可動ガードレールの壁部構造を簡素化しつつ、可動ガードレールの耐荷重を高めることができる。
第5の発明は、第1から4のいずれかの発明に係る可動ガードレールにおいて、
前記当接部生成機構は、当該可動ガードレールの回動に連動して作動することを特徴とする。これにより、追加のモータ等を必要とすることなく、可動ガードレールの耐荷重を高めることができる。
本発明によれば、車両の所定進路に対するなす角度を小さくしても、必要な耐荷重を有することができる可動ガードレールが得られる。
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。ここでは、一例として、本発明がIMTS(Intelligent Multi-mode Transit System)に適用された場合について説明する。
図1は、本発明の実施例1による可動ガードレールが設置された道路分岐部を概略的に示す平面図である。図1(A)は、車両11が、図の左側の本線道路100から右上の到着道路102へと進入しようとしている状態を示し、図1(B)は、車両12が、図の右下の出発道路103から図の左側の本線道路100へと進入しようとしている状態を示す。
本線道路100、到着道路102及び出発道路103を含む道路全体の両側には、各道路からの車両の逸脱を防止する固定式の側壁21,22が設置される。到着道路102と出発道路103の間には、これらの道路間を仕切る固定式の中央壁23が設置される。他言すると、本線道路100は、中央壁23により、2つの道路(到着道路102及び出発道路103)に分岐されている。
到着道路102の先(図示しない図の更に右側)には、各車両11,12の停車駅(ステーション)が存在する。従って、本例の場合、車両11は、本線道路100から到着道路102を介して停車駅に向かおうとしている状態であり、車両12は、停車駅から出発道路103を介して出発しようとしている状態である。
各道路上には、車両11,12が通行すべき進路を規定する磁気マーカーが埋設される。図示の例では、到着車両である車両11に対する進路25と、出発車両である車両12に対する進路26が、磁気マーカーにより規定されている。車両11,12は、自動運転機能を備えた車両である。各車両11,12においては、図示しない磁気センサにより磁気マーカーを検出して、適切な進路に従って走行するように適切な操舵制御が実行される。
ここで、特に図1(A)に示す場合において、万が一、道路分岐部で例えば操舵制御にミスがあり、車両11が、所定進路25から逸脱して、出発道路103に向かったしまった場合を想定する。このような場合、中央壁23の先端部(ノーズ)28に正面衝突すると、車両11及びその乗員に大きなダメージを与えてしまう。また、対向車両である車両12に正面衝突する可能性もある。
このため、本実施例では、先ず、図1に示すように、可動ガードレール40が設けられる。可動ガードレール40は、中央壁23の先端部28に設定された回転支点29まわりに回動するように構成される。回転支点29の回動軸は、道路に対して略垂直に設定される。可動ガードレール40は、図1に示すように、長尺な略矩形のボックス断面(平面視)を有し、車両11,12の前方下部に設定された衝突用タイヤ14(図1に概略的に図示)と衝突するような高さを有する。尚、可動ガードレール40の構成の要部については後に詳説する。以下、長尺の可動ガードレール40について、回転支点29が存在する側を「後端側」とし、回転支点29が存在しない自由端側を、「先端側」とする。
可動ガードレール40は、図1(A)に示すように、本線道路100から出発道路103への通行を規制する位置(以下、「定位位置」という)と、図1(B)に示すように、出発道路103から本線道路100への通行を規制する位置(以下、「反対位置」という)との間で切り換え可能に移動する。本例では、可動ガードレール40の移動は、可動ガードレール40の先端部付近の下部に、道路に接する車輪60(図3参照)を設け、車輪60を電動モータ62(図3参照)により駆動することで実現される。これにより、車両11が、万が一、進路を逸脱した場合でも、可動ガードレール40との衝突によりその逸脱した進路がガードされるので、車両12に衝突することが防止される。
可動ガードレール40は、定位位置及び反対位置において、側壁21、22の壁面に当接する先端部43に有する。本例では、先端部43は、平面視で先端側が尖った三角形の断面(テーバー形状)を有する。先端部43は、後述の如く、回転支点29等と協働して、可動ガードレール40に対する衝突荷重を支持する機能を果たす。先端部43には、側壁21、22の壁面との接触を検知する接触センサ30が設定される。尚、接触センサは、圧力感知式の接触センサであっても、側壁21、22の壁面との近接を検知する近接センサの類であってもよい。
定位位置及び反対位置における可動ガードレール40の中心軸は、好ましくは、通行を許容する車両の所定進路に対して、小さい角度をなすように構成される。例えば、図1(A)に示す例では、可動ガードレール40は、可動ガードレール40の中心軸と進路25とのなす角度αが小さくなるように構成される。
図2は、比較例として、可動ガードレール40’と進路25とのなす角度αが大きい構成の場合を示す。この比較例の場合、車両11が、万が一、所定進路25を逸脱して出発道路103に向かってしまった場合、車両11に可動ガードレール40’に略正面衝突することになるので、衝突時の衝撃が比較的大きくなる。また、中央壁23の先端部28と可動ガードレール40’とのなす角度が小さくなるため、中央壁23の先端部28(角部)に衝突すると、衝突時の衝撃が非常に大きくなってしまう。
これに対して、図1(A)に示す例では、車両11が、万が一、所定進路25を逸脱して出発道路103に向かってしまった場合であっても、車両11(衝突用タイヤ14)が斜め方向に可動ガードレール40に対して衝突することになるので、衝突時の衝撃が緩和される。また、可動ガードレール40に斜め方向に衝突することで、可動ガードレール40の延在方向に沿って車両11の向きが変化され、所定進路25へと車両の進路を矯正させることが可能となる。また、中央壁23の先端部28と可動ガードレール40とのなす角度が大きくなるため(即ち、角にならないため)、中央壁23の先端部28付近に衝突した場合でも、衝突時の衝撃が効果的に緩和される。
しかしながら、可動ガードレール40と進路25とのなす角度αを小さくすると、その反面として、図1(A)と図2を対比しても明らかなように、可動ガードレール40の重量が増し、また、可動ガードレール40の長さが長くなる。可動ガードレール40の重量が増すと、その分だけ、可動ガードレール40を稼動させるときに必要なエネルギが大きくなる。また、可動ガードレール40の長さを単純に長くなると、その分だけ、衝突時における可動ガードレール40の耐荷重が小さくなる。これに対して、可動ガードレール40の板厚を上げる等して剛性を高めることも可能であるが、既に長さを長くすることで重量が大きくなっていることもあり、重量の大幅な増加を伴わない、より効率的な方法で、耐荷重性を高めることができれば有用である。
そこで、本実施例では、可動ガードレール40は、側壁21、22の壁面に接した際の当接範囲を増大させる機構(以下、「壁部押出機構70」という)を有する。以下、この壁部押出機構70について、図3以降を参照して詳説する。
図3は、可動ガードレール40の先端側の構成(図1のX部)を拡大し、可動ガードレール40の壁部構造、駆動機構及び壁部押出機構70を概略的に示す断面図である。
可動ガードレール40は、図3に示すように、前面壁42と背面壁44からなる2重板構造を有し、底面46及び上面48を有する。底面46及び上面48は、先端部43から回転支点29まで延在し、先端部43は、底面46及び上面48の先端側に固定支持される。前面壁42と背面壁44の間の空間には、駆動輪60、電動モータ62、壁部押出機構70が配設される。底面46には、駆動輪60の搭載位置に貫通穴(図示せず)が形成され、駆動輪60は、当該貫通穴から可動ガードレール40外へ突出して道路に接地する。駆動輪60及び電動モータ62の非回転部は、底面46、上面48又は先端部43等に対して固定支持され又は弾性部材を介して支持される。電動モータ62の出力軸(回転軸)66には、駆動輪60が連結され、更に、壁部押出機構70が接続される。壁部押出機構70の詳細は図5を参照して説明する。
図4は、図3のA視により可動ガードレール40の壁部構造を示す概略図である。前面壁42側の構成は、背面壁44側の構成(側壁22に接触する側の構成)と可動ガードレール40の中心軸に関して対称であるため、ここでは、背面壁44側の構成について主に説明する。
背面壁44は、後端側(図4の右側)から、後端側壁部44aと、スライド壁部44bと、当接壁部44cとを備える。尚、後端側壁部44aの後端側は、上述の回転支点29(図1参照)により回動可能に軸支されている。
後端側壁部44aの下辺及び上辺は、可動ガードレール40の底面46及び上面48と接合されてよいが、スライド壁部44b及び当接壁部44cの下辺及び上辺は、可動ガードレール40の底面46及び上面48と接合されない。即ち、スライド壁部44b及び当接壁部44cは、可動ガードレール40の底面46及び上面48に対して、後述の回動支点51,53を介した接続以外に、接続関係を有さない。
スライド壁部44bと後端側壁部44aは、図4に示すように、側面視で、櫛歯が噛み合うような関係で櫛状の壁部を有する。スライド壁部44bの櫛状の壁部(後端側)は、回動支点51を介して、後端側壁部44aの櫛状の壁部に対して回動可能に支持されている。回動支点51は、道路に対して略垂直方向に回動軸を有する。回動支点51は、スライド壁部44bと後端側壁部44aとの間に設定されるヒンジ(蝶番)により実現されてよい。また、回動支点51は、後端側壁部44aの櫛状の壁部に対してスライド可能に設けられる。回動支点51は、スライダ等により、後端側壁部44aの櫛状の壁部に設けられたスライドレール(図示せず)にスライド可能に設けられてよい。これにより、回動支点51は、可動ガードレール40の中心軸の方向(図3の矢印Y方向参照)に沿ってスライド可能となる。尚、スライド壁部44bと後端側壁部44aとの間に形成される隙間47は、例えば蛇腹状の伸縮自在なカバーにより覆われてよい。これにより、可動ガードレール40の内部空間への塵等の侵入を防止することができる。
当接壁部44cの後端側は、回動支点52を介して、スライド壁部44bの前端側に対して回動可能に支持されている。回動支点52は、同様に、道路に対して略垂直方向に回動軸を有し、ヒンジ(蝶番)により実現されてよい。
当接壁部44cの先端側は、回動支点53を介して、先端部43に対して回動可能に支持されている。回動支点53は、同様に道路に対して略垂直方向に回動軸を有し、先端部43と当接壁部44cとの間に設定されるヒンジ(蝶番)により実現されてよい。回動支点53は、底面46又は上面48の下端又は上端が結合されるピンを用いたヒンジにより実現されてもよい。
当接壁部44cの内面側には、スライドレール68が設けられる(図3及び図5参照)。スライドレール68には、当接壁部44cの壁面に平行で且つ水平方向にスライド溝68aが形成されている。スライド溝68aには、後述する壁部押出機構70のラック軸72に設けられたスライダ69が摺動可能に嵌合される。
図5は、図3のB視により壁部押出機構70及びそれに関連する構成を示す概略図である。
図5に示す壁部押出機構70は、ラック&ピニオン式の機構であり、当接壁部44cを、回動支点53まわりに回動させる。壁部押出機構70は、ラック軸72と、互いに噛合しあう2つのギア74,76を備える。ラック軸72は、可動ガードレール40の底面46に、可動ガードレール40の幅方向Tに移動可能に支持される。ラック軸72の端部には、スライダ69が回転可能に設けられる。ギア74は、電動モータ62の出力軸66が連結され、電動モータ62の出力軸66の回転により回転する。
電動モータ62の出力軸66が回転して、可動ガードレール40が側壁22に向かって回動すると、ラック軸72は、側壁22に向かって直線移動する。ラック軸72が側壁22に向かって直線移動すると、当接壁部44cには、スライダ69とスライドレール68との接触部を介して、側壁22に向かって押し出される方向に荷重が作用する。かかる荷重が当接壁部44cに作用すると、当接壁部44cは、スライダ69をスライドレール68内で前端側へとスライドさせながら、回動支点53を支点として側壁22に向かって回動する。これと同時に、スライド壁部44bは、後端側壁部44aに対して前端側へとスライドしながら、回動支点51を支点として側壁22に向かって回動する。これにより、図3に示したように、当接壁部44cとスライド壁部44bは、平面視で、回動支点53を中心としてくの字状に屈曲する。
このように、本実施例では、可動ガードレール40の壁部(当接壁部44c)は、可動ガードレール40の回動に連動して、側壁22に向けて突出する。壁部押出機構70は、可動ガードレール40が定位位置(図1(A)参照)まで回動した際、図3に示したように、当接壁部44cが側壁22に沿って当接(面接触)するように構成される。即ち、定位位置における当接壁部44cの回動角度γ(図3参照)は、定位位置にあるときの可動ガードレール40の中心軸と側壁22とのなす角度に対応するように決定される。当接壁部44cの回動角度γは、壁部押出機構70のギア比や、回動支点53とスライダ69間の距離等を調整することで調整することができる。
従って、本実施例によれば、可動ガードレール40が定位位置(図1(A)参照)まで回動した際、可動ガードレール40と側壁22の壁面との当接範囲が、当接壁部44cが当接する分だけ増大されるので、可動ガードレール40の耐荷重を増加させることができる。即ち、本実施例では、可動ガードレール40は、車両11が衝突したときの衝突荷重を、先端部43及び当接壁部44cと回転支点29で受けることができる。従って、先端部43と回転支点29で同衝突荷重を受ける構成に比べて、衝突荷重を受ける支点間の距離が短くなるので、可動ガードレール40の耐荷重を増加させることができる。
また、当接壁部44cは、可動ガードレール40が反対位置まで回動した際には、ラック軸72が逆方向に直線運動して突出しなくなるので、可動ガードレール40が反対位置にあるとき(図1(B)に示した状態において)、当接壁部44cが車両12の走行を阻害することもない。
また、本実施例によれば、万が一、可動ガードレール40が変形ないし破損した場合であっても、両支点間の範囲で(即ち当接壁部44cの回動支点52よりも後端側で)変形ないし破損が生じやすいので、接触センサ30や電動モータ62等の電子部品が搭載される可動ガードレール40の先端側を有効に保護することができる。
尚、本実施例では、壁部押出機構70は、電動モータ62の出力軸66に連結されているが、駆動輪60の回転軸に連結されてもよいし、例えば可動ガードレール40の中央付近に設けられる中間輪(従動輪)の回転軸に連結されてもよい。また、本実施例では、可動ガードレール40の回動に連動させて、壁部押出機構70による当接壁部44cの押し出しを実現しているが、モータを別途設けて、壁部押出機構70による当接壁部44cの押し出しを実現してもよい。
また、本実施例では、可動ガードレール40の前面壁42側の構成(側壁21に接触する側の構成)についても、上述した背面壁44側の構成と同様の構成を採用することで、可動ガードレール40が反対位置(図1(B)参照)まで回動した際に、共通の壁部押出機構70により、可動ガードレール40と側壁21の壁面との当接範囲を増大させるように構成している。これにより、図1(B)に示す状態において、車両12が、万が一、所定進路26を逸脱して側壁21に向かってしまった場合であっても、衝突時の可動ガードレール40の耐荷重を増加させることができる。或いは、万が一、可動ガードレール40の移動制御にミスがあり、車両11が、反対位置にある可動ガードレール40に衝突した場合であっても、車両11に与える衝撃を小さくしつつ、可動ガードレール40の耐荷重を増加させることができる。但し、例えば、図6に示すように、本線道路100がカーブ路である場合のように、反対位置にある可動ガードレール40の中心軸と側壁21の延在方向とのなす角度が非常に小さい場合には、可動ガードレール40の前面壁42側には、当接範囲を増大させる構成を設定しなくてよい。
また、本実施例では、スライド壁部44bと後端側壁部44aは、それらの間の接続を安定化させるために、図4に示したように、側面視で、3本の櫛と2本の櫛が噛み合うような関係で櫛状の壁部を有していたが、例えば2本の櫛と1本の櫛が噛み合うような関係で櫛状の壁部を構成してもよく、或いは、図7に示すように、一対の壁部同士がスライド可能且つ回動可能に連結されていてもよい。
また、本実施例では、壁部押出機構70のラック軸72を当接壁部44cに接続しているが、壁部押出機構70のラック軸72をスライド壁部44bに接続し、同様にラック軸72によりスライド壁部44bを押し出してもよい。この場合も、スライド壁部44bの回動に連動して、当接壁部44cが回動するので、当接壁部44cを側壁22に接触させて可動ガードレール40の耐荷重を増加させることができる。
また、本実施例では、スライド壁部44bと後端側壁部44aとの間でスライド機構を設けていたが、それに代えて、先端部43及び当接壁部44cとの間でスライド機構を設けてもよい。即ち、回動支点53を、可動ガードレール40の中心軸に沿ってスライド可能に支持してもよい。この場合、上述の如く、当接壁部44cは、壁部押出機構70の動作により、可動ガードレール40の後端側にスライドしながら回動するので、回動支点59を、より後端側に移動させることができる。これにより、衝突荷重を受ける支点間の距離が更に短くなるので、可動ガードレール40の耐荷重を更に増加させることができる。
また、本実施例では、可動ガードレール40の内部空間と外部空間との間の高い絶縁性を維持するため、当接壁部44cの回動に連動させてスライド壁部44bをスライド且つ回動させているが、スライド壁部44bを廃止することも可能である。即ち、スライド壁部44bを無くし、後端側壁部44aの前端側を、当接壁部44cの後端側まで延長し、延長した後端側壁部44aの前端側を、当接壁部44cの後端側に対して接続しないようにしてもよい。この場合、当接壁部44cは、壁部押出機構70の動作により、開閉ドアのような形態で、回動支点53まわりに回動する。この場合、当接壁部44cが開放された状態、即ち、当接壁部44cが側壁22に当接した状態では、可動ガードレール40の内部空間が露出することになるが、上述と同様、可動ガードレール40の耐荷重を増加させることは可能である。
また、本実施例では、可動ガードレール40と側壁22との当接範囲を最大限に増大させるために、先端部43を除く可動ガードレール40の前端側の壁部全体を、当接壁部44cとして構成しているが、可動ガードレール40の前端側の壁部の一部だけを、当接壁部44cとして構成してもよい。例えば、先端部43を除く可動ガードレール40の前端側の壁部のうち、上辺側の部位及び下辺側の部位のみを残して、当接壁部44cを構成し、上辺側及び下辺側の部位を、それぞれ、上面48及び底面46に接合してもよい。この場合、可動ガードレール40の前端側の壁部及び上面48及び底面46の剛性を高めることができる。
図8は、本実施例の可動ガードレール40の制御に関わる制御システム200のシステム構成図である。制御システム200は、インフラ制御装置202と、可動ガードレール制御装置204とを備える。インフラ制御装置202は、主に、各車両の運行を制御する。可動ガードレール制御装置204には、インフラ制御装置202から各車両の運行状況に関する情報が供給される。可動ガードレール制御装置204には、接触センサ30が接続され、また、制御対象として電動モータ62が接続される。
インフラ制御装置202は、図1(B)に示したように停車駅から出発しようとする車両12の接近を検知した場合に、可動ガードレール制御装置204に対して、反対位置まで可動ガードレール40を可動させるように指示する。この指示を受けて、可動ガードレール制御装置204は、電動モータ62に対して駆動信号を送信する。電動モータ62の駆動は、接触センサ30により、可動ガードレール40の先端部43が側壁21に接触したことが検知された段階で終了される。車両12は、可動ガードレール制御装置204との無線通信(路車間通信)を介して、可動ガードレール40の先端部43が側壁21と接触したことを確認した上で、道路分岐部を安全に通行する。その後、車両12の通行が完了すると、インフラ制御装置202は、可動ガードレール制御装置204に対して、定位位置まで可動ガードレール40を可動させるように指示する。この指示を受けて、可動ガードレール制御装置204は、電動モータ62に対して駆動信号を送信する。電動モータ62の駆動は、接触センサ30により、可動ガードレール40の先端部43が側壁22に接触したことが検知された段階で終了される。以後、例えば、車両11が、図1(A)に示したように停車駅に向かってくると、車両11は、可動ガードレール制御装置204との無線通信を介して、可動ガードレール40の先端部43が側壁22と接触したことを確認した上で、道路分岐部を安全に通行する。
図9は、実施例2による可動ガードレール400の壁部構造、駆動機構及び壁部押出機構70’を概略的に示す断面図であり、図3の断面視に相当する。実施例2は、上述の実施例1に対して、可動ガードレールの壁部構造を可動構造にする必要としない点が主に異なる。尚、上述の実施例1と同様の構成については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
本実施例による可動ガードレール400は、図9に示すように、前面壁420と背面壁440からなる2重板構造を有し、底面46及び上面48(図示せず)を有する。底面46及び上面48は、先端部43から回転支点29まで延在し、先端部43は、底面46及び上面48の先端側に固定支持される。前面壁420と背面壁440の上辺及び下辺は、上面48及び底面46の縁部に接合される。即ち、可動ガードレール400は、略完全に閉塞されたボックス構造となる。前面壁42と背面壁44の間の空間には、駆動輪60、電動モータ62、壁部押出機構70’が配設される。前面壁420と背面壁440には、可動ガードレール400の幅方向Yに移動する後述の当接部材72’が通るための開口穴442,422が形成される。
本実施例による壁部押出機構70’のギア74には、ラック軸72に代えて、当接部材72’が噛合される。当接部材72’は、上述の実施例1のラック軸72と同様、壁部押出機構70’のギア74に噛合する歯面を有する。当接部材72’の端面78は、図9に示すように、定位位置(図1(A)参照)にあるときの可動ガードレール400の中心軸と側壁22の壁面とのなす角度に応じた傾斜を有する。当接部材72’の端面78は、摩擦係数の高い材料から構成又はコーティングされてもよいし、ゴム等により緩衝機能を有していてもよい。当接部材72’は、可動ガードレール40が定位位置まで回動した際、図9に示したように、側壁22に当接(面接触)するように構成される。これを実現するための当接部材72’のストローク量は、壁部押出機構70’のギア比等を調整することで調整することができる。
本実施例においても、上述の実施例1と同様に、可動ガードレール400が定位位置まで回動した際、可動ガードレール400と側壁22の壁面との当接範囲が、当接部材72’が側壁22と当接する分だけ増大されるので、可動ガードレール40の耐荷重を増加させることができる。即ち、本実施例では、可動ガードレール40は、車両11が衝突したときの衝突荷重を、先端部43及び当接部材72’と回転支点29で受けることができる。従って、先端部43と回転支点29で同衝突荷重を受ける構成に比べて、衝突荷重を受ける支点間の距離が短くなるので、可動ガードレール400の耐荷重を増加させることができる。
また、本実施例によれば、上述の実施例1と異なり、可動ガードレールの壁部構造を可動構造にする必要が無いので、可動ガードレール400の壁部構造を簡易化することができる。
尚、本実施例においても、壁部押出機構70’は、電動モータ62の出力軸66に連結されているが、駆動輪60の回転軸に連結されてもよいし、例えば可動ガードレール40の中央付近に設けられる中間輪(従動輪)の回転軸に連結されてもよい。また、本実施例では、可動ガードレール400の回動に連動させて、壁部押出機構70’による当接部材72’の押し出しを実現しているが、モータを別途設けて、壁部押出機構70’による当接部材72’の押し出しを実現してもよい。
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
例えば、本発明は、如何なる形態の分岐路においても適用可能であり、また、IMTSのみならず、通常の車両走行環境においても適用可能である。
また、上述した実施例1、2では、上述の如く、当接壁部44c及び当接部材72’が先端側で可動ガードレール400に対する衝突荷重を受けることできるようになるので、先端部43を側壁21,22に接触しないように構成してもよい。例えば、テーパー型の先端部43を無くし、当接壁部44c又は当接部材72’に、側壁22との接触を検知する接触センサ30を設けてもよい。
また、上述した実施例1では、電動モータ62の回転運動を直線運動に変換して当接壁部44cを回動させているが、電動モータ62の回転運動を直線運動に変換することなく、当接壁部44cを回動させることも可能である。例えば、電動モータ62を、回動支点53付近に配置し、回動支点53を構成するヒンジのピンにギアを設定し、当該ギアを電動モータ62の出力軸66にかさ歯車を介して接続することで、回動支点53自体を回転駆動させてもよい。
また、上述した実施例1、2では、ラック&ピニオン式の機構を用いて電動モータ62の回転運動を直線運動に変換しているが、ボールナット式などの他の形式の機構を用いて電動モータ62の回転運動を直線運動に変換してもよい。
また、上述した実施例1では、当接壁部44cの回動に伴う、ラック軸72の端部と当接壁部44cとの当接壁部44cの壁面方向の相対変位を吸収するために、スライド機構68,69を設定しているが、当接壁部44cの回動量が少なく略直線的な軌跡で回動する場合には、かかるスライド機構を無くすことも可能である。また、スライド壁部44bと後端側壁部44aとの間にスライド機構を設けると共に、先端部43及び当接壁部44cとの間でスライド機構を設けることで、かかるスライド機構を無くすことも可能である。また、スライド機構68,69に代えて、例えばリンクの中央部を底面46に回動可能に支持させ、当該リンクの両端に、ラック軸72の端部と当接壁部44cとをそれぞれ回転可能に連結することで、前記相対変位を吸収することも可能である。
また、上述した実施例2では、側壁22は略平らな壁面を有しているが、側壁22に嵌合穴を形成し、可動ガードレール400が定位位置まで回動した際に、壁部押出機構70’により押し出された当接部材72’の端部を側壁22に嵌合穴に嵌合させることとしてもよい。同様の観点から、側壁22に嵌合突起を形成し、当接部材72’の端面78に嵌合穴を形成し、可動ガードレール400が定位位置まで回動した際に、当接部材72’の端面78の嵌合穴に側壁22側の嵌合突起を嵌合させることとしてもよい。
本発明による可動ガードレールの一実施例が設置された道路分岐部を概略的に示す平面図である。 可動ガードレール40’と進路25とのなす角度αが大きい比較例を示す平面図である。 図1のX部を拡大した概略図である。 図3のA視により可動ガードレール40の壁部構造を示す概略図である。 図3のB視により壁部押出機構70及びそれに関連する構成を示す概略図である。 可動ガードレール40の前面壁42側に当接範囲を増大させる構成が不要な道路分岐部を概略的に示す平面図である。 可動ガードレール40の壁部構造の代替実施例の1つを示す概略図である。 本実施例の可動ガードレール40の制御に関わる制御システム200のシステム構成図である 実施例2による可動ガードレール400の壁部構造、駆動機構及び壁部押出機構70’を概略的に示す断面図である。
符号の説明
21,22 側壁
23 中央壁
28 中央壁の先端部
29 回転支点
40 可動ガードレール
42 前面壁
43 先端部
44 背面壁
44a 後端側壁部
44b スライド壁部
44c 当接壁部
48 上面
46 底面
70 壁部押出機構
72 ラック軸
72’ 当接部材
78 当接部材の端面
100 本線道路
102 到着道路
103 出発道路
400 可動ガードレール

Claims (5)

  1. 側壁を有する道路に設けられ、道路に略垂直な回動軸を後端側に備え、回動することにより車両の通行を選択的に規制又は許容する可動ガードレールであって、
    前記側壁に向けて回動した際に前記側壁に接する当接部を先端側に備え、前記当接部は、当該可動ガードレールに設けられる当接部生成機構の作動により可動して構成され、
    前記当接部は、前記側壁に向けて回動した際の回動方向に対抗する方向の力を前記側壁から受ける態様で、前記側壁に当接することを特徴とする、可動ガードレール。
  2. 前記当接部生成機構は、当該可動ガードレールの壁を前記側壁に向けて突出させる機構である、請求項1に記載の可動ガードレール。
  3. 当該可動ガードレールの壁は、後端側壁部と、後端側壁部に対してスライド可能且つ回動可能に支持されたスライド壁部と、スライド壁部の前端側に対して回動可能に支持された当接壁部であって、前記当接部を構成する当接壁部とを含み、
    前記当接部生成機構は、前記スライド壁部又は前記当接壁部を、前記側壁に向けて押し出す機構である、請求項2に記載の可動ガードレール。
  4. 前記当接部生成機構は、当該可動ガードレールに設けられた可動な当接部材であって、前記当接部を構成する当接部材を前記側壁に向けて押し出す機構である、請求項1に記載の可動ガードレール。
  5. 前記当接部生成機構は、当該可動ガードレールの回動に連動して作動する、請求項1〜4のいずれかに記載の可動ガードレール。
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