JP4779192B2 - 溶出制御された製剤用粒子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、薬剤の溶出が制御された製剤用粒子に関する。
【0002】
【従来の技術】
優れた抗生剤として知られているクラリスロマイシンなどの、健常人の胃のpHで溶解性が高い薬剤は、胃での溶解が速く、即効性に優れている薬剤である。しかし、無酸症患者などは胃中の酸が弱く、溶出が不十分になるため、それらの薬剤の効果が不十分になることがあった。
【0003】
一方、酸に不安定な薬剤は、経口投与すると胃中の酸で分解され効果が不十分になることから、投与の容易な経口剤とすることが困難であり、注射剤などの投与がしにくい剤形になることが多かった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、健常人の胃のpHでの溶解度が高い薬剤または健常人の胃のpHで不安定な薬剤を、全ての患者に安定した効果が出せ、また投与が容易な経口剤として提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、経口投与した薬剤が胃の酸性領域で溶出せず、腸の中性付近で溶出させることができれば、無酸症患者においても安定した薬剤効果が得られ、また、酸に不安定な薬剤を経口剤とすることができるものと考え種々検討した結果、ある種の製剤にすることにより、薬剤の溶出制御が可能であることを見出し本発明を完成した。
【0006】
すなわち本発明は
(A)健常人の胃のpHでの溶解度が高い薬剤または健常人の胃のpHで不安定な薬剤
(B)グリセリン脂肪酸エステル、ステアリルアルコール、ステアリン酸、マクロゴール類、パラフィンおよびショ糖脂肪酸エステルからなる群から選ばれる1種または2種以上
(C)アクリル酸系重合体
を噴霧凝固造粒することにより得られる製剤用粒子である。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明において健常人の胃のpHでの溶解度が高い薬剤とは、経口投与したときに主に胃で溶解する薬剤であり、本発明において、特に好ましい薬剤としてクラリスロマイシンをあげることができる。また、本発明において健常人の胃のpHで不安定な薬剤とは、一般的な製剤で経口投与すると胃のpHで分解し薬効が不十分になってしまう薬剤のことである。
【0008】
本発明の(B)成分としてはグリセリン脂肪酸エステルが特に好ましい。ここで、グリセリン脂肪酸エステルとは、グリセリンと脂肪酸がエステル結合しているものである。グリセリン脂肪酸エステルの代表的なものとしてモノグリセリドまたはトリグリセリドがあげられる。
【0009】
モノグリセリドのみで製造した製剤は、酸性で薬物を速やかに溶出させ、トリグリセリドのみで製造した製剤は薬物の溶出を抑制することから、それらの配合量を組み合わせることにより、様々な性質の製剤とすることができる。また、モノグリセリドのみで製造した製剤用粒子と、本発明の製剤用粒子を別顆粒で製造し合わせることにより、胃で溶解する即効性と、腸で溶解する確実性の両面を併せ持つ製剤を得ることも可能である。
【0010】
グリセリン脂肪酸エステルのエステルを構成する脂肪酸はベヘン酸、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸などが好ましい。
【0011】
本発明の(C)成分としては、カルボキシビニルポリマーが好ましく、それらの中でも、分子量20万〜600万のものが特に好ましい。
【0012】
本発明において、(A)成分1質量部に対する、(B)成分の配合量は0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がさらに好ましく、2質量部以上がよりさらに好ましい。
【0013】
0.5質量部未満であると、溶出制御が不十分であるのみならず、分散液の粘度が高くなり製造時の作業が困難となるからである。
【0014】
本発明において、(C)成分の配合量は、(B)成分1質量部に対し、0.0001〜0.25質量部が好ましく、0.001〜0.2質量部がさらに好ましく、0.01〜0.18質量部がよりさらに好ましい。
【0015】
本発明において、(A)成分の配合量は製剤用粒子全体の60質量%以下が好ましく、45質量%以下がさらに好ましく、30質量%以下がよりさらに好ましい。ここで、(A)成分の配合量が少ない方が溶出制御が容易になるが、少なすぎると薬効を生じさせるには大量の服用が必要になるため、それらのバランスを考慮して(A)成分の配合量は決定される。
【0016】
本発明の製剤用粒子には、本発明の効果を損なわない量的・質的範囲で、一般の経口製剤製造に用いられる添加剤を適宜使用することができる。
【0017】
本発明の製剤用粒子は、溶出制御がはかれ、微細で、生物学的利用能に優れた製剤用粒子を得るために噴霧凝固造粒で製造される必要がある。
【0018】
ここで、噴霧凝固造粒とは、一般に溶融造粒と呼ばれている造粒法の一つに分類され、液体あるいは懸濁液を噴霧して生ずる液滴を冷却させて球状又は粒状の固形粒子を得る方法である。この方法は、有機溶剤を使用しない点に特徴があり、また溶融造粒法の代表例である噴霧乾燥とは冷却する点で異なる。
【0019】
本発明の製剤用粒子は、通常以下のようにして製造される。まず、融点以上に加温溶融した(B)成分に(A)成分を分散させ、一般的な噴霧条件で噴霧凝固造粒することにより、本発明の製剤を得ることができる。
【0020】
噴霧凝固造粒で製造する場合、製造成分中の懸濁物は粒子径が大きいと噴霧時、配管に詰まってしまうことや、製造した製剤用粒子中に成分が均一に分散しなくなることから、加温懸濁成分中の粒子の粒子径は通常20μm以下、好ましくは10μm以下が好ましい。このため、加温して溶融しない固形物または、加温溶融した噴霧凝固造粒用担体に溶解しないものは、粉砕を行い粒子径を細かくする必要がある。この点から添加剤を加える場合には本発明の(B)成分に容易に溶解する腸溶性基剤、可塑剤などが操作性及び均一性の点から最も好ましい。
【0021】
このようにして得られた製剤用粒子は、そのままあるいは必要に応じて添加剤、例えば賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、抗酸化剤、コーティング剤、着色剤、矯味矯臭剤、界面活性剤、可塑剤などを加えて、通常の製剤化工程を経ることにより散剤、顆粒剤、カプセル剤、錠剤、ドライシロップ剤などの経口用固形製剤とすることができる。
【0022】
【発明の効果】
本発明により、溶出制御能に優れ、かつ、良好な生物学的利用能を有する徐放製剤用粒子を提供することが可能となった。また、本発明により、生物学的利用能(BA)をコントロールすることが可能であり、さらに、無酸症の患者においてもクラリスロマイシンをはじめとする胃で溶解しやすい薬剤の優れた効果を得ることが可能になった。
【0023】
【実施例】
以下、実施例および試験例により、本発明をさらに詳細に説明する。なお、使用したグリセリン脂肪酸エステルは、モノグリセリン脂肪酸エステルについてはステアリン酸を主脂肪酸とし、モノグリセリド含量が90%以上のもの(サンソフト8000:商品名)であり、トリグリセリン脂肪酸エステルについては、ラブリワックス101(商品名)を用いた。また、スプレードライ装置はCL-12型(大河原工機(株))を用いた。
【0024】
実施例1
トリグリセリン脂肪酸エステル400gを、約100℃で溶融させ、その中にカルボキシビニルポリマー(カーボポール971P:商品名)100gを分散させた。その混合液に、さらにクラリスロマイシン100gを分散させた。この分散液を、スプレードライ装置を用いて、入口温度100℃、回転ディスク20000rpmの条件で噴霧凝固造粒し、製剤用粒子を得た。、
【0025】
実施例2
ステアリルアルコール650gを、約90℃で溶融させ、その中にカルボキシビニルポリマー(カーボポール971P:商品名)50gを分散させた。その混合液に、さらにクラリスロマイシン300gを分散させた。この分散液を、スプレードライ装置を用いて、入口温度90℃、回転ディスク10000rpmの条件で噴霧凝固造粒し、製剤用粒子を得た。
【0026】
実施例3
モノグリセリン脂肪酸エステル100gを、約120℃で溶融させ、その中にオイドラギットE100(商品名)30gを分散溶解させた。そこに約120℃で溶融させた硬化油320gにカルボキシビニルポリマー30gを添加した溶液およびクラリスロマイシン200gを分散させた。
【0027】
得られた分散液を、スプレードライ装置を用いて、入口温度120℃、回転ディスク12000rpmの条件で噴霧凝固造粒し、製剤用粒子を得た。
【0028】
比較例1
モノグリセリン脂肪酸エステル400gを、約100℃で溶融させ、その中にクラリスロマイシン100gを分散させた。この分散液を、スプレードライ装置を用いて、入口温度80℃、回転ディスク20000rpmの条件で噴霧凝固造粒し、製剤用粒子を得た。
【0029】
比較例2
トリグリセリン脂肪酸エステル400gを、約100℃で溶融させ、その中にクラリスロマイシン100gを分散させた。この分散液を、スプレードライ装置を用いて、入口温度100℃、回転ディスク20000rpmの条件で噴霧凝固造粒し、製剤用粒子を得た。
【0030】
試験例1
実施例1および比較例で製造された製剤用粒子を第13改正日本薬局方規定の溶出試験にかけた。pH4.0および6.8の緩衝液を溶出媒体とした。
【0031】
試験開始60分後の溶出率の結果を表1に、また、経時的溶出率の推移の結果を、実施例1は図1、比較例1は図2、比較例2は図3にそれぞれ示した。
【0032】
【表1】
結果から明らかなように、本発明の製剤用粒子は、酸性領域では溶出が抑制され、中性付近で溶出することがわかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1の溶出率を経時的に示した図であり、横軸に時間、縦軸に溶出率を示した。
【図2】 比較例1の溶出率を経時的に示した図であり、横軸に時間、縦軸に溶出率を示した。
【図3】 比較例2の溶出率を経時的に示した図であり、横軸に時間、縦軸に溶出率を示した。
Claims (2)
- (A)クラリスロマイシン、(B)トリグリセリン脂肪酸エステル、および(C)カルボキシビニルポリマーを噴霧凝固造粒することにより得られる第13改正日本薬局方規定の溶出試験において、試験開始60分後のクラリスロマイシンの溶出率がpH4.0の緩衝液で21.2%、pH6.8の緩衝液で100%であることを特徴とする製剤用粒子。
- トリグリセリン脂肪酸エステルおよびカルボキシビニルポリマーを配合し、噴霧凝固造粒することを特徴とするクラリスロマイシンの溶出を第13改正日本薬局方規定の溶出試験において、試験開始60分後の溶出率がpH4.0の緩衝液で21.2%、pH6.8の緩衝液で100%となるように制御する方法。
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