JP4776629B2 - グリコール酸の酵素的製造 - Google Patents
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Description
a)グリコロニトリルを適切な水性反応混合物中でニトリラーゼ活性を有するポリペプチドを含む酵素触媒と接触させるステップであって、前記ポリペプチドが、
(1)アミノ酸残基168でのリシン、メチオニン、トレオニン、またはバリンによる置換、および
(2)アミノ酸残基201でのグルタミン、グリシン、ヒスチジン、リシン、アスパラギン、セリン、アラニン、システイン、またはトレオニンによる置換と
からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換された配列番号6のアミノ酸配列を有し、それによってグリコール酸が製造されるステップと、
(b)塩または酸の形で(a)において製造されるグリコール酸を回収するステップを含み、前記酵素触媒が、同一の反応条件下でグリコロニトリルをグリコール酸に変換させる場合、アシドボラックス・ファシリス(Acidovorax facilis)72Wニトリラーゼのニトリラーゼ活性に対してニトリラーゼ活性の少なくとも1.5倍の増加を提供することを特長とするグリコロニトリルからグリコール酸を製造する方法が提供される。
a)アミノ酸残基168でのメチオニン、またはトレオニンによる置換、および
b)アミノ酸残基201でのグルタミン、グリシン、ヒスチジン、リシン、アスパラギン、セリン、アラニン、システイン、またはトレオニンによる置換
からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換による配列番号6のアミノ酸配列を有し、前記ポリペプチドが、同一の反応条件下でグリコロニトリルをグリコール酸に変換させる場合、アシドボラックス・ファシリス(Acidovorax facilis)72Wニトリラーゼのニトリラーゼ活性に対してニトリラーゼ活性の少なくとも1.5倍の増加を提供する核酸分子が提供される。
a)アミノ酸残基168でのメチオニン、またはトレオニンによる置換、および
b)アミノ酸残基201でのグルタミン、グリシン、ヒスチジン、リシン、アスパラギン、セリン、アラニン、システイン、またはトレオニンによる置換
からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換による配列番号6のアミノ酸配列を有し、前記ポリペプチドが、同一の反応条件下でグリコロニトリルをグリコール酸に変換させる場合、アシドボラックス・ファシリス(Acidovorax facilis)72Wニトリラーゼのニトリラーゼ活性に対してニトリラーゼ活性の少なくとも1.5倍の増加を提供する単離ポリペプチドが提供される。
以下の配列の説明および本明細書に添付された配列表は、37C.F.R.§1.821〜1.825に記載された特許出願におけるヌクレオチドおよび/またはアミノ酸配列の開示を規定する規則に従うものである。配列の説明は、参照により本明細書で援用される、(非特許文献5)および(非特許文献6)に記載されたIUPAC−IYUB標準に従って定義されたヌクレオチド配列の特徴を表す1文字表記およびアミノ酸を表す3文字表記を含む。ヌクレオチドおよびアミノ酸配列データに使用される記号および書式は、37C.F.R.§1.822に記載された規則に従うものである。
上記の課題は、改善されたニトリラーゼ活性を有するアシドボラックス・ファシリス(Acidovorax facilis))72Wニトリラーゼ変異を使用する高収量および高濃度で対応するグリコロニトリルからグリコール酸を調製する方法を提供することによって解決されている。上記課題を解決する方法としては、1)グリコロニトリルのグリコール酸への変換のための改善されたニトリラーゼ活性および/または改善された触媒生産性を有するアシドボラックス・ファシリス(Acidovorax facilis))72Wニトリラーゼ変異の使用、および2)グリコロニトリルのグリコール酸への変換のための反応条件下で触媒安定性および/または生産性を改善する方法が挙げられる。グリコロニトリルのグリコール酸への変換のための反応条件下で触媒安定性/生産性を改善する方法としては、1)酵素触媒活性を安定化する添加剤の使用、2)実質的に酸素を含まない条件下の反応の実行、および3)グリコロニトリルの標的濃度が維持されるように反応混合物へのグリコロニトリルの供給速度の制御が挙げられる。
本開示において、多くの用語および略語が使用される。以下の定義が、別段の規定がない限り適用される。
A.ファシリス(facilis)72Wニトリラーゼ(EC3.5.5.1)は脂肪族または芳香族ニトリルからカルボン酸を製造するための強固な触媒である((特許文献26)、米国特許公報(特許文献25)、およびチャーハン(Chauhan)ら、上記)。これはα−ヒドロキシニトリル(すなわち、グリコロニトリル)のα−ヒドロキシカルボン酸(すなわち、グリコール酸)の変換を触媒することも証明されている(米国特許公報(特許文献28)および米国特許公報(特許文献27)を参照);参照により全体として本明細書で援用される。
A.ファシリス(facilis)72Wニトリラーゼ由来のいくつかの変異ニトリラーゼは以前に報告されている(米国特許公報(特許文献29)、参照により本明細書で援用される)。米国特許公報(特許文献29)において、さまざまな変異ニトリラーゼが選択され、3−ヒドロキシニトリルを3−ヒドロキシ酸(すなわち、3−ヒドロキシブチロニトリルおよび3−ヒドロキシバレロニトリル)に変換するためのニトリラーゼ活性における相対的改善(組換え発現された天然72Wニトリラーゼの活性に対して)についてスクリーニングした。
a)アミノ酸位置168でのリシン、メチオニン、トレオニン、またはバリンの置換、および
b)アミノ酸位置201でのグルタミン、グリシン、ヒスチジン、リシン、アスパラギン、セリン、アラニン、システイン、またはトレオニンの置換
からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換で配列番号6のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列含んで成り、前記ポリペプチドは、グリコロニトリルをグリコール酸に変換させる場合ニトリラーゼ活性の少なくとも1.5倍の改善を示す。
a)アミノ酸残基168でのメチオニン、またはトレオニンによる置換、および
b)アミノ酸残基201でのグルタミン、グリシン、ヒスチジン、リシン、アスパラギン、セリン、アラニン、システイン、またはトレオニンによる置換
からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を伴う配列番号6のアミノ酸配列を有し、前記ポリペプチドが、同一の反応条件下でグリコロニトリルをグリコール酸に変換させる場合、アシドボラックス・ファシリス(Acidovorax facilis)72Wニトリラーゼのニトリラーゼ活性に対してニトリラーゼ活性の少なくとも1.5倍の増加を提供する。
a)アミノ酸残基168でのメチオニン、またはトレオニンによる置換、および
b)アミノ酸残基201でのグルタミン、グリシン、ヒスチジン、リシン、アスパラギン、セリン、アラニン、システイン、またはトレオニンによる置換
からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を伴う配列番号6のアミノ酸配列を有し、前記ポリペプチドが、同一の反応条件下でグリコロニトリルをグリコール酸に変換させる場合、アシドボラックス・ファシリス(Acidovorax facilis)72Wニトリラーゼのニトリラーゼ活性に対してニトリラーゼ活性の少なくとも1.5倍の増加を提供する。
1.拡張フォーマット:野生型アミノ酸は(標準3文字略号を使用して)配列番号6内の対応するアミノ酸残基位置の後、同一の残基位置での変異内に存在する新しいアミノ酸ととともに提供される。例えば、「Phe168からLys」または「Phe168→Lys」により、フェニルアラニンが突然変異の結果としてリシンに変化したアミノ酸残基位置168での配列番号6における突然変異が記載される。
2.短略フォーマット:野生型アミノ酸(標準単一文字略号によって表示)には配列番号6のアミノ酸残基位置が続いた後、変異アミノ酸(やはり標準単一文字略号によって表示)が続く。例えば、「F168K」により、フェニルアラニンが突然変異の結果としてリシンに変化したアミノ酸残基位置168での配列番号6における突然変異が記載される。
加水分解反応は、グリコロニトリルを含む水性反応混合物と酵素触媒を接触させることによって行われた。全組換え微生物細胞(本変異ニトリラーゼを発現する)を前処理なしに酵素触媒として使用することができる。微生物細胞触媒は反応混合物に直接添加され、または中空繊維膜カートリッジもしくは限外ろ過膜を使用してバルク反応混合物から別々に維持されうる。あるいは、微生物細胞はポリマーマトリックス(例えば、カラゲナンまたはポリアクリルアミドゲル(PAG)粒子)または不溶性固体支持体(例えば、セリット)に固定化され、酵素触媒の回収および再利用を促進する(米国特許公報(特許文献25))。精製酵素または部分的精製酵素も全細胞から単離し、触媒として直接使用することができ、または触媒は、ポリマーマトリックスもしくは不溶性支持体に固定化されうる。細胞の固定化または単離酵素のための方法は広く報告されており、当業者に公知である(非特許文献12)。A.ファシリス(facilis)72Wニトリラーゼ触媒の固定化は以前に報告されている(米国特許公報(特許文献25))。
本ニトリラーゼ変異は、異種宿主細胞、好ましくは、微生物宿主において製造されうる。本発明において特に有用となるのは、大規模な発酵方法に容易に適合される細胞である。かかる微生物は工業的バイオプロセスの当技術分野で公知であり、その例は、(非特許文献13)において確認することができ、発酵性細菌のほか酵母および糸状菌を含む。宿主細胞としては、コマモナス(Comamonas)種、コリネバクテリウム(Corynebacterium)種、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)種、ロドコッカス(Rhodococcus)種、アゾトバクター(Azotobacter)種、シトロバクター(Citrobacter)種、エンテロバクター(Enterobacter)種、クロストリジウム(Clostridium)種、クレブシエラ(Klebsiella)種、サルモネラ(Salmonella)種、ラクトバチルス(Lactobacillus)種、アスペルギルス(Aspergillus)種、サッカロミセス(Saccharomyces)種、チゴサッカロミセス(Zygosaccharomyces)種、ピチア(Pichia)種、クルイベロミセス(Kluyveromyces)種、カンジダ(Candida)種、ハンセニュウラ(Hansenula)種、デュナリエラ(Dunaliella)種、デバリオミセス(Debaryomyces)種、ケカビ(Mucor)種、トルロプシス(Torulopsis)種、メチロバクテリア(Methylobacteria)種、バチルス(Bacillus)種、エシェリキア(Escherichia)種、シュードモナス(Pseudomonas)種、リゾビウム(Rhizobium)種、およびストレプトミセス(Streptomyces)種が挙げられるが、これらに限定されない。特に好ましいのは、大腸菌(E.coli)である。変異ニトリラーゼ遺伝子が発現されうる適切な大腸菌(E.coli)宿主細胞の例としては、本明細書に規定されている宿主細胞、およびMG1655(ATCC47076)、FM5(ATCC53911)、W3110(ATCC27325)、MC4100(ATCC35695)、W1485(ATCC12435)、およびその誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。別の態様において、好ましい大腸菌(E.coli)宿主株は、MG1655(ATCC47076)またはFM5(ATCC53911)である。
本変異ニトリラーゼを突然変異誘発によって製造した。本ヌクレオチドを使用し、さらに強化または変化した活性を有する遺伝子産物を製造しうることが考えられる。1)ランダム突然変異誘発、2)ドメインスワッピング(ジンクフィンガードメインまたは制限酵素を使用)、3)変異性PCR(非特許文献14)、4)部位特異的突然変異誘発(非特許文献15)、および5)「遺伝子シャフリング」(参照により本明細書で援用される、米国特許公報(特許文献35)、米国特許公報(特許文献36)、米国特許公報(特許文献37)、および米国特許公報(特許文献38)を含むが、これらに限定されない活性の変化および強化を有する遺伝子産物を製造する天然遺伝子配列を変異させるためのさまざまな方法が周知である。
グリコロニトリルはホルムアルデヒドをシアン化水素と反応させることによって合成されうる(米国特許公報(特許文献39)、米国特許公報(特許文献40)、米国特許公報(特許文献41)、および米国特許公報(特許文献42))。反応物質の純度およびグリコロニトリルを製造するために使用される反応条件によって、さまざまな不純物が最終生成物に存在しうる。これらの不純物は、グリコロニトリルをグリコール酸に変換する効率を阻害しうる。1つの実施形態において、グリコロニトリル水溶液は、酵素的にグリコール酸に変換される前に望ましくない不純物を除去するために処理されうる。
ニトリラーゼ安定性を増大させる別の方法は、水性反応混合物におけるグリコロニトリルの最大濃度の制御である。以前に記載された通り、グリコロニトリルは極性溶媒で分解し、ホルムアルデヒドおよびシアン化水素を放出する。反応混合物におけるホルムアルデヒドは酵素触媒と反応し、早すぎる不活性化、および触媒生産性の減少をもたらす。溶液中のグリコロニトリルの濃度の制御は、触媒安定性および触媒の生産性(触媒のグラム当りで製造されるグリコール酸のグラム)を増大させうる。実施例12−15に示されているように(表9)、アシドボラックス・ファシリス(Acidovorax facilis)72W由来のニトリラーゼ触媒は、わずか3つのリサイクル反応後に3Mグリコロニトリルを含有する反応におけるその活性を迅速に喪失する。濃度を1Mに減少させ、および/または1M増分で3Mグリコロニトリルの段階的な添加(以前のグリコロニトリルの添加がグリコール酸アンモニウムに変換された後添加される)は、触媒生産性を大幅に増加させる(表9)。1つの実施形態において、グリコロニトリルの水性反応混合物への段階的な添加(アリコート)が触媒の生産性を増加させる。別の実施形態において、グリコロニトリルは段階的に水性反応混合物に添加され、グリコロニトリルの総濃度は反応中に約1M以下のままである。
本発明のニトリラーゼ触媒を使用する反応は一般的に約5〜約10、好ましくは、5.5〜約8、より好ましくは、約5.5〜約7.7、かつ最も好ましくは、約6〜約7.7のpHで実行される。
グリコール酸の生成を分析するために適切な分析方法は当該技術分野で公知であり、HPLC、CE、GC、およびMSを含むが、これらに限定されない。例えば、HPLC分析を使用し、屈折率検出器およびBio−Rad HPX−87Hカラム(30cm×直径7.8mm)および50℃下に移動相として1.0mL/分(等張)で0.01N硫酸を使用してグリコール酸生産量を測定した。HPLC方法は基質(グリコロニトリル)および生成物(グリコール酸)の両方の定量化に適切であった。
本変異ニトリラーゼ遺伝子を使用する本ニトリラーゼの商業的製造が望ましい場合、さまざまな培養方法が使用されうる。一連の発酵は、バッチ、フェドバッチ、または連続的様式、当技術分野で公知の方法で実行されうる((非特許文献20)、(非特許文献21))。
対応するアンモニウム塩から有機酸を回収および/または得る方法は当該技術分野で周知である。グリコール酸アンモニウムを含む水溶液からグリコール酸を回収および/または得る方法としては、イオン交換(陰イオンおよび/または陽イオン)、電気透析、反応性溶媒抽出、熱分解、アルコール分解(エステル化の後、グリコール酸エステルのグリコール酸への加水分解)、およびそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
陽イオン交換は、溶解イオン種が化学量論的に固体によって吸収される可逆性の方法である。陽イオン交換は当技術分野で公知である。本方法において、グリコール酸アンモニウムは陽イオン交換樹脂に供給されるが、そこでアンモニウムイオンは陽子と交換され、グリコール酸を形成する(実施例28を参照)。グリコール酸はカラムを通過し、収集される。
陰イオン交換も当技術分野で公知である。陰イオン交換は、弱陰イオン樹脂が使用されることを除き陽イオン交換と同様である((非特許文献22)を参照)。前と同様、樹脂の選択は供給濃度に影響を及ぼしうるが、これは約0.02wt%〜約90wt%グリコール酸アンモニウム、好ましくは、約0.02wt%〜約40wt%でありうる。樹脂の再生では一般的に弱酸が使用される。
カルボン酸を単離するために使用されている1つの方法が反応性抽出である。この方法は、乳酸アンモニウムから乳酸を抽出するために有用であることが報告されている((非特許文献23))。反応性抽出は、水相で酸と複合体を形成する反応性有機溶媒(すなわち、アミン)の使用を含む。この方法における第1のステップは一般的に所望の酸の塩を含有する水溶液の酸性化を含む。次いで、酸性化水溶液は、一般的に反応性第3アミンおよび1つまたは複数の希釈剤からなる有機溶媒と接触する。反応性アミン(一般的に、Alamine(登録商標)336、コグニス社(Cognis Corp)、オハイオ州シンシナティ(Cincinnati、OH)など第3C8−C10トリアルキルアミン)は、有機相で優先的に可溶性である酸/アミン錯体を形成するカルボン酸と反応する((非特許文献24)、(非特許文献25))。第3アルキルアミンの使用は一般的に、通常の溶媒抽出物で得られるであろうものより高い分配係数を提供する。次いで、逆抽出を使用し、有機相から酸を回収する。
a)第1の相を提供するステップであって、前記第1の相が、
i)前記第1の相の約30体積パーセント〜約99体積パーセントが、式
ii)前記第1の相の約1体積パーセント〜約70体積パーセントが、メチルイソブチルケトン、1−オクタノール、1−デカノール、塩化メチレン、1−クロロブタン、クロロベンゼン、クロロホルム、ケロシン、トルエン、混合キシレン、トリブチルリン酸、およびそれの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの希釈剤である
を含む水不混和有機混合物であるステップと、
b)第2の相を提供するステップであって、前記第2の相が、約3以下のpHを有するグリコール酸を含む水溶液であり、前記第2の相が、
i)グリコール酸アンモニウムの水溶液を提供する方法であって、前記グリコール酸アンモニウムの水溶液が約5重量%〜約40重量%の濃度のグリコール酸アンモニウムを有する方法と、
ii)(b)(i)のグリコール酸アンモニウム水溶液のpHを約3以下に低下させるのに十分な量の鉱酸を添加し、それによってグリコール酸を含む水溶液が形成される方法と
によって形成されるステップと、
c)前記第1の相を反応性抽出方法で前記第2の相と接触させ、それによってグリコール酸充填第1の相を形成するステップと、
d)前記グリコール酸充填第1の相を単離するステップと、
e)前記グリコール酸充填第1の相を逆抽出方法で第3の相と接触させ、それによってグリコール酸充填第1の相のグリコール酸が前記第3の相へ抽出されるステップであって、前記第3の相が前記グリコール酸充填第1の相で非混合性であるステップと、
f)前記第3の相からグリコール酸を回収するステップと
を含む。
グリコール酸アンモニウムをアルコールと反応させ、対応するグリコール酸エステルを形成することができる。エステル結合の加水分解によってグリコール酸エステルをグリコール酸および対応するアルコールへ変換させることができる。加水分解は化学的または酵素的に(すなわち、エステラーゼ、プロテアーゼ等の使用)達成されうる。カルボン酸エステルを加水分解する方法は当該技術分野で公知である(参照により本明細書で援用される、(非特許文献28)、および米国特許公報(特許文献44)を参照)。
(a)(i)グリコール酸アンモニウムを含む水溶液と、
(ii)式
R2−OH
[式中、R2はC1〜C4直鎖または分岐アルキル基である。]を有するアルコールを含む加熱アルコール蒸気供給流れと、
(iii)反応管と、を提供するステップと、
(b)グリコール酸アンモニウムを含む前記水溶液を前記反応管における前記加熱アルコール蒸気供給流れと接触させ、それによってグリコール酸エステルを含む第1の蒸気生成物流れが生成されるステップと、
(c)前記第1の蒸気生成物流れからグリコール酸エステルを回収するステップと、
を含むグリコール酸アンモニウムを含む水溶液からグリコール酸を得る方法を提供している。
双極膜による電気透析(EDBM)が対応するアンモニウム塩からの有機酸の回収に提案されている。EDBMを作動するために、溶液は導電性でなければならない。弱酸のアンモニウム塩のために、EDBMの生成物(有機酸および水酸化アンモニウム)はきわめて弱い導体であり、結果として溶液の高い抵抗および低い生産速度が生じる。これを弱めるために、導電性塩(すなわち、塩化アンモニウム)が塩基ループ(水酸化アンモニウム流れ)に添加される。塩基濃度が増加するとともに、アンモニアは溶液から除去され、アンモニウム塩はリサイクルされ、導電性を維持しうる。
ヒドロキシル基からなるカルボン酸のアンモニウム塩は、凝縮重合を受け、二量体、オリゴマー、およびポリマーを形成すると同時に、アンモニアを遊離しうる。結果として生じるポリマーは、任意の数の周知の方法を使用する反応混合物から分離されうる。反応混合物から分離されると、脱重合を使用して遊離酸を得ることができる。
熱分解(「塩クラッキング」)を使用し、グリコール酸を含む生成物を得ることができる(参照により全体として本明細書で援用される同時係属の(特許文献31)を参照)。本方法は、実質的に無水グリコール酸アンモニウム塩を熱分解する前に1つまたは複数の化学薬品の添加を必要としない。熱塩クラッキングは、1つまたは複数の本回収方法と結合し、さらにグリコール酸を単離することができる。
細菌培養の維持および増殖に適切な材料および方法は当技術分野で公知である。以下の実施例における使用に適切な方法は、Manual of Methods for General Bacteriology(1994年)フィリップ・ゲルハルト(Phillipp Gerhardt)、R.G.E.マリー(Murray)、ラルフ(Ralph)N.コスティロウ(Costilow)、ユージン(Eugene)W.ネスター(Nester)、ウィリス(Willis)A.ウッド(Wood)、ノエル(Noel) R.クリーク(Krieg)、およびG.ブリッグス フィリップス(Briggs Phillips)編、米国微生物学会(American Society for Microbiology)、Washington,DC.)または(非特許文献29)における記載で確認されうる。
(高複製ニトリラーゼ発現プラスミドの構成)
合成オリゴヌクレオチドプライマー165(5’−CGACTGCAGTAAGGAGGAATAGGACATGGTTTCGTATAACAGCAAGTTC−3’、配列番号1)および
166(5’−TGATCTAGAGCTTGGAGAATAAAGGGGAAGACCAGAGATG−3’、配列番号2)
(これらは、それぞれ、PstlおよびXbal制限部位(下線)を組込む)を使用し、A.ファシリス(facilis)72W(ATCC55746)ゲノムDNA(配列番号5)からのニトリラーゼ遺伝子をPCR増幅した。
ステップ1:95℃で5分
ステップ2:95℃で0.5分(変性)
ステップ3:55℃で0.5分(アニーリング)
ステップ4:74℃で1分(伸長)
ステップ2−4は25サイクル反復される
(大腸菌(E.coli)における活性ニトルラーゼの発現)
プラスミドpSW138を使用し、大腸菌(E.coli)MG1655(ATCC47076)および大腸菌(E.coli)FM5(ATCC53911)を変換し、それぞれ、(1)MG1655/pSW138および(2)FM5/pSW138で識別された2つの株を生成した。各々の株を以下に記載した通り、ニトリラーゼ活性(グリコロニトリルのグリコール酸への変換)のために増殖、誘発、および分析した。6つの複製を各々の株について実行する。
1.細菌増殖
株接種材料をアンピシリン(50mg/L)を補充したLB培地で37℃下、振盪させて(200rpm)16−18時間、増殖させた。
2.ニトリラーゼ発現の誘導
十分な接種材料をアンピシリン(50mg/L)およびIPTG(1mM)を補充した新鮮LB培地に添加し、およそ0.1の初期OD(600nm)を得た。培養物を37℃下、振盪させて(200rpm)およそ6−8時間インキュベートした。
3.細菌回収
細菌細胞を遠心分離によって回収し、できる限り多くの液体を除去し、細胞ペレットを−70℃下に凍結した。
4.ニトリラーゼ活性のアッセイ
マイクロ攪拌バーを備えた温度調節された(25℃)20mLガラス製シンチレーションバイアルへ基質溶液(0.667Mグリコロニトリル、TCI)3.0mLおよび細胞懸濁液(100mMピロリン酸ナトリウムpH6.0中400mg湿細胞重量/mL、0.1μg/mL DNAse)1.0mLを添加した。最終グリコロニトリル濃度は500mMであり、最終細胞濃度は100mg/mLであった。試料(100μL)を5、10、15、30、45、および60分の時点で除去し、アッセイ混合物(脱イオン水100μL、6.0N HCl 3μL、200mM n−プロパノール200μL)に添加した後、ボルテックスし、遠心分離した。結果として生じる上清をHPLC(HPX 87Hカラム、30cm×7.8mm、0.01N H2SO4移動相、50℃で1.0mL/分の流れ、10μL注入体積、20分分析時間)によってグリコロニトリル(GLN)およびグリコール酸(GLA)について分析した。乾燥細胞重量(dcw)をマイクロ波乾燥によって複製サンプルで測定した。ニトリラーゼ活性をU/g dcwとして報告したが、ここで1単位(U)は25℃下1分での1μmolのGLNをGLAへ変換する(表2)。
(変異性ポリメラーゼ連鎖反応によるA.ファシリス(facilis)72Wニトリラーゼランダム突然変異誘発ライブラリの構成)
Puregene(登録商標)DNA単離キットをメーカーの指示(ジーントラ・システムズ(Gentra Systems)、ミネソタ州ミネアポリス(Minneapolis,MN)に従って使用することによりA.ファシリス(facilis)72W(ATCC55746)からゲノムDNAを調製した。GeneMorph(登録商標)PCR突然変異誘発キット(ストラタジーン(Stratagene)、カリフォルニア州ラホーヤ(La Jolla,CA))により供給された指示に従って配列番号3(5’−GCGCATATG GTTTCGTATAACAGCAAGTTCC3’)および配列番号4(5’−ATAGGATCCTTATGGCTACTTTGCTGGGACCG−3’)として識別されたプライマーを使用することにより、A.ファシリス(facilis)72Wニトリラーゼ遺伝子(コード配列、配列番号5)で変異性PCRを実行した。低い突然変異頻度(0−3突然変異/kb)および中間の突然変異頻度(3−7突然変異/kb)を誘発するために推奨される反応条件を使用した。10パーセントの1.1kb PCR生成物をpTrcHis2 TOPO(登録商標)TA発現キット(インビトロジェン(Invitrogen)、カリフォルニア州カールスバッド(CA,Carlsbad))により供給された指示に従って発現ベクターpTrcHis2 TOPO(登録商標)へライゲートした。ライゲーション混合物の半分を供給元の勧告(インビトロジェン(Invitrogen)に従って大腸菌(E.coli)TOP10ヘ形質転換した。1パーセントの形質転換混合物を50mg/Lアンピシリンで補充したLBプレートへプレーティングした。結果として生じる形質転換体は合計200−400コロニーとなり、生成された総PCR生成物が、改善された酵素活性をスクリーニングにするのに必要な十分すぎる400,000−800,000コロニーをもたらすことが可能であることを示した。突然変異の頻度はクローンのランダム選択試料のヌクレオチド配列解析によって確認された。配列解析では、およそ50%の挿入が、予想通り順方向の配向にあったことも確認された。SDS−PAGE分析では、順方向の配向の挿入を有する本質的にすべてのクローンが、勧告通り(インビトロジェン(Invitrogen))増殖および誘発されると、約41kDaのニトリラーゼタンパク質を発現することが確認された。
(ニトリラーゼ活性の増大に対するA.ファシリス(facilis)72Wニトリラーゼランダム突然変異誘発ライブラリのスクリーニング)
低い突然変異頻度の変異性PCRライブラリ(実施例3に記載された通り構成)からおよそ10,000コロニーを50mg/Lアンピシリンを補充したLB寒天上にプレーティングした。高い処理量のスクリーニングをロボットを使用する96ウェルマイクロタイタープレートにおいて実行した。37℃下、200rpm振盪で18時間、50mg/Lアンピシリンおよび1mM IPTG(イソプロピル−β−D−チオガラクトピラニシド)を補充した液体LB中で個々のコロニーの増殖後、培養物には37℃下、80Hz線形振盪で1時間50mMグリコロニトリル(GLN)を供給した。細菌細胞をろ過して除去することによって反応を停止し、分析すべき上清をマイクロタイタープレートに密閉し、分析まで4℃下に保存した。
(ニトリラーゼ活性の増大を与えるA.ファシリス(facilis)72Wニトリラーゼにおける突然変異の識別)
ヌクレオチド配列解析を使用し、実施例4に記載された通り単離された7つのTOP10変異株のニトリラーゼ遺伝子に存在する突然変異を識別し、対応するアミノ酸変化を推定した。7つの株すべては同一のニトリラーゼ配列(配列番号8)を示し、pNM18−201Qとして識別されるプラスミドにおけるGLNに変化した位置201で単一のアミノ酸変化、Leu(L201Q)を有した。この変化は、SDS−PAGE分析によって測定される通り、ニトリラーゼタンパク質生成に対する検出可能な効果を(天然酵素と比べ)示さなかった。
(アミノ酸残基位置201でのニトリラーゼの飽和突然変異誘発)
A.ファシリス(facilis)72Wニトリラーゼ酵素のアミノ酸位置201での飽和突然変異誘発ライブラリを縮重オリゴヌクレオチドおよびQuikChange(登録商標)部位特異的突然変異誘発キット(ストラタジーン(Stratagene)、カリフォルニア州ラホーヤ(La Jolla,CA))をメーカーの指示に従って使用することにより構成した。このライブラリのおよそ500のメンバーを以前に記載した通り(実施例4)ニトリラーゼ活性の増大ついてスクリーニングした。ヌクレオチド配列解析を使用し、ニトリラーゼ活性の増大を与える位置201でのアミノ酸変化を判定した。L201Q(配列番号8)に加えて、ニトリラーゼ活性の増大を与える以下の突然変異をスクリーニングから識別した。すなわち、それぞれ、pNM18−201G、pNM18−201H、pNM18−201K、pNM18−201N、pNM18−201S、pNM18−201A、pNM18−201C、およびpNM18−201Tとして識別されたプラスミドにおけるL201G(配列番号16)、L201H(配列番号18)、L201K(配列番号20)、L201N(配列番号22)、L201S(配列番号24)、L201A(配列番号10)、L201C(配列番号12)、およびL201T(配列番号14)。
(A.ファシリス(facilis)72Wニトリラーゼ触媒ドメインの標的飽和突然変異誘発)
われわれは、A.ファシリス(facilis)72Wニトリラーゼ(配列番号6)内の触媒ドメインが、2−ヒドロキシニトリル、すなわちグリコール酸へのニトリラーゼ活性を増大させる試みにおいて突然変異する適切な部位であると仮定した。
(MG1655/pSW138−168K、MG1655/pSW138−168M、MG1655/pSW138−168T、MG1655/pSW138−168V、MG1655/pSW138−201Q、MG1655/pSW138−201G、MG1655/pSW138−201H、MG1655/pSW138−201K、MG1655/pSW138−201N、およびMG1655/pSW138−201Sの構成)
プラスミドpNM18−168K、pNM18−168M、pNM18−168T、 pNM18−168V、pNM18−201Q、pNM18−201G、pNM18−201H、pNM18−201K、pNM18−201N、およびpNM18−201Sの各々をEcoRIで切断し、より小さなEcoRl断片(907bp)をプラスミドpSW138にサブクローン化し(実施例1に記載)、これもEcoRlで切断されていたが、それぞれ、プラスミドpSW138−168K、pSW138−168M、pSW138−168T、pSW138−168V、pSW138−201Q、pSW138−201G、pSW138−201H、pSW138−201K、pSW138−201N、およびpSW138−201Sを生成した。プラスミドpSW138−168K、pSW138−168M、pSW138−168T、pSW138−168V、pSW138−201Q、pSW138−201G、pSW138−201H、pSW138−201K、pSW138−201N、およびpSW138−201Sの各々を使用し、大腸菌(E.coli)MG1655を変換し、それぞれ、株MG1655/pSW138−168K、MG1655/pSW138−168M、MG1655/pSW138−168T、MG1655/pSW138−168V、MG1655/pSW138−201Q、MG1655/pSW138−201G、MG1655/pSW138−201H、MG1655/pSW138−201K、MG1655/pSW138−201N、およびMG1655/pSW138−201Sを生成した。
(10リットル発酵によって生成される突然変異のニトリラーゼ活性)
大腸菌(E.coli)種培養を発酵槽の接種前に30℃下、振盪して(300rpm6−10時間(OD550=1−2)mL当り0.1mgのアンピシリンを補充したLB培地500mL中で増殖させた。
(大腸菌(E.coli)TOP10/pNM18、大腸菌TOP10/pNM18−201A、大腸菌TOP10/pNM18−201C、および大腸菌TOP10/pNM128−201Tのニトリラーゼ活性の測定(振盪フラスコ))
複製で、一夜培養物(LB+50μg/mLアンピシリン、振盪により37℃)10mLを200mL(LB+50μg/mlアンピシリン+1mM IPTG)に添加し、37℃下、振盪して4−5時間インキュベートした(最終OD600およそ2.0)。細胞を4℃下に遠心分離によって収集し、80℃下に保存した。
(固定化大腸菌(E.coli)SS1001(ATCC PTA−1177)の調製)
大腸菌(E.coli)株SS1001(ATCCPTA−1177)は、アシドボラックス・ファシリス(Acidovorax facilis)72Wニトリラーゼを発現する形質転換大腸菌(E.coli)株である(米国特許公報(特許文献25)、参照により本明細書で援用される)。組換え発現(大腸菌(E.coli))SS1001)ニトリラーゼのコード配列(配列番号37−38)は、野生型72Wニトリラーゼ配列(配列番号5)と比較して2つの小さな配列変化を含有する。開始コドンはGTGからATGに変化して組換え発現を促進し、アーチファクトがクローニング中に導入され、これは結果としてC末端の近くに単一アミノ酸変化をもたらした(Pro367[CCA]→Ser[TCA])。
(1Mグリコロニトリル(GLN)のグリコール酸アンモニウム(NH4GLA)への変換)
オーバーヘッド攪拌器を備えた50−mLジャケット付き反応管に大腸菌(E.coli)SS1001ビーズ(実施例11)4g、脱イオン化水13.73mL、5M NH4GLA 0.4mL、およびGLN(水中約52wt%(TCI))1.87mL、0.89M GLN最終濃度、pH7.6に調節したpHを充填し、混合物を25℃下に攪拌し、アリコート0.2mLを取出し、HPLCによる反応経過に従った。すべてのGLNがNH4GLAに変換された場合、生成物溶液を静かに注ぎ、脱イオン水14.13mLおよびGLN 1.87mLをpH7.6にpH調節したバイオ触媒に添加し、かつバイオ触媒リサイクルを反復した。最初のバイオ触媒リサイクルでのNH4GLA合成の初速度は143mM/時であった。NH4GLA合成対リサイクル回数の初速度の減少率は表9に示されている(「1M」)。
(およそ3Mグリコロニトリル(GLN)のグリコール酸アンモニウム(NH4GLA)への変換)
オーバーヘッド攪拌器を備えた50−mLジャケット付き反応管に大腸菌(E.coli)SS1001ビーズ(実施例11)4g、脱イオン化水6.39mL、1M KHCO3 4mL、およびGLN(水中約52wt%(TCI))5.61mL、2.68M GLN最終濃度、pH7.6に調節したpHを充填し、混合物を25℃下に攪拌し、アリコート0.2mLを取出し、HPLCによる反応経過に従った。すべてのGLNがNH4GLAに変換された場合、生成物溶液を静かに注ぎ、脱イオン水6.39mL、1M KHCO3 4mL、およびGLN 5.61mLをpH7.6にpH調節したバイオ触媒に添加し、かつバイオ触媒リサイクルを反復した。最初のバイオ触媒リサイクルでのNH4GLA合成の初速度は207mM/時であった。NH4GLA合成対リサイクル回数の初速度の減少率は表9に示されている(「3M」)。
(グリコール酸アンモニウム(NH4GLA)を得るおよそ1M増分(1M+1M+1M)でのおよそ3Mグリコロニトリルの添加)
オーバーヘッド攪拌器を備えた50−mLジャケット付き反応管に大腸菌(E.coli)SS1001ビーズ(実施例11)4g、脱イオン化水8.13mL、1M KHCO3 4mL、およびGLN(水中約52wt%(TCI))1.87mL、0.89M GLN最終濃度、pH7.6に調節したpHを充填し、混合物を25℃下に攪拌し、アリコート0.2mLを取出し、HPLCによる反応経過に従った。すべてのGLNがNH4GLAに変換された場合、GLN 1.87mLの第2の部分を添加し、pHをpH7.6に調節し、すべてのGLNが消費された場合、GLN 1.87mLの第3の部分を添加し、pHをpH7.6に調節し、反応を完了し、およそ3M NH4GLA溶液を得た。生成物溶液を静かに注ぎ、脱イオン水8.13mL、1M KHCO3 4mL、およびGLN 1.87mLをpH7.6にpH調節したバイオ触媒に添加し、GLN変換を完了に進め、GLN、水、および緩衝剤の添加、pH調節、かつGLN変換の完了をさらに2回反復し、リサイクル(3つのおよそ1M増分でのGLNの段階的変換)を終了し、バイオ触媒リサイクルを反復した。最初のリサイクル(リサイクル当りGLNの3つの約1M部分)における最初の1M GLN溶液でのNH4GLA合成の初速度は155mM/時であった。NH4GLA合成対リサイクル回数の初速度の減少率は表9に示されている(「1M+1M+1M)=3M」)。
(グリコール酸アンモニウム(NH4GLA)を得るグリコロニトリルの0.2M GLNへの連続的添加)
オーバーヘッド攪拌器を備えた50−mLジャケット付き反応管に大腸菌(E.coli)SS1001ビーズ(実施例11)4g、脱イオン化水8mL、1M KHCO3 4mL、およびGLN(水中約52wt%(TCI))0.4mLを充填し、pHをpH7.6に調節し、混合物を25℃下に撹拌し、GLN溶液を連続的に0.2M前後のGLN濃度を維持するために消費されるGLN消費の速度で3MまでGLNを添加し、アリコート0.2mLを取出し、HPLCによる反応経過に従った。すべてのGLNがNH4GLAに変換された場合、生成物溶液を静かに注ぎ、脱イオン水8mL、1M KHCO3 4mL、およびGLN 0.4mLをpH7.6にpH調節したバイオ触媒に添加し、かつ新しいバイオ触媒リサイクルをGLN消費の速度で3M GLNまでのGLNの添加により反復した。最初のバイオ触媒リサイクル(リサイクル総当り3M GLN)のNH4GLA合成の初速度は144mM/時であった。NH4GLA合成対リサイクル回数の初速度の減少率は表9に示されている(「0.2M連続」)。
(さまざまなレベルの架橋からなるGA/PEI架橋カラギナン/大腸菌(E.coli)FM5/pNM18−210Aビーズの調製)
プラスミドpTrcHis2−TOPO(登録商標)からニトリラーゼ変異210Ala(配列番号34)を発現するプラスミドpNM18−210Aを使用し、大腸菌(E.coli)FM5を変換し、FM5/pNM18−21として識別される株を生成した。この株を以前に記載した通り(米国特許公報(特許文献29)の実施例8を参照、参照により本明細書で援用される)10−L発酵で増殖させ、細胞ペーストを以下の通りGLNをグリコール酸(GLA)に変換する方法で使用した。
(空気中の添加剤なしのグリコロニトリル(GLN)のグリコール酸アンモニウム(NH4GLA)への変換)
オーバーヘッド攪拌器を備えた50−mLジャケット付き反応管にバイオ触媒1 4g、脱イオン化水12.42mL、4M NH4GLA 0.5mL、およびGLN(水中約52wt%(フルカ(Fluka))1.78mL、1M GLN最終濃度、pH7.6を充填し、混合物を25℃下に攪拌し、アリコート0.2mLを取出し、HPLCによる反応経過に従った。すべてのGLNがNH4GLAに変換された場合、GLN 1.78mLの第2の部分を添加し、pHを水酸化アンモニウムでpH7.6に調節し、すべてのGLNが消費された場合、GLN 1.78mLの第3の部分を添加し、pHをpH7.6に調節し、反応を完了し、3.1M NH4GLA溶液を得た。生成物溶液を静かに注ぎ、脱イオン水12.42mL、およびGLN 1.78mLをpH7.6にpH調節したバイオ触媒に添加し、GLN変換を完了に進め、GLNの添加、pH調節、かつGLN変換の完了をさらに2回反復し、リサイクル(3つの1M増分でのGLNの段階的変換)を終了し、バイオ触媒リサイクルを反復した。リサイクル対リサイクル回数における最初の1M FLN溶液の変換の初速度の減少率は表10に示されている(リサイクル反応は反応2〜8である)。
(酸素を含まない環境下に添加剤なしのグリコロニトリル(GLN)のグリコール酸アンモニウム(NH4GLA)への変換)
窒素下オーバーヘッド攪拌器を備えた50−mLジャケット付き反応管にバイオ触媒1 4g、脱イオン化水12.42mL、4M NH4GLA 0.5mL、およびGLN(水中約52wt%(フルカ(Fluka))1.78mL、1M GLN最終濃度、pH7.6を充填し、混合物を25℃下に攪拌し、アリコート0.2mLを取出し、HPLCによる反応経過に従った。すべてのGLNがNH4GLAに変換された場合、GLN 1.78mLおよび水0.2mLを添加し、pHを水酸化アンモニウムでpH7.6に調節し、すべてのGLNが消費された場合、GLN 1.78mLの第3の部分を添加し、pHをpH7.6に調節し、反応を完了し、3.1M NH4GLA溶液を得た。生成物溶液を静かに注ぎ、脱イオン水12.46mL、およびGLN 1.78mLをpH7.6にpH調節したバイオ触媒に添加し、GLN変換を完了に進め、GLN 1.78mL、脱イオン水 0.2mL、および緩衝剤の添加、pH調節、かつGLN変換の完了をさらに2回反復し、リサイクル(3つの1M増分でのGLNの段階的変換)を終了し、バイオ触媒リサイクルを反復した。リサイクル反応対リサイクル反応回数における最初の1M GLN溶液の変換の初速度の減少率は表10に示されている(リサイクル反応は反応2〜8である)。
(酸素を含まない環境下チオ硫酸または亜ジオチン酸の存在下のグリコロニトリル(GLN)のグリコール酸アンモニウム(NH4GLA)への変換))
バイオ触媒リサイクルを脱イオン水12.42mLの代わりに、脱イオン水12.22mLおよび水中添加剤(チオ硫酸カリウム、K2S2O3または亜ジオチン酸ナトリウム、K2S2O4)の1M溶液を添加してリサイクルを開始し、かつ水0.2mLの代わりに、水中添加剤の1M溶液0.2mLをGLN 1.78mLの各々の添加とともに反応管に添加することを除き、実施例28に記載された通りに実行した。リサイクル対リサイクル回数における最初の1M GLN溶液の変換の初速度の減少率は表10に示されている(リサイクル反応は反応2〜8である)。
(pH6.0での空気中添加剤なしのグリコロニトリル(GLN)のグリコール酸アンモニウム(NH4GLA)への変換))
オーバーヘッド攪拌器を備えた50−mLジャケット付き反応管にバイオ触媒1 4g、脱イオン化水12.42mL、4M NH4GLA 0.5mL、およびGLN(水中約52wt%(フルカ(Fluka))1.78mL、1M GLN最終濃度、pH6.0を充填し、混合物を25℃下に攪拌し、アリコート0.2mLを取出し、HPLCによる反応経過に従った。すべてのGLNがNH4GLAに変換された場合、GLN 1.78mLの第2の部分を添加し、pHを水酸化アンモニウムでpH6.0に調節し、すべてのGLNが消費された場合、GLN 1.78mLの第3の部分を添加し、pHをpH6.0に調節し、反応を完了し、3.1M NH4GLA溶液を得た。生成物溶液を静かに注ぎ、脱イオン水12.42mL、およびGLN 1.78mLをpH6.0にpH調節したバイオ触媒に添加し、GLN変換を完了に進め、GLNの添加、pH調節、かつGLN変換の完了をさらに2回反復し、リサイクル反応(3つの1M増分でのGLNの段階的変換)を終了し、バイオ触媒リサイクルを反復した。バイオ触媒1についてのリサイクル反応対リサイクル反応回数における最初の1M GLN溶液の変換の初速度の減少は表11に示されている(リサイクル反応は反応2〜4である)。
(さまざまな反応pHでA.ファシリス(facilis)72Wニトリラーゼを発現する固定化大腸菌(E.coli)MG1655/pSW138細胞を使用するグリコロニトリル(GLN)のグリコール酸アンモニウム(NH4GLA)への変換)
オーバーヘッド攪拌器および温度調節器を備えた50−mLジャケット付き反応管にGA/PEI架橋カラギナンビーズ(実施例11に記載された方法を使用して調製)4gを充填し、A.ファシリス(facilis)72Wニトリラーゼ(配列番号6)を発現する5%(dcw)大腸菌(E.coli)MG1655/pSW138を含有する0.1M NH4GLA(pH7.0)の72mL)で15分間2回洗浄した。次いで管には蒸留水10.88gおよび4.0M NH4GLA(pH7.5)2.98mL、70wt%グリコール酸(GLA)(アルドリッチ(Aldrich)または水中1:4希釈の水酸化アンモニウム(28−30wt%)のいずれかの適量を添加し(表12)、反応管を窒素で洗い流した。混合物を25℃下に攪拌し、水中49.88wt%グリコロニトリル(GLN)2.15mL(2.25g、19.6mmol(フルカ(Fluka))を添加し、pH4.0、4.7、5.5、6.7、または7.5で1M GLNを得た(表13)。
(シアン化水素(HCN)の存在または非存在下にA.ファシリス(facilis)72ニトリラーゼを発現する固定化大腸菌(E.coli)FM5/pNM18を使用するグリコロニトリルのグリコール酸アンモニウムへの加水分解)
オーバーヘッド攪拌器および温度調節器を備えた50−mLジャケット付き反応管にGA/PEI架橋カラギナンビーズ(実施例11に記載された方法を使用して調製)4gを充填し、A.ファシリス(facilis)72Wニトリラーゼ(配列番号6)を発現する5%(dcw)大腸菌(E.coli)FM5/pNM18を含有する0.1M NH4GLA(pH7.5)72mL)で15分間2回洗浄した。次いで管には蒸留水10.9gおよび4.0M NH4GLA(pH7.5)3.0mLを添加し、反応管を窒素で洗い流した。混合物を25℃下に攪拌し、水中50wt%HCN0.063mL(0.054g、1mmol)の有無による水中60.51wt%グリコロニトリル(GLN)の1.777mLのアリコート(1.885g、20.0mmol(フルカ(Fluka)、再蒸留))を最初に添加した直後に水中水酸化アンモニウム(28−30wt%)の1:16希釈0.320mLを添加した。4つの0.100−mL反応試料を最初のGLN添加後の所定の時間に除去し、HPLCによって分析し、初期反応速度を測定した。GLN変換の完了時、GLNおよび水酸化アンモニウムの各々の第2のアリコートを添加してGLNの濃度を<1MおよびpHを7.0−7.5の範囲内に維持し、GLN変換が完了した後、GLNおよび水酸化アンモニウムの各々の第3のアリコートを添加した。反応の完了時、>99%の収量でグリコール酸(アンモニウム塩として)を生成するGLNの100%変換が認められ、添加GLNから生成されたグリコール酸アンモニウムの濃度はおよそ2.5Mであった(約23.7mLの最終反応体積で初期グリコール酸アンモニウム緩衝液を含む、3.0M総グリコール酸アンモニウム)。
(A.ファシリス(facilis)72Wニトリラーゼを発現する固定化大腸菌(E.coli)FM5/pNM18を使用するグリコロニトリルのグリコール酸アンモニウムの加水分解の連続バッチ反応におけるホルムアルデヒドまたはシアン化水素のいずれかの添加の影響)
反応を実行し、特徴づけ、かつ水中60.51wt%グリコロニトリル(GLN)1.777mL(1.885g、20.0mmol(フルカ(Fluka)、再蒸留))の各々のアリコートが、水中37wt%HCHO 0.074mL(0.081g、1mmol)(リサイクル1、2、3、および6)または水中50wt%HCN 0.063mL(0.054g、1mmol)(リサイクル4、5、およ7)のいずれかを含むことを除き、HCNの添加なしの反応のために実施例23に記載された通りバイオ触媒をリサイクルした(表15)。HCHOまたはHCNの添加なしの反応のデータは比較のために表14から反復されている。
(A.ファシリス(facilis)72Wニトリラーゼ突然変異L201Qを発現する大腸菌(E.coli)FM5/pNM18−L201Q細胞を使用するグリコロニトリルのグリコール酸アンモニウムへの加水分解)
50−mL遠心分離管にA.ファシリス(facilis)72Wニトリラーゼ変異L201Q(配列番号8)を発現する大腸菌(E.coli)FM5/pNM18−L201Q 6gおよび0.35M Na2HPO4(pH7.5)7.54mL、0.35M Na2HPO4(pH7.5)35mLを添加し、管を5000rpmで20分間遠心分離し、上清を注意深く、かつ完全に細胞ペーストから除去し、遠心分離細胞ペースト935mgをオーバーヘッド攪拌器および温度調節器を備えた150−mLジャケット付き反応管に移した。次いで管には0.3M NH4GLA(pH7.5)52.54mL、4.0M NH4GLA(pH7.5)7.88mL、および蒸留水9.63mLを添加し、反応管を窒素で洗い流した。混合物を25℃下に攪拌し、水中54.61wt%グリコロニトリル(GLN)7.82mL(8.18g、78.3mmol(フルカ(Fluka))を添加し、pHを水中水酸化アンモニウム(28−30wt%)の1:4希釈によってpH7.5に調節した。初期反応速度を測定するために、4つの0.050−mL反応試料を第1のGLNの添加後の所定の時間に除去し、アッセイ混合物(6.0N HCl 0.025mLおよび0.18M n−プロパノール0.800mL)に添加し、ボルテックスし、12,000rpmで6分間、遠心分離し、上清を実施例2に記載されている通りHPLCによって分析した。GLN変換の完了時、GLNの第2のアリコートを添加し、pHを水酸化アンモニウムで7.5に調節し、GLN変換が完了した後、第3のGLNアリコートを添加し、pHをpH7.5に調節した。反応の完了時、>99%収量でグリコール酸(アンモニウム塩として)を生成するGLNの100%変換が認められ、添加GLNから生成されたグリコール酸アンモニウムの濃度はおよそ2.5Mであった(約94.05mLの最終反応体積で初期グリコール酸アンモニウム緩衝液を含む、2.9M総グリコール酸アンモニウム)。
(A.ファシリス(facilis)72WニトリラーゼまたはA.ファシリス(facilis)72Wニトリラーゼ突然変異を発現する固定化大腸菌(E.coli)MG1655/pSW138形質転換体を使用するグリコロニトリルのグリコール酸アンモニウムへの加水分解)
オーバーヘッド攪拌器および温度調節器を備えた50−mLジャケット付き反応管にGA/PEI架橋カラギナンビーズ(実施例11に記載された方法を使用して調製)8gを充填し、A.ファシリス(facilis)72Wニトリラーゼ(配列番号6)、またはA.ファシリス(facilis)72Wニトリラーゼ変異F168V(配列番号32)、F168M(配列番号28)、F168K(配列番号26)、F168T(配列番号30)、およびL201Q(配列番号8)を発現する5%(dcw)大腸菌(E.coli)MG1655/pSW138形質転換体を含有する0.1M NH4GLA(pH7.0)72mL)で15分間2回洗浄した。次いで管には蒸留水14.632gおよび4.0M NH4GLA(pH7.0)6.0mLを添加し、反応管を窒素で洗い流した。混合物を25℃下に攪拌すると同時にプログラム可能な注射器ポンプを使用し、水中59wt%グリコロニトリル(GLN)(1.14g、12.0mmol(フルカ(Fluka)、再蒸留)1.08mLおよび水(合計2.304mL)中水酸化アンモニウム(28−30wt%)の1:16希釈0.288mLの8つのアリコートを添加し、GLNおよび水酸化アンモニウムの各々1つのアリコートを2時間毎に同時に添加し、GLNの濃度を<400mMおよびpHを6.5−7.5の範囲内に維持した。4つの0.050−mL反応試料をGLN添加後の所定の時間に除去し、HPLCによって分析し、初期反応速度を測定した。反応の完了時、>99%の収量でグリコール酸(アンモニウム塩として)を生成するGLNの100%変換が認められ、添加GLNから生成されたグリコール酸アンモニウムの濃度はおよそ2.4Mであった(約39.5mLの最終反応体積で初期グリコール酸アンモニウム緩衝液を含む、3.0M総グリコール酸アンモニウム)。
(A.ファシリス(facilis)72Wニトリラーゼ変異F168Vを発現する固定化大腸菌(E.coli)MG1655/pSW138形質転換体を使用するGLNの変換によって得られるグリコール酸アンモニウムの特性化)
固定化MG1655/pSW138−F168Vバイオ触媒によるGLN(フルカ(Fluka)、再蒸留)加水分解(実施例26、表17を参照)によって得られる生成物溶液の組成物を評価するために、反応5、10、および38で生成された生成物溶液をHPLCおよび1H NMR分光法によって特性化した。HPLCによって測定されたグリコール酸の濃度は3.1Mであった。量的1H NMRスペクトルを500MHzで作動するバリアン・ユニティー・イノバ(Varian Unity Inova)分光計(バリアン(Varian)社(Inc.)、カリフォルニア州パロアルト(Palo Alto、CA))を使用して得た。反応生成物150μLをD2O 400μLとともに5mmのNMR管に添加することによって試料を調製した。
(固定床イオン交換クロマトグラフィーによるグリコール酸アンモニウムからのグリコール酸の単離)
同時係属の(特許文献42)(参照により本明細書で援用される)の実施例4−8に記載されたシアン化水素およびホルムアルデヒドから合成されたGLNを、添加剤なしに(反応体積を18倍に拡大したことを除き)、実施例12に記載されている通りグリコール酸アンモニウムに変換し、固定床イオン交換を使用し、グリコール酸アンモニウム生成物溶液をグリコール酸に変換した。
本出願は、特許請求の範囲に記載の発明を含め、以下の発明を包含する。
(1) グリコロニトリルからグリコール酸を製造する方法であって、
a)グリコロニトリルを適切な水性反応混合物中でニトリラーゼ活性を有するポリペプチドを含む酵素触媒と接触させるステップであって、前記ポリペプチドが、
1)アミノ酸残基168でのリシン、メチオニン、トレオニン、またはバリンによる置換、および
2)アミノ酸残基201でのグルタミン、グリシン、ヒスチジン、リシン、アスパラギン、セリン、アラニン、システイン、またはトレオニンによる置換
からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換された配列番号6のアミノ酸配列を有し、それによってグリコール酸が製造されるステップと、
(b)塩または酸の形で(a)において製造されるグリコール酸を回収するステップを含み、前記酵素触媒が、同一の反応条件下でグリコロニトリルをグリコール酸に変換させる場合、アシドボラックス・ファシリス(Acidovorax facilis)72Wニトリラーゼのニトリラーゼ活性に対してニトリラーゼ活性の少なくとも1.5倍の増加を提供することを特徴とする方法。
(2) 前記アミノ酸配列が、配列番号8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、および32からなる群から選択されることを特徴とする(1)に記載の方法。
(2) 前記酵素触媒が、同一の反応条件下でA.ファシリス(facilis)72W(ATCC55746)の活性に対してグリコロニトリルをグリコール酸に変換させる場合、ニトリラーゼ活性の少なくとも約2倍の改善を提供する改善されたニトリラーゼ触媒であることを特徴とする(1)に記載の方法。
(4) 前記酵素触媒が、同一の反応条件下でA.ファシリス(facilis)72W(ATCC55746)の活性に対してグリコロニトリルをグリコール酸に変換させる場合、ニトリラーゼ活性の少なくとも約4倍の改善を提供する改善されたニトリラーゼ触媒であることを特徴とする(2)に記載の方法。
(5) 前記酵素触媒が全微生物細胞、透過性微生物細胞、微生物細胞抽出物の1つまたは複数の細胞成分、部分的に精製された酵素、または精製酵素の形であることを特徴とする(1)に記載の方法。
(6) 前記全微生物細胞が前記ポリペプチドを組換え発現する形質転換微生物宿主細胞であることを特徴とする(5)に記載の方法。
(7) 前記形質転換微生物宿主細胞が、コマモナス(Comamonas)種、コリネバクテリウム(Corynebacterium)種、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)種、ロドコッカス(Rhodococcus)種、アゾトバクター(Azotobacter)種、シトロバクター(Citrobacter)種、エンテロバクター(Enterobacter)種、クロストリジウム(Clostridium)種、クレブシエラ(Klebsiella)種、サルモネラ(Salmonella)種、ラクトバチルス(Latobacillus)種、アスペルギルス(Aspergillus)種、サッカロミセス(Saccharomyces)種、チゴサッカロミセス(Zygosaccharomyces)種、ピチア(Pichia)種、クルイベロミセス(Kluyveromyces)種、カンジダ(Candida)種、ハンセニュウラ(Hansenula)種、デュナリエラ(Dunaliella)種、デバリオミセス(Debaryomyces)種、ケカビ(Mucor)種、トルロプシス(Torulopsis)種、メチロバクテリア(Methylobacteria)種、バチルス(Bacillus)種、エシェリキア(Escherichia)種、シュードモナス(Pseudomonas)種、リゾビウム(Rhizobium)種、およびストレプトミセス(Streptomyces)種からなる群から選択されることを特徴とする(5)に記載の方法。
(8) 前記形質転換微生物宿主細胞が大腸菌(Escherichia coli)であることを特徴とする(7)に記載の方法。
(9) 前記形質転換微生物宿主細胞が、国際寄託番号ATCC47076を有する大腸菌(E.coli)MG1655および国際寄託番号ATCC53911を有する大腸菌(E.coli)FM5からなる群から選択される大腸菌(Escherichia coli)株であることを特徴とする(8)に記載の方法。
(10) 前記酵素触媒が可溶性または不溶性支持体中にもしくはその上で固定化されることを特徴とする(1)から(9)のいずれか一項に記載の方法。
(11) 前記水性反応混合物において製造されるグリコール酸アンモニウムの濃度が約0.02wt%〜約90wt%であることを特徴とする(1)に記載の方法。
(12) 前記水性反応混合物において製造されるグリコール酸アンモニウムの濃度が約0.02wt%〜約40wt%であることを特徴とする(11)に記載の方法。
(13) 前記水性反応混合物におけるグリコロニトリル濃度が約5mM〜約1Mの範囲であることを特徴とする(10)に記載の方法。
(14) 前記水性反応混合物におけるグリコロニトリル濃度が連続的またはアリコート添加によって維持されることを特徴とする(13)に記載の方法。
(15) 前記水性反応混合物におけるpHが約5.5〜約7.7に維持されることを特徴とする(1)に記載の方法。
(16) グリコロニトリルのグリコール酸への酵素変換が実質的に酸素を含まない条件下で起こることを特徴とする(1)に記載の方法。
(17) 前記水性反応混合物が、5wt%未満の濃度でチオ硫酸カリウムおよび亜ジオチオン酸ナトリウムからなる群から選択される安定剤をさらに含むことを特徴とする(1)に記載の方法。
(18) 前記酵素触媒がリサイクルされた酵素触媒であることを特徴とする(1)に記載の方法。
(19) 前記酵素触媒が乾燥細胞重量酵素触媒のグラム当り少なくとも300グラムのグリコール酸の触媒生産性を提供することを特徴とする(1)に記載の方法。
(20) 前記酵素触媒が乾燥細胞重量酵素触媒のグラム当り少なくとも450グラムのグリコール酸の触媒生産性を提供することを特徴とする(19)に記載の方法。
(21) 前記酵素触媒が乾燥細胞重量酵素触媒のグラム当り少なくとも1000グラムのグリコール酸の触媒生産性を提供することを特徴とする(20)に記載の方法。
(22) ニトリラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする単離核酸分子であって、前記ポリペプチドが、
a)アミノ酸残基168でのメチオニン、またはトレオニンによる置換、および
b)アミノ酸残基201でのグルタミン、グリシン、ヒスチジン、リシン、アスパラギン、セリン、アラニン、システイン、またはトレオニンによる置換
からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換された配列番号6のアミノ酸配列を有し、前記ポリペプチドが、同一の反応条件下でグリコロニトリルをグリコール酸に変換させる場合、アシドボラックス・ファシリス(Acidovorax facilis)72Wニトリラーゼのニトリラーゼ活性に対してニトリラーゼ活性の少なくとも1.5倍の増加を提供することを特徴とする単離核酸分子。
(23) 配列番号8、10、12、14、16、18、20、22、24、28、および30からなる群から選択されるアミノ酸配列をコードすることを特徴とする(22)に記載の単離核酸分子。
(24) 配列番号7、9、11、13、15、17、19、21、23、27、および29からなる群から選択される核酸配列を有することを特徴とする(23)に記載の単離核酸分子。
(25) 適切な調節塩基配列に機能しうるように連結された(22)から(24)のいずれか一項に記載の単離核酸分子を含むことを特徴とするキメラ遺伝子。
(26) (25)に記載のキメラ遺伝子を含むことを特徴とする発現カセット。
(27) (26)に記載の発現カセットを含むことを特徴とする形質転換宿主細胞。
(28) 前記宿主細胞が、コマモナス(Comamonas)種、コリネバクテリウム(Corynebacterium)種、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)種、ロドコッカス(Rhodococcus)種、アゾトバクター(Azotobacter)種、シトロバクター(Citrobacter)種、エンテロバクター(Enterobacter)種、クロストリジウム(Clostridium)種、クレブシエラ(Klebsiella)種、サルモネラ(Salmonella)種、ラクトバチルス(Lactobacillus)種、アスペルギルス(Aspergillus)種、サッカロミセス(Saccharomyces)種、チゴサッカロミセス(Zygosaccharomyces)種、ピチア(Pichia)種、クルイベロミセス(Kluyveromyces)種、カンジダ(Candida)種、ハンセニュウラ(Hansenula)種、デュナリエラ(Dunaliella)種、デバリオミセス(Debaryomyces)種、ケカビ(Mucor)種、トルロプシス(Torulopsis)種、メチロバクテリア(Methylobacteria)種、バチルス(Bacillus)種、エシェリキア(Escherichia)種、シュードモナス(Pseudomonas)種、リゾビウム(Rhizobium)種、およびストレプトミセス(Streptomyces)種からなる群から選択されることを特徴とする(27)に記載の形質転換宿主細胞。
(29) 前記宿主細胞が大腸菌(E.coli)であることを特徴とする(28)に記載の形質転換宿主細胞。
(30) 前記宿主細胞が、国際寄託番号ATCC47076を有する大腸菌(E.coli)MG1655、および国際寄託番号ATCC53911を有する大腸菌(E.coli)FM5からなる群から選択されることを特徴とする(29)に記載の形質転換宿主細胞。
(31) ニトリラーゼ活性を有する単離ポリペプチドであって、前記ポリペプチドが、
a)アミノ酸残基168でのメチオニン、またはトレオニンによる置換、および
b)アミノ酸残基201でのグルタミン、グリシン、ヒスチジン、リシン、アスパラギン、セリン、アラニン、システイン、またはトレオニンによる置換
からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換された配列番号6のアミノ酸配列を有し、前記ポリペプチドが、同一の反応条件下でグリコロニトリルをグリコール酸に変換させる場合、アシドボラックス・ファシリス(Acidovorax facilis)72Wニトリラーゼのニトリラーゼ活性に対してニトリラーゼ活性の少なくとも1.5倍の増加を提供することを特徴とする単離ポリペプチド。
(32) 配列番号8、10、12、14、16、18、20、22、24、28、および30からなる群から選択されるアミノ酸配列をコードすることを特徴とする(31)に記載の単離ポリペプチド。
Claims (6)
- グリコロニトリルからグリコール酸を製造する方法であって、
a)グリコロニトリルを適切な水性反応混合物中でニトリラーゼ活性を有するポリペプチドを含む酵素触媒と接触させるステップであって、前記ポリペプチドが、
1)アミノ酸残基168でのリシン、メチオニン、トレオニン、またはバリンによる置換、および
2)アミノ酸残基201でのグルタミン、グリシン、ヒスチジン、リシン、アスパラギン、セリン、アラニン、システイン、またはトレオニンによる置換
からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換された配列番号6のアミノ酸配列を有し、それによってグリコール酸が製造されるステップと、
(b)塩または酸の形で(a)において製造されるグリコール酸を回収するステップを含み、前記酵素触媒が、同一の反応条件下でグリコロニトリルをグリコール酸に変換させる場合、アシドボラックス・ファシリス(Acidovorax facilis)72Wニトリラーゼのニトリラーゼ活性に対してニトリラーゼ活性の少なくとも1.5倍の増加を提供することを特徴とする方法。 - ニトリラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする単離核酸分子であって、前記ポリペプチドが、
a)アミノ酸残基168でのメチオニン、またはトレオニンによる置換、および
b)アミノ酸残基201でのグルタミン、グリシン、ヒスチジン、リシン、アスパラギン、セリン、アラニン、システイン、またはトレオニンによる置換
からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換された配列番号6のアミノ酸配列を有し、前記ポリペプチドが、同一の反応条件下でグリコロニトリルをグリコール酸に変換させる場合、アシドボラックス・ファシリス(Acidovorax facilis)72Wニトリラーゼのニトリラーゼ活性に対してニトリラーゼ活性の少なくとも1.5倍の増加を提供することを特徴とする単離核酸分子。 - 適切な調節塩基配列に機能しうるように連結された請求項2に記載の単離核酸分子を含むことを特徴とするキメラ遺伝子。
- 請求項3に記載のキメラ遺伝子を含むことを特徴とする発現カセット。
- 請求項4に記載の発現カセットを含むことを特徴とする形質転換宿主細胞。
- ニトリラーゼ活性を有する単離ポリペプチドであって、前記ポリペプチドが、
a)アミノ酸残基168でのメチオニン、またはトレオニンによる置換、および
b)アミノ酸残基201でのグルタミン、グリシン、ヒスチジン、リシン、アスパラギン、セリン、アラニン、システイン、またはトレオニンによる置換
からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換された配列番号6のアミノ酸配列を有し、前記ポリペプチドが、同一の反応条件下でグリコロニトリルをグリコール酸に変換させる場合、アシドボラックス・ファシリス(Acidovorax facilis)72Wニトリラーゼのニトリラーゼ活性に対してニトリラーゼ活性の少なくとも1.5倍の増加を提供することを特徴とする単離ポリペプチド。
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