JP4776448B2 - ハードコートフィルム - Google Patents
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Description
例えば、折り曲げ特性に優れ、アンカー剤を使用しなくても密着性に優れた活性エネルギー線硬化型塗料組成物として、2以上の官能基をもつウレタンアクリレートを20〜60質量部、官能基数が1若しくは2のアクリルモノマーを80〜40質量部、及び、ウレタンアクリレートとアクリルモノマーとの合計量100質量部に対して、2以上の官能基をもつシリコーンアクリレート0.1〜2質量部を含む活性エネルギー線硬化型塗料組成物が提案されている(特許文献1)。しかし、この塗料組成物をガラス飛散防止用などのハードコートフィルムに使用した場合、ハードコート層の薄膜干渉による虹彩模様が発生するという問題がある。
また、透明基材フィルムの少なくとも片面に均一な厚さの透明ハードコート層を有し、干渉縞が目立ちにくく、視認性に優れた透明ハードコートフィルムの製造方法として、透明基材フィルムの少なくとも片面に樹脂成分を含む塗工液を塗工し、乾燥したのち、硬化処理して、透明ハードコート層を形成するにあたり、塗工液が、樹脂成分の希釈溶媒として25℃での蒸気圧が1.33kPa以下の溶媒を用い、かつレベリング剤が樹脂成分100質量部あたり0.01〜0.5質量部添加されている透明ハードコートフィルムの製造方法が提案されている(特許文献2)。しかし、この方法により安定生産できるのは精密塗工を意図して設計された塗工ラインに限定されるうえ、基材フィルムの易接着層に塗布厚ムラがある場合は干渉縞の発生を抑えきれないという問題がある。
基材フィルムとハードコート層の屈折率が異なると、干渉縞により虹彩模様が発生する。干渉縞は、透明な薄膜に白色光があたると、薄膜の表面から反射する光と、いったん薄膜に入ってその後ろの面から反射する光が干渉を起こして、部分的な虹彩模様が見られる現象である。これは、見る方向により強めあう波長が変わるためである。この現象が、見るものに不快な印象を与える場合があり、改善を求められている。
すなわち、本発明は、
(1)基材フィルム(A)の上面に、(ア)(メタ)アクリレートモノマー及び/又は(メタ)アクリレートオリゴマー100質量部当たり、(イ)アセトン不溶性の反応結合型有機変性シリコーン(メタ)アクリレート0.2〜3.0質量部を含有する電離放射線硬化型塗料を硬化させてなるハードコート層(B)を有することを特徴とするハードコートフィルム、
(2)(ア)(メタ)アクリレートオリゴマーが、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーである(1)記載のハードコートフィルム、
(3)ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが、重量平均分子量1,000〜20,000、(メタ)アクリレート官能基数1〜15である(2)記載のハードコートフィルム、
(4)(イ)アセトン不溶性の反応結合型有機変性シリコーン(メタ)アクリレートが、重量平均分子量12,000〜20,000、(メタ)アクリレート官能基数5〜10である(1)記載のハードコートフィルム、
(5)基材フィルム(A)が、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムである(1)記載のハードコートフィルム、
(6)基材フィルム(A)の下面に、粘着剤層(C)を有する(1)記載のハードコートフィルム、
(7)ハードコートフィルムが、ガラス飛散防止用ハードコートフィルムである(1)ないし(6)のいずれか1項に記載のハードコートフィルム、及び、
(8)全光線透過率が、85%以上である(1)ないし(7)のいずれか1項に記載のハードコートフィルム、
を提供するものである。
本発明に用いる基材フィルムは、透明性を有するプラスチックフィルムであれば特に制限はなく、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリトリメチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートフィルムなどのポリエステル系フィルム、ジアセチルセルロースフィルム、トリアセチルセルロースフィルムなどのセルロース系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリメタクリル酸メチルフィルムなどのアクリル系フィルム、スチレン−アクリロニトリル共重合体フィルムなどのスチレン系フィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリ環状オレフィンフィルムなどのポリオレフィン系フィルムなどを挙げることができる。これらの中で、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは、機械的強度と寸法安定性が良好なので好適に用いることができ、両面易接着二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは、ハードコート層及び粘着剤層との接着性が良好なので特に好適に用いることができる。
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、ポリオールに、ジイソシアネート化合物を反応させて末端イソシアネート基を有する化合物とし、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを反応させることにより得られるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーなどを挙げることができる。ウレタン(メタ)アクリレートの製造に用いるポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、トリエタノールアミンなどのトリオール、ジグリセリン、ペンタエリスリトールなどのテトラオール、ソルビトールなどのヘキサオールなどのポリオールに、エチレンオキシド、プロピレンオキシドなどを付加して得られるポリエーテルポリオール、縮合系ポリエステルポリオール、ラクトン系ポリエステルポリオール、ポリカーボネートジオールなどのポリエステルポリオールなどを挙げることができる。
ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、エチレンアジペート、ジエチレンアジペート、ブチレンアジペートなどのポリエステルポリオールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物などを挙げることができる。
エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、ジアリルエーテルと(メタ)アクリル酸の付加物、ヘキサンジオールとグリシジル(メタ)アクリレートの付加物、グリセリンとグリシジル(メタ)アクリレートの付加物、フタル酸とグリシジル(メタ)アクリレートの付加物、ポリエチレングリコールとグリシジル(メタ)アクリレートの付加物、ポリプロピレングリコールとグリシジル(メタ)アクリレートの付加物などを挙げることができる。
本発明に用いるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、重量平均分子量が1,000〜20,000であることが好ましく、1,200〜15,000であることがより好ましい。ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの重量平均分子量が1,000未満であると、形成されるハードコート層の強度が不足するおそれがある。ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの重量平均分子量が20,000を超えると、電離放射線硬化型塗料の粘度が高くなって、作業性が低下するおそれがある。
本発明に用いるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、(メタ)アクリレート官能基数が1〜15であることが好ましく、2〜10であることがより好ましい。(メタ)アクリレート官能基数が15を超えると、形成されるハードコート層の架橋密度が上がりすぎて、硬く、脆くなるおそれがある。
トリメチルクロロシラン又はトリメチルメトキシシランは、オリゴマー末端のトリメチルシリル基となるので、トリメチルクロロシラン又はトリメチルメトキシシランの配合量により生成するオリゴマーの分子量を制御することができる。3−(メタ)アクリロイルプロピルメチルジクロロシラン又は3−(メタ)アクリロイルプロピルメチルジメトキシシランにより側鎖にメタアクリロイル基が導入されるので、3−(メタ)アクリロイルプロピルメチルジクロロシラン又は3−(メタ)アクリロイルプロピルメチルジメトキシシランの配合量により、(メタ)アクリロイル基の量を制御することができる。
反応結合型有機変性シリコーン(メタ)アクリレートは、分子量が高くなるとアセトン不溶性となる。分子量が低い反応結合型有機変性シリコーン(メタ)アクリレートは、アセトン可溶性である。アセトン不溶性の反応結合型有機変性シリコーン(メタ)アクリレートを含有する電離放射線硬化型塗料を用いることにより、全光線透過率が低下せず、干渉縞による虹彩模様がほとんど認められないハードコートフィルムを得ることができる。アセトン可溶性の反応結合型有機変性シリコーン(メタ)アクリレートを含有する電磁放射線硬化型塗料を用いると、干渉縞による虹彩模様が顕著となる。
本発明において、アセトン不溶性の反応結合型有機変性シリコーン(メタ)アクリレートの(メタ)アクリレート官能基数は、5〜10であることが好ましく、6〜8であることがより好ましい。(メタ)アクリレート官能基数が5未満であると干渉縞による虹彩模様が顕著となるおそれがある。又、(メタ)アクリレート官能基数が10を超えても、干渉縞による虹彩模様が顕著となるおそれがある。
本発明において、電離放射線硬化型塗料には、光重合開始剤を配合することができる。光重合開始剤としては、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オンなどのアルキルフェノン系光重合開始剤、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイドなどのアシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)ビス[2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル]チタニウムなどのチタノセン系光重合開始剤、1,2−オクタンジオン−1−[4−フェニルチオ−2−(O−ベンゾイルオキシム)]などのオキシムエステル系光重合開始剤などを挙げることができる。
本発明のハードコートフィルムは、ガラス飛散防止用ハードコートフィルムとして好適に用いることができる。例えば、地震により窓ガラスに大きな外力が加わった場合、ガラス破片が飛散し、付近の人間に危害を及ぼす恐れがある。本発明のハードコートフィルムを、窓ガラスに貼着することにより、虹彩模様により視野を妨げられることなく、安全にガラスの破片の飛散を防止することができる。
本発明のハードコートフィルムは、干渉縞による虹彩模様がまったく又はほとんど発生しない低虹彩ハードコート層を有するので、窓ガラスなどの表面に貼着しても使用者に不快感を与えることはない。
本発明のハードコートフィルムは、全光線透過率が85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、92%以上であることがさらに好ましい。全光線透過率は、JIS K 7361−1にしたがって測定することができる。全光線透過率が85%未満であると、透明性が劣り、窓ガラス本来の外部視認性を損なうおそれがある。
なお、実施例及び比較例において、ハードコートフィルムの評価は下記の方法により行った。
(1)最大ピーク高さ
紫外可視近赤外分光光度計[日本分光(株)、V−570]を用いて、可視光線領域の試料の反射スペクトルを得た。その反射スペクトルは、虹彩の程度に伴ってスペクトル曲線のうねりが増幅する。波長600〜800nm範囲内の反射スペクトルのうねりにおいて、各ピーク高さ(極大値−極小値)を求め、次の基準に基づいて判定する。
○:最大ピーク高さ0.3%未満
×:最大ピーク高さ0.3%以上
(2)全光線透過率
JIS K 7361−1にしたがい、ヘーズコンピューター[スガ試験機(株)、HZ−1]を用いて測定する。
○:全光線透過率90%以上
△:全光線透過率85%以上90%未満
×:全光線透過率85%未満
(3)面状態
三波長形蛍光ランプ[松下電器産業(株)、パルック、20W、昼白色]で照らして表面状態を観察、及び同ランプにて透過外観を観察した際の塗工面の外観を、次の基準にもとづいて判定する。
○:塗工面の荒れがなく、良好である。
△:塗工面の荒れがややあり、やや不良である。
×:塗工面の荒れが大きく、不良である。
(4)鉛筆硬度
JIS K 5600−5−4にしたがい、鉛筆[三菱鉛筆(株)、ユニ]を用いて試験する。
(5)カール
10cm×10cmのハードコートフィルムを水平面に置いた際のカール状態を観察し、次の基準に基づいて判定する。
○:まったくカールが認められない。
△:わずかにカールが認められるが、実用上支障ない。
×:明らかにカールが認められ、実用上支障がある。
(6)虹彩
ハードコートフィルムを黒い紙の上に置き、三波長形蛍光ランプ[松下電器産業(株)、パルック、20W、昼白色]で照らして蛍光ランプの像の周りの虹彩を観察し、下記の基準により判定する。
○:虹彩がほとんど認められない。
△:虹彩がかすかに認められる。
×:虹彩が明瞭に認められる。
(1)ウレタンアクリレートA:根上工業(株)、UN−901M、重量平均分子量3,600、官能基数9。
(2)ウレタンアクリレートB:根上工業(株)、H−61、重量平均分子量1,300、官能基数6。
(3)ポリエステルアクリレート:東亞合成(株)、M−7100、重量平均分子量1,500。
(4)エポキシアクリレート:日本化薬(株)、R−3000、重量平均分子量650、官能基数4。
(5)シリコーンアクリレートA:デグサ社、TEGO(登録商標)Rad2600、重量平均分子量17,000、アクリレート官能基数6、アセトン不溶性。
(6)シリコーンアクリレートB:デグサ社、TEGO(登録商標)Rad2700、重量平均分子量15,000、アクリレート官能基数6、アセトン不溶性。
(7)シリコーンアクリレートC:デグサ社、TEGO(登録商標)Rad2500、重量平均分子量10,000、アクリレート官能基数2、アセトン可溶性。
(8)シリコーンメタクリレートD:東亞合成(株)、AK−5、重量平均分子量5,000、メタクリレート官能基数1、アセトン可溶性。
(9)シリコーンアクリレートE:ダイセルユーシービー(株)、EB350、重量平均分子量5,200、アクリレート官能基数2、アセトン可溶性。
(10)光重合開始剤:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)、イルガキュア(登録商標)184、(1−ヒドロキシシクロヘキシル)フェニルケトン。
(11)溶剤:メチルエチルケトン/メチルイソブチルケトン(質量比1/1)。
(12)二軸PET:東洋紡績(株)、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、コスモシャイン(登録商標)A4300、超高透明、両面易接着処理。
ウレタンアクリレートA[根上工業(株)、UN−901M、重量平均分子量3,600、官能基数9]100質量部、シリコーンアクリレートA[デグサ社、TEGO Rad2600、重量平均分子量17,000、アクリレート官能基数6、アセトン不溶性]0.3質量部及び光重合開始剤[チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)、イルガキュア184]5質量部を、メチルエチルケトン/メチルイソブチルケトン(質量比1/1)混合溶剤300質量部に添加して、塗料を調製した。
二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム[東洋紡績(株)、コスモシャイン A4300、超高透明、両面易接着処理、厚さ50μm]に、バーコーターを用いて塗料を乾燥塗膜厚さ2μmに塗工し、高圧水銀灯により紫外線を照射して塗料を硬化させ、ハードコートフィルムを作製した。
図1に、反射スペクトルを示す。得られたハードコートフィルムの最大ピーク高さは、0.14%であった。全光線透過率は、92.3%であった。面状態は、塗工面の荒れがややあり、やや不良であった。鉛筆硬度は、2Hであった。カールは、発生しなかった。虹彩は、ほとんど認められなかった。
実施例2
シリコーンアクリレートAの添加量を0.5質量部とした以外は、実施例1と同様にして、塗料を調製し、ハードコートフィルムを作製した。
得られたハードコートフィルムの最大ピーク高さは、0.10%であった。全光線透過率は、91.8%であった。面状態は、良好であった。鉛筆硬度は、2Hであった。カールは、発生しなかった。虹彩は、ほとんど認められなかった。
実施例3
シリコーンアクリレートAの添加量を2.5質量部とした以外は、実施例1と同様にして、塗料を調製し、ハードコートフィルムを作製した。
得られたハードコートフィルムの最大ピーク高さは、0.09%であった。全光線透過率は、90.3%であった。面状態は、塗工面の荒れがややあり、やや不良であった。鉛筆硬度は、3Hであった。カールは、発生しなかった。虹彩は、ほとんど認められなかった。
実施例4
シリコーンアクリレートAの代わりに、シリコーンアクリレートB[デグサ社、TEGO Rad2700、重量平均分子量15,000、アクリレート官能基数6、アセトン不溶性]1.0質量部を添加して塗料を調製し、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム[東洋紡績(株)、コスモシャイン A4300、超高透明、両面易接着処理、厚さ125μm]に塗工した以外は、実施例1と同様にして、ハードコートフィルムを作製した。
得られたハードコートフィルムの最大ピーク高さは、0.10%であった。全光線透過率は、91.0%であった。面状態は、良好であった。鉛筆硬度は、3Hであった。カールは、発生しなかった。虹彩は、ほとんど認められなかった。
ウレタンアクリレートAの代わりに、ウレタンアクリレートB[根上工業(株)、H−61、重量平均分子量1,300、官能基数6]を用い、シリコーンアクリレートA0.5質量部を添加して塗料を調製し、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム[東洋紡績(株)、コスモシャイン A4300、超高透明、両面易接着処理、厚さ75μm]に塗工した以外は、実施例1と同様にして、ハードコートフィルムを作製した。
得られたハードコートフィルムの最大ピーク高さは、0.09%であった。全光線透過率は、91.7%であった。面状態は、良好であった。鉛筆硬度は、2Hであった。カールは、発生しなかった。虹彩は、ほとんど認められなかった。
実施例6
ウレタンアクリレートAの代わりに、ウレタンアクリレートB[根上工業(株)、H−61、重量平均分子量1,300、官能基数6]を用い、シリコーンアクリレートAの代わりに、シリコーンアクリレートB[デグサ社、TEGO Rad2700、重量平均分子量15,000、アクリレート官能基数6、アセトン不溶性]0.5質量部を添加して塗料を調製し、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム[東洋紡績(株)、コスモシャイン A4300、超高透明、両面易接着処理、厚さ75μm]に塗工した以外は、実施例1と同様にして、ハードコートフィルムを作製した。
得られたハードコートフィルムの最大ピーク高さは、0.10%であった。全光線透過率は、91.9%であった。面状態は、良好であった。鉛筆硬度は、2Hであった。カールは、発生しなかった。虹彩は、ほとんど認められなかった。
実施例7
ウレタンアクリレートAの代わりに、ポリエステルアクリレート[東亞合成(株)、M−7100、重量平均分子量1,500]を用い、シリコーンアクリレートA0.5質量部を添加して塗料を調製した以外は、実施例1と同様にして、ハードコートフィルムを作製した。
得られたハードコートフィルムの最大ピーク高さは、0.12%であった。全光線透過率は、91.1%であった。面状態は、塗工面の荒れがややあり、やや不良であった。鉛筆硬度は、2Hであった。カールが、わずかに発生した。虹彩は、ほとんど認められなかった。
実施例8
ウレタンアクリレートAの代わりに、エポキシアクリレート[日本化薬(株)、R−3000、重量平均分子量650、官能基数4]を用い、シリコーンアクリレートA0.5質量部を添加して塗料を調製した以外は、実施例1と同様にして、ハードコートフィルムを作製した。
得られたハードコートフィルムの最大ピーク高さは、0.11%であった。全光線透過率は、90.8%であった。面状態は、塗工面の荒れがややあり、やや不良であった。鉛筆硬度は、2Hであった。カールが、わずかに発生した。虹彩は、ほとんど認められなかった。
シリコーンアクリレートAの添加量を0.1質量部とした以外は、実施例1と同様にして、ハードコートフィルムを作製した。
得られたハードコートフィルムの最大ピーク高さは、0.57%であった。全光線透過率は、92.1%であった。面状態は、塗料のハジキ欠点による塗工面の荒れが大きく、不良であった。鉛筆硬度は、2Hであった。カールは、発生しなかった。虹彩が、明瞭に認められた。
比較例2
シリコーンアクリレートAの添加量を5.0質量部とした以外は、実施例1と同様にして、ハードコートフィルムを作製した。
得られたハードコートフィルムの最大ピーク高さは、0.08%であった。全光線透過率は、88.4%であった。面状態は、塗膜の白化による塗工面の荒れが大きく、不良であった。鉛筆硬度は、3Hであった。カールは、発生しなかった。虹彩は、まったく認められなかった。
比較例3
シリコーンアクリレートAを添加することなく塗料を調製した以外は、実施例1と同様にして、ハードコートフィルムを作製した。
得られたハードコートフィルムの最大ピーク高さは、0.67%であった。全光線透過率は、92.3%であった。面状態は、良好であった。鉛筆硬度は、2Hであった。カールは、発生しなかった。虹彩が、明瞭に認められた。
比較例4
シリコーンアクリレートAの代わりに、シリコーンアクリレートC[デグサ社、TEGO Rad2500、重量平均分子量10,000、アクリレート官能基数2、アセトン可溶性]1.0質量部を添加して塗料を調製した以外は、実施例1と同様にして、ハードコートフィルムを作製した。
図2に、反射スペクトルを示す。得られたハードコートフィルムの最大ピーク高さは、0.67%であった。全光線透過率は、91.1%であった。面状態は、良好であった。鉛筆硬度は、2Hであった。カールは、発生しなかった。虹彩が、明瞭に認められた。
比較例5
シリコーンアクリレートAの代わりに、シリコーンメタクリレートD[東亞合成(株)、AK−5、重量平均分子量5,000、メタクリレート官能基数1、アセトン可溶性]1.0質量部を添加して塗料を調製した以外は、実施例1と同様にして、ハードコートフィルムを作製した。
得られたハードコートフィルムの最大ピーク高さは、1.42%であった。全光線透過率は、91.8%であった。面状態は、良好であった。鉛筆硬度は、3Hであった。カールは、発生しなかった。虹彩が、明瞭に認められた。
比較例6
シリコーンアクリレートAの代わりに、シリコーンアクリレートE[ダイセルユーシービー(株)、EB350、重量平均分子量5,200、アクリレート官能基数2、アセトン可溶性]1.0質量部を添加して塗料を調製した以外は、実施例1と同様にして、ハードコートフィルムを作製した。
得られたハードコートフィルムの最大ピーク高さは、1.57%であった。全光線透過率は、91.3%であった。面状態は、良好であった。鉛筆硬度は、2Hであった。カールは、発生しなかった。虹彩が、明瞭に認められた。
実施例1〜8の結果を第1表に、比較例1〜6の結果を第2表に示す。
ウレタンアクリレート100質量部当たりのアセトン不溶性のシリコーンアクリレートの含有量を0.3質量部とした実施例1のハードコートフィルムは、塗工面の荒れがややあり、面状態がやや不良である。ウレタンアクリレート100質量部当たりのアセトン不溶性のシリコーンアクリレートの含有量を2.5質量部とした実施例3のハードコートフィルムは、塗工面の荒れがややあり、面状態がやや不良である。ウレタンアクリレートの代わりに、ポリエステルアクリレートを用いた実施例7と、エポキシアクリレートを用いた実施例8のハードコートフィルムは、塗工面の荒れがややあり、面状態がやや不良であり、カールがわずかに発生する。
第2表に見られるように、ウレタンアクリレート100質量部当たりのアセトン不溶性のシリコーンアクリレートの含有量を0.1質量部とした比較例1のハードコートフィルムは、面状態が塗料のハジキ欠点による塗工面の荒れが大きく不良であり、また虹彩が明瞭に認められる。ウレタンアクリレート100質量部当たりのアセトン不溶性のシリコーンアクリレートの含有量を5.0質量部とした比較例2のハードコートフィルムは、全光線透過率が88.4%であって透明度がやや劣り、面状態が、塗膜の白化による塗工面の荒れが大きく、不良である。シリコーンアクリレートを含有しない塗料を用いた比較例3、アセトン可溶性のシリコーンアクリレート又はシリコーンメタクリレートを用いた比較例4、比較例5、比較例6のハードコートフィルムは、最大ピーク高さが0.67〜1.57%であって、いずれも虹彩が明瞭に認められる。
Claims (8)
- 基材フィルム(A)の上面に、(ア)(メタ)アクリレートモノマー及び/又は(メタ)アクリレートオリゴマー100質量部当たり、(イ)アセトン不溶性の反応結合型有機変性シリコーン(メタ)アクリレート0.2〜3.0質量部を含有する電離放射線硬化型塗料を硬化させてなるハードコート層(B)を有することを特徴とするハードコートフィルム。
- (ア)(メタ)アクリレートオリゴマーが、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーである請求項1記載のハードコートフィルム。
- ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが、重量平均分子量1,000〜20,000、(メタ)アクリレート官能基数1〜15である請求項2記載のハードコートフィルム。
- (イ)アセトン不溶性の反応結合型有機変性シリコーン(メタ)アクリレートが、重量平均分子量12,000〜20,000、(メタ)アクリレート官能基数5〜10である請求項1記載のハードコートフィルム。
- 基材フィルム(A)が、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムである請求項1記載のハードコートフィルム。
- 基材フィルム(A)の下面に、粘着剤層(C)を有する請求項1記載のハードコートフィルム。
- ハードコートフィルムが、ガラス飛散防止用ハードコートフィルムである請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のハードコートフィルム。
- 全光線透過率が、85%以上である請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載のハードコートフィルム。
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