JP4776097B2 - ドライフィルムレジスト - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリント配線板製造用途に適したアルカリ性水溶液によって現像可能なドライフィルムレジストに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、プリント配線板はフォトレジスト法によって製造されている。フォトレジスト法とは、光重合性樹脂組成物を銅張り積層板上に塗布してパターン露光して重合、硬化させた後、未露光部を現像液で除去し、エッチングまたはめっき処理を施してパターンを形成した後、硬化部分を銅張り積層板上から剥離除去する方法を言う。フォトレジスト法では、多くの場合、光重合性樹脂組成物を支持体に積層した光重合性樹脂積層体(ドライフィルムレジストと称する)が使用される。
【0003】
ドライフィルムレジストを用いてプリント配線板を作成する方法について、以下に簡単に述べる。まず保護フィルムを剥離した後、銅張り積層板等の永久回路形成用基板上にラミネーター等を用いてドライフィルムレジストを積層し、マスクフィルム等を通した紫外線露光によって配線パターンの焼付けを行う。次いで必要に応じて支持フィルムを剥離し、弱アルカリ水溶液等の現像液により未露光部分を溶解もしくは分散除去して現像し、基板上にレジスト画像を形成させる。形成されたレジスト画像を保護マスクとして公知のエッチング処理または、パターンめっき処理を行い、レジストを剥離して印刷回路基板を製造する。
【0004】
未露光部を弱アルカリ水溶液で現像するアルカリ現像型の光重合性樹脂組成物を用いた場合には、現像液中に未重合の組成物が溶解し,この溶解部分が現像液の凝集物となり、基板上に再付着してショート不良の原因となる。また、凝集物の発生を防ぐために、フィルターを通して現像液の循環を行っている場合には、凝集物の発生が多いと、フィルター交換頻度が高くなったり、現像機の洗浄のインターバルが短くなったりして、管理上の問題が起こる。このため、現像液の凝集物の発生を低減した光重合性樹脂組成物が望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題点を克服し、現像時に発生する凝集物を低減し、紫外線照射によって露光可能な、アルカリ性水溶液によって現像しうるドライフィルムレジストを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の化合物を必須成分とする光重合性樹脂組成物を使用することで上記課題を達成し得ることを見い出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、次の態様からなるものである。
(1)(a)α,β−不飽和カルボキシル基含有単量体を共重合成分とし、酸当量で100〜600、重量平均分子量が2万〜50万の熱可塑性重合体20〜90質量%、(b)少なくとも1つの末端エチレン性不飽和基を有する付加重合性モノマー5〜75質量%、(c)光重合開始剤0.01〜30質量%、(d)下記式[1]で示される化合物0.01〜30質量%を含むことを特徴とする光重合性樹脂組成物の層を、支持層上に形成してなるドライフィルムレジスト。
1−O−(A−O)n1−H [1]
(式中、R1は炭素数4〜20のアルキル基、もしくはアルキルフェニル基である。また、Aは−CH(CH3)CH2−、−CH2CH(CH3)−、及び−CH2CH2−から選択される基である(但し、Aは全てが−CH 2 CH 2 −である場合を除く)。n1は4以上60以下の整数である。−(A−O)−の繰り返し構造は、ランダムであっても、ブロックであってもよい。)
(2)(1)に記載のドライフィルムレジストを金属板または金属被覆絶縁板の表面に積層し、紫外線露光し、必要により支持層体フィルムを除去した後又は除去することなく、未露光部を現像により除去することを特徴とする、レジストパターンの形成方法。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明のドライフィルムレジストを構成する各成分について詳細に説明する。
(a)熱可塑性重合体としては、α,β−不飽和カルボキシル基含有単量体を共重合成分とし、酸当量で100〜600、重量平均分子量が2万〜50万のものを用いる。ここで、酸当量とは、その中に1当量のカルボキシル基を有するポリマーの質量をいう。また、熱可塑性重合体の光重合性樹脂組成物における配合割合は20〜90質量%である。
【0008】
熱可塑性重合体中のカルボキシル基は、光重合性樹脂組成物がアルカリ水溶液に対し現像性や剥離性を有するために必要である。その酸当量が100以下では塗工溶媒または他の組成物、例えばモノマーとの相溶性が低下し、600以上では現像性や剥離性が低下する。また、分子量が50万以上であると現像性が低下し、2万以下ではドライフィルムレジストに用いたとき、その厚みを均一に維持することが困難になるばかりでなく、現像液に対する耐性が悪化する。
【0009】
なお、酸当量の測定は、平沼レポーティングタイトレーター(COMTITE-7)を用い、0.1N水酸化ナトリウムで電位差滴定法により行われる。また、分子量は、日本分光製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(ポンプ:TRIROTAR-V, カラム:Shodex A-80M 二本直列、移動相溶媒:THF、ポリスチレン標準サンプルによる検量線使用)により、重量平均分子量として求められる。
アルカリ現像可能な光重合性樹脂組成物においては、上記の熱可塑性重合体は、一般に下記に示す2種類の単量体の中より、各々一種またはそれ以上の単量体を共重合させることによって得られる。
【0010】
第一の単量体は、分子中に重合性不飽和基を一個有するカルボン酸または酸無水物である。例えば、(メタ)アクリル酸、フマル酸、ケイ皮酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸半エステル等である。中でも、特に(メタ)アクリル酸が好ましい。
第二の単量体は、非酸性で、分子中に重合性不飽和基を一個有し、光重合性樹脂層の現像、エッチング、およびメッキ工程での耐性、硬化膜の可とう性等の種々の特性を維持するように選ばれる。このような単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、iso−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート類が挙げられる他、酢酸ビニル等のビニルアルコールのエステル類や(メタ)アクリロニトリル、スチレンまたは重合可能なスチレン誘導体が挙げられる。また、上記の重合性不飽和基を分子中に一個有するカルボン酸または酸無水物のみの重合によっても得ることができる。
【0011】
光重合性樹脂組成物中に含有される熱可塑性重合体の量は、20〜90質量%の範囲でなければならず、好ましくは、25〜70質量%の範囲である。熱可塑性重合体の量が90質量%を超えるかまたは、20質量%未満では、露光によって形成される硬化画像が十分にレジストとしての性能を発揮することができない。
(b)少なくとも1つの末端エチレン性不飽和基を有する付加重合性モノマーは、光重合性樹脂組成物中の5〜80質量%を占める。
【0012】
(b)少なくとも1つの末端エチレン性不飽和基を有する付加重合性モノマーの例としては、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコールアクリレート、無水フタル酸と2−ヒドロキシプロピルアクリレートとの半エステル化合物とプロピレンオキシドとの反応物(日本触媒化学社のOE-A200)、4−ノルマルオクチルフェノキシペンタプロピレングリコールアクリレート、2,2−ビス[{4−(メタ)アクリロキシポリエトキシ}フェニル]プロパン、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、またポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−ジ(p−ヒドロキシフェニル)プロパンジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシペンタエトキシフェニル)プロパン、ウレタン基を含有する多官能基(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エステル化合物等が挙げられる。
【0013】
(b)少なくとも1つの末端エチレン性不飽和基を有する付加重合性モノマーは、光重合性樹脂組成物中に5〜75質量%含まれており、より好ましい範囲は15〜70質量%である。少なくとも1つの末端エチレン性不飽和基を有する付加重合性モノマーが5質量%未満の場合は、硬化不良、現像時間の遅延を招き、75質量%を超えると、コールドフロー、硬化レジストの剥離遅延を招く。
(c)光重合開始剤としては、各種の活性光線、例えば紫外線などにより活性化され、重合を開始させることができる公知の開始剤が挙げられる。
【0014】
このような光重合開始剤としては、例えば、2−エチルアントラキノン、オクタエチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルアントラキノン、3−クロロ−2−メチルアントラキノンなどのキノン類、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン[4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン]、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどの芳香族ケトン類、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、メチルベンゾイン、エチルベンゾインなどのベンゾインエーテル類、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール、2−(O−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体等のビイミダゾール化合物、N−フェニルグリシン、N−メチル−N−フェニルグリシン、N−エチル−N−フェニルグリシン等のN−フェニルグリシン類、チオキサントン類とアルキルアミノ安息香酸の組み合わせ、例えばエチルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸エチル、2−クロルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸エチル、イソプロピルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸エチルとの組み合わせ、また、2−(O−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体とミヒラーズケトンとの組み合わせ、9−フェニルアクリジン等のアクリジン類、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−O−ベンゾインオキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシム等のオキシムエステル類がある。これらの開始剤の好ましい例としては、ジエチルチオキサントン、クロルチオキサントン等のチオキサントン類、ジメチルアミノ安息香酸エチル等のジアルキルアミノ安息香酸エステル類、ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2−(O−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、9−フェニルアクリジン、N−フェニルグリシン類、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0015】
本発明の光重合性樹脂組成物に含有される光重合開始剤の量は、0.01〜30質量%であり、好ましくは、0.05〜10質量%である。光重合開始剤が30質量%を超えると、光重合性樹脂組成物の活性吸収率が高くなり、ドライフィルムとして用いた場合、光重合層の底の部分の重合による硬化が不十分になる。また、光重合開始剤の量が0.01質量%未満では十分な感度がでなくなる。
【0016】
(d)下記式[1]で示される化合物としては、以下のようなものがある。
1−O−(A−O)n1−H [1]
(式中、R1は炭素数4〜20のアルキル基、もしくはアルキルフェニル基である。また、Aは−CH(CH3)CH2−および/または−CH2CH(CH3)−および/または−CH2CH2−であり、n1は4以上60以下の整数である。−(A−O)−の繰り返し構造は、ランダムであっても、ブロックであってもよい。)
例えば、オキシエチレン(2)オキシプロピレン(2)ブチルエーテル、オキシエチレン(20)オキシプロピレン(15)ブチルエーテル、オキシエチレン(15)ノニルエーテル、オキシプロピレン(15)ノニルエーテル、オキシエチレン(6)オキシプロピレン(2)ノニルエーテル、オキシエチレン(10)ノニルフェニルエーテル、オキシプロピレン(10)ノニルフェニルエーテル、オキシエチレン(10)オキシプロピレン(5)ノニルフェニルエーテル、オキシエチレン(8)セチルエーテル、オキシエチレン(8)オレイルエーテル等が挙げられる。( )内は直前に記載した構造の構成単位数であり、それらはブロック構造であってもランダム構造であっても良い。例えば、オキシエチレン(2)オキシプロピレン(2)ブチルエーテルと表記した場合は、下記の化学式を持つ化合物を意味し、オキシエチレン単位二個と、オキシプロピレン単位二個の配列は、それぞれの単位がランダムな結合体(ランダム構造)でも良いし、オキシエチレン単位二個だけで結合した部分とオキシプロピレン単位二個だけで結合した部分の結合体(ブロック構造)でもよい。。
【0017】
49−O−(CH2CH2O)2−[R4−O]2−H
(式中、R4は−CH(CH3)CH2−および/または−CH2CH(CH3)−である。)
中でも、オキシエチレン(6)オキシプロピレン(2)ノニルエーテル、オキシエチレン(10)ノニルフェニルエーテル、オキシエチレン(10)オキシプロピレン(5)ノニルフェニルエーテルが望ましい。これら上記式[1]で示される化合物は単独で使用しても、2種類以上併用しても構わない。
【0018】
上記式[1]で示される化合物は、光重合性樹脂組成物中に0.01〜30.0質量%含まれており、より好ましい範囲は0.1〜15質量%である。上記式(1)で示される化合物の量が0.01質量%未満では現像時の凝集物の十分な低減効果が得られず、30.0質量%を超えると現像液の発泡性が高すぎて、作業性に劣る。
本発明では、染料、顔料等の着色物質を採用することができる。例えばフタロシアニングリーン、クリスタルバイオレット、メチルオレンジ、ナイルブルー2B、ビクトリアブルー、マラカイトグリーン、ベイシックブルー20、ダイヤモンドグリーン等が挙げられる。
【0019】
変色剤は、露光により可視像を与えることができるように光重合性樹脂組成物中に添加される。このような発色系染料としては、ロイコ染料または、フルオラン染料とハロゲン化合物との組み合わせがある。ここで用いられる染料としては、前記染料のほかに、ハロゲン化合物として臭化アミル、臭化イソアミル、臭化イソブチレン、臭化エチレン、臭化ジフェニルメチル、臭化ベンザル、臭化メチレン、トリブロモメチルフェニルスルホン、四臭化炭素、トリス(2,3−ジルボモプロピル)ホスフェート、トリクロロアセトアミド、ヨウ化アミル、ヨウ化イソブチル、1,1,1−トリクロロ−2,2−ビス(p−クロロフェニル)エタン、ヘキサクロロエタン、トリアジン化合物等が挙げられる。
【0020】
また、本発明の熱安定性、光重合性樹脂組成物の保存安定性を向上させるために、光重合性樹脂化合物にラジカル重合禁止剤やベンゾトリアゾール類を含有させることは好ましいことである。
ラジカル重合禁止剤としては、例えば、p−メトキシフェノール、ハイドロキノン、ピロガロール、ナフチルアミン、tert−ブチルカテコール、塩化第一銅、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,2‘−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2‘−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、ニトロソフェニルヒドロキシアミンアルミニウム塩、ジフェニルニトロソアミン等が挙げられる。ラジカル重合禁止剤の添加量は、0.0001〜3質量%であり、好ましくは0.0005〜1質量%である。0.0001質量%未満では光重合性樹脂組成物が十分な保存安定性を示さず、3質量%を越えると光感度が低下する。
ベンゾトリアゾール類としては、例えば、カルボキシベンゾトリアゾールまたは下記式[2]に示される化合物がある。
【0021】
【化1】
Figure 0004776097
【0022】
(式中でR2,R3は水素又は炭素数が1〜6のアルキル基であり、m1は1〜3の整数である。)
上記の式[2]で示される化合物としては、N(N,N−ジ−2−エチルヘキシル)アミノメチレンカルボキシベンゾトリアゾール、N(N,N−ジ−2−ヒドロキシエチル)アミノメチレンベンゾトリアゾール、N(N,N−ジ−2−エチルヘキシル)アミノエチレンカルボキシベンゾトリアゾール等が挙げられる。
【0023】
カルボキシベンゾトリアゾールまたは式[2]に示される化合物の添加量は、0.01〜3質量%であり、好ましくは0.05〜1質量%である。0.01質量%未満では光重合性樹脂組成物が十分な保存安定性を示さず、3質量%を越えると光感度が低下する。
これらラジカル重合禁止剤やベンゾトリアゾール類化合物は単独で使用しても、2種類以上併用しても構わない。
【0024】
本発明の光重合性樹脂組成物には、必要に応じて可塑剤等の添加剤を含有させても良い。このような添加剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンモノメチルエーテル、ポリオキシプロピレンモノメチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンモノメチルエーテル、ポリオキシエチレンモノエチルエーテル、ポリオキシプロピレンモノエチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンモノエチルエーテル等のグリコール・エステル類、ジエチルフタレート等のフタル酸エステル類、o−トルエンスルフォン酸アミド、p−トルエンスルフォン酸アミド、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリ−n−プロピル、アセチルクエン酸トリ−n−ブチル等が挙げられる。
【0025】
本発明のドライフィルムレジストは、光重合性樹脂組成物の層と光重合性樹脂層を支持する支持層からなる。必要により、支持層と反対側の表面に保護層を持つこともある。支持層としては、活性光を透過する透明なものが望ましい。
活性光を透過する支持層としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、塩化ビニリデン共重合フィルム、ポリメタクリル酸メチル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、スチレン共重合体フィルム、ポリアミドフィルム、セルロース誘導体フィルムなどが挙げられる。これらのフィルムは必要に応じ延伸されたものも使用可能である。厚みは薄い方が画像形成性、経済性の面で有利であるが、強度を維持する必要等から10〜30μmのものが一般的である。
【0026】
保護層の重要な特性は、光重合性樹脂層との密着力について、支持層よりも保護層の方が充分小さく容易に剥離できることである。例えばポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等がある。また、特開昭59−202457号公報に示された剥離性の優れたフィルムを用いることができる。
光重合性樹脂層の厚みは用途において異なるが、プリント配線板、及び金属加工基材作製用には5〜100μm、好ましくは10〜80μmであり、薄いほど解像度は向上する。また厚いほど膜強度が向上する。
【0027】
次に、本発明のドライフィルムレジストを用いたプリント配線板製造工程を示す。
まず、ラミネーターを用い、保護層がある場合は保護層を剥離した後、光重合性樹脂層を金属表面に加熱圧着し積層する。この場合、光重合性樹脂層は金属表面の片面だけに積層しても良いし、両面に積層しても良い。この時の加熱温度は一般的に40〜160℃である。また、圧着は二回以上行うことにより密着性・耐薬品性が向上する。この時、圧着は二連のロールを備えた二段式ラミネーターを使用しても良いし、何回か繰り返してロールに通し圧着しても良い(二段式ラミネーターについては、特開昭63−7477号公報参照)。次に必要ならば支持層を剥離しマスクフィルムを通して活性光により画像露光する。
【0028】
次に、露光後光重合性樹脂層上に支持層がある場合には必要に応じてこれを除き、続いてアルカリ水溶液の現像液を用いて未露光部を現像除去し、レジスト画像を得る。アルカリ水溶液としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の水溶液を用いる。これらは光重合性樹脂層の特性に合わせて選択されるが、0.5〜3重量%の濃度、20〜40℃の炭酸ナトリウム水溶液が一般的である。該アルカリ水溶液中には、表面活性剤、消泡剤、現像を促進させるための少量の有機溶剤などを混入させてもよい。
【0029】
このようにして得られたレジスト画像は、場合によっては100〜300℃の加熱工程を使用することもできる。この加熱工程を実施することにより、更なる耐薬品性向上が可能となる。次に現像により露出した銅面をエッチング法、めっき法等、既知の方法をもちいて金属の画像パターンを形成する。その後、レジスト画像は一般的に現像で用いたアルカリ水溶液よりも更に強いアルカリ性水溶液により剥離される。剥離用のアルカリ水溶液についても特に制限はないが、2〜5wt%の濃度、40〜70℃の水酸化ナトリウム、水酸化カリウムの水溶液が一般的に用いられる。剥離液にも、少量の水溶性溶媒を加える事は可能である。
以下、実施例及び比較例を示すことにより本発明をさらに詳しく説明する。
【0030】
【実施例】
実施例および比較例は次の方法により行った。
【0031】
【実施例1】
(成分)
メタクリル酸メチル/メタクリル酸/アクリル酸n−ブチル(質量比が65/25/10)の組成を有し、酸当量が344であり、重量平均分子量が20万である共重合体の25%メチルエチルケトン溶液の固形分 25質量部
メタクリル酸メチル/メタクリル酸/スチレン(重量比が50/25/25)の組成を有し、酸当量が344であり、重量平均分子量が5万である共重合体の35%メチルエチルケトン溶液の固形分 25質量部
フェノキシヘキサエチレングリコールアクリレート 10質量部
ポリプロピレングリコール#400ジメタクリレート 10質量部
平均10モルのプロピレンオキサイドを付加したポリプロピレングリコールにエチレンオキサイドを更に両端にそれぞれ平均3モル付加したグリコールのジメタクリレート 20質量部
4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン 0.2質量部
2−(O−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体 4質量部
オキシエチレン(6)オキシプロピレン(2)ノニルエーテル(ランダム構造)5質量部
マラカイトグリーン 0.05質量部
ロイコクリスタルバイオレット 0.5質量部
(ドライフィルムレジストの作成)
上記に示す組成の光重合性樹脂組成物をよく攪拌、混合し、支持層としての厚さ20μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルムの表面にバーコーターを用いて均一に塗布し、95℃の乾燥機中にで4分間乾燥して光重合性樹脂層を形成した。光重合性樹脂層の厚みは40μmであった。
【0032】
次いで、上記光重合性樹脂層とポリエチレンテレフタレートフィルムからなる積層物の光重合性樹脂層側に保護層として30μm厚のポリエチレンフィルムを張り合わせてドライフィルムレジストを得た。
(現像液の凝集量の定量)
上記の方法によって作成した厚さ40μm、面積7.5m2のドライフィルムレジストを10Lの1wt%Na2CO3水溶液に溶解させ、容量10Lの現像機に入れて5時間循環させた。この現像液中に生じた凝集物を、ADVANTEC社製No.5Cの定量ろ紙にてろ過し現像液から分離した。得られた凝集物を乾燥機で一晩乾燥させて、凝集物の重量を測定した。
凝集物の量は、2.0gであった。
【0033】
参考実施例2】
実施例1における(成分)のオキシエチレン(6)オキシプロピレン(2)ノニルエーテル 5質量部を、オキシエチレン(10)ノニルフェニルエーテル5質量部とした以外は実施例1と同様に行った。凝集物の量は、2.5gであった。
【0034】
【実施例3】
実施例1における(成分)のオキシエチレン(6)オキシプロピレン(2)ノニルエーテル 5質量部を、オキシエチレン(10)オキシプロピレン(5)ノニルフェニルエーテル 5質量部とした以外は実施例1と同様に行った。
凝集物の量は、2.3gであった。
【0035】
【実施例4】
実施例1において、現像液に消泡剤AQデフォーマー203(商品名:旭化成製)を500ml添加した以外は実施例1と同様に行った。
凝集物の量は、1.1gであった。
【0036】
【実施例5】
実施例1における(成分)を以下のようにした以外は、実施例1と同様にドライフィルムレジストを作成し、現像液の凝集量の定量を行った。
凝集量は、1.9gであった。
(成分)
メタクリル酸メチル/メタクリル酸/アクリル酸n−ブチル(質量比が65/25/10)の組成を有し、酸当量が344であり、重量平均分子量が20万である共重合体の25%メチルエチルケトン溶液の固形分 25質量部
メタクリル酸メチル/メタクリル酸/スチレン(重量比が50/25/25)の組成を有し、酸当量が344であり、重量平均分子量が5万である共重合体の35%メチルエチルケトン溶液の固形分 25質量部
フェノキシヘキサエチレングリコールアクリレート 10質量部
ポリプロピレングリコール#400ジメタクリレート 10質量部
平均10モルのプロピレンオキサイドを付加したポリプロピレングリコールにエチレンオキサイドを更に両端にそれぞれ平均3モル付加したグリコールのジメタクリレート 10質量部
4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン 0.2質量部
2−(O−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体 4質量部
オキシエチレン(6)オキシプロピレン(2)ノニルエーテル(ランダム構造)5質量部
マラカイトグリーン 0.05質量部
ロイコクリスタルバイオレット 0.5質量部
ポリエチレングリコールモノメチルエーテル 5質量部
p−トルエンスルフォン酸アミド 5質量部
【0037】
【比較例1】
(成分)
メタクリル酸メチル/メタクリル酸/アクリル酸n−ブチル(質量比が65/25/10)の組成を有し、酸当量が344であり、重量平均分子量が20万である共重合体の25%メチルエチルケトン溶液の固形分 25質量部
メタクリル酸メチル/メタクリル酸/スチレン(質量比が50/25/25)の組成を有し、酸当量が344であり、重量平均分子量が5万である共重合体の35%メチルエチルケトン溶液の固形分 25質量部
フェノキシヘキサエチレングリコールアクリレート 10質量部
ポリプロピレングリコール#400ジメタクリレート 10質量部
平均10モルのプロピレンオキサイドを付加したポリプロピレングリコールにエチレンオキサイドを更に両端にそれぞれ平均3モル付加したグリコールのジメタクリレート 25質量部
4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン 0.2質量部
2−(O−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体 4質量部
マラカイトグリーン 0.05質量部
ロイコクリスタルバイオレット 0.5質量部
(ドライフィルムレジストの作成)
上記に示す組成の光重合性樹脂組成物をよく攪拌、混合し、支持層としての厚さ20μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルムの表面にバーコーターを用いて均一に塗布し、95℃の乾燥機中にで4分間乾燥して光重合性樹脂層を形成した。光重合性樹脂層の厚みは40μmであった。
【0038】
次いで、上記光重合性樹脂層とポリエチレンテレフタレートフィルムからなる積層物の光重合性樹脂層側に保護層として30μm厚のポリエチレンフィルムを張り合わせてドライフィルムレジストを得た。
【0039】
(現像液の凝集量の定量)
上記の方法によって作成した厚さ40μm、面積37.5m2のドライフィルムレジストを10Lの1wt%Na2CO3水溶液に溶解させ、容量10Lの現像機に入れて5時間循環させた。この現像液中に生じた凝集物を、ADVANTEC社製No.5Cの定量ろ紙にてろ過し現像液から分離した。得られた凝集物を乾燥機で一晩乾燥させて、凝集物の重量を測定した。
凝集物の量は、12.5gであった。
【0040】
【比較例2】
比較例1において、現像液に消泡剤AQデフォーマー203(商品名:旭化成製)を500ml添加した以外は比較例1と同様に行った。凝集物の量は、12.3gであった。実施例1、参考実施例2、実施例3では、比較例1と比べて凝集物発生量が、20%以下に抑えられた。消泡剤を加えた場合、実施例4と比較例2を比べると、凝集物発生量は、10%以下であった。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のドライフィルムレジストは、現像時に発生する凝集物を低減することができる。

Claims (2)

  1. (a)α,β−不飽和カルボキシル基含有単量体を共重合成分とし、酸当量で100〜600、重量平均分子量が2万〜50万の熱可塑性重合体20〜90質量%、(b)少なくとも1つの末端エチレン性不飽和基を有する付加重合性モノマー5〜75質量%、(c)光重合開始剤0.01〜30質量%、(d)下記式[1]で示される化合物0.01〜30質量%を含むことを特徴とする光重合性樹脂組成物の層を、支持層上に形成してなるドライフィルムレジスト。
    1−O−(A−O)n1−H [1]
    (式中、R1は炭素数4〜20のアルキル基、もしくはアルキルフェニル基である。また、Aは−CH(CH3)CH2−、−CH2CH(CH3)−、及び−CH2CH2−から選択される基である(但し、Aは全てが−CH 2 CH 2 −である場合を除く)。n1は4以上60以下の整数である。−(A−O)−の繰り返し構造は、ランダムであっても、ブロックであってもよい。)
  2. 請求項1に記載のドライフィルムレジストを金属板または金属被覆絶縁板の表面に積層し、紫外線露光し、必要により支持層体フィルムを除去した後又は除去することなく、未露光部を現像により除去することを特徴とする、レジストパターンの形成方法。
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