JP4033571B2 - 新規な光重合性組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は光重合性組成物および光重合性樹脂積層体に関し、更に詳しくは印刷回路板作製に適したアルカリ現像可能な光重合性組成物および光重合性樹脂積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、印刷回路作製用のレジストに支持層と光重合性層から成る、いわゆるドライフィルムレジスト(以下DFRと略称する)が用いられている。このDFRは、一般に支持フィルム上に光重合性組成物を積層し、多くの場合、さらに該組成物上に保護用のフィルムを積層することにより調製される。そして、ここで用いられる光重合層としては、現在、現像液として弱アルカリ水溶液を用いるアルカリ現像型が一般的である。
【0003】
DFRを用いてプリント回路板を作製するには、まず保護フィルムを剥離した後、銅張積層板等の永久回路作成用基板上にラミネーター等を用いDFRを積層し、配線パターンマスクフィルム等を通し露光を行う。次に必要に応じて支持フィルムを剥離し、現像液により未露光部分の光重合性組成物を溶解、もしくは分散除去し、基板上に硬化レジスト画像を形成させる。
【0004】
このようにして形成されたレジスト画像をマスクにして基板の金属表面をエッチング、またはめっきによる処理を行い、次いでレジスト画像を現像液よりも強いアルカリ水溶液を用いて剥離して、プリント配線板等を形成している。特に最近は工程の簡便さから貫通孔(スルーホール)を硬化膜で覆い、その後エッチングするいわゆるテンティング法が多用されている。エッチングは塩化第二銅、塩化第二鉄、銅アンモニア錯体溶液などが用いられる。
【0005】
最近では、プリント配線板の高密度化に伴いファインパターン化が進むにつれて高解像度、高密着性のDFRが要求されており、生産性向上のため現像時間が早いこともしばしば要求されている。また、剥離工程において剥離片形状が大きいと搬送ロールに絡みつくという不具合が生じるので剥離片形状は細片であることが必要である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
解像度、密着性を向上させるには、レジスト成分の二重結合濃度を上げ、現像時の膨潤性を押さえることにより達成されるが、このようなレジスト成分を用いた場合、剥離時間が遅く剥離片形状も大きくなる。一方、剥離片形状を細片にしようとするには、レジスト成分中に親水性基を持つ化合物を多く含有させることによって達成されるが現像時の膨潤性が増加し解像性が悪化する。このため、プリント配線板の高密度化に対応する高解像度を有し、且つ剥離工程でのトラブルをなくすために剥離片細片である光重合性組成物が望まれていた。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の線状重合体と特定の光重合可能な不飽和化合物の組み合わせにより、目的とする高解像性及び剥離片細片化が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本願の第一発明は、
(a)(i)非酸性で、分子中に重合性不飽和基を1個有し、フェニル基を有するビニル化合物、
(ii)分子中に重合性不飽和基を1個有するカルボン酸または酸無水物、及び
(iii)アルキル基1〜6個の炭素原子を有するアルキル(メタ)アクリレート、及びヒドロキシルアルキル基が2〜6個の炭素原子を有するヒドロキシル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1種類以上の化合物、
を共重合してなり、かつ重量平均分子量が3万以上6万以下の線状重合体、20〜90重量%、
(b)下記式(I)で表される光重合可能な不飽和化合物、3〜60重量%、
【0009】
【化4】
(式中、R1はHまたはCH3であり、R2は炭素数1〜15のアルキル基であり、n1は21〜30の整数である)
【0010】
(c)少なくとも二つの末端エチレン基を持つ光重合可能な不飽和化合物、5〜40重量%、
(d)光重合開始剤、0.01〜30重量%を含有し、かつ(b)の光重合可能な不飽和化合物と(c)の光重合可能な不飽和化合物との合計が7〜60重量%であることを特徴とする光重合性組成物である。
【0011】
本願の第二発明は、光重合可能な不飽和化合物(c)が下記式(II)または(III)で表される化合物のいずれか1種または、双方を含有してなる事を特徴とする請求項1記載の光重合性組成物である。
【0012】
【化5】
(式中、R3、R4はHまたはCH3でありこれらは同一であっても相違してもよい。n2、n3、n4は3〜20の整数である。)
【0013】
【化6】
(式中、R5、R6はHまたはCH3であり、これらは同一であっても相違してもよい。また、A、Bは−CH(CH3)CH2−または−CH2CH2−であり、これらは相異なる。n5+n6は2〜16、n7+n8は2〜16の整数でありn5、n6、n7、n8は正の整数である。)
【0014】
本願の第三発明は、支持体上に上記第一発明または第二発明の光重合性組成物からなる層を設けた光重合樹脂積層体である。
【0015】
なお、上記第一〜第三発明において、光重合開始剤(d)として、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノンまたは4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンと2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体の組み合わせを用いることは好ましい態様である。
【0016】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられる前記の一般式(I)の化合物はアルキル置換フェノールにエチレンオキサイドを公知の方法により付加した変性モノオールとアクリル酸またはメタクリル酸とのエステル化反応により得ることができる。また、一般式(I)の化合物においてnが20以下であると剥離片細片化に対する効果が充分ではなく、30を越えると充分な感度がでなくなる。
【0017】
前記の一般式(II)で表される化合物において、n2、n3、n4が3よりも小さいと当該化合物の沸点が低下して、レジストの臭気が強くなり、使用が著しく困難になる。また、n2、n3、n4が20を越えると実用的感度が得られない。
【0018】
前記の一般式(III)で表される化合物において、A及びBがプロピレングリコール鎖のような疎水性基を持つ化合物のみであるとベースポリマーとの相溶性が悪化したり、現像時のスカム発生の原因となり、現像時間も遅くなる。また、A及びBがエチレングリコール鎖のような親水性基を持つ化合物のみであると現像時の膨潤性が増加し解像性が悪化する。現像性と解像性を両立させるにはエチレングリコール鎖とプロピレングリコール鎖の双方を分子中に有する事が有効である。また、n5+n6及びn7+n8が16を越えると二重結合濃度が減少し充分な感度がでなくなる。n5+n6及びn7+n8は4〜12が好ましい。
【0019】
本発明の光重合性組成物には前記の一般式(I)で表わされる化合物が2〜30重量%含まれる事が必要があり、5〜15重量%含まれるのがより好ましい。2重量%より少ないと剥離片細片化に対する効果が充分でなく、また、30重量%を越えると充分な感度がでなくなる。
【0020】
本発明の光重合性組成物には、少なくとも二つの末端エチレン基を持つ光重合性化合物を含む事が必須である。前記の一般式(II)、(III)以外の光重合性化合物の例としては、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4ーシクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、またポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、2ージ(pーヒドロキシフェニル)プロパンジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、
【0021】
ポリオキシプロピルトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチルトリメチロールプロパントリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシペンタエトキシフェニル)プロパン、及びウレタン基を含有する多官能(メタ)アクリレート等がある。
【0022】
これらの光重合性化合物は一種類でもよく、又二種類以上を併用することもでき、一般式(II)、(III)の化合物とも併用できる。
使用量は5〜40重量%が好ましく一般式(I)の化合物との合計は7〜60重量%であることが必要である。7重量%未満では感度の点で充分ではなく、60重量%を越えると保存時の光重合性層のはみ出しが著しくなるため好ましくない。
【0023】
本発明の(a)成分の線状重合体に含まれるカルボキシル基の量は、酸当量で100〜600である必要があり、好ましくは300〜400である。線状重合体中のカルボキシル基は、DFRにアルカリ水溶液に対する現像性や剥離性を与えるために必要である。酸当量が100未満では、塗工溶媒または他の組成物、例えば、光重合性不飽和化合物(モノマー)との相溶性が低下し、600を越えると現像性や剥離性が低下する。
【0024】
また、本発明の線状重合体の分子量は3〜6万である必要がある。線状重合体の分子量が6万を超えると解像性が低下し、3万未満では保存時の光重合性層のはみ出しが顕著になり好ましくない。
【0025】
ここで酸当量とはその中に1当量のカルボキシル基を有するポリマーの重量を言う。なお、酸当量の測定は電位差滴定法により行われる。また分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により重量平均分子量(ポリスチレン換算)として求められる。
【0026】
本発明で用いられる線状重合体の共重合成分(i)は非酸性で分子中に重合性不飽和基を一個有し、フェニル基を有するビニル化合物を必須成分とする。
これらの化合物としては例えば、スチレン、メチルスチレン、及びスチレン誘導体が挙げられる。フェニル基を有するビニル化合物としては特にスチレンが好ましい。
【0027】
本発明で用いられる線状重合体の共重合成分(ii)は分子中に重合性不飽和基を一個有するカルボン酸または酸無水物である。これらの化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸、フマル酸、ケイ皮酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸半エステル等が挙げられる。
【0028】
本発明で用いられる線状重合体の共重合成分(iii)はアルキル基1〜6個の炭素原子を有するアルキル(メタ)アクリレート、及びヒドロキシルアルキル基が2〜6個の炭素原子を有するヒドロキシル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1種類以上の化合物である。これらの化合物としては例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、iso−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0029】
本発明に用いられる光重合開始剤(d)としては、各種の活性光線、例えば紫外線などにより活性化され重合を開始する公知の開始剤が挙げられる。
このような光重合開始剤としては例えば、2ーエチルアントラキノン、オクタエチルアントラキノン、1,2ーベンズアントラキノン、2,3ーベンズアントラキノン、2ーフェニルアントラキノン、2,3ージフェニルアントラキノン、1ークロロアントラキノン、2ークロロアントラキノン、2ーメチルアントラキノン、1,4ーナフトキノン、9,10ーフェナントラキノン、2ーメチル1,4ーナフトキノン、2,3ージメチルアントラキノン、3ークロロー2ーメチルアントラキノンなどのキノン類、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン[4,4’ービス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン]、4,4’ービス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどの芳香族ケトン類、
【0030】
ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、メチルベンゾイン、エチルベンゾインなどのベンゾインエーテル類、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール、2ー(oークロロフェニル)ー4,5ージフェニルイミダゾリル二量体等のビイミダゾール化合物、チオキサントン類とアルキルアミノ安息香酸の組み合わせ、例えばエチルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸エチル、2ークロルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸エチル、イソプロピルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸エチルとの組み合わせ、
【0031】
また、2ー(oークロロフェニル)ー4,5ージフェニルイミダゾリル二量体とミヒラーズケトンとの組み合わせ、9ーフェニルアクリジン等のアクリジン類、1ーフェニルー1,2ープロパンジオンー2ーoーベンゾイルオキシム、1ーフェニルー1,2ープロパンジオンー2ー(οーエトキシカルボニル)オキシム等のオキシムエステル類等がある。
【0032】
これらの開始剤の好ましい例としては、ジエチルチオキサントン、クロルチオキサントン等のチオキサントン類、ジメチルアミノ安息香酸エチル等のジアルキルアミノ安息香酸エステル類、ベンゾフェノン、4、4’ービス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4、4’ービス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2ー(οークロロフェニル)ー4、5ージフェニルイミダゾリル二量体、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0033】
特に高解像性には4,4’ービス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノンまたは4、4’ービス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンと2ー(oークロロフェニル)ー4,5ージフェニルイミダゾリル二量体の組み合わせが有効である。
【0034】
本発明の光重合性組成物に含有される光重合開始剤の量は、0.01重量〜30重量%であり、好ましくは、0.05重量〜10重量%である。光重合開始剤が30重量%を超えると光重合性組成物の活性吸収率が高くなり、光重合積層体として用いた場合、光重合層の底の部分の重合による硬化が不十分になる。また、光重合開始剤の量が0.01重量%未満では充分な感度がでなくなる。
【0035】
また、本発明の光重合性組成物の熱安定性、保存安定性を向上させるために、光重合性組成物にラジカル重合禁止剤を含有させることは好ましいことである。このようなラジカル重合禁止剤としては、例えば、p−メトキシフェノール、ハイドロキノン、ピロガロール、ナフチルアミン、tertーブチルカテコール、塩化第一銅、2,6ージ−tertーブチルーpークレゾール、2,2’ーメチレンビス(4ーエチルー6ーtertーブチルフェノール)、2,2’ーメチレンビス(4ーメチルー6ーtertーブチルフェノール)、ニトロソフェニルヒドロキシアミンアルミニウム塩、ジフェニルニトロソアミン等が挙げられる。
【0036】
本発明の光重合性組成物は、染料、顔料等の着色物質を含有させることもできる。このような着色物質としては、例えば、フクシン、フタロシアニングリーン、オーラミン塩基、カルコキシドグリーンS、パラマジエンタ、クリスタルバイオレット、メチルオレンジ、ナイルブルー2B、ビクトリアブルー、マラカイトグリーン、ベイシックブルー20、ダイヤモンドグリーン等が挙げられる。
【0037】
また光照射により発色する発色系染料を本発明の光重合性組成物に含有させることもできる。発色系染料としては、ロイコ染料またはフルオラン染料と、ハロゲン化合物の組み合わせがある。ロイコ染料としては、例えば、トリス(4ージメチルアミノー2ーメチルフェニル)メタン[ロイコクリスタルバイオレット]、トリス(4ージメチルアミノー2ーメチルフェニル)メタン[ロイコマラカイトグリーン]等が挙げられる。
【0038】
一方ハロゲン化合物としては臭化アミル、臭化イソアミル、臭化イソブチレン、臭化エチレン、臭化ジフェニルメチル、臭化ベンザル、臭化メチレン、トリブロモメチルフェニルスルフォン、4臭化炭素、トリス(2,3ージブロモプロピル)ホスフェート、トリクロロアセトアミド、ヨウ化アミル、ヨウ化イソブチル、1,1,1ートリクロロー2,2ービス(p−クロロフェニル)エタン、ヘキサクロロエタン、トリアジン化合物、等が挙げられる。
【0039】
トリアジン化合物としては、2,4,6ートリス(トリクロロメチル)ーs−トリアジン、2ー(4ーメトキシフェニル)ー4,6ービス(トリクロロメチル)ーs−トリアジンが挙げられる。また、このような発色系染料の中でもトリブロモメチルフェニルスルフォンとロイコ染料との組み合わせや、トリアジン化合物とロイコ染料との組み合わせが有用である。また本発明の光重合性組成物に必要に応じて可塑剤等の添加剤を含有させることもできる。
【0040】
DFR用の光重合性樹脂積層体とする場合には、上記光重合性樹脂組成物を支持層上に塗工する。支持層としては、活性光を透過する透明なものが望ましい。活性光を透過する支持層としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、塩化ビニリデン共重合体フィルム、ポリメタクリル酸メチル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、スチレン共重合体フィルム、ポリアミドフィルム、セルロース誘導体フィルム、等が挙げられる。これらのフィルムは必要に応じ延伸されたものも使用可能である。厚みは薄い方が画像形成性、経済性の面で有利であるが、強度を維持する必要から10〜30μmのものが一般的である。
【0041】
支持体層と積層した光重合性層の反対側の表面に、必要に応じて保護層を積層する。支持層よりも保護層の方が光重合性層との密着力が充分小さく容易に剥離できることがこの保護層としての重要な特性である。このような保護層としては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等が挙げられる。光重合性層の厚みは用途において異なるが、印刷回路板作製用には5〜100μm、好ましくは、5〜90μmであり、光重合層が薄いほど解像力は向上する。また、光重合層が厚いほど膜強度が向上する。
【0042】
この光重合性樹脂積層体を用いた印刷回路板の作製工程は公知の技術により行われるが、以下に簡単に述べる。
保護層がある場合は、まず保護層を剥離した後、光重合性層を印刷回路板用基板の金属表面に加熱圧着し積層する。この時の加熱温度は一般的に40〜160℃である。次に必要ならば支持層を剥離しマスクフィルムを通して活性光により画像露光する。次に光重合性層上に支持フィルムがある場合には必要に応じてこれを除き、続いてアルカリ水溶液を用いて光重合層の未露光部を現像除去する。アルカリ水溶液としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の水溶液を用いる。
【0043】
これらのアルカリ水溶液は光重合性層の特性に合わせて選択されるが、一般的に0.5〜3%の炭酸ナトリウム水溶液が用いられる。次に現像により露出した金属面に既知のエッチング法、またはめっき法のいずれかの方法を行うことにより、金属の画像パターンを形成する。その後、一般的に現像で用いたアルカリ水溶液よりも更に強いアルカリ性の水溶液により硬化レジスト画像を剥離する。剥離用のアルカリ水溶液についても特に制限はないが、1%〜5%の水酸化ナトリウム、水酸化カリウムの水溶液が一般的に用いられる。また、現像液や剥離液に少量の水溶性有機溶媒を加えることも可能である。
【0044】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的実施形態について、実施例で説明する。
【0045】
【実施例】
実施例1
表1に示された組成(実施例1の欄)の化合物を均一に溶解した。次にこの混合溶液を厚さ20μmのポリエチレンテレフタレートフィルムにバーコーターを用いて均一に塗布し、95℃の乾燥機中で4分乾燥した。この時の光重合性層の厚さは40μmであった。光重合性層のポリエチレンテレフタレートフィルムを積層していない表面上に25μmのポリエチレンフィルムを張り合わせ積層フィルムを得た。一方、35μm圧延銅箔を積層した銅張積層板表面を湿式バフロール研磨(スリーエム社製、商品名スコッチブライト#600、2連)し、この積層フィルムのポリエチレンフィルムを剥しながら光重合性層をホットロールラミネーターにより105℃でラミネートした。
【0046】
この積層体にマスクフィルムを通して、超高圧水銀ランプ(オーク製作所HMW−801)により80mJ/cm2で光重合性層を露光した。続いてポリエチレンテレフタレート支持フィルムを剥離した後、30℃の1%炭酸ナトリウム水溶液を約45秒間スプレーし、未露光部分を溶解除去したところ良好な硬化画像を得た。
また、本発明の光重合性組成物を用いた積層体について以下の評価を行った。
【0047】
(1)最小現像時間の測定
35μm圧延銅箔を積層した銅張り積層板にドライフィルムレジストのポリエチレンフィルムを剥がしながら光重合性層をホットロールラミネーターにより、105℃でラミネートした。続いて、この積層体のポリエチレンテレフタレート支持フィルムを剥離した後、30℃の1%炭酸ナトリウム水溶液をスプレーし、未露光の光重合性層が溶解する最小現像時間を測定し、その時間を最小現像時間とした。実際の現像はこの最小現像時間の2倍の時間で行った。
【0048】
(2)剥離性試験
35μm圧延銅箔を積層した銅張り積層板にドライフィルムレジストのポリエチレンフィルムを剥がしながら光重合性層をホットロールラミネーターにより、105℃でラミネートした。この積層体に超高圧水銀ランプ(オーク製作所HMW−801)により80mJ/cm2で光重合性層を露光した。続いてポリエチレンテレフタレート支持フィルムを剥離した後、30℃の1%炭酸ナトリウム水溶液を約45秒間スプレーした。得られた積層板を5cm角に裁断し、50℃、3%の苛性ソーダ水溶液に浸せきし、積層板から剥がれる時間を最小剥離時間とし、剥がれた硬化膜の形状(剥離片形状)を以下のようにランク付けした。
【0049】
LL;硬化膜が積層板から剥がれる時、亀裂がなくシート状で剥離される。
L ;硬化膜が積層板から剥がれる時、亀裂が生じて剥離された後、10mm〜20mm角程度の形状となる。
M ;硬化膜が積層板から剥がれる時、亀裂が生じて剥離された後、5mm〜10mm角程度の細片となる。
S ;硬化膜が積層板から剥がれる時、亀裂が多数生じて剥離された後、5mm角以下の微細片となる。
【0050】
(3)解像度
銅張積層板にラミネートされた積層体にラインとスペースが1:1であるマスクフィルムを通して超高圧水銀ランプ(オーク製作所HMW−801)により80mJ/cm2で露光した。続いて、ポリエチレンテレフタレート支持フィルムを剥離した後、30℃の1%炭酸ナトリウム水溶液を約45秒間スプレーした。得られた画像の分離し得る最小線幅を解像度とした。
【0051】
(4)細線密着性
銅張積層板にラミネートされた積層体に1本の硬化レジストラインが形成し得るマスクフィルムを通して超高圧水銀ランプ(オーク製作所HMW−801)により80mJ/cm2で露光した。続いて、ポリエチレンテレフタレート支持フィルムを剥がした後、30℃の1%炭酸ナトリウム水溶液を約45秒間スプレ−した。得られた1本の硬化レジストラインが完全に残っている最小の線幅を細線密着性とした。
【0052】
実施例2〜6、比較例1〜5
実施例1と同様の方法により、表1記載の組成の光重合性樹脂積層体を得、最小現像時間の測定、剥離性試験、解像度、細線密着性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0053】
【表1】
【0054】
<記号説明>
P−1:メタクリル酸メチル70重量%、メタクリル酸23重量%、アクリル酸ブチル7重量%の三元共重合体のメチルエチルケトン溶液(固形分濃度30%、重量平均分子量12万)
P−2:メタクリル酸メチル47重量%、メタクリル酸23重量%、スチレン30重量%の三元共重合体のメチルチルケトン溶液(固形分濃度32%、重量平均分子量4.5万)
M−1:トリメチロールプロパントリアクリレート
M−2:ナノプロピレングリコールジアクリレート
M−3:ナノエチレングリコールジアクリレート
M−4:β−ヒドロキシプロピル−β’−(アクリロイルキシ)プロピルフタレート
M−5:ノニルフェノールにエチレンオキサイドを2モル付加させたグリコールのメタクリレート
【0055】
M−6:ノニルフェノールにエチレンオキサイドを15モル付加させたグリコールのメタクリレート
M−7:ノニルフェノールにエチレンオキサイドを25モル付加させたグリコールのメタリレート
M−8:ノニルフェノールにエチレンオキサイドを30モル付加させたグリコールのアクリレート
M−9:平均8モルのプロピレンオキサイドを付加したポリプロピレングリコールにエチレンオキサイドをさらに両端にそれぞれ平均3モル付加したグリコールのジメタクリレート
M−10:ビスフェノールAの両端にそれぞれ平均3モルのプロピレンオキサイドを付加したポリプロピレングリコールと平均5モルのエチレンオキサイドを付加したポリエチレングリコールのジメタクリレート
【0056】
A−1:ベンゾフェノン
A−2:4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン
A−3:2−(ο−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体
B−1:マラカイトグリーン
B−2:ロイコクリスタルバイオレット
【0057】
【発明の効果】
本発明の光重合性樹脂組成物を用いたDFRは、高速現像処理が可能で剥離片形状が細片となり搬送ロールに絡み付くことなく良好な剥離性を有しており、かつファインライン形成に対応した高解像性でありアルカリ現像型回路板作製用DFRとして有用である。
Claims (3)
- (a)(i)非酸性で、分子中に重合性不飽和基を1個有し、フェニル基を有するビニル化合物、(ii)分子中に重合性不飽和基を1個有するカルボン酸または酸無水物、及び(iii)アルキル基1〜6個の炭素原子を有するアルキル(メタ)アクリレート、及びヒドロキシルアルキル基が2〜6個の炭素原子を有するヒドロキシル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1種類以上の化合物を共重合してなり、かつ重量平均分子量が3万以上6万以下の線状重合体、20〜90重量%、
(b)下記式(I)で表される光重合可能な不飽和化合物、2〜30重量%、
(c)少なくとも二つの末端エチレン基を持つ光重合可能な不飽和化合物、5〜40重量%、(d)少なくとも4,4’ービス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノンまたは4、4’ービス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンと2ー(oークロロフェニル)ー4,5ージフェニルイミダゾリル二量体との組み合わせを含む光重合開始剤、0.01〜30重量%を含有し、かつ(b)の光重合可能な不飽和化合物と(c)の光重合可能な不飽和化合物との合計が7〜60重量%であることを特徴とする光重合性組成物。 - 支持体上に請求項1または2記載の光重合性組成物からなる層を設けた光重合性樹脂積層体。
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