JP4326059B2 - 光重合性組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は光重合性組成物および光重合性樹脂積層体に関し、更に詳しくはプリント配線板作成に適したアルカリ現像可能な光重合性組成物および光重合性樹脂積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、プリント配線作成用のレジストとして支持層と光重合性層から成る、いわゆるドライフィルムレジスト(以下DFRと略称)が用いられている。DFRは、一般に支持フィルム上に光重合性組成物を積層し、多くの場合、さらに該組成物上に保護用のフィルムを積層することにより調製される。ここで用いられる光重合層としては、現在、現像液として弱アルカリ水溶液を用いるアルカリ現像型が一般的である。
【0003】
DFRを用いてプリント配線板を作成するには、まず保護フィルムを剥離した後、銅張積層板等の永久回路作成用基板上にラミネーター等を用いDFRを積層し、配線パターンマスクフィルム等を通し露光を行う。次に必要に応じて支持フィルムを剥離し、現像液により未露光部分の光重合性組成物を溶解、もしくは分散除去し、基板上に硬化レジスト画像を形成させる。
【0004】
このようにして形成されたレジスト画像をマスクとして基板の金属表面をエッチング、またはめっきによる処理を行い、次いでレジスト画像を現像液よりも強いアルカリ水溶液を用いて剥離して、プリント配線板等を形成する。特に最近は工程の簡便さから貫通孔(スルーホール)を硬化膜で覆い、その後エッチングするいわゆるテンティング法が多用されている。エッチングは塩化第二銅、塩化第二鉄、銅アンモニア錯体溶液などが用いられる。
【0005】
最近では、プリント配線板の高密度化に伴いファインラインに対応した高解像性が要求されている。また、露光後に検査機を導入して異物等による欠陥を生産ラインの早い段階で発見することによって生産性を上げようとする傾向がある。
露光後の欠陥検査機による判定は、未露光部と露光部を識別して行うものである。この検査機に適合するためには、感光層が露光後、きわめて良好なコントラストを有することが要求される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような検査機への適合性が極めて良好な露光後コントラストを有する光重合性組成物及びそれを用いたDFRを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の化合物を光重合性組成物の成分として用いることによって達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
1.(a)カルボキシル基含有量が酸当量で100〜600であり、かつ重量平均分子量が2万〜50万の(メタ)アクリル酸、フマル酸、ケイ皮酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸半エステルから選択される1種以上の第一の単量体とメチル(メタ)アクリレ−ト、エチル(メタ)アクリレ−ト、ブチル(メタ)アクリレ−ト、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレ−ト、スチレンから選択される1種以上の第二の単量体との共重合体である線状重合体、20〜90重量%、(b)少なくとも二つの末端エチレン基を持つ光重合性不飽和化合物、3〜60重量%、(c)光重合開始剤、0.01〜30重量%、(d)(i)下記一般式(I)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、0.01〜10重量%を含有する光重合性組成物、
【0008】
【化2】
【0009】
(式中、R1,R2は炭化水素基またはトリハロゲン置換メチル基を示す)
2.(b)としてビスフェノ−ルAの両端にそれぞれ平均3モルのプロピレンオキサイドを付加したポリプロピレングリコ−ルと平均5モルのエチレンオキサイドを付加したポリエチレングリコ−ルのジメタクリレ−トを含有する請求項1に記載の光重合性組成物、
3.上記光重合性組成物がドライフィルムレジスト用である1.又は2.に記載の光重合性組成物、
4.支持体上に1.又は2.に記載の光重合性組成物からなる層を設けた光重合性樹脂積層体、
5.4.に記載の光重合性樹脂積層体からなるドライフィルムレジスト、である。
【0010】
(i)一般式(I)で示される化合物、及び(ii)アゾメチン系色素化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物は、本発明の光重合性組成物中に0.01〜10重量%含まれる必要があり、0.1〜3重量%の範囲で含まれることがより好ましい。この量が0.01重量%より少ないと露光後のコントラストに対する効果が充分ではなく、また、この量が10重量%を越えると解像性が不良となる。露光後のコントラストは、日本電色工業社製色差計(SZII−Σ80 COLOR MEASURING SYSTEM)で測定した未露光部と露光部のLabの差を表す△Eで評価され、この△Eが高い程露光後のコントラストが良好である。この△Eの値としては、25以上であることが好ましく、さらに好ましくは30以上である。
【0011】
露光後の欠陥検査は、銅張り積層板にラミネ−トされた露光後の基板からゴミ等の異物を識別するために行われるものである。また、現像後の基板においても識別可能であるが、露光後の段階で識別することにより生産ラインの早い段階で欠陥を発見し生産性を向上させる事が可能である。
本発明の(a)成分の線状重合体に含まれるカルボキシル基の量は、酸当量で100〜600である必要があり、好ましくは300〜400である。線状重合体中のカルボキシル基は、DFRにアルカリ水溶液に対する現像性や剥離性を与えるために必要である。酸当量が100未満では、塗工溶媒または他の組成物、例えば、光重合性不飽和化合物(モノマー)との相溶性が低下し、600を越えると現像性や剥離性が低下する。
【0012】
また、本発明の線状重合体の分子量は、2〜50万である必要があり、3万〜25万が好ましい。線状重合体の分子量が50万を超えると現像性、解像性が低下し、これが2万未満では保存時の光重合性層のはみ出しが顕著になり好ましくない。ここで酸当量とはその中に1当量のカルボキシル基を有するポリマーの重量を言う。
【0013】
なお、酸当量の測定は電位差滴定法により行われる。また、分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により重量平均分子量(ポリスチレン換算)として求められる。
本発明で用いられる線状重合体は、下記の2種類の単量体の中より各々一種またはそれ以上の単量体を共重合させることにより得られる。第一の単量体は、分子中に重合性不飽和基を一個有するカルボン酸または酸無水物である。このような化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸、フマル酸、ケイ皮酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸半エステル等が挙げられる。また、第二の単量体は、非酸性で、分子中に重合性不飽和基を一個有し、光重合性層の現像性、エッチング及びめっき工程での耐性、硬化膜の可とう性等の種々の特性を保持するように選ばれる。このような化合物としては、例えば、メチル(メタ)アクリレ−ト、エチル(メタ)アクリレ−ト、ブチル(メタ)アクリレ−ト、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレ−ト等のアルキル(メタ)アクリレ−ト類が挙げられる。また、フェニル基を有するビニル化合物(例えばスチレン)も用いることができる。
【0014】
本発明の(b)成分としては、少なくとも二つの末端エチレン基を持つ光重合性不飽和化合物を含む事が必須である。このような光重合性化合物の例としては、1、6ーヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1、4ーシクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、またポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、2ージ(pーヒドロキシフェニル)プロパンジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチルトリメチロールプロパントリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、2、2ービス(4ーメタクリロキシペンタエトキシフェニル)プロパン、及びウレタン基を含有する多官能(メタ)アクリレ−ト等が挙げられる。これらの光重合性化合物は、一種類でも二種類以上を併用することもでき、また、フェノキシポリエチエングリコール、β−ヒドロキシプロピル−β’−(アクリロイルキシ)プロピルフタレート等の単官能モノマーと併用することもできる。
【0015】
このような(b)成分の使用量は、3〜60重量%が好ましく、3重量%未満では感度の点で充分ではなく、60重量%を越えると保存時の光重合性層のはみ出しが著しくなるため好ましくない。
本発明に用いられる(c)成分の光重合開始剤としては、各種の活性光線、例えば紫外線などにより活性化され重合を開始する公知の開始剤が用いられる。
【0016】
このような光重合開始剤としては、例えば、2ーエチルアントラキノン、オクタエチルアントラキノン、1、2ーベンズアントラキノン、2、3ーベンズアントラキノン、2ーフェニルアントラキノン、2、3ージフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、1、4−ナフトキノン、9、10−フェナントラキノン、2−メチル1、4−ナフトキノン、2、3−ジメチルアントラキノン、3−クロロ−2−メチルアントラキノンなどのキノン類、ベンゾフェノン、ミヒラ−ズケトン[4、4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン]、4、4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどの芳香族ケトン類、ベンゾイン、ベンゾインエチルエ−テル、ベンゾインフェニルエ−テル、メチルベンゾイン、エチルベンゾインなどのベンゾインエ−テル類、ベンジルジメチルケタ−ル、ベンジルジエチルケタ−ル、2−(οークロロフェニル)−4、5−ジフェニルイミダゾリル二量体等のビイミダゾール化合物、チオキサントン類とアルキルアミノ安息香酸の組み合わせ、例えばエチルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸エチル、2−クロルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸エチル、イソプロピルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸エチルとの組み合わせ、また、2−(ο−クロロフェニル)−4、5−ジフェニルイミダゾリル二量体とミヒラーズケトンとの組み合わせ、9−フェニルアクリジン等のアクリジン類、1−フェニルー1、2−プロパンジオン−2−ο−ベンゾイルオキシム、1−フェニルー1、2−プロパンジオン−2−(ο−エトキシカルボニル)オキシム等のオキシムエステル類等が挙げられる。
【0017】
これらの開始剤の好ましい例としては、ジエチルチオキサントン、クロルチオキサントン等のチオキサントン類、ジメチルアミノ安息香酸エチル等のジアルキルアミノ安息香酸エステル類、ベンゾフェノン、4、4’ービス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4、4’ービス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2ー(οークロロフェニル)ー4、5ージフェニルイミダゾリル二量体、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0018】
特により高解像性を求める場合には、4、4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノンまたは4、4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンと2−(oークロロフェニル)−4、5ージフェニルイミダゾリル二量体の組み合わせが有効である。
また、本発明の光重合性組成物の熱安定性、保存安定性を向上させるために、光重合性組成物にラジカル重合禁止剤を含有させることは好ましいことである。
【0019】
このようなラジカル重合禁止剤としては、例えば、p−メトキシフェノ−ル、ハイドロキノン、ピロガロ−ル、ナフチルアミン、tert−ブチルカテコール塩化第一銅、2、6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾ−ル、2、2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノ−ル)、2、2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノ−ル)、ニトロソフェニルヒドロキシアミンアルミニウム塩、ジフェニルニトロソアミン等が挙げられる。
【0020】
本発明の光重合性組成物は、染料、顔料等の着色物質を含有させることもできる。このような着色物質としては、例えば、フクシン、フタロシアニングリ−ン、オ−ラミン塩基、カルコキシドグリ−ンS,パラマジエンタ、クリスタルバイオレット、メチルオレンジ、ナイルブル−2B、ビクトリアブル−、マラカイトグリ−ン、ベイシックブル−20、ダイヤモンドグリ−ン等が挙げられる。
【0021】
また、本発明の光重合性組成物に光照射により発色する発色系染料を含有させることもできる。このような発色系染料としては、ロイコ染料またはフルオラン染料と、ハロゲン化合物の組み合わせが挙げられる。ロイコ染料としては、例えば、トリス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)メタン[ロイコクリスタルバイオレット]、トリス(4ージメチルアミノ−2−メチルフェニル)メタン[ロイコマラカイトグリ−ン]等が挙げられる。一方、ハロゲン化合物としては臭化アミル、臭化イソアミル、臭化イソブチレン、臭化エチレン、臭化ジフェニルメチル、臭化ベンザル、臭化メチレン、トリブロモメチルフェニルスルフォン、4臭化炭素、トリス(2、3ージブロモプロピル)ホスフェ−ト、トリクロロアセトアミド、ヨウ化アミル、ヨウ化イソブチル、1、1、1−トリクロロ−2、2−ビス(p−クロロフェニル)エタン、ヘキサクロロエタン等が挙げられる。また、このような発色系染料の中でもトリブロモメチルフェニルスルフォンとロイコ染料との組み合わせが有用である。
【0022】
また、必要に応じて本発明の光重合性組成物に可塑剤等の添加剤を含有させることもできる。
本発明の光重合性樹脂積層体(第二発明)とする場合には、上記光重合性樹脂組成物を支持層上に塗工する。
このような支持層の材料としては、活性光を透過する透明なものが望ましい。このような支持層の材料としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、塩化ビニリデン共重合体フィルム、ポリメタクリル酸メチル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、スチレン共重合体フィルム、ポリアミドフィルム、セルロース誘導体フィルム、等が挙げられる。これらのフィルムは必要に応じ延伸されたものも使用可能である。厚みは薄い方が画像形成性、経済性の面で有利であるが、強度を維持する必要から10〜30μmのものが一般的である。
【0023】
支持体層と積層した光重合性層の反対側の表面に、必要に応じて保護層を積層する。支持層よりも保護層の方が光重合性層との密着力が充分小さく容易に剥離できることがこの保護層としての重要な特性である。このような保護層としては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等が挙げられる。
光重合性層の厚みは用途において異なるが、プリント配線板作製用には5〜100μm、好ましくは、5〜90μmであり、光重合層が薄いほど解像力は向上する。また、光重合性層が厚いほど膜強度が向上する。
【0024】
この光重合性樹脂積層体を用いたプリント配線板の作成工程は公知の技術により行われるが、以下にその工程を簡単に述べる。
保護層がある場合は、まず保護層を剥離した後、光重合性層をプリント配線板用基板の金属表面に加熱圧着し積層する。この時の加熱温度は一般的に40〜160℃である。次に必要ならば支持層を剥離し、マスクフィルムを通して活性光により画像露光する。次に光重合性層上に支持層がある場合には必要に応じてこれを除き、続いてアルカリ水溶液を用いて光重合性層の未露光部を現像除去する。ここで用いられるアルカリ水溶液としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の水溶液を用いる。これらのアルカリ水溶液は光重合性層の特性に合わせて選択されるが、一般的に0.5〜3%の炭酸ナトリウム水溶液が用いられる。
【0025】
次に現像により露出した金属面に、既知のエッチング法、またはめっき法のいずれかの方法を用いて、金属の画像パターンを形成する。その後、一般的に現像で用いたアルカリ水溶液よりも更に強いアルカリ性の水溶液により硬化レジスト画像を剥離する。剥離用のアルカリ水溶液についても特に制限はないが、1%〜5%の水酸化ナトリウム、水酸化カリウムの水溶液が一般的に用いられる。また、現像液や剥離液に少量の水溶性有機溶媒を加える事も可能である。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的実施形態について、実施例で説明する。
【0027】
【実施例1】
表1に示された組成(実施例1の欄)の化合物を均一に溶解した。次にこの混合溶液を厚さ20μmのポリエチレンテレフタレートフィルムにバーコーターを用いて均一に塗布し、95℃の乾燥機中で3分間乾燥した。この時の光重合性層の厚さは30μmであった。光重合性層のポリエチレンテレフタレートフィルムを積層していない表面上に、25μmのポリエチレンフィルムを張り合わせ積層フィルムを得た。一方、35μm圧延銅箔を積層した銅張積層板表面を湿式バフロール研磨(スリーエム社製、商品名スコッチブライト#600、2連)し、この積層フィルムのポリエチレンフィルムを剥しながら光重合性層をホットロールラミネーターにより105℃でラミネートした。この積層体にマスクフィルムを通して、超高圧水銀ランプ(オーク製作所HMW−201KB)により80mJ/cm2で光重合性層を露光した。続いてポリエチレンテレフタレート支持フィルムを剥離した後、30℃の1%炭酸ナトリウム水溶液を約35秒間スプレーし、未露光部分を溶解除去したところ良好な硬化画像を得た。
【0028】
また、本発明の光重合性組成物を用いた積層体について以下の評価を行った。
(1)最小現像時間の測定
35μm圧延銅箔を積層した銅張り積層板にドライフィルムレジストのポリエチレンフィルムを剥がしながら光重合性層をホットロールラミネーターにより、105℃でラミネートした。続いて、この積層体のポリエチレンテレフタレート支持フィルムを剥離した後、30℃の1%炭酸ナトリウム水溶液をスプレーし、未露光の光重合性層が溶解する最小現像時間を測定し、その時間を最小現像時間とした。実際の現像はこの最小現像時間の1.5倍の時間で行った。
(2)解像度
銅張積層板にラミネートされた積層体にラインとスペースが1:1であるマスクフィルムを通して超高圧水銀ランプ(オ−ク製作所HMW−201KB)により80mJ/cm2で露光した。続いて、ポリエチレンテレフタレート支持フィルムを剥離した後、30℃の1%炭酸ナトリウム水溶液を約35秒間スプレーした。得られた画像の分離し得る最小線幅を解像度とした。
(3)露光コントラスト
銅張積層板にラミネートされた積層体に超高圧水銀ランプ(オーク製作所HMW−201KB)により80mJ/cm2で露光した。その直後、日本電色工業社製色差計(SZII−Σ80 COLOR MEASURING SYSTEM)により未露光部と露光部のLabを測定し、その差である△Eを測定した。
(4)露光後の欠陥検査
露光後の欠陥検査機としては、ヤチヨコ−ポレ−ション製のFPT−fast85を用いた。
【0029】
【実施例2、参考実施例3、実施例5〜6、比較例1〜5】
実施例1と同様の方法により、表1記載の組成の光重合性樹脂積層体を得、最小現像時間の測定、解像度、露光コントラストの評価を行った。結果を表1に示す。この表からわかるように、比較例1〜5の光重合性樹脂積層体を用いた場合には、△Eが20未満と低く、露光後の検査機適合性が悪かった。それに対し、実施例1〜6の光重合性樹脂積層体を用いた場合には、全て△Eが30以上であり、露光後の検査機適合性が良好であった。
【0030】
<記号説明>
P−1:メタクリル酸メチル70重量%、メタクリル酸23重量%、アクリル酸ブチル7重量%の三元共重合体のメチルエチルケトン溶液(固形分濃度30%、重量平均分子量12万)
P−2:メタクリル酸メチル47重量%、メタクリル酸23重量%、スチレン30重量%の三元共重合体のメチルチルケトン溶液(固形分濃度32%、重量平均分子量4.5万)
M−1:トリメチロールプロパントリアクリレート
M−2:テトラエチレングリコールジメタクリレート
M−3:ナノエチレングリコールジアクリレート
M−4:β−ヒドロキシプロピル−β’−(アクリロイルキシ)プロピルフタレ−ト
M−5:平均8モルのプロピレンオキサイドを付加したポリプロピレングリコ−ルにエチレンオキサイドをさらに両端にそれぞれ平均3モル付加したグリコ−ルのジメタクリレ−ト
M−6:ビスフェノ−ルAの両端にそれぞれ平均3モルのプロピレンオキサイドを付加したポリプロピレングリコ−ルと平均5モルのエチレンオキサイドを付加したポリエチレングリコ−ルのジメタクリレ−ト
A−1:ベンゾフェノン
A−2:4、4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン
A−3:2−(ο−クロロフェニル)−4、5−ジフェニルイミダゾリル二量体
B−1:ダイヤモンドグリーン
B−2:ロイコクリスタルバイオレット
X−1:2、4−トリクロロメチル(ピペロニル)−6−トリアジン(日本シーベルヘグナー社製トリアジンPP)
X−2:KAYASET YELLOW GN(日本化薬社製)
【0031】
【表】
【0032】
【発明の効果】
本発明の光重合性樹脂組成物を用いたDFRをプリント配線板製造に用いた場合には、露光後に極めて良好なコントラストを示すため、露光後の検査機適合性が良好であり、その生産性を極めて高くすること可能である。また、本発明のDFRはファインライン形成に対応した高解像性を有し、プリント配線板製造用アルカリ現像型DFRとして非常に有用である。
Claims (5)
- (a)カルボキシル基含有量が酸当量で100〜600であり、かつ重量平均分子量が2万〜50万の(メタ)アクリル酸、フマル酸、ケイ皮酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸半エステルから選択される1種以上の第一の単量体とメチル(メタ)アクリレ−ト、エチル(メタ)アクリレ−ト、ブチル(メタ)アクリレ−ト、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレ−ト、スチレンから選択される1種以上の第二の単量体との共重合体である線状重合体、20〜90重量%、(b)少なくとも二つの末端エチレン基を持つ光重合性不飽和化合物、3〜60重量%、(c)光重合開始剤、0.01〜30重量%、(d)(i)下記一般式(I)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、0.01〜10重量%を含有する光重合性組成物。
- (b)としてビスフェノ−ルAの両端にそれぞれ平均3モルのプロピレンオキサイドを付加したポリプロピレングリコ−ルと平均5モルのエチレンオキサイドを付加したポリエチレングリコ−ルのジメタクリレ−トを含有する請求項1に記載の光重合性組成物。
- 上記光重合性組成物がドライフィルムレジスト用である請求項1又は2に記載の光重合性組成物。
- 支持体上に請求項1又は2に記載の光重合性組成物からなる層を設けた光重合性樹脂積層体。
- 請求項4に記載の光重合性樹脂積層体からなるドライフィルムレジスト。
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