JP4776087B2 - 屋根パネル及びそれを用いた屋根アレイ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、屋根取付用基台の上に、太陽電池、集熱器、ガラス板や屋根瓦等を配した板状体などの屋根設置物を一体的に設けた屋根パネル、及びこの屋根パネルの複数を屋根下地上で連結して並設した屋根アレイに関し、特に、太陽電池を備えた屋根パネルを施工現場において、家屋の屋根取付け部に組付ける工業化住宅の屋根に好適な屋根構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
図8に示すように、 屋根パネルJは、太陽電池、集熱器、ガラス板や屋根瓦を配した板状体などの屋根設置物5を、屋根取付用基台である下地基板1と一体的に組付けて成るものであり、同一構成を成す屋根パネルJの複数を、施工中の家屋における屋根取付け部に設置された軒桁に取付けることにより、屋根を構成するものである。
【0003】
下地基板1は主に合板等の木材を主とする構成であり、この下には縦材2及び横材3を配し、家屋の屋根取付け部に設置された軒桁の箇所に取付け用の金具4で固定している。また、屋根パネルJは、主に予め工場等で組立てられた状態で現場に輸送され、現場で組付ける屋根取付け部に、クレーン等を用いて容易に移動させることができる。そして、屋根取付け部には木製または金属製の軒桁が設けられ、これに屋根パネルJを釘やボルトで固定することにより屋根を構成する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述した屋根パネルは、家屋の屋根取付け部に組付ける構造上、寸法誤差等により隣合う屋根パネルの下地基板どうしを隙間無く組付けることは困難であるので、このようにして生じた隙間を放置すれば、雨水が家屋内に侵入して、結露や浸水により木材や金属類の腐食等を生じさせ、その結果、家屋の寿命を縮めたり、美観を損ねるなどの要因となる。
【0005】
そこで、屋根パネルの設置後、例えば下記(1),(2)に示すように、隣合う屋根パネルの間に止水処理を行うのが一般的である。
【0006】
(1):図9(a)〜(c)に示すように、屋根パネルの固定後に、この隙間を封止するために、カバー30、キャップ31、ガスケット32といった止水材を屋根パネル間の隙間にはめ込む作業が行われる(例えば、特開平7−180310号公報を参照)。
【0007】
(2):屋根パネルの端部に止水用の封止構造を構成し、屋根パネルと屋根パネルの間に、予め止水用封止部の受け部を設ける構造が提案されている(例えば、特開平9−317090号公報を参照)。
【0008】
しかし、これらの作業(上記(1)、(2)とも野地板間の隙間からの雨水の侵入を防止しようとする作業)は屋根パネル設置後に、屋根パネル上で人力によって行わなければならず、作業者や工具・部品の滑落防止を配慮しなければならない。その上、太陽電池をはじめとする、通常の屋根材よりも摩擦抵抗の少ないガラス、セラミックス、樹脂、金属などで構成されている屋根パネル上での作業は、滑落の危険度はよりいっそう高くなる。また、作業中に屋根設置物を破損させることもある。このため、屋根パネル上での作業にあたっては高度の熟練者が必要となり作業従事者が限定される。
【0009】
さらに、屋根パネルの寸法誤差等によって生ずる屋根パネル間の隙間の長さは一定ではないので、挿入するゴム材から成る止水物の硬度が、それらの誤差範囲に対応できる適切なものでなければ十分な止水効果が得られず、結局は水が侵入して前述の問題を誘発する。作業者の熟練度等による止水処理作業の仕上がりバラツキも生じる。
【0010】
一方、前述の止水処理とは逆に、屋根裏側から、下地基板もしくは屋根パネル間の隙間に止水処理を施す場合、家屋の屋根裏側から屋根パネルへ作業が可能な新築時では、天井や断熱材等の遮蔽物はないため、比較的容易に作業が可能であるが、天井の施工が完了してからの屋根パネルの修理・交換時の止水処理作業は困難になる。さらに、作業者の熟練度等による止水処理作業の仕上がりバラツキや施工ミスの問題は解決されない。
【0011】
また前述の(2)の場合では、家屋の屋根裏側から取付け作業することになるが、天井の施工が完了してからの屋根パネルの修理・交換作業の困難度は改善されない。
【0012】
そこで本発明は、上述の諸問題に鑑み案出されたものであって、設置外観に優れ、設置作業、取り外し・交換作業が容易で、かつ止水処理のための特別な作業を不要とした、優れた屋根パネル及びそれを用いた屋根アレイを提供することを目的とする。
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の屋根アレイは、太陽電池モジュールを屋根取付用基台上に設けた複数の屋根パネルが配置された屋根アレイであって、前記一の屋根パネルの一方端部において屋根取付用基台の上面が露出されるとともに、前記一の屋根パネルの他方端部の太陽電池モジュール上面と、前記他方端部側に隣り合う他の屋根パネルの一方端部側の太陽電池モジュール上面とを跨いで覆うトップカバーと、前記一の屋根パネルの他方端部の屋根取付用基台上面と、前記他の屋根パネルの一方端部側の屋根取付用基台上面とを跨いで覆う止水材と、を備えたカバー体が設けられている。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る屋根パネル及びその複数を組み合わせて構成される屋根アレイの実施形態について、模式的に図示した図面に基づき詳細に説明する。なお、同様な部材には同一符号を付すものとし、重複した説明を省略する。ここでは、予め工場等で組立てた太陽電池付き屋根パネルを、施工現場において家屋の屋根取付け部に組み合わせて屋根アレイを作製する工業化住宅を例にとり説明する。
【0017】
図1に本発明に係る屋根パネルSの全体概略構成を斜視図にて示す。また、図2に複数の屋根パネルSを屋根に取付け屋根アレイを構成する様子を斜視図にて示し、図3(a)に隣合う屋根パネルSにおける縦レールL1、L2、R1、R2の位置関係を正面図で、図3(b)に側面図で、図3(c)に断面図で示す。
【0018】
図1に示すように、屋根パネルSは、主に合板等の木材から成る屋根取付用基台である下地基板1の上に、屋根設置物である太陽電池モジュール5が一体的に取付けられている。また、下地基板1の下部には、縦方向枠材である縦材2があり、さらにその下部には横方向枠材である横材3が取付けられる。これら縦材2や横材3は主に木や金属で構成されており、横材3及び/又は縦材2には、図3(b)に示すように、家屋の屋根取付け部20にある軒桁21との組付け用の金具4が取付けられている。また、下地基板1の左右いずれか一方端部上面1a(この実施形態では図示右)を露出するとともに、該下地基板1の他方端部上面と他の屋根パネルの前記一方端部上面1aを覆うトップカバーTおよび止水材6を備えたカバー体Cを設けて成る。なお、縦方向とは屋根の棟から軒先側へ向かう方向を指し、横方向とは縦方向に対して直交する方向のことを指すものとする。
【0019】
ここで、太陽電池モジュール5は、耐候性に優れたアクリル系やシリコーン系の樹脂、EVA等から成る充填材で封止された太陽電池セルを、受光面となる透光性のガラス基板や樹脂基板で構成されるフロントカバーと、耐候性に優れたフィルム等を用いた裏面のバックカバーとの間に挟んで構成されている。
【0020】
また、止水材6は、弾力のある止水効果の高い材質、たとえばEPDM(ethylene propylene diene rubber;EPT)やゴム、シリコーンなどの弾性部材が使用されており、外側左縦レールL2の下部に取付けられる。
【0021】
カバー体Cは、トップカバーT、外側左縦レールL2、止水材6とで構成され、カバー体Cと屋根パネルSの組み合わせでも止水構造が構成可能としている。
【0022】
これら部材は予め工場等で組立てが行われており、これとは別に現場や工場で施工された家屋の屋根取付け部20、クレーン等により移動して釘やボルト等で固定される。屋根パネルSは工場で組立てられているので、現場で工事が行われる住宅に対して、短い工期で安定した品質が得られる。
【0023】
ところで、従来、屋根パネルの下地基板は、下地基板自体や屋根取付け部における取付位置の寸法誤差等を吸収する必要があり、屋根パネルの設置場所より小さくしている。これにより、家屋の屋根取付け部に屋根パネルを施設したとき、隣接する屋根パネルとの間にわずかな隙間が生じる。この隙間からの水の侵入を防止するため、この部分にカバーやキャップ、ガスケットといった止水材を設けるか、継ぎ目内部で止水構造を設けることで、下地基板間の隙間から水が侵入することを防止している。
【0024】
一方、本発明では、複数の屋根パネルSを並設した際に、隣接する下地基板1どうしの間に隙間は生じるが、図3(c)に示すように、前述の寸法誤差を吸収するだけの幅のゴムやシリコーンなどの、弾性体やパッキンなどによる防水材で構成される止水材6で下地基板1、1間の隙間を封止する構造を主軸に、継ぎ目外部の太陽電池パネル表面とトップカバーの隙間の止水構造K2、継ぎ目内部の外側左縦レールL2、外側右縦レールR2との隙間の止水構造K3を設ける。これにより、屋根パネルSを家屋の屋根取付け部20に組付けることで結果的に止水構造が構成されるようになっている。
【0025】
具体的には、図3(c)に示すように、屋根パネルSは、下地基板1の上にアルミニウム等の材料を押し出し加工で形成された外側左縦レールL2を下地基板1にネジ等で固定し、太陽電池モジュール5の枠材であり、外側左縦レールL2と同様にして形成された内側左縦レールL1を外側左縦レールL2の係止溝L2aに押し広げ、引っ掛け形状の固定金具Gで固定した後、外側左縦レールL2上部に金属や樹脂から成るトップカバーTを取付ける。同様にして外側右縦レールR2には太陽電池モジュール5を固定するための係止溝R2aがあり、この係止溝R2aに太陽電池モジュール5の内側右縦レールR1と固定金具Gをはめて太陽電池モジュール5を固定する。
【0026】
外側左縦レールL2の上部には、太陽電池モジュール5の端部5aの上面と、隣接する屋根パネルの太陽電池モジュール端部5bの上面と跨いで覆うトップカバーTが設けられており、屋根パネルを施工し、外側左縦レールL2と外側右縦レールR2が組み合わされると、第1の止水構造K2が構成されるようになっている。
【0027】
また、外側右縦レールR2の端部R2bと、外側左縦レールL2の中央部から外側右縦レールR2に向けて延びた突出部L2bの最終端部がかえしをつくり、第2の止水構造K3が構成される。このとき、前述の外側右縦レールR2の溝部Mは排水溝としての役割を兼ねる。
【0028】
なお、外側左縦レールL2は下地基板1よりも外側に突出しており、その下部には止水材6が取付けられ、トップカバーTと組み合わさってカバー体Cを形成している。
【0029】
一方、太陽電池モジュール5を挟んで反対側にある外側右縦レールR2は、下地基板1の端部1bよりも内側にあり、隣接する屋根パネルのカバー体Cの突出部Caを受ける構造となっている。
【0030】
カバー体Cの下部に設けた止水材6は、隣接する屋根パネルの下地基板1との間の隙間を覆うように配されており、水が前述した第1及び第2の止水構造を突破してきても、下地基板1間の隙間から屋根内に入り込むことが出来ないように第3の止水構造を構成している。
【0031】
また、屋根パネルSを家屋の屋根取付け部20に存在する軒桁21に、ボルト22等で締め付けることでカバー体Cが止水材6を下地基板1に押さえつけ、封止効果が増すように構成している。なお、これらはすべて屋根パネルSを家屋の屋根取付け部20に組付けることによって、自然に構築されるものであって、止水処理のための特別な作業を何ら必要とせず、作業コストの削減となる上、作業者の熟練度やヒューマンエラーによる品質のバラツキをなくし、装置全体の品質や美観をも向上させる。
【0032】
また、従来、屋根パネルの家屋の屋根取付け部20に設けた軒桁21への取付け方法としては、屋根面からボルト締めする方法と、屋根裏側からボルト締めする方法が知られている。
【0033】
前者の方法では不安定な屋根上での作業を行わなければならないため、専門の職人による作業に頼らざるを得ない箇所がある上に、太陽電池や集熱器等の通常の屋根材よりも表面の摩擦抵抗の少ない構造体上での作業をすることがあるので、滑落の危険性が高く作業安全上好ましくない。また、後者では新築等で天井や断熱材等の遮蔽物のない時は家屋の屋根裏側から屋根パネルへのアクセスが比較的容易に行え、熟練した職人以外の作業者にも安全な作業が可能であり、人件コストも安くて済むが、天井の施工が完了した後は屋根裏の作業スペースがきわめて狭くなっており、屋根パネルの修理・交換時の止水処理作業は困難なものになる。
【0034】
これに対して、本発明では、下地基板1と太陽電池モジュール5を一体的に構成したした屋根パネルSとして製造しているが、下地基板1と屋根設置物である太陽電池モジュールは分離が可能な構造とし、屋根パネルSと家屋の屋根取付け部20にある軒桁21の取付作業は屋根裏側からボルト締めで行い、万一、屋根設置物である太陽電池モジュールが破損した場合には、太陽電池モジュール5だけを屋根面の側から取外し、交換が行えるようにする。
【0035】
具体的には、屋根パネルSと家屋の屋根取付け部20にある軒桁21の取付作業は従来の屋根裏側からボルト締めで行える構造とし、熟練した職人以外の作業者にも安全な作業を提供するとともに、カバー体Cの外側左縦レールL2上部にあるトップカバーTを取外すことにより、太陽電池モジュール5側に設ける内側左縦レールL1を外側左縦レールL2に固定している固定金具Gを取外すことができるようにし、図6に示すように、太陽電池モジュール5を軒先側から開口し取外す。このとき、下地基板1はそのまま残されているので、屋根パネルSと軒桁21のボルト締めを緩めるための屋根裏作業を行わなくて済み、屋根裏の狭い空間で行っていた作業が不要となることで、作業者の負担を軽減することができる。
【0036】
さらに、屋根パネルSもしくは屋根設置物である太陽電池モジュールだけを交換した後においても、それらを設置し直すだけで自然に多段の止水構造が再構築されるので、止水処理のための特別な作業を必要とせず、作業コストの削減となる上、作業者の熟練度やヒューマンエラーによる品質のバラツキをなくし、装置全体の品質や美観も向上させる。
【0037】
このように、屋根パネルSのカバー体Cを下地基板1よりも外側に突出させ、その下部の止水材6を隣接する屋根パネルSの下地基板1との間の隙間を覆うように配し、かつ外側右縦レールR2は下地基板1の端部1bよりも内側にあり、隣接する屋根パネルSのカバー体Cの突出部Caを受ける構造とし、かつ屋根パネルSの金具4の箇所を屋根裏側から締めつける構造とすることにより、従来、屋根パネルSの設置後に行っていた下地基板1間、もしくは屋根パネルS間、または双方の止水処理の作業を不要とするとともに、止水効果に優れ設置・交換が簡便に行え、しかも安定した品質で設置外観のよい優れた屋根パネルSを提供できる。
【0038】
また、図4(a),(b)に示すように、屋根パネルSの末端も同様のレール構造の屋根端部用末端処理用のカバー35で受けるようにすることで、末端に配置された屋根パネルSの施工性の良さを失わせないとともに、図5に示すような屋根パネルと屋根との一体的な外観を成すことができる。
【0039】
次に、本発明に係る屋根パネルの変形例について説明する。
【0040】
図7(a)に示す屋根パネルS2は、カバー体Cの外側左縦レールL2を下地基板1Lよりも外側に突出させたその下部に、比較的容易に変形する下に凸形状を成す弾性部材である止水材7を、隣接する屋根パネルSの下地基板1Rとの間の隙間を覆うように配し、かつ外側右縦レールR2は下地基板1Lの端部よりも内側にあり、隣接する屋根パネルSのカバー体Cの突出部を受ける構造としている。なお、図中5L、5Rは太陽電池モジュールである。
【0041】
この実施形態によれば、例えば家屋の屋根が経年変化によってゆがみが生じ、下地基板1Lと下地基板1Rの間に段差が生じたとしても、止水材7と下地基板1L、1Rの隙間から雨水が屋内に侵入し、家屋の寿命を縮めるといったことがなく、止水効果を保つことが可能であるといった利点があるだけでなく、新築時においても屋根のゆがみが生じていても問題なく施工できるので、補修による工期の遅れなどを極力なくす効果がある。
【0042】
また、図7(b)に示すように、屋根設置物である太陽電池モジュールを固定する内側右縦レールR1が外側右縦レールR2とネジ止め、溶接、もしくは一体成型とし、内側左縦レールL1を図示の方向に引き上げることで内側右縦レールR1から引き抜けるような構造にしてもよい。この場合、太陽電池モジュール5Lの交換時において縦レールの取り外し本数を内側左縦レールL1の1本に削減することが可能である。太陽電池モジュール5Lのはめ込みはこの逆手順で行われる。トップカバーT2は外側左縦レールL2の上部の突起L2cに圧入することで固定される構造となっており、交換作業時にトップカバーT2の取付け、取外しを容易かつ簡便にするとともに、太陽電池モジュール5Lの取付け・取外し時にトップカバーT2が押し上げられる際のゆがみを吸収する役割を果たしている。また、取外しを行うボルトの数量を減らすことができるので、工具やボルトの落下の危険度が減少する。なお、このトップカバーT2は金属や樹脂等で構成してもよい。
【0043】
このように、カバー体Cの下部に止水材7を配し、取付けの施工を行うことにより止水構造が構成されることで、施工・交換作業の作業性を向上させる。
【0044】
なお本実施形態では、屋根パネルとして太陽光を利用した太陽電池一体型屋根パネルを例にとり説明したが、これに限定されるものではなく、例えば大気熱を利用した太陽熱集熱器一体型の屋根パネル、太陽電池モジュールと太陽熱集熱器とを並設した構造の屋根パネル、屋根瓦一体型の屋根パネル、採光用のガラス屋根など、下地基板の上に屋根設置物を一体的に配した屋根パネルにおいて、屋根パネルを施工することで結果的に下地基板間から屋根内への水の侵入を防止する止水構造となる構成であれば適用が可能であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更し実施が可能である。
【0045】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の屋根パネルによれば、下地基板上に太陽電池や集熱器、ガラス板や屋根瓦を配した板などの屋根設置物を一体的に配し、縦レールを有するカバー体が太陽電池や集熱器、ガラス板や屋根瓦を配した板などを下地基板に固定するだけでなく、左右いずれか一方、もしくは双方が自身の屋根パネルの下地基板と、隣合う屋根パネルの下地基板との隙間を覆い隠すように突出した構造であり、その突出部底面には下地基板間の隙間を止水処理するための止水物があることとしたので、屋根パネルを施工することにより、結果的に、カバー体と下地基板が組み合わされ、第1の止水構造、第2の止水構造、排水溝が構成され、かつカバー体下部の止水材が、下地基板間の隙間から屋根内への侵入を防ぐ第3の止水構造となり、特に止水処理作業を必要としない優れた屋根パネルを提供できる。
【0046】
また、屋根パネルと家屋の屋根取付け部にある軒桁の取付作業は屋根裏側からボルト締めするだけなので、熟練した職人以外の作業者にも安全な作業が可能であり、人件コストも安くて済むだけでなく、止水処理の作業を省くことができるので、さらなるコスト削減が可能であり、作業者の熟練度による仕上がりのバラツキがなくなり、システム全体の品質や美観も向上させる。
【0047】
また、カバー体が有する上部トップカバーを取外すことにより、太陽電池や集熱器、ガラス板や屋根瓦などの屋根設置物だけを下地基板から取り外すことができる構造とし、下地基板の屋根からの取外し作業を不要としたので、太陽電池や集熱器ガラス板や屋根瓦などの屋根設置物が破損した場合には、それらだけを屋根面の側から取外し・交換を行うことができる。これにより、それまで屋根パネルと軒桁のボルト締めを緩めるために、屋根裏で行っていた困難な作業の必要がなくなり、作業者の負担を軽減することができる。
【0048】
さらに、屋根パネル、もしくは屋根設置物だけを交換した後においても、それらを家屋の屋根取付け部へ組付けを行うことで、前記カバー体と、隣接する屋根パネルの縦レール、及び下部止水物によって多段の止水構造が、特に意識することなく再構築されるので、より簡便で作業性のよい優れた屋根パネルを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る屋根パネルの実施形態を模式的に説明する斜視図である。
【図2】本発明に係る屋根パネルを家屋へ取付けた外観構成を模式的に説明する斜視図である。
【図3】(a)は本発明に係る屋根パネルの止水構造を隣接する屋根パネルと組み合わせた状態で模式的に説明する正面図、(b)はその断面図、(c)は止水構造部を拡大した断面図である。
【図4】(a),(b)はそれぞれ、本発明に係る屋根パネルの末端での止水構造を軒先側から見たものを模式的に示した断面図である。
【図5】本発明に係る屋根パネルの末端での止水構造を模式的に示した斜視図である。
【図6】本発明に係る屋根パネルにおける太陽電池モジュールの取外し方法を模式的に説明する分解断面図である。
【図7】(a),(b)はそれぞれ、本発明に係る他の屋根パネルの止水構造を、隣接する屋根パネルと組み合わせた状態で模式的に説明する断面図と、太陽電池モジュール取外しの様子(取外した状態)を模式的に説明する断面図である。
【図8】従来の屋根パネルの構成を模式的に説明する斜視図である。
【図9】(a),(b),(c)は、それぞれ従来構成の屋根パネルの止水構造を模式的に示した断面図である。
【符号の説明】
1:下地基板(屋根取付け用基台)
1b:下地基板1aの端部
2:縦材
3:横材
4:金具
5:太陽電池モジュール(屋根設置物)
5a:太陽電池モジュール5の端部
5b:隣接する屋根パネルの太陽電池モジュール端部
6:止水材
7:変形例の止水材
20:屋根取付部
21:軒桁
30、35:カバー
31:キャップ
32:ガスケット
C:カバー体
Ca:隣接する屋根パネルのカバー体Cの突出部
M:外側右縦レールR2の溝部
K2:継ぎ目外部の太陽電池パネル表面とトップカバーの隙間の止水構造
K3:継ぎ目内部の外側左縦レールL2、外側右縦レールR2との隙間の止水構造
P:止水材
T:トップカバー
T2:変形例のトップカバー
G:固定金具
L1:内側左縦レール
L2:外側左縦レール
L2a:外側左縦レール係止溝
L2b:外側左縦レールL2の中央部から外側右縦レールR2に向けて延びた突出部
R1:内側右縦レール
R2:外側右縦レール
R2a:外側右縦レール係止溝
R2b:外側右縦レールR2の端部
S:屋根パネル

Claims (2)

  1. 太陽電池モジュールを屋根取付用基台上に設けた複数の屋根パネルが配置された屋根アレイであって、
    前記一の屋根パネルの一方端部において屋根取付用基台の上面が露出されるとともに、
    前記一の屋根パネルの他方端部の太陽電池モジュール上面と、前記他方端部側に隣り合う他の屋根パネルの一方端部側の太陽電池モジュール上面とを跨いで覆うトップカバーと、前記一の屋根パネルの他方端部の屋根取付用基台上面と、前記他の屋根パネルの一方端部側の屋根取付用基台上面とを跨いで覆う止水材と、
    を備えたカバー体が設けられていることを特徴とする屋根アレイ。
  2. 前記屋根パネルの屋根取付用基台の下面側を屋根の軒桁に固定するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の屋根アレイ。
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