JP4775765B2 - 車両用エンジンの補機配設構造 - Google Patents
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Description
この場合、車室内の空間を拡大し且つエンジン下部が接地しないようにするため、エンジンは、フロアに近接して配設されている。一方、エンジンの上側面には、オルタネータ、空調用コンプレッサ等の各補機が破水や飛び石から保護するように配設されている。
オルタネータが全エンジンに装着されるのに対し、空調用コンプレッサは空調装置の有無によって装着するエンジンが限定される。このため、オルタネータを、エンジン本体部を構成するシリンダブロックの上方に配設し、空調用コンプレッサをそのオルタネータの側方に配設する補機取付構造が多く採用されている。
また、スラントエンジンの補機配置構造には、オイルパンに補機配置用の凹部を形成し、且つこの補機を位置調整可能な取付手段に取り付けてベルト張力調整手段として機能させ、二つの補機を共にフロア下面とエンジンの本体部との間の狭いスペースに配置するものがある。
この不具合を解消するために、上記の特許文献1においては、オルタネータとフロアの間に遮熱板を設けているが、オルタネータの冷却効果が悪化して発電性能が低下するという問題が生ずる。
また、エンジンルームの上方のフロア上には、シートや、コンソールボックス等が配設され、夏場にオルタネータから流出した熱風でエンジンルーム上方のフロアが温められると、車室内の快適性が低下するという問題が生ずる。
以下、図面に基づいてこの発明の実施例を詳細且つ具体的に説明する。
このフロア7は、車両前側のフロントフロア7Aと車室3下方の車室部位フロア7Bと車両中間のセンタフロア7Cと車両後側のリアフロア7Dとを備えるとともに、車室部位フロア7Bをフロント傾斜段差部7Eとリア傾斜段差部7Fとにより階段状に所定高さに立ち上げて下方に所要空間のエンジンルーム8を形成している。
このエンジンルーム8内には、図2、図3に示すように、エンジン9が搭載される。このエンジン9は、クランク軸10を車両前後方向に向けるとともにシリンダ軸線Cを鉛直方向である鉛直線Vから所定角度θ傾けた状態でエンジンルーム8内に搭載される。。
エンジン9は、図3、図4に示すように、車両幅方向(車両左右方向)に向かうマウントメンバ11で支持されている。このマウントメンバ11は、中央部位でエンジン9を支持する中央支持部12と、この中央支持部12の左端側で立ち上がって連設した左側段差部13と、中央支持部12の右端側で立ち上がって連設した右側段差部14と、左側段差部13に水平に連設した左端部15と、右側段差部14に水平に連設した右端部16とからなる。
このマウントメンバ11は、左端部15と右端部16とが左サイドメンバ17と右サイドメンバ18とにより支持されている。この左サイドメンバ17の左サイド立上部17Aと右サイドメンバ18の左サイド立上部18Aとには、フロントフロア7Aが支持されている。
シリンダヘッド21には、図3に示すように、傾斜した上側面となる右側面に吸気マニホルド24が取り付けられている。この吸気マニホルド24は、車両幅方向の右方で略水平に向かう複数の分岐管25からなり、サージタンク26を連設している。この吸気マニホルド24及びサージタンク26は、車室部位フロア7Bの直下方に配設される。また、シリンダヘッド21の傾斜した上側面となる右側面には、図2、図3に示すように、マウントメンバ11の右端側に連設するマウントブラケット27が取り付けられる。一方、シリンダヘッド21の傾斜した下側面となる左側面には、排気マニホルド28が取り付けられる。この排気マニホルド28は、マウントメンバ11の左端側の直上方に配設される。
このオルタネータ29には、図3に示すように、正面視において、径方向で車両左斜め上方に突出するオルタネータ用回転中心側取付部32と、径方向で車両右斜め下方に突出するオルタネータ用回転揺動側取付部33とが設けられている。このオルタネータ用回転揺動側取付部33には、エンジン9の本体部19のシリンダ軸線Cに略直交するようにオイルパン22側に向かって該オイルパン22に固定したオルタネータアーム34が連結される。従って、オルタネータ29は、エンジンルーム8上方のフロア7から離れる位置で且つオイルパン22の上面壁22Aの上方で走行風の流れる位置に配設される。
前記オイルパン22の車両前側に位置する前面壁35には、図1〜図3に示すように、オルタネータ29に向かって上昇する傾斜部36が形成される。この傾斜部36は、下部が上部よりも車両前側に突出し、車両前方からの走行風を上方にオルタネータ29側に導くものである。また、オイルパン22の下部位には、車両前側の突出する突部37が形成されている。この突部37は、車両前方からの走行風を傾斜部36側に導く機能を有する。
このように、オルタネータ29をエンジンルーム8上方のフロア7から離れる位置で且つ走行風の流れる位置に配設したので、図1〜図3に示すように、オルタネータ29から流出する熱風を走行風の流れでエンジンルーム8後方へと押し流し、エンジンルーム8上方のフロア7の温度上昇を防止することができる。また、この際、オイルパン22に形成した傾斜部36によって走行風をオルタネータ29の方向に導き、オルタネータ29の冷却効果を高めてオルタネータ29の発電性能を向上できる。これにより、オルタネータ29から流出する熱風に起因する車室3内の快適性低下やオルタネータ29自身の発電性能低下等の問題を解決することができる。
そして、このオイルフィルタ39によって車両前側からの走行風を傾斜部36に案内し、オルタネータ29ヘ向かう走行風の風量を増加させることができ、これにより、さらにオルタネータ29の冷却効果を向上させ、車室3内の快適性低下やオルタネータ29自身の発電性能低下等の問題を解決することができる。
この空調用コンプレッサ41には、図3に示すように、正面視において、径方向で前記オルタネータ用回転中心側取付部32側の車両右斜め下方に突出するコンプレッサ回転中心側取付部44と、径方向で上方に突出するコンプレッサ回転揺動側取付部45とが設けられている。このコンプレッサ回転揺動側取付部45には、コンプレッサアーム46が連結している。
このような構造により、図1に示すように、オイルパン22の傾斜部36によってオルタネータ29に案内された走行風のうちの一部が隙間40を通ってエンジンルーム8上方に抜けようとするが、このような走行風を空調用コンプレッサ41で捕捉して車両後方に案内することができ、これにより、さらにオルタネータ29の冷却効果を向上させて車室3内の快適性低下やオルタネータ29自身の発電性能低下等の問題を解決することができる。
また、この空調用コンプレッサ41は、冷媒配管を介して車両1に搭載されるエバポレータ及びコンデンサに連絡されており、オルタネータ29に比べて車体に振動が伝達し易いものである。従来、オルタネータ29は、空調用コンプレッサ41よりもシリンダブロック20に近い位置に配置されていた。しかし。この実施例においては、空調用コンプレッサ41とオルタネータ29との配置を入れ替え、空調用コンプレッサ41をオルタネータ29よりもシリンダブロック20に近い位置に配置している。これにより、空調用コンプレッサ41のシリンダブロック20ヘの支持剛性を向上させ、車体への振動伝達を低減することができる。
第1クランクプーリ53とオルタネータプーリ31とには、第1ベルト55が巻き掛けられる。また、第2クランクプーリ54とコンプレッサプーリ43とウォータポンププーリ52とには、第2ベルト56が巻き掛けられる。よって、図2、図3に示すように、オルタネータ29及び空調用コンプレッサ41は、夫々第1ベルト55と第2ベルト56とによってクランク軸10から独立して駆動する。また、第2ベルト56は、クランク軸方向(車両前後方向)で第1ベルト55よりも車両前側に配設される。よって、オルタネータ29は、クランク軸10の回転により第1ベルト55を介して駆動される。空調用コンプレッサ41及びウォータポンプ50は、クランク軸10の回転により第2ベルト56を介して駆動される。
このように、空調用コンプレッサ41をクランク軸方向でオルタネータ29よりも車両前側に配置するので、隙間40から上方に抜ける走行風をさらに上流側で捕捉することができる。これにより、さらにオルタネータ29の冷却効果を向上させて車室3内の快適性低下やオルタネータ29自身の発電性能低下等の問題を解決することができる。
また、この場合、第1ベルト55を2軸としての第1クランクプーリ53とオルタネータプーリ31とに巻き掛けるとともに第2ベルト56を3軸としての第2クランクプーリ54とコンプレッサプーリ43とウォータポンププーリ52とに巻き掛けているので、従来のように、第1ベルト55を3軸としての第1クランクプーリ53とオルタネータプーリ31とウォータポンププーリ52とに巻き掛けるとともに第2ベルト56を2軸としての第2クランクプーリ54とコンプレッサプーリ43とに巻き掛ける場合に比べて、オルタネータプーリ31の径とウォータポンププーリ52の径とを独立して設定することができ、プーリ比設定の自由度を大きくすることができる。よって、例えば、第1クランクプーリ53の径を大きくしてオルタネータプーリ31を増速して発電量を増加させる場合に、従来のように、ウォータポンププーリ52を第1クランクプーリ53に合わせて大きくする必要がなくなる。これにより、オルタネータ29の発電量を増加させつつ、ウォータポンププーリ52の径の拡大を防止することができ、車両1へのレイアウト上有利とすることができる。
7 フロア
8 エンジンルーム
9 エンジン
10 クランク軸
19 本体部
20 シリンダブロック
21 シリンダヘッド
29 オルタネータ
31 オルタネータプーリ
35 前面壁
36 傾斜部
40 隙間
41 空調用コンプレッサ
43 コンプレッサプーリ
47 補機支持ブラケット
50 ウォータポンプ
52 ウォータポンププーリ
53 第1クランクプーリ
54 第2クランクプーリ
55 第1ベルト
56 第2ベルト
Claims (4)
- 車両のフロアの下方にエンジンルームを形成し、前記フロアをエンジンルーム前方のフロアがエンジンルーム上方のフロアよりも低くなる階段状に形成し、前記エンジンルーム内にはクランク軸を車両前後方向に向けるとともにシリンダ軸線を鉛直方向から所定角度傾けた状態でエンジンを搭載し、このエンジンの上側面にオルタネータを配設した車両用エンジンの補機配設構造において、前記オルタネータを前記エンジンの下部に配設されるオイルパンの上方且つ前記エンジンルーム前方のフロアよりも低い位置に配設し、且つ前記オイルパンの車両前側に位置する前面壁には前記オルタネータに向かって上昇する傾斜部を形成したことを特徴とする車両用エンジンの補機配設構造。
- 前記オイルパンの前記前面壁には前記傾斜部と車両幅方向に並ぶ位置でオイルフィルタ取付部を設け、このオイルフィルタ取付部にはオイルフィルタを車両前方に突出するように取り付けたことを特徴とする請求項1に記載の車両用エンジンの補機配設構造。
- 前記エンジンを車両前側から見た場合、前記オルタネータと前記エンジンの本体部との間に隙間が形成され、この隙間を上方から覆う位置に空調用コンプレッサを配設したことを特徴とする請求項1に記載の車両用エンジンの補機配設構造。
- 前記オルタネータ及び前記空調用コンプレッサを夫々第1ベルトと第2ベルトとによって前記クランク軸から独立して駆動し、クランク軸方向で前記第2ベルトを前記第1ベルトよりも車両前側に配設したことを特徴とする請求項3に記載の車両用エンジンの補機配設構造。
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