JP4775356B2 - リニアソレノイド - Google Patents
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Description
特許文献1に開示される電磁弁は、自動変速機の駆動油室(例えば、油圧により駆動される調圧弁の駆動油室、あるいは油圧により係脱がなされる摩擦係合装置の駆動油室など)の油圧を制御する電磁油圧制御弁であり、この電磁油圧制御弁を図2を参照して説明する。なお、符号は後述する実施例1の機能物と共通符号である。
三方弁1は、入力ポート21と出力ポート22の連通部である入力弁口14を開閉するボール弁(入力側弁体)4と、出力ポート22と排出ポート23の連通部である排出弁口15を開閉するブリード弁(排出側弁体)5とを備える。
ボール弁4は、リニアソレノイド2によって駆動されるシャフト6の先端部により駆動される。また、ブリード弁5は、シャフト6に形成されており、シャフト6の変位により駆動される。
そして、リニアソレノイド2がシャフト6を駆動することで入力弁口14と排出弁口15の開度調整が成されて出力ポート22の出力油圧が調整される。
出力ポート22の油圧上昇速度は、ボール弁4の最大リフト量Laの増加(即ち、入力弁口14におけるオイル通過面積の増加)によって可能となる。
同様に、出力ポート22の油圧下降速度は、ブリード弁5の最大リフト量Lbの増加(即ち、排出弁口15におけるオイル通過面積の増加)によって可能となる。
なお、ボール弁4の最大リフト量Laと、ブリード弁5の最大リフト量Lbとは、同じである(La=Lb)。
これに対し、出力ポート22の油圧下降は、駆動油室(調圧弁の駆動油室、摩擦係合装置の駆動油室等)から排圧される低圧オイルが、出力ポート22から排出ポート23へ排出されることで成されるものであるため、ブリード弁5の最大リフト量Lbを大きくしないと(即ち、排出弁口15におけるオイル通過面積を大きくしないと)、出力ポート22において高い油圧下降速度を確保できない。
ここで、磁気吸引力は、磁気吸引ギャップL1が大きくなると急激に小さくなる特性(磁気吸引力は距離の2乗に反比例する特性)を有する。このため、磁気吸引ギャップL1を大きくすることができない。その結果、ブリード弁5の最大リフト量Lbを大きくすることができず、排出弁口15におけるオイル通過面積を大きく確保することができないため、従来技術では出力ポート22の油圧下降速度を速めることが困難となっていた。
即ち、従来の電磁油圧制御弁では、変速応答性に優れず、変速時にショックが発生して乗員に不快感を与えたり、変速完了までの時間が長くなることで運転感覚の低下を招いたり、加速悪化を招く等の要因になっていた。
しかし、他の用途に用いられるリニアソレノイド2であっても、シャフト6が駆動する駆動対象物(上記ではブリード弁5)の移動量が磁気吸引ギャップL1以下に規制されてしまうことにかわりなく、駆動対象物の移動量を大きくすることができないという不具合があった。
請求項1の手段を採用するリニアソレノイドは、コイルが通電されて発生磁力が大きくなると、次の作動を行う。
先ず、磁気吸引可動部と内部プランジャとの間に発生する磁力により、内部プランジャが磁気吸引可動部に磁気吸引されて、内部プランジャが軸方向へ駆動される。
次に、内部プランジャが磁気吸引可動部側へ移動して、内部プランジャが磁気吸引可動部に当接(あるいは非磁性のスペーサ等を介して当接)すると、磁気吸引固定部と外部プランジャとの間に発生する磁力により、外部プランジャが磁気吸引固定部に磁気吸引されて、外部プランジャと内部プランジャとが一体となって軸方向へ駆動される。
この結果、内部プランジャにより駆動されるシャフトの移動量は、従来技術より磁気吸引ギャップL2だけ増加する。
即ち、従来技術であればシャフトの移動量が磁気吸引ギャップL1以下に規制されていたが、本発明によりシャフトの移動量を磁気吸引ギャップL2により大きくすることができる。
請求項2の手段を採用するリニアソレノイドは、バルブ装置の弁体を駆動するものである。
これにより、シャフトによって駆動される弁体の最大リフト量を、従来技術より大きくすることができ、弁体が開弁された際にバルブ装置が制御する流体の流速を速めることができる。即ち、例えば、バルブ装置が流体圧(油圧等)の制御を行うものでは、弁体の最大リフト量の増加によって、流体圧の昇圧速度あるいは降圧速度を速めることができる。
請求項3の手段を採用するリニアソレノイドにおける弁体は、流体圧を受けてシャフトを介して内部プランジャに軸方向の他方側へ向かう付勢力を与えるものであり、内部用付勢力付与手段による内部プランジャへの付勢力は、弁体が受ける流体圧と、シャフトを介して内部プランジャを軸方向の他方側へ付勢する内部用バネとの合力である。
これにより、弁体が流体圧を受ける場合であっても、弁体の最大リフト量を従来技術より大きくすることができる。
請求項4の手段を採用するリニアソレノイドにおける外部用付勢力付与手段は、磁気吸引固定部と外部プランジャとの軸方向間に配置されて、外部プランジャを軸方向の他方側へ付勢する非磁性の外部用バネ(例えば、皿バネ、ウェーブワッシャ等)である。
最良の形態のリニアソレノイドは、次の構成を備える。
プランジャは、磁気吸引固定部に磁気吸引されるとともに、磁気受渡固定部と径方向の磁気の受け渡しを行う外部プランジャと、この外部プランジャの内部において軸方向へ摺動自在に支持される内部プランジャとを備える。
付勢力付与手段は、外部プランジャを軸方向の他方側へ付勢する外部用付勢力付与手段と、内部プランジャを軸方向の他方側へ付勢する内部用付勢力付与手段とを備える。
そして、内部プランジャがシャフトに軸方向の駆動力を与える構造を有し、外部用付勢力付与手段が外部プランジャへ与える付勢力は、内部用付勢力付与手段が内部プランジャへ与える付勢力より大きく設けられる。
これにより、シャフトが内部プランジャの移動と、外部プランジャの移動とにより駆動されて、シャフトの移動量が大きくなる。
(電磁油圧制御弁の概略説明)
自動変速機は、変速制御やロックアップ制御等を行うための油圧コントローラを搭載しており、油圧コントローラは油圧制御を行うための電磁油圧制御弁を搭載している。
この実施例に示す電磁油圧制御弁は、油圧により駆動される調圧弁(油路切替弁:スプール弁等)の駆動油室、あるいは油圧により係脱がなされる摩擦係合装置(多板クラッチ、多板ブレーキ等)の駆動油室(油圧サーボ室)などの駆動油室の油圧を制御する。
次に、図1を参照して電磁油圧制御弁の具体構造を説明する。
この実施例に示す電磁油圧制御弁は、三方弁(バルブ装置の一例)1と、この三方弁1を駆動するリニアソレノイド2とを結合して構成される。なお、以下では、実施例1を説明するための便宜上、図1の左側を前、図1の右側を後として説明するが、実際の搭載方向に関わるものではない。
三方弁1は、バルブハウジング3、ボール弁(入力側弁体)4、ブリード弁(排出側弁体)5およびシャフト6等で構成される。
バルブハウジング3は、略筒形状を呈するものであり、リニアソレノイド2の固定磁気回路の一部を構成するように磁性体金属(鉄等)によって設けられている。このバルブハウジング3の内部には、前方より後方へ向かって入力室11、出力室12、排出室13が形成されている。
入力室11は、ボール弁4が配置される空間によって構成されている。出力室12は、バルブハウジング3によって形成された入力側隔壁(ボール弁シート壁)と排出側隔壁(ブリード弁シート壁)で挟まれた空間によって構成されている。排出室13は、排出側隔壁より後側のバルブハウジング3内の空間によって構成されている。
入力ポート21は、入力室11と連通するものであり、バルブハウジング3の前端部において開口して設けられている。出力ポート22は、出力室12と連通するものであり、バルブハウジング3の径方向に開口して設けられている。排出ポート23は、排出室13と連通するものであり、バルブハウジング3の径方向に開口して設けられている。
即ち、入力ポート21から供給される油圧によってボール弁4には、入力弁口14の周囲の入力弁シートに着座する力が与えられる。そして、ボール弁4が入力弁シートに着座することで、入力弁口14が閉塞されて入力室11と出力室12の連通が遮断される。
また、段差27と排出側隔壁の間にはコイルバネよりなるリターンスプリング28が配置され、リターンスプリング28の付勢力によってシャフト6が後方へ付勢されるようになっている。
なお、シャフト6の後端は、リニアソレノイド2の内部プランジャ42(後述する)と常時当接するものであり、シャフト6が内部プランジャ42と一体に移動する。
リニアソレノイド2は、コイル31、プランジャ32、磁気吸引固定部(ステータコア)33、ヨーク34、ストッパプレート35、コネクタ36等で構成される。
プランジャ32は、軸方向へ摺動自在に支持され、コイル31の発生磁力により軸方向開弁方向:前方向)へ駆動されるものであり、その詳細は後述する。
外部ヨーク37は、後方へ開口した略カップ形状を呈した磁性体金属(例えば、鉄などの強磁性材料)であり、コイル31の外周を覆う筒状ヨーク37aと、小径部の前端の段差に当接した状態で圧入固定されるリング円盤状の前部磁気プレート37bとを一体に設けたものである。
次に、プランジャ32の構造を具体的に説明する。
プランジャ32は、磁気受渡固定部38aの内周面と直接摺動する外部プランジャ41と、この外部プランジャ41の内周面と直接摺動する内部プランジャ42とを組み合わせて構成される。
外部プランジャ41は、磁気吸引固定部33に近い側(外部プランジャ41の前部)に設けられて内部プランジャ42を前方へ磁気吸引するための磁気吸引可動部41aと、磁気受渡固定部38aと内部プランジャ42の径方向間に配置されて磁気受渡固定部38aおよび内部プランジャ42と径方向の磁気の受け渡しを行う磁気受渡可動部41bと、磁気吸引可動部41aと磁気受渡可動部41bの間に配置されて磁気吸引可動部41aと磁気受渡可動部41bが直接的に磁気の受け渡しを行うのを阻害する磁気阻害部41cとを備える。
外部プランジャ41の内周には、前端のシャフト挿通穴を除いて、内部プランジャ42を軸方向へ摺動自在に支持する一定径の摺動穴が形成されている。
磁気阻害部41cは、外部プランジャ41の外周面に形成された環状の磁気遮断溝であり、磁気遮断溝の底部の薄肉部が磁気飽和することで、磁気吸引可動部41aと磁気受渡可動部41bの間に直接的に磁束が流れるのを遮断する。
内部プランジャ42の内部を軸方向へ貫通する孔42aは、内部プランジャ42の両端の室を連通する呼吸孔である。また、内部プランジャ42の前端面と後端面には、それぞれ中心部を通る溝(図示しない)が形成されており、内部プランジャ42の両端の室がストッパプレート35に形成された呼吸孔35aに常時連通するように設けられている。
この実施例のプランジャ32は、上述したように、外部プランジャ41と内部プランジャ42とからなるものであり、外部プランジャ41を軸方向の後方へ付勢する手段を外部用付勢力付与手段と称し、内部プランジャ42を軸方向の後方へ付勢する手段を内部用付勢力付与手段と称して説明する。
そして、外部用付勢力付与手段が外部プランジャ41へ与える付勢力をA、内部用付勢力付与手段が内部プランジャ42へ与える付勢力(合力)をBとした場合、A>Bの関係に設けられている。
出力ポート22の出力油圧を昇圧させる際は、リニアソレノイド2のコイル31が通電される。そして、コイル31が通電されて発生磁力が大きくなる際には、電磁油圧制御弁は次の作動を行う。
コイル31の発生する磁力により、磁気吸引固定部33と磁気吸引可動部41aの軸方向間の磁気吸引ギャップL1と、磁気吸引可動部41aと内部プランジャ42の軸方向間の磁気吸引ギャップL2とに、それぞれ磁気吸引力が発生する。
実施例1のリニアソレノイド2における内部プランジャ42の移動量は、磁気吸引固定部33と外部プランジャ41の間の磁気吸引ギャップL1と、磁気吸引可動部41aと内部プランジャ42の間の磁気吸引ギャップL2とを加算した合計吸引ギャップL1+L2以下に規制される。
この結果、内部プランジャ42により駆動されるシャフト6の移動量は、合計吸引ギャップL1+L2以下となり、従来技術より磁気吸引ギャップL2だけ増加する。
即ち、従来技術であればシャフト6の移動量が磁気吸引ギャップL1以下に規制されていたが、この実施例1ではシャフト6の移動量を磁気吸引ギャップL2により大きくすることができる。
同様に、リニアソレノイド2の通電停止時におけるブリード弁5の最大リフト量Lbも磁気吸引ギャップL2だけ多くすることができ、出力ポート22から排出ポート23に向かうオイル流量を増やすことができる。即ち、排出弁口15におけるオイル通過面積の増加により出力ポート22の油圧下降速度を向上することができる。
しかるに、この実施例を採用することにより、リニアソレノイド2の通電停止時におけるブリード弁5の最大リフト量Lbを磁気吸引ギャップL2だけ多くすることができるため、従来技術に比較して、排出弁口15におけるオイル通過面積を大きく確保することができる。これにより、出力ポート22の油圧下降速度を向上することができる。
上記の実施例では、外部プランジャ41を1部品で構成したが、磁気吸引可動部41a(磁性材)+磁気阻害部41c(非磁性材)+磁気受渡可動部41b(磁性材)からなる3部品を結合して外部プランジャ41を形成しても良い。
上記の実施例では、プランジャ32を内外2部品(外部プランジャ41と内部プランジャ42)で構成して2段ストロークさせる例を示したが、外部プランジャ41と内部プランジャ42の間に他のプランジャを追加して、3段以上のストロークを実行するように設けても良い。
上記の実施例では、シャフト6と内部プランジャ42が軸方向に当接する例を示したが、シャフト6と内部プランジャ42が結合(圧入等)したものであっても良い。
上記の実施例では、弁体の一例としてボール弁4が用いられるバルブ装置を例に示したが、スプール弁など他のバルブ装置であっても良い。
上記の実施例で示した三方弁1の構造は、実施例説明のための一例であって、他の三方弁構造を採用しても良い。
上記の実施例では、バルブ装置の一例として三方弁1を示したが、二方弁(開閉弁)や四方弁など他のバルブ構造であっても良い。
上記の実施例では、流体の一例として、オイルを示したが、オイルとは異なる液体や気体(ガス等)であっても良い。即ち、オイル以外の流体の調圧や調量を行うリニアソレノイド2に本発明を適用しても良い。
上記の実施例では、バルブ装置を駆動するリニアソレノイド2に本発明を適用したが、バルブ装置とは異なる他の駆動対象物を駆動するリニアソレノイド2に本発明を適用して、駆動対象物の駆動量を増加させても良い。
2 リニアソレノイド
4 ボール弁(弁体)
5 ブリード弁(弁体)
6 シャフト
28 リターンスプリング(内部用バネ)
31 コイル
32 プランジャ
33 磁気吸引固定部
38a 磁気受渡固定部
41 外部プランジャ
42 内部プランジャ
41a 磁気吸引可動部
41b 磁気受渡可動部
41c 磁気阻害部
43 外部用バネ
Claims (4)
- 通電により磁力を発生するコイルと、軸方向へ摺動自在に支持されたプランジャと、前記コイルの発生する磁力により前記プランジャを軸方向の一方側へ磁気吸引する磁気吸引固定部と、前記プランジャの外周に配置されて前記プランジャと径方向の磁気の受け渡しを行う磁気受渡固定部と、前記プランジャを軸方向の他方側へ付勢する付勢力付与手段とを備え、前記プランジャがシャフトを駆動するリニアソレノイドにおいて、
前記プランジャは、前記磁気吸引固定部に磁気吸引されるとともに、前記磁気受渡固定部と径方向の磁気の受け渡しを行う外部プランジャと、この外部プランジャの内部において軸方向へ摺動自在に支持される内部プランジャとを備え、
前記外部プランジャは、前記磁気吸引固定部に近い側に設けられて前記内部プランジャを磁気吸引する磁気吸引可動部と、前記磁気受渡固定部と前記内部プランジャの径方向間に配置されて前記磁気受渡固定部および前記内部プランジャと径方向の磁気の受け渡しを行う磁気受渡可動部と、前記磁気吸引可動部と前記磁気受渡可動部の間に配置されて前記磁気吸引可動部と前記磁気受渡可動部が直接的に磁気の受け渡しを行うのを阻害する磁気阻害部とを備え、
前記付勢力付与手段は、前記外部プランジャを軸方向の他方側へ付勢する外部用付勢力付与手段と、前記内部プランジャを軸方向の他方側へ付勢する内部用付勢力付与手段とを備え、
前記内部プランジャが前記シャフトに軸方向の駆動力を与える構造を有し、
前記外部用付勢力付与手段が前記外部プランジャへ与える付勢力は、前記内部用付勢力付与手段が前記内部プランジャへ与える付勢力より大きく設けられることを特徴とするリニアソレノイド。 - 請求項1に記載のリニアソレノイドにおいて、
このリニアソレノイドは、バルブ装置の弁体を駆動することを特徴とするリニアソレノイド。 - 請求項2に記載のリニアソレノイドにおいて、
前記弁体は、流体圧を受けて前記シャフトを介して前記内部プランジャに軸方向の他方側へ向かう付勢力を与えるものであり、
前記内部用付勢力付与手段による前記内部プランジャへの付勢力は、前記弁体が受ける流体圧と、前記シャフトを介して前記内部プランジャを軸方向の他方側へ付勢する内部用バネとの合力であることを特徴とするリニアソレノイド。 - 請求項1〜請求項3のいずれかに記載のリニアソレノイドにおいて、
前記外部用付勢力付与手段は、前記磁気吸引固定部と前記外部プランジャとの軸方向間に配置されて、前記外部プランジャを軸方向の他方側へ付勢する非磁性の外部用バネであることを特徴とするリニアソレノイド。
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