JP4774141B2 - 活性炭及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水中の有機物を除去するために有用な有機物除去用活性炭及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
産業の発展にともない、人体に有害な物質が水道水に混入するようになってきている。例えば、簡易水道水には、微量ながら、有機ハロゲン系洗浄剤(トリハロメタン、トリクレンなど)、有機系農薬類(シマジンなど)、2−メチルイソボルネオールなどが混入している。近年、健康に関する関心が高まってきており、これら微量有機物を浄水器などにより除去することがクローズアップされている。
【0003】
水中の有機物、特にトリハロメタンを除去するため、粒状、粉末状、または繊維状活性炭を用いることが提案されている。特に、特開昭62−152533号公報には、繊維状活性炭がトリハロメタンの除去に優れていることが開示されている。しかし、水道水中のトリハロメタン濃度は、通常、低濃度(数十ppb程度)であり、前記活性炭(粒状活性炭、粉末状活性炭、繊維状活性炭)では、低濃度のトリハロメタンを有効に除去することができない。また、水道水中、2−メチルイソボルネオールやシマジンは、前記トリハロメタンよりも遙かに濃度が低い(トリハロメタンの1/1000程度)ため、さらに除去が困難である。
【0004】
特開平6−99064号公報には、フェノール系樹脂繊維を燃焼ガス中で賦活処理することにより得られる繊維状活性炭が開示されている。この活性炭は、比表面積が1300m2/g以上であり、半径9×10-8〜16×10-8cm(9〜16オングストローム)の細孔を主として有している。この活性炭は、トリハロメタンの除去に有用であることが記載されている。
【0005】
特開平6−960065号公報には、比表面積が800m2/g以上であり、半径9×10-8cm(9オングストローム)以下の細孔を主として有する活性炭が開示されている。この活性炭も、トリハロメタンの除去に適していると記載されている。
【0006】
特公平2−51669号公報には、BET比表面積300〜1500m2/gであって、特定の平衡水分率を有するトリハロメタン除去用のピッチ系活性炭素繊維が開示されている。この文献には、平衡水分率は、活性炭表面の親水性と相間があり、平衡水分率が大きい(親水性が強い)とトリハロメタンの吸着が阻害されることが記載されている。また、平衡水分率7.5%のピッチ系活性炭繊維を、酸素濃度0.05%程度の窒素ガス中で、950℃で3分間程度処理すると、平衡水分率を3.5%に低減できることが記載されている。
【0007】
しかし、これら活性炭では、ハロゲン系有機化合物(トリハロメタン、トリクレンなど)の吸着除去が不十分であるのみならず、前記ハロゲン系有機化合物よりも嵩高い化合物(シマジン、2−メチルイソボルネオールなど)を有効に除去するのは不利である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、ハロゲン系有機化合物のみならず、ハロゲン系有機化合物よりも嵩高い化合物(橋かけ化合物、環状化合物など)をも有効に除去できる活性炭及びその製造方法を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、低濃度であっても有機物を有効に除去できる活性炭及びその製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、特定の濃度の酸性官能基を有する活性炭を用いると、ハロゲン系有機化合物のみならず、分子構造の大きい化合物をも有効に吸着できることを見いだし、本発明を完成した。
【0011】
すなわち、本発明の活性炭(ピッチ系繊維状活性炭など)は、比表面積が500〜2500m2/gであり、表面酸性官能基の量が0.1mmol/g以下である。表面のカルボキシル基及びカルボニル基の総量は、表面のフェノール性ヒドロキシル基1モルに対して、2モル以下程度であってもよい。前記活性炭は、相対湿度37%での平衡水分率が、例えば、0.05〜3.0重量%程度である。
【0012】
本発明には、不活性ガス雰囲気下、700〜1500℃で0.5時間以上活性炭を熱処理する前記活性炭の製造方法も含まれる。
【0013】
【発明の実施の形態】
[活性炭]
本発明の活性炭は、表面の酸性官能基量(濃度)が0.1mmol/g以下(例えば、0.01〜0.1mmol/g程度)、好ましくは0.07mmol/g以下(0.01〜0.07mmol/g程度)、さらに好ましくは0.01〜0.06mmol/g程度(例えば、0.01〜0.05mmol/g程度)である。一般の活性炭では、表面の酸性官能基量が多い(例えば、0.2mmol/g以上)のに対し、本発明の活性炭は、特定の濃度の酸性官能基を有しているため、低濃度であっても有機化合物を有効に吸着できる。
【0014】
前記酸性官能基には、カルボキシル基(フリーのカルボキシル基、無水カルボキシル基、ラクトン基など)、カルボニル基(キノン構造を形成するカルボニル基)、フェノール性ヒドロキシル基(フェノール性酸性官能基)などが含まれる。
【0015】
酸性官能基量は、活性炭を水中に分散させ、酸性官能基の種類に応じて選択したアルカリ成分(NaOH、NaHCO3、又はNa2CO3)を加え、余剰のアルカリ成分を塩酸でそれぞれ逆滴定することにより求めることができる。
【0016】
酸性官能基のうち、カルボキシル基及びカルボニル基の総量は、フェノール性ヒドロキシル基1モルに対して、例えば、2モル以下(0.01〜2モル程度)、好ましくは1モル以下(0.01〜1モル程度)、さらに好ましくは0.5モル以下(0.05〜1モル程度)である。カルボキシル基及びカルボニル基の総量とフェノール性ヒドロキシル基との割合が特定の範囲内であると、ハロゲン系有機化合物のみならず、このハロゲン系有機化合物よりも嵩高い化合物(シマジン、2−メチルイソボルネオールなど)をさらに有効に吸着できる。
【0017】
活性炭の比表面積は、500〜2500m2/g程度、好ましくは700〜2300m2/g程度、さらに好ましくは1000〜2200m2/g程度(例えば、1200〜2000m2/g程度)である。活性炭の外部比表面積(外表面積)は、例えば、0.1〜5m2/g程度、好ましくは0.5〜3m2/g程度である。
【0018】
なお、前記比表面積は、液体窒素沸点での窒素ガス吸収等温線に基づいてBET法により求めることができる。
【0019】
好ましい活性炭には、比表面積が比較的小さく(例えば、500〜1500m2/g程度、好ましくは700〜1500m2/g程度)、表面酸性官能基量(濃度)が0.07mmol/g以下程度(0.01〜0.07mmol/g程度)、カルボキシル基及びカルボニル基の総量が、フェノール性ヒドロキシル基1モルに対して、0.1モル以下(例えば、0.01〜0.1モル程度)である活性炭、比表面積が比較的大きく(例えば、1500〜2500m2/g程度、好ましくは1500〜2300m2/g程度)、表面酸性官能基量(濃度)が0.1mmol/g以下程度(0.01〜0.1mmol/g程度)、カルボキシル基及びカルボニル基の総量が、フェノール性ヒドロキシル基1モルに対して、0.12モル以下(例えば、0.01〜0.12モル程度)である活性炭などが含まれる。活性炭の比表面積が比較的小さい場合でも、カルボキシル基及びカルボニル基とヒドロキシル基とを特定の割合で含む酸性官能基を特定の濃度で有しているため、ハロゲン系有機化合物のみならず、ハロゲン系有機化合物よりも嵩高い化合物をも有効に吸着できる。また、活性炭の比表面積が比較的大きい場合には、有機ハロゲン系化合物の除去能を増大させることもできるが、特にハロゲン系有機化合物よりも嵩高い化合物(2−メチルイソボルネオールなど)の吸着除去能を著しく増大させることができる。
【0020】
前記好ましい活性炭において、カルボキシル基及びカルボニル基の総量は、フェノール性ヒドロキシル基1モルに対して、0.01〜0.07モル程度、好ましくは0.01〜0.05モル程度であってもよい。
【0021】
活性炭(特に比表面積が1500〜2500m2/gの活性炭)の平衡水分率(相対湿度37%での平衡水分率)は、例えば、0.01〜3重量%程度、好ましくは0.05〜2.7重量%程度である。
【0022】
本発明の活性炭には、後述の炭素原料(やし殻、ピッチなど)に対応する種々の活性炭が含まれる。好ましい活性炭は、ピッチ系活性炭である。
【0023】
また、前記活性炭は、粉末状または粒状であってもよいが、水中の有機物を除去する場合、通水性の観点から、水の圧力損失を低減できる形態、例えば繊維状(特に、ピッチ系繊維状活性炭)である。
【0024】
繊維状活性炭の平均繊維径は、例えば、5〜30μm程度、好ましくは5〜25μm程度、さらに好ましくは5〜20μm程度である。平均繊維径が5μm未満であると、浄水器に充填して使用する場合、通水性が低下(通水抵抗が増大)し、単位時間当たりの通水量(処理効率)が低下する。一方、平均繊維径が30μmを超えると、繊維が脆くなる。このため、浄水器に充填する場合や、浄水器充填用の成形体を形成するためにバインダーと組み合わせて成形する場合に、繊維が砕けて微粉が発生しやすくなり、取扱い性が低下する。
【0025】
繊維長は特に制限されず、短繊維であっても長繊維であってもよい。繊維長は、例えば、0.1〜10mm程度、好ましくは0.5〜5mm程度である。
【0026】
前記活性炭は、例えば、ハロゲン系有機化合物(トリハロメタン、トリクレンなどの有機塩素系化合物など)、ハロゲン系有機化合物よりも嵩高い化合物(シマジンなどの環状有機化合物、2−メチルイソボルネオールなどの橋かけ化合物など)の除去に有利に利用できる。特に、低濃度のハロゲン系有機化合物よりも嵩高い化合物(環状有機化合物など)の除去に有利に利用できる。
【0027】
[製造方法]
前記活性炭は、一般に使用されている活性炭(以下、原料活性炭と称する)を高温で熱処理することにより得られる。熱処理により、酸性官能基濃度、特に、カルボキシル基及びカルボニル基を低減できる。
【0028】
原料活性炭としては、特に限定されず、例えば、木材、果実殻(やし殻など)、ポリアクリロニトリル、フェノール樹脂、セルロース、レーヨン、ピッチ(石炭ピッチ、石油ピッチなど)などの炭素原料を必要に応じて炭化又は不融化した後、賦活処理することにより得ることができる。
【0029】
なお、前記炭化方法、不融化方法、賦活方法は特には限定されない。例えば、炭化や不融化は、前記被吸着成分を酸素含有ガス(NO、空気など)中、300〜1200℃程度で熱処理することにより行うことができる。また、賦活は、炭素原料(又はその炭化物若しくは不融化物)を賦活ガス(酸素、水蒸気、二酸化炭素など)中、500〜1200℃程度で熱処理するガス賦活法、炭素原料(又はその炭化物若しくは不融化物)を賦活剤(リン酸、塩化亜鉛など)と混合し、300〜800℃程度で熱処理する化学的賦活法などにより行うことができる。
【0030】
原料活性炭の表面酸性官能基量は、0.1mmol/gより大きく、例えば、0.2〜0.5mmol/g程度、好ましくは0.2〜0.45mmol/g程度、さらに好ましくは0.2〜0.4mmol/g程度である。また、原料活性炭のカルボキシル基及びカルボニル基の総量は、フェノール性ヒドロキシル基1モルに対して、例えば、2.5モル以上(2.5〜10モル程度)、通常3モル以上(3〜10モル程度)である。
【0031】
原料活性炭を不活性ガス中で熱処理すると、比表面積が低下しやすいため、原料活性炭としては、比表面積が本発明の活性炭よりも大きな活性炭を用いるのが好ましい。原料活性炭の比表面積は、例えば、500〜2700m2/g程度、好ましくは700〜2500m2/g程度、さらに好ましくは1100〜2300m2/g程度(例えば、1200〜2100m2/g程度)である。なお、比表面積が500〜1500m2/g程度の活性炭を製造する場合には、比表面積が500〜1500m2/g程度(好ましくは700〜1500m2/g程度)の原料活性炭を使用してもよく、比表面積1500〜2500m2/gの活性炭を製造する場合には、比表面積が1500〜2600m2/g程度(好ましくは1550〜2400m2/g程度)の原料活性炭を使用してもよい。
【0032】
そして、本発明では、原料活性炭の酸性官能基量(濃度)やカルボキシル基及びカルボニル基の割合を特定の範囲にするため、高温の不活性ガス(窒素、ヘリウムなど)中で比較的長時間、原料活性炭を熱処理している。なお、必要に応じて、不活性ガスには、還元性ガス(水素ガスなど)を混入させてもよい。
【0033】
熱処理温度は、酸性官能基量(濃度)を特定の範囲にできる限り特に限定されず、例えば、700〜1500℃程度、好ましくは800〜1500℃程度、さらに好ましくは900〜1400℃程度である。
【0034】
不活性ガス中の酸素濃度は、例えば、5000ppm以下(体積基準)(1〜5000ppm(体積基準)程度)、好ましくは1000ppm以下(体積基準)(1〜1000ppm(体積基準)程度)、さらに好ましくは300ppm以下(体積基準)(1〜300ppm(体積基準)程度)である。
【0035】
不活性ガスによる熱処理時間は、例えば、0.5時間以上(0.5〜5時間程度)、好ましくは0.5〜3時間程度、さらに好ましくは0.5〜2時間程度の範囲から選択できる。なお、前記熱処理時間は、通常、熱処理するための熱処理室に活性炭が滞在する時間を意味するが、活性炭の一部又は全部が熱処理温度に到達した後の処理時間であってもよい。
【0036】
なお、熱処理により、比表面積は、例えば、0〜300m2/g程度、通常、10〜200m2/g程度低下する。
【0037】
このようにして得られた活性炭は、特定の範囲に酸性官能基量(濃度)が調節されているため、気相や液相などから有機物(有毒物質、悪臭物質など)を有効に吸着除去できる。
【0038】
吸着除去される有機物としては、特には制限されないが、本発明の活性炭はハロゲン系有機化合物、ハロゲン系有機化合物よりも嵩高い化合物(橋かけ化合物、環状化合物など)を特に好適に吸着除去できる。
【0039】
ハロゲン系有機化合物には、例えば、トリハロメタン(クロロホルム、ブロモホルム、ジブロモクロロメタン)、四塩化炭素、ハロゲン化エタン(トリクロロエタン、テトラクロロエタンなど)、ハロゲン化エチレン(トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンなど)など、好ましくはトリハロメタンが挙げられる。
【0040】
橋かけ化合物には、ボルナン骨格を有する化合物、例えば、ボルネオール、イソボルネオール、2−メチルイソボルネオールなどが例示できる。
【0041】
環状化合物には、トリアジン骨格を有する化合物、例えば、シマジン、アトラジン、シメトリン、プロメトリンなどが含まれる。
【0042】
特に本発明の活性炭は、水中の有機化合物(ハロゲン系有機化合物、橋かけ化合物、環状化合物など)の除去に好適に利用できる。
【0043】
例えば、濃度50×10-3ppb(重量基準)程度の橋かけ化合物又は環状化合物(例えば、シマジン、2−メチルイソボルネオールなど、特に2−メチルイソボルネオール)を空間速度3600hr-1で除去する場合、破過時間(除去率が80%(重量基準)未満になるまでの時間)は、活性炭0.16g/cm3当たり、50〜180分程度、好ましくは60〜180分程度、さらに好ましくは70〜160分程度(特に、80〜140分程度)である。
【0044】
また、濃度100ppb(重量基準)程度のトリハロメタンを空間速度3600hr-1で除去する場合、破過時間(除去率が80%(重量基準)未満になるまでの時間)は、活性炭0.16g/cm3当たり、例えば、60〜180分程度、好ましくは70〜160分程度、さらに好ましくは80〜140分程度である。
【0045】
本発明の活性炭は、バインダーと組み合わせて成形体として用いてもよい。
【0046】
バインダーとしては天然繊維(パルプなど)、熱溶融系繊維(ポリエステル系繊維、アクリル系繊維など)、熱溶融性樹脂(ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド(ナイロンなど)、ポリスチレンなど)などが使用できる。
【0047】
なお、活性炭とバインダーとを組み合わせる場合、活性炭とバインダーとの割合(重量比)は、例えば、前者/後者=60/40〜99/1程度、好ましくは前者/後者=70/30〜98/2程度、さらに好ましくは80/20〜95/5程度である。
【0048】
本発明の活性炭又はその成形体は、脱臭用途、有害物質除去用途に使用でき、例えば、ガス吸着用の充填材、浄水器用の充填材(ろ材、吸着材)などに利用できる。
【0049】
【発明の効果】
本発明では、特定の濃度の酸性官能基を有する活性炭を用いているため、ハロゲン系有機化合物のみならず、橋かけ化合物や環状有機化合物をも有効に除去できる。また、これら有機物が、低濃度であっても有効に除去できる。
【0050】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、実施例中、特にことわりがない限り、濃度単位ppm、ppbは重量基準濃度を示す。
【0051】
実施例及び比較例では、以下のピッチ系繊維状活性炭を用いた。
【0052】
[ピッチ系繊維状活性炭]
活性炭1:(株)アドール製「A−15」
比表面積=1650m2/g
平均孔径=13.2×10-8cm
表面酸性官能基量(総量)=0.350mmol/g
カルボニル基由来の酸性官能基量(A)=0.280mmol/g
フェノール性酸性官能基量(B)=0.070mmol/g
酸性官能基の割合(A/B)=4.00
活性炭2:(株)アドール製「A−7」
比表面積=750m2/g
平均孔径=12×10-8cm
表面酸性官能基量(総量)=0.3mmol/g
カルボニル基由来の酸性官能基量(A)=0.24mmol/g
フェノール性酸性官能基量(B)=0.06mmol/g
酸性官能基の割合(A/B)=4.00
活性炭3:(株)アドール製「A−20」
比表面積=2100m2/g
平均孔径=20.1×10-8cm
表面酸性官能基量(総量)=0.40mmol/g
カルボニル基由来の酸性官能基量(A)=0.310mmol/g
フェノール性酸性官能基量(B)=0.090mmol/g
酸性官能基の割合(A/B)=3.4
平衡水分率(相対湿度37%)=5.1%
実施例1
ピッチ系繊維状活性炭(活性炭1)の原綿を窒素雰囲気下(酸素濃度:1000ppm(体積基準))、1100℃で120分間熱処理することにより、表1に示す比表面積、表面酸性官能基量(総量、カルボニル基由来、フェノール性水酸基由来)を有する繊維状活性炭(平均孔径=13.2×10-8cm)を得た。この繊維状活性炭を長さ1〜2mmに切断し、そのうち約8gを浄水器の円筒状容器(内径4cm、高さ4cm)に充填した。
【0053】
実施例2
ピッチ系繊維状活性炭(活性炭2)の原綿を窒素雰囲気下(酸素濃度:1000ppm(体積基準))、850℃で120分間熱処理することにより、表1に示す比表面積、表面酸性官能基量(総量、カルボニル基由来、フェノール性水酸基由来)を有する繊維状活性炭(平均孔径=11.8×10-8cm)を得た。この繊維状活性炭を長さ1〜2mmに切断し、そのうち約8gを浄水器の円筒状容器(内径4cm、高さ4cm)に充填した。
【0054】
比較例1
ピッチ系繊維状活性炭(活性炭1)を熱処理することなく、長さ1〜2mmに切断し、そのうち約8gを浄水器の円筒状容器(内径4cm、高さ4cm)に充填した。
【0055】
[トリハロメタン除去試験]
水道水に、クロロホルム濃度45ppb、ブロモホルム濃度35ppb、ジブロモクロロメタン濃度20ppbとなるように、各トリハロメタンを加えた(試験用原水)。この試験用原水を、実施例1、2又は比較例1の浄水器に通水(3L/分、空間速度=約3600hr-1)した。ヘッドスペース法により通水後(処理後)の水中のトリハロメタン濃度を分析することにより、トリハロメタンの除去率を測定した。トリハロメタンの除去率が80%未満になるまでの時間(破過時間)を求めた。
【0056】
[2−メチルイソボルネオール除去試験]
水道水に、2−メチルイソボルネオール濃度50×10-3ppb(50ppt)となるように2−メチルイソボルネオールを加えた(試験用原水)。前記トリハロメタン除去試験と同様にして、2−メチルイソボルネオールの除去率が80%未満になるまでの時間(破過時間)を求めた。
【0057】
結果を表1に示す。
【0058】
【表1】
Figure 0004774141
【0059】
表1から明らかなように、比較例に比べて実施例では、効率よく有機物(トリハロメタン、2−メチルイソボルネオール)を吸着除去できる。特に、低濃度の環状有機化合物(2−メチルイソボルネオール)であっても、効率よく吸着除去できる。
【0060】
実施例3
ピッチ系繊維状活性炭(活性炭3)の原綿を窒素雰囲気下(酸素濃度:1000ppm(体積基準))、1100℃で120分間熱処理することにより、表2に示す比表面積、表面酸性官能基量(総量、カルボニル基由来、フェノール性水酸基由来)、平衡水分率を有する繊維状活性炭(平均孔径=20.0×10-8cm)を得た。この繊維状活性炭を長さ1〜2mmに切断し、そのうち約8gを浄水器の円筒状容器(内径4cm、高さ4cm)に充填した。
【0061】
比較例1
ピッチ系繊維状活性炭(活性炭3)を熱処理することなく、長さ1〜2mmに切断し、そのうち約8gを浄水器の円筒状容器(内径4cm、高さ4cm)に充填した。
【0062】
実施例1と同様にして、実施例3及び比較例1の活性炭のトリハロメタン除去試験、2−メチルイソボルネオール除去試験を行った。結果を表2に示す。
【0063】
【表2】
Figure 0004774141

Claims (5)

  1. トリハロメタンと、ボルネオール、イソボルネオール及び2−メチルイソボルネオールから選択されたボルナン骨格を有する化合物との双方を除去するためのピッチ系繊維状活性炭であって、酸素濃度が1〜5000ppm(体積基準)である不活性ガス雰囲気下、ピッチ系繊維状原料活性炭を900〜1400℃で0.5〜2時間熱処理することにより得られ、比表面積が500〜2500m2/gであり、表面酸性官能基の量が0.01〜0.07mmol/gであり、表面のカルボキシル基及びカルボニル基の総量が、表面のフェノール性ヒドロキシル基1モルに対して、0.01〜0.07モルであるピッチ系繊維状活性炭。
  2. 比表面積が700〜1500m2/gである請求項1記載のピッチ系繊維状活性炭。
  3. 比表面積が1500〜2500m2/gである請求項1記載のピッチ系繊維状活性炭。
  4. 相対湿度37%での平衡水分率が0.05〜3.0重量%である請求項3記載のピッチ系繊維状活性炭。
  5. 酸素濃度が1〜5000ppm(体積基準)である不活性ガス雰囲気下、900〜1400℃で0.5〜2時間ピッチ系繊維状原料活性炭を熱処理する請求項1〜4のいずれかの項に記載のピッチ系繊維状活性炭の製造方法。
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