JP4774032B2 - めっき方法及びめっき装置 - Google Patents
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Description
図12に示すような、めっき槽110内のめっき液111中にプレート112から吊り下げた被めっき体113を浸漬させた後、図示しない揺動装置で上下方向又は左右方向に被めっき体113を揺動させ、発生した水素ガス108を被めっき体113から離脱させる方法がある。このとき、例えば被めっき体113を0.05〜0.2Hzで揺動させ、100〜200mmの振幅で行っている。
図1は、本発明による実施例に係るめっき装置の構成を示す概念図である。
図1に示すように、本発明による実施例に係るめっき装置10Aは、被めっき体11Aを無電解めっき液12に浸漬させて、被めっき体11Aの表面に無電解Ni−Pめっき層を形成するめっき装置であって、無電解めっき液12を収容するめっき槽13と、めっきを開始し、被めっき体11Aに前記無電解Ni−Pめっき層が形成される際に発生する水素ガスGが発生しなくなる定常状態になるまで被めっき体11Aを振動させる振動発生装置である例えば振動モータ14と、被めっき体11Aと振動モータ14とを連結する振動伝達部材15と、振動モータ14が発生する振動の振幅を調整する振幅調整手段である例えばコイルバネ16と、を有するものである。
<めっき方法>
図3は、本発明による実施例に係るめっき方法の工程を示す工程図である。
また、本実施例では、無電解めっき層として無電解Ni−Pめっき層を用いて説明する。
図3に示すように、本実施の形態に係るめっき方法は、被めっき体を無電解めっき液に浸漬させて、前記被めっき体の表面に無電解めっき層を形成するめっき方法であって、前記定常状態になるまで前記被めっき体に振動を与え、前記被めっき体に吸着されたガスの離脱を促進するものである。
<A.前処理工程>
(a)被めっき体11Aをトリクロロエチレン(トリクレン)を用いて洗浄を行う蒸気洗浄工程(S11)。
(b)蒸気洗浄工程S11後、被めっき体11Aに残っているトリクロロエチレンを除去する第一の水洗工程(S12)。
(c)第一の水洗工程S12後、アルカリ溶液中に被めっき体11Aを浸漬し、アルカリ洗浄を行うアルカリ洗浄工程(S13)。
(d)アルカリ洗浄工程S13後、被めっき体11Aに残っているアルカリ溶液を除去する第二の水洗工程(S14)。
(e)第二の水洗工程S14後、硫酸とフッ酸との混合溶液に被めっき体11Aを浸漬し、酸洗浄する酸洗工程(S15)。
(f)酸洗工程S15後、被めっき体11Aに残っている前記混合溶液を除去する第三の水洗工程(S16)。
(g)第三の水洗工程S16後、5%硫酸溶液中に被めっき体11Aを浸漬し、酸洗浄する希硫酸酸洗工程(S17)。
(h)希硫酸酸洗工程S17後、被めっき体11Aに残っている5%硫酸溶液を除去する第四の水洗工程(S18)。
(i)第四の水洗工程S18後、被めっき体11Aの表面に無電解Ni−Pめっき層を形成する無電解Ni−Pめっき工程(S19)。
(j)無電解Ni−Pめっき工程S19後、無電解Ni−Pめっき層を形成した被めっき体11Aに残っている無電解Ni−Pめっき液を除去する第五の水洗工程(S20)。
(k)第五の水洗工程S20後、無電解Ni−Pめっき層を形成した被めっき体11Aをエッチングするエッチング工程(S21)。
(l)エッチング工程S21後、シャワー洗浄し、上述のエッチング工程S21において5%硫酸溶液中に浸漬し、引上げる操作を3回繰返し、無電解Ni−Pめっき層を形成した被めっき体11Aに残っている5%硫酸溶液を除去する第六の水洗工程(S22)。
(m)第六の水洗工程S22後、無電解Ni−Pめっき層を形成した被めっき体11Aを乾燥させる乾燥工程(S23)。
を含む工程。
蒸気洗浄工程S11では、被めっき体11Aをトリクロロエチレンを用いて脱脂し洗浄する。
そして、第一の水洗工程S12では、被めっき体11Aをシャワー洗浄、又はスコッチブライト等を用いて被めっき体11Aをこすりながら洗浄する。これにより、被めっき体11Aに塗布したトリクロロエチレンを除去し、被めっき体11Aを洗浄する。
無電解Ni−Pめっき工程S19では、第四の水洗工程S18後、被めっき体11Aを無電解Ni−Pめっき浴に浸漬し、被めっき体11Aの表面に例えば膜厚が25μm程度の無電解Ni−Pめっき層を形成する。このとき、無電解Ni−Pめっき浴の温度は90℃程度とする。
また、無電解Ni−Pめっきは市販の無電解Ni−Pめっき液を用いることができ、例えばニムデンSX(製品名;上村工業社製)の無電解Ni−Pめっき液を使用することができる。
また、発生した水素ガスが脱離するために適正な振動条件について検討した結果について説明する。
図4は、周波数と振幅とその時に水素ガスが離脱する関係を表す図である。
また、この試験結果は、上述のめっき方法に基づいて行ったものであり、振動時間は5秒として行った。
図4に示すように、周波数が6Hz程度の時には、振幅が3.2程度で発生した水素ガスが離脱され(図4中、黒丸)、周波数が増加するに従って水素ガスを離脱するために要する振幅は減少していった。そして、図4中、破線Aで示すように、周波数が8〜10Hzで、振幅が1.0〜2.0の範囲では発生した水素ガスが離脱されるのが確認された。
一方、周波数が6Hz程度の時、振幅が2以下の場合や、周波数が8〜10Hz程度の時、振幅が1以下では、水素ガスが離脱されなかったのが確認された(図4中、×印)。
また、無電解Ni−Pめっき層に発生したピンホール欠陥の数を従来と比較して検討した結果について説明する。
このピンホール欠陥の数を測定する際、ピンホール欠陥検査法はフェロキシル試験により行った。
また、フェロキシル試験は、「JIS H 8617」に準じて試験を行い、基材として鉄素材からなるものを用いて行った。
フェロキシル試験は、図5に示すように、基材31に施した無電解Ni−Pめっき層32の上に指示液としても用いられるフェロキシル液33を染み込ませたろ紙34を無電解Ni−Pめっき層32の上面にのせた。そして、無電解Ni−Pめっき層32にピンホール欠陥35があると、ピンホール欠陥35を介してFe系素材の基材31とフェロキシル液33が反応し、図6に示すように、フェロシアンブルーの青色斑点36がろ紙34に沈着する。この青色斑点36の数を数えることにより、無電解Ni−Pめっき層32上のピンホール欠陥35の数を確認することができる。
また、このとき、本発明のめっき方法の条件は、周波数を10Hzとし、振幅を1mmとし、振動時間を5秒とし、振動を与える振動間隔を30秒ごととした。
また、従来のめっき方法として、図15に示すような超音波によりめっき液を振動させ、発生した水素ガスを被めっき体から離脱させる超音波法と、図12に示すような上下方向に被めっき体を揺動させ、発生した水素ガスを被めっき体から離脱させる上下搖動法を用いた。
図7に示すように、本発明のめっき方法を用いた場合の方が、図15に示すような超音波法や図12に示すような搖動法を用いた従来のめっき法よりもピンホール欠陥の数が減少したのが確認された。
11A、11B 被めっき体
12 無電解めっき液
13 めっき槽
14 振動モータ(振動発生装置)
15 振動伝達部材
16 コイルバネ(振幅調整手段)
17 土台
18 プレート
21 加速度センサ
22 アンプ
23 記録装置
31 基材
32 無電解Ni−Pめっき層
33 フェロキシル液
34 ろ紙
35 ピンホール欠陥
36 青色斑点
G 水素ガス
Claims (2)
- 被めっき体を無電解めっき液に浸漬させて、前記被めっき体の表面に無電解めっき層を形成するめっき方法であって、
めっきを開始し、前記被めっき体に前記無電解めっき層が形成される際に発生するガスの発生量が減少して一定量となる定常状態になるまで前記被めっき体に連続的に、又は振動時間が2秒〜5秒で間欠的に、5Hz〜20Hzの周波数および1mm〜3mmの振幅で振動を与え、
前記被めっき体に与えた振動を加速度センサで検知して、前記加速度センサの出力信号の値に基づいてガスが前記被めっき体から脱離しているかを確認し、前記被めっき体に与える振動量および振幅量を調整することにより前記被めっき体に吸着されたガスの離脱を促進することを特徴とするめっき方法。 - 被めっき体を無電解めっき液に浸漬させて、前記被めっき体の表面に無電解めっき層を形成するめっき装置であって、
無電解めっき液を収容するめっき槽と、
めっきを開始し、前記被めっき体に無電解めっき層が形成される際に発生するガスの発生量が減少して一定量となる定常状態になるまで前記被めっき体に連続的に、又は振動時間が2秒〜5秒で間欠的に、5Hz〜20Hzの周波数および1mm〜3mmの振幅で振動を与えて振動を調整する振動発生装置と、
前記被めっき体と前記振動発生装置とを連結する振動伝達手段と、
前記被めっき体に与えた振動を検知する加速度センサと、
前記加速度センサで検知した振動の出力信号を変換する信号変換器と、
前記変換された出力信号を記録する記録装置と、
前記振動発生装置が発生する振動の振幅を調整する振幅調整手段と、
を有し、
前記振動発生装置および前記振幅調整手段は、前記記録された前記出力信号の値に基づいてガスが前記被めっき体から脱離しているかを確認し、前記被めっき体に与える振動量および振幅量を調整することを特徴とするめっき装置。
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