JP3419354B2 - 無電解複合ニッケル−リン合金めっき方法 - Google Patents

無電解複合ニッケル−リン合金めっき方法

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JP3419354B2 JP22504099A JP22504099A JP3419354B2 JP 3419354 B2 JP3419354 B2 JP 3419354B2 JP 22504099 A JP22504099 A JP 22504099A JP 22504099 A JP22504099 A JP 22504099A JP 3419354 B2 JP3419354 B2 JP 3419354B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特にガソリン燃料
ポンプ用プランジャピストン等の摺動部品に対する無電
解複合ニッケル−リン合金めっき方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ピストン、シリンダ等の摺動
部品に対し、還元剤として次亜りん酸塩を用い、ポリテ
トラフルオロエチレン(PTFE)微粒子等のフッ素樹
脂微粒子を分散した無電解複合ニッケル−リン合金めっ
き液を使用して、ニッケル−リン合金をマトリックスと
し、このマトリックス中にフッ素樹脂粒子を分散してな
る複合めっき皮膜を形成し、耐摩耗性、摺動性を付与す
ることが行われている。
【0003】この場合、例えばガソリンをエンジン燃焼
室内へ噴射供給するためのガソリン供給ポンプにおいて
ピストンとなる部品(プランジャピストン)にかかる無
電解複合めっき皮膜を形成する場合、このプランジャピ
ストンには、そのめっき皮膜が高硬度であることが必要
であり、このため上記無電解複合めっき液の中でも比較
的フッ素樹脂微粒子共析量が少なく、無電解複合めっき
皮膜中のフッ素樹脂微粒子量が少ないものが要求され
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このような
フッ素樹脂微粒子の共析量の少ない無電解複合めっき液
を用いた場合、被めっき物のプランジャピストンにスポ
ット的な未共析部分、ピットやかじりといった不具合が
生じ易く、このためこの不具合を解決することが望まれ
た。
【0005】本発明は、上記事情に鑑みなされたもの
で、摺動部品等の被めっき物にスポット的な未共析部
分、ピットやかじり等の不具合を生じさせることなく、
フッ素樹脂微粒子がニッケル−リン合金マトリックス中
に分散した複合めっき皮膜を形成することができる無電
解複合ニッケル−リン合金めっき方法を提供することを
目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するため鋭意検討を行った結果、被めっき物を特
定条件下、即ち振動周波数30〜90Hz、振動加速度
2〜15G、振幅0.5〜2mmの振動条件において垂
直方向に振動させながら、無電解複合ニッケル−リン合
金めっきを行うことがスポット的な未共析部分、ピッ
ト、かじり等を抑制するのに有効であることを知見し
た。
【0007】即ち、従来から、電気めっき、無電解めっ
きを問わず、また複合材微粒子を含む複合めっきプロセ
スにおいても、めっき液を撹拌、流動したり、被めっき
物を揺動もしくは振動させながらめっきを行う手法は広
く採用されており、特に複合めっきの場合は、超音波撹
拌を行う手法が種々提案されている(特開昭57−54
262号、特開昭57−54263号、特開平5−17
1453号、特開平7−243052号公報)。
【0008】しかしながら、PTFE等のフッ素樹脂微
粒子を通常の複合めっきの場合より少なく使用し、その
共析量(複合量)を15容量%以下とした無電解ニッケ
ル−リン合金めっき液においては、超音波撹拌を行って
もスポット的な未共析部分、ピットが生成し易い。ま
た、通常の揺動、振動方式でもかかる現象を十分抑制す
ることが困難である。また、特開平11−189880
号公報には、複合めっきではないが、無電解めっきにお
いて、被処理物に対して、10〜60Hz、振幅0.5
〜1.0mmの振動を与えることが開示されている。し
かし、その振動を与える方向については記載がなく、振
動の方向によっては、十分その効果が得られない場合が
ある。
【0009】なお従来、ピットの抑制には、ラウリル硫
酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤を添加するこ
とが知られているが、複合めっき液にはフッ素樹脂微粒
子を分散させるためにカチオン性界面活性剤が比較的多
量に含まれているので、アニオン性界面活性剤を添加す
ると、これがカチオン性界面活性剤と静電的な強い結合
を起こし、親水性を失うことになるので、アニオン性界
面活性剤の添加によるピット防止方法は複合めっきには
採用し得ない。
【0010】本発明者らは、かかる状況下において、フ
ッ素樹脂微粒子の共析量の少ない無電解複合ニッケル−
リン合金めっきにおけるスポット的な未共析部分の生
成、ピットの生成を抑制する方法につき種々検討を重ね
た結果、一般に、無電解ニッケル−リン/フッ素樹脂微
粒子複合めっき液では、撥水性の非常に強いフッ素樹脂
微粒子をめっき液中に湿潤、分散させ、更に共析能力を
付与するために主にカチオン性界面活性剤を比較的多量
に配合しているので、めっき液は非常に泡立ち易く、ま
ためっき時の副反応として多量の水素ガスが発生するた
め、めっき液中に安定な泡が生じるものであるが、本発
明者らの検討によると、この泡が共析微粒子と酷似した
性質を持ち、共析現象と同様の機構により被めっき物表
面に化学吸着し易く、これがスポット的な未共析部分の
発生といっためっき欠陥を引き起こすものと推測され
た。即ち、フッ素樹脂微粒子を15〜30容量%の共析
量で複合させる通常の無電解複合ニッケル−リン合金め
っきでは、これまでスポット的な未共析部分の生成は殆
ど問題になることがなく、ピットも超音波撹拌等により
抑制することができ、被めっき物の揺動乃至は振動も均
一な複合めっき皮膜を得るといった目的で行われていた
ものであるが、フッ素樹脂微粒子を15容量%以下、特
に10容量%以下という少ない共析量で複合めっきした
場合、上記泡が共析フッ素樹脂微粒子と同様に作用して
これが“共析”されてしまうことがスポット的な未共析
部分、ピットの生成につながるのではないかと推測され
た。つまり、フッ素樹脂共析量が多い場合は、フッ素樹
脂粒子が優先的に化学吸着し、上記泡の“共析”がある
程度妨げられるのに対し、フッ素樹脂共析量が少ない場
合は、泡の“共析”が生じ易いものと推測された。
【0011】いずれにしても、フッ素樹脂共析量が少な
い場合は、スポット的な未共析部分、ピットが生成し易
いものであり、かかる不具合を解消するため検討を進め
た結果、上述したように、振動周波数30〜90Hz、
振動加速度2〜15G、振幅0.5〜2mmの振動を被
めっき物に対し垂直方向に与えながらめっきを行うこと
により、スポット的な未共析部分、ピットの生成が激減
し、かじりのない均質なフッ素樹脂複合ニッケル−リン
合金めっき皮膜が得られることを知見したものである。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明につき更に詳しく説
明する。本発明の無電解複合ニッケル−リン合金めっき
方法は、次亜りん酸塩を還元剤とし、フッ素樹脂微粒子
が分散した無電解複合ニッケル−リン合金めっき液に被
めっき物を浸漬し、この被めっき物上にニッケル−リン
合金マトリックス中に上記フッ素樹脂微粒子が分散して
なる複合めっき皮膜を形成するに際し、上記被めっき物
に振動周波数30〜90Hz、振動加速度2〜15G、
振幅0.5〜2mmの振動を垂直方向に与えながらめっ
きするものである。
【0013】この場合、本発明のめっき方法は、ガソリ
ンをエンジン燃焼室内へ噴射供給するためのガソリン供
給用ポンプにおいてピストンとなる部品(プランジャピ
ストン)に効果的であるが、これ以外の各種摺動部品、
例えば、プランジャの相手側となるシリンダの内面など
の円筒状の摺動部品における内・外面、精密機器の各種
駆動部のガイドシャフト、電動モーターの軸や軸受けな
ど、長短、大小の様々な摺動部品全般に対する複合めっ
きの実施において有効に採用され、耐久性、耐焼付き性
などの機能を付与することができる。
【0014】本発明方法で使用する無電解複合ニッケル
−リン合金めっき液は、無電解ニッケル−リン合金めっ
き液にフッ素樹脂微粒子を分散させたもので、公知の液
組成のものを使用することができる。この場合、このめ
っき液は、通常、硫酸ニッケル等の水溶性ニッケル塩を
ニッケルとして0.02〜0.2モル/Lと、このニッ
ケル塩を錯化するカルボン酸やその塩などの錯化剤を
0.02〜0.2モル/Lと、還元剤として次亜りん酸
ナトリウム等の次亜りん酸塩を0.05〜0.5モル/
L含み、更に必要に応じ鉛塩等の安定剤、その他無電解
ニッケル−リン合金めっき液に添加され得る成分を添加
することができる。なお、本発明方法を上記摺動部品の
めっきに適用する場合、ニッケル−リン合金マトリック
ス中のリン含有量は4〜14重量%、特に7〜12重量
%とすることが好ましい。
【0015】また、上記めっき液には、フッ素樹脂微粒
子をめっき液中に分散させるため、この種の複合めっき
液で公知のカチオン性界面活性剤やノニオン性界面活性
剤、両性界面活性剤等の界面活性剤を0.01〜1g/
L、特に0.05〜0.5g/L含有する。なお、上記
界面活性剤を例示すると、住友スリーM(株)のフロラ
ードFC−170、FC−431、FC−135や旭硝
子(株)のサーフロンS−121、S−131、S−1
41、S−145などのフッ素系界面活性剤が好まし
く、カチオン性又は両性の界面活性剤を単独で又はノニ
オン性界面活性剤と併用することができる。また、炭化
水素系界面活性剤として、花王(株)のエマルゲン90
0番シリーズやコーミタン24P、D−86Pなどのノ
ニオン性やカチオン性界面活性剤なども単独又はフッ素
系界面活性剤と併用して用いることができる。
【0016】フッ素樹脂微粒子としては、ポリテトラフ
ルオロエチレン(PTFE)の乳化重合法で生産された
ファインパウダーやそのディスパージョン品が好適であ
り、更に放射線照射によりフェブリル化(繊維化)を抑
制させたPTFE微粒子も好適である。また、テトラフ
ルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル
共重合体(PFA)やテトラフルオロエチレン−ヘキサ
フルオロプロピレン共重合体(FEP)などのフッ素樹
脂微粒子を用いることもできる。なお、フッ素樹脂微粒
子に加えて、窒化ホウ素(BN)、二酸化モリブデン
(MoS2)、場合によってはグラファイト(黒鉛)な
どの微粒子を併用することができ、これはカチオン性や
ノニオン性などの界面活性剤を併用しためっき液を用い
ている場合には非常に有効である。その微粒子の平均粒
径は特に制限されるものではないが、0.05〜10μ
m、特に0.2〜1μmのものがよい。
【0017】フッ素樹脂微粒子の配合量は0.1〜10
g/L、より好ましくは0.3〜5g/L、更に好まし
くは1〜3g/Lとすることができる。この場合、本発
明は、フッ素樹脂微粒子が15容量%以下、好ましくは
12容量%以下、より好ましくは10容量%以下、更に
好ましくは9容量%以下のフッ素樹脂微粒子が低い割合
で共析する複合めっきに有効である。なお、フッ素樹脂
微粒子の共析量下限は特に制限されないが、通常1容量
%以上、好ましくは4容量%以上、より好ましくは5容
量%以上、更に好ましくは5.5容量%以上であること
がよく、フッ素樹脂微粒子共析量が少なすぎると、フッ
素樹脂微粒子による耐摩耗性、摺動性などの特性を十分
に付与し得ない傾向となる。ここで、フッ素樹脂微粒子
の共析量15容量%はほぼ4.7重量%、10容量%は
ほぼ3.0重量%に相当し、また2容量%はほぼ0.6
重量%、4容量%はほぼ1.1重量%に相当する。
【0018】なお、本発明のめっき液のpHは4〜6、
特に4.5〜5.5とすることが好ましい。
【0019】本発明のめっき方法は、被めっき物を上記
めっき液中で振動させるものである。この場合の振動条
件は振動周波数が30〜90Hz、好ましくは60〜9
0Hz、より好ましくは65〜90Hzであり、振動加
速度が2〜15G、好ましくは5〜15G、振幅が0.
5〜2mm、好ましくは0.8〜1.5mmであり、ま
た被めっき物を垂直方向に振動させることが必要であ
り、かかる振動条件により、スポット的な未共析部分の
生成、ピットの発生を抑制することができる。なお、水
平方向の振動が大きい場合には、意図した共析量が得ら
れにくくなるだけでなく、かじり等の皮膜欠陥が著しく
大きくなる問題が発生する。従って、被めっき物の水平
方向の振動は極力小さいことが重要であり、垂直加速度
の20%以下にすることが重要である。本発明は粒子を
分散させた複合めっきにおけるピットを抑制するのが目
的であるため、垂直方向の振動が必要である。一方、特
開平11−189880号公報記載の技術は複合めっき
ではなく、微細孔へのめっきが目的のため、振動方向は
特に問題とされていない。その点で相違がある。
【0020】この場合、上記振動を与える振動装置とし
ては、図1に示したように、左右一対の振動受け枠1上
にそれぞれスプリング2を介して上下振動可能に振動枠
3を配設すると共に、加振機4を設けたものである。こ
の加振機4は、電気モータの回転軸にバランスウエイト
を設置すると共に、その回転運動を上下運動に変換する
機構を介して上下振動を伝達するものであり、上記振動
枠3には、ハンガークランプ5が取り付けられ、左右の
振動枠3間にハンガークランプ5で支持されてハンガー
バー6が架け渡され、このバー6に被めっき物7が吊下
されるものである。この場合、左右の振動枠3におい
て、それぞれの電気モータ回転軸のバランスウエイトを
意図的にアンバランスな設定にすることで、モータ回転
軸の回転に伴い定常振動を発生させるものであり、この
場合アンバランスの度合いを大きくすると振動による加
速度が大きくなるものである。また、モータの回転軸の
回転数が振動の周波数となる。更に、振動枠は、上記ス
プリング上に配設されているが、このスプリングのバネ
定数と振動加速度の関係で上下振幅が決まるものであ
り、振動周波数と振動加速度が決まっていても、スプリ
ングを選定することで振幅を設定することができる。
【0021】ここで、加振機の構造が垂直方向振動の最
も大きい要因であるが、スプリング、めっき治具、振動
枠に工夫をすることで、周波数、加速度、振幅が大きく
なることによって引き起こされる水平方向の揺れを抑え
ることができる。即ち、上記装置においては、加振機の
モーターが水平方向へ回転するのではなく垂直方向へ回
転するため垂直方向の振動を引き起こす構造となってい
る。また、スプリングを自由に変更できる構造となって
いるため、スプリングの直径の大きなものを使用するこ
とで安定性が増すと共に、硬さを持たせることで垂直方
向への力が横へそれることを抑えることができる。めっ
き治具は被処理物を保持するため、振動の伝達に大きな
影響を与える。水平方向の揺れは10Gを超える振動加
速度が発生する条件になると共に顕著に現れるようにな
る。それを抑えるため治具に剛性のあるものを用いるの
がよく、また、被めっき物に振動を的確に伝え、不要な
ブレを起こすことのない形状であることも必要になって
くる。例えば、図2のようなL字状の片持ちの治具枝に
すると振動加速度5G前後でも被めっき物が安定せず大
きな水平方向の振動を起こし易く、図3に示したような
治具枝とすることにより、10Gを超える条件で治具枝
が折れるなどのトラブルを起こすことなく、効率よく水
平方向への振動を伝えることができる。なお、図2,3
において、8がハンガーであり、図2はハンガー8がL
字状とされ、上部においてネジ9によりハンガーバー6
に固定されていると共に、下部において被めっき物7が
支持されるものである。一方、本発明において好適な図
3のハンガー8は、下部がそれぞれ両側方に膨出したU
字状とされ、その上部両側部において、それぞれボルト
9a、ナット9bによりハンガーバー6に固定され、か
つ、底部において被めっき物7が固定、支持されるもの
である。
【0022】更に、振動枠は振動装置からの振動をめっ
き治具に伝えるものであり、これも振動の伝達に大きな
影響を与える。剛性がないものであると、振動装置によ
って振動枠が振動する時にたわみが生じ、振動枠の真ん
中あたりの振り幅が大きくなり、水平方向に振動がブレ
ることが避けられなくなる。よって振動枠にも剛性を付
与することが必要となる。
【0023】従って、上記振動装置は、モータ回転軸の
回転数、バランスウエイトのアンバランス度合い、振動
枠を保持するスプリング特性などの因子を適切に設定す
ることにより、上述した振動条件を与えるものである。
本発明の振動条件を与える振動装置は、勿論図示の振動
装置に限られるものではないが、本発明の振動条件は、
このような装置によって与えられる特異な振動条件であ
って、従来は意図されていない振動領域であり、上述し
た無電解複合ニッケル−リン合金めっきにおいて、スポ
ット的な未共析部分、ピットの生成を抑止する効果的な
振動領域である。
【0024】なお、本発明のめっき方法において、上記
振動を加える以外は通常の条件とすることができ、めっ
き温度は80〜95℃とすることができる。また、必要
に応じ、超音波撹拌を行ったり、スターラーやポンプ等
を用いてめっき液を流動させることは差し支えない。
【0025】本発明によれば、プランジャピストン等の
摺動部品などに対して、非常に高品質なめっき皮膜を高
い量産性を持って低コストで形成することができる。ま
た、本発明により品質が向上することによる効果は、部
品の信頼性が向上するだけでなく、部品の生産性を大幅
に向上させる。具体的には、めっき速度が20%程度上
昇することで処理時間が短縮される。更に、この部品は
めっき処理後、部品精度を確保するために研削が行われ
ているが、研削工程でめっき後の表面の凹凸を均一化し
て規定の表面状態を確保しながら部品寸法も確保してい
る。この表面の凹凸を均一化するために従来の手法でめ
っきしたものは、凹凸を取り除くための研削取りしろ分
として厚めにめっき処理していた。凹凸除去のための取
りしろ分の膜厚を小さくできることで、処理膜厚を小さ
くできるようになり、析出速度の増加分と併せて更に生
産性を向上させることができる。加えて、めっき品質が
向上して、不良率が大幅に低下することも可能である。
【0026】なお、上記複合ニッケル−リン合金めっき
皮膜を摺動部品に適用する場合は、この皮膜を熱処理し
て、ニッケル−リンマトリックスの硬度を上げることが
好ましい。熱処理条件は適宜選定されるが、200〜4
00℃、好ましくは250〜350℃、更に好ましくは
280〜330℃であり、10分〜3時間、特に30分
〜2時間程度とすることができ、ニッケル−リンマトリ
ックスのビッカース硬度はHv500〜1000、特に
600〜900とすることが好ましい。
【0027】
【実施例】以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体
的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるも
のではない。
【0028】[実施例、比較例]下記組成の無電解複合
ニッケル−リン合金めっき液を調製した。 ニッケルイオン 0.07モル/L 錯化剤 1.0 モル/L 次亜りん酸ナトリウム 0.22モル/L カチオン性界面活性剤 0.3 モル/L 安定剤 微量 PTFE(平均粒径0.3μm) 1.0 g/L pH 4.9 次に、上記めっき液を用いて90℃で120分間プラン
ジャピストンのめっきを行った。この場合、図1に示し
た振動装置を用いてプランジャピストンを種々の条件で
上下方向(垂直方向)に振動させながらめっきを行っ
た。振動状況は、加速度センサー((株)リオン製振動
計VM−80.ピックアップPV−90B)をプランジ
ャピストンに固定して実測した。
【0029】得られためっき皮膜(Ni−Pマトリック
ス中にPTFEが分散しためっき皮膜、20〜30μ
m)の性状は下記の通りであった。
【0030】
【表1】 注:*めっき液を超音波撹拌(28kHz,600W)
【0031】なお、未分散部(未共析部)面積率は、レ
ーザー顕微鏡写真の撮影(1300×1300μm四
方、1視野)を行い、画像解析装置による未分散部の2
値化・定量化を行い、視野に対する未分散部の総面積の
割合を算出した。
【0032】また、ピット(めっき表面の凹欠陥)密度
は、同様のレーザー顕微鏡写真の撮影を行い、基準視野
(500μm×2000μm)中の直径50μm以上の
ピット数(個/mm2)を計測したかじり(被めっき物
のエッジ周辺のめっき未着欠陥)幅は、レーザー顕微鏡
による観察にて行った。
【0033】更に、図4に種々振動数における未分散部
面積部の状態の顕微鏡写真を示し、図5に種々振動数に
おけるピット形状の顕微鏡写真を示す。
【0034】上記の結果より、本発明の振動条件がスポ
ット的な未共析部の生成、ピットの発生を抑制し得るこ
とが認められる。
【0035】なお、図6に、PTFE微粒子複合Ni−
P合金めっき皮膜をPTFE共析量とめっき液中のPT
FE濃度との関係を示す。この場合は、振動は、周波数
60Hz、加速度6G、振幅1.2mmを垂直方向に与
えることによって行った。
【0036】[参考例]本発明によって得られたPTF
E微粒子複合Ni−P合金めっき皮膜を種々の条件で熱
処理することによって得られたプランジャピストンにつ
いて、PTFE共析量と皮膜硬度(図7)、焼付き面圧
(図8)、摩耗深さ(図9)との関係を示す。
【0037】ここで、皮膜硬度はビッカース硬度(H
v)である。また、焼付き性能は機械試験所式試験(油
滑:ガソリン)にて行い、摩耗性能はLFW試験(油
滑:5W−30油)にて行った。なお、焼付き性能、摩
耗性能は300℃、1時間熱処理したサンプルについて
行った。
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、スポット的な未共析部
分、ピットによる欠陥が抑制されたフッ素樹脂複合無電
解ニッケル−リン合金めっき皮膜を確実に形成すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】振動装置の一例を示す正面図である。
【図2】ハンガーの不適切例を示す側面図である。
【図3】ハンガーの好適例を示し、(A)はその側面
図、(B)は正面図、(C)は背面図、(D)は(A)
のA−A線に沿った平面図である。
【図4】未分散部面積率に及ぼす振動数の影響を示す顕
微鏡写真である。
【図5】ピット形状に及ぼす振動数の影響を示す顕微鏡
写真である。
【図6】めっき液中のPTFE濃度と皮膜中のPTFE
共析量との関係を示すグラフである。
【図7】皮膜中のPTFE共析量と皮膜硬度との関係を
示すグラフである。
【図8】皮膜中のPTFE共析量と焼付き面圧との関係
を示すグラフである。
【図9】皮膜中のPTFE共析量と摩耗深さとの関係を
示すグラフである。
【符号の説明】
1 振動受け枠 2 スプリング 3 振動枠 4 加振機 5 ハンガークランプ 6 ハンガーバー 7 被めっき物 8 ハンガー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 仁藤 丈裕 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 中田 博道 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 桜井 政一 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−308091(JP,A) 特開 平6−308575(JP,A) 特開 平5−163580(JP,A) 特開 平5−171453(JP,A) 特開 平6−330331(JP,A) 特開 平9−59781(JP,A) 特開 平6−312124(JP,A) 特開 平7−101715(JP,A) 特開 平11−189880(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 18/50 C23C 18/31

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次亜りん酸塩を還元剤とし、フッ素樹脂
    微粒子が分散した無電解複合ニッケル−リン合金めっき
    液に、被めっき物を浸漬し、この被めっき物上にニッケ
    ル−リン合金マトリックス中に上記フッ素樹脂微粒子が
    分散してなる複合めっき皮膜を形成するに際し、上記被
    めっき物に振動周波数30〜90Hz、振動加速度2〜
    15G、振幅0.5〜2mmの振動を垂直方向に与えな
    がらめっきすることを特徴とする無電解複合ニッケル−
    リン合金めっき方法。
  2. 【請求項2】 上記複合めっき皮膜中のフッ素樹脂微粒
    子の複合量が15容量%以下である請求項1記載のめっ
    き方法。
  3. 【請求項3】 被めっき物が摺動部品である請求項1又
    は2記載のめっき方法。
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