JP2007178238A - 被膜の耐食性評価方法 - Google Patents

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Tomoki Honda
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Abstract

【課題】本発明は、被膜材料において腐食に結びつく個々の欠陥の損傷のしやすさを計測して、様々な環境条件における被膜の耐食性を高信頼性で速やかかつ簡便に評価することができる方法を提供することを目的とするものである。
【解決手段】超音波発生装置1で発生した超音波は増幅ホーン2で増幅されてディスク3に伝達される。水槽4内には、評価基板7が所定の深さになるように試験溶液5が貯留されており、評価基板7の上方においてディスク3が試験溶液中に浸漬されて配置されている。試験溶液5中をディスク3により超音波振動させると、キャビテーションが発生して局所的な衝撃圧力が評価基板7に成膜された被膜8に作用するようになる。そして、被膜8に存在する欠陥を起点とする破壊状態(欠陥数、破壊面積等)を計測し、その計測データに基づいて耐食性の評価を行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、基材に形成された被膜に所定の負荷を与えてその耐食性を評価する評価方法に関する。
機械部品や電気部品等の幅広い技術分野において、材料に被膜を形成することで、被膜に用いた材料の特性を利用して、強度を高めたり(耐摩耗性等)、耐久性(耐食性、耐熱性等)を向上させたり、別の機能(導電性、絶縁性等)付与することが行われている。被膜の形成には、メッキ処理の他にPVD(Physical Vapor Deposition)又はCVD(Chemical Vapor Deposition)といった薄膜形成技術が用いられるようになっている。
このような薄膜形成技術を用いて、例えば窒化チタンや窒化クロムを材料に被膜することで、様々な種類の材料に耐食性を持たせることが可能となる。しかしながら、薄膜形成技術で成膜された被膜には、成膜時に数μm程度の微小な欠陥(ピンホールや堆積した異物等)が発生する場合があり、こうした欠陥が発生した部分では基材(下地の材料)表面が露出していることが多く、そのため欠陥部分を起点として被膜の破壊や腐食が発生するようになる。特に、基材がアノードで被膜がカソードとなる腐食電池を構成する条件下では、被膜が急速に腐食されるおそれがある。また、成膜時に膜厚の薄い部分では被膜が剥れやすく破壊や腐食が発生しやすいといった欠陥がある。
そのため、薄膜形成技術により成膜された被膜の耐食性を評価するには被膜の欠陥を評価する必要がある。こうした被膜の欠陥を評価する標準的な手法として、臨界不働態化電流密度法(Critical Passivation Current Density Method−以下CPCD法と略称;日本機械学会基準JSME S010−1996)が従来より用いられている。CPCD法では、基材となる金属の臨界不働態化電流密度がピンホール等欠陥部位における露出面積に比例することを利用して定量的に欠陥を評価することができる。
こうした手法以外では、実際の腐食環境中に被膜を浸漬させた状態で被膜表面の経時変化を観察する静腐食試験法があるが、試験に要する期間が長く(半年〜数年)すぐに評価を得ることができない欠点がある。
また、特許文献1では、セラミックコーティング層の剥離損傷を超音波探傷器を用いて非破壊検査することでコーティング層の安全性を判断する点が記載されている。また、特許文献2では、被検体に柱状体を押圧して特定の屈曲形状を与え、その際に生じるAE波を圧電素子で検出して被膜の強度を測定する点が記載されている。
特開2000−206100号公報 特開平7−301588号公報
CPCD法は、定量的な欠陥評価をすぐに行うことができる利点があるものの被膜全体をマクロで評価するため、個々の欠陥の腐食のしやすさや破壊の進行速度といった時間経過による状態変化に対する評価は困難である。また、上述した先行文献においても、個々の欠陥が腐食に関与するか否かについては評価することができない。
被膜表面に存在するピット(窪み)等は、ピンホールにより基材が露出している場合には腐食の起点となって被膜を損傷することになるが、基材が露出していない場合には腐食に結びつく確率は小さい。そのため、従来の評価手法では腐食に結びつく欠陥がどの程度存在するのかといった評価を行うことは困難である。また、従来の評価手法によりこうした欠陥の評価を行うためには検査結果との相関関係を分析する必要があり、過去のデータを蓄積したデータベースの構築やシミュレーション方法を検討しなければならない。
そこで、本発明は、被膜材料において腐食に結びつく個々の欠陥の損傷のしやすさを計測して、様々な環境条件における被膜の耐食性を高信頼性で速やかかつ簡便に評価することができる方法を提供することを目的とするものである。
本発明に係る第1の被膜の耐食性評価方法は、表面に被膜が形成された基材を試験溶液中に設置し、超音波振動により前記試験溶液中にキャビテーションを発生させて前記被膜に衝撃圧力を作用させることで前記被膜の欠陥に伴う破壊現象を発生させ、前記被膜の破壊された欠陥の数及び/又は面積を計測しその計測結果に基づいて被膜の耐食性を評価することを特徴とする。さらに、本発明に係る第2の被膜の耐食性評価方法は、本発明に係る第1の被膜の耐食性評価方法において、被膜の欠陥の破壊状態は、衝撃圧力を作用させる前後の被膜の表面に関する顕微鏡画像データに基づいて計測することを特徴とする。さらに、本発明に係る第3の被膜の耐食性評価方法は、本発明に係る第1又は第2の被膜の耐食性評価方法において、試験溶液は、被膜の腐食を促進する成分を含むことを特徴とする。
上記のような構成を備えることで、超音波振動によるキャビテーションを試験溶液中に発生させて極めて局所的な衝撃圧力を被膜に作用させることができるので、被膜に存在する微小な欠陥に対してそれぞれ同程度の衝撃作用が加わり、個々の欠陥の破壊のしやすさを評価することができる。
被膜の腐食現象は主に被膜に存在する微小欠陥を起点として発生することが知られており、腐食の進行速度は、欠陥の形態、大きさ及び数並びに被膜の破壊強度に依存することが知られている。したがって、被膜に存在する微小欠陥のそれぞれに局所的な衝撃圧力を作用させ、各欠陥の衝撃圧力に対する強度をみることで被膜の腐食に対する加速試験を行うことが可能になり、短時間で試験結果及び評価結果を得ることができる。
そして、衝撃圧力により破壊された欠陥の数及び/又は面積を計測することで定量的に耐食性を評価することができる。すなわち、被膜の破壊された欠陥の個数分布や欠陥を起点する破壊面積(被膜の剥離面積)の大きさといった計測データは、腐食の進行速度に密接に関連するデータであり、こうしたデータを分析することで高信頼性の耐食性評価を行うことができる。
また、超音波振動によるキャビテーション気泡の発生とその崩壊により作用する衝撃圧力の大きさは容易に変更可能であり、被膜の材料の種類に応じて小さい値から大きい値まで適宜きめ細かく設定することができ、信頼性の高い計測データを得ることが可能となる。
また、被膜の欠陥の破壊状態を、衝撃圧力を作用させる前後の被膜の表面に関する顕微鏡画像データに基づいて計測すれば、2つの画像データの比較により破壊状態を正確に把握することが可能になるとともに画像処理によって破壊された欠陥数や破壊面積をコンピュータ処理によって容易に算出することができる。
また、試験溶液に被膜や基材の腐食を促進する成分を含有させておけば、様々な環境条件における被膜の耐食性を評価することができ、例えば、被膜が実際に設置される環境条件に類似の環境での耐食性を評価することが可能となる。
以下、本発明に係る実施形態について詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するにあたって好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に本発明を限定する旨明記されていない限り、これらの形態に限定されるものではない。
図1は、本発明に係る評価方法を実施するための被膜欠陥加速破壊装置に関する構成図である。超音波発生装置1の下部には増幅ホーン2が取り付けられており、増幅ホーン2の下端に円板状のディスク3が固定されている。ディスク3は、耐食性のある材料から構成することが好ましく、例えばステンレス製やチタン合金製のものが好適である。
そして、超音波発生装置1で発生した超音波は増幅ホーン2で増幅されてディスク3に伝達される。ディスク3の下方には、水槽4が設置されており、水槽4内には、試験溶液5が貯留されている。そして、水槽4内のほぼ中央部には取付基台6が設置されており、取付基台6の上面に評価基板7が載置されている。評価基板7の上面には薄膜形成技術により被膜8が所定の層厚で成膜されている。
水槽4内には、評価基板7が所定の深さになるように試験溶液5が貯留されており、評価基板7の上方においてディスク3が試験溶液中に浸漬されて配置されるように超音波発生装置1が設置されている。したがって、超音波発生装置1で発生した超音波はディスク3により試験溶液5中を超音波振動させてキャビテーションを発生させるようになる。
試験溶液5中を超音波振動させると、超音波の音圧によって多数の微小な気泡や空洞が急速に形成されて激しく崩壊するキャビテーションが発生し、気泡や空洞が崩壊する際に局所的な衝撃圧力が作用するようになる。
図2は、キャビテーションによる衝撃圧力が評価基板7に作用する場合を模式的に示す説明図である。図2(a)に示すように、ディスク3により試験溶液5中に超音波振動が発生すると、ディスク3の近傍にキャビテーションによる微小な気泡Bが多数発生する。被膜8には、欠陥であるピットP1〜P4が存在しており、ピットP1及びP4はピンホールとなって基板が露出している。また、ピットP2及びP3は窪んではいるものの基板が露出するには至っていない。そして、図2(b)に示すように、発生した微小な気泡Bは発生後崩壊して被膜8の表面に対して局所的な衝撃圧力を与えるようになる。多数の気泡Bが次々に崩壊していくため、被膜の表面のキャビテーションが発生する領域では全体に同じ程度の衝撃圧力が作用するようになって、ピットP1〜P4に対してもそれぞれ同じ程度の衝撃圧力が作用する。すなわち、被膜に存在する個々の欠陥に対してほぼ同じ条件下で破壊試験を行うことになる。したがって、基板が露出したピットP1及びP4では、試験溶液5の浸入によって被膜8が剥離しやすくなって、ピットP1及びP4を起点として被膜8の剥離や破壊が生じるようになる。
被膜に作用する衝撃圧力の大きさは、超音波発生装置1の出力及び評価基板7の上面とディスク3の下面との間の間隔を調整することで所望のレベルに設定できる。間隔調整は、例えば、超音波発生装置1にディスク3の上下方向の位置調整を行うための位置調整機構を設けて、評価基板7の上面とディスク3の下面との間の間隔調整を行うようにすればよい。そして、被膜の強度等の条件に応じて被膜に作用する衝撃圧力の大きさを適宜設定する。
試験を行う場合には、試験時間が所定時間毎に被膜の破壊状態を観察することで破壊の進行速度を評価することができる。そして、被膜の破壊状態は、破壊された欠陥の個数及び分布並びにそれらの破壊面積を計測することで定量的に分析することができる。分析を行う場合には、破壊された欠陥の平均破壊面積や個数及び破壊面積の増加率といったデータを算出して様々な観点から被膜の耐食性を評価することが可能となる。
被膜の破壊状態は、光学顕微鏡又は電子顕微鏡を用いて衝撃圧力を作用させる前と作用させた後の被膜の表面を撮影した画像データを比較して計測される。衝撃圧力の作用前後で同じ領域を撮影するために被膜の表面に予めマーキングを施すようにしてもよい。画像データを比較する場合には、撮影した画像データを2値化処理して欠陥が浮き出るように処理し、同じ位置の欠陥の形状変化の有無から破壊された欠陥が特定されてそれらの分布や個数を計測することができる。また、破壊された欠陥の形状変化を比較することで破壊面積の大きさを計測することができ、欠陥の長径及び短径を計測して欠陥の形状のデータとすることができる。こうした計測処理は、2値化されたデータに基づいてコンピュータにより算出処理すればよい。
所定時間毎にこうした計測データを取得し、これらの計測データを集計して破壊面積の総和及び平均並びにそれらの増加率、欠陥数の増加率及びそれらの分布の変化といった詳細な分析が行われる。例えば、破壊面積の総和が同じ場合でも、欠陥の個数が少なく分布が偏在している場合と欠陥の個数が多くて全体に分布している場合とでは被膜の耐食性の評価が異なってくる。
評価を行う場合には、例えば、試験初期の破壊面積から腐食に結びつく欠陥の量を評価したり、破壊面積の増加率から被膜の破壊強度を評価するといった様々な評価手法が可能である。被膜の破壊強度は、被膜の硬さや剥離強度といった様々な要因が絡んでいるが、本発明の評価方法では、欠陥の破壊の進行速度を1つの指標として被膜の破壊強度を評価することができる。
試験溶液5は、評価基板7の被膜の材料に応じて適宜選択すればよい。例えば、純水、イオン交換水あるいは食塩水等の腐食性液体が挙げられる。腐食性液体は、評価基板7が実際に設置される環境条件に対応したものを選択すればそうした環境下での欠陥の破壊状態を評価することができる。また、被膜の強度が高い場合には、腐食を加速させるために腐食性液体、例えば弱硫酸水溶液を選択するようにしてもよい。
以上のように、超音波発生装置の出力調整や試験溶液の選択によって種々の材質の被膜に対して適用することができ、しかも短時間で信頼性の高い評価結果を得ることが可能となる。
図1に示す装置として、以下のものを用いた。
(1)超音波発生装置(株式会社カイジョー製、6271型発振器及び6281型出力器);出力600W、全振幅50μm、共振周波数14.5kHz
(2)ディスク;直径18mm
(3)評価基板とディスクの間の間隔;1mm
(4)試験溶液;3%食塩水又はイオン交換水
(5)評価基板;SS400炭素鋼にTiN被膜をイオンプレーティングしたもの
試験を行う前に、評価基板の質量を精密天秤により測定し走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope;SEM)により被膜の表面を撮影する。撮影する領域は予めマーキングしておく。試験は、所定時間(2分〜20分)被膜にキャビテーションによる衝撃圧力を作用させた後、評価基板を取り出して精密天秤により質量を測定し、マーキングした領域をSEMにより撮影する。超音波発生装置の出力は、無段階で調整することができ、評価基板の強度に合わせて出力を調整する。また、食塩水を試験溶液として用いることで、基材の腐食を加速させる環境とする。この処理工程を1サイクルとして繰り返し行い、被膜に対し合計2時間衝撃圧力を作用させた。
図3は、被膜の破壊の程度を計測するフローを示している。まず、キャビテーションを作用していない評価基板の被膜表面をSEMにより撮影して画像データを取得する(S100)。そして、取得した画像データについて2値化処理を行った後、欠陥部位の範囲を着色して反転処理を行う(S101)。こうした画像データ処理を行うことで、被膜の欠陥部位が明確に特定されるようになる。
次に、上述したキャビテーションを所定時間作用させ(S102)、キャビテーションを作用させた後の被膜表面をSEMにより撮影して画像データを取得する(S103)。そして、ステップS101と同様に、取得した画像データについて2値化処理を行った後、欠陥部位の範囲を着色して反転処理を行う(S104)。キャビテーションを作用させる前に処理して得られた画像データと作用させた後に処理して得られた画像データとの間の差を求めて(S105)、その差分データに基づいて欠陥データ(脱落痕のサイズ及び個数の分布、総面積、面積拡大速度等)を算出する(S106)。以後ステップS102からS106を繰返し行い所定回数繰り返した後(S107)終了する。
図4は、キャビテーションを作用していない評価基板(図4(a))、1時間作用させた後の評価基板(図4(b))及び2時間作用させた後の評価基板(図4(c))の被膜表面をSEMで撮影した写真である。キャビテーションによる衝撃圧力によってピット等の欠陥を起点として被膜が破壊され脱落痕が現れている。試験時間が経過するに従い欠陥の破壊が進行して破壊面積(脱落痕面積)が大きくなるとともに破壊される欠陥数が増加する。
図5は、図4に示す撮影画像データを2値化処理した画像を示している。2値化処理により欠陥を起点とする脱落痕が明瞭となり、その領域が特定される。そして、図6では、図5の画像を反転処理し脱落痕として特定される領域を着色処理した画像を示している。図6の画像データを用いて破壊された欠陥のサイズ並びにその個数及び分布等の欠陥データを計測した。ここでは、欠陥のサイズとして欠陥の長径を用いた。
図7は、TiN被膜の膜厚tが3μm、6μm及び10μmの場合におけるキャビテーションを作用させる前の欠陥のサイズ(横軸)と欠陥を起点として欠陥の周辺部の脱落が発生するまでの時間(縦軸)との関係を示すグラフである。図8は、図7と同じ膜厚の場合におけるキャビテーションを作用させる前の欠陥のサイズ(横軸)と120分間キャビテーションを作用させた後の欠陥のサイズ(縦軸)との関係を示すグラフである。図7及び図8は、いずれも試験溶液として3%食塩水を用いている。図9及び図10は、試験溶液としてイオン交換水を用いて図7及び図8と同様にグラフ化したものである。
図7から図10をみると、膜厚が薄いほど欠陥を起点とした被膜の脱落が発生するまでの時間が短い傾向にあり、また、膜厚が薄いほど欠陥の脱落するサイズが大きくなる傾向があることがわかる。したがって、耐食性を評価する場合膜厚に応じてきめ細かく評価することが求められる。
図11及び図12は、TiN被膜の膜厚tが3μm、6μm及び10μmの場合における破壊面積の時間的な推移を示すグラフであり、横軸に試験時間をとり、縦軸に浸食痕(浸食により破壊された痕跡)数をとっている。図11は、試験溶液として3%食塩水を用いた場合を示し、図12は、イオン交換水を用いた場合を示す。これらのグラフをみると、膜厚が薄いほど破壊の進行速度が大きくなっており、こうした破壊の進行速度に基づいて耐食性に関する評価を行うことができる。
図13は、TiN被膜に関して120分間キャビテーションを作用させた場合において欠陥に破壊が発生する確率を示すグラフであり、膜厚を横軸にとり、縦軸に確率をとっている。食塩水を試験溶液として用いた場合イオン交換水の場合よりも発生確率が上昇しており、食塩水を用いることで欠陥の破壊を加速することがわかる。
図14は、被膜の膜厚(横軸)と被膜の浸食痕数(左側縦軸)及びCPCD法による最大電流密度(右側縦軸)の関係を示すグラフである。被膜の浸食痕数は、イオン交換水中と3%食塩水中における60分間のキャビテーション作用により破壊された浸食痕数に関するグラフを示している。CPCD法によるデータは、キャビテーションを作用させる前の被膜について行ったものである。これらのグラフをみると、CPCD法によるデータと浸食痕数との間には密接な相関関係が見られる。
図15には、試験前後の被膜表面において同じ領域をSEMで撮影した写真を示している。両方の写真を比較すると、試験による衝撃圧力の作用に対して破壊されない欠陥が存在することが確認される。試験において破壊されない欠陥は腐食に対しても耐久性があるものと考えられる。以上により、キャビテーションを作用させる前後のデータから被膜の耐食性を高信頼性で速やかに評価することができるものと考えられる。
本発明に係る被膜の耐食性評価方法は、金属材料や樹脂材料といった様々な材料の表面に成膜された種々の被膜について評価を行うことが可能で、そうした被膜の強度に合わせてきめ細かく評価することができる。したがって、機械部品、機械加工部品、電子部品等の幅広い分野において被膜の評価に利用することが可能である。
本発明に係る評価方法を実施するための被膜欠陥加速破壊装置に関する構成図である。 キャビテーションによる衝撃圧力が評価基板7に作用する場合を模式的に示す説明図である。 被膜の破壊の程度を計測するフローである。 キャビテーションを作用させる前の基板表面をSEMで撮影した写真である。 1時間キャビテーションを作用させた後の基板表面をSEMで撮影した写真である。 2時間キャビテーションを作用させた後の基板表面をSEMで撮影した写真である。 図3(a)に示す撮影画像データを2値化処理した画像である。 図3(b)に示す撮影画像データを2値化処理した画像である。 図3(c)に示す撮影画像データを2値化処理した画像である。 図4(a)の画像を反転処理し脱落痕の領域を着色処理した画像である。 図4(b)の画像を反転処理し脱落痕の領域を着色処理した画像である。 図4(c)の画像を反転処理し脱落痕の領域を着色処理した画像である。 TiN被膜におけるキャビテーションを作用させる前の欠陥のサイズ(横軸)と被膜の脱落が発生するまでの時間(縦軸)との関係を示すグラフである。 TiN被膜におけるキャビテーションを作用させる前の欠陥のサイズ(横軸)20分間キャビテーションを作用させた後の欠陥のサイズ(縦軸)との関係を示すグラフである。 TiN被膜におけるキャビテーションを作用させる前の欠陥のサイズ(横軸)と被膜の脱落が発生するまでの時間(縦軸)との関係を示すグラフである。 TiN被膜におけるキャビテーションを作用させる前の欠陥のサイズ(横軸)20分間キャビテーションを作用させた後の欠陥のサイズ(縦軸)との関係を示すグラフである。 食塩水中でのTiN被膜における浸食痕数の時間的な推移を示すグラフである。 イオン交換水中でのTiN被膜における浸食痕数の時間的な推移を示すグラフである。 TiN被膜に関して欠陥に破壊が発生する確率を示すグラフである。 被膜の膜厚(横軸)と基板の浸食痕数(左側縦軸)及びCPCD法による最大電流密度(右側縦軸)の関係を示すグラフである。 キャビテーションを作用させる前後の被膜の表面において同じ領域をSEMで撮影した写真である。
符号の説明
1 超音波発生装置
2 増幅ホーン
3 ディスク
4 水槽
5 試験溶液
6 取付基台
7 評価基板
8 被膜

Claims (3)

  1. 表面に被膜が形成された基材を試験溶液中に設置し、超音波振動により前記試験溶液中にキャビテーションを発生させて前記被膜に衝撃圧力を作用させることで前記被膜の欠陥に伴う破壊現象を発生させ、前記被膜の破壊された欠陥の数及び/又は面積を計測しその計測結果に基づいて被膜の耐食性を評価することを特徴とする被膜の耐食性評価方法。
  2. 被膜の欠陥の破壊状態は、衝撃圧力を作用させる前後の被膜の表面に関する顕微鏡画像データに基づいて計測することを特徴とする請求項1に記載の被膜の耐食性評価方法。
  3. 試験溶液は、被膜の腐食を促進する成分を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の被膜の耐食性評価方法。
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