本発明の記述において、同じ構成については同じ参照符号を付して説明を省略している。
以下、図面を参照して本発明における実施の形態について、詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における界面位置測定装置501の模式図である。座標軸は紙面に対し、左右方向をX軸、上下方向をZ軸、奥行き方向をY軸とする。また、図1のZ1−Z1の断面を矢印Aの方向から見た図(実施の形態1における界面位置測定装置501のZ断面図)を図2に示す。
図1、図2において、実施の形態1における界面位置測定装置501は、光源1、スリット板2、ハーフミラー3、フレネル円筒レンズ4、円筒レンズ10、11、ラインセンサ12、ラインセンサ12により取得された光強度の分布に基づいて界面位置を算出する制御装置551より構成される。また、被測定物として、試料5、試料表面6、反射界面9を定義している。また、説明のために、集光点列7、8、光軸15、16、光束17、18を定義している。なお、本明細書において、集光点列とは、複数の集光点が直線状に一列に配列されて構成されるものである。従って、複数の集光点が一列に点在して配列される場合、及び、多数の集光点が一列に密接に配列されて集光点により擬似的に線が形成されるような場合のいずれの場合をも含むものである。
光源1は、均一な強度分布の平行光を出射するものである。平行光は、レーザの射出光をビームエクスパンダにより所定の大きさに拡大縮小したもの、あるいは、半導体レーザの射出光を平行化したものである。実施の形態1の光源1は、レーザ波長が405nmのものを用いる。実施の形態1において、レーザ波長が350〜1500nmのものであれば光源1として使用可能である。光源1のレーザ径は、後述するスリット板2の開口部を全て均一に照射するレーザ径を有する。また、光源1からの射出光に平行で、光源中心を通る軸を光軸15とする。光軸15は、Z軸方向に配置されている。
スリット状の開口部を有するスリット板2は光軸15に対して垂直に配置されており、Y軸に対称に配置された2つの開口部14を有する。スリット板2は、その中心が光軸15と一致するように配置される。スリット板2としては、硝子板に遮光部を蒸着で形成したものや、薄い遮光板に穴を形成したものが挙げられる。
ハーフミラー3の中心は光軸15を通る。また、ハーフミラー3の半透過反射面の法線は、紙面内(XZ面内)にあり、光軸15に対してほぼ45度となるように配置される。ハーフミラー3での反射率と透過率はほぼ等しくなるように半透過反射膜が形成されている。また、ハーフミラー3でのゴーストの発生を防止するために、半透過反射膜の形成されていない面には、反射防止膜が形成されている。
フレネル円筒レンズ4は、フレネル型の円筒レンズである。フレネル型のレンズは、屈折作用をもつ微小なプリズムを基板上に形成したレンズであり、レンズ厚みが前面において、ほぼ一定となる。フレネル円筒レンズ4は、X軸方向に一様な断面形状を有している。フレネル円筒レンズ4は焦点距離fのレンズであり、その円筒軸が光軸15に垂直な軸(x軸)に対してθ1の角度で傾斜して配置されている。ここでは、角度の取り方を明確にするために、反時計周りを正とし、 0<θ1<90° の範囲として説明する。
試料5は、光を透過する複数の光透過性の層が積層されて構成された屈折率nの透明基板であり、その中に、複数の界面9a、9b、9c、・・・が形成されたものである。界面は、例えば試料5と屈折率の異なる薄い透明膜や、金属膜、あるいはそれらを積層して構成される薄い反射膜であり、入射光の一部を反射し、残りを透過する性質を有する。界面9(9a、9b、9c、・・・)は試料表面6に対してほぼ平行に形成され、試料5は、試料表面6の法線が光軸15に平行となるように配置される。なお、界面9(9a、9b、9c、・・・)は、薄い透明膜や反射膜として形成される場合のみに限られず、光学特性の異なる2つの層の境界面が界面となる場合もある。
円筒レンズ10は、その円筒軸がZ軸方向(紙面上下方向)に平行となるように配置されており、円筒レンズ10の中心は光軸16上に配置される。光軸16は、試料5で反射し、ハーフミラー3でほぼ直角に折り返した光の光軸である。
また、円筒レンズ11は、その円筒軸がY軸方向(紙面奥行き方向)に平行となるように配置されており、円筒レンズ11の中心は光軸16上に配置される。
ラインセンサ12は、その受光面に複数の受光画素を有し、それぞれの受光画素はZ軸方向に平行に配列されている。Y軸方向の画素幅は、円筒レンズ10による集光点の径に対して十分に小さい幅である。ラインセンサ12は、ラインセンサ12の受光面と円筒レンズ10の主面間の光路長が円筒レンズ10の射出側の焦点距離となるように配置される。また、円筒レンズ11は、フレネル円筒レンズ4の焦点位置付近の像をラインセンサ12の受光面に結像するように配置される。
本実施の形態1におけるスリット板2の形状図を図3に、本実施の形態1におけるフレネル円筒レンズ4の形状図を図4に示す。なお、図4において、図示下方側には、フレネル円筒レンズ4の下面図が示されており、図示上方側には、その側面図が示されている。
以上のように構成される本実施の形態1の界面位置測定装置501における界面位置の測定動作について説明する。
光源1から射出された射出光は、スリット板2により部分的に遮光されて、光軸15に対して対称な2つの光束17、18となる。光束17、18は、ハーフミラー3を透過し、直線状に集光させるためのフレネル円筒レンズ4に入射する。図1において、フレネル円筒レンズ4を、試料5表面に平行な軸であるX軸に対して角度θ1だけ傾斜させる。フレネル円筒レンズ4により試料5内部に形成される集光点列8は、X軸に対して角度θ2だけ傾斜する。そのため、集光点列8は、試料5内部の界面9(9a、9b、9c、・・・)と交差している。試料5に入射した光は、試料5内部の層の境界面である界面9で反射し、再びフレネル円筒レンズ4を通り、ハーフミラー3で反射し、円筒レンズ10、11によりラインセンサ12上に結像する。
図1において、具体的に試料5内部の層の厚さを測定する方法について説明する。図1の制御装置551において、ラインセンサ12のセンサ上の位置P4に光強度ピークが存在する場合は試料表面6で反射した光を測定していると判断する。制御装置551における試料表面6の求め方の一つとして、まず、試料5より遠い位置から集光点列8を徐々に試料5に当てていき、初めて現れた光強度ピークを試料表面6とするという方法がある。また、他の試料表面6の求め方として、試料5の厚さより十分長い集光点列8を形成して試料5の内部の各層と交差させつつ照射することで、ラインセンサ12上で初めて現れた光強度ピークを試料表面6とするという方法もある。ここで、光強度ピークは、光強度がある閾値を超えていれば良く、試料の材質、光の性質等によっても表れ方が変化する。
試料表面6に引き続き、制御装置551において、ラインセンサ12のセンサ上の位置P3における光強度ピークより、界面9aで反射した光が測定できる。同様にして、ラインセンサ12のセンサ上の位置P2における光強度ピークより、界面9bで反射した光が測定でき、ラインセンサ12のセンサ上の位置P1における光強度ピークより、界面9cで反射した光が測定できる。
ラインセンサ12で検出した光強度ピーク位置から、試料5の試料表面6及び界面9(9a、9b、9c、・・・)の位置を測定することができる。ここで、集光点列8の角度θ2、及び試料表面6と界面9による光強度ピーク位置より、三角関数を用いて、試料5の内部の層の厚さを測定することもできる。具体的には、光強度ピーク間の距離に、tanθ2を掛けることで、試料5内部の層の厚さを測定することができる。
以下、界面位置測定装置501の測定動作について、さらに詳しく説明する。
光源1から射出された波長405nmの射出光は、スリット板2により、光軸15に対して対称な2つの光束17、18となる。光束17、18は、ハーフミラー3を透過し、フレネル円筒レンズ4に入射する。フレネル円筒レンズ4は図1におけるX軸に対して角度θ1だけ傾斜しているので、フレネル円筒レンズ4により空気中に形成される場合の集光点列7もX軸に対して角度θ1だけ傾斜する。一般的に、傾斜させた球面円筒レンズに平行光を入射させると、レンズの中心部分と周辺部分との厚みの差により、レンズへの入射位置により焦点位置が異なってしまう。しかし、フレネル円筒レンズは、レンズの厚みが全領域においてほぼ一定であるので、レンズを傾斜されても、レンズの中心部分と周辺部分との光路のずれが生じない。そのため、歪みのない集光点を形成することができる。本実施の形態1においては、傾斜したフレネル円筒レンズ4の射出光は、試料5内で集光し、集光点列8となっている。
ここで、図5に、本実施の形態1におけるYZ面の光路図を示す。
図5において、フレネル円筒レンズ4の光軸15からY軸方向においてhだけ離れた位置に入射した光束が試料5へ入射する入射角をφ1とする。この時、フレネル円筒レンズ4の焦点距離fを用いて、φ1は(式1)の条件を満たす。
この光束が試料表面6で屈折したときの角度をφ2とすると、スネルの法則(Snell's law)より、試料5の屈折率nを用いて(式2)が成り立つ。ただし、本実施の形態1では、複数形成している層の屈折率が全て同一であり、それら全てをnと仮定している。
フレネル円筒レンズ4の主面から試料表面6までの距離をS、試料表面6から集光点までの距離をuとし、試料表面6に入射したレーザの半径をgとすると、下記式(3)、式(4)となる。ここで、(式1)から(式4)を用いると、試料表面6から集光点までの距離uは、(式5)と求まる。
(式5)より、uで表される焦点位置は、フレネル円筒レンズ4への入射位置hに依存することとなる。一般に、レンズの開口を大きくして焦点距離を短くすると、集光深度は小さくなるため、Z軸方向(深さ方向)の測定精度を向上することができる。しかし、フレネル円筒レンズ4への入射位置により集光点位置がZ軸方向に異なると、集光点が拡散するため、逆に測定精度が低下する。このため、スリット板2により、光束17、18のY軸方向の幅を制限することで試料5への入射角をほぼ一定とすることができ、集光点の拡散を防ぎ測定精度の劣化を防ぐことができる。
ところで、v(v=(f−S))を、試料表面6を基準とした空気中での集光点位置として、(式5)を変形すると、(式6)となる。
フレネル円筒レンズ4への入射位置h、焦点距離f、試料屈折率nは全て一定となるため、(式6)の右辺は定数となる。vは空気中での焦光点列7、uは試料中での焦光点列8を示し、それぞれ比例関係にある。集光点列7は直線上に形成されているので、同様に集光点列8も直線となる。このとき、集光点列8のX軸に対する傾斜角θ2は、(式6)の右辺を用いて、(式7)となる。
このように、フレネル円筒レンズ4により、試料5の内部にx軸に対して角度θ2の集光点列8を形成することができる。
本実施の形態1では、角度θ1が45°、試料5の屈折率が1.5のものを用いている。
試料5に入射した光は、試料5内部の層の境界面である界面9で反射し、再びフレネル円筒レンズ4を通り、ハーフミラー3で反射し、円筒レンズ10および円筒レンズ11によりラインセンサ12上に結像する。フレネル円筒レンズ4と円筒レンズ10およびラインセンサ12とは共焦点の位置関係にある。すなわち、円筒レンズ10の射出側焦点位置にラインセンサ12の受光画素が配置されているので、フレネル円筒レンズ4の射出側集光点位置に界面9が位置すると、ラインセンサ12の受光画素上に集光点が生じる。また、XZ面においては、円筒レンズ11により、試料5内の集光点列8がラインセンサ12に結像される。そのため、YZ面とあわせると、集光点列8と試料5内部の界面9とが交わる位置に対応したラインセンサ12上でZ軸方向の位置に集光点が生じることになる。よって、ラインセンサ12で検出した光強度ピーク位置から試料5の試料表面6および界面9の位置を測定することができる。
なお、集光点列8が試料5と完全に交わるように配置すると、Z軸方向における試料5の表裏面を正確に測定することができる。すなわち、Z軸方向における試料5の表裏面の外側に少なくとも集光点がそれぞれ一つ存在するように配置することで、試料5の表裏面を正確に測定することができる。
また、集光点列8における集光点の間隔を均等にすることで、BD等の均等な層が複数形成された光ディスクを高速に測定することができる。
図6に、本実施の形態1におけるXZ面の試料内光路図を示す。
図6において、試料表面6と集光点列8との交点を基準とし、界面9までのX軸方向の距離をw1とすると、膜厚すなわち試料表面6から界面9までの距離tは、(式8)となる。
XZ面内における、円筒レンズ11によるラインセンサ12上への撮像倍率をaとすると、ラインセンサ12上での測定値、すなわち、試料表面6に対応する光強度ピーク位置と反射界面9に対応する光強度ピーク位置との距離w2(w2=w1×a)から、膜厚tは、下の(式9)で与えられる。
本実施の形態1では、円筒レンズ11によるラインセンサ12上への撮像倍率は30〜50倍としている。
また、Z方向の計測範囲をwz、X方向の分解能をwxとすると、XZ面内での試料照射レーザ幅、すなわちスリットのX方向幅は少なくともwx以下とする必要がある。よって、試料5内の集光点列のx軸に対する傾斜角θ2は、 tan(θ2)>wz/wx とすればよい。よって、(式7)より、θ1は、下の(式10)を満たせばよい。
上記説明では、試料5内部の界面9の数を1としたが、界面9と集光点列8の交点に1対1に対応した光強度ピークがラインセンサ12上に生じるので、試料5内部の界面の数によらず、界面間の距離、あるいは、試料表面6から各界面間の距離を測定することができる。
以上のように、本実施の形態1においては、フレネル円筒レンズを用いて試料表面に対して傾斜した集光点列を形成し、集光点列と試料反射界面との交点において生じる光強度ピークを検出する。これにより、試料表面および内部の複数の界面位置を同時に計測することができるので、高速な測定を行うことができる。また、フレネル円筒レンズへの入射光を2光束化することで試料への入射角を一定にすることができ、球面収差による集光位置のずれを防ぐことができ、深さ方向(基板の厚さ方向)の測定精度の低下を防ぐことができる。さらに、光源に単色光を用いることで、界面の光透過率、光反射率の波長依存性の影響を受けず、精度の高い測定を行うことができる。
以上のように、試料の界面の位置を測定することで求めたそれぞれの界面位置と、各層の屈折率とを用いて、層の厚さを求めることができる。
仮に内部に層を4つ有する基板の層厚を全て測定する場合を考えると、従来の方法では、1層ずつ時間をかけて順番に測定する必要がある。しかし、本発明によれば、基板を移動させずに測定でき、更に、4層まとめて測定することができる。そのため、測定している時間だけを比べれば、従来の方法に比べて数十分の一以下の時間で、高速に測定することができる。
以上の方法により、例えば、BDやDVD等の光ディスクに形成された層厚を高速に求めることができる。一般的に光ディスクでは、ある基準値以内に入るように層厚を形成している。本発明によって、光ディスクの層厚が基準値を超える場合と超えない場合に所定の閾値で分類し、層厚が基準値を超えている光ディスクを検出することができる。そのようにして検出した層厚が基準値を超えている光ディスクは、光ディスクの製造工程において、その製造ラインから外し、廃棄する。このように、本発明は、よりバラツキが小さく、精度の高い光ディスクを製造するための量産方法にも適用することができる。
なお、ここでは、基準値を超えている光ディスクは廃棄する例について説明したが、ある層を一度形成した後に、周囲に影響することなくその層を除去することが可能ならば、基準値を超えている層のみを除去し、再度、その層を形成することで、光ディスクの歩留まりを向上させることも可能である。
(実施の形態2)
本発明は上記実施の形態1の構成に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。例えば、図7に、実施の形態2における界面位置測定装置502の模式図を示す。また、図7のZ1−Z1の断面を矢印Aの方向から見た図(本実施の形態2における界面位置測定装置502のZ断面図)を図8に示し、本実施の形態2におけるスリット板の形状図を図9に示し、本実施の形態2におけるフルネル円筒レンズの形状図を図10に示す。なお、図10においては、フレネル円筒レンズの側面図と、レンズのX軸方向の位置と焦点距離との関係を示すグラフとを、フレネル円筒レンズの平面図に関係付けて示している。
図7及び図9において、スリット板20は光軸15に対して垂直であり、X軸方向に対称な2つの開口部21を有する。それぞれの開口部21は、Y軸上、すなわちX軸原点(光軸15)における互いの開口部の間隔の1/2がh0となり、X軸原点(光軸15)からX軸方向にxaの距離における互いの開口部の間隔の1/2がh(xa)となるように相対的に傾斜して形成されている。
図10に示すように、フレネル扇形円筒レンズ22は、屈折作用をもつ微小なプリズムより形成され、その円筒軸がX軸方向に配置されており、焦点距離が、X軸原点(光軸15)でf0、X軸方向への距離xaにおいて、焦点距離f(xa)は、 f(xa)=f0+xa×tan(θ1) で表される。
ここで、 h(xa)/f(xa)=h(xa)/(f0+xa×tan(θ1)) が使用するスリット幅内で距離xaによらず一定値kとなるように、h(xa)を選定する。
以上のように構成される界面位置測定装置502について、その測定動作を説明する。
光源1の射出光は、スリット板20により、光軸15に対して対称な2つの光束17、18となる。光束17、18は、ハーフミラー3を透過し、フレネル扇型円筒レンズ22に入射する。フレネル扇型円筒レンズ22の焦点位置はX軸に対して角度θ1だけ傾斜しているので、形成される集光点列7はX軸に対して、上記実施の形態1と同様に角度θ1だけ傾斜する。フレネル扇型円筒レンズ22は、光軸15に対してレンズ面が垂直に配置されているので、歪みのない集光点を形成することができる。フレネル扇型円筒レンズ22の射出光は、試料5内で集光し、集光点列8となる。X軸方向xaの位置における試料5への入射角φ1は、 tan−1(h(xa)/f(xa)) となり、 h(xa)/f(xa)=k が一定値となるように開口位置h(xa)は形成されている。そのため、入射角φ1も一定値となる。また、(式5)において、Sは一定値S0、fは f(xa)=f0+xa×tan(θ1) であるので、試料表面6から集光点までの距離uは、(式11)となる。
(式11)より、uは、X軸方向の位置xaに対して1次式となるので、上記実施の形態1と同様に、試料5内に直線状の集光点列8が形成されることとなる。また、スリット板20により、光束17、18のY軸方向の幅を制限することにより、試料5への入射角をほぼ一定とすることができる。これにより、集光点の拡散を防ぎ、測定精度の劣化を防ぐことができる。
試料5内に形成した集光点列8に基づいて試料5内部の界面9の位置を検出できることは、上記実施の形態1と同様である。
以上のように、本実施の形態2においては、上記実施の形態1と同様に、試料表面6および複数の界面9の位置を同時に計測できるため。高速な測定を行うことができる。さらに、本実施の形態2において、フレネル扇型円筒レンズを用いることで、レンズを光軸に対して垂直な方向に設置できるので、レンズを傾斜させたときに生じるレンズ厚みによる収差を防ぐことができる。これにより、試料内への集光点列およびラインセンサ上への光強度ピークが拡散することを防ぐことができ、精度の高い測定を行うことができる。
(実施の形態3)
次に、実施の形態3における界面位置測定装置503の模式図を図11に示す。また、図11のZ1−Z1の断面を矢印Aの方向から見た図(本実施の形態3における界面位置測定装置503のZ断面図)を図12に示す。
球面収差補正素子30は、Z1−Z1断面方向において後述する透過型回折格子32により生じる球面収差と逆の球面収差を光束に付加する。
円筒レンズ31は、その円筒軸が光軸15と直交し、そのレンズ中心が光軸15上になるように、配置される。
透過型回折格子32の格子溝のピッチはpであり、溝方向はY軸方向(図11の紙面奥行き方向)であり、格子形成面はXZ面内で光軸15に対してθ0の角度で、円筒レンズ31と円筒レンズの焦点面との間に配置される。光源1の波長をλとすると、角度θ0は、 sin(θ0)=p/λ で表される。また、透過型回折格子32としてブレーズ型の回折格子を用いれば、回折光はほぼ1次回折光のみとなり、主に図11に示す方向に回折する。
光軸33は、光軸15が透過型回折格子32で回折した後の光軸であり、XZ面内において、光軸15と角度θ0をなす。
試料表面6をX軸に平行とし、光軸15はZ軸に対してθ0の角度をなし、光軸33がZ軸に平行となるように配置する。
以上のように構成される界面位置測定装置503について、その測定動作を説明する。
光源1の射出光は、スリット板2により、光軸15に対して対称な2つの光束17、18となる。光束17、18は、ハーフミラー3を透過し、円筒レンズ31に入射する。円筒レンズ31では、XZ面内の光束は集光されず、Z1−Z1断面内の光束が集光される。円筒レンズ31の射出光は、透過型回折格子32の格子形成面法線に対し角度θ0で入射する。回折方程式は、反時計方向を正方向として、入射角θin、射出角θout、格子のピッチp、光束波長をλ、回折次数をmとすると、 sin(θin)+sin(θout)=±m×λ/p となる。ここで、射出角をθout=0°、回折次数をm=1とすると、 sin(θin)=λ/p となる。ここで、 sin(θ0)=λ/p となるように入射角を設定すると、回折格子射出光は、格子形成面に対して垂直な方向となる。試料表面6は、格子形成面と平行であるので、試料表面6に垂直に入射する。
本実施の形態3では、透過型回折格子32のピッチを p=1/2400mm とし、光源1からの光の波長をλ=405nmとしているので、以上の関係を用いて θ0=76.4° と求まる。
ここで、Z1−Z1面断面内において、円筒レンズ31による収束光には、厚みを持つ透過型回折格子32を透過するため、板厚による球面収差を生じる。しかし、球面収差補正素子30により予め透過型回折格子32で生じる球面収差と逆の収差が与えられているので透過型回折格子32による球面収差は生じない。本実施の形態3では、球面収差補正素子30は、透過型回折格子32と同等の厚みが設けられたガラスの板を用いる。
図13に、本実施の形態3における集光点列傾斜角の説明図を示す。
図13において、回折格子32により形成される円筒レンズ31による集光点列7の試料表面6に対する傾斜角θ1を求める。
集光点列7は、円筒レンズ31の焦点位置上に形成され、円筒レンズ31の焦点距離をfとすると、XZ面内での光路長もfとなる。これは、円筒レンズ31と集光点との間に回折格子が配置されても変わらない。図13から、a1+a2=b1+b2=fとなり、それぞれの光路長は、b1=a1+b3、a2=b2+a3となる。従って、a3=b3となる。XZ面内における、円筒レンズ31の射出レーザ幅をd1、透過型回折格子32の射出レーザ幅をd2とすると、X軸に対する傾斜角θ1は、 tan(θ1)=a3/d2 で表される。また、 sin(θ0)=b3/d2 であるので、結局、傾斜角は、 tan(θ1)=sin(θ0)=λ/p で表される。
円筒レンズ31および透過型回折格子32で形成された集光点列7は、空気中でのX軸に対する傾斜角はθ1とすると、上記実施の形態1と同様に、試料5内では傾斜角θ2の集光点列8となる。
そして、上記実施の形態1と同様に、この集光点列8は、試料5の界面9で反射し、再び透過型回折格子32、円筒レンズ31を介して、円筒レンズ10、11によりラインセンサ12上に結像することとなる。結像した像によるラインセンサ12上の光強度ピーク位置から試料5内部の界面9の位置を計測することができる。
また、Z軸方向の計測範囲をwz、X方向の分解能をwxとすると、XZ面内での試料照射レーザ幅は少なくともwx以下とする必要がある。ここで、透過型回折格子32での回折で、XZ面内でのレーザ幅は、 d2/d1=1/cos(θ0) となるので、スリット板2でのX軸方向幅は、wx×cos(θ0)以下となるようにすればよい。
以上のように、本実施の形態3においては、上記実施の形態1と同様に、試料表面および内部の複数の界面位置を同時に計測することができるので高速な測定を行うことができる。また、上記実施の形態2と同様に、円筒レンズを光束に対して垂直に配置できるので、レンズ傾斜による収差の発生がない。
さらに、本実施の形態3においては、透過型回折格子により円筒レンズで形成した集光点列を試料に対して斜め方向にすることで、XZ面内において、円筒レンズから集光点列までの光路長が一定となる。すなわち、円筒レンズから見たときの集光点列は光束に対して垂直となる。このため、ラインセンサへの結像において、物体面(集光点列)と結像面(ラインセンサ12の受光面)とが平行となり、撮像倍率を高倍率としても、歪みのない光強度ピークを撮像できる。
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4における界面位置測定装置504の模式図を図14に示す。また、図14のZ1−Z1の断面を矢印Aの方向から見た図(本実施の形態4における界面位置測定装置504のZ断面図)を図15に示す。
光軸15は、XZ面内で、X軸に対してθ3の角度をなす。光軸33は、Z軸に平行となるように配置され、試料表面6はZ軸に対して垂直となる。
反射型回折格子40の格子は溝ピッチpで、溝方向はY軸方向(図14の紙面奥行き方向)であり、格子形成面は法線方向がXZ面内でX軸に対してθ4の角度をなし、円筒レンズ31と円筒レンズの焦点面との間に配置される。反射型回折格子40としてブレーズ型を用いれば、主に1次回折光のみが生じる。回折方向は、図14に示す方向である。
ここで、光源1の波長をλとするとθ3、θ4は、(式12)を満たす。
以上のように構成される界面位置測定装置504についてその測定動作を説明する。
光源1の射出光は、スリット2により、光軸15に対して対称な2つの光束17、18となる。光束17、18は、ハーフミラー3を透過し、円筒レンズ31に入射する。円筒レンズ31では、XZ面内の光束は集光されず、Z1−Z1断面内の光束が集光される。円筒レンズ31の射出光は、反射型回折格子40の格子形成面の法線に対し角度θinで入射する。回折方程式は、反時計方向を正方向として、入射角θin、射出角θout、回折次数をmとすると、 sin(θin)+sin(θout)=±m×λ/p である。ここで、反射型回折格子40では1次回折光のみが回折するのでm=1であり、入射角は、θin=θ3+θ4であり、射出光がZ軸に平行となるように、射出角を、θout=−(90°―θ4)とすると、(式12)が得られることとなる。
図16に、本実施の形態4における集光点列傾斜角の説明図を示す。
図16において、反射型回折格子40により形成される円筒レンズ31による集光点列7の試料表面6に対する傾斜角θ1を求める。
集光点列7は、円筒レンズ31の焦点位置上に形成される。これは、円筒レンズと集光点との間に回折格子が配置されても変わらない。集光点列7と平行な直線E3F2より、X軸とのなす角θ1を求める。円筒レンズ31から直線E3F2上までの光路長は一定であるので、光路長E1E2+E2E3と光路長F1F2は同一距離である。それぞれ、 E1E2=a1、E2E3=a3−a2、F1F2=a1+a2 より、 a3=2×a2 である。XZ面内における、円筒レンズ31の射出レーザ幅をd1、反射型回折格子40の射出レーザ幅をd2とすると、X軸に対する傾斜角θ1は、 tan(θ1)=a3/(2×d2) で表される。また、 tan(θ4)=a3/d2 でもあるので、結局、 tan(θ1)={tan(θ4)}/2 である。
円筒レンズ31および反射型回折格子40で形成した集光点列7は、空気中でのX軸に対する傾斜角はθ1であるので、上記実施の形態1と同様に、試料5内では、傾斜角θ2の集光点列8となる。
そして、上記実施の形態1と同様に、この集光点列8は、試料5の界面9で反射し、再び反射型回折格子40、円筒レンズ31を介して、円筒レンズ10、11によりラインセンサ12上に結像することとなる。そのため、ラインセンサ12上の光強度ピーク位置から試料5内部の反射界面9の位置を計測することができる。
また、Z方向の計測範囲をwz、X方向の分解能をwxとすると、XZ面内での試料照射レーザ幅は少なくともwx以下とする必要がある。ここで、回折格子での回折で、XZ面内でのレーザ幅は、 E2F2×cos(θ3+θ4)=d1、E2F3×sin(θ4)=d2より、d2/d1=sin(θ4)/cos(θ3+θ4) となるので、スリット2でのX軸方向幅は、 wx×cos(θ3+θ4)/sin(θ4) 以下となるようにすればよい。
以上のように、本実施の形態4においては、上記実施の形態1と同様に、試料表面および内部の複数の反射界面位置を同時に計測することができるので高速な測定を行うことができる。また、上記実施の形態2と同様に、円筒レンズを光束に対して垂直に配置できるので、レンズ傾斜による収差の発生がない。また、上記実施の形態3と同様に、ラインセンサへの結像において、物体面(集光点列)と結像面(ラインセンサ受光面)とが平行となり、撮像倍率を高倍率としても、歪みのない光強度ピークを撮像できる。
さらに、本実施の形態4では、反射型の回折格子を用いて試料に対して傾斜した集光点列を形成することで、回折格子による球面収差が発生せず、球面収差あるいは球面収差補正誤差によるラインセンサ上での光強度ピークの歪みが生じない。そのため、精度の高い計測を行うことができる。また、透過型回折格子内での表裏面反射による迷光が生じないのでラインセンサでの誤検出を防ぐことができる。
(実施の形態5)
次に、本発明の実施の形態5における界面位置測定装置505の模式図を図17に示す。また、図17のZ1−Z1の断面を矢印Aの方向から見た図(本実施の形態5における界面位置測定装置505のZ断面図)を図18に、図17のX2−X2、Z1−Z1の断面を矢印Cの方向から見た本実施の形態5における界面位置測定装置505のXZ断面図を図19に示す。
層厚測定の光源57は、その偏光方向が図17の紙面内に平行である点以外は、光源1と同じである。
角度測定用の光源50は、平行光を射出し、その偏光方向が図17の紙面に垂直な方向である。光源50の光軸は、光軸15と平行となるように配置される。
ハーフミラー51は、光源50の射出光を入射光とし、図17の紙面内で90°光路を折り返す。光源50の光軸がハーフミラー51で折り返した光軸を光軸58とする。
円筒レンズ52は、ハーフミラー51の射出光を入射光とし、レンズ中心が光軸58上にあり、図17の紙面内に平行な偏光方向の光は集光せず、紙面に垂直な偏光方向の光を集光する。円筒レンズ52の射出側焦点位置は、円筒レンズ31の入射側焦点位置となるように配置される。
偏光ビームスプリッタ(以下PBSとする)53は、紙面に平行な偏光を透過し、紙面に垂直な偏光を反射する。偏光反射面は光軸15に対して紙面内で45度の角度で配置され、光軸15とPBS53との交点を光軸58が通る。
円筒レンズ54は、その円筒軸が図17の紙面奥行き方向に配置され、そのレンズ中心が光軸58上に配置されている。
ラインセンサ55は、複数の受光素子が紙面内に光軸58に対して垂直な方向に一列に配置される。ラインセンサ55の図17の紙面奥行き方向の受光部幅は十分に広いとする。また、円筒レンズ54の射出側焦点位置上にラインセンサ受光面が配置される。
偏光板56は、ハーフミラー3で反射した光のうち、図17の紙面に平行な偏光成分のみを通過させる。
以上のように構成された界面位置測定装置505についてその測定動作を説明する。
光源57の射出光は、偏光方向が図17の紙面に平行であるので、PBS53からみてP偏光となるので、光は透過する。試料5での反射では偏光方向が変化しないので、PBS53ではすべて透過光となる。偏光板56の透過軸は図17の紙面に平行な方向であり、紙面に垂直な偏光成分はここで完全に除去されるので、上記実施の形態4と同様に、試料表面6から内部の界面9までの距離を測定することができる。
次に、光源50の射出平行光は、ハーフミラー51を透過し、円筒レンズ52に入射する。図17の紙面内では、平行光のままであり、PBS53に入射する。光源50の偏光方向は、図17の紙面に垂直であり、PBS53に対してS偏光となるので反射する。反射光は、光軸15と平行な平行光となる。この光束は、紙面内で平行光のまま反射型回折格子40で回折し、試料5に入射する。光軸33に対する試料表面6法線の傾斜角をεとすると、反射光の角度は、光軸33に対して2εとなる。試料表面6反射光の偏光状態は変化しないので、反射型回折格子40で回折し、PBS53で反射し、円筒レンズ52を通過して、円筒レンズ54に入射する。円筒レンズの焦点距離をf1とすると、ラインセンサ12上には、f1×tan(2ε)の位置に集光する。
一方、図17の紙面奥行き方向では、光源50からの平行光はハーフミラー51で反射したあと、円筒レンズ52で集光される。円筒レンズ52の射出側焦点位置と、円筒レンズ31の入射側焦点位置とが一致しているので、円筒レンズ31の射出光は、平行光となる。よって、試料5に対しても光軸33に平行な平行光となる。試料5での反射光は、再び反射型回折格子40で回折し、円筒レンズ31、PBS53、円筒レンズ52を通り平行光となる。円筒レンズ54の紙面奥行き方向は集光されないので、平行光がラインセンサ55の受光部に入射する。
次に、試料5が傾斜したときの膜厚測定への影響を説明し、上記の傾斜測定結果を用いて、正しい膜厚測定を行う方法を説明する。
図20に、本実施の形態5における試料内部の集光点列を示す図を示す。
まず、試料の傾斜による試料内での集光点列のx軸に対する傾斜角を求める。図20より、試料5が角度ε傾斜したとき、試料内での集光点列8のX軸に対する角度θ2は、 θ2=(θ2n+εn) となる。ここで、εnは、スネル則 sin(ε)=n×sin(εn) により与えられる。XZ面内では見かけ上、屈折率nの試料内では長さに kxz=(f−S)/u の係数がかかる。これは、図5において、試料表面6から空気中と試料5内との焦点位置の比で示される。よって、図中のqは、 q=d2×tan(θ1)×kxz となり、θ2nは、(式13)で表される。
ただし、 sin(θ2)=n×sin(θ2n)、sin(ε)=n×sin(εn) となる。
図21は、試料5がx軸に対してε傾斜したときの試料内に形成される本実施の形態5の集光点列と表面および反射界面との位置関係を示した図である。
図21において、8は、試料が傾斜していないときの試料内に形成される集光点列であり、59は、試料がε傾斜したときの集光点列である。試料表面6から界面9間の距離はtであり、試料5が傾斜していない場合の集光点列8と試料表面6および界面9との交点間のX軸方向の距離h2dは、h2d=t/tan(θ2n)であり、試料5が傾斜している場合の集光点列59と試料表面6および界面9との交点間のX軸方向の距離h2eは、h2e=t×cos(θ2n+εn)/sin(θ2n+εn−ε) となる。従って、試料がX軸に対して傾斜することにより交点間の距離がη倍、すなわち、
となる。これは、ラインセンサ12で観測される光強度ピーク位置の間隔においても同様である。
よって、試料5の層厚測定として、試料5が傾斜しているときに計測した試料表面6から界面9まで距離をtとし、試料表面6の傾斜測定結果ε、集光点列の空気中での傾斜角θ1から、t/ηを求め、測定値とすることで、試料の傾斜による誤差を防ぐことができる。ただし、θ1は、式13より、θ2nは、スネルの法則 sin(θ2)=n×sin(θ2n) より与えられ、εnは、スネルの法則 sin(ε)=n×sin(εn) より与えられる。
以上のように、本実施の形態5においては、上記実施の形態4と同様に、試料表面および内部の複数の界面位置を同時に計測することができるので高速な測定を行うことができる。さらに、試料表面の傾斜角を測定し、試料表面および内部の界面位置の測定値を補正することで、精度のよい膜厚測定を行うことができる。また、計測中に試料の傾斜角が変化しても、計測できるので、たとえば、光ディスクなどの円盤を回転させながら内部の界面の位置を測定することができる。
(実施の形態6)
次に、本発明の実施の形態6における界面位置測定装置506の模式図を図22に示す。
図22において、101は光源であり、ほぼ単色の平行光を射出する。光源101は、たとえば、半導体レーザの射出光をレンズにより平行光化したものである。光源101の波長λ2は、λ2=405nmである。102は光軸であり、光源101の射出光と平行で、光強度分布あるいは光強度重心のほぼ中心を示す。104は、円筒レンズであり、円筒軸が光軸102と直交し、図22の紙面奥行き方向に配置される。105はレンズであり、そのレンズ中心および焦点位置が光軸102上にあり、光源101側の焦点位置が円筒レンズ104の焦点ライン上となるように配置される。
106は反射型回折格子であり、その格子溝形成面は、光軸102に対して垂直で、レンズ105の射出側焦点位置に配置される。反射型回折格子106において、格子溝は図22の紙面奥行き方向に形成されている。格子溝ピッチをpとすると、光源の波長がλ2であるので、1次回折角θ5は、 θ5=sin−1(λ2/p) により与えられる。ここで、格子溝ピッチをp=1/2400mm(0.417μm)とすると、1次回折角θはθ=76.4°である。また、格子溝ピッチpは、 λ/p<1 より、p<λで制限される。また、座標軸として、図22の紙面内における光軸102と垂直な方向をY1、紙面奥行き方向をX1とする。格子を、断面がのこぎり波状のブレーズ型格子とする。
107は、光軸であり、光軸102に対する1次回折角方向である。回折格子106の格子溝方向は図22の紙面奥行き方向に配置されているので、光軸107は、紙面内にある。108、109はレンズであり、レンズ中心および焦点位置は、光軸102上にあり、レンズ108の入射側焦点位置は、光軸107と回折格子106との交点になるように配置される。レンズ108の射出側焦点位置とレンズ109の入射側焦点位置が一致するようにレンズ109は配置される。
110は、試料であり、表面117aは平面であり、内部に表面とほぼ平行で入射光の一部を反射する複数の界面117(117b、117c、・・・)を有する。透明な基板118の間に界面117が形成される。レンズ109の試料110側焦点位置が、試料110の測定対象となる界面117群のほぼ中心となるように試料110は配置され、試料表面117aの法線方向と光軸107とはほぼ平行となるように試料を配置される。座標軸として、図22の水平方向(すなわち、図22の紙面内において光軸107に垂直な方向)をY2とし、紙面奥行き方向をX2とする。
113はハーフミラーであり、光軸102上に反射面がほぼ45度となるように配置される。115は、光軸102がハーフミラーで反射した後の光軸である。114は、レンズであり、レンズ中心が光軸115上にあり、レンズ105とレンズ114の組み合わせにより回折格子106の格子面をラインセンサ116の配置された面上に結像させる。
116はラインセンサであり、レンズ114の射出側焦点位置にセンサ受光面が配置される。センサ受光面の位置は、試料110の各界面からの反射光が回折格子106に形成した集光点群をレンズ105、114により結像された位置に配置される。集光点群は、回折格子の格子溝の深さにおける、ほぼ中程度に形成されている。
以上のように構成される界面位置測定装置506について、次にその測定動作を説明する。
光源101の射出光は、円筒レンズ104の円筒軸に垂直な断面では、円筒レンズ104およびレンズ105により焦点距離の比で回折格子106上に投影される。円筒レンズ104の円筒軸に平行な断面では、光源101の射出光は、円筒レンズ104を通過し、レンズ105により回折格子106上に集光される。従って、回折格子106上には、図23に本実施の形態6における回折格子106上の光強度のパターンを示す図として示すように、集光ライン119が形成される。円筒レンズ104の円筒軸が図22の紙面奥行き方向に配置されており、さらにレンズ105により集光されるため、集光ライン119は、回折格子溝方向に対して垂直、すなわちY1方向と平行となる。回折格子106への入射光は、回折し光軸107方向となる。レンズ108、109は結像系を構成し、回折格子106上の集光ライン119を試料110中に結像し集光ライン112となる。回折格子106は光軸107に対して76.4°傾斜しているので、試料110に形成される集光ライン112も試料に対して傾斜し、測定対象となる界面と交差するように形成される。
集光ライン112の界面反射光は、レンズ108、109により回折格子106に戻る。試料110中の集光ライン112と回折格子106上の集光ライン119とはレンズ108、109により1対1に対応しているので、試料中の集光ライン112と界面との交点、すなわち集光点からの反射光は回折格子106上でも集光点となる。交点以外では、Y2方向に移動するに従い、集光ライン112の光は発散するので、回折格子106上においてもY1方向に沿って発散し幅が広がる。従って、図24に本実施の形態6における回折格子106上の戻り光強度パターンを示す図として示すように、回折格子106上の光強度分布はそれぞれの界面からの反射光がX字状となる。すなわち、第1界面(表面)117a、第2界面117b、第3界面117cによる集光点は、それぞれ回折格子106上に、集光点121、122、123となる。界面は表面に平行であり、集光ライン112は直線状に形成されるので、集光点121、122、123の位置は、界面間の距離に比例しかつ直線状に配列する。
回折格子106上の光強度分布は、レンズ105および114により、図25に本実施の形態6におけるラインセンサ116上の光強度パターンを示す図として示すようにラインセンサ116上に結像される。集光点は、図25におけるXが交差した点である。この結果、集光点に対応した信号をラインセンサ116より得ることができる。
信号のピーク位置を検出することで、試料表面からの各界面の位置を測定することができる。表面位置については、たとえば、試料110をレンズ109の試料側焦点位置より十分に離した位置から近づけて、最初に検出した信号を表面位置とすることで検出できる。また、基板の厚さより十分に大きいラインを形成し、基板に照射することでも表面位置を検出することができる。信号ピーク間距離からの界面位置の算出については、既知の界面間光学距離を持つ試料を予め測定しておき、そのときの信号ピーク間距離に対する界面間光学距離の係数を求めることで、任意の試料について信号ピーク間距離から、正確な表面からの各界面光学距離を得ることができる。試料の屈折率が与えられれば、試料表面からの各界面距離を算出することができる。
ところで、一般に、レンズなどで平行光を集光する途中に回折格子を設け、その回折光を集光すると、回折光は、光が単色光であっても、1点に集まらない。
このように回折光が1点に集まらないという現象の説明図を図26に示す。図26に示すように、主断面、すなわち格子溝方向に対して垂直で格子面の法線方向に平行な面、に光軸132をとり、光軸132を含みかつ格子溝方向131に平行な面を入射面135とし、光軸132の回折方向を光軸138とし、光軸137を含み、かつ格子溝方向131に平行な面を射出面136とし、光軸137および射出面136に垂直な面を投影面140とする。
入射面135上の光軸132に平行な光線133は、回折格子130により回折し光線138となる。光線138は、射出面136上にある。ところが、入射面135内の主断面に平行でない光線134は、回折格子106で回折すると光線139となるが、光線139は射出面136上にはなく、投影面140において、円弧上のライン141上を通る。これは、回折が、主断面内にない光線は、格子の見かけの溝ピッチが小さくなり、回折角が大きくなるためである。
このような回折光の現象に対して、本実施の形態6では、回折格子106上に集光ライン119を形成し、この像を試料110にレンズ108、109を用いて再結像する。これにより、入射角による回折格子での回折角の変化が生じても結像位置は変化しないため、歪みのない集光ラインを得ることができる。
本実施の形態6では、2レンズの結像系の構成について一例として記載したが、収差の問題を解決できたら、1レンズの結像系においても本実施の形態6使用することができる。
試料からの戻り光においても同様であり、回折格子106上に集光点が形成されるので、集光点からの光線方位が回折により変化しても、レンズ105、114による結像系でラインセンサ116に形成される集光点位置は変わらない。
よって、ラインセンサ上に微小な集光点を形成することができ、表面からの各界面位置測定精度の向上および、近接した界面間位置測定を行うことができる。
(実施の形態7)
図27は、本発明の実施の形態7における界面位置測定装置507の模式図である。
150は光源101と異なる波長の単色光の点光源であり、たとえば半導体レーザなどである。光源の波長をλ2とする。本実施の形態7では、たとえばλ2=635nmとする。
154は光軸であり、図27の紙面内にあり、光軸102と回折格子106との交点を通り、光軸102すなわち回折格子106の法線に対して角度φ5をなす。回折格子106に対して、光軸154が光軸107の正反射となるようにφ5=θ5とする。ここでは、φ5=θ5=76.4°である。
151は、ハーフミラーであり、光軸154上にほぼ45度の角度で配置され、光源150の射出光を光軸154方向に反射させる。
152はレンズであり、光源150の射出光を平行光化する。
153は位置センサであり、光軸154上に配置され、レンズ152による集光点の位置を測定する。たとえば、PSDや、ラインセンサなどである。
以上のように構成される界面位置測定装置507において、その測定動作を説明する。
光源150の射出光は、レンズ152により平行光化され回折格子106に入射する。回折格子106は波長λに最適化されているので、波長λ2に対しては、正反射成分が生じ、光軸107方向に光が反射する。回折格子106を射出した光は、レンズ108、109を通過し再び平行光となる。試料110の表面および内部界面は互いに平行で平坦であるので、反射光は、試料の傾き角の2倍の角度の平行光となる。試料110からの反射光は再びレンズ108、109を通過し、回折格子106で回折し、一部の光が光軸154近傍に戻る。このとき、光軸154とのなす角は、試料の傾斜角が小さいと、ほぼ試料傾斜角に比例する。回折格子106を反射しレンズ152を通過した光は、位置センサ153上に集光する。位置センサ153上の集光位置は、試料表面傾斜角にほぼ比例するので、試料表面傾斜角を求めることができる。
本実施の形態7で構成される界面位置測定装置507において、試料110の表面からの各界面の位置測定は上記実施の形態6と同様である。この界面位置測定装置507では、試料表面に対し集光ライン112を傾斜させて界面との交点位置から表面から各界面位置までの距離を測定するので、試料表面の法線が光軸107に対して傾斜すると、試料表面から各界面までの距離計測値に誤差が生じる。そこで、光源150〜位置センサ153により計測される試料傾斜量を測定し、界面位置計測値を補正することで測定誤差を低減することができる。試料傾斜量による補正方法として、既知の界面間光学距離の試料を用い、試料を傾斜させたときの傾斜量に対する計測値の変化量を予め計測して傾斜係数として持つ。これにより、任意の試料に対して、試料傾斜角を計測し、傾斜係数を掛けることで誤差の少ない界面間光学距離を測定することができる。また、屈折率が与えられれば、界面間の実際の距離を算出できる。
(実施の形態8)
図28から30は、本発明の実施の形態8における界面位置測定装置508の模式図である。
上記実施の形態6では、回折格子上に形成した集光ラインを試料表面にほぼ垂直方向から光を入射し、反射光を同一回折格子上に結像させたが、本実施の形態8では、試料に対して斜め方向から光を入射し、正反射方向へ反射する光を入射光学系とは別の回折格子を備えた受光光学系によりラインセンサ上に集光点を形成するものである。
図28は、試料表面の法線方向を紙面内にとった図である。図28のA矢視図を図29、B矢視図を図30に示す。図29において、151は平行な単色光を射出する光源であり、半導体レーザの射出光をレンズにより平行光化したものである。光源151の波長をλとする。
152は光軸であり、光源151の射出光と平行で、光強度分布あるいは光強度重心のほぼ中心を示す。154は、円筒レンズであり、円筒軸が光軸152と直交し、円筒軸が図29の紙面奥行き方向に配置される。155はレンズであり、レンズ中心および焦点位置が光軸152上にあり、光源151側の焦点位置が円筒レンズ154の焦点ライン上となるように配置される。
156は、反射型回折格子であり、格子溝形成面は、光軸152に対して垂直であり、レンズ155の射出側焦点位置に配置される。なお、反射型回折格子156の格子溝は、図29の紙面奥行き方向に形成されている。格子溝ピッチをp3とすると、光源の波長がλであるので、1次回折角θ6は、θ6=sin−1(λ/p3)により与えられる。また、座標軸として、図29紙面内にY1、紙面奥行き方向をX1とする。回折格子は1次回折光方向に光が集中するように、たとえば、格子断面を波長に最適化した深さの正弦形状あるいは、のこぎり波形状とする。
157は、光軸であり、光軸152に対する1次回折角方向である。回折格子156の格子溝方向は図29の紙面奥行き方向に配置されているので、光軸157は、紙面内にある。
158、159はレンズであり、レンズ中心および焦点位置は、光軸152上にあり、レンズ158の入射側焦点位置は、光軸157と回折格子156との交点になるように配置される。レンズ158の射出側焦点位置とレンズ159の入射側焦点位置が一致するようにレンズ159は配置される。
光軸157は図28の紙面内にある。レンズ159の焦点位置が、試料110の測定対象となる界面群のほぼ中央になるように試料110を配置する。
165は光軸であり、試料110の表面に対して光軸157の正反射方向であり、レンズ159の試料側焦点位置を通り、図28の紙面内にある。
163はレンズであり、レンズ中心が光軸165にあり、試料側焦点位置がほぼレンズ159の試料側焦点位置にある。
164はレンズであり、レンズ中心が光軸165にあり、試料側焦点位置がレンズ163の回折格子166側焦点位置となるように配置される。
166は回折格子である。図30において、光軸165は紙面内にあり、回折格子166の1次回折方向となる。回折格子166の溝方向は図30の紙面奥行き方向であり、溝ピッチをp4とすると、回折格子166の格子面法線方向と光軸165とのなす角θ7は、θ7=sin−1(λ/p4)となる。たとえば、p4=1/2400mmとすると、λ=405nmなので、θ7=76.4°となる。
また、座標軸として、図30紙面内にY3、紙面奥行き方向をX3とする。回折格子は1次回折光方向に光が集中するように、たとえば、格子断面を波長に最適化した深さの正弦形状あるいは、のこぎり波形状とする。
167は光軸であり、回折格子166の格子面法線方向である。
168はレンズであり、レンズ中心および焦点位置が光軸167上にあり、入射側の焦点位置に回折格子166面がくるように配置される。
169はレンズであり、レンズ中心および焦点位置が光軸167上にある。
170はラインセンサであり、レンズ169の射出側焦点位置に配置される。ラインセンサ170の受光部は、レンズ169により形成される集光点上に配置される。
以上のように構成される本実施の形態8による界面位置測定装置508の動作について説明する。
光源151から射出された平行光は、円筒レンズ154の円筒軸に垂直な断面内では円筒レンズ154により集光された後レンズ155により再び平行光化される。一方円筒レンズの円筒軸に平行な断面内では、円筒レンズ154を通過し、レンズ155により焦点位置にある回折格子156上に集光する。従って、図31に示すように回折格子156上に集光ライン171が形成される。形成された集光ライン171は、回折格子156により回折し、光軸157方向に射出する。レンズ158の入射側焦点位置近傍に形成された回折格子156上の集光ライン171像が、レンズ158、159により、レンズ159の焦点位置近傍に結像される。レンズ159の焦点位置近傍には試料110が配置され、試料110内に測定対象界面群と交差するように集光ライン162が形成される。
各界面からの反射光はレンズ163、164により図32に示すような光強度分布で回折格子166に結像される。試料110の第1界面(表面)117aによる反射光は、図28において、光軸165から離れた位置からレンズ163に入射することになるので回折格子166上でもX3正方向に集光点175が形成される。第2界面117bによる反射光は光軸165近傍にあるので、回折格子166と光軸165との交点近傍に集光点174が形成させる。同様に第3界面117cによる反射光は、X3負方向に集光し集光点173が形成される。このとき、集光点間の距離は、試料110の界面間の距離に比例する。
また、回折格子156上でY1方向の集光ライン171は界面で反射して回折格子166に結像されるので、回折格子166上には、Y3方向に広がるX字状のパターンとなる。このため、回折格子166上では、各界面による集光点173、174、175が互いに重ならなくなる。
回折格子166に形成された集光点173、174、175は、レンズ168、169により拡大してラインセンサ170上に結像される。図33に示すようにラインセンサ170の受光部は各界面による集光点の移動ライン176上に配置することで、ラインセンサ170より信号が得られ、各信号ピーク位置を求めることで、試料110の表面からの界面の位置を検出することができる。
表面位置については、たとえば、試料110をレンズ109の試料側焦点位置より十分に離した位置より、すこしずつ近づけ最初に検出した信号を表面位置とすることで、検出できる。信号ピーク間距離からの界面位置の算出については、既知の界面間光学距離を持つ試料を予め測定しておき、そのときの信号ピーク間距離に対する界面間光学距離の係数を求めることで、任意の試料について信号ピーク間距離から、正確な表面からの各界面光学距離を得ることができる。試料の屈折率が与えられれば、試料表面からの各界面距離を算出することができる。
上記実施の形態6に対して、本実施の形態8においては、ラインセンサ上において、各界面による反射光の像が集光点と重ならないので、ラインセンサ出力信号へのノイズが低減でき界面位置の測定精度を向上できる。また、試料への入射光と反射光とを完全に分離することで、光源からの光が直接受光部に混入することを防ぐことができ、さらに信号ノイズを低減できる。
(実施の形態9)
図34から図36は、本発明の実施の形態9における界面位置測定装置509の模式図である。図35は図34のA矢視図であり、図36は図34のB矢視図である。
180は光源151と異なる波長の単色光の点光源であり、たとえば半導体レーザなどである。光源の波長をλ2とする。
181は光軸であり、図35の紙面内にあり、光軸181と回折格子156との交点を通り、光軸181すなわち回折格子156の法線に対して角度φ8をなす。回折格子156に対して、光軸157が光軸181の正反射となるようにφ8=θ8とする。
182はレンズであり、光源180の射出光を平行光化する。
185は光軸であり、図36の紙面内にあり、光軸165と回折格子166との交点を通り、光軸167すなわち回折格子166の法線に対して角度φ9をなす。回折格子166に対して、光軸185が光軸165の正反射となるようにφ9=θ9とする。
183はレンズであり、レンズ中心および焦点位置が光軸185上に配置される。
184は位置センサであり、レンズ183の焦点位置に中心が配置され、レンズ183による集光点の位置を測定する。たとえば、PSDや、ラインセンサなどである。
以上のように構成される界面位置測定装置509において、その測定動作を説明する。
光源180の射出光は、レンズ182により平行光化され回折格子156に入射する。回折格子156は波長λに最適化されているので、波長λ2に対しては、正反射成分が生じ、光軸157方向に光が反射する。回折格子156を射出した光は、レンズ158、159を通過し再び平行光となる。試料110の表面および内部界面は互いに平行で平坦であるので、反射光は、試料の傾き角の2倍の角度の平行光となる。試料110からの反射光はレンズ163、164を通過し、回折格子166で回折し、一部の光が光軸185近傍に戻る。このとき、光軸185とのなす角は、試料の傾斜角が小さいとほぼ試料傾斜角に比例する。回折格子166を反射しレンズ183を通過した光は、位置センサ184上に集光する。位置センサ184上の集光位置は、試料表面傾斜角にほぼ比例するので、試料表面傾斜角を求めることができる。
本実施の形態9の界面位置測定装置509において、試料110の表面からの各界面の位置測定は上記実施の形態8と同様である。光源151からラインセンサ170で構成される上記実施の形態8の界面位置測定装置508では、試料表面に対し集光ライン162を傾斜させて界面との交点位置から表面から各界面位置までの距離を測定するので、試料110が傾斜すると、試料表面から各界面までの距離計測値に誤差が生じる。そこで、光源180から位置センサ184により計測される試料傾斜量を測定し、界面位置計測値を補正することで測定誤差を低減することができる。試料傾斜量による補正方法として、既知の界面間光学距離の試料を用い、試料を傾斜させたときの傾斜量に対する計測値の変化量を予め計測して傾斜係数として持つことにより、任意の試料に対して、試料傾斜角を計測し、傾斜係数を掛けることで誤差の少ない界面間光学距離を測定することができる。また、屈折率が与えられれば、界面間距離を算出できる。
(実施の形態10)
ここで、上記実施の形態8の界面位置測定装置を光ディスク層厚測定装置に適用した実施形態について具体的に説明する。上記実施の形態8の界面位置測定装置508が備えられた本発明の実施の形態10にかかる光ディスク層厚測定装置301の模式図を図38に示す。このような光ディスク層厚測定装置301は、光ディスクの製造工程において、光ディスクを構成するそれぞれの層厚が許容範囲内にて形成されているかどうかを測定するための装置である。
図38に示すように、光ディスク層厚測定装置301は、光ディスク310の下面全体を吸着して保持する吸着テーブル312と、吸着テーブル312を回転させて、吸着保持されている光ディスク310をその中心を回転軸として回転させる回転テーブル314と、この回転テーブル314を図示X軸方向、すなわち図38の紙面の左右方向に移動させるX軸ステージ316とを備えている。なお、吸着テーブル312は、光ディスク310と同様に略円形状のディスク配置面を有しているが、その外形は光ディスク310の外形よりも僅かに小さくなるように形成されている。これは、後述する層厚測定において、吸着テーブル312のディスク配置面を光ディスク310の表面と誤って測定することを防止するためである。
さらに、吸着テーブル312に吸着保持された光ディスク310と対向するように、上記実施の形態8の界面位置測定装置508が備えられており、界面位置測定装置508より出射された光が光軸157に沿って光ディスク310の表面に照射され、表面及び各界面よりの反射光が光軸165に沿って界面位置測定装置508のラインセンサ170に入射されるように構成されている。なお、図38においては、模式図を簡単なものとするために、光軸157と光軸165を簡略化し、1本の光軸として示し、測定位置Mとして図示している。
また、光ディスク層厚測定装置301においては、界面位置測定装置508による測定動作を制御する制御装置309が備えられている。制御装置309は、ラインセンサ170における光強度の分布データが入力され、当該データに基づいて界面位置を算出する界面位置算出手段、この界面位置に基づいて層厚を測定する層厚測定手段、及び、層厚測定手段による測定結果を予め設定されている層厚の許容値と比較して、許容値を超えている層厚を有する光ディスクを不良光ディスクとして特定する不良ディスク特定手段とを備えている。また、315は回転テーブル用モータコントローラであり、317はX軸ステージ用モータコントローラであり、これらのコントローラ315、317が制御装置309により制御されることで、界面位置測定装置508の測定位置Mを、光ディスク310の表面上において走査させることが可能となっている。なお、318は真空バルブであり、その開閉動作が制御装置309により制御されることで、吸着テーブル312による光ディスク310の吸着保持/保持解除が制御される。
このような構成の光ディスク層厚測定装置301において、光ディスク310の層厚測定の動作を説明する。
まず、図38に示すように、吸着テーブル312上に、測定対象物(試料)である光ディスク310を配置して、吸着保持させる。次に、回転テーブル314により吸着テーブル312の回転動作を開始し、所定の回転速度にて吸着保持されている光ディスク310を回転させる。
このような状態において、図39に示すように、X軸ステージ316をX軸方向に移動させて、界面位置測定装置508の測定位置MをX軸方向に移動させる。具体的には、図40の模式図に示すように、光ディスク310の表面上において、螺旋状の測定軌跡308を測定位置Mが通過するように、X軸ステージ316の移動経路及び速度が制御される。
また、このような測定位置Mが螺旋状の測定軌跡308にて移動されながら、光の出射及び反射光のラインセンサ170への入射が連続的に行われる。この測定結果情報は、制御装置309に入力され、予め設定されている層厚の許容値と測定結果が比較されて、例えば光ディスク310の良否判定等が行われる。このように良否判定等が行われることで、例えば、光ディスクの製造工程において、不良光ディスクと特定された光ディスクを、製造工程から外したり、あるいは廃棄したりする等の適切な処理を行うことができ、効率的な製造工程を実現することができる。
(実施の形態11)
次に、本発明の実施の形態11にかかる光ディスク層厚測定装置401の模式図を図41に示す。上記実施の形態10の光ディスク層厚測定装置301では、光ディスク310を吸着テーブル312の略全面に吸着保持させることで、回転中に生じる可能性があるディスク面のぶれが生じないようにしている。これに対して、本実施の形態11の光ディスク層厚測定装置401では、上記実施の形態9の界面位置測定装置509を備えさせて、層厚測定を行うと同時に、測定位置における光ディスク310の傾斜を測定して、その傾斜測定値に基づいて、層厚測定値を補正するようにしている。なお、図38の層厚測定装置301と同じ構成には、同じ参照番号を付して、その説明を省略する。
図41に示すように、光ディスク層厚測定装置401は、保持テーブル412と回転テーブル414とを備えているが、保持テーブル412は、例えば配置される光ディスク310を吸着ではなく機械的な係合により保持する点において、上記実施の形態10の吸着テーブル312とは異なる構成を有している。また、界面位置測定装置509においては、光軸157に沿って光ディスク310の表面に光を照射し、その表面又は界面よりの反射光を光軸165に沿って入射させてラインセンサ170に取り込んで、界面位置、すなわち層厚の測定が行われるとともに、位置センサである傾斜センサ184にも光が取り込まれて、測定位置における光ディスク310の傾斜状態が検出される。
具体的には、図39及び図40に示すように、光ディスク310の表面において螺旋状の軌跡308にて測定位置Mを走査させながら、層厚測定を行うとともに、その個々の測定位置における光ディスク310の傾斜状態を傾斜センサ184により測定する。ラインセンサ170による光強度の分布情報と、傾斜センサ184による傾斜状態の情報とは、その測定位置Mの情報に関連付けて、制御装置409に入力され、制御装置409にて光強度の分布情報により算出された層厚測定結果が、傾斜状態の情報に基づいて補正され、補正された層厚測定結果が測定結果として出力可能に保持される。
本実施の形態11の層厚測定装置401では、層厚測定結果を角度状態により補正を行っているため、ディスク面にぶれが生じるような場合であっても、確実に層厚を測定することができ、高速な測定を行いながらその測定精度を高めることができる。
(実施の形態12)
以下本発明の実施の形態12について、図42から図50を参照しながら説明する。
図42から44は、本発明の実施の形態12における界面位置測定装置510の模式図である。
実施の形態12では、上記実施の形態8と同じく、試料に対して斜め方向から光を入射し、正反射方向へ反射する光を入射光学系とは別の回折格子を備えた受光光学系によりラインセンサ上に集光点を形成するものである。
図42は、試料表面の法線方向を紙面内にとった図である。図42のA矢視図を図43、B矢視図を図44に示す。
実施の形態12は、実施の形態8の構成に加えて、レンズ163を移動させるための移動ステージ200を更に備える。移動ステージ200は、ステージ制御ユニット201からの指令に従って、ステージ制御ユニット201からの指令量だけ移動ステージ200を方向202に移動させるものである。移動ステージ200は、ピエゾやステッピングモータを用いた並行移動ステージである。方向202については、図50を用いて後述する。
図44において、203は演算ユニットであり、ラインセンサ170の出力を入力とし、ラインセンサ170の信号波形より、ピーク位置を検出し、試料の表面117aおよび内部界面位置を求めるものである。図42から44では図示していないが、有線などで演算ユニット203の演算結果をステージ制御ユニット201に指令することが可能な構成となっている。そして、試料表面位置に対応するピーク位置がラインセンサ上で常に一定位置となるように移動ステージ200を制御する。
ここで、試料10は、図示していない吸着テーブルに配置される。吸着テーブルは、回転ステージおよびX軸ステージ上に配置される。回転ステージとXステージとの組み合わせでは、らせん状に計測することで試料10を高速に計測できる。
以上のように構成された実施の形態12による界面位置測定装置の動作について説明する。
光源151から射出された平行光は、円筒レンズ154の円筒軸に垂直な断面内では円筒レンズ154により集光された後、レンズ155により再び平行光化される。一方、円筒レンズ154の円筒軸に平行な断面内では、円筒レンズ154を通過し、レンズ155により焦点位置にある回折格子156上に集光する。従って、図45に示すように、回折格子156上に集光ライン171が形成される。形成された集光ライン171は、回折格子156により回折し、光軸157方向に射出する。レンズ158の入射側焦点位置近傍に形成された回折格子156上の集光ライン171の像が、レンズ158、159により、レンズ159の焦点位置近傍に結像される。レンズ159の焦点位置近傍には試料10が配置され、試料10内の測定対象界面群と交差するように集光ライン162が形成される。
試料10の各界面からの反射光は、レンズ163、164により図46に示すような光強度分布で回折格子166に結像される。試料10の第1界面(表面)117aによる反射光は、図42において、光軸165から離れた位置からレンズ163に入射することになる。そのため、回折格子166上でもX3正方向に集光点175が形成される。また、第2界面117bによる反射光は光軸165近傍にあるので、回折格子166と光軸165との交点近傍に集光点174が形成される。同様に、第3界面117cによる反射光は、X3負方向に集光し集光点173が形成される。このとき、集光点間の距離は、試料10の界面間の距離に比例する。
また、回折格子156上でY1方向の集光ライン171は、界面で反射して回折格子166に結像されるので、回折格子166上には、Y3方向に広がるX字状のパターンとなる。このため、回折格子166上では、各界面による集光点173、174、175が互いに重ならない状態で現れる。
回折格子166に形成された集光点は、レンズ168、169により拡大してラインセンサ170上に結像される。図47に示すように、ラインセンサ170の受光部は各界面による集光点の移動ライン上に配置することで、ラインセンサ170より信号が得られ、各信号ピーク位置を求めることで、試料10の表面からの界面の位置を検出することができる。
また、表面位置については、たとえば、試料10をレンズ159の試料側焦点位置より十分に離した位置より少しずつ近づけ、最初に検出した信号を表面位置とすることで判別できる。信号ピーク間距離からの界面位置の算出については、任意の試料について信号ピーク間距離から、正確な表面からの各界面光学距離を得ることができる。正確な表面からの各界面光学距離は、既知の界面間光学距離を持つ試料を予め測定しておき、そのときの信号ピーク間距離に対する界面間光学距離の係数を求めることで試料の屈折率を求め、その屈折率を用いて試料表面からの各界面距離を算出することができる。
ここで、試料10と空気中とでは屈折率が違うため、集光ラインが空気中に形成された場合と試料中に形成された場合で、集光ラインのライン方向が異なる。具体的には、試料全面を計測するために試料位置を移動するなどして試料10の高さが変化すると、図46に示すように、回折格子166上の集光点175は、試料10の界面による集光ラインとずれたライン204の方向に移動する。従って、試料表面の大きな高さ変化があると、ラインセンサ上で集光点が大きくなり、近接層の分離が困難となる。
そこで、本実施の形態12においては、試料10の高さが変化したときでも、試料10の表面からの反射光によるラインセンサ上での集光点の位置が変化しないように、方向202に沿ってレンズ163の位置を調整し、ラインセンサ上での集光点の位置を保持する。
図48は、図42と同じ方向から見た場合のレンズ163近傍の拡大図である。図48において、試料表面117aが紙面上方向に変位して117a´に位置することで、集光ライン205と試料表面との交点は、図48の紙面左上方向に移動する。このため、レンズ163、164により回折格子166上に結像する集光点の位置もP5からP6に変化する。しかし、図49に示すように、移動ステージ200により、レンズ163を集光ライン205と平行な方向に動かすことで、表面117a´で反射され、レンズ163で集光された光の集光位置が、表面117aで反射した場合の集光位置と等しくなる。従って、レンズ163からの射出光の方向は変化しなくなり、レンズ164により回折格子166上に集光する位置は一定となる。
従って、演算ユニット203により、試料表面117a´による受光部での集光点175の位置と予め決めたラインセンサ170での基準位置とが等しくなるように、ステージ制御ユニット201により、移動ステージ200を方向202に移動させる。これにより、ラインセンサ170での試料表面に対応した集光点の位置が一定位置となる。そのため、小さなサイズの集光点で計測することができる。
次に図50を用いて、移動ステージ200が移動する方向202について説明する。
図50は、回折格子156上に形成した集光ライン171と光軸157を含む断面を示す。集光ライン171と光軸157とのなす角をφ6とし、このときの、集光ライン205と光軸157とのなす角をφ7とする。方向202は、集光ライン205と平行であり、図50の面内で光軸157に対しφ7の角度となる。集光ライン171と光軸157とを含む断面内で、光軸157に対してφ7の傾きを有する直線と平行な方向が、方向202である。ただし、φ7は、
より定まり、φ6は、集光ライン171の光軸157を含む断面内での光軸157に対する集光ライン171の角度であり、f11はレンズ158の焦点距離、f12はレンズ159の焦点距離である。
集光ライン171上の高さh1、距離s1にある点P11から角度φ10で射出する光線を、光線206とする。この光線206がレンズ158、159により集光ライン205上の高さh2、距離s2にある点P12に集光すると仮定すると、光線方向u1、u2は、
となる。レンズ158の焦点距離をf11、レンズ159の焦点距離をf12とし、点P11から点P12までの幾何光線追跡を行う。レンズ158の前側焦点位置が集光ライン171と光軸157の交点であり、レンズ158の後側焦点とレンズ159との前側焦点位置が一致し、レンズ159の後側焦点が集光ライン205と光軸157との交点となるように配置されているので、光線方程式は、(式17)となる。
ここで、Sd(x)は距離x光線を進める行列、Sf(x)は焦点距離xのレンズを示し、(式18)となる。
ここで、(式17)を計算すると(式19)となる。集光ライン上では、光線方向u1によらず(式18)がなりたつので、u1についての恒等式を解くと(式20)となる。
(式16)、(式20)および、 h1/z1=tan(φ6)、h2/z2=tan(φ7) より、(式21)が得られる。
式21は、回折格子上の集光ライン171の方位と、レンズ158、159の焦点距離により方向202が決まることを示している。方向202は、集光ライン171と光軸157を含む断面内において、光軸157に対し、φ7の角度となる。
本実施の形態12によれば、ラインセンサ上において、各界面による反射光の像が集光点と重ならないので、ラインセンサ出力信号へのノイズが低減でき界面位置の測定精度を向上できる。また、試料への入射光と反射光とを完全に分離することで、光源からの光が直接受光部に混入することを防ぐことができ、さらに信号ノイズを低減できる。
また、ディスク表面の高さ変化に対して、試料表面によるラインセンサ上でのピーク位置が一定になるようにレンズ163を制御することで、ラインセンサ上でのスポット波形が歪まないので高精度な膜厚測定を試料全面について計測することができる。
なお、光源としては十分に平行光化された光を射出できるものを用いることが好ましく、LED、ハロゲンランプ、高圧水銀灯、キセノンランプなどのインコヒーレント光源の射出光をフィルターで単色化し平行光化してもよい。
なお、フレネル円筒レンズは、レンズの厚さ等の問題が解決できるのならば、シリンドリカルレンズでもよい。
なお、フレネル円筒レンズは、ゾーンプレートなどの回折平板レンズでもよい。
なお、フレネル円筒レンズの傾斜角θを、反時計周りを正とし、 0<θ<90° としたが、時計周りを正とし、 0<θ<90° としても矛盾はない。
なお、レンズ開口数を小さくすることでフレネル円筒レンズの代わりに球面円筒レンズを用いてもよい。
なお、スリット板の開口形状を矩形としたがこれに限定されるものではない。
なお、レンズは組レンズを用いて、より収差を低減させてもよい。
なお、受光部をラインセンサとしたが、エリアセンサを用い円筒レンズの焦点ライン上の光強度を検出してもよい。
なお、プレートハーフミラーを用いたが、キューブ型のミラーを用いてもよい。
なお、ラインセンサのY軸方向の受光面の幅をラインセンサ上での集光点より小さいとしたが、ラインセンサの受光面上に集光点程度の幅のスリットを配置して光を制限してもよい。
なお、スリット板の位置を光源側に配置したが、フレネル円筒レンズの入射面あるいは、射出面に配置してもよい。あるいは、円筒レンズの入射面あるいは射出面に配置してもよい。
なお、透過型回折格子を試料表面と平行に配置したが、傾斜して配置してもよい。XZ面内において、回折格子を傾斜させても試料内に直線状の集光点列8が形成されるので、平行な場合と同様に試料内反射界面位置を計測することができる。
なお、スリット板により、試料内での集光点位置ずれを防いでいるが、スリット板の代わりに球面収差補正素子により、試料内で生じる球面収差の逆収差を予め光束に与えることで、焦点位置のずれを防いでもよい。ただし、球面収差補正素子により、試料内での球面収差を補正するときは、集光点列と試料表面とのZ軸方向の距離に応じて収差量を変える必要がある。スリット板を用いる方法では、このような動的な収差補正が必要ないので、装置の簡単化、低コスト化が可能となる。
なお、回折格子をブレーズ型としたが、矩形断面形状あるいは、正弦波断面形状としてもよい。しかしながら、これらの回折格子の形状では回折効率は低くなる。
なお、1次回折光を用いて説明したが、2次以上の回折光を用いても良い。しかしながら、次数が高い回折光を用いると、効率が低くなる。
なお、試料表面の傾斜角の測定を試料に対して斜め方向からレーザ光を入射し、反射光の角度変化で測定してもよい。
なお、試料表面の傾斜角の測定を試料の膜厚測定用の光源と異なる波長の光源を用い、波長フィルターにより膜厚測定光と試料傾斜角測定光とを分離してもよい。
なお、光源として、He−Neレーザ、LED、水銀ランプなどを用いても良い。
なお、基板で反射した光強度の強弱より、層を構成する材質、層の透過率、もしくは層の不純物含有率を推定できる可能性もある。
なお、試料は、屈折率の異なる光を透過する基板の重ね合わせでもよい。あるいは、空気層を有してもよい。この場合は、各層の屈折率に基づいてスネル則より、入射角から屈折角及び出射角が求まる。
なお、角度φは、回折方向が光軸となるように波長λに対する回折方程式sinφ−sinθ=λ/pを満たすようにしてもよい。
なお、光源からの回折格子へ入射する光と回折格子からの戻り光とを、λ/4波長板と偏光ビームスプリッタを用いて分離してもよい。このようにすることで光効率が向上する。
なお、レンズは円筒レンズとし、試料の紙面内傾斜方向のみを計測できるようにしてもよい。
なお、回折格子上に形成する集光ラインを格子溝方向と垂直方向としたが、わずかに角度をもってもよい。ただし、上記実施の形態6、上記実施の形態7では格子溝方向と集光ラインが平行となると計測できなくなる。上記実施の形態8、上記実施の形態9では、格子溝方向と集光ラインが平行になっても計測は可能であるが、互いの集光点が界面反射と重なるので信号ノイズとなる。
なお、上記実施の形態6から上記実施の形態9での回折格子は、透過型を用いても良い。ただし、格子基板の厚みにより生じる収差の補正が必要となる。
なお、本発明の界面位置測定方法、層厚測定方法、及び、光ディスクの製造方法によれば、試料の界面位置を高速、かつ、高精度に測定することができるため、光ディスクや多層フィルムなど、多層基板の層厚測定の用途にも適用できる。
なお、上記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
なお、集光ライン71の方位をY1軸方向としたが、これ以外の方位でもよい。
なお、光源1、51、151は、SLD、すなわちスーパールミネッセントダイオード、LED、有機発光素子でもよい。あるいは、水銀ランプの射出光をフィルターで単色化し平行光化してもよい。
なお、試料は、屈折率の異なる光を透過する基板の重ね合わせでもよい。あるいは、空気層を有してもよい。
なお、回折格子から試料面への結像を、2枚のレンズを互いの焦点が重なるように配置したが、その配置はこれに限定されるものではない。また、レンズ枚数も2枚でなく、同等の機能を備える光学系であれば、1枚あるいは、3枚以上のレンズ群で構成してもよい。
なお、試料10を回転ステージとXステージによりらせん状に計測するとしたが、回転ステージを2つ組み合わせることでらせん状の計測をしてもよい。また、Xステージを2つ組み合わせることで、全面計測を行ってもよい。
なお、レンズ163に対して質量がかなり大きいので、高速に応答させることが難しいが、試料の高さ変化の影響を防ぐために受光光学系の全体(レンズ63からカメラ70まで)を動かしてもよい。あるいは、質量がさらに大きくなるので、高さ変化に高速に応答することが難しいが、光学系全体の高さを変化させてもよい。あるいは、一般的にレンズ63に対して質量がかなり大きいので、高さ変化に高速に応答することが難しいが、試料保持テーブルに高さ調整機構をつけ、試料表面が一定になるようにしてもよい。
本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。