JP4772684B2 - スクリーニング方法 - Google Patents

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Description

本発明は、GPR35受容体と特異的に結合する能力を有するリガンドとGPR35受容体とを用いる医薬のスクリーニング方法およびスクリーニング用キット、該スクリーニング方法またはキットによって得られうる化合物などに関する。詳細には、消化器疾患などの予防・治療剤などのスクリーニング方法およびスクリーニング用キットなどに関する。
G protein−coupled receptor(GPCR)は、7回膜貫通型受容体で、ホルモン、神経伝達物質、サイトカインや他の分子のシグナルを細胞膜内へ伝える働きを行っている。
ヒトGPR35(非特許文献1 Genomics 47巻、310−313頁、1988年)はGPCRの一つで、そのリガンドは報告されていない。ヒト胃癌から抽出したGPR35のcDNA断片に、NIH3T3細胞をトランスフォームさせる活性があることを示唆することが報告されている(非特許文献2 Cancer Science 95巻、131−135頁、2004年)。
6,7−ジニトロキノキサリン−2,3−ジオンは、グルタミン酸受容体に作用するNMDA拮抗薬として知られている(非特許文献3 International Review of Neurobiology 32巻、281−303頁、1990年)。
エラグ酸は、イチゴなどに含まれている天然のポリフェノールで、抗癌作用(非特許文献4 Mutation Research 202巻、429−446頁、1988年)、抗酸化作用(非特許文献5 Biochemical Pharmacology 42巻、1441−1445頁、1991年)などの生理作用を有することが知られている。
安全で優れた消化器疾患、癌、免疫疾患または糖尿病などの予防・治療剤が求められている。
本発明者たちは、上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、6,7−ジニトロキノキサリン−2,3−ジオンなどのキノキサリン−2,3−ジオン化合物およびエラグ酸がGPR35のリガンドであることを見出した。GPR35とキノキサリン−2,3−ジオン化合物またはエラグ酸とを用いて、消化器疾患、癌、免疫疾患などに有効な医薬の探索が可能となると考え、これらの知見に基づき、さらに検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
〔1〕 (a)配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有する蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩および(b)該蛋白質またはその塩と特異的に結合する能力を有するリガンドを用いることを特徴とする、該蛋白質またはその塩と該リガンドとの結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、
〔2〕 リガンドが、キノキサリン−2,3−ジオン化合物である上記〔1〕記載のスクリーニング方法、
〔3〕 キノキサリン−2,3−ジオン化合物が、6,7−ジニトロキノキサリン−2,3−ジオン、6−ニトロ−7−スルファモイルベンゾ[f]キノキサリン−2,3−ジオン、6−シアノ−7−ニトロキノキサリン−2,3−ジオン、または5,7−ジニトロキノキサリン−2,3−ジオンである上記〔1〕記載のスクリーニング方法、
〔4〕 リガンドが、エラグ酸である上記〔1〕記載のスクリーニング方法、
〔5〕 配列番号:1で表されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列が、配列番号:7、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23または配列番号:27で表されるアミノ酸配列である上記〔1〕記載のスクリーニング方法、
〔6〕 (a)配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有する蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩と特異的に結合する能力を有するリガンドを、該蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩に接触させた場合と、(b)該リガンドおよび試験化合物を、該蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩に接触させた場合における、該リガンドの該蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩に対する結合量を測定し、比較する、上記〔1〕記載のスクリーニング方法、
〔7〕 (a)配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有する蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩と特異的に結合する能力を有するリガンドを、該蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩を含有する細胞または該細胞の膜画分に接触させた場合と、(b)該リガンドおよび試験化合物を、該蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩を含有する細胞または該細胞の膜画分に接触させた場合における、該リガンドの該細胞または該膜画分に対する結合量を測定し、比較する、上記〔1〕記載のスクリーニング方法、
〔8〕 配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有する蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩が、該蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩をコードするDNAを含有する形質転換体を培養することによって細胞膜上に発現した蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩である上記〔7〕記載のスクリーニング方法、
〔9〕 リガンドが、標識したリガンドである上記〔6〕〜〔8〕記載のスクリーニング方法、
〔10〕 (a)配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有する蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩と特異的に結合する能力を有するリガンドを、該蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩に接触させた場合と、(b)該リガンドの存在下または非存在下、試験化合物を、該蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩に接触させた場合における、該蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩を介した細胞刺激活性を測定し、比較する、上記〔1〕記載のスクリーニング方法、
〔11〕 (a)配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有する蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩と特異的に結合する能力を有するリガンドを、該蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩を含有する細胞または該細胞の膜画分に接触させた場合と、(b)該リガンドの存在下または非存在下、試験化合物を、該蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩を含有する細胞または該細胞の膜画分に接触させた場合における、該蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩を介した細胞刺激活性を測定し、比較する、上記〔1〕記載のスクリーニング方法、
〔12〕 配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有する蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩が、該蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩をコードするDNAを含有する形質転換体を培養することによって細胞膜上に発現した蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩である上記〔11〕記載のスクリーニング方法、
〔13〕 細胞刺激活性が、細胞内cAMP濃度の低下または上昇である、上記〔10〕〜〔12〕記載のスクリーニング方法、
〔14〕 (a)配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有する蛋白質またはその塩および(b)該蛋白質またはその塩と特異的に結合する能力を有するリガンドを含有することを特徴とする、該蛋白質またはその塩と該リガンドとの結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング用キット、
〔14a〕 上記〔1〕記載のスクリーニング方法または上記〔14〕記載のスクリーニング用キットを用いて得られうる化合物またはその塩、
〔14b〕 化合物が、配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有する蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩とリガンドとの結合を阻害する化合物またはその塩である上記〔14a〕記載の化合物またはその塩、
〔14c〕 アゴニストである上記〔14b〕記載の化合物またはその塩、
〔14d〕 アンタゴニストである上記〔14b〕記載の化合物またはその塩、
〔14e〕 配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有する蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩とリガンドとの結合を阻害する化合物またはその塩を含有してなる医薬、
〔14f〕 上記〔14c〕記載の化合物またはその塩を含有してなる消化管疾患またはII型糖尿病の予防・治療剤、
〔14g〕 上記〔14d〕記載の化合物またはその塩を含有してなる消化器癌、免疫疾患または肥満の予防・治療剤、
〔15〕 配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有する蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩の活性を促進する化合物またはその塩を含有してなる消化管疾患またはII型糖尿病の予防・治療剤、
〔16〕 配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有する蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩の活性を阻害する化合物またはその塩を含有してなる消化器癌、免疫疾患または肥満の予防・治療剤、
〔17〕 配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有する蛋白質またはその塩と特異的に結合する能力を有するリガンド、
〔18〕 配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有する蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩の活性を促進することを特徴とする消化管疾患またはII型糖尿病の予防・治療法、
〔19〕 配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有する蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩の活性を阻害することを特徴とする消化器癌、免疫疾患または肥満の予防・治療法、
〔20〕 配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有する蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩の活性を促進する化合物またはその塩の有効量を哺乳動物に投与することを特徴とする消化管疾患またはII型糖尿病の予防・治療法、
〔21〕 配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有する蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩の活性を阻害する化合物またはその塩の有効量を哺乳動物に投与することを特徴とする消化器癌、免疫疾患または肥満の予防・治療法、
〔22〕 消化管疾患またはII型糖尿病の予防・治療剤の製造のための、配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有する蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩の活性を促進する化合物またはその塩の使用、
〔23〕 消化器癌、免疫疾患または肥満の予防・治療剤の製造のための、配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有する蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩の活性を阻害する化合物またはその塩の使用などに関する。
以下、「配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有する蛋白質またはその部分ペプチドもしくはその塩」を「本発明の受容体」または「本発明の蛋白質」と略記する場合がある。さらに、「本発明の受容体と特異的に結合する能力を有するリガンド」を「本発明のリガンド」と略記する場合がある。
さらに、本発明は、
(i)標識したGTPγSの存在下、本発明のリガンドを本発明の受容体細胞膜画分に接触させた場合と、本発明のリガンドの存在下または非存在下、試験化合物を本発明の受容体細胞膜画分に接触させた場合における、本発明の受容体細胞膜画分へのGTPγS結合促進活性を測定し、比較することを特徴とする、本発明のリガンドと本発明の受容体との結合性を変化させる化合物のスクリーニング方法、
(ii)細胞内cAMP量を増加させる物質の存在下、本発明のリガンドを本発明の受容体発現細胞に接触させた場合と、本発明のリガンドの存在下または非存在下、試験化合物を本発明の受容体発現細胞に接触させた場合における、該細胞の細胞内cAMPの産生抑制活性を測定し、比較することを特徴とする、本発明のリガンドと本発明の受容体との結合性を変化させる化合物のスクリーニング方法、
(iii)細胞内cAMP量を増加させる物質の存在下、本発明のリガンドを、CRE−レポーター遺伝子ベクターを導入した本発明の受容体発現細胞に接触させた場合と、本発明のリガンドの存在下または非存在下、試験化合物をCRE−レポーター遺伝子ベクターを導入した本発明の受容体発現細胞に接触させた場合における、レポーター遺伝子蛋白質の酵素活性を測定し、比較することを特徴とする、本発明のリガンドと本発明の受容体との結合性を変化させる化合物のスクリーニング方法、
(iv)本発明のリガンドを、標識したアラキドン酸を含有する本発明の受容体発現細胞に接触させた場合と、本発明のリガンドの存在下または非存在下、試験化合物を標識したアラキドン酸を含有する本発明の受容体発現細胞に接触させた場合における、アラキドン酸代謝物の放出活性を測定し、比較することを特徴とする、本発明のリガンドと本発明の受容体との結合性を変化させる化合物のスクリーニング方法、
(v)本発明のリガンドを、本発明の受容体発現細胞に接触させた場合と、本発明のリガンドの存在下または非存在下、試験化合物を本発明の受容体発現細胞に接触させた場合における、細胞内カルシウム濃度上昇活性を測定し、比較することを特徴とする、本発明のリガンドと本発明の受容体との結合性を変化させる化合物のスクリーニング方法、
(vi)標識したイノシトールの存在下、本発明のリガンドを、本発明の受容体発現細胞に接触させた場合と、本発明のリガンドの存在下または非存在下、試験化合物を本発明の受容体発現細胞に接触させた場合における、イノシトール三リン酸産生活性を測定し、比較することを特徴とする、本発明のリガンドと本発明の受容体との結合性を変化させる化合物のスクリーニング方法、
(vii)本発明のリガンドを、TRE−レポーター遺伝子ベクターを導入した本発明の受容体発現細胞に接触させた場合と、本発明のリガンドの存在下または非存在下、試験化合物をTRE−レポーター遺伝子ベクターを導入した本発明の受容体発現細胞に接触させた場合における、レポーター遺伝子蛋白質の酵素活性を測定し、比較することを特徴とする、本発明のリガンドと本発明の受容体との結合性を変化させる化合物のスクリーニング方法、
(viii)本発明のリガンドを、本発明の受容体発現細胞に接触させた場合と、本発明のリガンドの存在下または非存在下、験化合物を本発明の受容体発現細胞に接触させた場合における、細胞増殖を測定し、比較することを特徴とする、本発明のリガンドと本発明の受容体との結合性を変化させる化合物のスクリーニング方法、
(ix)標識したルビジウムの存在下、本発明のリガンドを、本発明の受容体発現細胞に接触させた場合と、本発明のリガンドの存在下または非存在下、試験化合物を、本発明の受容体発現細胞に接触させた場合における、標識したルビジウムの流出活性を測定し、比較することを特徴とする、本発明のリガンドと本発明の受容体との結合性を変化させる化合物のスクリーニング方法、
(x)本発明のリガンドを、本発明の受容体発現細胞に接触させた場合と、本発明のリガンドの存在下または非存在下、試験化合物を本発明の受容体発現細胞に接触させた場合における、細胞外のpH変化を測定し、比較することを特徴とする、本発明のリガンドと本発明の受容体との結合性を変化させる化合物のスクリーニング方法、
(xi)ヒスチジン合成遺伝子を導入した本発明の受容体発現酵母を、ヒスチジン欠乏培地で培養し、本発明のリガンドを接触させた場合と、本発明のリガンドの存在下または非存在下、試験化合物を接触させた場合の、該酵母の生育を測定し、比較することを特徴とする、本発明のリガンドと本発明の受容体との結合性を変化させる化合物のスクリーニング方法、
(xii)本発明のリガンドを、本発明の受容体遺伝子RNA導入アフリカツメガエル卵母細胞に接触させた場合と、本発明のリガンドの存在下または非存在下、試験化合物を本発明の受容体遺伝子RNA導入アフリカツメガエル卵母細胞に接触させた場合における、細胞膜電位の変化を測定し、比較することを特徴とする、本発明のリガンドと本発明の受容体との結合性を変化させる化合物のスクリーニング方法なども提供する。
図1は、GPR35およびGα15を発現するCHO−K1細胞にDNQXを添加した時の、細胞内Ca2+濃度の変化を調べた結果を表す。図中、縦軸は細胞内Ca2+濃度を示す蛍光強度を、横軸は測定開始後の時間経過(秒)を、◇はDNQX 0.3μM、□はDNQX 1.0μM、△はDNQX 3.0μM、×はDNQX 10μMの場合をそれぞれ表す。
図2は、GPR35およびGα15を発現するCHO−K1細胞にエラグ酸を添加した時の、細胞内Ca2+濃度の変化を調べた結果を表す。図中、縦軸は細胞内Ca2+濃度を示す蛍光強度を、横軸は測定開始後の時間経過(秒)を、◇はエラグ酸 0.3μM、□はエラグ酸 1.0μM、△はエラグ酸 3.0μM、×はエラグ酸 10μMの場合をそれぞれ表す。
図3は、GPR35を安定発現させたCHO細胞における、ホルスコリン刺激によって増加させた細胞内cAMP量のDNQXおよびNBQX添加による抑制作用を調べた結果を表す。図中、縦軸はcAMP量(pmol/well)を、横軸はホルスコリン(FSK)、DNQXおよびNBQXの各添加量をそれぞれ表す。
配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を有する蛋白質は、ヒトや温血動物(例えば、モルモット、ラット、マウス、ニワトリ、ウサギ、ブタ、ヒツジ、ウシ、サルなど)の細胞(例えば、網膜細胞、肝細胞、脾細胞、神経細胞、グリア細胞、膵臓β細胞、骨髄細胞、メサンギウム細胞、ランゲルハンス細胞、表皮細胞、上皮細胞、内皮細胞、線維芽細胞、繊維細胞、筋細胞、脂肪細胞、免疫細胞(例、マクロファージ、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、肥満細胞、好中球、好塩基球、好酸球、単球)、巨核球、滑膜細胞、軟骨細胞、骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、乳腺細胞、肝細胞もしくは間質細胞、またはこれら細胞の前駆細胞、幹細胞もしくは癌細胞など)もしくはそれらの細胞が存在するあらゆる組織、例えば、脳、脳の各部位(例、網膜、嗅球、扁桃核、大脳基底球、海馬、視床、視床下部、大脳皮質、延髄、小脳)、脊髄、下垂体、胃、膵臓、腎臓、肝臓、生殖腺、甲状腺、胆のう、骨髄、副腎、皮膚、筋肉、肺、消化管(例、大腸、小腸)、血管、心臓、胸腺、脾臓、顎下腺、末梢血、前立腺、睾丸、卵巣、胎盤、子宮、骨、関節、骨格筋など、または血球系の細胞もしくはその培養細胞(例、MEL,M1,CTLL−2,HT−2,WEHI−3,HL−60,JOSK−1,K562,ML−1,MOLT−3,MOLT−4,MOLT−10,CCRF−CEM,TALL−1,Jurkat,CCRT−HSB−2,KE−37,SKW−3,HUT−78,HUT−102,H9,U937,THP−1,HEL,JK−1,CMK,KO−812,MEG−01など)に由来する蛋白質であってもよく、合成蛋白質であってもよい。
配列番号:1で表されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列としては、配列番号:1で表されるアミノ酸配列と約70%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%以上の相同性を有するアミノ酸配列などがあげられる。
アミノ酸配列の相同性は、相同性計算アルゴリズムNCBI BLAST(National Center for Biotechnology Information Basic Local Alignment Search Tool)を用い、以下の条件(期待値=10;ギャップを許す;マトリクス=BLOSUM62;フィルタリング=OFF)にて計算することができる。
配列番号:1で表されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含有する蛋白質としては、例えば、配列番号:1で表されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を有し、配列番号:1で表されるアミノ酸配列と実質的に同質の活性を有する蛋白質などが好ましい。配列番号:1で表されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列としては、例えば、配列番号:7で表されるアミノ酸配列、配列番号:19で表されるアミノ酸配列、配列番号:21で表されるアミノ酸配列、配列番号:23で表されるアミノ酸配列、配列番号:27で表されるアミノ酸配列などが挙げられる。
実質的に同質の活性としては、例えば、リガンド結合活性、シグナル情報伝達作用などが挙げられる。実質的に同質とは、それらの活性が性質的に同質であることを示す。したがって、リガンド結合活性やシグナル情報伝達作用などの活性が同等(例、約0.01〜100倍、好ましくは約0.5〜20倍、より好ましくは約0.5〜2倍)であることが好ましいが、これらの活性の程度や蛋白質の分子量などの量的要素は異なっていてもよい。
リガンド結合活性やシグナル情報伝達作用などの活性の測定は、自体公知の方法に準じて行なうことができるが、例えば、後に記載するリガンドの決定方法やスクリーニング方法に従って測定することができる。
また、本発明の受容体としては、(i)配列番号:1、配列番号:7、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23または配列番号:27で表されるアミノ酸配列中の1または2個以上(例えば1〜100個程度、好ましくは1〜50個程度、好ましくは1〜30個程度、より好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数個(1〜5個))のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、(ii)配列番号:1、配列番号:7、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23または配列番号:27で表されるアミノ酸配列に1または2個以上(例えば1〜100個程度、好ましくは1〜50個程度、好ましくは1〜30個程度、より好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数個(1〜5個))のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、(iii)配列番号:1、配列番号:7、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23または配列番号:27で表されるアミノ酸配列中の1または2個以上(例えば1〜100個程度、好ましくは1〜50個程度、好ましくは1〜30個程度、より好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数個(1〜5個))のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列、(iv)配列番号:1、配列番号:7、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23または配列番号:27で表されるアミノ酸配列中の1または2個以上(例えば1〜100個程度、好ましくは1〜50個程度、好ましくは1〜30個程度、より好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数個(1〜5個))のアミノ酸が挿入されたアミノ酸配列、または(v)それらを組み合わせたアミノ酸配列を含有する蛋白質なども用いられる。
本発明の受容体の具体例としては、配列番号:1で表されるアミノ酸配列を含有する蛋白質、配列番号:7で表されるアミノ酸配列を含有する蛋白質、配列番号:19で表されるアミノ酸配列を含有する蛋白質、配列番号:21で表されるアミノ酸配列を含有する蛋白質、配列番号:23で表されるアミノ酸配列を含有する蛋白質、配列番号:27で表されるアミノ酸配列を含有する蛋白質などが挙げられる。
本発明の受容体の部分ペプチド(以下、本発明の部分ペプチドと称する場合がある)としては、後述の医薬等のスクリーニング方法に用いることのできる部分ペプチドであれば、いかなるものであってもよく、例えば、本発明の蛋白質分子のうち、細胞膜の外に露出している部位であって、実質的に同質のリガンド結合活性などを有するものなどが用いられる。
配列番号:1、配列番号:7、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23または配列番号:27で表されるアミノ酸配列を有する蛋白質の部分ペプチドとしては、疎水性プロット解析において細胞外領域(親水性(Hydrophilic)部位)であると分析された部分を含むペプチドである。また、疎水性(Hydrophobic)部位を一部に含むペプチドも同様に用いることができる。個々のドメインを個別に含むペプチドも用い得るが、複数のドメインを同時に含む部分のペプチドでもよい。
本発明の部分ペプチドのアミノ酸の数は、本発明の蛋白質の構成アミノ酸配列のうち少なくとも20個以上、好ましくは50個以上、より好ましくは100個以上のアミノ酸配列を有するペプチドなどが好ましい。
ここで、「実質的に同質の活性」とは、上記と同意義を示す。「実質的に同質の活性」の測定は上記と同様に行なうことができる。
また、本発明の部分ペプチドは、(i)上記アミノ酸配列中の1または2個以上(好ましくは、1〜10個程度、さらに好ましくは数個(1〜5個))のアミノ酸が欠失し、(ii)上記アミノ酸配列に1または2個以上(好ましくは、1〜20個程度、より好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数個(1〜5個))のアミノ酸が付加し、または(iii)上記アミノ酸配列中の1または2個以上(好ましくは、1〜10個程度、より好ましくは数個、さらに好ましくは1〜5個程度)のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されていてもよい。
具体例としては、配列番号:1で表されるアミノ酸配列の第24〜295番目のアミノ酸配列を含む部分ペプチド、配列番号:7で表されるアミノ酸配列の第24〜295番目のアミノ酸配列を含む部分ペプチド、配列番号:19で表されるアミノ酸配列の第55〜326番目のアミノ酸配列、配列番号:21で表されるアミノ酸配列の第65〜336番目のアミノ酸配列、配列番号:23で表されるアミノ酸配列の第109〜380番目のアミノ酸配列を含む部分ペプチド、配列番号:27で表されるアミノ酸配列の第23〜294番目のアミノ酸配列を含む部分ペプチドなどが用いられる。
本発明の受容体および本発明の部分ペプチドは、ペプチド標記の慣例に従って左端がN末端(アミノ末端)、右端がC末端(カルボキシル末端)である。C末端はカルボキシ(−COOH)、カルボキシレート(−COO)、アミド(−CONH)またはエステル(−COOR)であってもよい。
ここでエステルにおけるRとしては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルもしくはn−ブチルなどのC1−6アルキル、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシルなどのC3−8シクロアルキル、例えば、フェニル、α−ナフチルなどのC6−12アリール、例えば、ベンジル、フェネチルなどのフェニル−C1−2アルキルもしくはα−ナフチルメチルなどのα−ナフチル−C1−2アルキルなどのC7−14アラルキルのほか、経口用エステルとして汎用されるピバロイルオキシメチルなどが用いられる。
本発明の受容体および本発明の部分ペプチドがC末端以外にカルボキシ(またはカルボキシレート)を有している場合、カルボキシがアミド化またはエステル化されているものも本発明の受容体および本発明の部分ペプチドに含まれる。この場合のエステルとしては、例えば上記したC末端のエステルなどが用いられる。
さらに、本発明の受容体および本発明の部分ペプチドには、N末端のアミノ酸残基(例、メチオニン残基)のアミノ基が保護基(例えば、ホルミル、アセチルなどのC1−6アルカノイルなどのC1−6アシルなど)で保護されているもの、生体内で切断されて生成するN末端のグルタミン残基がピログルタミン酸化したもの、分子内のアミノ酸の側鎖上の置換基(例えば、−OH、−SH、アミノ基、イミダゾール基、インドール基、グアニジノ基など)が適当な保護基(例えば、ホルミル、アセチルなどのC1−6アルカノイルなどのC1−6アシルなど)で保護されているもの、あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖蛋白質などの複合蛋白質なども含まれる。
本発明の受容体または本発明の部分ペプチドの塩としては、生理学的に許容される酸(例、無機酸、有機酸)や塩基(例、アルカリ金属塩)などとの塩が用いられ、とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好ましい。このような塩としては、例えば、無機酸(例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸)との塩、あるいは有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸)との塩などが用いられる。
本発明の受容体と特異的に結合する能力を有するリガンド(本発明のリガンド)としては、本発明の受容体と特異的に結合するものであれば、何れの物であってもよい。例えば、本発明の受容体との結合の解離定数が10μM以下、好ましくは2μM以下、さらに好ましくは1μM以下、特に好ましくは200nM以下、最も好ましくは100nM以下である物などが挙げられる。
本発明のリガンドとしては、例えば、キノキサリン−2,3−ジオン化合物、エラグ酸などが用いられる。
キノキサリン−2,3−ジオン化合物としては、キノキサリン−2,3−ジオン骨格を有する化合物であればいずれでもよく、例えば6,7−ジニトロキノキサリン−2,3−ジオン、6−ニトロ−7−スルファモイルベンゾ[f]キノキサリン−2,3−ジオン、6−シアノ−7−ニトロキノキサリン−2,3−ジオン、または5,7−ジニトロキノキサリン−2,3−ジオンなどが挙げられる。好ましくは、6,7−ジニトロキノキサリン−2,3−ジオンなどが挙げられる。
標識されたキノキサリン−2,3−ジオン化合物、標識されたエラグ酸も、本発明のリガンドに含まれる。
標識物質としては、放射性同位元素(例、〔H〕、〔125I〕、〔14C〕、〔32P〕、〔33P〕、〔35S〕など)、蛍光物質(例、フルオレセインなど)、発光物質(例、ルミノールなど)、酵素(例、ペルオキシダーゼなど)、ランタニド元素などがあげられる。中でも、放射性同位元素が好ましい。
標識したリガンドとして好ましくは、〔H〕または〔125I〕でそれぞれ標識された6,7−ジニトロキノキサリン−2,3−ジオン、6−ニトロ−7−スルファモイルベンゾ[f]キノキサリン−2,3−ジオン、6−シアノ−7−ニトロキノキサリン−2,3−ジオン、または5,7−ジニトロキノキサリン−2,3−ジオンなどが挙げられる。好ましくは〔H〕または〔125I〕で標識された6,7−ジニトロキノキサリン−2,3−ジオンである。
本発明の受容体および本発明の部分ペプチドは、前述したヒトや温血動物の細胞または組織から自体公知のポリペプチドの精製方法によって製造することもできるし、ポリペプチドをコードするDNAで形質転換された形質転換体を培養することによっても製造することができる。また、ペプチド合成法に準じて製造することもできる。例えば、Genomics、56巻、12−21頁、1999年、Biochim.Biophys.Acta、1446巻、57−70頁、1999年などに記載の方法またはこれに準じた方法により、製造することもできる。
ヒトや哺乳動物の組織または細胞から製造する場合、ヒトや哺乳動物の組織または細胞をホモジナイズした後、酸などで抽出を行ない、該抽出液を逆相クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィーを組み合わせることにより精製単離することができる。
本発明の受容体または部分ペプチドもしくはそれらの塩の合成には、通常、市販のポリペプチド合成用樹脂を用いることができる。そのような樹脂としては、例えば、クロロメチル樹脂、ヒドロキシメチル樹脂、ベンズヒドリルアミン樹脂、アミノメチル樹脂、4−ベンジルオキシベンジルアルコール樹脂、4−メチルベンズヒドリルアミン樹脂、PAM樹脂、4−ヒドロキシメチルメチルフェニルアセトアミドメチル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、4−(2’,4’−ジメトキシフェニル−ヒドロキシメチル)フェノキシ樹脂、4−(2’,4’−ジメトキシフェニル−Fmocアミノエチル)フェノキシ樹脂などをあげることができる。このような樹脂を用い、α−アミノ基と側鎖官能基を適当に保護したアミノ酸を、目的とするポリペプチドの配列通りに、自体公知の各種縮合方法に従い、樹脂上で縮合させる。反応の最後に樹脂からポリペプチドを切り出すと同時に各種保護基を除去し、さらに高希釈溶液中で分子内ジスルフィド結合形成反応を実施し、目的のポリペプチド、受容体、部分ペプチドまたはそれらのアミド体を取得する。
上記した保護アミノ酸の縮合に関しては、ポリペプチド合成に使用できる各種活性化試薬を用いることができるが、特に、カルボジイミド類がよい。カルボジイミド類としては、DCC、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド、N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロリル)カルボジイミドなどが用いられる。これらによる活性化にはラセミ化抑制添加剤(例えば、HOBt,HOOBt)とともに保護アミノ酸を直接樹脂に添加するかまたは、対称酸無水物またはHOBtエステルあるいはHOOBtエステルとしてあらかじめ保護アミノ酸の活性化を行なった後に樹脂に添加することができる。
保護アミノ酸の活性化や樹脂との縮合に用いられる溶媒としては、ポリペプチド縮合反応に使用しうることが知られている溶媒から適宜選択されうる。例えば、N,N−ジメチルホルムアミド,N,N−ジメチルアセトアミド,N−メチルピロリドンなどの酸アミド類、塩化メチレン,クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素類、トリフルオロエタノールなどのアルコール類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、ピリジン,ジオキサン,テトラヒドロフランなどのエーテル類、アセトニトリル,プロピオニトリルなどのニトリル類、酢酸メチル,酢酸エチルなどのエステル類あるいはこれらの適宜の混合物などが用いられる。反応温度はポリペプチド結合形成反応に使用され得ることが知られている範囲から適宜選択され、通常約−20℃〜50℃の範囲から適宜選択される。活性化されたアミノ酸誘導体は通常1.5〜4倍過剰で用いられる。ニンヒドリン反応を用いたテストの結果、縮合が不十分な場合には保護基の脱離を行なうことなく縮合反応を繰り返すことにより十分な縮合を行なうことができる。反応を繰り返しても十分な縮合が得られないときには、無水酢酸またはアセチルイミダゾールを用いて未反応アミノ酸をアセチル化することによって、後の反応に影響を与えないようにすることができる。
原料のアミノ基の保護基としては、例えば、Z、Boc、t−ペンチルオキシカルボニル、イソボルニルオキシカルボニル、4−メトキシベンジルオキシカルボニル、Cl−Z、Br−Z、アダマンチルオキシカルボニル、トリフルオロアセチル、フタロイル、ホルミル、2−ニトロフェニルスルフェニル、ジフェニルホスフィノチオイル、Fmocなどが用いられる。
カルボキシル基は、例えば、アルキルエステル化(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、t−ブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、2−アダマンチルなどの直鎖状、分枝状もしくは環状アルキルエステル化)、アラルキルエステル化(例えば、ベンジルエステル、4−ニトロベンジルエステル、4−メトキシベンジルエステル、4−クロロベンジルエステル、ベンズヒドリルエステル化)、フェナシルエステル化、ベンジルオキシカルボニルヒドラジド化、t−ブトキシカルボニルヒドラジド化、トリチルヒドラジド化などによって保護することができる。
セリンの水酸基は、例えば、エステル化またはエーテル化によって保護することができる。このエステル化に適する基としては、例えば、アセチル基などの低級(C1−6)アルカノイル基、ベンゾイル基などのアロイル基、ベンジルオキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などの炭酸から誘導される基などが用いられる。また、エーテル化に適する基としては、例えば、ベンジル基、テトラヒドロピラニル基、t−ブチル基などである。
チロシンのフェノール性水酸基の保護基としては、例えば、Bzl、Cl−Bzl、2−ニトロベンジル、Br−Z、t−ブチルなどが用いられる。
ヒスチジンのイミダゾールの保護基としては、例えば、Tos、4−メトキシ−2,3,6−トリメチルベンゼンスルホニル、DNP、ベンジルオキシメチル、Bum、Boc、Trt、Fmocなどが用いられる。
原料のカルボキシル基の活性化されたものとしては、例えば、対応する酸無水物、アジド、活性エステル〔アルコール(例えば、ペンタクロロフェノール、2,4,5−トリクロロフェノール、2,4−ジニトロフェノール、シアノメチルアルコール、パラニトロフェノール、HONB、N−ヒドロキシスクシミド、N−ヒドロキシフタルイミド、HOBt)とのエステル〕などが用いられる。原料のアミノ基の活性化されたものとしては、例えば、対応するリン酸アミドが用いられる。
保護基の除去(脱離)方法としては、例えば、Pd−黒あるいはPd−炭素などの触媒の存在下での水素気流中での接触還元や、また、無水フッ化水素、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸あるいはこれらの混合液などによる酸処理や、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、ピペリジン、ピペラジンなどによる塩基処理、また液体アンモニア中ナトリウムによる還元なども用いられる。上記酸処理による脱離反応は、一般に約−20℃〜40℃の温度で行なわれるが、酸処理においては、例えば、アニソール、フェノール、チオアニソール、メタクレゾール、パラクレゾール、ジメチルスルフィド、1,4−ブタンジチオール、1,2−エタンジチオールなどのようなカチオン捕捉剤の添加が有効である。また、ヒスチジンのイミダゾール保護基として用いられる2,4−ジニトロフェニル基はチオフェノール処理により除去され、トリプトファンのインドール保護基として用いられるホルミル基は上記の1,2−エタンジチオール、1,4−ブタンジチオールなどの存在下の酸処理による脱保護以外に、希水酸化ナトリウム溶液、希アンモニアなどによるアルカリ処理によっても除去される。
原料の反応に関与すべきでない官能基の保護ならびに保護基、およびその保護基の脱離、反応に関与する官能基の活性化などは公知の基または公知の手段から適宜選択しうる。
本発明の受容体または部分ペプチドを得る別の方法としては、例えば、まず、カルボキシ末端アミノ酸のα−カルボキシル基をアミド化して保護した後、アミノ基側にペプチド(ポリペプチド)鎖を所望の鎖長まで延ばした後、該ペプチド鎖のN末端のα−アミノ基の保護基のみを除いたポリペプチドとC末端のカルボキシル基の保護基のみを除去したポリペプチドとを製造し、この両ポリペプチドを上記したような混合溶媒中で縮合させる。縮合反応の詳細については上記と同様である。縮合により得られた保護ポリペプチドを精製した後、上記方法によりすべての保護基を除去し、所望の粗ポリペプチドを得ることができる。この粗ポリペプチドは既知の各種精製手段を駆使して精製し、主要画分を凍結乾燥することで所望の受容体またはその部分ペプチドのアミド体を得ることができる。
本発明の受容体または部分ペプチドもしくはそれらの塩のエステル体を得るには、例えば、カルボキシ末端アミノ酸のα−カルボキシル基を所望のアルコール類と縮合しアミノ酸エステルとした後、受容体またはその部分ペプチドのアミド体と同様にして、所望の受容体またはその部分ペプチドのエステル体を得ることができる。
本発明の受容体または部分ペプチドは、自体公知のペプチドの合成法に従って、あるいは受容体の部分ペプチドについては、受容体を適当なペプチダーゼで切断することによって製造することができる。ペプチドの合成法としては、例えば、固相合成法、液相合成法のいずれによっても良い。すなわち、本発明受容体または部分ペプチドを構成し得る部分ペプチドもしくはアミノ酸と残余部分とを縮合させ、生成物が保護基を有する場合は保護基を脱離することにより目的のペプチドを製造することができる。公知の縮合方法や保護基の脱離としては、例えば、以下の(i)〜(v)に記載された方法があげられる。
(i)M.BodanszkyおよびM.A.Ondetti、Peptide Synthesis,Interscience Publishers,New York(1966年)
(ii)SchroederおよびLuebke、The Peptide,Academic Press,New York(1965年)
(iii)泉屋信夫他、ペプチド合成の基礎と実験、丸善(株)(1975年)
(iv)矢島治明および榊原俊平、生化学実験講座1、タンパク質の化学IV、205、(1977年)
(v)矢島治明監修、続医薬品の開発、第14巻、ペプチド合成、広川書店
また、反応後は通常の精製法、例えば、溶媒抽出、蒸留、カラムクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、再結晶などを組み合わせて本発明の受容体または部分ペプチドを精製単離することができる。上記方法で得られる受容体または部分ペプチドが遊離体である場合は、公知の方法あるいはそれに準じる方法によって適当な塩に変換することができるし、逆に塩で得られた場合は、公知の方法あるいはそれに準じる方法によって遊離体または他の塩に変換することができる。
本発明の受容体または部分ペプチドをコードするポリヌクレオチドとしては、前述した本発明の受容体または部分ペプチドをコードする塩基配列を含有するものであればいかなるものであってもよい。このうちDNAが好ましく、該DNAは、ゲノムDNA、ゲノムDNAライブラリー、前記した細胞・組織由来のcDNA、前記した細胞・組織由来のcDNAライブラリー、合成DNAのいずれでもよい。
ライブラリーに使用するベクターは、バクテリオファージ、プラスミド、コスミド、ファージミドなどいずれであってもよい。また、前記した細胞・組織よりtotal RNAまたはmRNA画分を調製したものを用いて直接Reverse Transcriptase Polymerase Chain Reaction(以下、RT−PCR法と略称する)によって増幅することもできる。
本発明の受容体をコードするDNAとしては、例えば配列番号:2、配列番号:8、配列番号:20、配列番号:22、配列番号:24または配列番号:28で表される塩基配列を含有するDNA、または配列番号:2、配列番号:8、配列番号:20、配列番号:22、配列番号:24または配列番号:28で表される塩基配列とハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を有し、配列番号:1、配列番号:7、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23または配列番号:27で表されるアミノ酸配列を含有する蛋白質と実質的に同質の活性を有する受容体をコードするDNAなどであれば何れのものでもよい。
配列番号:2、配列番号:8、配列番号:20、配列番号:22、配列番号:24または配列番号:28で表される塩基配列とハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズできるDNAとしては、例えば、配列番号:2、配列番号:8、配列番号:20、配列番号:22、配列番号:24または配列番号:28で表される塩基配列と約70%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%以上、さらに好ましくは約95%以上の相同性を有する塩基配列を含有するDNAなどが用いられる。
ハイブリダイゼーションは、自体公知の方法あるいはそれに準じる方法、例えば、Molecular Cloning 2nd(J.Sambrook et al.,Cold Spring Harbor Lab.Press,1989)に記載の方法などに従って行なうことができる。また、市販のライブラリーを使用する場合、添付の使用説明書に記載の方法に従って行なうことができる。より好ましくは、ハイストリンジェントな条件に従って行なうことができる。
ハイストリンジェントな条件とは、例えば、ナトリウム濃度が約19〜40mM、好ましくは約19〜20mMで、温度が約50〜70℃、好ましくは約60〜65℃の条件を示す。特に、ナトリウム濃度が約19mMで温度が約65℃の場合が最も好ましい。
より具体的には、配列番号:1で表されるアミノ酸配列を含有する受容体をコードするDNAとしては、配列番号:2で表される塩基配列を含有するDNAなどが、配列番号:7で表されるアミノ酸配列を含有する受容体をコードするDNAとしては、配列番号:8で表される塩基配列を含有するDNAなどが、配列番号:19で表されるアミノ酸配列を含有する受容体をコードするDNAとしては、配列番号:20で表される塩基配列を含有するDNAなどが、配列番号:21で表されるアミノ酸配列を含有する受容体をコードするDNAとしては、配列番号:22で表される塩基配列を含有するDNAなどが、配列番号:23で表されるアミノ酸配列を含有する受容体をコードするDNAとしては、配列番号:24で表される塩基配列を含有するDNAなどが、配列番号:27で表されるアミノ酸配列を含有する受容体をコードするDNAとしては、配列番号:28で表される塩基配列を含有するDNAなどが用いられる。
本発明の部分ペプチドをコードするDNAとしては、本発明の受容体の部分ペプチドをコードする塩基配列を含有するものであればいかなるものであってもよい。また、ゲノムDNA、ゲノムDNAライブラリー、前記した細胞・組織由来のcDNA、前記した細胞・組織由来のcDNAライブラリー、合成DNAのいずれでもよい。具体的には、配列番号:2、配列番号:8、配列番号:20、配列番号:22、配列番号:24または配列番号:28で表される塩基配列を有するDNAの部分塩基配列を有するDNA、または配列番号:2、配列番号:8、配列番号:20、配列番号:22、配列番号:24または配列番号:28で表される塩基配列とハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を有し、配列番号:1、配列番号:7、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23または配列番号:27で表されるアミノ酸配列を含有する蛋白質と実質的に同質の活性を有する受容体をコードするDNAの部分塩基配列を有するDNAなどが用いられる。
配列番号:2、配列番号:8、配列番号:20、配列番号:22、配列番号:24または配列番号:28で表される塩基配列とハイブリダイズできるDNAは、前記と同意義を示す。
ハイブリダイゼーションの方法およびハイストリンジェントな条件は前記と同様のものが用いられる。
本発明の受容体または部分ペプチドをコードするポリヌクレオチド(例、DNA)は、自体公知の方法で標識化されていてもよい。標識物質としては、放射性同位元素、蛍光物質(例、フルオレセインなど)、発光物質、酵素、ビオチン、ランタニド元素などがあげられる。
本発明の受容体または部分ペプチドを完全にコードするDNAのクローニングの手段としては、本発明の受容体または部分ペプチドの部分塩基配列を有する合成DNAプライマーを用いて自体公知のPCR法によって増幅するか、または適当なベクターに組み込んだDNAを本発明の受容体または部分ペプチドの一部あるいは全領域をコードするDNA断片もしくは合成DNAを用いて標識したものとのハイブリダイゼーションによって選別することができる。ハイブリダイゼーションの方法は、例えば、Molecular Cloning 2nd(J.Sambrook et al.,Cold Spring Harbor Lab.Press,1989)に記載の方法などに従って行なうことができる。また、市販のライブラリーを使用する場合、添付の使用説明書に記載の方法に従って行なうことができる。
DNAの塩基配列の変換は、公知のキット、例えば、MutanTM−super Express Km(宝酒造(株))、MutanTM−K(宝酒造(株))等を用いて、ODA−LA PCR法、Gapped duplex法、Kunkel法等の自体公知の方法あるいはそれらに準じる方法に従って行なうことができる。
クローン化された受容体をコードするDNAは目的によりそのまま、または所望により制限酵素で消化したり、リンカーを付加したりして使用することができる。該DNAはその5’末端側に翻訳開始コドンとしてのATGを有し、また3’末端側には翻訳終止コドンとしてのTAA、TGAまたはTAGを有していてもよい。これらの翻訳開始コドンや翻訳終止コドンは、適当な合成DNAアダプターを用いて付加することもできる。
本発明の受容体または部分ペプチドの発現ベクターは、例えば、(a)本発明の受容体または部分ペプチドをコードするDNAから目的とするDNA断片を切り出し、(b)該DNA断片を適当な発現ベクター中のプロモーターの下流に連結することにより製造することができる。
ベクターとしては、大腸菌由来のプラスミド(例、pBR322,pBR325,pUC12,pUC13)、枯草菌由来のプラスミド(例、pUB110,pTP5,pC194)、酵母由来プラスミド(例、pSH19,pSH15)、λファージなどのバクテリオファージ、レトロウィルス,ワクシニアウィルス,バキュロウィルスなどの動物ウィルスなどの他、pA1−11、pXT1、pRc/CMV、pRc/RSV、pcDNAI/Neoなどが用いられる。
本発明で用いられるプロモーターとしては、遺伝子の発現に用いる宿主に対応して適切なプロモーターであればいかなるものでもよい。例えば、動物細胞を宿主として用いる場合は、SRαプロモーター、SV40プロモーター、HIV・LTRプロモーター、CMVプロモーター、HSV−TKプロモーターなどがあげられる。
これらのうち、CMV(サイトメガロウィルス)プロモーター、SRαプロモーターなどを用いるのが好ましい。宿主がエシェリヒア属菌である場合は、trpプロモーター、lacプロモーター、recAプロモーター、λPLプロモーター、lppプロモーター、T7プロモーターなどが、宿主がバチルス属菌である場合は、SPO1プロモーター、SPO2プロモーター、penPプロモーターなど、宿主が酵母である場合は、PHO5プロモーター、PGKプロモーター、GAPプロモーター、ADHプロモーターなどが好ましい。宿主が昆虫細胞である場合は、ポリヘドリンプロモーター、P10プロモーターなどが好ましい。
発現ベクターには、以上の他に、所望によりエンハンサー、スプライシングシグナル、ポリA付加シグナル、選択マーカー、SV40複製オリジン(以下、SV40oriと略称する場合がある)などを含有しているものを用いることができる。選択マーカーとしては、例えば、ジヒドロ葉酸還元酵素(以下、dhfrと略称する場合がある)遺伝子〔メソトレキセート(MTX)耐性〕、アンピシリン耐性遺伝子(以下、Ampと略称する場合がある)、ネオマイシン耐性遺伝子(以下、Neoと略称する場合がある、G418耐性)等があげられる。特に、dhfr遺伝子欠損チャイニーズハムスター細胞を用いてdhfr遺伝子を選択マーカーとして使用する場合、目的遺伝子をチミジンを含まない培地によっても選択できる。
また、必要に応じて、宿主に合ったシグナル配列を、本発明の受容体のN端末側に付加する。宿主がエシェリヒア属菌である場合は、PhoA・シグナル配列、OmpA・シグナル配列などが、宿主がバチルス属菌である場合は、α−アミラーゼ・シグナル配列、サブチリシン・シグナル配列などが、宿主が酵母である場合は、MFα・シグナル配列、SUC2・シグナル配列など、宿主が動物細胞である場合には、インシュリン・シグナル配列、α−インターフェロン・シグナル配列、抗体分子・シグナル配列などがそれぞれ利用できる。
このようにして構築された本発明の受容体または部分ペプチドをコードするDNAを含有するベクターを用いて、形質転換体を製造することができる。
宿主としては、例えば、エシェリヒア属菌、バチルス属菌、酵母、昆虫細胞、昆虫、動物細胞などが用いられる。
エシェリヒア属菌の具体例としては、例えば、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)K12・DH1〔Proc.Natl.Acad.Sci.USA,60巻,160(1968)〕,JM103〔Nucleic Acids Research,9巻,309(1981)〕,JA221〔Journal of Molecular Biology,120巻,517(1978)〕,HB101〔Journal of Molecular Biology,41巻,459(1969)〕,C600〔Genetics,39巻,440(1954)〕などが用いられる。
バチルス属菌としては、例えば、バチルス・サブチルス(Bacillus subtilis)MI114〔Gene,24巻,255(1983)〕,207−21〔Journal of Biochemistry,95巻,87(1984)〕などが用いられる。
酵母としては、例えば、サッカロマイセス セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)AH22,AH22R,NA87−11A,DKD−5D,20B−12、シゾサッカロマイセス ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)NCYC1913,NCYC2036、ピキア パストリス(Pichia pastoris)KM71などが用いられる。
昆虫細胞としては、例えば、ウィルスがAcNPVの場合は、ヨトウガの幼虫由来株化細胞(Spodoptera frugiperda cell;Sf細胞)、Trichoplusia niの中腸由来のMG1細胞、Trichoplusia niの卵由来、のHigh FiveTM細胞、Mamestrabrassicae由来の細胞またはEstigmena acrea由来の細胞などが用いられる。ウィルスがBmNPVの場合は、蚕由来株化細胞(Bombyx mori N細胞;BmN細胞)などが用いられる。該Sf細胞としては、例えば、Sf9細胞(ATCC CRL1711)、Sf21細胞(以上、Vaughn,J.L.ら、In Vivo,13,213−217,(1977))などが用いられる。
昆虫としては、例えば、カイコの幼虫などが用いられる〔前田ら、Nature,315巻,592(1985)〕。
動物細胞としては、例えば、サル細胞COS−7(COS7),Vero,チャイニーズハムスター細胞CHO(以下、CHO細胞と略記),dhfr遺伝子欠損チャイニーズハムスター細胞CHO(以下、CHO(dhfr)細胞と略記),マウスL細胞,マウスAtT−20,マウスミエローマ細胞,ラットGH3,ヒトFL細胞などが用いられる。
エシェリヒア属菌を形質転換するには例えば、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,69巻,2110(1972)やGene,17巻,107(1982)などに記載の方法に従って行なうことができる。
バチルス属菌を形質転換するには、例えば、Molecular & General Genetics,168巻,111(1979)などに記載の方法に従って行なうことができる。
酵母を形質転換するには、例えば、Methods in Enzymology,194巻,182−187(1991)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,75巻,1929(1978)などに記載の方法に従って行なうことができる。
昆虫細胞または昆虫を形質転換するには、例えば、Bio/Technology,6,47−55(1988)などに記載の方法に従って行なうことができる。
動物細胞を形質転換するには、例えば、細胞工学別冊8 新細胞工学実験プロトコール.263−267(1995)(秀潤社発行)、Virology,52巻,456(1973)に記載の方法に従って行なうことができる。
このようにして、受容体または部分ペプチドをコードするDNAを含有する発現ベクターで形質転換された形質転換体を得ることができる。
宿主がエシェリヒア属菌、バチルス属菌である形質転換体を培養する際、培養に使用される培地としては液体培地が適当であり、その中には該形質転換体の生育に必要な炭素源、窒素源、無機物その他が含有せしめられる。炭素源としては、例えば、グルコース、デキストリン、可溶性澱粉、ショ糖など、窒素源としては、例えば、アンモニウム塩類、硝酸塩類、コーンスチープ・リカー、ペプトン、カゼイン、肉エキス、大豆粕、バレイショ抽出液などの無機または有機物質、無機物としては、例えば、塩化カルシウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化マグネシウムなどがあげられる。また、酵母エキス、ビタミン類、生長促進因子などを添加してもよい。培地のpHは約5〜8が望ましい。
エシェリヒア属菌を培養する際の培地としては、例えば、グルコース、カザミノ酸を含むM9培地〔Miller,Journal of Experiments in Molecular Genetics,431−433,Cold Spring Harbor Laboratory,New York 1972〕が好ましい。ここに必要によりプロモーターを効率よく働かせるために、例えば、3β−インドリルアクリル酸のような薬剤を加えることができる。
宿主がエシェリヒア属菌の場合、培養は通常約15〜43℃で約3〜24時間行ない、必要により、通気や撹拌を加えることもできる。
宿主がバチルス属菌の場合、培養は通常約30〜40℃で約6〜24時間行ない、必要により通気や撹拌を加えることもできる。
宿主が酵母である形質転換体を培養する際、培地としては、例えば、バークホールダー(Burkholder)最小培地〔Bostian,K.L.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,77巻,4505(1980)〕や0.5%カザミノ酸を含有するSD培地、〔Bitter,G.A.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81巻,5330(1984)〕があげられる。培地のpHは約5〜8に調整するのが好ましい。培養は通常約20℃〜35℃で約24〜72時間行ない、必要に応じて通気や撹拌を加える。
宿主が昆虫細胞または昆虫である形質転換体を培養する際、培地としては、Grace’s Insect Medium(Grace,T.C.C.,Nature,195,788(1962))に非動化した10%ウシ血清等の添加物を適宜加えたものなどが用いられる。培地のpHは約6.2〜6.4に調整するのが好ましい。培養は通常約27℃で約3〜5日間行ない、必要に応じて通気や撹拌を加える。
宿主が動物細胞である形質転換体を培養する際、培地としては、例えば、約5〜20%の胎児牛血清を含むMEM培地〔Science,122巻,501(1952)〕,DMEM培地〔Virology,8巻,396(1959)〕,RPMI 1640培地〔The Journal of the American Medical Association 199巻,519(1967)〕,199培地〔Proceeding of the Society for the Biological Medicine,73巻,1(1950)〕などが用いられる。pHは約6〜8であるのが好ましい。培養は通常約30℃〜40℃で約15〜60時間行ない、必要に応じて通気や撹拌を加える。
以上のようにして、形質転換体の細胞内、細胞膜または細胞外などに本発明の受容体または部分ペプチドを生成せしめることができる。
上記培養物から本発明の受容体または部分ペプチドを分離精製するには、例えば、下記の方法により行なうことができる。
本発明の受容体または部分ペプチドを培養菌体あるいは細胞から抽出するに際しては、培養後、公知の方法で菌体あるいは細胞を集め、これを適当な緩衝液に懸濁し、超音波、リゾチームおよび/または凍結融解などによって菌体あるいは細胞を破壊したのち、遠心分離やろ過によりポリペプチドの粗抽出液を得る方法などが適宜用いられる。緩衝液の中に尿素や塩酸グアニジンなどの蛋白質変性剤や、トリトンX−100TMなどの界面活性剤が含まれていてもよい。培養液中にポリペプチドが分泌される場合には、培養終了後、それ自体公知の方法で菌体あるいは細胞と上清とを分離し、上清を集める。
このようにして得られた培養上清、あるいは抽出液中に含まれる受容体または部分ペプチドの精製は、自体公知の分離・精製法を適宜組み合わせて行なうことができる。これらの公知の分離、精製法としては、塩析や溶媒沈澱法などの溶解度を利用する方法、透析法、限外ろ過法、ゲルろ過法、およびSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法などの主として分子量の差を利用する方法、イオン交換クロマトグラフィーなどの荷電の差を利用する方法、アフィニティークロマトグラフィーなどの特異的親和性を利用する方法、逆相高速液体クロマトグラフィーなどの疎水性の差を利用する方法、等電点電気泳動法などの等電点の差を利用する方法などが用いられる。
かくして得られる受容体または部分ペプチドが遊離体で得られた場合には、自体公知の方法あるいはそれに準じる方法によって塩に変換することができ、逆に塩で得られた場合には自体公知の方法あるいはそれに準じる方法により、遊離体または他の塩に変換することができる。
なお、組換え体が産生する受容体または部分ペプチドを、精製前または精製後に適当な蛋白修飾酵素を作用させることにより、任意に修飾を加えたり、ポリペプチドを部分的に除去することもできる。蛋白修飾酵素としては、例えば、トリプシン、キモトリプシン、アルギニルエンドペプチダーゼ、プロテインキナーゼ、グリコシダーゼなどが用いられる。
本発明の受容体と特異的に結合する能力を有するリガンドは、市販されている場合には市販品をそのまま用いることもでき、自体公知の方法またはこれらに準じた方法に従って抽出または製造することもできる。
配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有する蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩に対する抗体(以下、単に本発明の抗体と称する場合がある)は、本発明の受容体に対する抗体を認識し得る抗体であれば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体の何れであってもよい。本発明の受容体に対する抗体としては、受容体のシグナル伝達を不活性化する抗体、受容体のシグナル伝達を活性化する抗体などが挙げられる。
本発明の受容体に対する抗体は、本発明の受容体を抗原として用い、公知の抗体または抗血清の製造法に従って製造することができる。
〔モノクローナル抗体の作製〕
(a)モノクローナル抗体産生細胞の作製
本発明の受容体は、温血動物に対して投与により抗体産生が可能な部位にそれ自体あるいは担体、希釈剤とともに投与される。投与に際して抗体産生能を高めるため、完全フロイントアジュバントや不完全フロイントアジュバントを投与してもよい。投与は通常2〜6週毎に1回ずつ、計2〜10回程度行われる。用いられる温血動物としては、例えば、サル、ウサギ、イヌ、モルモット、マウス、ラット、ヒツジ、ヤギ、ニワトリがあげられるが、マウスおよびラットが好ましく用いられる。
モノクローナル抗体産生細胞の作製に際しては、抗原で免疫された温血動物、例えばマウスから抗体価の認められた個体を選択し最終免疫の2〜5日後に脾臓またはリンパ節を採取し、それらに含まれる抗体産生細胞を同種または異種動物の骨髄腫細胞と融合させることにより、モノクローナル抗体産生ハイブリドーマを調製することができる。抗血清中の抗体価の測定は、例えば、後記の標識化ポリペプチドと抗血清とを反応させたのち、抗体に結合した標識剤の活性を測定することにより行なうことができる。融合操作は既知の方法、例えば、ケーラーとミルスタインの方法〔ネイチャー(Nature)、256、495(1975)〕に従い実施することができる。融合促進剤としては、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)やセンダイウィルスなどがあげられるが、好ましくはPEGが用いられる。
骨髄腫細胞としては、例えば、NS−1、P3U1、SP2/0、AP−1などの温血動物の骨髄腫細胞があげられるが、P3U1が好ましく用いられる。用いられる抗体産生細胞(脾臓細胞)数と骨髄腫細胞数との好ましい比率は1:1〜20:1程度であり、PEG(好ましくはPEG1000〜PEG6000)が10〜80%程度の濃度で添加され、20〜40℃、好ましくは30〜37℃で1〜10分間インキュベートすることにより効率よく細胞融合を実施できる。
モノクローナル抗体産生ハイブリドーマのスクリーニングには種々の方法が使用できるが、例えば、ポリペプチド(蛋白質)抗原を直接あるいは担体とともに吸着させた固相(例、マイクロプレート)にハイブリドーマ培養上清を添加し、次に放射性物質や酵素などで標識した抗免疫グロブリン抗体(細胞融合に用いられる細胞がマウスの場合、抗マウス免疫グロブリン抗体が用いられる)またはプロテインAを加え、固相に結合したモノクローナル抗体を検出する方法、抗免疫グロブリン抗体またはプロテインAを吸着させた固相にハイブリドーマ培養上清を添加し、放射性物質や酵素などで標識したポリペプチドを加え、固相に結合したモノクローナル抗体を検出する方法などがあげられる。
モノクローナル抗体の選別は、公知あるいはそれに準じる方法に従って行なうことができる。通常HAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン)を添加した動物細胞用培地で行なうことができる。選別および育種用培地としては、ハイブリドーマが生育できるものならばどのような培地を用いても良い。例えば、1〜20%、好ましくは10〜20%の牛胎児血清を含むRPMI 1640培地、1〜10%の牛胎児血清を含むGIT培地(和光純薬工業(株))あるいはハイブリドーマ培養用無血清培地(SFM−101、日水製薬(株))などを用いることができる。培養温度は、通常20〜40℃、好ましくは約37℃である。培養時間は、通常5日〜3週間、好ましくは1週間〜2週間である。培養は、通常5%炭酸ガス下で行なうことができる。ハイブリドーマ培養上清の抗体価は、上記の抗血清中の抗体価の測定と同様にして測定できる。
(b)モノクローナル抗体の精製
モノクローナル抗体の分離精製は、公知の方法、例えば、免疫グロブリンの分離精製法〔例、塩析法、アルコール沈殿法、等電点沈殿法、電気泳動法、イオン交換体(例、DEAE)による吸脱着法、超遠心法、ゲルろ過法、抗原結合固相あるいはプロテインAあるいはプロテインGなどの活性吸着剤により抗体のみを採取し、結合を解離させて抗体を得る特異的精製法〕に従って行なうことができる。
〔ポリクローナル抗体の作製〕
本発明のポリクローナル抗体は、公知あるいはそれに準じる方法に従って製造することができる。例えば、免疫抗原(ポリペプチド抗原)自体、あるいはそれとキャリアー蛋白質との複合体をつくり、上記のモノクローナル抗体の製造法と同様に温血動物に免疫を行い、該免疫動物から本発明の受容体に対する抗体含有物を採取して、抗体の分離精製を行なうことにより製造することができる。
温血動物を免疫するために用いられる免疫抗原とキャリアー蛋白質との複合体に関し、キャリアー蛋白質の種類およびキャリアーとハプテンとの混合比は、キャリアーに架橋させて免疫したハプテンに対して抗体が効率良くできれば、どの様なものをどの様な比率で架橋させてもよいが、例えば、ウシ血清アルブミンやウシサイログロブリン、ヘモシアニン等を重量比でハプテン1に対し、約0.1〜20、好ましくは約1〜5の割合でカプルさせる方法が用いられる。
また、ハプテンとキャリアーのカプリングには、種々の縮合剤を用いることができるが、グルタルアルデヒドやカルボジイミド、マレイミド活性エステル、チオール基、ジチオビリジル基を含有する活性エステル試薬等が用いられる。
縮合生成物は、温血動物に対して、抗体産生が可能な部位にそれ自体あるいは担体、希釈剤とともに投与される。投与に際して抗体産生能を高めるため、完全フロイントアジュバントや不完全フロイントアジュバントを投与してもよい。投与は、通常約2〜6週毎に1回ずつ、計約3〜10回程度行なわれる。
ポリクローナル抗体は、上記の方法で免疫された温血動物の血液、腹水など、好ましくは血液から採取することができる。
抗血清中のポリクローナル抗体価の測定は、上記の抗血清中の抗体価の測定と同様にして測定できる。ポリクローナル抗体の分離精製は、上記のモノクローナル抗体の分離精製と同様の免疫グロブリンの分離精製法に従って行なうことができる。
配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有する蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩をコードするポリヌクレオチド(例、DNA)に相補的な、または実質的に相補的な塩基配列またはその一部を含有するポリヌクレオチド(例、DNA)としては、該ポリヌクレオチドに相補的な、または実質的に相補的な塩基配列またはその一部を有し、該ポリヌクレオチドの発現を抑制し得る作用を有するものであれば、いずれのポリヌクレオチド(アンチセンスポリヌクレオチド)であってもよい。
具体的には、本発明の受容体をコードするポリヌクレオチド(例、DNA)(以下、これらのDNAを本発明のDNAと略記する場合がある)に相補的な、または実質的に相補的な塩基配列またはその一部を有するアンチセンスDNA(以下、これらのDNAをアンチセンスDNAと略記する場合がある)が挙げられ、本発明のDNAに相補的な、または実質的に相補的な塩基配列またはその一部を有し、該DNAの発現を抑制し得る作用を有するものであれば、いずれのアンチセンスDNAであってもよい。
本発明のDNAに実質的に相補的な塩基配列とは、例えば、本発明のDNAに相補的な塩基配列(すなわち、本発明のDNAの相補鎖)の全塩基配列あるいは部分塩基配列と約70%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%以上、最も好ましくは約95%以上の相同性を有する塩基配列などがあげられる。特に、本発明のDNAの相補鎖の全塩基配列うち、本発明の受容体のN末端部位をコードする部分の塩基配列(例えば、開始コドン付近の塩基配列など)の相補鎖と約70%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%以上、最も好ましくは約95%以上の相同性を有するアンチセンスDNAが好適である。これらのアンチセンスDNAは、公知のDNA合成装置などを用いて製造することができる。
具体的には、配列番号:2、配列番号:8、配列番号:20、配列番号:22、配列番号:24または配列番号:28で表される塩基配列を有するDNAの塩基配列に相補的な、もしくは実質的に相補的な塩基配列、またはその一部分を有するアンチセンスポリヌクレオチド、配列番号:2、配列番号:8、配列番号:20、配列番号:22、配列番号:24または配列番号:28で表される塩基配列を有するDNAの塩基配列に相補的な、もしくは実質的に相補的な塩基配列、またはその一部分を有するアンチセンスDNAなどが挙げられる。好ましくは例えば、配列番号:2、配列番号:8、配列番号:20、配列番号:22、配列番号:24または配列番号:28で表される塩基配列を有するDNAの塩基配列に相補な塩基配列、またはその一部分を有するアンチセンスポリヌクレオチド、配列番号:2、配列番号:8、配列番号:20、配列番号:22、配列番号:24または配列番号:28で表される塩基配列を有するDNAの塩基配列に相補な塩基配列、またはその一部分を有するアンチセンスDNAなどが挙げられる。
アンチセンスポリヌクレオチドは通常、10〜40個程度、好ましくは15〜30個程度の塩基から構成される。
ヌクレアーゼなどの加水分解酵素による分解を防ぐために、アンチセンスDNAを構成する各ヌクレオチドのりん酸残基(ホスフェート)は、例えば、ホスホロチオエート、メチルホスホネート、ホスホロジチオネートなどの化学修飾りん酸残基に置換されていてもよい。これらのアンチセンスポリヌクレオチドは、公知のDNA合成装置などを用いて製造することができる。
本発明に従えば、本発明の受容体遺伝子の複製または発現を阻害することのできるアンチセンスポリヌクレオチド(核酸)を、クローン化した、あるいはアミノ酸が決定された蛋白質をコードするDNAの塩基配列情報に基づき設計し、合成しうる。かかるポリヌクレオチド(核酸)は、本発明の受容体遺伝子のRNAとハイブリダイズすることができ、該RNAの合成または機能を阻害することができるか、あるいは本発明の受容体関連RNAとの相互作用を介して本発明の受容体遺伝子の発現を調節・制御することができる。本発明の受容体関連RNAの選択された配列に相補的なポリヌクレオチド、および本発明の受容体関連RNAと特異的にハイブリダイズすることができるポリヌクレオチドは、生体内および生体外で本発明の受容体遺伝子の発現を調節・制御するのに有用であり、また病気などの治療または診断に有用である。用語「対応する」とは、遺伝子を含めたヌクレオチド、塩基配列または核酸の特定の配列に相同性を有するあるいは相補的であることを意味する。ヌクレオチド、塩基配列または核酸とペプチド(蛋白質)との間で「対応する」とは、ヌクレオチド(核酸)の配列またはその相補体から誘導される指令にあるペプチド(蛋白質)のアミノ酸を通常指している。蛋白質遺伝子の5’端ヘアピンループ、5’端6−ベースペア・リピート、5’端非翻訳領域、蛋白質翻訳終止コドン、蛋白質コード領域、ORF翻訳終止コドン、3’端非翻訳領域、3’端パリンドローム領域、および3’端ヘアピンループは好ましい対象領域として選択しうるが、蛋白質遺伝子内の如何なる領域も対象として選択しうる。
目的核酸と、対象領域の少なくとも一部に相補的なポリヌクレオチドとの関係については、目的核酸が対象領域とハイブリダイズすることができる場合は、その目的核酸は、当該対象領域のポリヌクレオチドに対して「アンチセンス」であるということができる。アンチセンスポリヌクレオチドは、2−デオキシ−D−リボースを含有しているポリヌクレオチド、D−リボースを含有しているポリヌクレオチド、プリンまたはピリミジン塩基のN−グリコシドであるその他のタイプのポリヌクレオチド、あるいは非ヌクレオチド骨格を有するその他のポリマー(例えば、市販の蛋白質核酸および合成配列特異的な核酸ポリマー)または特殊な結合を含有するその他のポリマー(但し、該ポリマーはDNAやRNA中に見出されるような塩基のペアリングや塩基の付着を許容する配置をもつヌクレオチドを含有する)などが挙げられる。それらは、二本鎖DNA、一本鎖DNA、二本鎖RNA、一本鎖RNA、さらにDNA:RNAハイブリッドであることができ、さらに非修飾ポリヌクレオチド(または非修飾オリゴヌクレオチド)、さらには公知の修飾の付加されたもの、例えば当該分野で知られた標識のあるもの、キャップの付いたもの、メチル化されたもの、1個以上の天然のヌクレオチドを類縁物で置換したもの、分子内ヌクレオチド修飾のされたもの、例えば非荷電結合(例えば、メチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホルアミデート、カルバメートなど)を持つもの、電荷を有する結合または硫黄含有結合(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなど)を持つもの、例えば蛋白質(ヌクレアーゼ、ヌクレアーゼ・インヒビター、トキシン、抗体、シグナルペプチド、ポリ−L−リジンなど)や糖(例えば、モノサッカライドなど)などの側鎖基を有しているもの、インターカレート化合物(例えば、アクリジン、ソラレンなど)を持つもの、キレート化合物(例えば、金属、放射活性をもつ金属、ホウ素、酸化性の金属など)を含有するもの、アルキル化剤を含有するもの、修飾された結合を持つもの(例えば、αアノマー型の核酸など)であってもよい。ここで「ヌクレオシド」、「ヌクレオチド」および「核酸」とは、プリンおよびピリミジン塩基を含有するのみでなく、修飾されたその他の複素環型塩基をもつようなものを含んでいて良い。こうした修飾物は、メチル化されたプリンおよびピリミジン、アシル化されたプリンおよびピリミジン、あるいはその他の複素環を含むものであってよい。修飾されたヌクレオチドおよび修飾されたヌクレオチドはまた糖部分が修飾されていてよく、例えば、1個以上の水酸基がハロゲンとか、脂肪族基などで置換されていたり、あるいはエーテル、アミンなどの官能基に変換されていてよい。
本発明のアンチセンスポリヌクレオチド(核酸)は、RNA、DNA、あるいは修飾された核酸(RNA、DNA)である。修飾された核酸の具体例としては核酸の硫黄誘導体やチオホスフェート誘導体、そしてポリヌクレオシドアミドやオリゴヌクレオシドアミドの分解に抵抗性のものが挙げられるが、それに限定されるものではない。本発明のアンチセンスヌクレオチドは次のような方針で好ましく設計されうる。すなわち、細胞内でのアンチセンスヌクレオチドをより安定なものにする、アンチセンスヌクレオチドの細胞透過性をより高める、目標とするセンス鎖に対する親和性をより大きなものにする、そしてもし毒性があるならアンチセンスヌクレオチドの毒性をより小さなものにする。
こうした修飾は当該分野で数多く知られており、例えばJ.Kawakami et al.,Pharm Tech Japan,Vol.8,pp.247,1992;Vol.8,pp.395,1992;S.T.Crooke et al.ed.,Antisense Research and Applications,CRC Press,1993などに開示がある。
本発明のアンチセンスポリヌクレオチドは、変化せしめられたり、修飾された糖、塩基、結合を含有していて良く、リポゾーム、ミクロスフェアのような特殊な形態で供与されたり、遺伝子治療により適用されたり、付加された形態で与えられることができうる。こうして付加形態で用いられるものとしては、リン酸基骨格の電荷を中和するように働くポリリジンのようなポリカチオン体、細胞膜との相互作用を高めたり、核酸の取込みを増大せしめるような脂質(例えば、ホスホリピド、コレステロールなど)といった疎水性のものが挙げられる。付加するに好ましい脂質としては、コレステロールやその誘導体(例えば、コレステリルクロロホルメート、コール酸など)が挙げられる。こうしたものは、核酸の3’端あるいは5’端に付着させることができ、塩基、糖、分子内ヌクレオシド結合を介して付着させることができうる。その他の基としては、核酸の3’端あるいは5’端に特異的に配置されたキャップ用の基で、エキソヌクレアーゼ、RNaseなどのヌクレアーゼによる分解を阻止するためのものが挙げられる。こうしたキャップ用の基としては、ポリエチレングリコール、テトラエチレングリコールなどのグリコールをはじめとした当該分野で知られた水酸基の保護基が挙げられるが、それに限定されるものではない。
アンチセンスヌクレオチドの阻害活性は、本発明の形質転換体、本発明の生体内や生体外の遺伝子発現系、あるいは本発明の受容体の生体内や生体外の翻訳系を用いて調べることができる。該核酸は公知の各種の方法で細胞に適用できる。
以下に、(i)本発明の受容体、(ii)本発明の受容体をコードするポリヌクレオチド(本発明のポリヌクレオチド)、(iii)本発明の受容体に対する抗体(本発明の抗体)、(iv)本発明の受容体のアンチセンスポリヌクレオチド(例、DNA)(例、本発明のアンチセンスDNA)、(v)本発明の受容体に特異的に結合する能力を有するリガンド(本発明のリガンド)などの用途を説明する。
〔1〕疾病に対する医薬候補化合物のスクリーニング
本発明のリガンドは、例えば、消化管機能調節活性、腸管細胞増殖調節活性などを有する。
本発明の受容体を用い、または組換え型本発明の受容体の発現系を用いたリガンドレセプターアッセイ系を用いることにより、本発明の受容体と、本発明のリガンドとの結合性を変化させる化合物(例えば、ペプチド、蛋白質、抗体、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液、血漿など)またはその塩を効率よくスクリーニングすることができる。
該化合物またはその塩には、(i)本発明の受容体を介して細胞刺激活性(例、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cAMP産生抑制、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの低下、GTPγS結合活性、cAMP依存性プロテインキナーゼの活性化、cGMP依存性プロテインキナーゼの活性化、リン脂質依存性プロテインキナーゼの活性化、微小管結合蛋白質リン酸化酵素(MAPキナーゼ)の活性化などを促進する活性、受容体細胞内移行活性など)を有する化合物(アゴニスト)、(ii)上記細胞刺激活性を有しない化合物(アンタゴニスト)、(iii)本発明の受容体と本発明のリガンドとの結合力を促進する化合物、(iv)本発明の受容体と本発明のリガンドとの結合力を阻害する化合物などが含まれる。
具体的には、(i)本発明の受容体に、本発明のリガンドを接触させた場合と(ii)本発明の受容体に、本発明のリガンドおよび試験化合物を接触させた場合との比較を行なう。比較は、例えば、本発明の受容体に対する本発明のリガンドの結合量、細胞刺激活性などを測定して行う。
本発明のスクリーニング方法としての具体例としては、例えば、
(a)本発明のリガンドを本発明の受容体に接触させた場合と、本発明のリガンドおよび試験化合物を本発明の受容体に接触させた場合における、本発明のリガンドの本発明の受容体に対する結合量を測定し、比較することを特徴とする、本発明のリガンドと本発明の受容体との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、
(b)本発明のリガンドを、本発明の受容体を含有する細胞または該細胞の膜画分に接触させた場合と、本発明のリガンドおよび試験化合物を本発明の受容体を含有する細胞または該細胞の膜画分に接触させた場合における、本発明のリガンドの該細胞または該膜画分に対する結合量を測定し、比較することを特徴とする、本発明のリガンドと本発明の受容体との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、および
(c)本発明の受容体が、本発明の受容体をコードするDNAを含有する形質転換体を培養することによって細胞膜上に発現した本発明の受容体である上記(b)記載のスクリーニング方法、
(d)本発明のリガンドが、標識したリガンドである上記(a)〜(c)のスクリーニング方法などのレセプター結合アッセイ系、
(e)本発明のリガンドを本発明の受容体に接触させた場合と、本発明のリガンドおよび試験化合物を本発明の受容体に接触させた場合における、本発明の受容体を介した細胞刺激活性を測定し、比較することを特徴とする、本発明のリガンドと本発明の受容体との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、
(f)本発明のリガンドを本発明の受容体を含有する細胞または該細胞の膜画分に接触させた場合と、本発明のリガンドおよび試験化合物を本発明の受容体を含有する細胞または該細胞の膜画分に接触させた場合における、本発明の受容体を介した細胞刺激活性を測定し、比較することを特徴とする、本発明のリガンドと本発明の受容体との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、および
(g)本発明の受容体が、本発明の受容体をコードするDNAを含有する形質転換体を培養することによって細胞膜上に発現した本発明の受容体である上記(f)のスクリーニング方法などの細胞刺激アッセイ系などが挙げられる。
本発明のスクリーニング方法の具体的な説明を以下にする。
本発明の受容体としては、ヒトや温血動物の臓器の膜画分などが好適に用いられる。しかし、特にヒト由来の臓器は入手が極めて困難なことから、スクリーニングに用いられるものとしては、組換え体を用いて大量発現させた本発明の受容体などが適している。
本発明の受容体を製造するには、前述の本発明の受容体の製造方法などが用いられる。
本発明のスクリーニング方法において、本発明の受容体を含有する細胞あるいは該細胞膜画分などを用いる場合、後述の調製法に従えばよい。
本発明の受容体を含有する細胞を用いる場合、該細胞をグルタルアルデヒド、ホルマリンなどで固定化してもよい。固定化方法はそれ自体公知の方法に従って行うことができる。
本発明の受容体を含有する細胞としては、本発明の受容体を発現した宿主細胞をいうが、該宿主細胞としては、前述の大腸菌、枯草菌、酵母、昆虫細胞、動物細胞などが挙げられる。製造方法は前述と同様である。
膜画分としては、細胞を破砕した後、それ自体公知の方法で得られる細胞膜が多く含まれる画分のことをいう。細胞の破砕方法としては、Potter−Elvehjem型ホモジナイザーで細胞を押し潰す方法、ワーリングブレンダーやポリトロン(Kinematica社製)による破砕、超音波による破砕、フレンチプレスなどで加圧しながら細胞を細いノズルから噴出させることによる破砕などがあげられる。細胞膜の分画には、分画遠心分離法や密度勾配遠心分離法などの遠心力による分画法が主として用いられる。例えば、細胞破砕液を低速(500rpm〜3000rpm)で短時間(通常、約1分〜10分)遠心し、上清をさらに高速(15000rpm〜30000rpm)で通常30分〜2時間遠心し、得られる沈澱を膜画分とする。該膜画分中には、発現した本発明の受容体と細胞由来のリン脂質や膜蛋白質などの膜成分が多く含まれる。
該本発明の受容体を含有する細胞や膜画分中の本発明の受容体の量は、1細胞当たり10〜10分子であるのが好ましく、10〜10分子であるのが好適である。なお、発現量が多いほど膜画分当たりのリガンド結合活性(比活性)が高くなり、高感度なスクリーニング系の構築が可能になるばかりでなく、同一ロットで大量の試料を測定できるようになる。
前記のレセプター結合アッセイ系や細胞刺激アッセイ系などのスクリーニング方法を実施するためには、例えば、本発明の受容体画分と、本発明のリガンド(例、標識した本発明のリガンド)などが用いられる。本発明の受容体画分としては、天然型の本発明の受容体画分か、またはそれと同等の活性を有する組換え型本発明の受容体画分などが望ましい。ここで、同等の活性とは、同等のリガンド結合活性などを示す。標識したリガンドとしては、例えば、放射性同位元素(例、〔H〕、〔125I〕、〔14C〕、〔32P〕、〔33P〕、〔35S〕など)、蛍光物質(例、フルオレセインなど)、発光物質(例、ルミノールなど)、酵素(例、ペルオキシダーゼなど)またはランタニド元素などで標識されたリガンドなどを用いることができる。
具体的には、本発明のリガンドと本発明の受容体との結合性を変化させる化合物のスクリーニングを行うには、本発明の受容体を含有する細胞または細胞の膜画分を、スクリーニングに適したバッファーに懸濁することによりレセプター標品を調製する。バッファーには、pH4〜10(望ましくはpH6〜8)のリン酸バッファー、トリス−塩酸バッファーなどのリガンドと受容体との結合を阻害しないバッファーであればいずれでもよい。また、非特異的結合を低減させる目的で、CHAPS、Tween−80TM(花王−アトラス社)、ジギトニン、デオキシコレートなどの界面活性剤をバッファーに加えることもできる。さらに、プロテアーゼによる本発明の受容体の分解を抑える目的でPMSF、ロイペプチン、E−64(ペプチド研究所製)、ペプスタチンなどのプロテアーゼ阻害剤を添加することもできる。0.01〜10mlの該レセプター溶液に、一定量(5000〜500000cpm)の標識した本発明のリガンドを添加し、同時に10−10〜10−7Mの試験化合物を共存させる。非特異的結合量(NSB)を知るために大過剰の未標識の本発明のリガンドを加えた反応チューブも用意する。反応は0℃〜50℃、望ましくは4℃〜37℃で20分〜24時間、望ましくは30分〜3時間行う。反応後、ガラス繊維濾紙等で濾過し、適量の同バッファーで洗浄した後、ガラス繊維濾紙に残存する放射活性を液体シンチレーションカウンターまたはγ−カウンターで計測する。拮抗する物質がない場合のカウント(B)から非特異的結合量(NSB)を引いたカウント(B−NSB)を100%とした時、特異的結合量(B−NSB)が例えば50%以下になる試験化合物を拮抗阻害能力のある候補物質として選択することができる。
さらに、表面プラズモンセンサー技術を利用することによって、本発明の受容体に結合する化合物をスクリーニングすることもできる。
具体的には、ビアコア3000(ビアコア社)のセンサーチップ表面に、本発明の受容体を固定化後、チップ表面にリン酸緩衝液(PBS)などに溶解した試験化合物を流したときの表面プラズモンの変化を測定することにより、本発明の受容体に結合する試験化合物を選択する。例えば、表面プラズモンの変化の測定値が5レゾナンスユニット以上与える試験化合物を本発明の受容体に結合性を有する物質として選択する。
前記の細胞刺激アッセイ系のスクリーニング方法を実施するためには、本発明の受容体を介する細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cAMP産生抑制、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの低下、GTPγS結合活性、cAMP依存性プロテインキナーゼの活性化、cGMP依存性プロテインキナーゼの活性化、リン脂質依存性プロテインキナーゼの活性化、微小管結合蛋白質リン酸化酵素(MAPキナーゼ)の活性化などを促進する活性または抑制する活性、受容体細胞内移行活性など)を、自体公知の方法または市販の測定用キットを用いて測定することができる。具体的には、まず、本発明の受容体を含有する細胞をマルチウェルプレート等に培養する。スクリーニングを行うにあたっては前もって新鮮な培地あるいは細胞に毒性を示さない適当なバッファーに交換し、試験化合物などを添加して一定時間インキュベートした後、細胞を抽出あるいは上清液を回収して、生成した産物をそれぞれの方法に従って定量する。細胞刺激活性の指標とする物質(例えば、アラキドン酸など)の生成が、細胞が含有する分解酵素によって検定困難な場合は、該分解酵素に対する阻害剤を添加してアッセイを行なってもよい。また、cAMP産生抑制などの活性については、フォルスコリンなどで細胞の基礎的産生量を増大させておいた細胞に対する産生抑制作用として検出することができる。
細胞刺激活性を測定してスクリーニングを行なうには、適当な本発明の受容体を発現した細胞が必要である。本発明の受容体を発現した細胞としては、前述の本発明の受容体発現細胞株などが望ましい。
試験化合物としては、例えばペプチド、蛋白質、抗体、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液、血漿などがあげられ、これら化合物は新規な化合物であってもよく、公知の化合物であってもよい。試験化合物は塩を形成していてもよく、試験化合物の塩としては、金属塩、アンモニウム塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩などが挙げられる。金属塩の好適な例としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩などのアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩などが挙げられる。有機塩基との塩の好適な例としては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、2,6−ルチジン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミンなどとの塩が挙げられる。無機酸との塩の好適な例としては、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などとの塩が挙げられる。有機酸との塩の好適な例としては、例えばギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、安息香酸、フタル酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などとの塩が挙げられる。塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアルギニン、リジン、オルニチンなどとの塩が挙げられ、酸性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアスパラギン酸、グルタミン酸などとの塩が挙げられる。
このうち、生理学的に許容し得る塩が好ましい。例えば、化合物内に酸性官能基を有する場合にはアルカリ金属塩(例、ナトリウム塩,カリウム塩など)、アルカリ土類金属塩(例、カルシウム塩,マグネシウム塩,バリウム塩など)などの無機塩、アンモニウム塩など、また、化合物内に塩基性官能基を有する場合には、例えば臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸など無機酸との塩、または酢酸、フタル酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などの有機酸との塩が挙げられる。
上記細胞刺激アッセイ系のスクリーニング方法について、さらに具体的に以下(1)〜(12)に記載する。
(1)受容体発現細胞が受容体アゴニストによって刺激されると細胞内のG蛋白質が活性化されてGTPが結合する。この現象は受容体発現細胞の膜画分においても観察される。通常、GTPは加水分解されてGDPへと変化するが、このとき反応液中にGTPγSを添加しておくと、GTPγSはGTPと同様にG蛋白質に結合するが、加水分解されずにG蛋白質を含む細胞膜に結合した状態が維持される。標識したGTPγSを用いると細胞膜に残存した標識されたGTPγSを測定することにより、受容体アゴニストの受容体発現細胞刺激活性を測定することができる。
この反応を利用して、本発明のリガンドの本発明の受容体発現細胞に対する刺激活性を測定することにより、本発明のリガンドと本発明の受容体との結合性を変化させる化合物をスクリーニングすることができる。
この方法は、本発明の受容体を含む膜画分を用いて行う。本測定法において本発明の受容体膜画分へのGTPγS結合促進活性を示す物質はアゴニストである。
具体的には、標識したGTPγSの存在下、本発明のリガンドを本発明の受容体細胞膜画分に接触させた場合と、本発明のリガンドおよび試験化合物を本発明の受容体細胞膜画分に接触させた場合における、本発明の受容体細胞膜画分へのGTPγS結合促進活性を測定し、比較することにより、本発明のリガンドと本発明の受容体との結合性を変化させる化合物をスクリーニングする。
本方法において、本発明のリガンドによる本発明の受容体細胞膜画分へのGTPγS結合促進活性を抑制する活性を示す試験化合物を、拮抗阻害能力のある候補物質として選択することができる。
一方、試験化合物のみを本発明の受容体細胞膜画分に接触させ、本発明の受容体細胞膜画分へのGTPγS結合促進活性を測定することにより、アゴニストのスクリーニングを行なうこともできる。
スクリーニング法の一具体例を以下に述べる。
公知の方法に従って調製した本発明の受容体を含む細胞膜画分を、膜希釈緩衝液(50mM Tris、5mM MgCl、150mM NaCl、1μM GDP、0.1%BSA;pH7.4)で希釈する。希釈率は、受容体の発現量により異なる。これをFalcon2053に0.2mlずつ分注し、本発明のリガンドまたは本発明のリガンドおよび試験化合物を加え、さらに終濃度200pMとなるように[35S]GTPγSを加える。25℃で1時間保温した後、氷冷した洗浄用緩衝液(50mM Tris,5mM MgCl,150mM NaCl,0.1%BSA,0.05%CHAPS;pH7.4)1.5mlを加えて、ガラス繊維ろ紙GF/Fでろ過する。65℃、30分保温して乾燥後、液体シンチレーションカウンターでろ紙上に残った膜画分に結合した[35S]GTPγSの放射活性を測定する。本発明のリガンドのみを加えた実験区の放射活性を100%、本発明のリガンドを加えなかった実験区の放射活性を0%とし、本発明のリガンドによるGTPγS結合促進活性に対する試験化合物の影響を算出する。GTPγS結合促進活性が例えば50%以下になる試験化合物を拮抗阻害能力のある候補物質として選択することができる。
(2)本発明の受容体発現細胞は、本発明のリガンドの刺激により、細胞内cAMPの産生が抑制される。この反応を利用して、本発明のリガンドの本発明の受容体発現細胞に対する刺激活性を測定することにより、本発明のリガンドと本発明の受容体との結合性を変化させる化合物をスクリーニングすることができる。
具体的には、細胞内cAMP量を増加させる物質の存在下、本発明のリガンドを本発明の受容体発現細胞に接触させた場合と、本発明のリガンドおよび試験化合物を本発明の受容体発現細胞に接触させた場合における、該細胞の細胞内cAMPの産生抑制活性を測定し、比較することにより、本発明のリガンドと本発明の受容体との結合性を変化させる化合物をスクリーニングする。
細胞内cAMP量を増加させる物質としては、例えば、フォルスコリン、カルシトニンなどが用いられる。
本発明の受容体発現細胞内のcAMP産生量は、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ウシなどを免疫して得られた抗cAMP抗体と〔125I〕標識cAMP(ともに市販品)を使用することによるRIA系、または抗cAMP抗体と標識cAMPとを組み合わせたEIA系で測定することができる。また、抗cAMP抗体を、protein Aまたは抗cAMP抗体産生に用いた動物のIgGなどに対する抗体などを使用して固定したシンチラントを含むビーズと〔125I〕標識cAMPとを使用するSPA(Scintillation Proximity Assay)法による定量、化学増幅型ルミネッセンスプロキシミティーホモジニアスアッセイ系であるAlphaScreen(PerkinElmer社)を応用した競合法cAMP検出キット(PerkinElmer社)による定量も可能である。
本方法において、本発明のリガンドによる本発明の受容体発現細胞のcAMP産生抑制活性を阻害する活性を示す試験化合物を、拮抗阻害能力のある候補物質として選択することができる。
一方、試験化合物のみを本発明の受容体発現細胞に接触させて、cAMP産生抑制活性を調べることによりアゴニスト活性を示す化合物のスクリーニングを行なうことができる。
スクリーニング法の一具体例を以下に述べる。
本発明の受容体発現細胞(例、CHO細胞などの動物細胞)を24穴プレートに5x10cell/wellで播種し、48時間培養する。細胞を0.2mM 3−イソブチル−メチルキサンチン、0.05%BSAおよび20mM HEPESを含むハンクスバッファー(pH7.4)で洗浄する(以下、反応用バッファーと略記する)。その後、0.5mlの反応用バッファーを加えて30分間培養器で保温する。反応用バッファーを除き、新たに0.25mlの反応用バッファーを細胞に加えた後、1μMの本発明のリガンドまたは1μMの本発明のリガンドおよび試験化合物を添加した2μMフォルスコリンを含む0.25mlの反応用バッファーを、細胞に加え、37℃で24分間反応させる。100μlの20%過塩素酸を加えて反応を停止させ、その後氷上で1時間置くことにより細胞内cAMPを抽出する。抽出液中のcAMP量を、cAMP EIAキット(アマシャムファルマシアバイオテク)を用いて測定する。フォルスコリンの刺激によって産生されたcAMP量を100%とし、1μMの本発明のリガンドの添加によって抑制されたcAMP量を0%として、本発明のリガンドによるcAMP産生抑制活性に対する試験化合物の影響を算出する。本発明のリガンドの活性を阻害して、cAMP産生活性が例えば50%以上になる試験化合物を、拮抗阻害能力のある候補物質として選択することができる。
また、本発明のリガンドの刺激により、細胞内cAMP量が増加する性質を示す本発明の受容体発現細胞を使用する場合、本発明のリガンドを本発明の受容体発現細胞に接触させた場合と、本発明のリガンドおよび試験化合物を本発明の受容体発現細胞に接触させた場合における、該細胞の細胞内cAMPの産生促進活性を測定し、比較することにより、本発明のリガンドと本発明の受容体との結合性を変化させる化合物をスクリーニングすることができる。
本方法において、本発明のリガンドによる本発明の受容体発現細胞のcAMP産生促進活性を阻害する活性を示す試験化合物を、拮抗阻害能力のある候補物質として選択することができる。
一方、試験化合物のみを本発明の受容体発現細胞に接触させてcAMP産生促進活性を調べることによりアゴニスト活性を示す化合物のスクリーニングを行なうことができる。
cAMP産生促進活性は、上記のスクリーニング法においてフォルスコリンを添加せずに本発明の受容体発現細胞(例、CHO細胞などの動物細胞)に本発明のリガンドまたは本発明のリガンドおよび試験化合物を添加して産生されたcAMPを上記の方法で定量して測定する。
(3)CRE−レポーター遺伝子ベクターを用いて、本発明のリガンドの本発明の受容体発現細胞に対する刺激活性を測定することにより、本発明のリガンドと本発明の受容体との結合性を変化させる化合物をスクリーニングすることができる。
CRE(cAMP response element)を含むDNAを、ベクターのレポーター遺伝子上流に挿入し、CRE−レポーター遺伝子ベクターを得る。CRE−レポーター遺伝子ベクターを導入した本発明の受容体発現細胞において、cAMPの上昇を伴う刺激は、CREを介したレポーター遺伝子発現と、それに引き続くレポーター遺伝子の遺伝子産物(蛋白質)の産生を誘導する。つまり、レポーター遺伝子蛋白質の酵素活性を測定することにより、CRE−レポーター遺伝子ベクター導入細胞内のcAMP量の変動を検出することができる。
具体的には、細胞内cAMP量を増加させる物質の存在下、本発明のリガンドを、CRE−レポーター遺伝子ベクター導入本発明の受容体発現細胞に接触させた場合と、本発明のリガンドおよび試験化合物を、CRE−レポーター遺伝子ベクター導入本発明の受容体発現細胞に接触させた場合における、レポーター遺伝子蛋白質の酵素活性を測定し、比較することにより、本発明のリガンドと本発明の受容体との結合性を変化させる化合物をスクリーニングする。
細胞内cAMP量を増加させる物質としては、例えば、フォルスコリン、カルシトニンなどが用いられる。
ベクターとしては、例えば、ピッカジーン ベイシックベクター、ピッカジーン エンハンサーベクター(東洋インキ製造(株))などが用いられる。CREを含むDNAを、上記ベクターのレポーター遺伝子、例えばルシフェラーゼ遺伝子上流のマルチクローニングサイトに挿入し、CRE−レポーター遺伝子ベクターとする。
本方法において、本発明のリガンドによるレポーター遺伝子蛋白質の酵素活性抑制を回復させる試験化合物を、拮抗阻害能力のある候補物質として選択することができる。
一方、試験化合物のみを本発明の受容体発現細胞に接触させて、フォルスコリン刺激によって上昇した発光量の本発明のリガンドと同様な抑制を測定することによりアゴニストのスクリーニングを行なうこともできる。
レポーター遺伝子として、ルシフェラーゼを利用する例を用いて、このスクリーニング方法の具体例を以下に述べる。
CRE−レポーター遺伝子(ルシフェラーゼ)を導入した本発明の受容体発現細胞を、24穴プレートに5x10cell/wellで播種し、48時間培養する。細胞を0.2mM 3−イソブチル−メチルキサンチン、0.05%BSAおよび20mM HEPESを含むハンクスバッファー(pH7.4)で洗浄する(以下、反応用バッファーと略記する)。その後0.5mlの反応用バッファーを加えて30分間培養器で保温する。反応用バッファーを除き、新たに0.25mlの反応用バッファーを細胞に加えた後、1μMの本発明のリガンドまたは1μMの本発明のリガンドおよび試験化合物を添加した2μMフォルスコリンを含む0.25mlの反応用バッファーを、細胞に加え、37℃で24分間反応させる。細胞をピッカジーン用細胞溶解剤(東洋インキ製造(株))で溶かし、溶解液に発光基質(東洋インキ製造(株))を添加する。ルシフェラーゼによる発光は、ルミノメーター、液体シンチレーションカウンターまたはトップカウンターにより測定する。本発明のリガンド単独を添加した場合と、1μMの本発明のリガンドおよび試験化合物を添加した場合のルシフェラーゼによる発光量を測定して、比較する。
本発明のリガンドは、フォルスコリン刺激に基づくルシフェラーゼによる発光量の増加を抑制する。該抑制を回復させる化合物を拮抗阻害能力のある候補物質として選択することができる。
レポーター遺伝子として、例えば、アルカリフォスファターゼ、クロラムフェニコール・アセチルトランスフェラーゼ(chloramphenicol acetyltransferase)、β−ガラクトシダーゼなどの遺伝子を用いてもよい。これらのレポーター遺伝子蛋白質の酵素活性は、公知の方法に従い、または市販の測定キットを用いて測定する。アルカリフォスファターゼ活性は、例えば和光純薬製Lumi−Phos 530を用いて、クロラムフェニコール・アセチルトランスフェラーゼ活性は、例えば和光純薬製FAST CAT chrolamphenicol Acetyltransferase Assay KiTを用いて、β−ガラクトシダーゼ活性は、例えば和光純薬製Aurora Gal−XEを用いて測定する。
(4)本発明の受容体発現細胞は、本発明のリガンドの刺激により、アラキドン酸代謝物を細胞外に放出する。この反応を利用して、本発明のリガンドの本発明の受容体発現細胞に対する刺激活性を測定することにより、本発明のリガンドと本発明の受容体との結合性を変化させる化合物をスクリーニングすることができる。
あらかじめ、標識したアラキドン酸を、本発明の受容体発現細胞に取り込ませておくことによって、アラキドン酸代謝物放出活性を、細胞外に放出された標識されたアラキドン酸代謝物を測定することによって測定することができる。
具体的には、本発明のリガンドを、標識したアラキドン酸を含有する本発明の受容体発現細胞に接触させた場合と、本発明のリガンドおよび試験化合物を、標識したアラキドン酸を含有する本発明の受容体発現細胞に接触させた場合における、アラキドン酸代謝物の放出活性を測定し、比較することにより、本発明のリガンドと本発明の受容体との結合性を変化させる化合物をスクリーニングする。
本方法において、本発明のリガンドによるアラキドン酸代謝物放出活性を阻害する試験化合物を、拮抗阻害能力のある候補物質として選択することができる。
また、試験化合物のみを本発明の受容体発現細胞に接触させ、本発明の受容体発現細胞のアラキドン酸代謝物放出活性を公知の方法で調べることによりアゴニスト活性を示す化合物のスクリーニングを行なうこともできる。
スクリーニング法の一具体例を以下に述べる。
本発明の受容体発現細胞を24穴プレートに5x10cell/wellで播種し、24時間培養後、[H]アラキドン酸を0.25μCi/wellとなるよう添加し、16時間後、細胞を0.05%BSAおよび20mM HEPESを含むハンクスバッファー(pH7.4)(以下、反応用バッファーと略記する)で洗浄する。終濃度10μMの本発明のリガンドまたは終濃度10μMの本発明のリガンドおよび試験化合物を含む反応用バッファー500μlを、各wellに添加する。37℃で60分間インキュベートした後、反応液400μlをシンチレーターに加え、反応液中に遊離した[H]アラキドン酸代謝物の量をシンチレーションカウンターにより測定する。
反応用バッファー500μlのみを添加した場合(本発明のリガンド非添加・試験化合物非添加)の遊離[H]アラキドン酸代謝物の量を0%、10μMの本発明のリガンドを含む反応用バッファーを添加した場合(試験化合物非添加)の遊離[H]アラキドン酸代謝物の量を100%として、試験化合物を添加した場合の遊離[H]アラキドン酸代謝物の量を算出する。
アラキドン酸代謝物放出活性が、例えば50%以下になる試験化合物を拮抗阻害能力のある候補物質として選択することができる。
(5)本発明の受容体発現細胞は、本発明のリガンドの刺激により、細胞内のCa濃度が上昇する。この反応を利用して、本発明のリガンドの本発明の受容体発現細胞に対する刺激活性を測定することにより、本発明のリガンドと本発明の受容体との結合性を変化させる化合物をスクリーニングすることができる。
具体的には、本発明のリガンドを、本発明の受容体発現細胞に接触させた場合と、本発明のリガンドおよび試験化合物を、本発明の受容体発現細胞に接触させた場合における、細胞内カルシウム濃度上昇活性を測定し、比較することにより、本発明のリガンドと本発明の受容体との結合性を変化させる化合物をスクリーニングする。測定は公知の方法に従って行う。
本方法において、本発明のリガンドによる細胞内カルシウム濃度の上昇を抑制する試験化合物を、拮抗阻害能力のある候補物質として選択することができる。
一方、試験化合物のみの添加による蛍光強度の上昇を測定することによってアゴニストのスクリーニングを行なうこともできる。
スクリーニング法の一具体例を以下に述べる。
本発明の受容体発現細胞を、滅菌した顕微鏡用カバーグラス上に播き、2日後、培養液を、4mM Fura−2 AM(同仁化学研究所)を縣濁したHBSSに置換し、室温で2時間30分おく。HBSSで洗浄した後、キュベットにカバーグラスをセットし、本発明のリガンドまたは本発明のリガンドおよび試験化合物を添加し、励起波長340nmおよび380nmでの、505nmの蛍光強度の比の上昇を蛍光測定器で測定し、比較する。
また、FLIPR(モレキュラーデバイス社製)を使って行ってもよい。本発明の受容体発現細胞縣濁液にFluo−3 AM(同仁化学研究所製)を添加し、細胞に取り込ませた後、上清を遠心により数度洗浄後、96穴プレートに細胞を播く。FLIPR装置にセットし、Fura−2の場合と同様に、本発明のリガンドまたは本発明のリガンドおよび試験化合物を添加し、蛍光強度の比の上昇を蛍光測定器で測定し、比較する。
さらに、本発明の受容体発現細胞に、細胞内Caイオンの上昇によって発光するような蛋白質の遺伝子(例、aequorinなど)を共発現させておき、細胞内Caイオン濃度の上昇によって、該遺伝子蛋白質(例、aequorinなど)がCa結合型となり発光することを利用して、本発明のリガンドと本発明の受容体との結合性を変化させる化合物をスクリーニングすることもできる。
細胞内Caイオンの上昇によって発光するような蛋白質の遺伝子を共発現させた本発明の受容体発現細胞を、96穴プレートに播き、上記と同様に、本発明のリガンドまたは本発明のリガンドおよび試験化合物を添加し、蛍光強度の比の上昇を蛍光測定器で測定し、比較する。
本発明のリガンドによる蛍光強度の上昇を、抑制する試験化合物を拮抗阻害能力のある候補物質として選択することができる。
(6)受容体を発現する細胞に、受容体アゴニストを添加すると、細胞内イノシトール三リン酸濃度は上昇する。本発明のリガンドの、本発明の受容体発現細胞における細胞内イノシトール三リン酸産生活性を利用することにより、本発明のリガンドと本発明の受容体との結合性を変化させる化合物をスクリーニングすることができる。
具体的には、標識したイノシトールの存在下、本発明のリガンドを、本発明の受容体発現細胞に接触させた場合と、本発明のリガンドおよび試験化合物を、本発明の受容体発現細胞に接触させた場合における、イノシトール三リン酸産生活性を測定し、比較することにより、本発明のリガンドと本発明の受容体との結合性を変化させる化合物をスクリーニングする。測定は公知の方法に従って行う。
本方法において、イノシトール三リン酸産生活性を抑制する試験化合物を、拮抗阻害能力のある候補物質として選択することができる。
一方、試験化合物のみを本発明の受容体発現細胞に接触させ、イノシトール三リン酸産生上昇を測定することによってアゴニストのスクリーニングを行なうこともできる。
スクリーニング法の一具体例を以下に述べる。
本発明の受容体発現細胞を24穴プレートに播き、1日間培養する。その後、myo−[2−H]inositol(2.5μ Ci/well)を添加した培地で1日間培養し、細胞を放射活性を有するイノシトールを無添加の培地でよく洗浄する。本発明のリガンドまたは本発明のリガンドおよび試験化合物を添加後、10%過塩素酸を加え、反応を止める。1.5M 水酸化カリウムおよび60mM HEPES溶液で中和し、0.5mlのAG1x8樹脂(Bio−Rad)を詰めたカラムに通し、5mM 四ホウ酸ナトリウム(Na)および60mM ギ酸アンモニウムで洗浄した後、1M ギ酸アンモニウムおよび0.1M ギ酸で溶出した放射活性を、液体シンチレーションカウンターで測定する。本発明のリガンドを添加しない場合の放射活性を0%、本発明のリガンドを添加した場合の放射活性を100%とし、試験化合物の、本発明のリガンドと本発明の受容体の結合に対する影響を算出する。
イノシトール三リン酸産生活性が、例えば50%以下になる試験化合物を拮抗阻害能力のある候補物質として選択することができる。
(7)TRE−レポーター遺伝子ベクターを用いて、本発明のリガンドの本発明の受容体発現細胞に対する刺激活性を測定することにより、本発明のリガンドと本発明の受容体との結合性を変化させる化合物をスクリーニングすることができる。
TRE(TPA response element)を含むDNAを、ベクターのレポーター遺伝子上流に挿入し、TRE−レポーター遺伝子ベクターを得る。TRE−レポーター遺伝子ベクターを導入した本発明の受容体発現細胞において、細胞内カルシウム濃度の上昇を伴う刺激は、TREを介したレポーター遺伝子発現と、それに引き続くレポーター遺伝子の遺伝子産物(蛋白質)の産生を誘導する。つまり、レポーター遺伝子蛋白質の酵素活性を測定することにより、TRE−レポーター遺伝子ベクター導入細胞内のカルシウム量の変動を検出することができる。
具体的には、本発明のリガンドを、TRE−レポーター遺伝子ベクター導入本発明の受容体発現細胞に接触させた場合と、本発明のリガンドおよび試験化合物を、TRE−レポーター遺伝子ベクター導入本発明の受容体発現細胞に接触させた場合における、レポーター遺伝子蛋白質の酵素活性を測定し、比較することにより、本発明のリガンドと本発明の受容体との結合性を変化させる化合物をスクリーニングする。
ベクターとしては、例えば、ピッカジーン ベイシックベクター、ピッカジーン エンハンサーベクター(東洋インキ製造(株))などが用いられる。TREを含むDNAを、上記ベクターのレポーター遺伝子、例えばルシフェラーゼ遺伝子上流のマルチクローニングサイトに挿入し、TRE−レポーター遺伝子ベクターとする。
本方法において、本発明のリガンドによるレポーター遺伝子蛋白質の酵素活性を抑制する試験化合物を、拮抗阻害能力のある候補物質として選択することができる。
一方、試験化合物のみをTRE−レポーター遺伝子ベクター導入本発明の受容体発現細胞に接触させ、本発明のリガンドと同様な発光量の増加を測定することによりアゴニストのスクリーニングを行なうこともできる。
レポーター遺伝子として、ルシフェラーゼを利用する例を用いて、このスクリーニング方法の具体例を以下に述べる。
TRE−レポーター遺伝子(ルシフェラーゼ)を導入した本発明の受容体発現細胞を、24穴プレートに5x10cell/wellで播種し、48時間培養する。細胞を0.05% BSAおよび20mM HEPESを含むハンクスバッファー(pH7.4)で洗浄した後、10nMの本発明のリガンドまたは10nMの本発明のリガンドおよび試験化合物を添加し、37℃で60分間反応させる。細胞をピッカジーン用細胞溶解剤(東洋インキ製造(株))で溶かし、溶解液に発光基質(東洋インキ製造(株))を添加する。ルシフェラーゼによる発光は、ルミノメーター、液体シンチレーションカウンターまたはトップカウンターにより測定する。本発明のリガンドを添加した場合と、10nMの本発明のリガンドおよび試験化合物を添加した場合のルシフェラーゼによる発光量を測定して、比較する。
本発明のリガンドによる細胞内カルシウムの上昇によって、ルシフェラーゼによる発光量が増加する。この増加を抑制する化合物を拮抗阻害能力のある候補物質として選択することができる。
レポーター遺伝子として、例えば、アルカリフォスファターゼ、クロラムフェニコール・アセチルトランスフェラーゼ(chloramphenicol acetyltransferase)、β−ガラクトシダーゼなどの遺伝子を用いてもよい。これらのレポーター遺伝子蛋白質の酵素活性は、公知の方法に従い、または市販の測定キットを用いて測定する。アルカリフォスファターゼ活性は、例えば和光純薬製Lumi−Phos 530を用いて、クロラムフェニコール・アセチルトランスフェラーゼ活性は、例えば和光純薬製FAST CAT chrolamphenicol Acetyltransferase Assay KiTを用いて、β−ガラクトシダーゼ活性は、例えば和光純薬製Aurora Gal−XEを用いて測定する。
(8)本発明の受容体発現細胞は、本発明のリガンドの刺激により、MAPキナーゼが活性化され、増殖する。この反応を利用して、本発明のリガンドの本発明の受容体発現細胞に対する刺激活性を測定することにより、本発明のリガンドと本発明の受容体との結合性を変化させる化合物をスクリーニングすることができる。
具体的には、本発明のリガンドを、本発明の受容体発現細胞に接触させた場合と、本発明のリガンドおよび試験化合物を、本発明の受容体発現細胞に接触させた場合における、細胞増殖を測定し、比較することにより、本発明のリガンドと本発明の受容体との結合性を変化させる化合物をスクリーニングする。
本発明の受容体発現細胞の増殖は、例えば、MAPキナーゼ活性、チミジン取り込み活性、ATP量、細胞数などを測定すればよい。
具体例としては、MAPキナーゼ活性については、本発明のリガンドまたは本発明のリガンドおよび試験化合物を、本発明の受容体発現細胞に添加した後、細胞溶解液から抗MAPキナーゼ抗体を用いた免疫沈降によりMAPキナーゼ分画を得た後、公知の方法、例えば和光純薬製MAP Kinase Assay Kitおよびγ−[32P]−ATPを使用してMAPキナーゼ活性を測定し、比較する。
チミジン取り込み活性については、本発明の受容体発現細胞を24穴プレートに播種し、培養し、本発明のリガンドまたは本発明のリガンドおよび試験化合物を添加した後、放射活性により標識したチミジン(例、[methyl−H]−チミジンなど)を加え、その後、細胞を溶解し、細胞内に取り込まれたチミジンの放射活性を、液体シンチレーションカウンターで計数することにより、チミジン取り込み活性を測定し、比較する。
ATP量の測定については、本発明の受容体発現細胞を96穴プレートに播種し、培養し、本発明のリガンドまたは本発明のリガンドおよび試験化合物を添加した後、例えばCellTiter−Glo(Promega)を用いて細胞内のATP量を測定し、比較する。
細胞数の測定については、本発明の受容体発現細胞を24穴プレートに播種し、培養し、本発明のリガンドまたは本発明のリガンドおよび試験化合物を添加した後、MTT(3−(4,5−dimethyl−2−thiazolyl)−2,5−diphenyl−2H−tetrazolium bromide)を添加する。細胞内に取り込まれてMTTが変化したMTTホルマザンを、塩酸にて酸性としたイソプロパノール水溶液で細胞を溶解した後、570nmの吸収によって測定し、比較する。
本方法において、本発明の受容体発現細胞の増殖を抑制する試験化合物を、拮抗阻害能力のある候補物質として選択することができる。
一方、試験化合物のみを本発明の受容体発現細胞に接触させ、本発明のリガンドと同様な細胞増殖活性を測定することによりアゴニストのスクリーニングを行なうこともできる。
チミジン取り込み活性を利用するスクリーニング法の一具体例を以下に述べる。
本発明の受容体発現細胞を24穴プレートに5000個/ウェル播き、1日間培養する。次に血清を含まない培地で2日間培養し、細胞を飢餓状態にする。本発明のリガンドまたは本発明のリガンドおよび試験化合物を、細胞に添加して24時間培養した後、[methyl−H]−チミジンをウェル当たり0.015MBq添加し、6時間培養する。細胞をPBSで洗った後、メタノールを添加して10分間放置する。次に5%トリクロロ酢酸を添加して15分間放置後、固定された細胞を蒸留水で4回洗う。0.3N水酸化ナトリウム溶液で細胞を溶解し、溶解液中の放射活性を液体シンチレーションカウンターで測定する。
本発明のリガンドを添加した場合の放射活性の増加を抑制する試験化合物を、拮抗阻害能力のある候補物質として選択することができる。
(9)本発明の受容体発現細胞は、本発明のリガンドの刺激により、カリウムチャネルが活性化し、細胞内にあるKイオンが、細胞外に流出する。この反応を利用して、本発明のリガンドの本発明の受容体発現細胞に対する刺激活性を測定することにより、本発明のリガンドと本発明の受容体との結合性を変化させる化合物をスクリーニングすることができる。
Kイオンと同族元素であるRbイオン(ルビジウムイオン)は、Kイオンと区別無く、カリウムチャネルを通って細胞外に流出する。よって、本発明の受容体発現細胞に、放射活性同位体であるRb([86Rb])を取り込ませておいた後、本発明のリガンドの刺激によって流出する86Rbの流れ(流出活性)を測定することにより、本発明のリガンドの本発明の受容体発現細胞に対する刺激活性を測定する。
具体的には、86Rbの存在下、本発明のリガンドを、本発明の受容体発現細胞に接触させた場合と、本発明のリガンドおよび試験化合物を、本発明の受容体発現細胞に接触させた場合における、86Rbの流出活性を測定し、比較することにより、本発明のリガンドと本発明の受容体との結合性を変化させる化合物をスクリーニングする。
本方法において、本発明のリガンド刺激による86Rbの流出活性の上昇を抑制する試験化合物を、拮抗阻害能力のある候補物質として選択することができる。
一方、試験化合物のみを本発明の受容体発現細胞に接触させ、本発明のリガンドと同様な86Rbの流出活性の上昇を測定することによりアゴニストのスクリーニングを行なうこともできる。
スクリーニング法の一具体例を以下に述べる。
本発明の受容体発現細胞を24穴プレートに播き、2日間培養する。その後、1mCi/mlの86RbClを含む培地中で2時間保温する。細胞を培地でよく洗浄し、外液中の86RbClを完全に除く。本発明のリガンドまたは本発明のリガンドおよび試験化合物を細胞に添加し、30分後外液を回収し、γカウンターで放射活性を測定し、比較する。
本発明のリガンド刺激による86Rbの流出活性の上昇を抑制する試験化合物を、拮抗阻害能力のある候補物質として選択することができる。
(10)本発明の受容体発現細胞が本発明のリガンドに反応し、細胞外のpHが変化する。この反応を利用して、本発明のリガンドの本発明の受容体発現細胞に対する刺激活性を測定することにより、本発明のリガンドと本発明の受容体との結合性を変化させる化合物をスクリーニングすることができる。
具体的には、本発明のリガンドを、本発明の受容体発現細胞に接触させた場合と、本発明のリガンドおよび試験化合物を、本発明の受容体発現細胞に接触させた場合における、細胞外のpH変化を測定し、比較することにより、本発明のリガンドと本発明の受容体との結合性を変化させる化合物をスクリーニングする。
細胞外pH変化は、例えば、Cytosensor装置(モレキュラーデバイス社)を使用して測定する。
本方法において、本発明のリガンドによる細胞外pH変化を抑制する試験化合物を、拮抗阻害能力のある候補物質として選択することができる。
一方、試験化合物のみを本発明の受容体発現細胞に接触させ、本発明のリガンドと同様な細胞外pH変化を測定することによりアゴニストのスクリーニングを行なうこともできる。
スクリーニング法の一具体例を以下に述べる。
本発明の受容体発現細胞をCytosensor装置用のカプセル内で終夜培養し、装置のチャンバーにセットして細胞外pHが安定するまで約2時間、0.1% BSAを含むRPMI1640培地(モレキュラーデバイス社製)を灌流させる。pHが安定した後、本発明のリガンドまたは本発明のリガンドおよび試験化合物を含む培地を細胞上に灌流させる。灌流によって生じた培地のpH変化を測定し、比較する。
本発明のリガンドによる細胞外pH変化を抑制する化合物を拮抗阻害能力のある候補物質として選択することができる。
(11)酵母(Saccharomyces cerevisiae)のhaploid α−mating type(MAT α)の性フェロモン受容体Ste2は、G蛋白質Gpa1と共役しており、性フェロモンα−mating factorに応答してMAPキナーゼを活性化し、これに引き続き、Far1(cell−cycle arrest)および転写活性化因子Ste12が活性化される。Ste12は、種々の蛋白質(例えば、接合に関与するFUS1)の発現を誘導する。一方、制御因子Sst2は上記の過程に抑制的に機能する。この系において、受容体遺伝子を導入した酵母を作製し、受容体アゴニストの刺激により酵母細胞内のシグナル伝達系を活性化し、その結果生じる増殖などを指標として用いる、受容体アゴニストと受容体との反応の測定系の試みが行なわれている(Trends in Biotechnology,15巻,487−494頁,1997年)。上記の受容体遺伝子導入酵母の系を利用して、本発明のリガンドと本発明の受容体との結合性を変化させる化合物をスクリーニングすることができる。
具体例を以下に示す。
MAT α酵母のSte2およびGpa1をコードする遺伝子を除去し、代わりに、本発明の受容体遺伝子およびGpa1−Gai2融合蛋白質をコードする遺伝子を導入する。Far1をコードする遺伝子を除去してcell−cycle arrestが生じないようにし、また、Sst2をコードする遺伝子を除去して本発明のリガンドに対する応答の感度を向上させておく。さらに、FUS1にヒスチジン生合成遺伝子HIS3を結合したFUS1−HIS3遺伝子を導入する。この遺伝子組換え操作は、例えば、Molecular and Cellular Biology,15巻,6188−6195頁,1995年に記載の方法において、ソマトスタチン受容体タイプ2(SSTR2)遺伝子を、本発明の受容体に置き換えて実施することができる。
このように構築された形質変換酵母は、本発明のリガンドに高感度で反応し、その結果、MAPキナーゼの活性化が起き、ヒスチジン生合成酵素が合成されるようになり、ヒスチジン欠乏培地で生育可能になる。
従って、上記の本発明の受容体発現酵母(Ste2遺伝子およびGpa1遺伝子が除去され、本発明の受容体遺伝子およびGpa1−Gai2融合蛋白質コード遺伝子が導入され、Far遺伝子およびSst2遺伝子が除去され、FUS1−HIS3遺伝子が導入されたMAT α酵母)を、ヒスチジン欠乏培地で培養し、本発明のリガンドまたは本発明のリガンドおよび試験化合物を接触させ、該酵母の生育を測定し、比較することにより、本発明のリガンドと本発明の受容体との結合性を変化させる化合物をスクリーニングすることができる。
本方法において、該酵母の生育を抑制する試験化合物を、拮抗阻害能力のある候補物質として選択することができる。
一方、試験化合物のみを上記の本発明の受容体発現酵母に接触させ、本発明のリガンドと同様な酵母の生育を測定することによりアゴニストのスクリーニングを行なうこともできる。
スクリーニング法の一具体例を以下に述べる。
上記の本発明の受容体発現酵母を完全合成培地の液体培地で終夜培養し、その後、ヒスチジンを除去した溶解寒天培地に、2x10cell/mlの濃度になるように加える。ついで、9x9cmの角形シャーレに播く。寒天が固化した後、本発明のリガンドまたは本発明のリガンドおよび試験化合物をしみこませた滅菌濾紙を寒天表面におき、30℃で3日間培養する。試験化合物の影響は、濾紙の周囲の酵母の生育を、本発明のリガンドのみをしみこませた滅菌濾紙を用いた場合と比較する。また、あらかじめ、ヒスチジンを除去した寒天培地に本発明のリガンドを添加しておき、滅菌濾紙に試験化合物のみをしみこませて酵母を培養し、シャーレ全面での酵母の生育が濾紙の周囲で影響を受けることを観察してもよい。
酵母の生育を抑制する化合物を拮抗阻害能力のある候補物質として選択することができる。
(12)本発明の受容体遺伝子RNAをアフリカツメガエル卵母細胞に注入し、本発明のリガンドによって刺激すると細胞カルシウム濃度が上昇して、calcium−activated chloride currentが生じる。これは、膜電位の変化としてとらえることができる(Kイオン濃度勾配に変化がある場合も同様)。本発明のリガンドによって生じる本発明の受容体導入アフリカツメガエル卵母細胞における上記反応を利用して、本発明のリガンドの本発明の受容体発現細胞に対する刺激活性を測定することにより、本発明のリガンドと本発明の受容体との結合性を変化させる化合物をスクリーニングすることができる。
具体的には、本発明のリガンドを、本発明の受容体遺伝子RNA導入アフリカツメガエル卵母細胞に接触させた場合と、本発明のリガンドおよび試験化合物を、本発明の受容体遺伝子RNA導入アフリカツメガエル卵母細胞に接触させた場合における、細胞膜電位の変化を測定し、比較することにより、本発明のリガンドと本発明の受容体との結合性を変化させる化合物をスクリーニングする。
本方法において、細胞膜電位変化を抑制する試験化合物を、拮抗阻害能力のある候補物質として選択することができる。
一方、試験化合物のみを本発明の受容体遺伝子RNA導入アフリカツメガエル卵母細胞に接触させ、本発明のリガンドと同様な細胞膜電位変化を測定することによりアゴニストのスクリーニングを行なうこともできる。
スクリーニング法の一具体例を以下に述べる。
氷冷して動けなくなった雌のアフリカツメガエルから取り出した、卵母細胞塊を、MBS液(88mM NaCl,1mM KCl,0.41mM CaCl,0.33mM Ca(NO,0.82mM MgSO,2.4mM NaHCO,10mM HEPES;pH7.4)に溶かしたコラーゲナーゼ(0.5mg/ml)で卵塊がほぐれるまで19℃、1〜6時間、150rpmで処理する。外液をMBS液に置換することで3度洗浄し、マイクロマニピュレーターで本発明の受容体遺伝子poly A付加cRNA(50ng/50nl)を卵母細胞にマイクロインジェクションする。
本発明の受容体遺伝子mRNAは、組織や細胞から調製してもよく、プラスミドからin vitroで転写してもよい。本発明の受容体遺伝子mRNAをMBS液中で20℃で3日培養し、これをRinger液を流しているvoltage clamp装置のくぼみに置き、電位固定用ガラス微小電極および電位測定用ガラス微小電極を細胞内に刺入し、(−)極は細胞外に置く。電位が安定したら、本発明のリガンドまたは本発明のリガンドおよび試験化合物を含むRinger液を流して電位変化を記録する。試験化合物の影響は、本発明の受容体遺伝子RNA導入アフリカツメガエル卵母細胞の細胞膜電位変化を、本発明のリガンドのみ含むRinger液を流した場合と比較することによって測定することができる。
細胞膜電位変化を抑制する化合物を拮抗阻害能力のある候補物質として選択することができる。
上記の系において、電位の変化量を増大させると、測定しやすくなるため、各種のG蛋白質遺伝子のpoly A付加RNAを導入してもよい。また、カルシウム存在下で発光を生じるような蛋白質(例、aequorinなど)の遺伝子のpoly A付加RNAを共インジェクションすることにより、膜電位変化ではなく発光量を測定することもできる。
本発明のリガンドと本発明の受容体との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング用キットは、本発明の受容体または本発明の受容体を含有する細胞もしくは細胞の膜画分、および本発明のリガンドを含有する。
本発明のスクリーニング用キットの例としては、次のものが挙げられる。
1.スクリーニング用試薬
(i)測定用緩衝液および洗浄用緩衝液
Hanks’ Balanced Salt Solution(インビトロジェン社製)に、0.05%のウシ血清アルブミン(シグマ社製)を加えたもの。
孔径0.45μmのフィルターで濾過滅菌し、4℃で保存するか、または用時調製しても良い。
(ii)本発明の受容体標品
本発明の受容体を発現させたCHO細胞を、12穴プレートに5×10個/穴で継代し、37℃、5%CO、95%airで2日間培養したもの。
(iii)標識リガンド
H〕、〔125I〕、〔14C〕、〔32P〕、〔33P〕、〔35S〕などの放射性同位元素で標識した本発明のリガンドを適当な溶媒または緩衝液に溶解したものを、4℃または−20℃にて保存し、用時に測定用緩衝液にて1μMに希釈する。
(iv)リガンド標準液
本発明のリガンドを0.1%ウシ血清アルブミン(シグマ社製)を含むPBSで1mMとなるように溶解し、−20℃で保存する。
2.測定法
(i)12穴組織培養用プレートにて培養した本発明の受容体を発現させた細胞を、測定用緩衝液1mlで2回洗浄した後、490μlの測定用緩衝液を各穴に加える。
(ii)10−3〜10−10Mの試験化合物溶液を5μl加えた後、標識した本発明のリガンドを5μl加え、室温にて1時間反応させる。非特異的結合量を知るためには試験化合物の代わりに10−3Mの本発明のリガンドを5μl加えておく。
(iii)反応液を除去し、1mlの洗浄用緩衝液で3回洗浄する。細胞に結合した標識された本発明のリガンドを0.2N NaOH−1%SDSで溶解し、4mlの液体シンチレーターA(和光純薬製)と混合する。
(iv)液体シンチレーションカウンター(ベックマン社製)を用いて放射活性を測定し、Percent Maximum Binding(PMB)を次式で求める。
PMB=[(B−NSB)/(B−NSB)]×100
PMB:Percent Maximum Binding
B :検体を加えた時の値
NSB:Non−specific Binding(非特異的結合量)
:最大結合量
本発明のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られうる化合物またはその塩は、本発明のリガンドと本発明の受容体との結合を変化させる化合物あるいは本発明の受容体の活性を促進または阻害する化合物であり、具体的には、(i)本発明の受容体を介して細胞刺激活性を有する化合物またはその塩(本発明の受容体アゴニスト)、(ii)該刺激活性を有しない化合物(本発明の受容体アンタゴニスト)、(iii)本発明の受容体と本発明のリガンドとの結合力を促進する化合物、(iv)本発明の受容体と本発明のリガンドとの結合力を阻害する化合物などである。該化合物としては、ペプチド、蛋白質、抗体、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液、血漿などから選ばれた化合物などが挙げられ、これら化合物は新規な化合物であってもよいし、公知の化合物であってもよい。
該化合物は塩を形成していてもよく、該化合物の塩としては、前記した試験化合物の塩と同様のものが用いられる。
上記本発明の受容体アゴニストであるか、またはアンタゴニストであるかの評価方法は、例えば、以下の(i)または(ii)に従えばよい。
(i)前記(a)〜(c)のスクリーニング方法で示されるバインディング・アッセイを行い、本発明のリガンドと本発明の受容体との結合性を変化させる(特に、結合を阻害する)化合物を得た後、該化合物が上記した本発明の受容体を介する細胞刺激活性を有しているか否かを測定する。細胞刺激活性を有する化合物またはその塩は本発明の受容体アゴニスト(アゴニスト)であり、該活性を有しない化合物またはその塩は本発明の受容体アンタゴニスト(アンタゴニスト)である。
(ii)(a)試験化合物を本発明の受容体を含有する細胞に接触させ、本発明の受容体を介した細胞刺激活性を測定する。細胞刺激活性を有する化合物またはその塩は本発明の受容体アゴニストである。
(b)本発明のリガンドを本発明の受容体を含有する細胞に接触させた場合と、本発明のリガンドおよび試験化合物を本発明の受容体を含有する細胞に接触させた場合における、本発明の受容体を介した細胞刺激活性を測定し、比較する。本発明の受容体を活性化する化合物による細胞刺激活性を減少させ得る化合物またはその塩は本発明の受容体アンタゴニストである。
前述したように、本発明のリガンドは、消化管機能調節活性、腸管細胞増殖調節活性などを有する。従って、本発明の受容体アゴニストは、本発明のリガンドが有する生理活性(例、消化管機能調節活性、腸管細胞増殖調節活性など)と同様の作用を有しており、安全で低毒性な医薬、例えば、消化管疾患、癌、免疫疾患、糖尿病などの予防・治療剤として、好ましくは消化管疾患〔例、下痢、吸収不良症候群、過敏性腸症候群、クローン病、消化性潰瘍(例、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、Zollinger−Ellison症候群など)、胃炎、逆流性食道炎、NUD(Non Ulcer Dyspepsia)、非ステロイド系抗炎症剤に起因する潰瘍、手術後ストレスによる胃酸過多および潰瘍など〕、II型糖尿病などの予防・治療剤として有用である。
本発明の受容体アンタゴニストは、本発明のリガンドが有する生理活性(例、消化管機能調節活性、腸管細胞増殖調節活性など)を抑制することができるので、安全で低毒性な医薬、例えば、消化管疾患、癌、免疫疾患、糖尿病などの予防・治療剤として、好ましくは消化器癌(例、胃癌、大腸癌、胃MALTリンパ腫など)、免疫疾患〔例、慢性閉塞性肺疾患、敗血症、粥状硬化症、AIDS、自己免疫性疾患(例、慢性関節リウマチ、多発性硬化症、重症筋無力症、インスリン依存型糖尿病(I型糖尿病)、炎症性腸疾患、全身性エリトマトーデス、糸球体腎炎、自己免疫性溶血性貧血、橋本病、潰瘍性大腸炎、原発性胆汁性肝硬変、特発性血小板減少性紫斑病、原田病、悪性貧血、シェーグレン症候群、グッドパスチュア症候群など)など〕、肥満などの予防・治療剤などとして有用である。
本発明の受容体と本発明のリガンドとの結合力を促進する化合物は、安全で低毒性な医薬、例えば、消化管疾患、癌、免疫疾患、糖尿病などの予防・治療剤として、好ましくは消化管疾患〔例、下痢、吸収不良症候群、過敏性腸症候群、クローン病、消化性潰瘍(例、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、Zollinger−Ellison症候群など)、胃炎、逆流性食道炎、NUD(Non Ulcer Dyspepsia)、非ステロイド系抗炎症剤に起因する潰瘍、手術後ストレスによる胃酸過多および潰瘍など〕、II型糖尿病などの予防・治療剤として有用である。
本発明の受容体と本発明のリガンドとの結合力を阻害する化合物は、安全で低毒性な医薬、例えば、消化管疾患、癌、免疫疾患、糖尿病などの予防・治療剤として、好ましくは消化器癌(例、胃癌、大腸癌、胃MALTリンパ腫など)、免疫疾患〔例、慢性閉塞性肺疾患、敗血症、粥状硬化症、AIDS、自己免疫性疾患(例、慢性関節リウマチ、多発性硬化症、重症筋無力症、インスリン依存型糖尿病(I型糖尿病)、炎症性腸疾患、全身性エリトマトーデス、糸球体腎炎、自己免疫性溶血性貧血、橋本病、潰瘍性大腸炎、原発性胆汁性肝硬変、特発性血小板減少性紫斑病、原田病、悪性貧血、シェーグレン症候群、グッドパスチュア症候群など)など〕、肥満などの予防・治療剤などとして有用である。
また、本発明は、本発明の受容体をコードする本発明のポリヌクレオチドを用いることを特徴とする本発明の受容体の遺伝子の発現を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング方法なども提供する。
具体的には、(i)本発明の受容体を産生する能力を有する細胞を培養した場合と(ii)本発明の受容体を産生する能力を有する細胞と試験化合物の混合物を培養した場合との比較を行い、本発明の受容体の遺伝子の発現を促進または阻害する化合物またはその塩をスクリーニングする。
上記スクリーニング方法においては、例えば、(i)と(ii)の場合における、本発明の受容体の遺伝子の発現量(具体的には、本発明の受容体量または本発明の受容体をコードするmRNA量など)を測定して、比較する。
試験化合物としては、例えば、ペプチド、蛋白質、抗体、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液、血漿などが挙げられ、これら化合物は新規な化合物であってもよいし、公知の化合物であってもよい。
該試験化合物は塩を形成していてもよく、該試験化合物の塩としては、前記した細胞刺激アッセイ系のスクリーニング方法などで用いられる試験化合物の塩と同様の物が用いられる。
上記のスクリーニング方法を実施するには、本発明ポリペプチドまたは本発明の受容体を産生する能力を有する細胞をスクリーニングに適したバッファーに浮遊して調製する。バッファーとしては、pH約4〜10(望ましくは、pH約6〜8)のリン酸バッファー、ほう酸バッファーなどの、本発明の受容体の活性を阻害しないバッファーであればいずれでもよい。
本発明の受容体を産生する能力を有する細胞としては、例えば、前述した本発明の受容体をコードするDNAを含有するベクターで形質転換された宿主(形質転換体)などが用いられる。宿主としては、例えば、CHO細胞などの動物細胞が好ましく用いられる。該スクリーニングには、例えば、前述の方法で培養することによって、本発明の受容体を細胞膜上に発現させた形質転換体などが好ましく用いられる。
本発明の受容体の蛋白質量の測定は、公知の方法、例えば、本発明の抗体を用いて、細胞抽出液中などに存在する前記ポリペプチドまたは受容体を、ウェスタン解析、ELISA法などの方法またはそれに準じる方法に従い測定することができる。
本発明の受容体の遺伝子の発現量は、公知の方法、例えば、ノーザンブロッティングやReverse transcription−polymerase chain reaction(RT−PCR)、リアルタイムPCR解析システム(ABI社製、TaqMan polymerase chain reaction)などの方法あるいはそれに準じる方法にしたがって測定することができる。
例えば、上記(ii)の場合における本発明の受容体の遺伝子の発現を、上記(i)の場合に比べて、約20%以上、好ましくは30%以上、より好ましくは約50%以上促進する試験化合物を本発明の受容体の遺伝子の発現を促進する化合物またはその塩として選択することができる。
例えば、上記(ii)の場合における本発明の受容体の遺伝子の発現を、上記(i)の場合に比べて、約20%以上、好ましくは30%以上、より好ましくは約50%以上阻害する試験化合物を本発明の受容体の遺伝子の発現を阻害する化合物またはその塩として選択することができる。
本発明の受容体の遺伝子の発現を促進(発現量を増加)する化合物またはその塩は、本発明のリガンドと同様に、例えば、消化管疾患、癌、免疫疾患、糖尿病などの予防・治療剤として、好ましくは消化管疾患〔例、下痢、吸収不良症候群、過敏性腸症候群、クローン病、消化性潰瘍(例、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、Zollinger−Ellison症候群など)、胃炎、逆流性食道炎、NUD(Non Ulcer Dyspepsia)、非ステロイド系抗炎症剤に起因する潰瘍、手術後ストレスによる胃酸過多および潰瘍など〕、II型糖尿病などの予防・治療剤などの医薬として使用できる。
本発明の受容体の遺伝子の発現を阻害する化合物またはその塩は、本発明の受容体に対する本発明のリガンドが有する生理活性を抑制することができるので、例えば、消化管疾患、癌、免疫疾患、糖尿病などの予防・治療剤として、好ましくは消化器癌(例、胃癌、大腸癌、胃MALTリンパ腫など)、免疫疾患〔例、慢性閉塞性肺疾患、敗血症、粥状硬化症、AIDS、自己免疫性疾患(例、慢性関節リウマチ、多発性硬化症、重症筋無力症、インスリン依存型糖尿病(I型糖尿病)、炎症性腸疾患、全身性エリトマトーデス、糸球体腎炎、自己免疫性溶血性貧血、橋本病、潰瘍性大腸炎、原発性胆汁性肝硬変、特発性血小板減少性紫斑病、原田病、悪性貧血、シェーグレン症候群、グッドパスチュア症候群など)など〕、肥満などの予防・治療剤などとして有用である。
本発明のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られる化合物またはその塩は、例えば、ペプチド、蛋白、抗体、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液、血漿などから選ばれた化合物であり、本発明の受容体と本発明のリガンドとの結合性を変化させる化合物、本発明の受容体の活性または機能を促進または阻害する化合物、本発明の受容体の遺伝子の発現を促進または阻害(発現量を増加または減少)する化合物などである。
該化合物の塩としては、前記した試験化合物の塩と同様のものが用いられる。
本発明のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られる化合物またはその塩を上記の医薬(予防・治療剤など)として使用する場合、常套手段に従って実施することができる。
該化合物またはその塩は、例えば、必要に応じて糖衣を施した錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤などとして経口的に、あるいは水もしくはそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、または懸濁液剤などの注射剤の形で非経口的に使用できる。例えば、該化合物またはその塩を生理学的に認められる担体、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、安定剤、結合剤などとともに一般に認められた製剤実施に要求される単位用量形態で混和することによって製造することができる。これら製剤における有効成分量は指示された範囲の適当な用量が得られるようにするものである。
錠剤、カプセル剤などに混和することができる添加剤としては、例えば、ゼラチン、コーンスターチ、トラガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチェリーのような香味剤などが用いられる。調剤単位形態がカプセルである場合には、前記タイプの材料にさらに油脂のような液状担体を含有することができる。注射のための無菌組成物は注射用水のようなベヒクル中の活性物質、胡麻油、椰子油などのような天然産出植物油などを溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施に従って処方することができる。
注射用の水性液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩化ナトリウムなど)などがあげられ、適当な溶解補助剤、例えば、アルコール(例えば、エタノールなど)、ポリアルコール(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、非イオン性界面活性剤(例えば、ポリソルベート80TM、HCO−50など)などと併用してもよい。油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油などがあげられ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどと併用してもよい。また、該化合物またはその塩を、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液など)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸化防止剤などと配合してもよい。調製された注射液は、通常、適当なアンプルに充填される。
このようにして得られる製剤は安全で低毒性であるので、例えば、ヒトまたは温血動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、トリ、ネコ、イヌ、サル、チンパンジーなど)に対して投与することができる。
本発明の受容体アゴニストの投与量は、投与対象、対象疾患、症状、投与ルートなどによっても異なるが、例えば、II型糖尿病の治療の目的で該アゴニストを経口投与する場合、一般的に成人(体重60kgとして)においては、一日につき該化合物を約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mg投与する。非経口的に投与する場合、該アゴニストの投与量は、投与対象、対象疾患、症状、投与ルートなどによっても異なるが、例えば、II型糖尿病の治療の目的で該アゴニストを注射剤の形で投与する場合、一般的に成人(体重60kgとして)においては、一日につき該化合物を約0.01〜30mg、好ましくは約0.1〜20mg、より好ましくは約0.1〜10mg静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、体重60kg当たりに換算した量を投与することができる。
一方、本発明の受容体アンタゴニストの投与量は、投与対象、対象疾患、症状、投与ルートなどによっても異なるが、例えば、大腸癌の治療の目的で該アンタゴニストを経口投与する場合、一般的に成人(体重60kgとして)においては、一日につき該化合物を約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mg投与する。非経口的に投与する場合、該アンタゴニストの投与量は、投与対象、対象疾患、症状、投与ルートなどによっても異なるが、例えば、大腸癌の治療の目的で該アンタゴニストを注射剤の形で投与する場合、一般的に成人(体重60kgとして)においては、一日につき該化合物を約0.01〜30mg、好ましくは約0.1〜20mg、より好ましくは約0.1〜10mg静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、体重60kg当たりに換算した量を投与することができる。
また、本発明の受容体と本発明のリガンドとの結合力を促進または阻害する化合物またはその塩の投与量は、投与対象、対象疾患、症状、投与ルートなどによっても異なるが、例えば、大腸癌の治療の目的で該化合物を経口投与する場合、一般的に成人(体重60kgとして)においては、一日につき該化合物を約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mg投与する。非経口的に投与する場合、該化合物の投与量は、投与対象、対象疾患、症状、投与ルートなどによっても異なるが、例えば、大腸癌の治療の目的で該化合物を注射剤の形で投与する場合、一般的に成人(体重60kgとして)においては、一日につき該化合物を約0.01〜30mg、好ましくは約0.1、〜20mg、より好ましくは約0.1〜10mg静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、体重60kg当たりに換算した量を投与することができる。
〔2〕本発明の受容体が関与する各種疾病の予防・治療剤
本発明の受容体は、前述したような活性を有する本発明のリガンドへの結合活性などを有する。従って本発明の受容体または本発明のポリヌクレオチド(例、DNA)に異常があったり、欠損している場合には、例えば、消化管疾患、癌、免疫疾患、糖尿病など、好ましくは消化管疾患〔例、吸収不良症候群、過敏性腸症候群、クローン病、消化性潰瘍(例、下痢、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、Zollinger−Ellison症候群など)、胃炎、逆流性食道炎、NUD(Non Ulcer Dyspepsia)、非ステロイド系抗炎症剤に起因する潰瘍、手術後ストレスによる胃酸過多および潰瘍など〕、II型糖尿病などとなる可能性が高い。従って、本発明の受容体または本発明のポリヌクレオチド(例、DNA)は、例えば、消化管疾患〔例、下痢、吸収不良症候群、過敏性腸症候群、クローン病、消化性潰瘍(例、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、Zollinger−Ellison症候群など)、胃炎、逆流性食道炎、NUD(Non Ulcer Dyspepsia)、非ステロイド系抗炎症剤に起因する潰瘍、手術後ストレスによる胃酸過多および潰瘍など〕、II型糖尿病などの予防・治療剤などの低毒性で安全な医薬として使用することができる。
本発明の受容体または本発明のポリヌクレチドは、例えば、生体内において本発明の受容体が減少あるいは欠損している患者がいる場合に、(i)本発明のポリヌクレオチドを該患者に投与し、生体内で本発明の受容体を発現させることによって、(ii)細胞に本発明のポリヌクレオチドを挿入し、本発明の受容体を発現させた後に、該細胞を患者に移植することによって、または(iii)本発明の受容体を該患者に投与することなどによって、該患者における本発明の受容体の役割を十分に、あるいは正常に発揮させることができる。
本発明のポリヌクレオチドを上記の予防・治療剤として使用する場合は、該ポリヌクレオチドを単独あるいはレトロウィルスベクター、アデノウィルスベクター、アデノウィルスアソシエーテッドウィルスベクターなどの適当なベクターに挿入した後、常套手段に従って、ヒトまたは温血動物に投与することができる。本発明のポリヌクレオチドは、そのままで、あるいは摂取促進のための補助剤などの生理学的に認められる担体とともに製剤化し、遺伝子銃やハイドロゲルカテーテルのようなカテーテルによって投与できる。
本発明の受容体を上記の予防・治療剤として使用する場合は、少なくとも90%、好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上、さらに好ましくは99%以上に精製されたものを使用するのが好ましい。
本発明の受容体は、例えば、必要に応じて糖衣を施した錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤などとして経口的に、または水もしくはそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、または懸濁液剤などの注射剤の形で非経口的に使用できる。例えば、本発明の受容体を生理学的に認められる担体、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、安定剤、結合剤などとともに一般に認められた製剤実施に要求される単位用量形態で混和することによって製造することができる。これら製剤における有効成分量は指示された範囲の適当な用量が得られるようにするものである。
錠剤、カプセル剤などに混和することができる添加剤としては、例えば、ゼラチン、コーンスターチ、トラガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチェリーのような香味剤などが用いられる。調剤単位形態がカプセルである場合には、前記タイプの材料にさらに油脂のような液状担体を含有することができる。注射のための無菌組成物は注射用水のようなベヒクル中の活性物質、胡麻油、椰子油などのような天然産出植物油などを溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施に従って処方することができる。
注射用の水性液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩化ナトリウムなど)などがあげられ、適当な溶解補助剤、例えば、アルコール(例えば、エタノールなど)、ポリアルコール(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、非イオン性界面活性剤(例えば、ポリソルベート80TM、HCO−50など)などと併用してもよい。油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油などがあげられ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどと併用してもよい。また、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液など)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸化防止剤などと配合してもよい。調製された注射液は、通常、適当なアンプルに充填される。
本発明のポリヌクレオチド(例、DNA)が挿入されたベクターも上記と同様に製剤化され、通常、非経口的に使用される。
このようにして得られる製剤は、安全で低毒性であるので、例えば、ヒトまたは温血動物(例えば、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、トリ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サル、など)に対して投与することができる。
本発明の受容体の投与量は、投与対象、対象疾患、症状、投与ルートなどによっても異なるが、例えば、II型糖尿病の治療の目的で該受容体を経口投与する場合、一般的に成人(体重60kgとして)においては、一日につき該受容体を約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mg投与する。非経口的に投与する場合、該受容体の投与量は、投与対象、対象疾患、症状、投与ルートなどによっても異なるが、例えば、II型糖尿病の治療の目的で該受容体を注射剤の形で投与する場合、一般的に成人(体重60kgとして)においては、一日につき該受容体を約0.01〜30mg、好ましくは約0.1〜20mg、より好ましくは約0.1〜10mg静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、体重60kg当たりに換算した量を投与することができる。
〔3〕本発明の受容体の定量
本発明の抗体は、本発明の受容体を特異的に認識することができるので、被検液中の本発明の受容体の定量、特にサンドイッチ免疫測定法による定量などに使用することができる。
すなわち、本発明は、
(i)本発明の抗体と、被検液および標識化された本発明の受容体とを競合的に反応させ、該抗体に結合した標識化された本発明の受容体の割合を測定することを特徴とする被検液中の本発明の受容体の定量法、および
(ii)被検液と担体上に不溶化した本発明の抗体および標識化された本発明の別の抗体とを同時あるいは連続的に反応させたのち、不溶化担体上の標識剤の活性を測定することを特徴とする被検液中の本発明の受容体の定量法を提供する。
上記(ii)の定量法においては、一方の抗体が本発明の受容体のN端部を認識する抗体で、他方の抗体が本発明の受容体のC端部に反応する抗体であることが望ましい。
また、本発明の受容体に対するモノクローナル抗体を用いて本発明の受容体の定量を行うことができるほか、組織染色等による検出を行なうこともできる。これらの目的には、抗体分子そのものを用いてもよく、また、抗体分子のF(ab’)、Fab’、あるいはFab画分を用いてもよい。
本発明の抗体を用いる本発明の受容体の定量法は、特に制限されるべきものではなく、被測定液中の抗原量(例えば、ポリペプチド量)に対応した抗体、抗原もしくは抗体−抗原複合体の量を化学的または物理的手段により検出し、これを既知量の抗原を含む標準液を用いて作製した標準曲線より算出する測定法であれば、いずれの測定法を用いてもよい。例えば、ネフロメトリー、競合法、イムノメトリック法およびサンドイッチ法が好適に用いられるが、感度、特異性の点で、後述するサンドイッチ法を用いるのが特に好ましい。
標識物質を用いる測定法に用いられる標識剤としては、例えば、放射性同位元素、酵素、蛍光物質、発光物質などが用いられる。放射性同位元素としては、例えば、〔125I〕、〔131I〕、〔H〕、〔14C〕などが用いられる。上記酵素としては、安定で比活性の大きなものが好ましく、例えば、β−ガラクトシダーゼ、β−グルコシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、パーオキシダーゼ、リンゴ酸脱水素酵素などが用いられる。蛍光物質としては、例えば、フルオレスカミン、フルオレッセンイソチオシアネートなどが用いられる。発光物質としては、例えば、ルミノール、ルミノール誘導体、ルシフェリン、ルシゲニンなどが用いられる。さらに、抗体あるいは抗原と標識剤との結合にビオチン−アビジン系を用いることもできる。
抗原あるいは抗体の不溶化に当っては、物理吸着を用いてもよく、また通常ポリペプチドあるいは酵素等を不溶化、固定化するのに用いられる化学結合を用いる方法でもよい。担体としては、アガロース、デキストラン、セルロースなどの不溶性多糖類、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、シリコン等の合成樹脂、あるいはガラス等があげられる。
サンドイッチ法においては不溶化した本発明のモノクローナル抗体に被検液を反応させ(1次反応)、さらに標識化した別の本発明のモノクローナル抗体を反応させ(2次反応)たのち、不溶化担体上の標識剤の活性を測定することにより被検液中の受容体量を定量することができる。1次反応と2次反応は逆の順序に行っても、また、同時に行なってもよいし時間をずらして行なってもよい。標識化剤および不溶化の方法は前記のそれらに準じることができる。また、サンドイッチ法による免疫測定法において、固相用抗体あるいは標識用抗体に用いられる抗体は必ずしも1種類である必要はなく、測定感度を向上させる等の目的で2種類以上の抗体の混合物を用いてもよい。
本発明のサンドイッチ法による本発明の受容体の測定法においては、1次反応と2次反応に用いられる本発明のモノクローナル抗体は、本発明の受容体の結合する部位が相異なる抗体が好ましく用いられる。すなわち、1次反応および2次反応に用いられる抗体は、例えば、2次反応で用いられる抗体が、本発明の受容体のC端部を認識する場合、1次反応で用いられる抗体は、好ましくはC端部以外、例えばN端部を認識する抗体が用いられる。
本発明のモノクローナル抗体をサンドイッチ法以外の測定システム、例えば、競合法、イムノメトリック法あるいはネフロメトリーなどに用いることができる。
競合法では、被検液中の抗原と標識抗原とを抗体に対して競合的に反応させたのち、未反応の標識抗原(F)と、抗体と結合した標識抗原(B)とを分離し(B/F分離)、B,Fいずれかの標識量を測定し、被検液中の抗原量を定量する。本反応法には、抗体として可溶性抗体を用い、B/F分離をポリエチレングリコール、前記抗体に対する第2抗体などを用いる液相法、および、第1抗体として固相化抗体を用いるか、あるいは、第1抗体は可溶性のものを用い第2抗体として固相化抗体を用いる固相化法とが用いられる。
イムノメトリック法では、被検液中の抗原と固相化抗原とを一定量の標識化抗体に対して競合反応させた後固相と液相を分離するか、あるいは、被検液中の抗原と過剰量の標識化抗体とを反応させ、次に固相化抗原を加え未反応の標識化抗体を固相に結合させたのち、固相と液相を分離する。次に、いずれかの相の標識量を測定し被検液中の抗原量を定量する。
また、ネフロメトリーでは、ゲル内あるいは溶液中で抗原抗体反応の結果生じた不溶性の沈降物の量を測定する。被検液中の抗原量が僅かであり、少量の沈降物しか得られない場合にもレーザーの散乱を利用するレーザーネフロメトリーなどが好適に用いられる。
これら個々の免疫学的測定法を本発明の定量方法に適用するにあたっては、特別の条件、操作等の設定は必要とされない。それぞれの方法における通常の条件、操作法に当業者の通常の技術的配慮を加えて本発明の受容体の測定系を構築すればよい。これらの一般的な技術手段の詳細については、総説、成書などを参照することができる。
例えば、入江 寛編「ラジオイムノアッセイ」(講談社、昭和49年発行)、入江 寛編「続ラジオイムノアッセイ」(講談社、昭和54年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(医学書院、昭和53年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第2版)(医学書院、昭和57年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第3版)(医学書院、昭和62年発行)、「Methods in ENZYMOLOGY」Vol.70(Immunochemical Techniques(Part A))、同書 Vol.73(Immunochemical Techniques(Part B))、同書 Vol.74(Immunochemical Techniques(Part C))、同書 Vol.84(Immunochemical Techniques(Part D:Selected Immunoassays))、同書 Vol.92(Immunochemical Techniques(Part E:Monoclonal Antibodies and General Immunoassay Methods))、同書 Vol.121(Immunochemical Techniques(Part I:Hybridoma Technology and Monoclonal Antibodies))(以上、アカデミックプレス社発行)などを参照することができる。
以上のようにして、本発明の抗体を用いることによって、本発明の受容体を感度良く定量することができる。
さらには、本発明の抗体を用いて本発明の受容体の濃度を定量することによって、本発明の受容体の濃度の増加が検出された場合、例えば、消化管疾患、癌、免疫疾患、糖尿病など、好ましくは消化器癌(例、胃癌、大腸癌、胃MALTリンパ腫など)、免疫疾患〔例、慢性閉塞性肺疾患、敗血症、粥状硬化症、AIDS、自己免疫性疾患(例、慢性関節リウマチ、多発性硬化症、重症筋無力症、インスリン依存型糖尿病(I型糖尿病)、炎症性腸疾患、全身性エリトマトーデス、糸球体腎炎、自己免疫性溶血性貧血、橋本病、潰瘍性大腸炎、原発性胆汁性肝硬変、特発性血小板減少性紫斑病、原田病、悪性貧血、シェーグレン症候群、グッドパスチュア症候群など)など〕、肥満などの疾病である、または将来罹患する可能性が高いと診断することができる。また、本発明の受容体の濃度の減少が検出された場合には、例えば、消化管疾患〔例、下痢、吸収不良症候群、過敏性腸症候群、クローン病、消化性潰瘍(例、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、Zollinger−Ellison症候群など)、胃炎、逆流性食道炎、NUD(Non Ulcer Dyspepsia)、非ステロイド系抗炎症剤に起因する潰瘍、手術後ストレスによる胃酸過多および潰瘍など〕、II型糖尿病などの疾病である、または将来罹患する可能性が高いと診断することができる。
また、本発明の抗体は、体液や組織などの被検体中に存在する本発明の受容体を検出するために使用することができる。また、本発明の受容体を精製するために使用する抗体カラムの作製、精製時の各分画中の本発明の受容体の検出、被検細胞内における本発明の受容体の挙動の分析などのために使用することができる。
〔4〕遺伝子診断薬
本発明のポリヌクレオチド(DNA)は、例えば、プローブとして使用することにより、ヒトや温血動物(例えば、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、トリ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サル、など)における本発明の受容体をコードするDNAまたはmRNAの異常(遺伝子異常)を検出することができるので、例えば、該DNAまたはmRNAの損傷、突然変異あるいは発現低下や、該DNAまたはmRNAの増加あるいは発現過多などの遺伝子診断薬として有用である。
本発明のDNAを用いる上記の遺伝子診断は、例えば、公知のノーザンハイブリダイゼーションやPCR−SSCP法(Genomics,第5巻,874〜879頁(1989年)、Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America,第86巻,2766〜2770頁(1989年))などにより実施することができる。
例えば、本発明の受容体の遺伝子の発現過多が検出された場合は、例えば、消化管疾患、癌、免疫疾患、糖尿病など、好ましくは消化器癌(例、胃癌、大腸癌、胃MALTリンパ腫など)、免疫疾患〔例、慢性閉塞性肺疾患、敗血症、粥状硬化症、AIDS、自己免疫性疾患(例、慢性関節リウマチ、多発性硬化症、重症筋無力症、インスリン依存型糖尿病(I型糖尿病)、炎症性腸疾患、全身性エリトマトーデス、糸球体腎炎、自己免疫性溶血性貧血、橋本病、潰瘍性大腸炎、原発性胆汁性肝硬変、特発性血小板減少性紫斑病、原田病、悪性貧血、シェーグレン症候群、グッドパスチュア症候群など)など〕、肥満などの疾病である、または将来罹患する可能性が高いと診断することができる。また、本発明の受容体の遺伝子の発現減少が検出された場合は、例えば、消化管疾患〔例、下痢、吸収不良症候群、過敏性腸症候群、クローン病、消化性潰瘍(例、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、Zollinger−Ellison症候群など)、胃炎、逆流性食道炎、NUD(Non Ulcer Dyspepsia)、非ステロイド系抗炎症剤に起因する潰瘍、手術後ストレスによる胃酸過多および潰瘍など〕、II型糖尿病などの疾病である、または将来罹患する可能性が高いと診断することができる。
〔5〕アンチセンスポリヌクレオチド(例、DNA)を含有する医薬
本発明のポリヌクレオチド(例、DNA)に相補的に結合し、該ポリヌクレオチド(例、DNA)の発現を抑制することができるアンチセンスポリヌクレオチド(例、アンチセンスDNA)は、例えば、消化管疾患、癌、免疫疾患、糖尿病などの予防・治療剤として、好ましくは消化器癌(例、胃癌、大腸癌、胃MALTリンパ腫など)、免疫疾患〔例、慢性閉塞性肺疾患、敗血症、粥状硬化症、AIDS、自己免疫性疾患(例、慢性関節リウマチ、多発性硬化症、重症筋無力症、インスリン依存型糖尿病(I型糖尿病)、炎症性腸疾患、全身性エリトマトーデス、糸球体腎炎、自己免疫性溶血性貧血、橋本病、潰瘍性大腸炎、原発性胆汁性肝硬変、特発性血小板減少性紫斑病、原田病、悪性貧血、シェーグレン症候群、グッドパスチュア症候群など)など〕、肥満などの予防・治療剤などの低毒性で安全な医薬として有用である。
例えば、上記アンチセンスDNAを用いる場合、該アンチセンスDNAを単独あるいはレトロウィルスベクター、アデノウィルスベクター、アデノウィルスアソシエーテッドウィルスベクターなどの適当なベクターに挿入した後、常套手段に従って実施することができる。該アンチセンスDNAは、そのままで、あるいは摂取促進のために補助剤などの生理学的に認められる担体とともに製剤化し、遺伝子銃やハイドロゲルカテーテルのようなカテーテルによって投与できる。
さらに、該アンチセンスDNAは、組織や細胞における本発明のDNAの存在やその発現状況を調べるための診断用オリゴヌクレオチドプローブとして使用することもできる。
上記アンチセンスポリヌクレオチドと同様に、本発明の受容体をコードするRNAの一部を含有する二重鎖RNA(本発明の受容体に対するsiRNA(small(short)interfering RNA)、shRNA(small(short)hairpin RNA)など)、本発明の受容体をコードするRNAの一部を含有するリボザイムなども、本発明のポリヌクレオチドの発現を抑制することができ、生体内における本発明の受容体または本発明のポリヌクレオチドの機能を抑制することができるので、例えば、消化管疾患、癌、免疫疾患、糖尿病などの予防・治療剤として、好ましくは消化器癌(例、胃癌、大腸癌、胃MALTリンパ腫など)、免疫疾患〔例、慢性閉塞性肺疾患、敗血症、粥状硬化症、AIDS、自己免疫性疾患(例、慢性関節リウマチ、多発性硬化症、重症筋無力症、インスリン依存型糖尿病(I型糖尿病)、炎症性腸疾患、全身性エリトマトーデス、糸球体腎炎、自己免疫性溶血性貧血、橋本病、潰瘍性大腸炎、原発性胆汁性肝硬変、特発性血小板減少性紫斑病、原田病、悪性貧血、シェーグレン症候群、グッドパスチュア症候群など)など〕、肥満などの予防・治療剤などの低毒性で安全な医薬として有用である。
二重鎖RNAは、公知の方法(例、Nature,411巻,494頁,2001年)に準じて、本発明のポリヌクレオチドの配列を基に設計して製造することができる。
リボザイムは、公知の方法(例、TRENDS in Molecular Medicine,7巻,221頁,2001年)に準じて、本発明のポリヌクレオチドの配列を基に設計して製造することができる。例えば、本発明の受容体をコードするRNAの一部に公知のリボザイムを連結することによって製造することができる。本発明の本発明の受容体をコードするRNAの一部としては、公知のリボザイムによって切断され得る本発明のRNA上の切断部位に近接した部分(RNA断片)が挙げられる。
上記の二重鎖RNAまたはリボザイムを上記予防・治療剤として使用する場合、アンチセンスポリヌクレオチドと同様にして製剤化し、投与することができる。
〔6〕本発明の抗体を含有する医薬
本発明の抗体は、例えば消化管疾患、癌、免疫疾患、糖尿病などの予防・治療剤として、好ましくは消化器癌(例、胃癌、大腸癌、胃MALTリンパ腫など)、免疫疾患〔例、慢性閉塞性肺疾患、敗血症、粥状硬化症、AIDS、自己免疫性疾患(例、慢性関節リウマチ、多発性硬化症、重症筋無力症、インスリン依存型糖尿病(I型糖尿病)、炎症性腸疾患、全身性エリトマトーデス、糸球体腎炎、自己免疫性溶血性貧血、橋本病、潰瘍性大腸炎、原発性胆汁性肝硬変、特発性血小板減少性紫斑病、原田病、悪性貧血、シェーグレン症候群、グッドパスチュア症候群など)など〕、肥満などの予防・治療剤などの低毒性で安全な医薬として有用である。
本発明の抗体を含有する上記医薬は、そのまま液剤として、または適当な剤型の医薬組成物として、ヒトや温血動物(例、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して経口的または非経口的に投与することができる。投与量は、投与対象、対象疾患、症状、投与ルートなどによっても異なるが、例えば、大腸癌患者の治療のために使用する場合には、本発明の抗体を1回量として、通常0.01〜20mg/kg体重程度、好ましくは0.1〜10mg/kg体重程度、さらに好ましくは0.1〜5mg/kg体重程度を、1日1〜5回程度、好ましくは1日1〜3回程度、静脈注射により投与するのが好都合である。他の非経口投与および経口投与の場合もこれに準ずる量を投与することができる。症状が特に重い場合には、その症状に応じて増量してもよい。
本発明の抗体は、それ自体または適当な医薬組成物として投与することができる。上記投与に用いられる医薬組成物は、上記またはその塩と薬理学的に許容され得る担体、希釈剤もしくは賦形剤とを含むものである。かかる組成物は、経口または非経口投与に適する剤形として提供される。
すなわち、例えば、経口投与のための組成物としては、固体または液体の剤形、具体的には錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠を含む)、丸剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤(ソフトカプセル剤を含む)、シロップ剤、乳剤、懸濁剤などがあげられる。かかる組成物は公知の方法によって製造され、製剤分野において通常用いられる担体、希釈剤もしくは賦形剤を含有するものである。例えば、錠剤用の担体、賦形剤としては、乳糖、でんぷん、蔗糖、ステアリン酸マグネシウムなどが用いられる。
非経口投与のための組成物としては、例えば、注射剤、坐剤などが用いられ、注射剤は静脈注射剤、皮下注射剤、皮内注射剤、筋肉注射剤、点滴注射剤などの剤形を包含する。かかる注射剤は、公知の方法に従って、例えば、上記抗体またはその塩を通常注射剤に用いられる無菌の水性もしくは油性液に溶解、懸濁または乳化することによって調製する。注射用の水性液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液などが用いられ、適当な溶解補助剤、例えば、アルコール(例、エタノール)、ポリアルコール(例、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン界面活性剤〔例、ポリソルベート80、HCO−50(polyoxyethylene(50mol)adduct of hydrogenated castor oil)〕などと併用してもよい。油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが用いられ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどを併用してもよい。調製された注射液は、通常、適当なアンプルに充填される。直腸投与に用いられる坐剤は、上記抗体またはその塩を通常の坐薬用基剤に混合することによって調製される。
上記の経口用または非経口用医薬組成物は、活性成分の投与量に適合するような投薬単位の剤形に調製されることが好都合である。かかる投薬単位の剤形としては、錠剤、丸剤、カプセル剤、注射剤(アンプル)、坐剤などが例示され、それぞれの投薬単位剤形当たり通常5〜500mg、とりわけ注射剤では5〜100mg、その他の剤形では10〜250mgの上記抗体が含有されていることが好ましい。
なお前記した各組成物は、上記抗体との配合により好ましくない相互作用を生じない限り他の活性成分を含有してもよい。
〔7〕DNA転移動物
本発明は、外来性の本発明の受容体をコードするDNA(以下、本発明の外来性DNAと略記する)またはその変異DNA(本発明の外来性変異DNAと略記する場合がある)を有する非ヒト哺乳動物を提供する。
すなわち、本発明は、
(1)本発明の外来性DNAまたはその変異DNAを有する非ヒト哺乳動物、
(2)非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である上記(1)記載の動物、
(3)ゲッ歯動物がマウスまたはラットである上記(2)記載の動物、および
(4)本発明の外来性DNAまたはその変異DNAを含有し、哺乳動物において発現しうる組換えベクターなどを提供する。
本発明の外来性DNAまたはその変異DNAを有する非ヒト哺乳動物(以下、本発明のDNA転移動物と略記する)は、未受精卵、受精卵、精子およびその始原細胞を含む胚芽細胞などに対して、好ましくは、非ヒト哺乳動物の発生における胚発生の段階(さらに好ましくは、単細胞または受精卵細胞の段階でかつ一般に8細胞期以前)に、リン酸カルシウム法、電気パルス法、リポフェクション法、凝集法、マイクロインジェクション法、パーティクルガン法、DEAE−デキストラン法などにより目的とするDNAを転移することによって作出することができる。また、該DNA転移方法により、体細胞、生体の臓器、組織細胞などに目的とする本発明の外来性DNAを転移し、細胞培養、組織培養などに利用することもでき、さらに、これら細胞を上述の胚芽細胞と公知の細胞融合法により融合させることにより本発明のDNA転移動物を作出することもできる。
非ヒト哺乳動物としては、例えば、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウサギ、イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、マウス、ラットなどが用いられる。なかでも、病体動物モデル系の作成の面から個体発生および生物サイクルが比較的短く、また、繁殖が容易なゲッ歯動物、とりわけマウス(例えば、純系として、C57BL/6系統,DBA2系統など、交雑系として、B6C3F系統,BDF系統,B6D2F系統,BALB/c系統,ICR系統など)またはラット(例えば、Wistar,SDなど)などが好ましい。
哺乳動物において発現しうる組換えベクターにおける「哺乳動物」としては、上記の非ヒト哺乳動物の他にヒトなどがあげられる。
本発明の外来性DNAとは、非ヒト哺乳動物が本来有している本発明のDNAではなく、いったん哺乳動物から単離・抽出された本発明のDNAをいう。
本発明の変異DNAとしては、元の本発明のDNAの塩基配列に変異(例えば、突然変異など)が生じたもの、具体的には、塩基の付加、欠損、他の塩基への置換などが生じたDNAなどが用いられ、また、異常DNAも含まれる。
該異常DNAとしては、異常な本発明の受容体を発現させるDNAを意味し、例えば、正常な本発明の受容体の機能を抑制するポリペプチドを発現させるDNAなどが用いられる。
本発明の外来性DNAは、対象とする動物と同種あるいは異種のどちらの哺乳動物由来のものであってもよい。本発明のDNAを対象動物に転移させるにあたっては、該DNAを動物細胞で発現させうるプロモーターの下流に結合したDNAコンストラクトとして用いるのが一般に有利である。例えば、本発明のヒトDNAを転移させる場合、これと相同性が高い本発明のDNAを有する各種哺乳動物(例えば、ウサギ、イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、ラット、マウスなど)由来のDNAを発現させうる各種プロモーターの下流に、本発明のヒトDNAを結合したDNAコンストラクト(例、ベクターなど)を対象哺乳動物の受精卵、例えば、マウス受精卵へマイクロインジェクションすることによって本発明のDNAを高発現するDNA転移哺乳動物を作出することができる。
本発明の受容体の発現ベクターとしては、大腸菌由来のプラスミド、枯草菌由来のプラスミド、酵母由来のプラスミド、λファージなどのバクテリオファージ、モロニー白血病ウィルスなどのレトロウィルス、ワクシニアウィルスまたはバキュロウィルスなどの動物ウィルスなどが用いられる。なかでも、大腸菌由来のプラスミド、枯草菌由来のプラスミドまたは酵母由来のプラスミドなどが好ましく用いられる。
上記のDNA発現調節を行なうプロモーターとしては、例えば、(i)ウィルス(例、シミアンウィルス、サイトメガロウィルス、モロニー白血病ウィルス、JCウィルス、乳癌ウィルス、ポリオウィルスなど)に由来するDNAのプロモーター、(ii)各種哺乳動物(ヒト、ウサギ、イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、ラット、マウスなど)由来のプロモーター、例えば、アルブミン、インスリンII、ウロプラキンII、エラスターゼ、エリスロポエチン、エンドセリン、筋クレアチンキナーゼ、グリア線維性酸性蛋白質、グルタチオンS−トランスフェラーゼ、血小板由来成長因子β、ケラチンK1,K10およびK14、コラーゲンI型およびII型、サイクリックAMP依存蛋白質キナーゼβIサブユニット、ジストロフィン、酒石酸抵抗性アルカリフォスファターゼ、心房ナトリウム利尿性因子、内皮レセプターチロシンキナーゼ(一般にTie2と略される)、ナトリウムカリウムアデノシン3リン酸化酵素(Na,K−ATPase)、ニューロフィラメント軽鎖、メタロチオネインIおよびIIA、メタロプロティナーゼ1組織インヒビター、MHCクラスI抗原(H−2L)、H−ras、レニン、ドーパミンβ−水酸化酵素、甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)、ポリペプチド鎖延長因子1α(EF−1α)、βアクチン、αおよびβミオシン重鎖、ミオシン軽鎖1および2、ミエリン基礎蛋白質、チログロブリン、Thy−1、免疫グロブリン、H鎖可変部(VNP)、血清アミロイドPコンポーネント、ミオグロビン、トロポニンC、平滑筋αアクチン、プレプロエンケファリンA、バソプレシンなどのプロモーターなどが用いられる。なかでも、全身で高発現することが可能なサイトメガロウィルスプロモーター、ヒトポリペプチド鎖延長因子1α(EF−1α)のプロモーター、ヒトおよびニワトリβアクチンプロモーターなどが好適である。
上記ベクターは、DNA転移哺乳動物において目的とするメッセンジャーRNAの転写を終結する配列(一般にターミネターと呼ばれる)を有していることが好ましく、例えば、ウィルス由来および各種哺乳動物由来の各DNAの配列を用いることができ、好ましくは、シミアンウィルスのSV40ターミネターなどが用いられる。
その他、目的とする外来性DNAをさらに高発現させる目的で各DNAのスプライシングシグナル、エンハンサー領域、真核DNAのイントロンの一部などをプロモーター領域の5’上流、プロモーター領域と翻訳領域間あるいは翻訳領域の3’下流に連結することも目的により可能である。
正常な本発明の受容体の翻訳領域は、ヒトまたは各種哺乳動物(例えば、ウサギ、イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、ラット、マウスなど)由来の肝臓、腎臓、甲状腺細胞、線維芽細胞由来DNAおよび市販の各種ゲノムDNAライブラリーよりゲノムDNAの全てあるいは一部として、または肝臓、腎臓、甲状腺細胞、線維芽細胞由来RNAより公知の方法により調製された相補DNAを原料として取得することが出来る。また、外来性の異常DNAは、上記の細胞または組織より得られた正常なポリペプチドの翻訳領域を点突然変異誘発法により変異した翻訳領域を作製することができる。
該翻訳領域は転移動物において発現しうるDNAコンストラクトとして、前記のプロモーターの下流および所望により転写終結部位の上流に連結させる通常のDNA工学的手法により作製することができる。
受精卵細胞段階における本発明の外来性DNAの転移は、対象哺乳動物の胚芽細胞および体細胞のすべてに存在するように確保される。DNA転移後の作出動物の胚芽細胞において、本発明の外来性DNAが存在することは、作出動物の後代がすべて、その胚芽細胞および体細胞のすべてに本発明の外来性DNAを保持することを意味する。本発明の外来性DNAを受け継いだこの種の動物の子孫はその胚芽細胞および体細胞のすべてに本発明の外来性DNAを有する。
本発明の外来性正常DNAを転移させた非ヒト哺乳動物は、交配により外来性DNAを安定に保持することを確認して、該DNA保有動物として通常の飼育環境で継代飼育することが出来る。
受精卵細胞段階における本発明の外来性DNAの転移は、対象哺乳動物の胚芽細胞および体細胞の全てに過剰に存在するように確保される。DNA転移後の作出動物の胚芽細胞において本発明の外来性DNAが過剰に存在することは、作出動物の子孫が全てその胚芽細胞および体細胞の全てに本発明の外来性DNAを過剰に有することを意味する。本発明の外来性DNAを受け継いだこの種の動物の子孫はその胚芽細胞および体細胞の全てに本発明の外来性DNAを過剰に有する。
導入DNAを相同染色体の両方に持つホモザイゴート動物を取得し、この雌雄の動物を交配することによりすべての子孫が該DNAを過剰に有するように繁殖継代することができる。
本発明の正常DNAを有する非ヒト哺乳動物は、本発明の正常DNAが高発現させられており、内在性の正常DNAの機能を促進することにより最終的に本発明の受容体の機能亢進症を発症することがあり、その病態モデル動物として利用することができる。例えば、本発明の正常DNA転移動物を用いて、本発明の受容体の機能亢進症や、本発明の受容体が関連する疾患の病態機序の解明およびこれらの疾患の治療方法の検討を行なうことが可能である。
また、本発明の外来性正常DNAを転移させた哺乳動物は、遊離した本発明の受容体の増加症状を有することから、本発明の受容体に関連する疾患〔例、消化管疾患〔例、下痢、吸収不良症候群、過敏性腸症候群、クローン病、消化性潰瘍(例、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、Zollinger−Ellison症候群など)、胃炎、逆流性食道炎、NUD(Non Ulcer Dyspepsia)、非ステロイド系抗炎症剤に起因する潰瘍、手術後ストレスによる胃酸過多および潰瘍など〕、癌(例、消化器癌(例、胃癌、大腸癌、胃MALTリンパ腫など)、乳癌、肺癌、前立腺癌、食道癌、咽頭癌、肝臓癌、胆道癌、脾臓癌、腎癌、膀胱癌、子宮癌、精巣癌、甲状腺癌、膵臓癌、脳腫瘍、卵巣癌、血液腫瘍など)、免疫疾患〔例、敗血症、粥状硬化症、AIDS、自己免疫性疾患(例、慢性閉塞性肺疾患、慢性関節リウマチ、多発性硬化症、重症筋無力症、インスリン依存型糖尿病(I型糖尿病)、炎症性腸疾患、全身性エリトマトーデス、糸球体腎炎、自己免疫性溶血性貧血、橋本病、潰瘍性大腸炎、原発性胆汁性肝硬変、特発性血小板減少性紫斑病、原田病、悪性貧血、シェーグレン症候群、グッドパスチュア症候群など)など〕、II型糖尿病、肥満など〕に対する予防・治療剤のスクリーニング試験にも利用可能である。
一方、本発明の外来性異常DNAを有する非ヒト哺乳動物は、交配により外来性DNAを安定に保持することを確認して該DNA保有動物として通常の飼育環境で継代飼育することが出来る。さらに、目的とする外来DNAを前述のプラスミドに組み込んで原科として用いることができる。プロモーターとのDNAコンストラクトは、通常のDNA工学的手法によって作製することができる。受精卵細胞段階における本発明の異常DNAの転移は、対象哺乳動物の胚芽細胞および体細胞の全てに存在するように確保される。DNA転移後の作出動物の胚芽細胞において本発明の異常DNAが存在することは、作出動物の子孫が全てその胚芽細胞および体細胞の全てに本発明の異常DNAを有することを意味する。本発明の外来性DNAを受け継いだこの種の動物の子孫は、その胚芽細胞および体細胞の全てに本発明の異常DNAを有する。導入DNAを相同染色体の両方に持つホモザイゴート動物を取得し、この雌雄の動物を交配することによりすべての子孫が該DNAを有するように繁殖継代することができる。
本発明の異常DNAを有する非ヒト哺乳動物は、本発明の異常DNAが高発現させられており、内在性の正常DNAの機能を阻害することにより最終的に本発明の受容体の機能不活性型不応症となることがあり、その病態モデル動物として利用することができる。例えば、本発明の異常DNA転移動物を用いて、本発明の受容体の機能不活性型不応症の病態機序の解明およびこの疾患を治療方法の検討を行なうことが可能である。
また、具体的な利用可能性としては、本発明の異常DNA高発現動物は、本発明の受容体の機能不活性型不応症における本発明の異常ポリペプチドまたは本発明の異常受容体による正常ポリペプチドまたは受容体の機能阻害(dominant negative作用)を解明するモデルとなる。
また、本発明の外来異常DNAを転移させた哺乳動物は、遊離した本発明の受容体の増加症状を有することから、本発明の受容体の機能不活性型不応症に対する治療薬スクリーニング試験にも利用可能である。
また、上記2種類の本発明のDNA転移動物のその他の利用可能性として、例えば、
(i)組織培養のための細胞源としての使用、
(ii)本発明のDNA転移動物の組織中のDNAもしくはRNAを直接分析するか、またはDNAにより発現されたポリペプチドまたは受容体組織を分析することによる、本発明の受容体により特異的に発現あるいは活性化するポリペプチドまたは受容体との関連性についての解析、
(iii)DNAを有する組織の細胞を標準組織培養技術により培養し、これらを使用して、一般に培養困難な組織からの細胞の機能の研究、
(iv)上記(iii)記載の細胞を用いることによる細胞の機能を高めるような薬剤のスクリーニング、および
(v)本発明の変異ポリペプチドまたは受容体を単離精製およびその抗体作製などが考えられる。
さらに、本発明のDNA転移動物を用いて、本発明の受容体の機能不活性型不応症などを含む、本発明の受容体に関連する疾患〔例、消化管疾患〔例、下痢、吸収不良症候群、過敏性腸症候群、クローン病、消化性潰瘍(例、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、Zollinger−Ellison症候群など)、胃炎、逆流性食道炎、NUD(Non Ulcer Dyspepsia)、非ステロイド系抗炎症剤に起因する潰瘍、手術後ストレスによる胃酸過多および潰瘍など〕、癌(例、消化器癌(例、胃癌、大腸癌、胃MALTリンパ腫など)、乳癌、肺癌、前立腺癌、食道癌、咽頭癌、肝臓癌、胆道癌、脾臓癌、腎癌、膀胱癌、子宮癌、精巣癌、甲状腺癌、膵臓癌、脳腫瘍、卵巣癌、血液腫瘍など)、免疫疾患〔例、慢性閉塞性肺疾患、敗血症、粥状硬化症、AIDS、自己免疫性疾患(例、慢性関節リウマチ、多発性硬化症、重症筋無力症、インスリン依存型糖尿病(I型糖尿病)、炎症性腸疾患、全身性エリトマトーデス、糸球体腎炎、自己免疫性溶血性貧血、橋本病、潰瘍性大腸炎、原発性胆汁性肝硬変、特発性血小板減少性紫斑病、原田病、悪性貧血、シェーグレン症候群、グッドパスチュア症候群など)など〕、II型糖尿病、肥満など〕の臨床症状を調べることができ、また、本発明の受容体に関連する疾患モデルの各臓器におけるより詳細な病理学的所見が得られ、新しい治療方法の開発、さらには、該疾患による二次的疾患の研究および治療に貢献することができる。
また、本発明のDNA転移動物から各臓器を取り出し、細切後、トリプシンなどの蛋白質分解酵素により、遊離したDNA転移細胞の取得、その培養またはその培養細胞の系統化を行なうことが可能である。さらに、本発明の受容体産生細胞の特定化、アポトーシス、分化あるいは増殖との関連性、またはそれらにおけるシグナル伝達機構を調べ、それらの異常を調べることなどができ、本発明の受容体およびその作用解明のための有効な研究材料となる。
さらに、本発明のDNA転移動物を用いて、本発明の受容体の機能不括性型不応症を含む、本発明の受容体に関連する疾患の治療薬の開発を行なうために、上述の検査法および定量法などを用いて、有効で迅速な該疾患治療薬のスクリーニング法を提供することが可能となる。また、本発明のDNA転移動物または本発明の外来性DNA発現ベクターを用いて、本発明の受容体が関連する疾患のDNA治療法を検討、開発することが可能である。
〔8〕ノックアウト動物
本発明は、本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞および本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物を提供する。
すなわち、本発明は、
(1)本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞、
(2)該DNAがレポーター遺伝子(例、大腸菌由来のβ−ガラクトシダーゼ遺伝子)を導入することにより不活性化された上記(1)記載の胚幹細胞、
(3)ネオマイシン耐性である上記(1)記載の胚幹細胞、
(4)非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である上記(1)記載の胚幹細胞、
(5)ゲッ歯動物がマウスである上記(4)記載の胚幹細胞、
(6)本発明のDNAが不活性化された該DNA発現不全非ヒト哺乳動物、
(7)該DNAがレポーター遺伝子(例、大腸菌由来のβ−ガラクトシダーゼ遺伝子)を導入することにより不活性化され、該レポーター遺伝子が本発明のDNAに対するプロモーターの制御下で発現しうる上記(6)記載の非ヒト哺乳動物、
(8)非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である上記(6)記載の非ヒト哺乳動物、
(9)ゲッ歯動物がマウスである上記(8)記載の非ヒト哺乳動物、および
(10)上記(7)記載の動物に、試験化合物を投与し、レポーター遺伝子の発現を検出することを特徴とする本発明のDNAに対するプロモーター活性を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。
本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞とは、該非ヒト哺乳動物が有する本発明のDNAに人為的に変異を加えることにより、DNAの発現能を抑制するか、あるいは該DNAがコードしている本発明の受容体の活性を実質的に喪失させることにより、DNAが実質的に本発明の受容体の発現能を有さない(以下、本発明のノックアウトDNAと称することがある)非ヒト哺乳動物の胚幹細胞(以下、ES細胞と略記する)をいう。
非ヒト哺乳動物としては、前記と同様のものが用いられる。
本発明のDNAに人為的に変異を加える方法としては、例えば、遺伝子工学的手法により該DNA配列の一部又は全部の削除、他DNAを挿入または置換させることによって行なうことができる。これらの変異により、例えば、コドンの読み取り枠をずらしたり、プロモーターあるいはエキソンの機能を破壊することにより本発明のノックアウトDNAを作製すればよい。
本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞(以下、本発明のDNA不活性化ES細胞または本発明のノックアウトES細胞と略記する)の具体例としては、例えば、目的とする非ヒト哺乳動物が有する本発明のDNAを単離し、そのエキソン部分にネオマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子を代表とする薬剤耐性遺伝子、あるいはlacZ(β−ガラクトシダーゼ遺伝子)、cat(クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子)を代表とするレポーター遺伝子等を挿入することによりエキソンの機能を破壊するか、あるいはエキソン間のイントロン部分に遺伝子の転写を終結させるDNA配列(例えば、polyA付加シグナルなど)を挿入し、完全なメッセンジャーRNAを合成できなくすることによって、結果的に遺伝子を破壊するように構築したDNA配列を有するDNA鎖(以下、ターゲッティングベクターと略記する)を、例えば相同組換え法により該動物の染色体に導入し、得られたES細胞について本発明のDNA上あるいはその近傍のDNA配列をプローブとしたサザンハイブリダイゼーション解析あるいはターゲッティングベクター上のDNA配列とターゲッティングベクター作製に使用した本発明のDNA以外の近傍領域のDNA配列をプライマーとしたPCR法により解析し、本発明のノックアウトES細胞を選別することにより得ることができる。
また、相同組換え法等により本発明のDNAを不活化させる元のES細胞としては、例えば、前述のような既に樹立されたものを用いてもよく、また公知EvansとKaufmaの方法に準じて新しく樹立したものでもよい。例えば、マウスのES細胞の場合、現在、一般的には129系のES細胞が使用されているが、免疫学的背景がはっきりしていないので、これに代わる純系で免疫学的に遺伝的背景が明らかなES細胞を取得するなどの目的で例えば、C57BL/6マウスやC57BL/6の採卵数の少なさをDBA/2との交雑により改善したBDFマウス(C57BL/6とDBA/2とのF)を用いて樹立したものなども良好に用いうる。BDFマウスは、採卵数が多く、かつ、卵が丈夫であるという利点に加えて、C57BL/6マウスを背景に持つので、これを用いて得られたES細胞は病態モデルマウスを作出したとき、C57BL/6マウスとバッククロスすることでその遺伝的背景をC57BL/6マウスに代えることが可能である点で有利に用い得る。
また、ES細胞を樹立する場合、一般には受精後3.5日目の胚盤胞を使用するが、これ以外に8細胞期胚を採卵し胚盤胞まで培養して用いることにより効率よく多数の初期胚を取得することができる。
また、雌雄いずれのES細胞を用いてもよいが、通常雄のES細胞の方が生殖系列キメラを作出するのに都合が良い。また、煩雑な培養の手間を削減するためにもできるだけ早く雌雄の判別を行なうことが望ましい。
ES細胞の雌雄の判定方法としては、例えば、PCR法によりY染色体上の性決定領域の遺伝子を増幅、検出する方法が、その1例としてあげることができる。この方法を使用すれば、従来、核型分析をするのに約10個の細胞数を要していたのに対して、1コロニー程度のES細胞数(約50個)で済むので、培養初期におけるES細胞の第一次セレクションを雌雄の判別で行なうことが可能であり、早期に雄細胞の選定を可能にしたことにより培養初期の手間は大幅に削減できる。
また、第二次セレクションとしては、例えば、G−バンディング法による染色体数の確認等により行うことができる。得られるES細胞の染色体数は正常数の100%が望ましいが、樹立の際の物理的操作等の関係上困難な場合は、ES細胞の遺伝子をノックアウトした後、正常細胞(例えば、マウスでは染色体数が2n=40である細胞)に再びクローニングすることが望ましい。
このようにして得られた胚幹細胞株は、通常その増殖性は大変良いが、個体発生できる能力を失いやすいので、注意深く継代培養することが必要である。例えば、STO繊維芽細胞のような適当なフィーダー細胞上でLIF(1〜10000U/ml)存在下に炭酸ガス培養器内(好ましくは、5%炭酸ガス、95%空気または5%酸素、5%炭酸ガス、90%空気)で約37℃で培養するなどの方法で培養し、継代時には、例えば、トリプシン/EDTA溶液(通常0.001〜0.5%トリプシン/0.1〜5mM EDTA、好ましくは約0.1%トリプシン/1mM EDTA)処理により単細胞化し、新たに用意したフィーダー細胞上に播種する方法などがとられる。このような継代は、通常1〜3日毎に行なうが、この際に細胞の観察を行い、形態的に異常な細胞が見受けられた場合はその培養細胞は放棄することが望まれる。
ES細胞は、適当な条件により、高密度に至るまで単層培養するか、または細胞集塊を形成するまで浮遊培養することにより、頭頂筋、内臓筋、心筋などの種々のタイプの細胞に分化させることが可能であり〔M.J.Evans及びM.H.Kaufman,Nature 第292巻、154頁、1981年;G.R.Martin Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.第78巻、7634頁、1981年;T.C.Doetschmanら、ジャーナル・オブ・エンブリオロジー・アンド・エクスペリメンタル・モルフォロジー、第87巻、27頁、1985年〕、本発明のES細胞を分化させて得られる本発明のDNA発現不全細胞は、インビトロにおける本発明の受容体の細胞生物学的検討において有用である。
本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物は、該動物のmRNA量を公知方法を用いて測定して間接的にその発現量を比較することにより、正常動物と区別することが可能である。
該非ヒト哺乳動物としては、前記と同様のものが用いられる。
本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物は、例えば、前述のようにして作製したターゲッティングベクターをマウス胚幹細胞またはマウス卵細胞に導入し、導入によりターゲッティングベクターの本発明のDNAが不活性化されたDNA配列が遺伝子相同組換えにより、マウス胚幹細胞またはマウス卵細胞の染色体上の本発明のDNAと入れ換わる相同組換えをさせることにより、本発明のDNAをノックアウトさせることができる。
本発明のDNAがノックアウトされた細胞は、本発明のDNA上またはその近傍のDNA配列をプローブとしたサザンハイブリダイゼーション解析またはターゲッティングベクター上のDNA配列と、ターゲッティングベクターに使用したマウス由来の本発明のDNA以外の近傍領域のDNA配列とをプライマーとしたPCR法による解析で判定することができる。非ヒト哺乳動物胚幹細胞を用いた場合は、遺伝子相同組換えにより、本発明のDNAが不活性化された細胞株をクローニングし、その細胞を適当な時期、例えば、8細胞期の非ヒト哺乳動物胚または胚盤胞に注入し、作製したキメラ胚を偽妊娠させた該非ヒト哺乳動物の子宮に移植する。作出された動物は正常な本発明のDNA座をもつ細胞と人為的に変異した本発明のDNA座をもつ細胞との両者から構成されるキメラ動物である。
該キメラ動物の生殖細胞の一部が変異した本発明のDNA座をもつ場合、このようなキメラ個体と正常個体を交配することにより得られた個体群より、全ての組織が人為的に変異を加えた本発明のDNA座をもつ細胞で構成された個体を、例えば、コートカラーの判定等により選別することにより得られる。このようにして得られた個体は、通常、本発明の受容体のヘテロ発現不全個体であり、本発明の受容体のヘテロ発現不全個体同志を交配し、それらの産仔から本発明の受容体のホモ発現不全個体を得ることができる。
卵細胞を使用する場合は、例えば、卵細胞核内にマイクロインジェクション法でDNA溶液を注入することによりターゲッティングベクターを染色体内に導入したトランスジェニック非ヒト哺乳動物を得ることができ、これらのトランスジェニック非ヒト哺乳動物に比べて、遺伝子相同組換えにより本発明のDNA座に変異のあるものを選択することにより得られる。
このようにして本発明のDNAがノックアウトされている個体は、交配により得られた動物個体も該DNAがノックアウトされていることを確認して通常の飼育環境で飼育継代を行なうことができる。
さらに、生殖系列の取得および保持についても常法に従えばよい。すなわち、該不活化DNAの保有する雌雄の動物を交配することにより、該不活化DNAを相同染色体の両方に持つホモザイゴート動物を取得しうる。得られたホモザイゴート動物は、母親動物に対して、正常個体1,ホモザイゴート複数になるような状態で飼育することにより効率的に得ることができる。ヘテロザイゴート動物の雌雄を交配することにより、該不活化DNAを有するホモザイゴートおよびヘテロザイゴート動物を繁殖継代する。
本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞は、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物を作出する上で、非常に有用である。
また、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物は、本発明の受容体により誘導され得る種々の生物活性を欠失するため、本発明の受容体の生物活性の不活性化を原因とする疾病のモデルとなり得るので、これらの疾病の原因究明及び治療法の検討に有用である。
〔8a〕本発明のDNAに対するプロモーターの活性を促進または阻害する化合物のスクリーニング方法
本発明は、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物に、試験化合物を投与し、レポーター遺伝子の発現を検出することを特徴とする本発明のDNAに対するプロモーターの活性を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。
上記スクリーニング方法において、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物としては、前記した本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物の中でも、本発明のDNAがレポーター遺伝子を導入することにより不活性化され、該レポーター遺伝子が本発明のDNAに対するプロモーターの制御下で発現しうるものが用いられる。
試験化合物としては、前記と同様のものがあげられる。該試験化合物は塩を形成していてもよく、該試験化合物の塩としては、前記と同様の物が用いられる。
レポーター遺伝子としては、前記と同様のものが用いられ、β−ガラクトシダーゼ遺伝子(lacZ)、可溶性アルカリフォスファターゼ遺伝子またはルシフェラーゼ遺伝子などが好適である。
本発明のDNAをレポーター遺伝子で置換された本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物では、レポーター遺伝子が本発明のDNAに対するプロモーターの支配下に存在するので、レポーター遺伝子がコードする物質の発現をトレースすることにより、プロモーターの活性を検出することができる。
例えば、本発明の受容体をコードするDNA領域の一部を大腸菌由来のβ−ガラクトシダーゼ遺伝子(lacZ)で置換している場合、本来、本発明の受容体の発現する組織で、本発明の受容体の代わりにβ−ガラクトシダーゼが発現する。従って、例えば、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−ガラクトピラノシド(X−gal)のようなβ−ガラクトシダーゼの基質となる試薬を用いて染色することにより、簡便に本発明の受容体の動物生体内における発現状態を観察することができる。具体的には、本発明の受容体欠損マウスまたはその組織切片をグルタルアルデヒドなどで固定し、リン酸緩衝生理食塩液(PBS)で洗浄後、X−galを含む染色液で、室温または37℃付近で、約30分ないし1時間反応させた後、組織標本を1mM EDTA/PBS溶液で洗浄することによって、β−ガラクトシダーゼ反応を停止させ、呈色を観察すればよい。また、常法に従い、lacZをコードするmRNAを検出してもよい。
上記スクリーニング方法を用いて得られる化合物またはその塩は、上記した試験化合物から選ばれた化合物であり、本発明のDNAに対するプロモーター活性を促進または阻害する化合物である。
該スクリーニング方法で得られた化合物は塩を形成していてもよく、該化合物の塩としては、前記した試験化合物の塩と同様のものが用いられる。
本発明のDNAに対するプロモーター活性を促進する化合物またはその塩は、本発明の受容体の発現を促進し、本発明の受容体の活性または機能を促進することができるので、例えば、消化管疾患〔例、下痢、吸収不良症候群、過敏性腸症候群、クローン病、消化性潰瘍(例、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、Zollinger−Ellison症候群など)、胃炎、逆流性食道炎、NUD(Non Ulcer Dyspepsia)、非ステロイド系抗炎症剤に起因する潰瘍、手術後ストレスによる胃酸過多および潰瘍など〕、II型糖尿病などの予防・治療剤などの低毒性で安全な医薬として有用である。
また、本発明のDNAに対するプロモーター活性を阻害する化合物またはその塩は、本発明の受容体の発現を阻害し、本発明の受容体の活性または機能を阻害することができるので、例えば、消化器癌(例、胃癌、大腸癌、胃MALTリンパ腫など)、免疫疾患〔例、慢性閉塞性肺疾患、敗血症、粥状硬化症、AIDS、自己免疫性疾患(例、慢性関節リウマチ、多発性硬化症、重症筋無力症、インスリン依存型糖尿病(I型糖尿病)、炎症性腸疾患、全身性エリトマトーデス、糸球体腎炎、自己免疫性溶血性貧血、橋本病、潰瘍性大腸炎、原発性胆汁性肝硬変、特発性血小板減少性紫斑病、原田病、悪性貧血、シェーグレン症候群、グッドパスチュア症候群など)など〕、肥満などの予防・治療剤などの低毒性で安全な医薬として有用である。
さらに、上記スクリーニングで得られた化合物から誘導される化合物も同様に用いることができる。
該スクリーニング方法で得られた化合物またはその塩を含有する医薬は、前記した本発明のスクリーニング方法で得られる化合物またはその塩を含有する医薬と同様にして製造することができる。
このようにして得られる製剤は、安全で低毒性であるので、例えば、ヒトまたは哺乳動物(例えば、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して投与することができる。
本発明のDNAに対するプロモーター活性を促進する化合物化合物またはその塩の投与量は、投与対象、対象疾患、症状、投与ルートなどによっても異なるが、例えば、吸収不良症候群の治療の目的で該化合物を経口投与する場合、一般的に成人(体重60kgとして)においては、一日につき該化合物を約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mg投与する。非経口的に投与する場合、該化合物の投与量は、投与対象、対象疾患、症状、投与ルートなどによっても異なるが、例えば、吸収不良症候群の治療の目的で該化合物を注射剤の形で投与する場合、通常成人(体重60kgとして)においては、一日につき該化合物を約0.01〜30mg、好ましくは約0.1〜20mg、より好ましくは約0.1〜10mg静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、体重60kg当たりに換算した量を投与することができる。
一方、例えば、本発明のDNAに対するプロモーター活性を阻害する化合物の投与量は、投与対象、対象疾患、症状、投与ルートなどによっても異なるが、例えば、大腸癌の治療の目的で該化合物を経口投与する場合、一般的に成人(体重60kgとして)においては、一日につき該化合物を約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mg投与する。非経口的に投与する場合、該化合物の投与量は、投与対象、対象疾患、症状、投与ルートなどによっても異なるが、例えば、大腸癌の治療の目的で該化合物を注射剤の形で投与する場合、通常成人(体重60kgとして)においては、一日につき該化合物を約0.01〜30mg、好ましくは約0.1〜20mg、より好ましくは約0.1〜10mg静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、体重60kg当たりに換算した量を投与することができる。
このように、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物は、本発明のDNAに対するプロモーターの活性を促進または阻害する化合物またはその塩をスクリーニングする上で極めて有用であり、本発明のDNA発現不全に起因する各種疾患の原因究明または予防・治療薬の開発に大きく貢献することができる。
また、本発明の受容体のプロモーター領域を含有するDNAを使って、その下流に種々の蛋白質をコードする遺伝子を連結し、これを動物の卵細胞に注入していわゆるトランスジェニック動物(遺伝子移入動物)を作成すれば、特異的にそのポリペプチドを合成させ、その生体での作用を検討することも可能となる。さらに上記プロモーター部分に適当なレポーター遺伝子を結合させ、これが発現するような細胞株を樹立すれば、本発明の受容体そのものの体内での産生能力を特異的に促進または阻害(抑制)する作用を持つ低分子化合物の探索系として使用できる。
本明細書および図面において、塩基やアミノ酸などを略号で表示する場合、IUPAC−IUB Commissionon Biochemical Nomenclatureによる略号あるいは当該分野における慣用略号に基づくものであり、その例を下記する。またアミノ酸に関し光学異性体があり得る場合は、特に明示しなければL体を示すものとする。
DNA :デオキシリボ核酸
cDNA :相補的デオキシリボ核酸
A :アデニン
T :チミン
G :グアニン
C :シトシン
I :イノシン
R :アデニン(A)またはグアニン(G)
Y :チミン(T)またはシトシン(C)
M :アデニン(A)またはシトシン(C)
K :グアニン(G)またはチミン(T)
S :グアニン(G)またはシトシン(C)
W :アデニン(A)またはチミン(T)
B :グアニン(G)、グアニン(G)またはチミン(T)
D :アデニン(A)、グアニン(G)またはチミン(T)
V :アデニン(A)、グアニン(G)またはシトシン(C)
N :アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)もしく
はチミン(T)または不明もしくは他の塩基
RNA :リボ核酸
mRNA :メッセンジャーリボ核酸
dATP :デオキシアデノシン三リン酸
dTTP :デオキシチミジン三リン酸
dGTP :デオキシグアノシン三リン酸
dCTP :デオキシシチジン三リン酸
ATP :アデノシン三リン酸
EDTA :エチレンジアミン四酢酸
SDS :ドデシル硫酸ナトリウム
BHA :ベンズヒドリルアミン
pMBHA :p−メチルベンズヒドリルアミン
Tos :p−トルエンスルフォニル
Bzl :ベンジル
Bom :ベンジルオキシメチル
Boc :t−ブチルオキシカルボニル
DCM :ジクロロメタン
HOBt :1−ヒドロキシベンズトリアゾール
DCC :N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド
TFA :トリフルオロ酢酸
DIEA :ジイソプロピルエチルアミン
Gly又はG:グリシン
Ala又はA:アラニン
Val又はV:バリン
Leu又はL:ロイシン
Ile又はI:イソロイシン
Ser又はS:セリン
Thr又はT:スレオニン
Cys又はC:システイン
Met又はM:メチオニン
Glu又はE:グルタミン酸
Asp又はD:アスパラギン酸
Lys又はK:リジン
Arg又はR:アルギニン
His又はH:ヒスチジン
Phe又はF:フェニルアラニン
Tyr又はY:チロシン
Trp又はW:トリプトファン
Pro又はP:プロリン
Asn又はN:アスパラギン
Gln又はQ:グルタミン
pGlu :ピログルタミン酸
Tyr(I):3−ヨードチロシン
DMF :N,N−ジメチルホルムアミド
Fmoc :N−9−フルオレニルメトキシカルボニル
Trt :トリチル
Pbf :2,2,4,6,7−ペンタメチルジヒドロベンゾ
フラン−5−スルホニル
Clt :2−クロロトリチル
Bu :t−ブチル
Met(O):メチオニンスルフォキシド
本願明細書の配列表の配列番号は、以下の配列を示す。
〔配列番号:1〕
ヒトGPR35のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:2〕
配列番号:1で示されるアミノ酸配列を有するヒトGPR35をコードするcDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:3〕
参考例1で用いられたセンス鎖プライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号:4〕
参考例1で用いられたアンチセンス鎖プライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号:5〕
実施例5で用いられたプライマー1の塩基配列を示す。
〔配列番号:6〕
実施例5で用いられたプライマー2の塩基配列を示す。
〔配列番号:7〕
マウスGPR35のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:8〕
配列番号:7で示されるアミノ酸配列を有するマウスGPR35をコードするcDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:9〕
実施例6で用いられたプライマー1の塩基配列を示す。
〔配列番号:10〕
実施例6で用いられたプライマー2の塩基配列を示す。
〔配列番号:11〕
実施例6で用いられたプローブ1の塩基配列を示す。〔5’末端にリポーター色素としてFAM(6−carboxy−fluorescein)を、3’末端にはクエンチャーとしてTAMRA(6−carboxy−tetramethyl−rhodamine)を標識した〕。
〔配列番号:12〕
実施例6で用いられたプライマー3の塩基配列を示す。
〔配列番号:13〕
実施例6で用いられたプライマー4の塩基配列を示す。
〔配列番号:14〕
実施例6で用いられたプローブ2の塩基配列を示す。〔5’末端にリポーター色素としてFAM(6−carboxy−fluorescein)を、3’末端にはクエンチャーとしてTAMRA(6−carboxy−tetramethyl−rhodamine)を標識した〕。
〔配列番号:15〕
実施例7で用いられたプライマー1の塩基配列を示す。
〔配列番号:16〕
実施例7で用いられたプライマー2の塩基配列を示す。
〔配列番号:17〕
実施例7で用いられたプライマー3の塩基配列を示す。
〔配列番号:18〕
実施例7で用いられたプライマー4の塩基配列を示す。
〔配列番号:19〕
ヒトGPR35−L1のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:20〕
配列番号:19で示されるアミノ酸配列を有するヒトGPR35−L1をコードするcDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:21〕
ヒトGPR35−L2のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:22〕
配列番号:21で示されるアミノ酸配列を有するヒトGPR35−L2をコードするcDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:23〕
ヒトGPR35−L3のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:24〕
配列番号:23で示されるアミノ酸配列を有するヒトGPR35−L3をコードするcDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:25〕
参考例2で用いられたプライマー1の塩基配列を示す。
〔配列番号:26〕
参考例2で用いられたプライマー2の塩基配列を示す。
〔配列番号:27〕
ラットGPR35のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:28〕
配列番号:27で示されるアミノ酸配列を有するラットGPR35をコードするcDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号29〕
実施例10で用いられたフォワードプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号30〕
実施例10で用いられたリバースプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号31〕
実施例10で用いられたプローブの塩基配列を示す。
〔配列番号32〕
実施例11で用いられたフォワードプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号33〕
実施例11で用いられたリバースプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号34〕
実施例11で用いられたプローブの塩基配列を示す。
以下に参考例および実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はそれに限定されるものではない。
DNQXは、6,7−ジニトロキノキサリン−2,3−ジオン(6,7−dinitroquinoxaline−2,3−dione)を表す。
NBQXは、6−ニトロ−7−スルファモイルベンゾ[f]キノキサリン−2,3−ジオン(6−nitro−7−sulfamoylbenzo[f]quinoxaline−2,3−dione)を表す。
参考例1
ヒトGPR35発現CHO細胞株
ヒトGPR35をコードするDNA断片をPCR法により取得した。2種のプライマー(配列番号:3および配列番号:4)各20pmol、10×Advantage(登録商標)2PCR Buffer(CLONTECH)5μl、50×dNTP mix(CLONTECH)1μl、50×Advantage 2 Polymerase Mix(CLONTECH)1μl、鋳型DNAとしてヒト肝臓cDNA液(CLONTECH)1μlを含む混合液50μlを調製し、サーマルサイクラー(GeneAmp(登録商標)PCR system model 9700(Applied Biosystems))を用いて96℃、1分、続いて96℃、30秒;63℃、40秒;72℃、120秒を35サイクル繰り返し、さらに72℃、10分で伸長反応させるプログラムでPCR反応を行った。反応終了液をアガロースゲル電気泳動することにより単一の生成物を得、TAクローニングキット(Invitrogen)を用いてクローニングし、遺伝子配列を確認した。PCRエラーがないクローンについて、制限酵素SalI(宝酒造)、ClaI(宝酒造)で二重消化した後、アガロースゲル電気泳動して、単一の生成物を切り出した。得られた断片(約1kb)をpAKKO−111ベクター〔Biochem.Biophys.Acta.,1219巻,251(1994)〕に導入し、常法に従ってCHO細胞にトランスフェクションし、ヒトGPR35発現CHO細胞株を得た。
参考例2
ラットGPR35のクローニング
ラット(SD)小腸cDNA(Seegene)を鋳型として、プライマー1(配列番号:25)およびプライマー2(配列番号:26)を用いてPCRを行なった。PCRにはPyrobest DNA polymerase(宝酒造)を用い、(1)98℃ 10秒の後、(2)98℃ 10秒、68℃ 60秒を35回の後、(3)68℃ 7分の伸長反応を行なった。増幅産物をpCR−Blunt2−TOPO vector(Invitrogen)に挿入し、これを大腸菌JM109(宝酒造)に導入してクローニングした。その塩基配列を解析した結果、配列番号:28で表されるアミノ酸配列を有するラットGPR35をコードするcDNAの塩基配列(配列番号:27)を得た。
実施例1
GPR35に対するリガンド探索
CHO−K1細胞株(ATCCより購入)は、特に記載が無い限り10%牛胎児血清(Invitrogen)を含むハムF−12培地(Invitrogen)を用いて培養した。トランスフェクションを行う前日に10cmあたり4.5x10個の細胞を播き、5%CO濃度に調整されたCO培養器にて37℃で15時間以上培養した。トランスフェクションはLipofectamine試薬(Invitrogen)を用い、試薬添付の方法に準じて操作を行った。培養器に6−wellプレートを使用する場合は、以下のように行った。まず、1.5ml容チューブを2本用意し、それぞれにOpti−MEM培地(Invitrogen)を100μl分注した。次に、片方のチューブに参考例1で得られたGPR35発現ベクター1μg、およびGα15発現ベクター(Guthrie cDNA Resource Center)0.5μgを入れ、もう片方のチューブにLipofectamine試薬を6μl添加後、両者を混合し、20分間室温に静置した。この溶液にOpti−MEM培地を800μl加えたトランスフェクション用混合液を、あらかじめOpti−MEM培地を用いて洗浄したCHO−K1細胞に添加後、CO培養器にて6時間培養した。培養後の細胞は、PBS(Invitrogen)を用いてリンスした後、0.05%トリプシン・EDTA溶液(Invitrogen)を用いて剥がし、遠心操作にて回収した。得られた細胞の数を測定し、培地100μlあたり5x10個の細胞が含まれるように希釈し、Black walled 96−well plate (Costar)に1穴あたり100μlずつ分注後、CO培養器にて一晩培養した。上記トランスフェクション操作にて一過性に受容体を発現したCHO−K1細胞に各種の試験サンプルを添加し、この際の細胞内カルシウム濃度の変動をFLIPR(Molecular Device)を用いて測定した。
FLIPRにて細胞内カルシウム濃度の変動を測定するために、以下の前処置を施した。まず、細胞に蛍光色素Fluo−3AM(DOJIN)を添加するため、またはFLIPRアッセイを行う直前に細胞を洗浄するためのアッセイバッファーを作成した。HBSS(Invitrogen)1000mlに1M HEPES(pH7.4)(DOJIN)20mlを加えた溶液(以下、HBSS/HEPES溶液)に、プロベネシド(Sigma)710mgを1N NaOH 5mlに溶解後さらにHBSS/HEPES溶液5mlを加え混合した溶液10mlを添加し、この溶液をアッセイバッファーとした。次にFluo−3AM 50μgを21μl DMSO(DOJIN)に溶解し、さらに等量の20% プルロン酸(Molecular Device)を加え混合後、105μlの牛胎児血清を添加した10.6mlのアッセイバッファーに加え、蛍光色素溶液を調製した。トランスフェクション処理を施したCHO−K1細胞の培地を除き、直ちに蛍光色素溶液を1穴あたり100μlずつ分注後、CO培養器にて1時間培養し、細胞に蛍光色素を取り込ませた。培養後の細胞は上記のアッセイバッファーを用いて洗浄した後、FLIPRにセットした。また、受容体発現CHO−K1細胞に添加する試験サンプルは、アッセイバッファーを用いて調製し、同時にFLIPRにセットした。
以上の前処置を施した後、FLIPRにて各種試験サンプル添加後の細胞内カルシウム濃度の変動を測定した。
その結果、DNQX(図1)、エラグ酸(図2)、6−シアノ−7−ニトロキノキサリン−2,3−ジオン、NBQXおよび5,7−ジニトロキノキサリン−2,3−ジオンを加えたとき、GPR35およびGα15を同時に発現するCHO−K1細胞が、用量依存的に応答(細胞内カルシウム濃度の上昇)した。発現ベクターpAKKO−111H(Biochem.Biophys.Acta.,1219巻,251頁,1994年)のみを導入した対照のCHO−K1細胞では、このような応答は見られなかった。
実施例2
ヒトGPR35発現CHO細胞株における、フォルスコリン添加による増加細胞内cAMP量のDNQXおよびNBQXによる抑制
参考例1で得られたヒトGPR35発現CHO細胞を、アッセイ用培地(HBSS(GibcoBRL)に0.1%ウシ血清アルブミンおよび0.2mM isobutylmethylxanthineを添加したもの)にて洗浄した後、37℃、5%CO条件下で30分培養した。アッセイ用培地にて希釈した各濃度のDNQXおよびNBQXを添加し、その後フォルスコリン2μMとなるように添加した。37℃、5%CO条件下で30分培養した。培養上清を捨てて、cAMP screen kit(アプライドバイオシステムズ社)のプロトコールに従い、細胞内のcAMP量をプレートリーダー(EnVision、PerkinElmer社)を用いて測定した。
その結果、ヒトGPR35発現CHO細胞株にのみ、フォルスコリン添加によって増加させた細胞内cAMP量のDNQXおよびNBQXによる用量依存的減少かつ特異的な減少が検出された(図3)。
これより、GPR35がアゴニストにより活性化されると、細胞内cAMP濃度が低下することがわかる。細胞内でcAMPは主要なシグナル伝達物質の一つとして働いており、細胞に様々な変化をもたらすことが知られている。従って、細胞内cAMPの濃度を、GPR35のアゴニスト(cAMP濃度を下げる作用を有する)、またはGPR35のアンタゴニスト(cAMP濃度を上げる作用を有する)で調節することにより、種々の病態を改善させることが可能となる。
実施例3
MAPKのリン酸化亢進
参考例1で得られたヒトGPR35発現CHO細胞を、5×10cells/wellの濃度で12−well Plateで48時間培養した。培地は10%透析FBSを含むMEMα(核酸不含)を使用した。培地を吸引除去後、血清を含まない培地1ml(x2)で細胞を洗浄後、血清を含まない培地500μlを添加し、37℃で16時間培養した。細胞に至適濃度のDNQXまたはNBQXを添加し、37℃で5分間培養した。培地を吸引除去後、直ちに50μlのBlue Loading Buffer (BioLabs)を添加し、ピペッティングにて細胞を溶解・分取した。細胞溶液をsonicator(sono cleaner;KAIJO DENKI)を用いて破砕後、95℃で5分間熱処理を行なった。遠心分離(15,000rpm,4℃,5分間)を行い、上清を最終サンプルとした。
サンプル10μlを10% SDS−PAGEで泳動後、ウェスタンブロッティング法にてPVDF膜(BIO−RAD)にトランスファーした。膜をブロックエース(大日本製薬株式会社)に浸し、室温で1時間振とうした。一次抗体(Phospho−p44/42 Map Kinase antibody;Cell Signaling)を含むブロックエース(1/2000希釈)に浸し、室温で1時間振とうした。膜をTBS−tween20(50mM Tris−HCl(pH7.6),150mM NaCl,0.05%Tween−20)に浸し5分間(x2)振とうし、洗浄した。膜をTBS−tween20で希釈したHRP標識二次抗体(Goat Anti−Rabbit IgG,HRP−conjugate;upstate)(1/5000希釈)に浸し、室温で1時間振とうした。膜をTBS−tween20に浸し10分間(x3)振とうし、洗浄した。膜をECLplusウエスタンブロッティングシステム(Amersham Biosciences)の取り扱い説明書に従い、蛍光検出器(LAS−1000;FUJIFILM)により検出を行なった。1−5μMのDNQXまたはNBQX刺激により、ヒトGPR35受容体発現CHO細胞のMAP−kinaseのリン酸化レベルは亢進されていた。コントロール細胞(公知方法により作製されたヒトTGR23発現CHO細胞)に対しては、リン酸化レベルの亢進は観察されなかった。
実施例4
CHO細胞に発現させたGPR35−GFP融合タンパク質のDNQX、NBQX添加による細胞内移行
ヒトGPR35タンパク質のC末端にGFPを融合したタンパク質を安定的に発現させたCHO細胞株を、自体公知の方法により動物細胞用発現プラスミドを用いて樹立した。該タンパク質の細胞内移行(インターナリゼーション)の検定には、増殖期にある該細胞を、40000cells/ウェルの濃度で96穴プレート(Packard社、View−PlateTM−96,Black)に播種し、37℃、5%COで一晩培養したものを用いた。まず、アッセイ用緩衝液(HBSS(GibcoBRL)に0.1%ウシ血清アルブミンを添加したもの)にてウェル内の該細胞を洗浄した後、3μM、10μMおよび30μMのDNQXおよびNBQXを含む同アッセイ用緩衝液を各ウェルに100μlずつ添加し、37℃、5% CO条件下で培養した。その後細胞固定液(4%パラホルムアルデヒド含有PBS(Ca/Mg不含))を100μl/ウェル添加して室温下30分放置した。細胞固定液を除去し、Ca/Mg不含−PBSで細胞を洗浄後、ラベル化溶液(3.13μg/ml wheat germaggulutinin(Molecular Probes社 W−849)、5μg/ml Hoechst含有Ca/Mg不含PBS)を50μl/ウェル添加し、室温下20分放置した。ラベル化溶液を除去後、細胞をCa/MgフリーPBS(200μl/ウェル)で洗浄し、同液(200μl/ウェル)へ置換した後、プレート表面をシールして、直ちにCellomics ArrayScan System(Cellomics社)にて解析した。GPR35−GFP融合タンパク質の細胞内局在性の評価は、同システムに付属のGPCR Signaling Assay Protocol中のパラメータの一つであるMemCyto Above Threshold(ウェル内の全細胞集団に対し、タンパク質の膜/細胞質局在比を表す一定のパラメータ値(MemCyto Intensity Ratio)を超える細胞群の割合(単位%))で行った。
その結果、DNQX、NBQXを添加した場合、上記濃度域で濃度依存的なGPR35−GFPタンパク質のインターナリゼション誘導活性(MemCyto Above Threshold値の低下)が認められた。
実施例5
マウスGPR35のクローニングと種差の検討
マウス(C57BL/6)の結腸からIsogen(ニッポンジーン)を用いてtotal RNAを調製し、SuperScript II Reverse Transcriptase(Invitrogen)を用いてcDNA合成を行なった。これを鋳型として、プライマー1(配列番号:5)およびプライマー2(配列番号:6)を用いてPCRを行なった。PCRにはPyrobest DNA polymerase(宝酒造)を用い、(1)94℃ 10秒の後、(2)94℃ 10秒、68℃ 90秒を3回、(3)94℃ 10秒、62℃ 30秒、68℃ 60秒を3回、(4)94℃ 10秒、56℃ 30秒、68℃ 90秒を35回の増幅反応後、(5)68℃ 7分の伸長反応を行なった。さらにAdvantage 2 Polymerase Mix(Clontech)を加えて72℃ 10分反応後、増幅産物をpCR2.1−TOPO(Invitrogen)に挿入し、これを大腸菌JM109(宝酒造)に導入してクローニングした。その塩基配列を解析した結果、配列番号:7で表されるアミノ酸配列を有するマウスGPR35をコードするcDNAの塩基配列(配列番号:8)を得た。このプラスミドを制限酵素Sal IおよびSpe Iで切断した後、プラスミドベクター pAKKO−111H〔Biochem.Biophys.Acta.,1219巻,251(1994)〕に挿入して発現ベクターを構築した。この発現ベクターを実施例1に記載の方法に準じてCHO−K1細胞に導入し、FLIPRを用いてDNQXおよびエラグ酸との反応性を検討した結果、ヒトGPR35と同様にマウスGPR35は、これらの化合物に応答した。
実施例6
RT−PCRによるGPR35mRNAの組織分布の検討
ヒトでの遺伝子発現分布を調べるために使用した鋳型となるcDNAには、ヒト各種組織由来のpolyA+RNA(クロンテック社)から以下の方法で合成したものを使用した。
RNA 1μgからランダムプライマー、逆転写酵素としてSuperScriptII逆転写酵素(Invitrogen社)を用い、添付のマニュアルに従って42℃で反応を行い、反応終了後にエタノール沈殿して100μlに溶解した。RT−PCRはSequence Detection System Prism 7700(Applied Biosystems社)を用い、プライマー1(配列番号:9)およびプライマー2(配列番号:10)およびプローブ1(配列番号:11)(Fam−ctccccgtgctaaggcccacaaa−Tamra)を使用した。RT−PCR反応液はTaqMan Universal PCR Master Mix(Applied Biosystems社)12.5μlに、それぞれ100μMのプライマー溶液を0.05μl、5μMのプローブ1を0.5μl、および上記で調製したcDNA溶液を0.5μl加え、蒸留水で総反応液量を25μlとした。PCR反応は50℃・2分、95℃・10分の後、95℃・15秒、60℃・1分のサイクルを40回繰り返した。その結果ヒトGPR35は、胃、小腸、大腸などの消化管、後根神経節(DRG)、下垂体、精巣、Colo201、Colo205、SW1417、SW837、SW1463、WiDrなどの大腸癌細胞株で高発現していることが判明した。
マウスでの発現を調べるために使用した鋳型となるcDNAには、マウス各種組織由来のトータルRNAから以下の方法で合成したものを使用した。
RNA 1μgからランダムプライマー、逆転写酵素としてSuperScriptII逆転写酵素(Invitrogen社)を用い、添付のマニュアルに従って42℃で反応を行い、反応終了後にエタノール沈殿して100μlに溶解した。RT−PCRはSequence Detection System Prism 7700(Applied Biosystems社)を用い、プライマー3(配列番号:12)およびプライマー4(配列番号:13)およびプローブ2(配列番号:14)(Fam−ctgcccgagacaccttcagccgt−Tamra)を使用した。RT−PCR反応液はTaqMan Universal PCR Master Mix(PE Biosystems社)12.5μlに、それぞれ100μMのプライマー溶液を0.05μl、5μMのプローブ2を0.5μl、および上記で調製したcDNA溶液を0.5μl加え、蒸留水で総反応液量を25μlとした。PCR反応は50℃・2分、95℃・10分の後、95℃・15秒、60℃・1分のサイクルを40回繰り返した。
その結果マウスGPR35 mRNAは、胃、小腸、大腸などの消化管、後根神経節(DRG)、気管、脾臓、骨髄、精巣、卵巣、脂肪細胞分化誘導後の3T3−L1、白色脂肪細胞、CE−2、BFなどの大腸癌細胞株で高発現していることが判明した。
実施例7
ヒトGPR35のスプライシングバリアントの取得
ヒトGPR35の3種類のバリアントGPR35−L1、GPR35−L2およびGPR35−L3のクローニングは、それぞれの塩基配列に特異的な2個のプライマーを用いたPCRによって行なった。GPR35−L1クローニング用のプライマーとしては、プライマー1(配列番号:15)およびプライマー2(配列番号:16)を、GPR35−L2クローニング用のプライマーとしては、プライマー3(配列番号:17)およびプライマー2(配列番号:16)、GPR35−L3クローニング用のプライマーとしては、プライマー4(配列番号:18)およびプライマー2(配列番号:16)を用いた。ヒト結腸cDNA(Clontech)を鋳型として、それぞれのプライマーを用いてPCRを行なった。PCRにはPyrobest DNA polymerase(宝酒造)を用い、(1)98℃ 1分の後、(2)98℃ 10秒、60℃ 30秒、72℃ 90秒を35回の増幅反応後、(3)72℃ 5分の伸長反応を行なった。反応後、増幅産物をpCR−Blunt II−TOPO(Invitrogen)に挿入し、これを大腸菌JM109(宝酒造)に導入してクローニングした。その塩基配列を解析した結果、配列番号:19で表されるアミノ酸配列(ヒトGPR35−L1)をコードするcDNAの塩基配列(配列番号:20)、配列番号:21で表されるアミノ酸配列(ヒトGPR35−L2)をコードするcDNAの塩基配列(配列番号:22)、および配列番号:23で表されるアミノ酸配列(ヒトGPR35−L3)をコードするcDNAの塩基配列(配列番号:24)を得た。このプラスミドを制限酵素Sal I及びSpe Iで切断した後、プラスミドベクターpAKKO−111H〔Biochem.Biophys.Acta.,1219巻,251(1994)〕に挿入して発現ベクターを構築した。
ヒトGPR35−L1蛋白質は、ヒトGPR35蛋白質のN末端に31アミノ酸残基の付加がある。ヒトGPR35−L2蛋白質は、ヒトGPR35蛋白質のN末端に41アミノ酸残基の付加がある。ヒトGPR35−L3蛋白質は、ヒトGPR35蛋白質のN末端に85アミノ酸残基の付加がある。
実施例8
Gα16、GPR35安定共発現細胞の取得及び反応性の確認
宿主細胞のGα16の安定発現細胞株(Gα16/CHO細胞株)は、Gα16発現ベクター(Guthrie cDNA Resource Center)を常法に従ってCHO細胞に導入し、10%牛胎児血清(Invitrogen)、50units/ml penicillin/50ug/ml streptomycin(CAMBREX)、および1mg/ml geneticin(Invitrogen)を含むαMEM培地(核酸含有:Invitrogen)を用いて、5%CO、37℃で培養した。トランスフェクションには、10% 牛胎児血清のみを含むαMEM培地(核酸含有)で、75cmフラスコにて2日間培養した細胞を用いた。トランスフェクションはLipofectamine試薬(Invitrogen)を用い、試薬添付の方法に準じて操作を行った。まず、15ml容遠沈管を2本用意し、それぞれにOpti−MEM培地(Invitrogen)を600μl分注した。次に、片方のチューブに発現ベクターを4.8μg、もう片方にLipofectamine試薬を36μl添加後、両者を混合し、20分間室温に静置した。この溶液にOpti−MEM培地を6ml加えたトランスフェクション用混合液を、あらかじめOpti−MBM培地を用いて洗浄したGα16/CHO細胞に添加後、CO培養器(5%CO、37℃)にて5時間培養した。培養後の細胞は、PBS(Invitrogen)を用いてリンスした後、0.05%トリプシン・EDTA溶液(Invitrogen)を用いて剥がし、遠心操作にて回収した。得られた細胞の数を測定し、培地100μlあたり0.3個、1.5個、および7.5個の細胞が含まれるように10%牛胎児透析血清(Invitrogen)のみを含むαMEM培地(核酸不含:Invitrogen)で希釈し、96−well plate(FALCON)に1穴あたり100μlずつ分注後、CO培養器にて一晩培養した。翌日、培養上清を除去し、1穴あたり200μlの10% 牛胎児透析血清(Invitrogen)、50units/ml penicillin/50ug/ml streptomycin(CAMBREX)、および1mg/ml geneticine(Invitrogen)を含むαMEM培地(核酸不含:Invitrogen、これ以降の培養は同培地を使用)を加えて、更に約2週間培養した。顕微鏡にて1穴あたり1コロニーを形成したものを選択し、その培養上清を除去し、1g/l EDTAを含むPBSを用いてリンスした後、剥がした細胞を1穴あたり1mlの培地の入った24穴プレートに移した。細胞の増殖したものから順次、25cmフラスコ、75cmフラスコへと移し換えた。
上記の方法で取得したヒトGPR35とGα16を共発現させたCHO細胞株を3x10個/100μlの細胞が含まれるように希釈し、Black walled 96−well plate (Costar)に1穴あたり100μlずつ分注後、CO培養器にて一晩培養した。実施例1に記載の方法に従い、細胞内カルシウム濃度の変動をFLIPR(Molecular Device)を用いて測定したところ、DNQXおよびエラグ酸を添加することにより、細胞内カルシウム濃度が上昇することが確認された。
実施例9
FLIPRを用いたGPR35アゴニストの探索法
上記実施例8で得られたGα16、GPR35安定共発現細胞を、それぞれ3×10cells/mlとなるように培地(10%牛胎児透析血清(Invitrogen)、50units/ml penicillin/50ug/ml streptomycin(CAMBREX)、および1mg/ml geneticin(Invitrogen)を含むαMEM培地(核酸不含:Invitrogen))に懸濁し、FLIPR用96穴プレート(Black plate clear bottom、Costar社)に8連ピペットを用いて各ウェルに100μlずつ植え込み(3.0×10cells/100μl/ウェル)、5%COインキュベーター中にて37℃で一晩培養した以降のアッセイに用いる(以後、細胞プレートとする)。H/HBSS(ニッスイハンクス2(日水製薬株式会社)9.8g、炭酸水素ナトリウム0.35g、HEPES 4.77g、6M水酸化ナトリウム溶液でpH7.4に合わせた後、フィルター滅菌処理)20ml、250mM Probenecid 200μl、ウシ胎児血清(FBS)200μlを混合する。また、Fluo 3−AM(同仁化学研究所)2バイアル(50μg)をジメチルスルフォキサイド40μl、20% Pluronic acid(Molecular Probes社)40μlに溶解し、これを上記H/HBSS−Probenecid−FBSに加え、混和後、8連ピペットを用いて培養液を除いた細胞プレートに各ウェル100μlずつ分注し、5%COインキュベーター中にて37℃で1時間インキュベートする(色素ローディング)。
試験化合物を含有する溶液を2.5mM Probenecid、0.1%CHAPSを含むH/HBSSまたは2.5mM Probenecid、0.1% CHAPS、0.2% BSAを含むH/HBSS 220μlに加えて希釈し、FLIPR用96穴プレート(V−Bottomプレート、Coster社)へ移す(以後、サンプルプレートとする)。細胞プレートの色素ローディング終了後、H/HBSSに2.5mM Probenecidを加えた洗浄バッファーでプレートウォッシャー(ELX405,Bio−Tek Instruments社)を用いて細胞プレートを洗浄し、洗浄後100μlの洗浄バッファーを残す。この細胞プレートとサンプルプレートをFLIPRにセットし(FLIPRにより、サンプルプレートから50μlのサンプルが細胞プレートへと移される)、蛍光強度変化を継時的に測定することにより、細胞内カルシウムイオン濃度上昇活性を測定する。GPR35を発現させないCHO細胞、または、ヒスタミンH1受容体、GPR40受容体、TGR7受容体などの対照受容体を発現させたCHO細胞株を用いて上記と同様の試験を実施し、Gα16、GPR35安定共発現細胞の細胞内カルシウムイオン濃度を特異的に上昇させる化合物を探索する。
実施例10
ラット腸管粘膜層での選択的GPR35遺伝子発現
腸管におけるGPR35遺伝子発現部位が粘膜層であるか筋層であるかを明らかにするために、マイクロダイセクション法により分離したラット回腸粘膜層と筋層におけるGPR35遺伝子発現量をTaqMan法によりそれぞれ測定した。11週齡の雄性SD(IGS)ラットをエーテルで麻酔した後、断頭を行い放血した。摘出した回腸を、液体窒素による冷却下にて、O.C.T.コンパウンド中に凍結包埋した。クリオスタットを用いて専用フィルム付スライドガラス(Leica:90FOIL−SL25)上に10μm新鮮凍結切片を作製し、次に切片をクリオスタット庫内(−20℃)で乾燥させた。軽く室温に馴染ませた後、5%酢酸を含む氷冷エタノール液中で3分間固定した。切片を氷冷RNaseFree水で洗浄した後、氷冷0.05%トルイジンブルーで20秒間染色し、さらに氷冷RNaseFree水で洗浄した。ドライヤーの冷風で乾燥した後、スライドはマイクロダイセクション直前まで4℃で保存した。Leica Laser Microdissection System(LMD)を用いて、1cm程度の組織切片4枚分から筋層と粘膜層を、ISOGENをあらかじめ分注したチューブにそれぞれ回収した。筋層と粘膜層のISOGEN抽出液からTotal RNAを精製し、最終的にそれぞれ18μlのTotal RNA溶液を得た。10μlのRNA溶液と1μlの200ng/μl濃度のランダムプライマーを70℃で10分間保温後、氷冷した。この溶液に、1μlのSuperScriptII逆転写酵素(Invitrogen)、4μlの逆転写酵素に付属のバッファー、2μlの0.1Mジチオスレイトール溶液、1μlの10mMデオキシヌクレオチド混合液と1μlのRNA分解酵素阻害剤RNaseOUT(Invitrogen)を添加して、総体積を20μlとした。逆転写反応は、以下の条件で行った。反応液を順次25℃で10分間、42℃で50分間、70℃で15分間、4℃で5分間保温し、逆転写cDNA溶液を得た。
ラットGPR35遺伝子と内部標準となるラットGAPDH遺伝子発現コピー数は、TaqMan PCR法により決定された。ラットGPR35遺伝子測定のためのTaqMan PCR反応液は、10μlの逆転写cDNA溶液または1μlの各種濃度の標準ラットGPR35 DNA、0.2μMの合成DNAフォワードプライマー(配列番号:29)、0.2μMの合成DNAリバースプライマー(配列番号:30)、0.2μMのラットGPR35 TaqManプローブ(配列番号:31)とTaqMan Universal PCR Master Mix(Applied Biosystems)からなり、全容量は25μlである。ラットGAPDH遺伝子測定のためのTaqMan PCR反応液は、10μlの逆転写cDNA溶液または1μlの各種濃度の標準ラットGAPDH DNAとRodent GAPDH遺伝子測定キット(Applied Biosystems)に添付の合成DNAフォワードプライマー、合成DNAリバースプライマーおよびラットGAPDHプローブとTaqMan Universal PCR Master Mix(Applied Biosystems)からなり、全容量は25μlである。PCR反応は、ABI PRISM 7700 Sequence Detector System(Applied Biosystems)を用い、順次50℃で2分、95℃で10分保温し、次に95℃で15秒、60℃で60秒のサイクルを40回繰り返すことにより行なった。ラットGPR35遺伝子とラットGAPDH遺伝子発現コピー数は、ABI PRISM 7700 SDSソフトウェアによって算出した。リポーターの蛍光強度が、設定された値に達した瞬間のサイクル数を縦軸にとり、標準DNAのコピー数の対数値を横軸にとって標準曲線を作成した。標準曲線から、逆転写cDNAに含まれる遺伝子発現コピー数を算出し、ラットGPR35遺伝子発現コピー数をGAPDH遺伝子発現コピー数で序した値を、標準化したラットGPR35遺伝子発現量とした。
粘膜層と筋層における標準化したラットGPR35遺伝子発現量は、それぞれ0.0042と0.0002であった。すなわち、粘膜層におけるGPR35遺伝子発現量は、筋層におけるそれの約21倍多かった。
GPR35遺伝子は粘膜層で選択的に発現することから、栄養素の吸収と消化、腸管免疫に関与することが示唆された。例えば、GPR35のアゴニストでcAMPの産生を阻害することにより、胃酸などの消化液の分泌を抑制でき、消化性潰瘍の予防・治療などが可能になる。また、GPR35のアゴニストにより腸管からの電解質漏洩を抑制できるため、下痢や吸収不良症候群の予防・治療などが可能になる。GPR35のアンタゴニストでcAMPの産生を促進させることにより、大腸粘膜やマクロファージからの各種炎症性サイトカインの分泌を抑制できるため、自己免疫疾患、炎症性腸疾患などの免疫疾患の予防・治療が可能になる。
実施例11
脂肪細胞分化に伴うGPR35遺伝子発現の亢進
マウス3T3−L1を脂肪細胞に分化させ、分化前と分化後におけるGPR35遺伝子発現量を測定した。脂肪細胞分化は、以下の培養条件で行った。3T3−L1細胞を基本増殖培地(DMEM,10%ウシ血清,0.2mMアスコルビン酸)で培養した。細胞がコンフルエントに達した後、分化誘導培地(DMEM,10%ウシ胎児血清,2.5μM Dexamethasone,0.57mM IBMX,0.2mM アスコルビン酸,10μg/ml Insulin)で48時間培養した。次に、細胞を分化維持培地(DMEM,10%ウシ胎児血清,0.2mM アスコルビン酸,10μg/ml Insulin)で培養した。分化前と分化維持5、10と15日目の細胞からISOGENを用いて、Total RNAを精製した。50μlのTotal RNA溶液に、1μlのI型DNA分解酵素(GenHunter)と5.7μlのキットに添付のバッファーを添加し、37℃で30分間保温した。フェノール/クロロホルム混液を用いて反応液からRNAを抽出し、次いでRNA溶液の5倍容量のエタノールと8分の1倍容量の3M酢酸ナトリウム溶液の添加によるエタノール沈殿法によりRNAを回収した。0.2μg/μlのRNA溶液2.5μl、10mMのデオキシヌクレオチド混合液4μl、50pmol/μlのランダムプライマー0.5μlと蒸留水6μlからなる混合液を65℃で5分間保温後、氷冷した。この溶液に、1μlのSuperScriptIII逆転写酵素(Invitrogen)、4μlの逆転写酵素に付属のバッファー、1μlの0.1M ジチオスレイトール溶液と1μlのRNA分解酵素阻害剤RNaseOUT(Invitrogen)を添加して、総体積を20μlとした。逆転写反応は、以下の条件で行った。これら反応液を順次25℃で5分間、50℃で60分間、70℃で15分間、4℃で5分間保温し、逆転写cDNA溶液を得た。
マウスGPR35遺伝子発現コピー数は、TaqMan PCR法により決定された。マウスGPR35遺伝子測定のためのTaqMan PCR反応液は、1μlの逆転写cDNA溶液または標準マウスGPR35 DNA、0.2μMの合成DNAフォワードプライマー(配列番号:32)、0.2μMの合成DNAリバースプライマー(配列番号:33)、0.2μMのラットGPR35 TaqManプローブ(配列番号:34)とTaqMan Universal PCR Master Mix(Applied Biosystems)からなり、全容量は25μlである。PCR反応は、ABI PRISM 7700 Sequence Detector System(Applied Biosystems)を用い、順次50℃で2分、95℃で10分保温し、次に95℃で15秒、60℃で60秒のサイクルを40回繰り返すことにより行なった。マウスGPR35遺伝子発現コピー数は、ABI PRISM 7700 SDSソフトウェアによって算出した。リポーターの蛍光強度が、設定された値に達した瞬間のサイクル数を縦軸にとり、標準DNAのコピー数の対数値を横軸にとって標準曲線を作成した。標準曲線から、逆転写cDNAに含まれる遺伝子発現コピー数を算出し、25ng RNAから逆転写されたcDNAに含まれるマウスGPR35遺伝子発現コピー数を得た。
脂肪細胞分化に伴い、GPR35遺伝子発現量は増加した。分化前と分化維持5、10と15日目の25ng RNAあたりのGPR35遺伝子発現コピー数は、それぞれ2300、22000、110000と160000であった。
脂肪細胞分化に伴いGPR35遺伝子発現量が増加することから、脂肪細胞においてGPR35は脂肪分解、糖取り込み、脂肪分化調節に関与することが示唆された。GPR35のアゴニストは細胞内cAMP濃度を下げる作用を有し、細胞内cAMPの低下は、脂肪分解を抑え血中脂肪酸濃度を低下させることより、GPR35のアゴニストは、II型糖尿病の予防・治療に有用である。また、GPR35のアンタゴニストは細胞内cAMP濃度を上げる作用を有し、細胞内cAMPの上昇は、脂肪分解を刺激して脂肪合成を抑えることより、GPR35のアンタゴニストは肥満の予防・治療に有用である。
実施例12
アルファスクリーンを用いたGPR35アゴニストの探索法
150cmフラスコ一本に参考例1で得られたヒトGPR35発現CHO細胞を1x10cells捲き込み、一晩37℃、COインキュベーターで培養する。培養後、0.5mM EDTA/PBSにて細胞をはがし、PBSで細胞を洗浄後、1x10cells/mlの密度でBuffer 1(HBSS+0.1%BSA、25mM HEPES pH7.3、0.5mM IBMX)に懸濁する。この細胞懸濁液440μlとアルファスクリーンcAMP assay kit(Parkin Elmer)のanti−cAMP acceptorbeads 22μl、Buffer1 638 μlを混合し、白色96wellプレート(Costar)に10μlずつ分注する。次に、各ウエルにフォルスコリン(FSK)2μMを含むBuffer 1で希釈した化合物を10μlずつ加える。この時、プレートの一列は細胞懸濁液を入れずanti−cAMP acceptor beads 9μl、Buffer1 441μlのみを混ぜた液とし、化合物の代わりにcAMPの希釈系列を加え、スタンダードとする。細胞懸濁液と化合物を混ぜたプレートを室温で30分間振とうした後、アルファスクリーンcAMPassay kitのBiotinyl camp 20μl、Streptavin donor beads 82μlをBuffer2(HBSS+0.1%BSA、25mM HEPES pH7.3、1.5% Tween20)40mlにくわえた液をプレートの全ウエルに30μlずつ加える。室温で3時間プレートを分間振とうし続け、Fusionα(Parkin Elmer)にて蛍光強度を測定し、プレートに加えたcAMPの反応曲線から各ウェル内のcAMP濃度を算出する。
実施例13
FLIPRを用いたGPR35アゴニストの探索
実施例8で得られたGα16、GPR35安定共発現細胞を、それぞれ3×10cells/mlとなるように培地〔10%牛胎児透析血清(Invitrogen)、50units/ml penicillin/50ug/ml streptomycin(CAMBREX)、および1mg/ml geneticin(Invitrogen)を含むαMEM培地(核酸不含:Invitrogen)〕に懸濁し、FLIPR用96穴プレート(Black plate clear bottom、Costar社)に8連ピペットを用いて各ウェルに100μlずつ植え込み(3.0×10cells/100μl/ウェル)、5% COインキュベーター中にて37℃で一晩培養し、以降のアッセイに用いた(以後、細胞プレートとする)
。細胞プレート2枚当たりに対して、H/HBSS(HBSS(Invitrogen Hanks’ Balanced Salt Solution without phenol red)500mlに1M HEPES/pH7.4(同仁化学研究所)を10ml添加)20ml、250mM Probenecid 200μl、ウシ胎児血清(FBS)200μlを混合した。また、Fluo 3−AM(同仁化学研究所)2バイアル(50μg)をジメチルスルフォキサイド40μl、20% Pluronic acid(Molecular Probes社)40μlに溶解し、これを上記H/HBSS−Probenecid−FBSに加え、混和後、8連ピペットを用いて培養液を除いた細胞プレートに各ウェル100μlずつ分注し、5% COインキュベーター中にて37℃で1時間インキュベートした(色素ローディング)。
試験化合物を含有する溶液を2.5mM Probenecidを含むH/HBSSで調製し、FLIPR用96穴プレート(V−Bottomプレート、Coster社)へ220μlずつ移した(以後、サンプルプレートとする)。細胞プレートの色素ローディング終了後、H/HBSSに2.5mM Probenecidを加えた洗浄バッファーでプレートウォッシャー(ELX405,Bio−Tek Instruments社)を用いて細胞プレートを洗浄し、洗浄後100μlの洗浄バッファーが残るようにした。この細胞プレートとサンプルプレートをFLIPRにセットし(FLIPRにより、サンプルプレートから50μlのサンプルが細胞プレートへと添加される)、蛍光強度変化を継時的に測定することにより、細胞内カルシウムイオン濃度上昇活性を測定した。GPR35を発現させないCHO細胞、または、ヒスタミンH1受容体などの対照受容体を発現させたCHO細胞株を用いて上記と同様の試験を実施し、Gα16、GPR35安定共発現細胞の細胞内カルシウムイオン濃度を特異的に上昇させる化合物を探索した。
本発明のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットで得られうる化合物またはその塩(例、GPR35アゴニスト、GPR35アンタゴニスト)などは、例えば、消化管疾患〔例、下痢、吸収不良症候群、過敏性腸症候群、クローン病、消化性潰瘍(例、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、Zollinger−Ellison症候群など)、胃炎、逆流性食道炎、NUD(Non Ulcer Dyspepsia)、非ステロイド系抗炎症剤に起因する潰瘍、手術後ストレスによる胃酸過多および潰瘍など〕、癌(例、消化器癌(例、胃癌、大腸癌、胃MALTリンパ腫など)、乳癌、肺癌、前立腺癌、食道癌、咽頭癌、肝臓癌、胆道癌、脾臓癌、腎癌、膀胱癌、子宮癌、精巣癌、甲状腺癌、膵臓癌、脳腫瘍、卵巣癌、血液腫瘍など)、免疫疾患〔例、慢性閉塞性肺疾患、敗血症、粥状硬化症、AIDS、自己免疫性疾患(例、慢性関節リウマチ、多発性硬化症、重症筋無力症、インスリン依存型糖尿病(I型糖尿病)、炎症性腸疾患、全身性エリトマトーデス、糸球体腎炎、自己免疫性溶血性貧血、橋本病、潰瘍性大腸炎、原発性胆汁性肝硬変、特発性血小板減少性紫斑病、原田病、悪性貧血、シェーグレン症候群、グッドパスチュア症候群など)など〕、II型糖尿病、肥満などの予防・治療剤などとして有用である。
本発明の受容体の活性を促進する化合物またはその塩、GPR35アゴニスト、本発明の受容体、本発明の受容体をコードするポリヌクレオチド、本発明のリガンドなどは、例えば、消化管疾患〔例、下痢、吸収不良症候群、過敏性腸症候群、クローン病、消化性潰瘍(例、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部漬瘍、Zollinger−Ellison症候群など)、胃炎、逆流性食道炎、NUD(Non Ulcer Dyspepsia)、非ステロイド系抗炎症剤に起因する潰瘍、手術後ストレスによる胃酸過多および潰瘍など〕、II型糖尿病などの予防・治療剤などとして有用である。
本発明の受容体の活性を阻害する化合物またはその塩、GPR35アゴニスト、本発明の受容体に対するアンチセンスポリヌクレオチド、本発明の受容体に対する抗体などは、例えば、免疫疾患〔例、慢性閉塞性肺疾患、敗血症、粥状硬化症、AIDS、自己免疫性疾患(例、慢性関節リウマチ、多発性硬化症、重症筋無力症、インスリン依存型糖尿病(I型糖尿病)、炎症性腸疾患、全身性エリトマトーデス、糸球体腎炎、自己免疫性溶血性貧血、橋本病、潰瘍性大腸炎、原発性胆汁性肝硬変、特発性血小板減少性紫斑病、原田病、悪性貧血、シェーグレン症候群、グッドパスチュア症候群など)など〕、消化器癌(例、胃癌、大腸癌など)、肥満などの予防・治療剤などとして有用である。
また、本発明の受容体(例、GPR35など)およびそのリガンド(例、キノキサリン−2,3−ジオン化合物、エラグ酸など)は、消化管疾患、癌、免疫疾患、II型糖尿病、肥満などの予防・治療作用を有する化合物またはその塩のスクリーニングに有用である。

Claims (10)

  1. (a)配列番号:1、配列番号:7、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23または配列番号:27のアミノ酸配列で表されるアミノ酸配列を含有する蛋白質またはその塩および(b)キノキサリン−2,3−ジオン化合物(6,7−ジニトロキノキサリン−2,3−ジオン、6−ニトロ−7−スルファモイルベンゾ[f]キノキサリン−2,3−ジオン、6−シアノ−7−ニトロキノキサリン−2,3−ジオン、および5,7−ジニトロキノキサリン−2,3−ジオンから選ばれる)またはエラグ酸であるリガンドを用いることを特徴とする、該蛋白質またはその塩と該リガンドとの結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法。
  2. (a)キノキサリン−2,3−ジオン化合物(6,7−ジニトロキノキサリン−2,3−ジオン、6−ニトロ−7−スルファモイルベンゾ[f]キノキサリン−2,3−ジオン、6−シアノ−7−ニトロキノキサリン−2,3−ジオン、および5,7−ジニトロキノキサリン−2,3−ジオンから選ばれる)またはエラグ酸であるリガンドを、配列番号:1、配列番号:7、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23または配列番号:27のアミノ酸配列を含有する蛋白質またはその塩に接触させた場合と、(b)該リガンドおよび試験化合物を、該蛋白質またはその塩に接触させた場合における、該リガンドの該蛋白質またはその塩に対する結合量を測定し、比較する、請求項記載のスクリーニング方法。
  3. (a)キノキサリン−2,3−ジオン化合物(6,7−ジニトロキノキサリン−2,3−ジオン、6−ニトロ−7−スルファモイルベンゾ[f]キノキサリン−2,3−ジオン、6−シアノ−7−ニトロキノキサリン−2,3−ジオン、および5,7−ジニトロキノキサリン−2,3−ジオンから選ばれる)またはエラグ酸であるリガンドを、配列番号:1、配列番号:7、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23または配列番号:27のアミノ酸配列を含有する蛋白質またはその塩を含有する細胞または細胞の膜画分に接触させた場合と、(b)該リガンドおよび試験化合物を、該蛋白質またはその塩を含有する細胞または該細胞の膜画分に接触させた場合における、該リガンドの該細胞または該膜画分に対する結合量を測定し、比較する、請求項1または2記載のスクリーニング方法。
  4. 配列番号:1、配列番号:7、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23または配列番号:27のアミノ酸配列を含有する蛋白質またはその塩が、該蛋白またはその塩コードするDNAを含有する形質転換体を培養することによって細胞膜上に発現した蛋白質またはその塩である請求項記載のスクリーニング方法。
  5. リガンドが、標識したリガンドである請求項2〜4のいずれか1項記載のスクリーニング方法。
  6. (a)キノキサリン−2,3−ジオン化合物(6,7−ジニトロキノキサリン−2,3−ジオン、6−ニトロ−7−スルファモイルベンゾ[f]キノキサリン−2,3−ジオン、6−シアノ−7−ニトロキノキサリン−2,3−ジオン、および5,7−ジニトロキノキサリン−2,3−ジオンから選ばれる)またはエラグ酸であるリガンドを、配列番号:1、配列番号:7、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23または配列番号:27のアミノ酸配列を含有する蛋白質またはその塩に接触させた場合と、(b)該リガンドの存在下または非存在下、試験化合物を、該蛋白質またはその塩に接触させた場合における、該蛋白質またはその塩を介した細胞刺激活性を測定し、比較する、請求項記載のスクリーニング方法。
  7. (a)キノキサリン−2,3−ジオン化合物(6,7−ジニトロキノキサリン−2,3−ジオン、6−ニトロ−7−スルファモイルベンゾ[f]キノキサリン−2,3−ジオン、6−シアノ−7−ニトロキノキサリン−2,3−ジオン、および5,7−ジニトロキノキサリン−2,3−ジオンから選ばれる)またはエラグ酸であるリガンドを、配列番号:1、配列番号:7、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23または配列番号:27のアミノ酸配列を含有する蛋白質またはその塩を含有する細胞または該細胞の膜画分に接触させた場合と、(b)該リガンドの存在下または非存在下、試験化合物を、該蛋白質またはその塩を含有する細胞または該細胞の膜画分に接触させた場合における、該蛋白質またはその塩を介した細胞刺激活性を測定し、比較する、請求項記載のスクリーニング方法。
  8. 配列番号:1、配列番号:7、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23または配列番号:27のアミノ酸配列を含有する蛋白質またはその塩が、該蛋白質またはその塩をコードするDNAを含有する形質転換体を培養することによって細胞膜上に発現した蛋白質またはその塩である請求項記載のスクリーニング方法。
  9. 細胞刺激活性が、細胞内cAMP濃度の低下または上昇である、請求項6〜8のいずれか1項記載のスクリーニング方法。
  10. (a)配列番号:1、配列番号:7、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23または配列番号:27のアミノ酸配列を含有する蛋白質またはその塩および(b)キノキサリン−2,3−ジオン化合物(6,7−ジニトロキノキサリン−2,3−ジオン、6−ニトロ−7−スルファモイルベンゾ[f]キノキサリン−2,3−ジオン、6−シアノ−7−ニトロキノキサリン−2,3−ジオン、および5,7−ジニトロキノキサリン−2,3−ジオンから選ばれる)またはエラグ酸であるリガンドを含有することを特徴とする、該蛋白質またはその塩と該リガンドとの結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング用キット。
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