JP4770809B2 - コモンモードチョークコイル及びその製造方法 - Google Patents

コモンモードチョークコイル及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明はコモンモードチョークコイル及びその製造方法に関し、特に、ディファレンシャルモード信号に対するカットオフ周波数の高いコモンモードチョークコイル及びその製造方法に関する。
近年、高速な信号伝送インターフェースとして、USB2.0規格やIEEE1394規格が広く普及し、パーソナルコンピュータやデジタルカメラなど数多くのデジタル機器に用いられている。USB2.0規格やIEEEインターフェースのインターフェースは、古くから一般的であったシングルエンド伝送方式とは異なり、一対の信号線を用いて差動信号(ディファレンシャルモード信号)を伝送する差動信号方式が採用されている。
差動伝送方式は、シングルエンド伝送方式と比べて信号線から発生する放射電磁界が少ないだけでなく、外来ノイズの影響を受けにくいという優れた特徴を有している。このため、信号の小振幅化が容易であり、小振幅化による立ち上がり時間及び立ち下がり時間の短縮によって、シングルエンド伝送方式よりも高速な信号伝送を行うことが可能となる。
図6は、一般的な差動伝送回路の回路図である。
図6に示す差動伝送回路は、一対の信号線2,4と、信号線2,4にディファレンシャルモード信号を供給する出力バッファ6と、信号線2,4からのディファレンシャルモード信号を受ける入力バッファ8とを備えている。かかる構成により、出力バッファ6に与えられる入力信号INは、一対の信号線2,4を経由して入力バッファ8へ伝えられ、出力信号OUTとして再生される。このような差動伝送回路は、上述の通り、信号線2,4から発生する放射電磁界が少ないという特徴を有しているが、信号線2,4に共通のノイズ(コモンモードノイズ)が重畳した場合には比較的大きな放射電磁界を発生させてしまう。コモンモードノイズによって発生する放射電磁界を低減するためには、図6に示すように、信号線2,4にコモンモードチョークコイル10を挿入することが有効である。
コモンモードチョークコイル10は、信号線2,4を伝わる差動成分(ディファレンシャルモード信号)に対するインピーダンスが低く、同相成分(コモンモードノイズ)に対するインピーダンスが高いという特性を有している。このため、信号線2,4にコモンモードチョークコイル10を挿入することにより、ディファレンシャルモード信号を実質的に減衰させることなく、一対の信号線2,4を伝わるコモンモードノイズを遮断することができる。コモンモードチョークコイル10としては、例えば特許文献1に記載された積層型のコモンモードチョークコイルが知られている。
近年、コモンモードチョークコイルには、より高速且つ低損失な信号伝送特性が求められている。これを実現するためには、コモンモードチョークコイルを構成するスパイラル導体の導体幅を広くすることが有効であるが、スパイラル導体の導体幅を広くすると、その分、一対のスパイラル導体間の寄生容量が増大してしまう。スパイラル導体間の寄生容量は、伝送すべき信号の周波数が高くなるほど信号品質に大きな影響を与えるため、伝送すべき信号の周波数が特に高い場合には、スパイラル導体間の寄生容量を低減させることが不可欠である。
スパイラル導体間の寄生容量を低減させる最も簡単な方法は、これらスパイラル導体間の距離を広げるとともに、スパイラル導体間に設けられる絶縁層の材料として低誘電率の樹脂を用いることである。しかしながら、単純にスパイラル導体間の距離を広げると、チップの高さが増大してしまい、低背化の要求に反してしまう。しかも、絶縁層の材料として樹脂材料を用いる場合には、スピンコート法によって樹脂絶縁層が形成されることから、十分な平坦性を確保しつつスパイラル導体間の距離を広くするためには、スパイラル導体間にてスピンコートを複数回行う必要があり、工程数が増大してしまう。
したがって、スパイラル導体間の距離を広げる場合、特許文献1の図14に記載されているように、スパイラル導体間に引き出し導体を配置する構造を採用することが好ましいと考えられる。つまり、スパイラル導体の上下に配置されていた引き出し導体をスパイラル導体間に配置することにより、絶縁層の層数を増やすことなく、スパイラル導体間の距離を広げることが可能となる。
特開平8−203737号公報 特開2005−129793号公報 特開2006−147615号公報
しかしながら、スパイラル導体間に引き出し導体を配置すると、一対の引き出し導体間の距離が近接してしまう。このため耐圧が低下し、場合によってはショート不良を引き起こす可能性が生じる。このような問題は、スパイラル導体が円弧状である場合において特に顕著となる。図7はこれを説明するための模式的な平面図であり、(a)はスパイラル導体が四角形状である場合における引き出し電極の形成位置を示し、(b)及び(c)はスパイラル導体が円弧状である場合における引き出し導体の形成位置を示している。
図7に示すように、スパイラル導体102は、その内周端102aにて図示しないスルーホールを介して引き出し導体112に接続される。同様に、スパイラル導体104は、その内周端104aにて図示しないスルーホールを介して引き出し導体114に接続される。ここで、引き出し導体112,114間の距離を十分に引き離すためには、スパイラル導体102,104の内周端102a,104aの位置を十分に離す必要がある。この時、図7(a)に示すようにスパイラル導体102,104が四角形状であれば、内周端102a,104aの距離をスパイラル導体102,104の内周径に相当する距離D1に設定すれば、スパイラル導体102,104の内周部における巻数差は1/4ターンとなる。
これに対し、図7(b)に示すようにスパイラル導体102,104が円弧状であると、内周端102a,104aの距離をスパイラル導体102,104の内周径に相当する距離D2に設定すると、スパイラル導体102,104の内周部における巻数差は1/2ターンとなってしまう。つまり、スパイラル導体102,104が四角形状である場合と比べて、巻数差が増大してしまう。
このように、スパイラル導体102,104が円弧状である場合、内周端102a,104aの平面位置の相違によって対称性が崩れやすく、このため、スパイラル導体102,104が円弧状である場合は、内周端102a,104aの平面位置を近づける必要性が特に高くなる。例えば、スパイラル導体102,104の内周部における巻数差を図7(a)と同じ1/4ターンとするためには、図7(c)に示すように、内周端102a,104aの距離をかなり近づけなければならない。その結果、引き出し導体112,114の距離D3が必然的に近くなり、耐圧低下ひいてはショート不良が生じやすくなってしまう。
本発明は、このような問題を解決すべくなされたものであって、スパイラル導体間の寄生容量を低減しつつ、引き出し導体間の耐圧が高められたコモンモードチョークコイル及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明によるコモンモードチョークコイルは、積層された第1及び第2のスパイラル導体と、第1及び第2の端子電極と、第1のスパイラル導体の内周端と第1の端子電極とを接続する第1の引き出し導体と、第2のスパイラル導体の内周端と第2の端子電極とを接続する第2の引き出し導体と、第1及び第2のスパイラル導体間に設けられた複数の樹脂絶縁層とを備え、第1及び第2の引き出し導体は、複数の樹脂絶縁層のうち互いに異なる樹脂絶縁層上に形成されていることを特徴とする。
本発明によるコモンモードチョークコイルの製造方法は、積層された第1及び第2のスパイラル導体と、第1及び第2の端子電極と、第1のスパイラル導体の内周端と第1の端子電極とを接続する第1の引き出し導体と、第2のスパイラル導体の内周端と第2の端子電極とを接続する第2の引き出し導体とを備えるコモンモードチョークコイルの製造方法であって、第1の絶縁層上に第1のスパイラル導体を形成する工程と、第1のスパイラル導体上に第2の絶縁層をスピンコート法により形成する工程と、第2の絶縁層上に第1の引き出し導体を形成する工程と、第1の引き出し導体上に第3の絶縁層をスピンコート法により形成する工程と、第3の絶縁層上に前記第2の引き出し導体を形成する工程と、第2の引き出し導体上に第4の絶縁層をスピンコート法により形成する工程と、第4の絶縁層上に第2のスパイラル導体を形成する工程とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、第1及び第2の引き出し導体が同一平面上ではなく、異なる平面上に位置することになるため、これらの間の耐圧を高めることが可能となる。尚、本発明に類似した構造を有するコモンモードチョークコイルとしては、特許文献2及び3に記載されたコモンモードチョークコイルが知られている。しかしながら、特許文献2及び3に記載されたコモンモードチョークコイルは、絶縁層がセラミック材料によって構成されていることから、樹脂を用いた場合とは異なり、スパイラル導体間の距離を拡大することはそもそも容易である。これに対し、本発明では絶縁層が樹脂によって構成されていることから、平坦性を確保しつつ、スパイラル導体間の距離を拡大することは容易ではない。また、セラミック材料は樹脂と比べて誘電率がかなり高いことから、スパイラル導体間に生じる寄生容量を考慮した場合、絶縁層の材料としては不適切である。これらの点が、特許文献2及び3に記載されたコモンモードチョークコイルとの本質的な相違点である。
本発明においては、複数の樹脂絶縁層は合計厚さが10μm以上であり、スピンコート可能な樹脂材料によって構成されていることが好ましい。スパイラル導体間の距離が10μm以上である場合、これを1回のスピンコートによって平坦性良く形成することは困難であり、スピンコートを複数回行う必要が生じる。この場合、スパイラル導体間には必然的に複数の樹脂絶縁層が介在することから、これを有効活用することができる。
本発明においては、第1及び第2のスパイラル導体が円弧状であることが好ましい。上述の通り、スパイラル導体が円弧状である場合には、引き出し導体の距離が近くなりやすいため、本発明を適用する意義が大きいからである。本発明において「円弧状」とは、略真円形状、楕円形状、さらには、直線部分を有するが全体的に円形である形状などを含む概念である。
本発明においては、第1及び第2の引き出し導体の少なくとも一部が積層方向に重なりを有していることが好ましい。これによれば、一対のスパイラル導体だけでなく、引き出し導体の対称性についても高めることが可能となる。
本発明によるコモンモードチョークコイルは、第1の端子電極と第1の引き出し導体との間に接続された第3のスパイラル導体と、第2の端子電極と第2の引き出し導体との間に接続された第4のスパイラル導体とをさらに備えていることが好ましい。これによれば、容量性素子を伝送線路に挿入することによるインピーダンス不整合を解消することが可能となる。しかも、第1のスパイラル導体と第3のスパイラル導体は、第1の引き出し導体を経由して直列接続され、第2のスパイラル導体と第4のスパイラル導体は、第2の引き出し導体を経由して直列接続されることから、第3のスパイラル導体と他のスパイラル導体との磁気結合、並びに、第4のスパイラル導体と他のスパイラル導体との磁気結合を抑制することが可能となる。
このように、本発明によれば、スパイラル導体間の寄生容量を低減しつつ、引き出し導体間の耐圧を高めることができる。したがって、カットオフ周波数が高く、且つ、信頼性の高いコモンモードチョークコイルを提供することが可能となる。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の好ましい実施形態によるコモンモードチョークコイル100の構成を示す略斜視図である。
図1に示すように、本実施形態によるコモンモードチョークコイル100は、薄膜タイプのコモンモードチョークコイルであって、第1及び第2の磁性基板11A、11Bと、第1の磁性基板11Aと第2の磁性基板11Bに挟まれた層構造体12とを備えている。第1の磁性基板11A、層構造体12、第2の磁性基板11Bからなる積層体の外周面には、端子電極14a〜14dが形成されている。
第1及び第2の磁性基板11A、11Bは、層構造体12を物理的に保護すると共に、コモンモードチョークコイルの閉磁路としての役割を果たすものである。第1及び第2の磁性基板11A、11Bの材料としては、焼結フェライト、複合フェライト(粉状のフェライトを含有した樹脂)等を用いることができる。
図2は、層構造体12の略分解斜視図である。
図2に示すように、層構造体12は、複数の層が薄膜成形技術により積層形成されたものであり、第1〜第5の樹脂絶縁層15A〜15Eと、実際のコモンモードチョークコイルとして機能する第1及び第2のスパイラル導体21,22と、第1〜第4の引き出し導体31〜34とを備えている。本実施形態の層構造体12は、第1乃至第5の樹脂絶縁層15A〜15Eの間に設けられた4層構造の導電層を有している。
第1〜第5の樹脂絶縁層15A〜15Eは、各導体パターン間、或いは導体パターンと磁性基板とを絶縁すると共に、導体パターンが形成される平面の平坦性を確保する役割を果たす。特に、第1及び第5の樹脂絶縁層15A,15Eは第1及び第2の磁性基板11A、11Bの表面の凹凸を緩和し、導体パターンの密着性を高める役割を果たす。樹脂絶縁層15A〜15Eとしては、特に限定されるものではないが、ポリイミド樹脂やエポキシ樹脂等、電気的及び磁気的な絶縁性に優れ、加工性のよい樹脂材料を用いることが好ましい。
第1及び第2のスパイラル導体21,22の内側の中央領域には、第1〜第5の樹脂絶縁層15A〜15Eを貫通する開口25が設けられている。この開口25の内部には、第1の磁性基板11Aと第2の磁性基板11Bとの間に閉磁路を形成するための磁性体26が設けられている。磁性体26としては、複合フェライト等の磁性材料を用いることができる。
第1のスパイラル導体21は、第1の樹脂絶縁層15A上に設けられている。第1のスパイラル導体21はCu等の金属材料からなる。第1のスパイラル導体21の外周端は、第3の引き出し導体33を介して端子電極14aに接続されている。一方、第1のスパイラル導体21の内周端は、第2の樹脂絶縁層15Bを貫通するコンタクトホール24a及び第1の引き出し導体31を介して、端子電極14cに接続されている。
第2のスパイラル導体22は、第4の樹脂絶縁層15D上に設けられている。第2のスパイラル導体22もまたCu等の金属材料からなり、第1のスパイラル導体21と同一の平面形状を有している。第2のスパイラル導体22は、第1のスパイラル導体21と平面視で同じ位置に設けられており、第1のスパイラル導体21と完全に重なり合っていることから、第1のスパイラル導体21と第2のスパイラル導体22との間には強い磁気結合が生じている。第2のスパイラル導体22の外周端は、第4の引き出し導体34を介して端子電極14bに接続されている。一方、第2のスパイラル導体22の内周端は、第4の樹脂絶縁層15Dを貫通するコンタクトホール24b及び第2の引き出し導体32を介して、端子電極14dに接続されている。
このように、本実施形態によるコモンモードチョークコイル100は、第1及び第2のスパイラル導体21,22間に複数の樹脂絶縁層15B〜15Dが設けられており、これによって、第1のスパイラル導体21と第2のスパイラル導体22との距離が確保されている。このため、第1及び第2のスパイラル導体21,22間に生じる寄生容量が低減されることから、ディファレンシャルモード信号に対するカットオフ周波数を高めることが可能となる。
特に限定されるものではないが、第1及び第2のスパイラル導体21,22間に介在する樹脂絶縁層15B〜15Dの合計厚さは、10μm以上であることが好ましく、20μm程度であることが特に好ましい。これによれば、寄生容量が十分に低減されることから、カットオフ周波数を例えば5GHz以上とすることが可能となる。
しかも、第1及び第2の引き出し導体31,32は、第1及び第2のスパイラル導体21,22間において互いに異なる樹脂絶縁層15B,15C上に形成されている。このため、第1及び第2の引き出し導体31,32の平面視における距離が近い場合であっても、両者を確実に絶縁することができ、高い耐圧特性を得ることが可能となる。図7を用いて説明したように、スパイラル導体が円弧状である場合、内周端の平面位置の相違によって対称性が崩れやすいが、本実施形態によれば各スパイラル導体21,22の内周端の平面位置をほぼ一致させることが可能となり、高い対称性を確保することが可能となる。
また、第1及び第2の引き出し導体31,32が互いに異なる平面に形成されていることから、第1及び第2の引き出し導体31,32の一部が積層方向に重なりを有するように形成することも可能である。これによれば、より高い対称性を得ることが可能となる。
次に、本実施形態によるコモンモードチョークコイル100の製造方法について説明する。
図3は、本実施形態によるコモンモードチョークコイル100の製造工程を示すフローチャートである。
まず、第1の磁性基板11Aを用意する(ステップS1)。第1の磁性基板11Aとしては、多数のチップを同時形成可能なウェハ状の基板を用いることが好ましい。次に、磁性基板11A上に感光性樹脂(例えば感光性ポリイミド樹脂)をスピンコートし(ステップS2)、これを露光・現像することによって(ステップS3)、開口25を有する第1の樹脂絶縁層15Aを形成する。そして、蒸着法又はスパッタリング法により下地導電層を形成し、これを給電体としたメッキを行うことにより第1の樹脂絶縁層15A上に第1のスパイラル導体21を形成する(ステップS4)。この場合、下地導電層の全表面にレジストを形成し、フォトリソグラフィー法によって所定領域の下地導電層を露出させた後、メッキを行っても構わないし、或いは、フォトリソグラフィー法によって下地導電層をパターニングした後、メッキを行っても構わない。このようなステップS2〜S4を繰り返し実行することにより、図2に示した層構造体12が形成される。
このようにして第1の磁性基板11A上に層構造体12を形成した後、第2の磁性基板11Bを貼り付ける(ステップS5)。そして、ダイシングにより個別のチップに分割した後、端子電極14a〜14dを形成すれば(ステップS6)、本実施形態によるコモンモードチョークコイル100が完成する。
ここで、感光性樹脂のスピンコートにおいて高い平坦性を得るためには、塗布液の粘度を十分に低く調製する必要がある。その結果、1回のスピンコートによって形成可能な樹脂絶縁層の厚さは数μm程度に制限される。このため、第1及び第2のスパイラル導体21,22間の距離を10μm以上、例えば20μm程度とするためには、第1及び第2のスパイラル導体21,22間に形成する樹脂絶縁層を複数層とする必要が生じる。つまり複数回のスピンコートを行う必要が生じる。
しかしながら、本実施形態によるコモンモードチョークコイル100では、第1及び第2の引き出し導体31,32が、第1及び第2のスパイラル導体21,22間において互いに異なる樹脂絶縁層15B,15C上に形成されることから、これら複数の樹脂絶縁層を有効に利用することが可能となる。
尚、上記実施形態では、第1及び第2のスパイラル導体21,22が円弧状であるが、本発明がこれに限定されるものではなく、図4に示すようにスパイラル導体が四角形状であっても構わない。さらに、図5に示すように、樹脂絶縁層15A上に第3のスパイラル導体41を追加し、樹脂絶縁層15D上に第4のスパイラル導体42を追加することも可能である。
第3のスパイラル導体41は他のスパイラル導体と磁気結合しない導体であり、その内周端は、第2の樹脂絶縁層15Bを貫通するコンタクトホール24cを介して、第1の引き出し導体31に接続されている。すなわち、第3のスパイラル導体41は、第1の引き出し導体31を介して第1のスパイラル導体21に直列接続されている。第3のスパイラル導体41の外周端は、端子電極14cに接続されている。
第4のスパイラル導体42も他のスパイラル導体と磁気結合しない導体であり、その内周端は、第4の樹脂絶縁層15Dを貫通するコンタクトホール24dを介して、第2の引き出し導体32に接続されている。すなわち、第4のスパイラル導体42は、第2の引き出し導体32を介して第2のスパイラル導体22に直列接続されている。第4のスパイラル導体42の外周端は、端子電極14dに接続されている。
このようなスパイラル導体41,42を付加することにより、特性インピーダンスの調整を行うことができる。つまり、HDMI等の高速インターフェースでは、IC自体の構造がESD(Electrostatic Discharge:静電気放電)に対して脆弱であるため、その対策としてバリスタ、ツェナーダイオード等の容量性素子が伝送線路に挿入されることが多い。しかしながら、容量性素子を伝送線路に挿入すると、当該伝送線路を伝わる信号、特に高周波(200MHz以上)や高速のパルス信号が反射、減衰してしまうという問題がある。これは、容量性素子を伝送線路に挿入した場合、容量性素子が有する容量成分により、伝送線路における容量性素子を挿入した位置での特性インピーダンスが低下して、当該位置にてインピーダンス不整合となることに起因するものである。
このようなインピーダンスの不整合は、図5に示すコモンモードチョークコイルを用いることにより解消することが可能である。しかも、図5に示すコモンモードチョークコイルは、第3のスパイラル導体41と第4のスパイラル導体42がほぼ線対称な関係を有していることから、両者のインダクタンスのばらつきを低減することができ、特性インピーダンスの低下を確実に抑制することができる。
また、第1のスパイラル導体21と第3のスパイラル導体41は、互いの内周端において接続されており、同様に、第2のスパイラル導体22と第4のスパイラル導体42は、互いの内周端において接続されている。このため、両者を接続するためには必ず別の層に形成された引き出し導体31,32を経由する必要があり、両者を接続する配線距離は必然的に長くなる。このため、この部分において第1のスパイラル導体21と第2のスパイラル導体22の磁気的結合が大きく低下することになる。図5に示す例では、そのような磁気的結合が大きく低下する部分に第3及び第4のスパイラル導体41,42を設けていることから、第1及び第2のスパイラル導体21,22と、第3及び第4のスパイラル導体41,42との磁気結合を確実に抑制することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
例えば、上記実施形態では、第1及び第2のスパイラル導体21,22間に3層の樹脂絶縁層15B〜15Dが介在しているが、一対のスパイラル導体間に介在する樹脂絶縁層の数はこれに限定されない。したがって、第1及び第2のスパイラル導体21,22間の距離をより広くする必要がある場合には、例えば、樹脂絶縁層15Bと15Cとの間に1又は2以上の樹脂絶縁層を追加しても構わない。
さらに、上記実施形態では、感光性樹脂をスピンコートした後、これを露光・現像することによって開口を有する樹脂絶縁層を形成しているが、樹脂絶縁層に開口を形成する方法としてはこれに限定されるものではない。例えば、スピンコートによって樹脂絶縁層を形成した後、感光性レジストを形成し、これをマスクとしてエッチングを行うことによって樹脂絶縁層に開口を形成しても構わない。或いは、スピンコートによって樹脂絶縁層を形成した後、レーザビームを照射することによって樹脂絶縁層に開口を形成しても構わない。
さらに、上記実施形態では、樹脂絶縁層15A〜15Eに開口25が設けられ、ここに磁性体26が挿入されているが、本発明においてこのような開口及び磁性体を設けることは必須でない。
本発明の好ましい実施形態によるコモンモードチョークコイル100の構成を示す略斜視図である。 層構造体12の略分解斜視図である。 コモンモードチョークコイル100の製造工程を示すフローチャートである。 層構造体12の一変形例を示す略分解斜視図である。 層構造体12の他の変形例を示す略分解斜視図である。 一般的な差動伝送回路の回路図である。 (a)はスパイラル導体が四角形状である場合における引き出し電極の形成位置を示す模式的な平面図、(b)及び(c)はスパイラル導体が円弧状である場合における引き出し導体の形成位置を示す模式的な平面図である。
符号の説明
11A 第1の磁性基板
11B 第2の磁性基板
12 層構造体
14a〜14d 端子電極
15A〜15E 樹脂絶縁層
21 第1のスパイラル導体
22 第2のスパイラル導体
24a〜24d コンタクトホール
25 開口
26 磁性体
31〜34 引き出し導体
41 第3のスパイラル導体
42 第4のスパイラル導体
100 コモンモードチョークコイル

Claims (6)

  1. 積層された複数の樹脂絶縁層を含む層構造体と、前記層構造体の外部に設けられた第1乃至第4の端子電極とを備え、
    前記層構造体は、前記複数の樹脂絶縁層のうち第1の樹脂絶縁層上に形成された第1のスパイラル導体と、前記複数の樹脂絶縁層のうち第2の樹脂絶縁層上に形成された第2のスパイラル導体と、前記第1のスパイラル導体の内周端と前記第1の端子電極とを接続する第1の引き出し導体と、前記第2のスパイラル導体の内周端と前記第2の端子電極とを接続する第2の引き出し導体と、前記第1の樹脂絶縁層上に形成され前記第1の端子電極と前記第1の引き出し導体との間に接続された第3のスパイラル導体と、前記第2の樹脂絶縁層上に形成され前記第2の端子電極と前記第2の引き出し導体との間に接続された第4のスパイラル導体とを備え、
    前記第1及び第2のスパイラル導体の外周端は、前記第3及び第4の端子電極にそれぞれ接続されており、
    前記第1及び第2の引き出し導体は、前記複数の樹脂絶縁層のうち前記第1及び第2の樹脂絶縁層間に位置する第3及び第4の樹脂絶縁層上にそれぞれ形成されており、
    前記第3のスパイラル導体と前記第4のスパイラル導体は、平面視で線対称な関係を有しており、
    前記第3のスパイラル導体は、前記第1、第2及び第4のスパイラル導体のいずれとも磁気結合せず、
    前記第4のスパイラル導体は、前記第1乃至第3のスパイラル導体のいずれとも磁気結合しないことを特徴とするコモンモードチョークコイル。
  2. 前記第1及び第2の樹脂絶縁層間に位置する複数の樹脂絶縁層は合計厚さが10μm以上であり、スピンコート可能な樹脂材料によって構成されていることを特徴とする請求項1に記載のコモンモードチョークコイル。
  3. 前記第1及び第2のスパイラル導体が円弧状であることを特徴とする請求項1又は2に記載のコモンモードチョークコイル。
  4. 前記第1及び第2の引き出し導体の少なくとも一部が積層方向に重なりを有していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のコモンモードチョークコイル。
  5. 少なくとも第1乃至第4の絶縁層を含む複数の絶縁層と、積層された第1及び第2のスパイラル導体と、第1乃至第4の端子電極と、前記第1のスパイラル導体の内周端と前記第1の端子電極とを接続する第1の引き出し導体と、前記第2のスパイラル導体の内周端と前記第2の端子電極とを接続する第2の引き出し導体と、前記第1の端子電極と前記第1の引き出し導体との間に接続された第3のスパイラル導体と、前記第2の端子電極と前記第2の引き出し導体との間に接続された第4のスパイラル導体とを備え、前記第1及び第2のスパイラル導体の外周端が前記第3及び第4の端子電極にそれぞれ接続されたコモンモードチョークコイルの製造方法であって、
    前記第1の絶縁層上に前記第1及び第3のスパイラル導体を形成する工程と、
    前記第1及び第3のスパイラル導体上に前記第2の絶縁層をスピンコート法により形成する工程と、
    前記第2の絶縁層の前記第1及び第3のスパイラル導体の内周端に対応する位置にそれぞれコンタクトホールを形成する工程と、
    両端が前記第2の絶縁層に設けられたコンタクトホールを介してそれぞれ前記第1及び第3のスパイラル導体の内周端に接続された前記第1の引き出し導体を前記第2の絶縁層上に形成する工程と、
    前記第1の引き出し導体上に前記第3の絶縁層をスピンコート法により形成する工程と、
    前記第3の絶縁層上に前記第2の引き出し導体を形成する工程と、
    前記第2の引き出し導体上に前記第4の絶縁層をスピンコート法により形成する工程と、
    前記第4の絶縁層の前記第2の引き出し導体の両端に対応する位置にそれぞれコンタクトホールを形成する工程と、
    内周端が前記第4の絶縁層に設けられたコンタクトホールを介して前記第2の引き出し導体の一端に接続された第2のスパイラル導体及び内周端が前記第4の絶縁層に設けられたコンタクトホールを介して前記第2の引き出し導体の他端に接続された第4のスパイラル導体を前記第4の絶縁層上に形成する工程と、
    前記複数の絶縁層の外部に前記第1乃至第4の端子電極を形成する工程とを備え、
    前記第3のスパイラル導体と前記第4のスパイラル導体は、平面視で線対称な関係を有しており、
    前記第3のスパイラル導体は、前記第1、第2及び第4のスパイラル導体のいずれとも磁気結合せず、
    前記第4のスパイラル導体は、前記第1乃至第3のスパイラル導体のいずれとも磁気結合しないことを特徴とするコモンモードチョークコイルの製造方法。
  6. 少なくとも前記第2乃至第4の絶縁層は、樹脂材料によって構成されていることを特徴とする請求項5に記載のコモンモードチョークコイルの製造方法。
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