以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
実施の形態1
図2はこの発明の実施の形態1に係る画像形成装置としてのタンデム方式のフルカラープリンターを示すものである。なお、このタンデム方式のフルカラープリンターは、画像読取装置を備えており、フルカラーの複写機としても機能するようになっている。また、上記フルカラープリンターは、画像読取装置を備えていなくても良いのは勿論である。
図2において、1はタンデム方式のフルカラープリンターの本体を示すものであり、このフルカラープリンター本体1の上部の一端(図示例では、左端)には、原稿2の画像を読み取る画像読取装置(IIT:Image Input Ternal)4が配設されている。この画像読取装置4は、プラテンカバー3によって押圧された状態でプラテンガラス5上に載置された原稿2を光源6によって照明し、原稿2からの反射光像を、フルレートミラー7及びハーフレートミラー8、9及び結像レンズ10からなる縮小光学系を介してCCD等からなる画像読取素子11上に走査露光して、この画像読取素子11によって原稿2の画像を所定のドット密度(例えば、400dpiや600dpi)で読み取るように構成されている。
上記画像読取装置4によって読み取られた原稿2の画像は、例えば、赤(R)、緑(G)、青(B)(各8bit)の3色の画像データとして画像処理装置12(ImageProcessing System)に送られ、この画像処理装置12では、原稿2の画像データに対して、シェーディング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消し、色/移動編集等の所定の画像処理が施される。
そして、上記の如く画像処理装置12で所定の画像処理が施された画像データは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)(各8bit)の4色の画像データに変換され、次に述べるように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像形成ユニット13Y、13M、13C、13KのROS14Y、14M、14C、14K(RasterOutputScanner)に送られ、これらのROS14Y、14M、14C、14Kでは、各色の画像データに応じてレーザービームLBによる画像露光が行われることで、情報の書き込み処理が実行される。
上記フルカラープリンター本体1の内部には、図2に示すように、複数の画像形成手段として、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色に対応した画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kが、水平方向に一定の間隔をおいて直列的に配置されている。
これらの4つの画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kは、使用するトナーの色を除いて、基本的にすべて同様に構成されており、大別して、矢印A方向に沿って所定の回転速度で回転する感光体ドラム15と、この感光体ドラム15の表面を一様に帯電する接触帯電手段としての帯電ロール16と、当該感光体ドラム15の表面に各色の画像データに対応した画像を露光して静電潜像を形成する情報書き込み手段としてのROS14と、感光体ドラム15上に形成された静電潜像を対応する色のトナーで現像する現像装置17と、トナー保持部材18と、回転ブラシ19とを備えるように構成されている。
上記帯電ロール16としては、例えば、直流電圧(DC)のみを印加する方式のものや、交流電圧(AC)を重畳した直流電圧(DC)を印加する方式など、種々のものを使用することができ、本実施の形態では、交流電圧(AC)を重畳した直流電圧(DC)を印加する方式を採用している。
上記ROS14は、図2に示すように、半導体レーザー20を画像データに応じて変調して、この半導体レーザー20からレーザービームLBを画像データに応じて出射する。この半導体レーザー20から出射されたレーザービームLBは、反射ミラー21、22を介して回転多面鏡23によって偏向走査され、図示しないf−θレンズで走査角度に応じて焦点距離が調整された状態で、複数枚の反射ミラー24、25等を介して像担持体としての感光体ドラム15上に走査露光される。
上記画像処理装置12からは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像形成ユニット13Y、13M、13C、13KのROS14Y、14M、14C、14Kに各色の画像データが順次出力され、これらのROS14Y、14M、14C、14Kから画像データに応じて出射されるレーザービームLBが、それぞれの感光体ドラム15Y、15M、15C、15Kの表面に走査露光されて静電潜像が書き込まれる。上記各感光体ドラム15Y、15M、15C、15K上に形成された静電潜像は、現像装置17Y、17M、17C、17Kの現像ロール17aによって、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像として現像される。
上記各画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kの感光体ドラム15Y、15M、15C、15K上に、順次形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像は、図2に示すように、各画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kの下方に配置された中間転写体としての中間転写ベルト26上に、一次転写ロール27Y、27M、27C、27Kの圧接力及び静電気力によって互いに重ね合わされた状態で一次転写される。
また、上記一次転写工程では、感光体ドラム15Y、15M、15C、15K上に現像されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像が、中間転写ベルト26上に100%転写される訳ではなく、トナー像の一部が転写残留トナーとなって感光体ドラム15Y、15M、15C、15K上に残留することになる。感光体ドラム15Y、15M、15C、15K上に残留したイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の転写残留トナーは、後に詳述するトナー保持部材18によって保持されるとともに、その一部は感光体ドラム15に付着して移動し、回転ブラシ19によって回収(クリーニング)される。
なお、上記回転ブラシ19を設けずに、感光体ドラム15に残留した転写残留トナーを、現像装置17Y、17M、17C、17Kによって現像工程と同時に現像ロール17a内に回収(クリーニング)するように構成しても良い。
したがって、上記フルカラープリンターでは、感光体ドラム15Y、15M、15C、15K上の転写残留トナーを除去する格別なクリーニング機構部を待たずに、現像装置17の現像ロール17aの現像バイアスの設定条件を最適化することで、現像装置17で現像と転写残留トナーの回収(クリーニング)とが同時に行われる、所謂、クリーナレスシステムを採用することも可能である。
上記中間転写ベルト26は、ドライブロール28と、テンションロール29と、アイドルロール30などからなる複数のロールの間に一定のテンションで掛け回されており、図示しない定速性に優れた専用の駆動モーターによって回転駆動されるドライブロール28により、矢印B方向に沿って感光体ドラム15Y、15M、15C、15Kと等しい所定の速度で循環駆動されるようになっている。上記中間転写ベルト26としては、例えば、可撓性を有するポリイミド等の合成樹脂フィルムを無端ベルト状に形成したものが用いられる。
上記中間転写ベルト26上に多重に転写されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像は、バックアップロールとしても機能するドライブロール28に中間転写ベルト26を介して圧接する二次転写ロール31によって、圧接力及び静電気力で記録媒体としての記録用紙32上に二次転写され、これらの各色のトナー像が転写された記録用紙32は、定着装置33へと搬送される。そして、上記各色のトナー像が転写された記録用紙32は、定着装置33の加熱ロール34及び加圧ロール35によって熱及び圧力で定着処理を受け、プリンター本体1の外部に設けられた排出トレイ36上に排出され、一連のフルカラー画像の画像形成工程が終了する。
上記記録用紙32は、図2に示すように、給紙トレイ37から所定のサイズや材質のものが、フィードローラ38及び分離ローラ対39、40を介して1枚ずつ分離された状態で、レジストロール41まで一旦搬送されて停止される。そして、上記用紙トレイ37から給紙された記録用紙32は、所定のタイミングで再度回転が開始されるレジストロール41によって、中間転写ベルト26上のトナー像と同期した状態で、中間転写ベルト26の二次転写位置の上流側へと送出される。
なお、トナー像の二次転写工程が終了した後の中間転写ベルト26は、その表面がドライブロール28の外周に圧接する中間転写ベルトクリーナー42によって清掃され、次の画像形成工程に備えるようになっている。
次に、上記フルカラープリンターにおいて採用される画像形成時の主なゼログラフィックパラメータを示す。
感光体ドラム15 :直径約30.0mmの有機感光体
帯電電位V0=−500V(背景部電位)
露光後電位VL=−200V(画像部電位)
接触帯電器16 :半導電性ロールからなる帯電ロール
AC+DC接触帯電方式
Iac=0.65mA(AC成分電流値)
周波数f=614Hz(AC成分の電圧波形)
Vdc=−520V(DC成分電圧値)
露光装置14 :レーザー波長=780nm
現像方式 :乾式二成分現像方式
中間転写ベルト30 :ポリイミド製
プロセス速度 :104mm/秒
現像ロール17a :直径=16.0mm
回転速度=208mm/秒
回転方向は感光体ドラム15の回転方向と逆方向
現像バイアス:VDC=−400V(DC成分電圧値)
Vpp=1.5kv(AC成分電圧値(Peak to Peak)
周波数=6kHz(AC成分電圧波形)
現像ギャップ(感光体ドラム15と現像ロール17aとの間隔)
:約0.3mm
一次転写ロール :転写バイアス +500V〜+1000V、10μA
二次転写ロール :転写バイアス +1600V
トナー保持部材 :導電性ナイロン
印加電圧=−850V
回転ブラシ :導電性ナイロン
印加電圧=0V
ところで、この実施の形態では、回転する像担持体と、前記像担持体の表面を帯電する帯電手段と、前記帯電手段によって帯電された像担持体上に静電潜像を形成する情報書き込み手段と、前記像担持体上に形成された静電潜像に現像剤を供給して、当該静電潜像を可視化する現像手段と、前記現像手段によって可視化された現像像を転写材又は中間転写体に転写する転写手段と、前記転写手段の下流側かつ前記帯電手段の上流側に配設され、前記像坦持体と接触する接触面にトナーを保持するトナー保持部材と、を備えた画像形成装置において、前記トナー保持部材が捲縮加工を施した繊維を少なくとも含む部材からなるように構成したものである。
すなわち、この実施の形態に係るフルカラープリンターでは、図1及び図2に示すように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kにおいて、各感光体ドラム15Y、15M、15C、15Kの転写ロール27の下流側であって、かつ帯電ロール16の上流側に、それぞれ感光体ドラム15Y、15M、15C、15Kと接触する接触面にトナーを保持するトナー保持部材18が配設されている。
このトナー保持部材18は、例えば、図1に示すように、太さ2デニールの繊維を蜜に植毛したブラシ状部材からなるように構成されている。上記ブラシ状のトナー保持部材18を構成する繊維52としては、例えば、ナイロン、アクリル、ナイロンとポリエステルからなる重合材料など、種々のものを用いることができる。この実施の形態では、ブラシ状のトナー保持部材18を構成する繊維52として、カネボウ合繊株式会社の導電性を有する極細繊維である、1本の繊維の太さが約2デニール(D)であるナイロンからなる繊維(商品名:ベルトロン)が用いられる。また、上記ブラシ状のトナー保持部材18を構成する繊維52の植毛密度としては、例えば、216,000本/inch2 に設定される。なお、上記ナイロンからなる繊維には、カーボンブラック等の導電性材料が添加されており、導電性を有するようになっている。上記トナー保持部材18を構成するブラシ51としては、図3に示すように、太さ2デニール(D)のナイロンからなる繊維52を複数本束ねた状態で横パイル糸として、縦糸53と横糸54とからなる基布55の縦糸53に織り込んでいった横パイル織りの生地51が用いられる。
なお、上記横パイル織りの基布55を構成する縦糸53及び横糸54としては、例えば、導電性の繊維が用いられ、当該基布55は、導電性を有するように構成されている。また、基布糸は絶縁糸にし、後から基布を例えば裏側から導電性の液体に浸し、導電化処理を行ってもよい。
その際、上記縦糸53と横糸54とからなる基布55は、図3に示すように、2枚の基布55が所定の距離を隔てて互いに平行に配置され、これら2枚の基布55の縦糸53と横糸54との交差位置の間に、極細繊維52を複数本束ねた状態で横パイル糸を掛け渡すように、三次元的に織り込まれる。その後、上記極細繊維52を複数本束ねた状態で織り込まれた横パイル織りの生地51は、図3に示すように、極細繊維52を複数本束ねた状態で横パイル糸を、所定の長さでナイフ等によって切断することによって、図4及び図5に示すように、極細繊維52を所定の密度で植毛したブラシ51が形成される。
そして、この実施の形態では、図1(b)に示すように、ブラシ51を構成する繊維52として、捲いた状態で縮れるように処理された捲縮処理を施した繊維を使用するように構成されている。上記繊維52は、ブラシ51を構成する前に捲縮処理を施しても良いし、ブラシ51を構成した後に捲縮処理を施すように構成しても良い。また、上記繊維52は、先端部から基端部まで捲縮処理を施しても良いが、先端部の所定長だけ捲縮処理を施しても良い。さらに、上記繊維52の捲縮処理の程度は、なるべく捲いた状態で縮れるように処理されているのが望ましいが、少なくとも直線状の繊維に対して、その一部が縮れていれば良い。
上記繊維52に対する捲縮処理は、例えば、繊維52に機械的に外力を加えて処理を施しても良いし、繊維52に酸やアルカリ等の薬品を用いて化学的処理を施すようにしても良い。
上記ブラシ51は、例えば、電子写真装置用ブラシの製造メーカーである東英産業株式会社によって製造される。
さらに、上記ブラシ状のトナー保持部材51は、上述したように、予め2デニール程度の極細繊維52を横パイル織りの生地51に織り込んでいっても良いが、例えば、2デニールよりも太い繊維52を用いて、ブラシ状のトナー保持部材51を構成した後、1本の繊維を複数本に分割する割繊処理を施すことによって、1本の繊維52の太さが2デニール程度となるように構成しても良い。また、繊維52の太さが2デニールよりも細い1デニール以下の極細繊維になるようにしてもよい。
この場合、上記ブラシ51は、図6に示すように、当該ブラシ51全体をアルカリ溶液56に所定時間だけ浸漬することにより、図7に示すように、化学処理によって1本の極細繊維52を複数本の繊維52aに分割する割繊処理が行われ、1本の繊維52の太さが2デニール程度となるように構成しても良い。上記割繊処理によって1本の極細繊維52が分割される本数としては、アルカリ溶液の濃度や浸漬時間等によって調整されるが、例えば、1本の極細繊維52が10〜13本程度に分割される。その結果、割繊処理前の1本の繊維の太さが例えば約5デニール(D)であるナイロンとポリエステルからなる繊維52の場合、約0.3デニール程度の繊維52aに極細繊維化される。なお、割繊処理としては、アルカリ溶液による化学的な処理に限らず、水圧等による物理的な処理によっても勿論良い。
上記の如く構成されたブラシ51は、図1(b)及び図8に示すように、両面テープ57によってアルミニウムやステンレス等の金属板58に接着された状態で固定され、ブラシ状のトナー保持部材18が形成される。なお、上記ブラシ51の導電性繊維からなる基布55と、金属板58とは、図8に示すように、導電性テープや接導電性接着剤59を介して互いに接着され、電気的に導通状態が保持されるようになっており、金属板58には、必要に応じて、バイアス電源60によって所定のバイアス電圧(例えば、−850V程度)が印加されるように構成されている。
上記ブラシ51を構成する導電性を有する繊維52の抵抗値としては、例えば、図9に示すように、所定の本数束ねてテープ61で留めたものの、2cmの長さの抵抗値を測定した場合、108.5 Ω程度のものが用いられる。
また、上記ブラシ51を構成する繊維52としては、導電性のものに限らず、必要に応じて絶縁性の繊維を用いても良い。
また、上記回転ブラシ19としては、図1に示すように、通常の導電性繊維からなる回転ブラシが用いられ、当該回転ブラシ19によって感光体ドラム15の表面から除去されたトナーは、回収ロール62によって静電気力及び圧接力で回収され、回収ロール62によって回収された転写残留トナーは、スクレーパー63によって掻き取られる。なお、上記回転ブラシ19には、トナー保持部材18によってマイナス極性の電荷が注入されたトナーを静電的に付着させるため、例えば、所定の電位(接地電位:0V)に保持される。
参考例
次に、本発明者は、図1に示すような構成で、交流電圧を印加した帯電ロール16を用いて感光体ドラム15を帯電させ、当該感光体ドラム15の表面に付着した放電生成物を除去させるための固定ブラシ18及び回転ブラシ19のみを感光体ドラム15に接触させて、28℃、85%の高温高湿環境下で1時間、感光体ドラム15を約4000サイクル回転させた後、感光体ドラム15表面の水の接触角が何度低下したか(放電生成物除去の指標)および雨だれFilmingがどの程度発生したかを調べる実験を行った。
この参考例では、固定ブラシ18として直線状の繊維を使用したものを用いている。
水の接触角は、初期状態では90度であり、10度以上低下すると白抜けが発生することがわかっている。また、雨だれ状Filmingは、光学顕微鏡で観察し、その発生程度によりGO(未発生)、G1(ほとんど発生せず、画質白抜けは未発生)、G2(若干発生し、プリント上に白抜けも若干発生)、G3(発生し、プリント上に白抜けが部分的に筋状に発生)、G4(かなり発生し、プリントの半分が白抜け)、G5(ほぼ全面にひどく発生し、プリントのほぼ全面が白抜け)の5段階に分類した。G1以下が問題無いと判断してよい。
回転ブラシ19としては、直径Φ10mm、12mm、シャフト径Φ5mm、Φ6mm、繊維太さ2d、4d、6d、回転速度0〜104mm/s、回転方向は感光体ドラム15とつれ回り方向(以下With)と逆方向(以下Against)にそれぞれ設定したものを用い、固定ブラシ18はプロセス方向幅5mm、毛長4、5、6mm、繊維太さ2d、4d、6dとし、各条件を適当に振り、ブラシの先端力をさまざまに変えて実験を行った。
図10は固定ブラシ18にトナーをまったく保持させなかった場合の結果である。水接触角の低下を10度以下に抑制するには、約4g/cm以上の先端力が必要になるが、雨だれFilmingをG1以下にするには約1.5g/cm以下である必要がある。したがって、放電生成物による白抜けの防止と雨だれFilmingによる画質ディフェクトの防止を両立させることはできない。
ここで、固定ブラシ18の全面にトナーを十分保持させて上記同様の実験を行った。その結果、図11に示すように、トナーを保持させた固定ブラシ18では、約1g/cm以上の先端力があれば水の接触角の低下を10度以下に抑制でき、放電生成物除去と雨だれFilmingの防止が両立できることがわかる。
また、同様に不織布を用いた実験も行った。ここで用いた不織布は約0.3d相当の太さ(直径約5μm)のナイロンとポリエステルの微細繊維からなるものである。不織布からなるトナー保持部材18としては、図12に示すように、不織布70の厚みは500μmであり、3mm厚みのウレタンスポンジ71の表面に接着されている。なお、ウレタンスポンジ71は、板金72上に接着され固定されている。ブラシのように先端力を測定することができないために、ここでは、不織布70の感光体ドラム15に対する食込み量に対して水の接触角の低下度合いと雨だれFilmingを調べた。
図13に示すように、トナーが無い場合は、食込み量0.8〜1mmの範囲に両立させる領域があるものの、非常に狭い範囲である。これに対して、図14に示すように、トナーを保持させた不織布では、およそ0.15〜1mmの範囲がOKであり、トナー保持により大きく放電生成物除去性能が上がりウィンドウが広がっていることがわかる。
このように、トナー自体に放電生成物を除去する効果がありトナーをブラシや不織布などに積極的に保持させることで、トナーが無い場合に比較して低い当接圧で放電生成物を除去することが可能になる。したがって、低い圧力であるために雨だれFilmingも防止することが可能である。
導電性のブラシおよび不織布のトナー付着状態をSEMで観察すると微細繊維の不織布の方が導電性のブラシの毛よりも高密度にトナーが付着していることが判明した。トナーがより密に表面に付着しているために、トナーのかきとり効果が不織布ではより大きく発揮されたために放電生成物除去性能が高かったと推察できる。したがって、より高密度に表層にトナーを保持できる保持部材であれば、ブラシや不織布以外でも十分放電生成物除去性能を高めることができると考えられる。
前記したように、トナー保持により導電性のブラシ18は、Filmingを防止しつつ放電生成物による白抜けも防止する先端力の良好な範囲が確保できているものの、その範囲はトナー保持性の高い不織布に比べると狭い。そのために、ブラシ繊維のパイルハイトのばらつきや感光体ドラム15ヘの食い込み量のばらつきなどを考慮すると、先端力も大きくばらつき、まれに上記先端力の良好な範囲外に出てしまい放電生成物による白抜けやFilmingによる画質ディフェクトが発生することもあった。
ブラシでも不織布のように感光体との接触面に多量のトナーを保持することができれば、同一先端力あるいは圧接力でも、より多くの放電生成物を除去することができるはずであり、結果的に先端力や圧接力などの良好な領域を広げることができる。
実験例
そこで、次に、本発明者は、捲縮処理を施した繊維52からなる固定ブラシ51と通常の(直毛の)繊維からなるブラシにて接触角の回復性をみるテストを実施し放電生成物除去性能に差があるかどうかを調べた。
また、同時に不織布についても通常の(直毛の)繊維からなる不織布と捲縮処理を施した繊維からなる不織布についても同様の実験を実施した。通常の繊維からなる不織布でもブラシに比較すると非常に高い放電生成物除去性を示すことは前記した通りであるが、捲縮処理を施すことでさらに高い除去性能の実現を狙ったものである。
以下に実験方法を示す。
(1) あらかじめ一定量のトナーを現像した感光体ドラム15に固定状のブラシ18を装着し、感光体ドラム15を回転させてブラシ18にトナーを堆積させる。
(2)(1)とは別の感光体ドラム15に帯電ロール16のみを装着し、一定時間(例えば、10分程度)だけ感光体ドラム15を回転させながら、帯電ロール16を放電させることによって、放電生成物が付着した感光体ドラム15を作成した。
(3)(1)で作成した放電生成物が付着した感光体ドラム15に(1) で作成したトナー保持ブラシ18を装着し、感光体ドラム15を回転させて水の接触角を測定し、当該水の接触角の回復度合いを調べた。
また、同時に、上記各々のブラシについて、実際の通紙テストを実施し、放電生成物による画像の白抜けが発生するかどうかも調べた。さらに、通紙テスト実施後にブラシに保持されているトナーの重量も調べた。
使用したブラシ:
通常のブラシは2デニール、430Kf/inch2 、ブラシ長さ6mm
捲縮ブラシは2デニール、216Kf/inch2 、ブラシ長さ5.5mm(捲縮処 理後のブラシの高さであり、伸ばした状態の繊維長はもっと長い。)
上述したどのブラシも、感光体ドラム15に対してフィルミングが発生しない範囲の同一の圧接力となるように食い込み量を調整した。
通常の不織布:直径約5μmの絶縁性のナイロンとポリエステルを混ぜたものである。厚みは500μmであり、3mm厚みのウレタンスポンジ上に接着されている。
捲縮処理不織布:上記と同じ構成であるが、繊維のみ捲縮処理を施している。なお、不織布もそれぞれ同一圧力に調整した。
図15乃至図17は上述したように、放電生成物が付着した感光体ドラム15にトナー保持ブラシ18及び不織布を装着し、感光体ドラム15を回転させて水の接触角を測定し、当該水の接触角の回復度合いを調べた実験の結果を示すグラフである。
この図15乃至図17から明らかなように、捲縮処理を施したブラシ18は、通常のブラシに比較して、回復速度が速く(曲線の立ち上がりの傾きが大きく)、最終的に飽和した接触角の値も88度と高く、大幅に放電生成物の除去性能が向上していることがわかる。また、捲縮処理を施した不織布は、通常の不織布に比較してブラシ同様に、放電生成物の除去性が向上していることがわかる。
図18に示すSEMによる観察写真でも、通常の直毛のブラシに比較して、捲縮処理を施したブラシの方が感光体接触部の繊維に付着しているトナーの量が明らかに多く、そのために放電生成物の除去性能が向上したと考えられる。捲縮処理を施した繊維は、繊維が直線ではなく曲率をもっているために、トナーが曲がった繊維にせき止められやすいためと考えられる。
なお、SEMによる観察写真では、不織布においても、同様に捲縮処理を施したものの方が付着トナー量が多かった。
実施例1
図2に示すフルカラープリンタのシステムを実際に動作させて、28℃、85%の高温高湿環境下において、画像の白抜けの発生状態を確認する実施例を行った。
本実施例では、トナー保持部材として不織布を用い、直径約15μmの導電性ナイロンと直径約5μmの絶縁性のナイロンとポリエステルを混ぜたもので厚みは500μmであり、3mm厚みのウレタンスポンジ上に接着されている。また、繊維はいずれも捲縮処理を施したものを用いている。
感光体ドラム15は、AC電圧が印加された帯電ロール16にて所望の表面電位に帯電された後、レーザービーム等の情報書込手段14により静電潜像が形成される。静電潜像は、現像装置17により可視化され、トナー像が形成される。トナー像は、中間転写ベルト26上に一次転写ロール27によって静電気的に転写される。転写工程後の感光体ドラム15上の残留トナー、及び中間転写ベルト26上から感光体ドラム15上に再転写された逆極性のトナー(以下、「リトランスファートナー」という。)は、放電生成物除去のために配置された、導電性を有する不織布18に放電がおこるバイアスを印加(ここでは−850V)することで、マイナスに帯電調整される。このマイナスに帯電調整されたトナーは、回転する導電性を有する回転ブラシ19にDC0Vを印加することによりクリーニングされる。なお、導電性を有するブラシ18を通過した後の感光体ドラム15の電位が、約−400Vであるために、回転ブラシ19を0Vにすることで、相対的な電位差によってマイナス極性のトナーをクリーニングすることができる。このクリーニングされたトナーは、図1に示すように、回収ロール62に移されて、スクレーパー63で剥ぎ落とされ回収される。なお、バイアス関係は、上記の値に限定されるものではない。
本実施例では、転写残トナーやリトランスファートナーをマイナスに帯電調整させるために、導電性であることが必要であったために、いずれも導電性繊維52と絶縁性繊維を混ぜた不織布18、19を使用したが、そうでないシステムであれば、絶縁性の繊維のブラシを使用しても何ら問題は無い。また、本実施例では、布部材として不織布を使用したが、織った布や編んだ布など別の部材を使用してもよい。
また、導電性毛のみにしなかったのは、直径5μm程度の微細な繊維の方がトナーが高密度に保持され放電生成物のかきとり能力が高いためである。現在のところ、導電性毛で最も微細なものは直径約10〜15μmのものが一般的であり、導電性毛で細いものがあればそれのみを用いて、不織布を形成しても何ら問題がない。また、それほどかきとり能力が高くなくても良いシステムならば、例えば15μmの導電性毛のみで不織布を形成しても何ら問題はない。
また、トナー保持部材18の放電生成物の除去性能を軸方向に均一化するために、軸方向に揺動させるオシレーション動作を適宜挿入するなどしてもよい。
また、使用しているうちに十分トナーが固定ブラシ18に保持されるようになるので、本実施例では特に何も処理を施していないが、システムによってより高い掻き取り能力が必要なときなどは、最初から十分な掻き取り能力を付与するために、トナー保持部材18をトナーで最初から汚しておくなどすることも可能である。
また、本実施例では、回転ブラシ19に回収ロール62とスクレーパー63を用いたが、例えば、転写残留トナーやリトランスファートナーが少ないシステムでは、図19に示すように、フリッキング用のバー64のみを設けるなど簡易的な回収系にしてもなんら問題はなく、限定されるものではない。
上記条件で、3万枚の通紙テストを行ったところ、最後まで放電生成物による白抜けや雨だれフィルミングによる白抜けは発生しなかった。
以上のように、トナーを保持させた捲縮処理を施した繊維からなる不織布により長期にわたって放電生成物の除去と雨だれフィルミングの発生を防止することができる。
実施例2
本実施例2では、トナー保持部材として、不織布を固定ブラシ18に変えたものを使用した。固定ブラシ18は、2デニール(直径約15μm)の導電性のナイロンと0.3デニール相当(直径約5μm)の絶縁性微細ナイロンを混紡したブラシである。また、繊維はいずれも捲縮処理が施されている。
この実施例2でも、転写残トナーやリトランスファートナーをマイナスに帯電調整させるために、ブラシを構成する繊維が導電性であることが必要であり、前記したように導電性繊維と絶縁性繊維を混ぜた構成にした。また、導電性繊維のみにしなかったのは、直径5μm程度の微細な繊維の方がトナーを高密度に保持することができ、放電生成物の掻き取り能力が高いためである。現在のところ、導電性繊維で最も微細なものは直径約10〜15μmのものが一般的であり、導電性繊維で細いものがあればそれのみを用いて、ブラシを形成しても良い。また、それほど掻き取り能力が高くなくても良いシステムならば、例えば直径15μmの導電性繊維のみで固定ブラシを形成しても良い。
また、使用しているうちに十分トナーが固定ブラシに保持されるようになるので放電生成物のかきとり能力に間題はなかったが、システムによってより高いかきとり能力が必要なときなどは、最初から十分なかきとり能力を付与するために、固定ブラシをトナーで最初から汚しておくように構成しても良い。
また、トナー保持固定ブラシの放電生成物除去性能を軸方向に均一化するために、固定ブラシを軸方向に沿って揺動させるように構成してもよい。
また、本実施例では、回転ブラシ18に回収ロール62とスクレーパー63を用いたが、例えば転写残留トナーやリトランスファートナーが少ないシステムでは、フリッキング用のバーのみを設けるなど簡易的な回収系にしてもなんら問題はなく、限定されるものではない。
上述した条件で、3万枚の通紙テストを行ったところ、最後まで放電生成物による白抜けや雨だれFilmingによる白抜けは未発生であった。
以上のように、トナーを保持させた捲縮処理を施した固定ブラシにより長期にわたって放電生成物の除去と雨だれFilmingの発生を防止することができた。
実施例3
本実施例3では、トナー保持部材18である不織布としてトナーを保持させた直径約5μmの絶縁性のナイロンとポリエステルを混ぜたものを用いている。厚みは500μmであり、3mm厚みのウレタンスポンジ上に接着されている。また、繊維はいずれも捲縮処理が施されている。また、バイアスは印加していない。
また、不織布の下流側には、図1に示すように、実施例1及び2と同様に導電性の回転ブラシ19が配設されているが、印加電圧はDC−200V、ACVpp800Vとした
。また、回転ブラシ19にはフリッキングバー64を取り付け、トナーをたたき落として回収するように構成されている。その他の構成は前記実施例と同様である。
この実施例3は絶縁性の微細繊維のみからなる不織布のみを用いたために放電生成物の掻き取り能力が高いことが期待できる。しかしながら、実施例1及び2と異なり絶縁性であるためにトナーの極性、帯電調整はできないために、下流側の回転ブラシにAC電圧を印加することで、転写残トナーとリトランスファートナーの両方をクリーニングするように構成されている。また、転写残トナーやリトランスファートナーの量が比較的少なかったために、クリーニングしたトナーはフリッキングバーのみで回収するようにしたが、それに限定されるものではない。
また、AC印加の1本のブラシのみで対応したが、スペースが許されるならば、2本の回転ブラシを使用してそれぞれの極性のトナーをそれぞれの回転ブラシでクリーニングするようにしても構わない。また、2本のブラシに回収ロールとスクレーパーを使用する場合や、フリッキングバーなどのみを使用する場合などスペースや転写残トナー、リトランスファートナーの量などそのシステムに応じて適宜決定すればよく何ら限定されるものではない。
また、本実施例3では、捲縮処理を施した絶縁性の微細繊維のみからなる不織布を用いたが、同様に捲縮処理を施した絶縁性の微細繊維からなるブラシを用いてもよく限定されるものではない。また、本実施例では、布部材として不織布を使用したが、織った布や編んだ布など別の部材を使用してもよい。
上述した条件で、3万枚の通紙テストを行ったところ、最後まで放電生成物による白抜けや雨だれフィルミングによる白抜けは未発生であった。
以上のように、トナーを保持させた捲縮処理を施した固定ブラシにより長期にわたって放電生成物の除去と雨だれフィルミングの防止を可能にできた。
実施例4
本実施例4は前記実施例3と同様の構成に構成されている。ただし、トナー供給モードとして、図20に示すように、マシンの電源投入直後に感光体ドラム15の軸方向に全面でプロセス方向に幅3cmの100%のベタ画像Tを現像させた。このとき転写電源はオフさせておき100%のトナー像が不織布にすべて突入するようにした。トナー像は不織布によりクリーニングされて、軸方向全面に不織布がトナーを保持した状態になる。残ったトナーは下流側の回転ブラシ19でクリーニングされる。こうすることで画像形成装置がユーザーの下に設置されてはじめて電源が投入されたときに、トナー供給モードが入ることで最初から不織布がトナーを保持した状態になり、より確実に放電生成物を除去することが可能になる。
また、本実施例4では捲縮処理を施した絶縁性の不織布を用いたが導電毛の不織布、導電毛と絶縁毛を混ぜた不織布、および固定ブラシなどを用いても何ら問題はなく限定されるものではない。また、本実施例では、布部材として不織布を使用したが、織った布や編んだ布など別の部材を使用してもよい。
また、下流側の回転ブラシの印加電圧や構成なども前記同様にシステムに応じて適宜決定すればよく限定されるものではない。
実施例5
本実施例5は実施例4と同様の構成にて、3万枚のプリントテストを行った。1つのジョブで100枚プリントした後3秒休止し、それを繰り返して3万枚までプリントを続けた。この実施例では500枚おきのプリント直後のジョブ終了後にトナー供給モードとして、図20に示すように、感光体ドラム15の軸方向に全面でプロセス方向に幅3cmの100%のベタ画像を現像させた。このとき、転写電源はオフさせておき100%のトナー像が不織布にすべて突入するようにした。
トナー像は不織布18によりクリーニングされて、軸方向表面に捲縮処理が施された不織布がトナーを保持した状態になる。残ったトナーは下流側の回転ブラシでクリーニングされる。こうすることで偏った画像がプリントされても定期的にトナー保持用不織布の軸方向全面がトナーを保持した状態になるので確実に放電生成物を除去することが可能になる。
また、本実施例5では500枚ごとのジョブ終了時にトナー供給モードを入れたが、ジョブ開始時に入れてもよいし、ジョブ終了時とジョブ開始時の両方に入れるように構成しても良い。システムに応じてトナー供給モードを入れる枚数なども適宜決定すればよい。
また、本実施例では捲縮処理を施した絶縁性の不織布を用いたが、導電性繊維の不織布、導電性繊維と絶縁性繊維を混ぜた不織布、あるいは固定ブラシなどを用いても何ら問題はなく、限定されるものではない。また、本実施例では、布部材として不織布を使用したが、織った布や編んだ布など別の部材を使用してもよい。
また、下流側の回転ブラシの印加電圧や構成なども前記同様にシステムに応じて適宜決定すればよく限定されるものではない。
上述した条件で、3万枚の通紙テストを行ったところ、最後まで放電生成物による白抜けや雨だれフィルミングによる白抜けは未発生であった。
以上のように、トナーを保持させた捲縮処理を施した不織布や固定ブラシに定期的にトナーを供給することにによりより確実に長期にわたって放電生成物の除去と雨だれフィルミングの発生を防止することができた。
実施例6
本実施例6は実施例1と同様の構成において、3万枚のプリントテストを行った。1ジョブが100枚であり3秒休止し、それを繰り返し3万枚までプリントを続けた。本実施例6では500枚おきのプリント直後のジョブ終了時にトナー供給モードとして、図19に示すように、感光体ドラム19の軸方向に全面でプロセス方向に幅3cmの100%のベタ画像Tを現像させた。このとき転写電源はオフさせておき100%のトナー像が捲縮不織布にすべて突入するようにした。また、供給されたトナー像はマイナス極性であるので、不織布18は+200Vを印加することでその大部分を積極的に保持する電圧を印加
した。こうすることで、トナー像は不織布18によりクリーニングされて、軸方向全面に不織布18が多量のトナーを保持した状態になる。残ったトナーは下流側の回転ブラシ19でクリーニングされる。こうすることで偏った画像がプリントされても定期的にトナー保持用不織布の軸方向全面がトナーを保持した状態になるので確実に放電生成物を除去することが可能になる。
また、本実施例6では500枚ごとのジョブ終了時にトナー供給モードを入れたが、ジョブ開始時に入れてもよいし、両方入れてもかまわない。システムに応じてトナー供給モードを入れる枚数なども適宜決定すればよい。
また、本実施例6では捲縮処理を施した絶縁性毛と導電性毛を混ぜた不織布を用いたがトナー供給モード時に供給されたトナーを積極的に保持する電界をかけるために、導電毛単独の不織布、および絶縁毛と導電性毛を混ぜた固定ブラシ、導電毛単独の固定ブラシなどを用いても何ら問題はなく限定されるものではない。また、本実施例では、布部材として不織布を使用したが、織った布や編んだ布など別の部材を使用してもよい。
また、下流側の回転ブラシ19の印加電圧や構成なども前記同様にシステムに応じて適宜決定すればよく限定されるものではない。
上述した条件で、3万枚の通紙テストを行ったところ、最後まで放電生成物による白抜けや雨だれフィルミングによる白抜けは未発生であった。
以上のように、トナーを保持させた捲縮処理を施した不織布や固定ブラシに定期的にトナーを供給し、そのトナーを積極的に保持させる電圧を印加することにより確実に長期にわたって放電生成物の除去と雨だれFilmingの防止を可能にできた。
実施例7
本実施例7は実施例1と同様の構成にて、3万枚のプリントテストを行った。1つのジョブあたり100枚であり3秒休止し、それを繰り返し3万枚までプリントを続けた。本実施例7では500枚おきのプリント直後のジョブ終了時にトナー供給モードとして、図19に示すように、感光体ドラム15の軸方向に全面でプロセス方向に幅3cmのl00%のべた画像を現像させた。このとき転写電源はオフさせておき100%のトナー像が不織布18にすべて突入するようにした。
また、このとき不織布18にはDC−200V、+ACVpp800Vの電圧を印加することで、その大部分を積極的に保持する電圧を印加した。こうすることで、トナー像は捲縮処理された不織布18によりクリーニングされて、軸方向全面に不織布18が多量のトナーを保持した状態になる。残ったトナーは、下流側の回転ブラシ19でクリーニングされる。
こうすることで偏った画像がプリントされても定期的にトナー保持用不織布18の軸方向前面がトナーを保持した状態になるので確実に放電生成物を除去することが可能になる。
また、本実施例7では500枚ごとのジョブ終了時にトナー供給モードを入れたが、ジョブ開始時に入れてもよいし、両方入れてもかまわない。システムに応じてトナー供給モードを入れる枚数なども適宜決定すればよい。
また、本実施例7では捲縮処理を施した絶縁性毛と導電性毛を混ぜた不織布を用いたが、トナー供給モード時に供給されたトナーを積極的に保持する電界をかけるために、導電毛単独の不織布、および絶縁毛と導電性毛を混ぜた固定ブラシ、導電毛単独の固定ブラシなどを用いても何ら問題はなく限定されるものではない。また、本実施例では、布部材として不織布を使用したが、織った布や編んだ布など別の部材を使用してもよい。
また、下流側の回転ブラシの印加電圧や構成なども前記同様にシステムに応じて適宜決定すればよく限定されるものではない。
上述した条件で、3万枚の通紙テストを行ったところ、最後まで放電生成物による白抜けや雨だれFilmingによる白抜けは未発生であった。
以上のように、トナーを保持させた捲縮処理を施した不織布や固定ブラシに定期的にトナーを供給し、そのトナーを積極的に保持させる電圧を印加することにより確実に長期にわたって放電生成物の除去と雨だれFilmingの防止を可能にできた。
実施例8
図21に示したように、感光体ドラム15はACが印加される帯電ロール16にて所望の表面電位に帯電された後、レーザ光等の画像書込手段14により静電潜像が形成される。静電潜像は現像装置17により可視化され、トナー像が形成される。トナー像は、中間転写ベルト26上に一次転写ロール27により静電気的に転写される。転写工程後の感光体ドラム15上の残留トナーおよび中間転写ベルト26上から感光体上に再転写された逆極性のトナー(以下、リトランスファートナー)は、放電生成物除去のために配置された導電性を有する不織布18にDC−200V、+ACVpp800Vの電圧が印加され、一部がクリーニングされる。また、すり抜けたトナーは、回転する導電性を有するブラシ19にDC+200Vを印加することによりクリーニングされる。このシステムは、リトランスファートナーがあまり発生しないような転写システムになっており、回転ブラシ19に突入するトナーはほとんどマイナスの転写残トナーである。クリーニングされたマイナストナーは、100枚ごとに回転ブラシ19に印加するブラシ電圧を−600Vに切り替えることで、感光体ドラム15上に吐き出される( 吐き出しモード) 。このマイナストナーは、一部は現像装置17で回収される。また、回収しきれなかったトナーは、転写部によって中間転写ベルト26上に転写され、ベルト用のクリーナー42で回収される。なお、バイアス関係や吐き出しモードが入る枚数などは限定されるものではない。
また、本実施例8ではトナー保持用の不織布18にACを印加したがDCを印加したり、フロート状態にしたりしてもよく、システムにより適宜決定され限定されるものではない。
このように、いわゆるクリーニングの回収系をもたないクリーナレスシステムにおいても放電生成物除去用のトナー保持用の捲縮不織布18を使用することができる。また、捲縮不織布ではなくて捲縮固定ブラシを用いても何ら問題はない。
実施例9
図21に示したように、感光体ドラム15はAC印加の帯電ロール16にて所望の表面電位に帯電された後、レーザ光等の画像書込手段14により静電潜像が形成される。静電潜像は現像装置17により可視化され、トナー像が形成される。トナー像は、中間転写ベルト26上に一次転写ロール26により静電気的に転写される。転写工程後の感光体ドラム15上の残留トナーおよび中間転写ベルト26上から感光体上に再転写された逆極性のトナー(以下、リトランスファートナー)は、放電生成物除去のために配置された捲縮処理を施した導電性を有する不織布18にDC−200V、+ACVpp800Vの電圧が印加され、一部がクリーニングされる。また、すり抜けたトナーは回転する導電性を有するブラシにDC−850Vを印加することによりマイナス放電を発生させ、トナーの極性をマイナスに揃える。このマイナス極性に揃ったトナーはACが印加される帯電ロール16に突入するが、十分にマイナスに帯電しているために帯電ロール16を汚しすぎることはなく、すり抜けて現像装置17で回収されることになる。
回転ブラシ19は、トナーの帯電調整ブラシとして機能しているが、一部のプラストナーにより汚れてくるので、100枚ごとにブラシ電圧を+200Vに切り替えることで感光体ドラム15上にプラストナーが吐き出される( 吐き出しモード) 。このプラストナーは、転写電圧をマイナスに切り替えることによって中間転写ベルト26上に転写され、ベルト用のクリーナー42で回収される。なお、バイアス関係や吐き出しモードが入る枚数などは限定されるものではない。
また、本実施例9ではトナー保持捲縮不織布18にACを印加したがDCを印加したり、フロートにしたりしてもよくシステムにより適宜決定され限定されるものではない。
このように、いわゆるクリーニングの回収系をもたないクリーナレスシステムにおいても放電生成物除去用のトナー保持捲縮不織布を使用することができる。また、捲縮不織布ではなくて捲縮固定ブラシを用いても何ら問題はない。
実施例10
図22に示したように、感光体ドラム15はAC印加の帯電ロールにて所望の表面電位に帯電された後、レーザ光等の画像書込手段14により静電潜像が形成される。静電潜像は現像装置17により可視化され、トナー像が形成される。トナー像は、中間転写ベルト26上に一次転写ロール27により静電気的に転写される。転写工程後の感光体ドラム15上の残留トナーおよび中間転写ベルト26上から感光体ドラム15上に再転写された逆極性のトナー(以下、リトランスファートナ一)は、放電生成物除去のために配置された捲縮処理を施した絶縁性の不織布18に突入し、不織布18がトナーを保持した状態になる。また、すり抜けたトナーは、下流側に配置されたクリーニングブレード75により感光体ドラム15上より除去される。
本実施例10では、捲縮処理を施した絶縁性の不織布18を用いたが、クリーニングブレード75の前でトナーと感光体ドラム15の付着力を弱めるなどのために放電を起させたりする場合には、捲縮処理を施した導電毛からなる不織布、導電毛と絶縁毛をまぜた不織布、あるいは、導電毛からなる固定ブラシ、導電毛と絶縁毛をまぜた固定ブラシなどを用いてバイアスを印加するなどすることもできる。また、本実施例では、布部材として不織布を使用したが、織った布や編んだ布など別の部材を使用してもよい。
また、トナー保持用の不織布18の放電生成物除去性能を軸方向に均一化するために、軸方向に揺動させるように構成してもよい。
また、使用しているうちに十分トナーが不織布18に保持されるようになるので、放電生成物のかきとり能力に問題はなかったが、システムによってより高いかきとり能力が必要なときなどは、最初から十分なかきとり能力を付与するために、不織布18をトナーで最初から汚しておいたり、前記したようにトナー供給モードで不織布18を定期的に十分トナーを保持した状態にしてもよい。
上述した条件で、3万枚の通紙テストを行ったところ、最後まで放電生成物による白抜けは未発牛であり、また、しばしば起こりやすい感光体ドラム15への放電生成物付着による摩擦アップに起因したブレード75のめくれや鳴き、ブレードエッジの欠けや極端な磨耗によるクリーニング不良などの障害も未発生であった。
以上のように、トナーを保持させた捲縮処理を施した不織布により長期にわたって放電生成物の除去を可能にしブレード75のめくれや鳴き、ブレードエッジの欠けや極端な磨耗によるクリーニング不良などの障害を防止することが可能になった。
実施例11
図23及び図25に示したように、トナー保持部材18としては、固定型のブラシに限らず、回転ロール型のブラシ80として構成しても勿論良い。
この回転ロール型のブラシ80としては、図23乃至図25に示すように、金属等の導電性を有する軸部材81の表面に、接着剤82を螺旋状に塗布し、この軸部材81の表面に図4に示すような基布55を、反対の螺旋状に巻き付けていくことによって、繊維52が密に植毛された回転ロール型のブラシを用いても良い。この回転ロール型のブラシ80は、それ以前又はその後に、捲縮処理が施され、繊維52の先端部が捲縮化されたブラシが構成される。なお、図23等では、便宜上、ブラシが粗に植毛された状態が図示されているが、実際には、密に植毛されていることは勿論である。