JP4770685B2 - 光学情報記録再生装置 - Google Patents

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Description

3次元的に記録可能な情報記録媒体の光学情報記録再生装置に関し、特に、独立制御可能なマルチビームにより、その集光スポット性能の劣化を抑えて良好に並列記録または並列再生ができる情報記録再生装置を提供する。
光学情報記録再生装置は、コンパクトディスク(CD)、DVD等の光ディスクや光カードメモリ等の光学情報記録媒体に、情報を記録再生する装置である。近年、光学情報記録媒体のさらなる大容量化と、その大容量光学情報記録媒体に対して、高速記録または高速再生できる光学情報記録再生装置が求められている。
従来の大容量情報記録媒体として、非特許文献1には、記録層を複数層構成した多層の情報記録媒体が記載されている。記録層を、中間層を挟んで複数層交互に形成することにより、記録容量をその層数の分だけ増加させることが可能である。上記多層の情報記録媒体の光学情報記録再生装置としては、Tiサファイアレーザ等の大パワを発するフェムト秒レーザを記録用光源として具備し、非線形現象の1つである2光子吸収過程を用いて、上記多層の情報記録媒体に記録ピットを記録し、再生用光源としてはHe−Neレーザ等を具備し、低パワでその記録ピットに集光して反射光を光検出器で検出することにより信号再生できる。
また、従来の高速記録/再生可能な光学情報記録再生装置として、特許文献1には、独立に駆動できる3つの光源を用いた光学ヘッドが記載され、3つのトラック上に同時に記録または再生する例が示されている。
特許文献2には、記録してすぐに別のビームでモニターすることを目的として、記録用と再生/ベリファイ用の2光源を用いて、対物レンズに対する光の斜め入射によるスポット性能の劣化の防止が可能な光学ヘッドが記載されている。図6は、特許文献2に記載された光ピックアップの基本構成図である。光源200は、再生/ベリファイ用の半導体レーザチップ230aと記録用の半導体レーザチップ230bとを具備し、上記レーザチップ230aに近接して1/2波長板310が設置されている。この1/2波長板310により、両光源230a、230bを出射したそれぞれのビーム220aと220bの偏光方向は互いに直交し、その後、両ビームとも、コリメータレンズ160で略平行光になってウオラストンプリズム300に入射する。出射ビーム220bのみが、偏光方向の違いによりウオラストンプリズム300により光軸が曲げられ、その結果、2つの出射光220aと220bはほぼ平行化される。その結果、両ビームとも、対物レンズ60にほぼ垂直入射する(入射角は0に近い)ことにより、2つのビームの集光スポットの劣化はほぼ防止することができる。
河田善正他:"多層膜構造を有する有機記録媒体を用いた3次元光メモリ"、Optics Japan2000講演予稿集pp.95−96(2000年) 特許第3476879号公報(第4頁、図3) 特開2003−67970号公報(第4〜5頁、図1)
特許文献1に示した従来の光学情報記録再生装置は、複数の発光点(発振部)を有する光源を有し、その発光点は熱の影響も考慮することにより、ある程度の間隔で配置した構成であるが、中央の発光点からの出射ビームが対物レンズに垂直入射するように配置した場合、周辺の発光点からの出射ビームは、対物レンズへ斜め入射になってしまうため、それが原因で収差が発生して、その集光スポット性能が劣化する傾向があった。
それを解決する目的で、特許文献1の構成に、特許文献2に記載されたウオラストンプリズムを組み合わせた場合は、その光学系が複雑かつ高価となり、しかも基本的にxとyの2方向しかない偏光を用いるため、光源の発光点の数は、たかだか2つまでである、つまり、同時に記録または再生するピットの数は最大で2つであり、それ以上の並列記録/再生はできないという課題があった。
非特許文献1に示した3次元的に記録可能な情報記録媒体を、特許文献1に示したようなマルチビームで、高速記録または再生が可能な光学情報記録再生装置を構成することを目的とした場合、マルチビームの数が2つで良いなら、光学系が複雑になるものの、上記文献から、ウオラストンプリズムを用いるような偏光を利用した構成を導くことができる。
しかしながら、さらにマルチビームの数を増加(3つ以上)させて高速記録または高速再生を行いたい場合は、偏光が利用できないために特許文献2の光学系を用いることができず、マルチビームの数が増えるほど中央部からずれた発光点からのビームは対物レンズに一層斜入射するため、それが原因で収差が益々大きくなり集光特性が劣化する傾向にあった。
従って、従来例を組み合わせても、3つ以上の発光点を有する光源に対して、対物レンズに斜め入射になるビームの集光スポット性能の劣化が避けられないという課題があった。また2つの発光点を有する光源に対しても、偏光光学系を使うために構成が複雑で高価になるという課題があった。また、何らかの方法で発光点の間隔をかなり小さくできても、情報記録媒体からの複数の反射光を検出する場合、発光点の間隔が小さすぎるとその分離検出が困難になるという課題もあった。
本発明は、従来技術における前記課題を解決するためになされたものであり、独立制御可能な複数の出射光を発するマルチビーム光源を用いた3次元情報記録媒体の光学情報記録再生装置に関し、対物レンズに斜め入射になるビームの集光スポット性能の劣化が防止できる情報記録再生装置を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明は、独立に駆動可能な複数の発振部を備えた記録用または再生用の光源と、3次元的に記録可能な記録部を有する情報記録媒体に上記発振部からの複数の出射光をそれぞれ集光する対物レンズと、上記情報記録媒体からの複数の反射光をそれぞれ検出する光検出器とを備え、上記光源と上記対物レンズの光路間に、上記対物レンズへ斜め入射する出射光に対応して、斜め入射により生じる収差を低減する斜入射収差低減光学素子を具備し、斜入射収差低減光学素子は、さらに凸レンズ機能を有し、発振部の数と同じ数だけ同一基板上にアレイ化して設けたことを特徴とする光学情報記録再生装置である。
これにより、3次元的に記録可能な情報記録媒体に対して、高速に並列記録または並列再生可能な光学情報記録再生装置に関し、特に、対物レンズに斜め入射になるビームの集光スポット性能の劣化が低減できる情報記録再生装置を実現することができる。
以上説明したように、本発明によれば、3次元的に記録可能な大容量情報記録媒体の光学情報記録再生装置に関し、独立制御可能な複数の出射光を発するマルチビーム光源からの複数の出射光に対応して、対物レンズへ斜入射となる出射光の収差を低減する斜入射収差低減光学素子を具備したことにより、対物レンズに斜め入射になるビームの集光スポット性能の劣化が低減でき、これらのマルチビームにより高速並列記録または高速並列再生が可能な情報記録再生装置を実現することができる。また、ウオラストンプリズムのような高価な偏光部品を使用しないため、光学系が簡単で、安価になるという効果もある。
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
まず、本発明の実施の形態1の光学情報記録再生装置について、図1から図3までを用い、座標軸を図のようにとって詳細に説明する。
図1は本発明の実施の形態1における光学情報記録再生装置の基本構成と光の伝搬の様子を示す側面図、図2は本発明の実施の形態1の光学情報記録再生装置において、対物レンズへ斜入射する複数の出射光を示す説明図、図3(a)は本発明の実施の形態1の光学情報記録再生装置における斜入射収差低減光学素子の構造を示す側面図、図3(b)は本発明の実施の形態1の光学情報記録再生装置における斜入射収差低減光学素子の構造を示す底面図、図3(c)は本発明の実施の形態1の光学情報記録再生装置における斜入射収差低減光学素子の構造を示す底面図において等膜厚線を示す図である。等膜厚線は、地図の等高線のように、基板からある高さ(等膜厚面)での素子形状を点線で示したものであり、3次元的な形状を表すことができる。図2の光学情報記録再生装置は、基本的に図1の光学情報記録再生装置と同じものを図示しているが、対物レンズへ斜入射する複数の出射光を分かりやすく説明するために、ビームスプリッタや立ち上げミラー等の光学部品を省略して簡略化した構成である。そのため図2に示した対物レンズと情報記録媒体の座標系が図1の場合と異なる。
本発明の光学情報記録再生装置は、独立に駆動(制御)可能な複数の発振部23a〜23c(図1では発振部23の数が3つの場合を図示)を備えた記録用または再生用の光源20と、3次元的に記録可能な記録部3を有する情報記録媒体21に上記発振部23a〜23cからの複数の出射光22a〜22c(図1では出射光22の数が3つの場合を図示)をそれぞれ集光する対物レンズ6と、上記情報記録媒体21からの複数の反射光17a〜17c、17’a〜17’cをそれぞれ検出する光検出器19a〜19c、19’a〜19’cとを備え、上記光源20と上記対物レンズ6の光路間に、上記対物レンズ6へ斜め入射する出射光8b、8cに対応して、斜め入射により生じる収差(斜入射収差)を低減する斜入射収差低減光学素子24を具備したことを特徴とする。
図2に示すように、発振部23の数が複数(図1では3つ)になると、中央の発振部23aからの出射光22aは対物レンズ6に垂直入射するように配置できるため、対物レンズ6からの収束光7aの焦点位置での集光スポットは斜入射収差の影響を受けずに良好に集光できるため(斜入射収差の補正必要なし)、記録時は、記録部3に形成した記録層1のトラック28上に良好な記録ピット5aを形成することができ、良好な再生も可能である。
しかし、両端の発振部23b、23cから出射された略平行光8b、8cはどちらも対物レンズ6に斜入射する(それぞれの入射角θb、θc)ため、斜入射収差低減光学素子24が無い場合は、収束光7b、7cの集光スポットは斜入射収差の影響を受け、記録時は記録ピット5b、5cはサイズが大きくなったり、ぼやけたりする等の悪化する傾向があり、再生信号の品質も悪くなりがちであったが、本発明の光学情報記録再生装置では、斜入射収差低減光学素子24によりそのような収差を低減させて、記録部3に複数の良好な集光スポット5a〜5cを同時に形成することが可能で、出射光の数だけ(例えば、図1の構成では3倍)記録速度または再生速度は高速化できる。
従って、斜入射収差低減光学素子24は、中央部の素子24aは斜入射補正が不必要なため無くても良く、少なくとも発振部23の数より1つ少ない数だけアレイ化して設ければ良い。同一基板上にアレイ化することにより構造が安定になる。また、ウオラストンプリズムのような高価な偏光部品は使用しないため、光学系が簡単で、安価になるという効果もある。
なお、斜入射収差は、開口数NAの大きい対物レンズ6に斜め入射するときにその大部分が発生するため、その発生分を補正すれば現実的にはそれで良い場合がほとんどである。しかしながらそれ以外にコリメータレンズ16等の光学部品にも斜入射するため多少斜入射収差が生じる場合があり、全光学系の斜入射収差をトータルで補正すればより望ましい。
実施の形態1の光学情報記録再生装置では、図1に示すように、光源20の発振部23から情報記録媒体21までの光路中に、斜入射収差低減光学素子24、光源20の封止基板25、コリメータレンズ16、ビームスプリッタ18、像回転プリズム10、立ち上げミラー12、球面収差補正素子13、対物レンズ6が配置されている。
復路となる、ビームスプリッタ18から光検出器19の光路には、フォーカス/トラック誤差信号検出素子15、検出レンズ11、情報記録媒体21の層間クロストークを小さくするピンホールアレイ14が配置されている。なお、図1では、コリメータレンズ16から対物レンズ6までの光路、及びビームスプリッタ18から検出レンズ11までの光路においては、簡略化のため3つの出射光は同一の光線として図示されているが、実際は、図2に示すように(例えば8a〜8c)、3つの出射光はそれぞれ分離している。
情報記録媒体21は、基板9上に、記録層1a〜1eと、中間層2a〜2dをそれぞれ複数層交互に堆積した記録部3(図1では記録層1は5層、中間層2は4層の場合を図示)と、表面に保護層4が設けられた構造である。記録層1を複数層積層することにより、3次元的な記録再生が可能で、記録容量をその層数の分だけ(例えば図1の構成では5倍)増加させることができる。
図1に示すように、記録時においては、光源20の3つの発振部23a〜23cからY軸方向への3つの出射光22a〜22cである、ピークパワーの比較的大きなパルスレーザ光(発散光)は、それぞれ、凸レンズ機能を有する斜入射収差低減光学素子24a〜24c(図2、図3参照)に入射し、凸レンズ作用で発散角が若干緩和され、両端発振部23b、23cからのそれぞれの出射光22bと22cは、対物レンズ6への斜入射で生じる斜入射収差を前もって逆向きに付加され、その後、対物レンズ6へ斜入射したときに生じる斜入射収差と打ち消しあい集光点での収差を低減することができる。
斜入射収差には、具体的に、コマ収差、像面湾曲に伴うデフォーカス、非点収差の3種類の収差成分があるが、それぞれのRMS波面収差(以下波面収差と記載)の許容範囲を10mλとして収差低減を行った。最悪の場合で、3つとも10mλの波面収差が生じた場合はその合計の斜入射収差は17mλ(2乗平均で計算)となる。これより大きくなると中央の集光スポットに比べて、両端の集光スポットの中心強度は3%以上低下するため、記録感度は不揃いとなり好ましくないことが分かった。
それぞれの斜入射収差低減光学素子24a〜24cが、斜入射収差を補正する機能があれば良いが、特にそれに加えて凸レンズ機能を有することにより、各出射光22a〜22cの発散角が小さくなり、対物レンズ6に入射する光8a〜8cの利用効率が向上する。なお、凸レンズ機能がない場合、斜入射収差低減光学素子24aは省略することができ、24bと24cのみで良い。なお、中央の素子24aには斜入射収差低減の機能は特に必要がないが、一般化するために斜入射収差低減光学素子の1つとして記載している。
その後、3つの出射光22a〜22cとも、コリメータレンズ16により、略平行光となり、ビーム分岐素子であるビームスプリッタ18を透過して、像回転プリズム10である公知のドーブプリズムに入射する。像回転プリズム10は、入射光線が底面で全反射するような台形形状をしており、後述する光検出器19’a〜19’cで検出された3つのトラック誤差信号に基づき、アクチュエータ等を用いてZX面内での回転を行い、3つの集光スポットが情報記録媒体21の記録部3の記録層1に形成した各トラック28上に乗るように調整される。
立ち上げミラー12によって光路を−Z軸方向に折り曲げられた3つの略平行光8(図2では8a〜8c)は、球面収差補正素子13を通過して、対物レンズ6によって、情報記録媒体21の保護層4を通過して記録部3の所望の記録層1cのトラック28上に集光し(収束光7a〜7c)、記録層1の層数が、例えば、8層以下と少ない場合は、記録材料の屈折率と消衰係数(吸収係数)を変化させて通常の1光子吸収記録で、また、記録層1の層数が、例えば8層より多い場合は2光子吸収または多光子吸収(3光子吸収以上)、プラズマ記録等のような非線形現象を用いて、記録材料の光学定数のうち望ましくは屈折率のみを変化させて、記録ピット5a〜5cの列が記録される。
なお、図1に示した情報記録媒体21は複数の記録層1と中間層3を交互に設けた積層構造であるが、それぞれの厚さは、例えば、基板9は1mm、各記録層1は数10nm〜数100nm、各中間層2は3〜10μmである。記録部3が、数100μm程度の厚い記録層1のみ(中間層2なし)のいわゆるバルクの構造でも、光軸(図1ではZ)方向に3次元的に記録可能であるため、そのような構造でも良い。
2光子または多光子吸収、プラズマ記録等の非線形現象を利用して記録を行う場合では、例えば、記録波長のちょうど半分の波長(2光子吸収の場合)で吸収がある記録材料を記録層1として用いることにより、例えば、数100mW〜数W以上の比較的ピークパワーの高い、例えば100フェムト秒〜100ナノ秒のパルス幅の小さい記録光を照射すると、対物レンズ6により集光された光のパワ密度の高い部分(集光点)のみが波長が半分になった効果が生じて、記録材料に吸収が起こり、記録ピット5が記録される。本実施の形態で用いた半導体レーザ光源20では、超短パルス化が困難なため、記録時は記録ピットの長さ(記録マーク)に応じて、パルス幅を1ナノ秒から100ナノ秒の間で変化させて(例えば、記録マークが長いほどパルス幅を長くして)記録光を出射した。非線形記録では、このように集光点のみで吸収が生じるため、深い領域の記録層にも光がそれほど減衰されないため、超多層光メモリのように記録層1の多いまたは記録部1の厚い3次元光メモリに適している。
感光材料としては、8層以下と記録層1が少ない場合には1光子吸収記録が可能なため相変化材料や感光色素等を用いることができる。記録層1が8層より多い場合では非線形記録が適しているため、フォトポリマーや、ジアリールエテン等のフォトクロミック材料等の有機色素、ZnO等の超微粒子を混入した樹脂膜、ZnS、TeO膜等が感光材料として適しており、屈折率変化のみを利用することにより光の吸収損失を減らすことができる。記録光の照射の仕方により、屈折率変化量を制御できるが、数W〜数10kWと比較的ピークパワーの高いパルス光を用いると、ボイドと言われる空のピットを記録することも可能である。ボイドの場合は、屈折率が1であるので、記録膜の屈折率が、例えば、1.7の場合、屈折率変化量はΔn=−0.7と大きくなるため、コントラスト良く信号を再生できるという効果がある。
再生時においては、同じ光源20の発振部23a〜23cから低パワの連続発振のレーザ光を出射光22a〜22c(簡単化のため記録時と再生時の光線は同じ記号を使用)として出射させて、記録時の場合と同じ経路を辿るが、この場合も、それぞれ、斜入射収差低減光学素子24a〜24cにより、両端の出射光22bと22cは、対物レンズ6への斜め入射で生じるコマ収差やデフォーカス、非点収差の斜入射収差を逆向きに付加される。前もって収差を付加された3つの出射光8a〜8cは、対物レンズ6によって情報記録媒体21の記録部3の所望の記録層1cの記録ピット5a〜5cにそれぞれ斜入射収差が低減されて良好に集光(収束光7a〜7c)される。
記録ピット5a〜5cによって反射されたレーザ光7a〜7cは、逆方向に折り返し、対物レンズ6、球面収差補正素子13、立ち上げミラー12、像回転プリズム10を順に通過し、ビームスプリッタ18により光軸をZ軸方向に曲げられ、回折型フォーカス/トラック誤差信号検出素子15によって、それぞれの出射光に対して少なくとも2つの光に分岐させて、検出レンズ11により収束光17a〜17c(0次回折光)、17’a〜17’c(1次回折光)となる。収束光17a〜17cは、ピンホールアレイのそれぞれのピンホール14a〜14cを通過させて、光検出器19a〜19cにより再生信号光して検出される。フォーカス/トラック誤差信号となる収束光17’a〜17’cは、ピンホールを通過させずに、別の光検出器19’a〜19’cで検出される。
各ピンホール14a〜14cが、それぞれの検出収束光17a〜17cのほぼ焦点の位置に設置するようにピンホールアレイを設置したが、ピンホールアレイにすることにより各ピンホールの間隔が常に一定となり安定構造になる。また各ピンホール14a〜14cを通すことにより、所望の記録層1cの光軸方向の上下の層1a、1b、1d、1eからの不要反射光であるクロストーク(層間クロストーク)光が各ピンホール14a〜14c外に分布し、それらの光は各ピンホール14a〜14c内に入らなくなるため、層間クロストークを減少させる効果がある。フォーカス/トラック誤差信号は、ピンホールを通過させない構成により、非点収差法や3ビームトラッキング法のような従来方法で、それぞれフォーカスやトラック誤差信号を検出することができる。
フォーカス/トラック誤差信号検出素子は、回折型の光学素子とすることにより製造が楽で低コスト化ができ、0次回折光を再生信号とすることによりピンホール14への入射の光軸は垂直に近いため入射特性が良く、また1次回折光のみをフォーカス/トラック誤差信号とする構成により光検出器19’の構成が簡単になる。
検出レンズ11の焦点距離は、例えば33mmであり、光検出器19側でのエアリーディスク径は、例えば9.6μmとなる。また、ピンホール14の代わりに、光検出器19a〜19cの受光部がピンホール径の大きさを有する微小光検出器で、検出収束光17a〜17cをそれぞれ検出するようにしても同様の効果が得られる。
本実施の形態では、ピンホール14a〜14cの大きさをそれぞれの収束光17a〜17cのエアリーディスク径の5倍以下、望ましくは1〜3倍程度にすることによって、例えば、記録層1の層間隔が3〜5μmで問題ないレベル(層間クロストーク量≦30dB)まで再生信号の品質を向上させることが可能であった。ただし、ピンホール14の大きさを小さくすると、記録層1の間隔をより小さくすることが可能であるが、小さくし過ぎる(エアリーディスク径未満)と、ピンホール14に入る光量が大幅に減少したり、環境温度により光学系が歪んで、収束光17a〜17cがピンホール14a〜14cの中心からそれぞれずれることもあるため、それらを考慮する必要があった。
本実施の形態1の光学情報記録再生装置では、光源20は、実質的に同一波長の出射光22a〜22cを発する複数の発振部23a〜23cを有する半導体レーザで、複数の発振部23a〜23cは同一基板上に形成されている集積構造である。この集積構造により、光学情報記録再生装置の構成が簡単化できるとともに、発振部23a〜23cの間隔は半導体のフォトリソグラフィ技術により精度良く構成でき、また光学特性も同一になるという効果がある。光源20の複数の発振部23a〜23cは、記録時または再生時に同時に独立駆動し、複数の情報を情報記録媒体21の記録部3に同時に記録または再生を行うことができ、その結果、高速記録または高速再生が可能となる。さらに、光源20の発振部23a〜23cの数は3以上の奇数とすることにより、中央の発振部23aから出射された略平行光8aは対物レンズ6に垂直入射(入射角は0°)することが可能となり、最も優れた集光特性が発揮できる。中央からずれた周辺の発振部23bと23cからのそれぞれの出射光8bと8cは、対物レンズ6への入射角θbとθcは同じになり、対称構造となりバランスがとれる。
また、光源20は、記録用と再生用を兼ねており、出射光の波長は、例えば、0.405μmで、記録時は高パワのパルス光を出射し、再生時には低パワの連続光を照射する。光源20は記録用と再生用を兼ねることにより、構成が簡単になる。光源の波長は、情報記録媒体21の記録材料に合わせて、決めればよい。
斜入射収差低減光学素子24は、発振部23の近くに配置した、光源20を封止する封止基板25の表面または裏面(図1には裏面の場合を図示)に、各出射光22a〜22cに対応するようにアレイ化して形成されている(図2、図3には斜入射収差低減光学素子24は3つの素子24a〜24cで構成されている場合を図示)。封止基板25の表面または裏面に斜入射収差低減光学素子24a〜24cを同時に形成(同一基板上に形成)する構成により、構成が簡単になり構造が安定化する。特に封止基板25の裏面に形成すれば、斜入射収差低減光学素子24が内蔵される構成となり素子24の損傷も防止することができる。
一般に、発振部23からの出射光22は発散波であり、複数の発振部23a〜23cからの出射光22a〜22cは、ファーフィールドにおいては重なり合う。例えば、発振部23a〜23c間の距離をd、出射光22a〜22cの片側の発散角をθとすると、出射光同士が重なるまでの距離は、l=d/(2tanθ)となるため、発振部23と斜入射収差低減光学素子24の間隔をl以下にすることによって、発振部23a〜23cからのそれぞれの出射光22a〜22cに対して、ほとんど重なることなく、良好に収差補正が可能となる。例えば、d=100μm、θ=8°ならl=356μmであり、lは小さいため斜入射収差低減光学素子24は光源20に内蔵しやすいと言える。
次に、斜入射収差補正素子24が配置されていない場合に生じる斜入射収差について説明する。例えば、光源の波長がλ=0.405μm、波長コリメータレンズ16の焦点距離がfc=18mm、対物レンズ6の開口数はNA=0.85、焦点距離がfo=1.3mm(倍率fc/fo=13.8倍)の場合について説明する。なお、同一基板上に形成された光源の発振部23の間隔は、熱の影響を受けるため、実際の値は最小値でせいぜいd=50〜100μm程度である。
図1に示すように発振部23の間隔がd=100μmでその数が3つの場合、両端発振部23b、23cからの平行光8b、8cは対物レンズ6へ斜入射し、その斜入射角はθb=θc=0.32°となる。その結果、それに対応する収束光7bと7cは焦点で、例えば、トータルの斜入射収差は15mλの波面収差が生じて集光スポットがその分劣化することが分かった。波面収差15mλの内訳は、コマ収差10mλ、非点収差4mλ、デフォーカス9mλであった。現実的な収差の許容範囲はそれぞれの収差で10mλであったので、収差としてはぎりぎり許容範囲であったが、他の部分から球面収差等も生じている可能性があり、収差の低減はマージンが増加するため好ましい。収差の中では、コマ収差が最も大きく、デフォーカスが同程度で、非点収差が半分以下である。従って、この場合の収差補正では、コマ収差とデフォーカスが主に生じるので、斜入射収差低減光学素子によりその2つの成分を低減すれば実質的に問題ない。
次に、斜入射角が大きくなり、例えば、θb=θc=0.64°となる場合について述べる。この場合は、発振部23の間隔が200μmで発振部23の個数が3つの場合のその両端部からの出射光に対する場合、または発振部23の間隔が100μmで発振部23の個数が5つの場合のその両端部からの出射光に対する場合に相当する。このときは、それに対応する両端の収束光は焦点でトータルの波面収差46mλだけ斜入射収差が生じることが分かった。その波面収差46mλの内訳は、コマ収差21mλ、非点収差14mλ、デフォーカス34mλであり、この場合、デフォーカスが最も大きく、コマ収差がその次で、非点収差が最小である。従って、この場合の斜入射収差低減光学素子による収差補正では、デフォーカスとコマ収差の低減は必須であり、非点収差も10mλを越えているので低減する方が好ましい。
さらに、斜入射角が大きくなり、例えば、θb=θc=0.96°となる場合について述べる。この場合は、発振部23の間隔が400μmで発振部23の個数が3つの場合の両端部からの出射光に対する場合、または発振部23の間隔が200μmで発振部の個数が5つの場合の両端部からの出射光に対する場合、または発振部23の間隔が100μmで発振部23の個数が7つの場合の両端部からの出射光に対する場合に相当する。このときは、それに対応する両端の収束光は焦点でトータルの波面収差97mλだけ斜入射収差が生じることが分かった。その波面収差97mλの内訳は、コマ収差34mλ、非点収差33mλ、デフォーカス78mλであり、この場合いずれの収差も10mλを大きく越えているため、斜入射収差低減光学素子により、すべての成分を低減する必要がある。
逆に、斜入射角が小さくなり、例えば、θb=θc=0.16°となる場合について述べる。この場合は、発振部23の間隔が50μmで発振部23の個数が3つの場合の両端部からの出射光に対する場合に相当する。このときは、それに対応する両端の収束光は焦点でトータルの波面収差6mλだけ斜入射収差が生じることが分かった。その波面収差6mλの内訳は、コマ収差5mλ、非点収差1mλ、デフォーカス2mλであり、この場合いずれの収差も10mλ以下であるため特に収差低減の必要はないが、斜入射収差低減光学素子により低減するとすれば、コマ収差のみで良く、その結果マージンはその分増加する。
以上の考察結果から、コマ収差は斜入射角に比例し、非点収差とデフォーカスは斜入射角の2乗に比例することが分かり、斜入射角が、例えば0.16°と非常に小さいときは、斜入射収差低減光学素子24はせいぜいコマ収差のみを補正するだけで効果があり、例えば0.32°と斜入射角がそれより大きくなった場合は、コマ収差とデフォーカスの2つ補正するだけで十分効果があり、さらに0.64°、0.96°と斜入射角が大きくなってきた場合は、コマ収差とデフォーカスと非点収差の3つとも補正する必要があることが分かった。従って、斜入射収差低減光学素子24の形状は上記の考察に基づいて、斜入射角に合わせて、収差成分を選んで適切に低減すれば効果がある。
次に、斜入射収差低減光学素子24の形状について説明する。図3に示すように、アレイ化されて配置された斜入射収差低減光学素子24a〜24cは、対物レンズ6への入射角に応じた形状をしている。入射角が0である出射光8aに対応しては、斜入射収差を補正する必要はないため、凸レンズ機能のみを有した凸レンズ形状をしている。斜入射収差低減光学素子24aの厚さをL1、基板25の裏面をY座標の原点、素子24aの中央位置(レンズ頂点の位置)を座標系ZXaの原点にして考えると、素子24a形状を表す−Y座標(高さ)が等しい等膜厚面での点線で示した等膜厚線26aの形状は円になり、その直径は、−Y座標(高さ)が大きくなるほど小さくなる値である。なお、X=0におけるYZ面での素子24aの形状は実質的に放物線状となり、良好に凸レンズ機能を有する。また、厚さLを大きくして曲率半径を小さくすると凸レンズの焦点距離は短くなり、逆にLを小さくして曲率半径を大きくするとその焦点距離は長くでき、デフォーカスの低減に有用である。
アレイ化した中央部以外の斜入射収差低減光学素子22b、22cは、等膜厚面上での等膜厚線26b、26cが円となる凸レンズ形状であり、その円の中心位置は等膜厚面が高くなるに従い、対物レンズ6への斜め入射の角度に依存して中央部の斜入射収差低減光学素子24aのセンター(座標系ZXaの原点)方向に徐々に移動する構造をしている。座標系ZXb、ZXcの原点からの中心位置のシフト量は、等膜厚面の高さとtanθbの積、等膜厚面の高さとtanθcの積にそれぞれ比例し、本発明者らは、そのような形状により、コマ収差を低減できることを見出した。また、補正素子22b、22cの厚さL2は、素子22aの厚さL1より薄く、すなわち焦点距離が長くなるようにしてあり、その結果デフォーカスを低減することができた。すなわち、斜入射収差低減光学素子24bと24cは、凸レンズ機能を有した上で、斜入射収差のうちのコマ収差とデフォーカスを低減することが可能である。
斜入射収差低減光学素子24a〜24cは、封止基板25として、例えば厚さ0.5mmのガラス基板1上に、例えば、それぞれの口径が100μm、膜厚がL1=2.50μm、L2=2.48μmとして形成している。素子24aのレンズ機能の開口数は、例えば0.05、素子24b、24cのレンズ機能の開口数は、例えば、0.0498である。θb=θc=0.32°に対応した光学素子24b、24cにおいて、膜厚0のときの最外周円(有効径を与える円)のZXb、ZXcの原点からの中心位置の最大シフト量はそれぞれ、−0.7μm、0.7μmであった。このような光学素子24は、公知の電子ビーム描画用により、基板上に塗布した感光レジスト上に、所定の形状になるように電子ビームを照射して現像処理を行い、素子形状を作製して、これを原盤として、例えば、ニッケル電鋳法で金型を作製し、例えば、UV硬化樹脂や射出成形用樹脂を用いて金型から複製することのより原盤と同一の光学素子が低価格で作製可能である。特に、本発明の素子が、光源20の発振部23の数だけアレイ状に配列しているときは、この方法を用いると、一度に同じ特性で、精度よく形成できるため効果は大きい。
次に、所望の記録層1cから別の記録層に記録層を変えて記録する場合について説明する。この場合、記録するまでに収束光7が通過する記録部3の厚さが記録層(記録深さ)ごとに異なるので、光源20から対物レンズ6までの光路中に設けた球面収差補正素子13で記録部3中に記録する記録ピット5の記録深さに応じて、上記球面収差補正素子13は球面収差量を制御しながら記録するようにし、良好な記録ピット5を形成した。球面収差補正素子13は、対物レンズ6に入射する出射光8を平行光から発散光もしくは収束光に変えることにより、または球面収差の逆の位相分布を与えることにより、球面収差(主に3次球面収差)を補正することが可能で、例えば、液晶光学素子、拡大率可変ビームエキスパンダーや、可動コリメータレンズを用いることができる。液晶光学素子の場合、液晶に電圧を印加することでその屈折率分布を制御してレンズ作用を持たせるか、あるいは球面収差を打ち消す位相分布になるようにすれば球面収差補正が可能である。拡大率可変ビームエキスパンダーでは凹レンズと凸レンズを組み合わせてアクチュエータ等で両レンズの光軸方向の間隔を可変にして拡大率を変化させることにより球面収差補正が可能であり、また、可動コリメータレンズでは光源とコリメータレンズの間隔をアクチュエータ等で変えることにより球面収差補正が可能となる。
本発明者らは、斜入射収差補正素子が無い場合、球面収差補正素子13の補正量を変化させて、情報記録媒体21の記録部3に3次元的に記録または再生を行う場合、球面収差補正を行うことにより、対物レンズ6に斜入射になるビームの集光スポット性能が著しく劣化する(特に斜入射によるコマ収差が増大)傾向があることを見出した。
例えば、所望の記録層1cに記録した後に、例えば、20μm奥の別の記録層1eに記録する場合、球面収差を補正するが、斜入射収差補正素子24b、24cが無い場合、前述したように、記録層1cでは収束光7bと7cは焦点でトータルの斜入射収差は15mλだったが、記録層1eでは、(3次の)球面収差を補正した場合、トータルの波面収差は高次(5次以上)の球面収差を含んで31mλに増加した。その内訳は、コマ収差24mλ、非点収差4mλ、デフォーカス9mλであった。すなわち、非点収差とデフォーカスは変わらなかったが、コマ収差が10mλから24mλと大幅に増大することが分かった。従って、斜入射収差補正素子24b、24cを設けて、特にコマ収差は低減して用いることにより、球面収差補正素子を設けて球面収差を補正しながら、3次元的に記録再生しても、斜入射収差の劣化を抑えられるため、特に本発明の効果は大きい。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2の光学情報記録再生装置について、図4を用いて、上記実施の形態1と異なる点を中心に説明する。
図4(a)は本発明の実施の形態2の光学情報記録再生装置における斜入射収差低減光学素子の構造を示す側面図、図4(b)は本発明の実施の形態2の光学情報記録再生装置における斜入射収差低減光学素子の構造を示す底面図、図4(c)は本発明の実施の形態2の光学情報記録再生装置における斜入射収差低減光学素子の構造を示す底面図においての等膜厚線を示す図である。
実施の形態1の光学情報記録再生装置と異なる点は、光源の発振部の数が5つに増加している(図示無し)ことと、斜入射収差低減光学素子24’は、上記発振部の数と同じ数だけ、封止基板25の裏面にアレイ化して設けた構成(24’a〜24’e)である。光源の発振部の数が増えることにより、並列記録及び並列再生できる記録ピットの数がその分増えることになり、より高速記録、再生が可能となる。それに対応して光検出器の数も2つ増加させ6つ必要(実施の形態1では4つ)になる。
斜入射収差低減光学素子24’は、中央部24’a、その周囲部24’b、24’cの形状は、実施の形態1の光学情報記録再生装置の斜入射収差低減光学素子24a、24b、24cとそれぞれ同じ構造であり、凸レンズ機能も有している。素子24’b、24’cは斜入射によるコマ収差とデフォーカスを低減する。さらなる斜入射(例えば、入射角が0.64°)となる両端の出射光に対応する24’dと24’eは、凸レンズ機能を有した上で、斜入射収差のうちでコマ収差、デフォーカスを補正する形状に加えて、非点収差まで補正する形状を有している。ただし、斜入射収差低減光学素子24’b、24’cに比べて、斜入射収差低減光学素子24’dと24’eの凸レンズの焦点距離は、像面湾曲によるデフォーカスを補正するために、さらにその分だけ長くしてある(膜厚を薄くして曲率半径を大きくしてある)。
素子24’dと24’eは、−Y軸上での高さが一定の等膜厚面上での等膜厚線26’がZ軸方向(複数の発振部の配置方向)に長軸をもつ楕円となる凸レンズ形状であり、その楕円形状の中心位置は上記等膜厚面が高くなる(−Y方向)に従い、対物レンズへの斜め入射の角度に依存して、上記中央部の斜入射収差低減光学素子24’aのセンター(座標系ZXaの原点)方向に徐々に移動する形状である。座標系ZXb、ZXcの原点からの中心位置のシフト量は、対物レンズ6への斜入射角をそれぞれθd、θeとして、等膜厚面の高さとtanθdの積、等膜厚面の高さとtanθeの積にそれぞれ比例し、本発明者らは、そのような形状により、コマ収差を低減できることを見出した。また、等膜厚線26’Z軸方向(複数の発振部の配置方向)に長軸をもつ楕円となることにより、非点収差が補正できることを見出した。また、楕円の離心率を大きくすることにより大きな非点収差も低減できる。
斜入射収差低減光学素子24’は、封止基板25として、例えば厚さ0.5mmのガラス基板1上に、例えば、それぞれのZ軸方向の口径が100μm、膜厚がL1=2.50μm、L2=2.48μm、L3=2.44μmとして形成している。素子24aのレンズ機能の開口数は、例えば0.05、素子24b、24cのレンズ機能の開口数は、例えば、0.0498である。素子24d、24eのレンズ機能の開口数は、例えば、0.0490で、楕円の長軸に対する短軸の比は0.98である。θd=θe=0.64°に対応した光学素子24d、24eにおいて、膜厚0のときの最外周円のZXb、ZXcの原点からの中心位置の最大シフト量はそれぞれ、−1.4μm、1.4μmであった。
斜入射角が大きい場合はその出射光には、前述したように非点収差が大きくなるので、その場合は本形態の斜入射収差低減光学素子24’を用いて、コマ収差と非点収差を同時に補正するか、それに加えてデフォーカスも補正すると効果的であった。
次に、別の形態の斜入射収差低減光学素子に説明する。図5(a)は本発明の実施の形態2の光学情報記録再生装置における別の形態の斜入射収差低減光学素子の構造を示す側面図、図5(b)は本発明の実施の形態2の光学情報記録再生装置における別の形態の斜入射収差低減光学素子の構造を示す底面図である。点線でそれに入射する楕円形状の出射光輪郭線が表示されている。
本形態の斜入射収差低減光学素子24”は、対物レンズへの斜め入射の角度が大きくなるほど、厚さを薄くした位相板である。中央部の斜入射収差低減光学素子24”aはガラス基板そのもののであり、対物レンズへの入射角が大きくなる出射光に対応して周囲に行くに従って、その厚さが薄くなっている。例えば、図5(a)に示した薄くなった分の厚さは、tb=tc=5.1μm、td=te=21μmであり、それらの値は、斜入射収差のうち像面湾曲によるデフォーカス成分により決められる。デフォーカス成分を補正することにより、斜入射収差の量は、例えば、斜入射角が0.32°以上で半分以上低減される効果があった。逆に言うと、斜入射収差の量は、コマ収差と非点収差の成分が残るため、実施の形態1と2の光学情報記録再生装置における斜入射収差低減光学素子24,24’に比べて光学特性は劣化するが、斜入射収差低減光学素子24”の構造は基板の厚さを変えるだけでよく簡単化される。
斜入射収差低減光学素子24”は、封止基板25に対してエッチングプロセスにより形成したが、このような光学素子24”は、これを原盤として、例えば、ニッケル電鋳法で金型を作製し、公知の射出成形や2P法により、金型から複製することのより原盤と同一の光学素子が低価格で作製可能である。
なお、上記実施の形態で用いた対物レンズとコリメータレンズ、検出レンズは便宜上名付けたものであり、一般にいうレンズと同じである。
また、上記実施の形態においては、情報記録媒体として光ディスクを例に挙げて説明したが、同様の情報記録再生装置で厚みや記録密度など複数の仕様の異なる媒体を再生することができるように設計されたカード状やドラム状、テープ状の製品に応用することも本発明の範囲に含まれる。
本発明の光学情報記録再生装置によれば、3次元的に記録可能な大容量情報記録媒体の光学情報記録再生装置に関し、特に、対物レンズに斜め入射になるビームの集光スポット性能の劣化を低減し、これらのマルチビームにより高速並列記録または高速並列再生が可能な情報記録再生装置を提供できる。
本発明の実施の形態1における光学情報記録再生装置の基本構成と光の伝搬の様子を示す側面図 本発明の実施の形態1の光学情報記録再生装置において、対物レンズへ斜入射する複数の出射光を示す説明図 (a)本発明の実施の形態1の光学情報記録再生装置における斜入射収差低減光学素子の構造を示す側面図(b)本発明の実施の形態1の光学情報記録再生装置における斜入射収差低減光学素子の構造を示す底面図(c)本発明の実施の形態1の光学情報記録再生装置における斜入射収差低減光学素子の構造を示す底面図においての等膜厚線を示す図 (a)本発明の実施の形態2の光学情報記録再生装置における斜入射収差低減光学素子の構造を示す側面図(b)本発明の実施の形態2の光学情報記録再生装置における斜入射収差低減光学素子の構造を示す底面図(c)本発明の実施の形態2の光学情報記録再生装置における斜入射収差低減光学素子の構造を示す底面図においての等膜厚線を示す図 (a)本発明の実施の形態2の光学情報記録再生装置における別の形態の斜入射収差低減光学素子の構造を示す側面図(b)本発明の実施の形態2の光学情報記録再生装置における別の形態の斜入射収差低減光学素子の構造を示す底面図 従来の光学情報記録再生装置の基本構成図
符号の説明
1 記録層
2 中間層
3 記録部
4 保護層
5 記録ピット
6 対物レンズ
7 収束光
8 平行光
9 基板
10 像回転プリズム
11 検出レンズ
12 立ち上げミラー
13 球面収差補正素子
14 ピンホール(アレイ)
15 フォーカス/トラック誤差信号検出素子
16 コリメータレンズ
17 検出収束光(再生信号)
17’ 検出収束光(フォーカス/トラック誤差信号用)
18 ビームスプリッタ
19 光検出器(再生信号用)
19’ 光検出器(フォーカス/トラック誤差信号用)
20 光源
21 情報記録媒体
22 出射光
23 発振部
24 斜入射収差低減光学素子
25 封止基板
26 等膜厚線
27 出射光輪郭
28 トラック

Claims (23)

  1. 独立に駆動可能な複数の発振部を備えた記録用または再生用の光源と、3次元的に記録可能な記録部を有する情報記録媒体に上記発振部からの複数の出射光をそれぞれ集光する対物レンズと、上記情報記録媒体からの複数の反射光をそれぞれ検出する光検出器とを備え、上記光源と上記対物レンズの光路間に、上記対物レンズへ斜め入射する出射光に対応して、斜め入射により生じる収差を低減する斜入射収差低減光学素子を具備し、斜入射収差低減光学素子は、さらに凸レンズ機能を有し、発振部の数と同じ数だけ同一基板上にアレイ化して設けたことを特徴とする光学情報記録再生装置。
  2. 斜入射収差低減光学素子は、斜め入射により生じるコマ収差、非点収差、デフォーカスの3つの収差のうち、波面収差が10mλより大きい収差を低減する請求項1に記載の光学情報記録再生装置。
  3. 斜入射収差低減光学素子は、斜め入射により生じるコマ収差のみを低減する請求項1に記載の光学情報記録再生装置。
  4. 斜入射収差低減光学素子は、斜め入射により生じるコマ収差とデフォーカスを低減する請求項1に記載の光学情報記録再生装置。
  5. 斜入射収差低減光学素子は、斜め入射により生じるデフォーカスのみを低減する請求項1に記載の光学情報記録再生装置。
  6. 斜入射収差低減光学素子は、斜め入射により生じる非点収差をさらに低減する請求項またはに記載の光学情報記録再生装置。
  7. 斜入射収差低減光学素子は、光源を封止する封止基板の表面または裏面に設ける請求項1に記載の光学情報記録再生装置。
  8. アレイ化した中央部以外の斜入射収差低減光学素子は、等膜厚面上での等膜厚線が円となる凸レンズ形状であり、その円の中心位置は上記等膜厚面が高くなるに従い、対物レンズへの斜め入射の角度に依存して、上記中央部の斜入射収差低減光学素子のセンター方向に徐々にシフトする請求項に記載の光学情報記録再生装置。
  9. アレイ化した中央部以外の斜入射収差低減光学素子は、等膜厚面上での等膜厚線が複数の発振部の配置方向に長軸をもつ楕円となる凸レンズ形状であり、その楕円形状の中心位置は上記等膜厚面が高くなるに従い、対物レンズへの斜め入射の角度に依存して、上記中央部の斜入射収差低減光学素子のセンター方向に徐々にシフトする請求項に記載の光学情報記録再生装置。
  10. 斜入射収差低減光学素子は、対物レンズへの斜め入射の角度が大きくなるほど、凸レンズの焦点距離を大きくする請求項に記載の光学情報記録再生装置。
  11. 光源と情報記録媒体の光路間に球面収差補正素子を備え、記録または再生する記録部の深さ位置に応じて上記球面収差補正素子の補正量を変化させて記録または再生を行う請求項1に記載の光学情報記録再生装置。
  12. 球面収差補正素子は、光源と対物レンズの光路間に設けた可動コリメータレンズであって、上記光源とコリメータレンズの間隔を変えることにより球面収差を補正する請求項11に記載の光学情報記録再生装置。
  13. 球面収差補正素子は、光源と対物レンズの光路間に設けた液晶光学素子であって、液晶に電圧分布を印加することでその屈折率分布を変えることにより球面収差を補正する請求項11に記載の光学情報記録再生装置。
  14. 球面収差補正素子は、光源と対物レンズの光路間に設けた拡大率可変ビームエキスパンダーであって、その拡大率を変化させることより球面収差を補正する請求項11に記載の光学情報記録再生装置。
  15. 情報記録媒体から光検出器までの光路中にフォーカス/トラック誤差信号検出素子と、上記フォーカス/トラック誤差信号検出素子と上記光検出器までの光路中に、複数のピンホールを有するピンホールアレイを設け、上記情報記録媒体からの複数の反射光を、上記フォーカス/トラック誤差信号検出素子によりそれぞれ少なくとも2分岐して再生信号とフォーカス/トラック誤差信号とし、上記再生信号は上記それぞれのピンホールを通過させてから光検出器に導き、上記フォーカス/トラック誤差信号はピンホールを通過させないで、上記光検出器とは別の光検出器に導く請求項1に記載の光学情報記録再生装置。
  16. フォーカス/トラック誤差信号検出素子は、回折型の光学素子であり、上記光学素子からの出射光のうち0次回折光を再生信号とし、1次回折光をフォーカス/トラック誤差信号とする請求項15に記載の光学情報記録再生装置。
  17. 光源は半導体レーザであり、記録時は記録ピットの長さに応じてパルス幅を1ナノ秒から100ナノ秒の間で変化させて出射する請求項1に記載の光学情報記録再生装置。
  18. 非線形吸収現象を用いて記録する請求項1に記載の光学情報記録再生装置。
  19. 非線形現象は、2光子吸収、もしくは多光子吸収である請求項18に記載の光学情報記録再生装置。
  20. 光源は、記録用と再生用を兼ねる請求項1に記載の光学情報記録再生装置。
  21. 光源の複数の発振部は、同一基板上に形成された請求項1に記載の光学情報記録再生装置。
  22. 光源の複数の発振部は、記録時または再生時に、同時に独立駆動し、複数の情報を同時に記録または再生を行う請求項1に記載の光学情報記録再生装置。
  23. 光源の発振部の数は3以上の奇数である請求項1に記載の光学情報記録再生装置。
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