JP4770055B2 - 二軸延伸ブロー成形ボトル - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、PETボトルを二軸延伸ブロー成形する二層プリフォームの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、清涼飲料など食品や台所洗剤などの非食品の容器として広く使用されているPETボトルは、一般的には、射出成形された単層のプリフォーム(試験管状の予備成形物)を二軸延伸ブロー成形したものであるが、最近では、容器の用途目的に応じた特性をPETボトルに付与するため、多層プリフォームを二軸延伸ブロー成形した多層PETボトルの開発がなされるようになった。そして、この多層プリフォームの製造方法としては、多層射出成形法とインサート射出成形法などがあるが、主に、後者のインサート射出成形法で開発が進められていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、外層シェルを、前もって射出成形金型に挿着し、内層シェルを射出成形すると同時に外層シェルと一体化するインサート射出成形法で作製した図1(a)に示す二層プリフォーム(10)は、二軸延伸ブロー成形して二層ボトルを作製するときに、外層シェル(100)の内面と内層シェル(200)の外面との融着界面(12)で、界面ずれを生じ、落下衝撃を受けたときに、白化したり、図2(a)に示すように、二層ボトル(20)の口頸部(21)に荷重(P)が架かったときに、例えば図2(b)に示すように、肩部(22)に界面剥離(23)を発生することなどがあった。界面剥離を発生すると、商品の商品価値を低下させたり、また、座屈強度が12〜24%減少することが確認されていた。
【0004】
本発明は、上述したインサート射出成形法による二層プリフォームの製造方法における問題を解決したものであり、外層シェルの内面と内層シェルの外面との融着界面の融着強度が強く、二軸延伸ブロー成形時に界面ずれを生じることがなく、外的負荷に強い二層ボトルが得られる二層プリフォームの製造方法を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の第1の発明は、外層シェルが雄型のキャビティ面を、ショットピーニング、サンドブラスト、エッチング、放電加工の粗面化法で粗面にした外層シェル用射出成形金型で成形され、前記外層シェルをプリフォーム用射出成形金型の雌型のキャビティ面に密着させて固着し、前記外層シェルの内側に内層シェルを一体に射出成形した二層プリフォームを用いた二軸延伸ブロー成形ボトルであって、二軸延伸ブロー成形後のずれ剪断応力が0.52kg/cm 〜0.98kg/cm であることを特徴とする二軸延伸ブロー成形ボトルである。
【0006】
次に、本発明の第2の発明は、二軸延伸ブロー成形後のヘイズ値が10%以下であることを特徴とする請求項1に記載の二軸延伸ブロー成形ボトルである。
【0007】
次に、本発明の第3の発明は、前記外層シェル用射出成形金型の雄型のキャビティ面を、サンドブラストで粗面にしたことを特徴とする第1の発明に記載の二層プリフォームの製造方法である。
【0008】
次に、本発明の第4の発明は、前記外層シェル用射出成形金型の雄型のキャビティ面を、エッチングで粗面にしたことを特徴とする第1の発明に記載の二層プリフォームの製造方法である。
【0009】
そして、本発明の第5の発明は、前記外層シェル用射出成形金型の雄型のキャビティ面を、放電加工で粗面にしたことを特徴とする第1の発明に記載の二層プリフォームの製造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明による二層プリフォーム(10)の製造方法は、例えば下端底部にゲート用貫通孔を有する外層シェルを、プリフォーム用射出成形金型の雌型のキャビティ面に密着させて固着し、図1(a)に示すように、外層シェル(100)の内側に内層シェル(200)を一体に射出成形するものであるが、本製造方法に用いる外層シェルは、雄型のキャビティ面を粗面にした外層シェル用射出成形金型で成形され、内面を粗面にするものである。なお、外層シェル及び内層シェルに使用される成形樹脂は、容器の目的に合わせて、組み合わせを選定して使用するものであるが、従来、内容物に対する影響が危惧される成形樹脂、例えば、清々度の低いリサイクル樹脂、衛生上の問題や溶出の問題のあるバリア性樹脂などを外層シェルに使用することができ、使用できる樹脂の成形樹脂の選択範囲が広い。また、本発明の製造方法においては、外層シェルが底部付きであるため、内層シェルとの密着性が良好となり、二軸延伸ブロー成形するときに、内層シェルと外層シェルとの接着界面でずれを起こすことがない。因みに内層シェルに使用する樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどポリエステル樹脂がある。
【0011】
内面を粗面にした外層シェルを用いて、インサート射出成形して二層プリフォームを作製すると、図1(b)に示すように、外層シェル(1001)の内面の粗面が、射出成形される内層シェル(200)に対してアンカー効果を発揮して、外層シェルと内層シェルの融着界面(12)の密着が向上する。また、二軸延伸ブロー成形するときの予備加熱時に、外層シェルの内面と内層シェルの外面との融着界面の面積が大きく、輻射熱が融着界面に集中し融着が促進し、二軸延伸ブロー成形したときに、外層シェルの内面と内層シェルの外面との融着界面の界面ずれを発生しにくくなる。
【0012】
前述した外層シェル用射出成形金型の雄型のキャビティ面を粗面にする一実施形態の方法は、角のない鋼粒を圧縮空気その他の方法で高速で打ち付けたショットピーニング(shot peeninng)によるものである。
【0013】
また、他の外層シェル用射出成形金型の雄型のキャビティ面を粗面にする実施形態の方法は、砂粒を圧縮空気その他の方法で高速で打ち付けたサンドブラスト(sand blast)によるものである。
【0014】
また、他の外層シェル用射出成形金型の雄型のキャビティ面を粗面にする実施形態の方法は、腐食液で腐食するエッチング(etching)によるものである。
【0015】
また、他の外層シェル用射出成形金型の雄型のキャビティ面を粗面にする実施形態の方法は、加工電極との間に断続的に放電させて放電加工(electrospark machining)によるものである。
【0016】
次に、発明者らは、外層シェル用射出成形金型の雄型のキャビティ面を、上述したショットピーニング、サンドブラスト、エッチング、放電加工の4種類の表面処理法により、それぞれ表面粗さが25Sと100Sの2種類ずつ粗面にして、8種類の内層が粗面の外層シェルを作製し、これらの外層シェルを用いて、インサート射出成形法で8種類の2層プリフォームを作製し、これらの2層プリフォームから二軸延伸ブロー成形でボトルを作製した。また、比較のため、従来の内層が平坦な外層シェルを用いて、インサート射出成形法で2層プリフォームを作製し、この2層プリフォームから二軸延伸ブロー成形でボトルを作製した。そして、外層シェルの内面を粗面にした場合と外層シェルの内面が平坦な場合とを比較評価した。その結果を表1に示す。
【0017】
【表1】
Figure 0004770055
【0018】
表1の評価結果からみると、▲1▼プリフォームのずれ剪断応力は、外層シェルの内面が平坦な場合より、外層シェルの内面を粗面にしたいずれの場合も4倍以上であり、内層を粗面にした効果があった。▲2▼延伸ブロー成形品(ボトル)のずれ剪断応力は、外層シェルの内面が平坦な場合より、外層シェルの内面を粗面にしたいずれの場合も4倍以上であり、内層を粗面にした効果があった。▲3▼延伸ブロー成形品(ボトル)の透明度は、雄型のキャビティ面の表面粗さが25Sで外層シェルの内面を粗面にしたいずれの場合も、外層シェルの内面が平坦な場合に遜色がなかった。そして、雄型のキャビティ面の表面粗さが100Sで外層シェルの内面を粗面にしたいずれの場合も、ヘイズが10(%)以下であり、実用上問題のない透明度であった。なお、雄型のキャビティ面の処理方法により、外層シェルの内面の粗面の形状は、それぞれ異なるものであった。
【0019】
【発明の効果】
本発明の製造方法により作製された二層プリフォームは、外層シェルの内面と内層シェルの外面との融着界面の融着強度が強く、二軸延伸ブロー成形時に界面ずれを生じることがなく、作製された二層ボトルは、落下衝撃や荷重などの外的負荷に対して強い。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、一例の二層プリフォームの構造を示す断面図であり、(b)は、本発明の製造方法による二層プリフォームの外層シェルと内層シェルとの融着界面の状態を示すA部分の拡大断面図である。
【図2】(a)は、従来の二層プリフォームから二軸延伸ブロー成形したボトルの口頸部に荷重が架かった状態を示す説明図であり、(b)は、その時に肩部に発生した外層シェルと内層シェルとの融着界面の界面剥離の状態を示すB部分の拡大断面図である。
【符号の説明】
10……二層プリフォーム
11……ゲート
12……融着界面
20……ボトル
21……口頸部
22……肩部
23……界面剥離
100……外層シェル
200……内層シェル
P……荷重

Claims (2)

  1. 外層シェルが雄型のキャビティ面を、ショットピーニング、サンドブラスト、エッチング、放電加工の粗面化法で粗面にした外層シェル用射出成形金型で成形され、前記外層シェルをプリフォーム用射出成形金型の雌型のキャビティ面に密着させて固着し、前記外層シェルの内側に内層シェルを一体に射出成形した二層プリフォームを用いた二軸延伸ブロー成形ボトルであって、二軸延伸ブロー成形後のずれ剪断応力が0.52kg/cm〜0.98kg/cmであることを特徴とする二軸延伸ブロー成形ボトル。
  2. 二軸延伸ブロー成形後のヘイズ値が10%以下であることを特徴とする請求項1に記載の二軸延伸ブロー成形ボトル。
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