JP4767099B2 - 電磁クラッチ - Google Patents

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本発明は、磁力を用いて一対の回転部材間の駆動トルクを断続する電磁クラッチに関する。
特許文献1には、電磁石でアーマチャを吸引して摩擦力を発生させ、駆動力を伝達する動力伝達装置が記載されている。この動力伝達装置の一部を成す電磁クラッチは、電磁石のコイルに通電される電流値に応じて電磁石のヨーク、ロータ、摩擦クラッチ、アーマチャに磁力線が透過し磁束ループを形成する。このため、電磁石のヨーク、ロータ、摩擦クラッチ、アーマチャは、鉄製材料が用いられている。特に、このような電磁クラッチにおけるロータは、磁力線の透過率を低下させないように、一般的に低炭素鋼製材料が用いられている。
特開平11−153157号公報
しかしながら、このようなロータは単に磁力線の透過効率の良い材料を選定しただけでは、静止ケースなどの周辺部材への取付強度が不足したり、所定の駆動トルクの伝達強度が不足したりするため、装置としての他のアプリケーション設計をする場合の制約がある。
本発明は、上記課題を鑑みて為されたものであり、周辺部材への取付状態や駆動力の伝達状態による制約を抑制し、装置としてのアプリケーション設計の適用範囲を拡大できる電磁クラッチの提供を目的としている。
請求項1の発明は、相対的に回転可能な第1及び第2の回転部材と、コイルとヨークとからなる電磁石と、前記電磁石に近接配置され、前記電磁石により発生する磁力線が透過するロータと、前記第1及び第2の回転部材の間で駆動トルクを伝達する摩擦クラッチと、前記ロータからの磁力線が透過し、前記摩擦クラッチの締結を操作するアーマチャとを備えた電磁クラッチであって、前記ロータは、少なくとも前記磁力線が磁束ループを形成するための第1の磁性部と第2の磁性部とを備え、前記第1の磁性部と前記第2の磁性部は炭素鋼で形成されており、前記第1の磁性部は、前記第2の磁性部よりも炭素含有量が多く、前記第1の磁性部は軸方向に延設された円筒部を備え、当該円筒部は軸受けを介して前記ヨークを支承し、前記第2の磁性部は前記第1の磁性部よりも半径方向外周側に配置されていることを特徴とする。
請求項電磁クラッチは、請求項1記載の電磁クラッチであって、前記第1の磁性部は、前記第2の磁性部よりも材料剛性が高いことを特徴とする。
請求項電磁クラッチは、請求項1又は2に記載の電磁クラッチであって、前記第1の磁性部は、他の駆動部材と連結する連結部を備えることを特徴とする。
請求項電磁クラッチは、請求項1記載の電磁クラッチであって、前記第1の磁性部は、他の回転部材と連結する連結部を備えると共に、少なくとも前記連結部には表面硬化処理が施されていることを特徴とする。
請求項電磁クラッチは、請求項1又は2に記載の電磁クラッチであって、前記第1の磁性部は、他の駆動部材の駆動トルクを伝達する伝達部を備えることを特徴とする。
請求項電磁クラッチは、請求項1又は2に記載の電磁クラッチであって、該円筒部には他の部材と摺動する摺動部が形成されていることを特徴とする。
請求項電磁クラッチは、請求項1又は2に記載の電磁クラッチであって、該円筒部には静止部材側に対して支持される支持部が形成されていることを特徴とする。
請求項電磁クラッチは、請求項記載の電磁クラッチであって、前記第1の磁性部は、前記磁束ループの外側に位置する他の部材と関連付けられる円筒部を有することを特徴とする。
請求項1の電磁クラッチによれば、ロータを形成する第1の磁性部と第2の磁性部とは異なる材料で形成されているので、ロータ材料に2種類以上の材料を組み合わせることによって、周辺部材への取付状態や駆動力の伝達状態による制約を抑制し、電磁クラッチ単体装置又は電磁クラッチを組込んだ装置の構造の複雑化、大型化を抑制しながらアプリケーション設計の適用範囲を拡大できる。
さらに、請求項の電磁クラッチによれば、第1の磁性部は第2の磁性部よりも材料中の炭素含有率が多くなっており、炭素含有量が異なる材料を組合わせることによって、周辺部材への取付状態や駆動力の伝達状態を考慮すべき磁性部には炭素含有量が多い硬い材料を選定する。これによって、磁力線の透過率は多少低下するが、それ以上に電磁クラッチ単体装置又は電磁クラッチを組込んだ装置のアプリケーション設計の適用範囲が拡大できる。
請求項の電磁クラッチによれば、第1の磁性部は第2の磁性部よりも材料剛性が高くなっており、材料剛性が異なる材料を組合わせることによって、周辺部材への取付状態や駆動力の伝達状態を考慮すべき磁性部には剛性が高い材料を選定する。磁性部の剛性を高くすることで、駆動トルクによる捩りや曲げなどの外力を磁性部が受け持つことができるので、電磁クラッチ単体装置又は電磁クラッチを組込んだ装置のアプリケーション設計の適用範囲が拡大できる。
請求項の電磁クラッチによれば、第1の磁性部は他の駆動部材と連結する連結部が備えられているので、駆動トルクの連結強度を保持することができる。また、第1の磁性部の方が第2の磁性部よりも硬いので、連結部を駆動トルクの入出力部に設定し易い。
請求項の電磁クラッチによれば、第1の磁性部の他の回転部材と連結する連結部に表面硬化処理を施しているので、連結部の強度を増大させることができる。従って、駆動トルクが入出力するロータの信頼性が向上し、電磁クラッチ単体装置又は電磁クラッチを組込んだ装置のアプリケーション設計の適用範囲を拡大できる。
請求項の電磁クラッチによれば、第1の磁性部の入力部で駆動トルクを受けることができる。また、入力部を有する第1の磁性部の方が第2の磁性部よりも硬いので、円筒部を駆動トルクの入出力部に設定し易い。
請求項の電磁クラッチによれば、第1の磁性部又は第2の磁性部の円筒部には他の部材と摺動する摺動部が形成されているので、摺動部を考慮した材料設定ができる。また、一方の磁性部が他方の磁性部よりも硬い場合、一方の磁性部が硬いので、摺動部の形状を容易に設定できる。
請求項の電磁クラッチによれば、第1の磁性部又は第2の磁性部の円筒部には静止部材側に対して支持される支持部が形成されているので、支持部を考慮した材料設定ができる。また、一方の磁性部が他方の磁性部よりも硬い場合、一方の磁性部が硬いので、支持部の形状を容易に設定できる。
請求項の電磁クラッチによれば、磁束ループの外側に円筒部が位置するので、円筒部が磁束ループに影響を与えない。したがって、摩擦クラッチの締結性が良好に保持できる。

(第1実施形態)
図1、2を用いて第1実施形態について説明する。
本実施形態の電磁クラッチ1は、第1と第2の相対回転部材3、5と、コイル7、ヨーク9からなる電磁石11と、電磁石11に近接配置されヨーク9との間で磁力線が透過するロータ13と、第1と第2の相対回転部材3、5間で駆動トルクを伝達する摩擦クラッチ15と、ロータ13からの磁力線が透過し摩擦クラッチ15の締結を操作するアーマチャ17を備えている。そして、本実施形態の電磁クラッチ1では、ロータ13は、少なくとも磁力線のループ19を形成するための第1の磁性部21と第2の磁性部23とを備え、第1の磁性部21と第2の磁性部23とは異なる材料で形成されている。
図1に示すように、第1の回転部材3は、ベアリング25を介して電磁石11のヨーク9の内周側を回転可能に支持している。また、第1の回転部材3は、ベアリング25を介して静止部材(不図示)に支持されている。また、電磁石11は、静止部材(不図示)に固定されている。第1の回転部材3の一端外周部には、係合溝27が回転不能に形成されている。この係合溝27には、カバー部材29が係合されている。また、第1の回転部材3の内周側には、凹部31が形成されている。この凹部31に配置されたベアリング33とカバー部材29の内周に配置されたベアリング35とを介して第2の回転部材5が第1の回転部材3と相対回転可能に支承されている。
電磁石11は、コイル7とヨーク9とから構成され、静止部材(不図示)に固定されている。この電磁石11の一側には、ロータ13が近接配置されている。
ロータ13は、第1の回転部材3と一体的に設けられている。このロータ13は、後述する第1の磁性部21と第2の磁性部23とから構成され、電磁石11への通電により、ヨーク9、ロータ13、摩擦クラッチ15、アーマチャ17に磁力線が透過し磁束ループ19が形成される。
摩擦クラッチ15は、第1の回転部材3の内周にスプライン連結された複数の外側摩擦板37と第2の回転部材5の外周にスプライン連結された複数の内側摩擦板39とから構成されている。この摩擦クラッチ15は、電磁石11への通電により、電磁石11側に吸引されたアーマチャ17によって締結される。アーマチャ17は、摩擦クラッチ15の一側で第1の回転部材3の内周にスプライン連結されている。また、アーマチャ17とカバー部材29との間には、付勢部材41が配置されている。この付勢部材41によってアーマチャ17を正規の位置に配置している。そして、電磁石11への通電によって摩擦クラッチ15が締結されると、第1の回転部材3と第2の回転部材5とが接続されて駆動トルクが伝達される。
この電磁クラッチ1におけるロータ13は、磁力線の透過状態と周辺部材への取付状態や駆動力の伝達状態などが考慮されている。以下に、ロータ13について説明する。
図1、2に示すように、ロータ13は、第1の回転部材3と一体的に設けられ、第1の磁性部21と第2の磁性部23とから構成されている。第1の磁性部21は、第2の磁性部23よりも径方向内側に配置され、複数の接合部43を介して第1の磁性部21と第2の磁性部23とが直接的に接合されている。この複数の接合部43の周方向には、適宜間隔をおいて開口45が形成されている。この開口45によって、電磁石11への通電により、ヨーク9、ロータ13、摩擦クラッチ15、アーマチャ17に磁力線を透過し、磁束ループ19を形成することができる。また、第1の磁性部21には、連結部51が備えられ、軸方向に延設された磁束ループの外側に位置する円筒部47が形成されている。円筒部47の外周には、支持部49が設けられている。この支持部49によって、ベアリング25を介して第1の回転部材3が静止部材(不図示)側に回転可能に支承されている。また、円筒部47の内周には、連結部51が形成されている。この連結部51によって、他の駆動部材(不図示)と第1の回転部材3とが連結される。
このように、第1の磁性部21は、磁束ループ19を形成する部分と、静止部材(不図示)側に支持される支持部49と、他の駆動部材(不図示)と連結する連結部51を有している。従って、ロータ13は、磁力線の透過状態と周辺部材への取付状態や駆動力の伝達状態とを考慮して、材料の選定をする必要がある。以下に、ロータ13の材料について説明する。
第1の磁性部21は、例えばJIS G 4051 機械構造用炭素鋼鋼材(S30C)などが用いられ、第2の磁性部23に用いられるJIS G 4051 機械構造用炭素鋼鋼材(S10C)などの材料よりも炭素含有量が多い。また、第1の磁性部21は、第2の磁性部23よりも材料剛性が高くなっている。さらに、第1の磁性部21の連結部51には、浸炭、窒化、高周波焼入などの熱処理によって表面硬化処理が施されている。なお、この表面硬化処理は、ショットブラストなどでも良く、また、化学成分の蒸着や表面改質を行っても良い。また、ベアリング33が配置された凹部31及びベアリング25が当接する支持部49にも、フレッチング防止のために表面処理が施されている。
このような電磁クラッチ1では、第1の磁性部21と第2の磁性部23とが異なる材料で形成されているので、ロータ材料に2種類以上の材料を組み合わせることによって、周辺部材への取付状態や駆動力の伝達状態による制約を抑制し、電磁クラッチ単体装置又は電磁クラッチを組込んだ装置の構造の複雑化、大型化を抑制しながらアプリケーション設計の適用範囲を拡大できる。
また、周辺部材への取付状態や駆動力の伝達状態を考慮すべき第1の磁性部21には炭素含有量が多い硬い材料を選定しているので、磁力線の透過率は多少低下するが、それ以上に電磁クラッチ単体装置又は電磁クラッチを組込んだ装置のアプリケーション設計の適用範囲が拡大できる。
なお、第1の磁性部21が他の周辺部材との連結状態によって表面処理を行わないでも済むような特性を有する材料を選定した場合には、表面処理を行わなくとも良い。
さらに、周辺部材への取付状態や駆動力の伝達状態を考慮すべき第1の磁性部21には剛性が高い材料が選定されており、駆動トルクによる捩りや曲げなどの外力を第1の磁性部21が受け持つことができるので、電磁クラッチ単体装置又は電磁クラッチを組込んだ装置のアプリケーション設計の適用範囲が拡大できる。
加えて、第1の磁性部21の円筒部47には他の駆動部材と連結する連結部51が形成されているので、駆動トルクの連結強度を保持することができる。また、円筒部47を有する第1の磁性部21の方が第2の磁性部23よりも硬いので、円筒部47を駆動トルクの入出力部に設定し易く、円筒部47を軸方向に所定の長さ確保しているので、連結強度を十分に確保することができる。
また、第1の磁性部21は第2の磁性部23よりも小径であるので、剛性が高い材料を選定することにより、周辺部材への取付状態や駆動力の伝達状態を考慮した場合の肉厚増大を抑制することができる。また、半径方向内周側に配置された第1の磁性部21を用いて周辺部材への取付や駆動力を伝達するように形状設定できるので、大型化を抑制しながら電磁クラッチ単体装置又は電磁クラッチを組込んだ装置のアプリケーション設計の適用範囲を拡大できる。
さらに、第1の磁性部21の他の回転部材と連結する連結部51に表面硬化処理を施しているので、連結部51の強度を増大させることができる。従って、駆動トルクが入出力するロータ13の信頼性が向上し、電磁クラッチ単体装置又は電磁クラッチを組込んだ装置のアプリケーション設計の適用範囲を拡大できる。
加えて、第1の磁性部21の円筒部47には静止部材側に対して支持される支持部49が形成されているので、支持部49を考慮した材料設定ができる。また、第1の磁性部21が第2の磁性部23よりも硬いので、支持部49の形状を容易に設定できる。
(第2実施形態)
図3を用いて第2実施形態について説明する。
本実施形態の電磁クラッチ101は、第1と第2の相対回転部材103、105と、コイル107、ヨーク109からなる電磁石111と、電磁石111に近接配置されヨーク109との間で磁力線が透過するロータ113と、第1と第2の相対回転部材103、105間で駆動トルクを伝達するメインクラッチ(摩擦クラッチ)115と、ロータ113からの磁力線が透過しパイロットクラッチ(摩擦クラッチ)125の締結を操作するアーマチャ117を備えている。そして、本実施形態の電磁クラッチ101では、ロータ113は、少なくとも磁力線のループ119を形成するための第1の磁性部121と第2の磁性部123とを備え、第1の磁性部121と第2の磁性部123とは異なる材料で形成されている。
図3に示すように、第1の回転部材103は、ハウジング127に収容されている。第1の回転部材103の外周には、ギヤ部129が形成されている。このギヤ部129には、複数のギヤ131が噛み合っている。また、ギヤ131は、ハウジング127の内周に形成されたギヤ部133と噛み合っている。このギヤ131は、ベアリング135、135を介して、複数のシャフト137に回転可能に支承されている。シャフト137は、第2の回転部材105の支持部139と、押圧支持部材141とによって両端を支持されている。また、第2の回転部材105は、カム機構143を構成するカム部145が形成され、ハウジング127に第1の回転部材103と相対回転可能に収容されている。
ハウジング127は、ロータ113とハウジング本体147とから構成され、ハウジング本体147とロータ113とが電子ビーム溶接によって一体的に設けられている。また、ハウジング127は、静止部材(不図示)に固定された電磁石111のヨーク109の内周側に配置されたベアリング149、149を介して、静止部材(不図示)に回転可能に支承されている。
電磁石111は、コイル107とヨーク109とから構成され、静止部材(不図示)に固定されている。この電磁石111の一側には、ロータ113が近接配置されている。
ロータ113は、ハウジング127と一体的に設けられている。このロータ113は、後述する第1の磁性部121と第2の磁性部123とから構成され、電磁石111への通電により、ヨーク109、ロータ113、パイロットクラッチ125、アーマチャ117に磁力線が透過し磁束ループ119が形成される。
パイロットクラッチ125は、ハウジング127の内周にスプライン連結された複数の外側摩擦板151と、第2の回転部材105の外周に嵌合されたカムリング153の外周にスプライン連結された複数の内側摩擦板155とから構成されている。このパイロットクラッチ125は、電磁石111への通電により、電磁石111側に吸引されたアーマチャ117によって締結される。アーマチャ117は、パイロットクラッチ125の一側に設けられている。そして、電磁石111への通電によってパイロットクラッチ125が締結されると、カムリング153と第2の回転部材105との間に差回転が生じ、カム機構143でカムスラスト力を発生させる。
カム機構143は、カムリング153と、第2の回転部材105に形成されたカム部145と、カムリング153とカム部145との間に配置されたカムボール157とから構成されている。そして、カム機構143でカムスラスト力(軸方向の力)が発生すると、第2の回転部材105が軸方向に移動されてギヤ131を押圧し、ギヤ131が軸方向に移動されて押圧支持部材141を押圧し、押圧支持部材141が軸方向に移動されてメインクラッチ115を押圧してメインクラッチ115が締結される。
メインクラッチ115は、押圧支持部材141の一側にスプライン連結された複数の外側摩擦板159と、第1の回転部材103の外周にスプライン連結された複数の内側摩擦板161とから構成されている。そして、電磁石111への通電によってメインクラッチ115が締結されると、第1と第2の回転部材103、105が接続されて駆動トルクが伝達される。
この電磁クラッチ101におけるロータ113は、磁力線の透過状態と周辺部材への取付状態や駆動力の伝達状態などが考慮されている。以下に、ロータ113について説明する。
ロータ113は、ハウジング127と一体的に設けられ、第1の磁性部121と第2の磁性部123とから構成されている。第1の磁性部121は、第2の磁性部123よりも径方向内側に配置され、銅やアルミ合金などの非磁性材163を介して第1の磁性部121と第2の磁性部123とが一体的に設けられている。この非磁性材163は、周方向に適宜間隔をおいて形成されている、又は、周方向全体にリング状に形成されている。この非磁性材163によって、電磁石111への通電により、ヨーク109、ロータ113、パイロットクラッチ125、アーマチャ117に磁力線を透過し、磁束ループ119を形成することができる。また、第1の磁性部121には、連結部169が備えられており、磁束ループ119の外側には軸方向に延設された円筒部165が形成されている。この円筒部165の外周には、支持部167が設けられている。この連結部169によって、他の駆動部材(不図示)とハウジング127とが連結される。また、第1の磁性部121には、カム機構143でのカムスラスト力によって電磁石111側に移動されたカムリング153のカム推力を受ける受部171が円筒部165の一端面に形成されている。
このように、第1の磁性部121は、磁束ループ119を形成する部分と、静止部材(不図示)側に支持される支持部167と、他の駆動部材(不図示)と連結する連結部169と、カム推力を受ける受部171とを有している。従って、ロータ113は、磁力線の透過状態と周辺部材への取付状態や駆動力の伝達状態とを考慮して、材料の選定をする必要がある。以下に、ロータ113の材料について説明する。
第1の磁性部121は、例えばJIS G 5101 炭素鋼鋳鋼品(SCM415H)などが用いられ、第2の磁性部123に用いられるJIS G 4051 機械構造用炭素鋼鋼材(S10C)などの材料よりも炭素含有量が多い。また、第1の磁性部121は、第2の磁性部123よりも材料剛性が高くなっている。さらに、第1の磁性部121の連結部169には、浸炭、窒化、高周波などの熱処理によって表面硬化処理が施されている。なお、この表面硬化処理は、ショットブラストなどでも良く、また、化学成分の蒸着や表面改質を行っても良い。また、ベアリング149、149が当接する支持部167にも、フレッチング防止のために表面処理が施されている。なお、第1の磁性部121の電磁石111のヨーク109と対向する対向部173及びパイロットクラッチ125と対向する対向部175には、切削されるか又は成形時に防炭材が塗布されて磁束透過性を向上させている。
このような電磁クラッチ101では、第1の磁性部121と第2の磁性部123とが異なる材料で形成されているので、ロータ材料に2種類以上の材料を組み合わせることによって、周辺部材への取付状態や駆動力の伝達状態による制約を抑制し、電磁クラッチ単体装置又は電磁クラッチを組込んだ装置の構造の複雑化、大型化を抑制しながらアプリケーション設計の適用範囲を拡大できる。
また、周辺部材への取付状態や駆動力の伝達状態を考慮すべき第1の磁性部121には炭素含有量が多い硬い材料を選定しているので、磁力線の透過率は多少低下するが、それ以上に電磁クラッチ単体装置又は電磁クラッチを組込んだ装置のアプリケーション設計の適用範囲が拡大できる。
さらに、周辺部材への取付状態や駆動力の伝達状態を考慮すべき第1の磁性部121には剛性が高い材料が選定されており、駆動トルクによる捩りや曲げなどの外力を第1の磁性部121が受け持つことができるので、電磁クラッチ単体装置又は電磁クラッチを組込んだ装置のアプリケーション設計の適用範囲が拡大できる。
加えて、第1の磁性部121の円筒部165には他の駆動部材と連結する連結部169が形成されているので、駆動トルクの連結強度を保持することができる。また、円筒部169を有する第1の磁性部121の方が第2の磁性部123よりも硬いので、円筒部169を駆動トルクの入出力部に設定し易い。
また、第1の磁性部121は第2の磁性部123よりも小径であるので、剛性が高い材料を選定することにより、周辺部材への取付状態や駆動力の伝達状態を考慮した場合の肉厚増大を抑制することができる。また、半径方向内周側に配置された第1の磁性部121を用いて周辺部材への取付や駆動力を伝達するように形状設定できるので、大型化を抑制しながら電磁クラッチ単体装置又は電磁クラッチを組込んだ装置のアプリケーション設計の適用範囲を拡大できる。
さらに、第1の磁性部121の他の回転部材と連結する連結部169に表面硬化処理を施しているので、連結部169の強度を増大させることができる。従って、駆動トルクが入出力するロータ113の信頼性が向上し、電磁クラッチ単体装置又は電磁クラッチを組込んだ装置のアプリケーション設計の適用範囲を拡大できる。
加えて、第1の磁性部121の円筒部165には静止部材側に対して支持される支持部167が形成されているので、支持部167を考慮した材料設定ができる。また、第1の磁性部121が第2の磁性部123よりも硬いので、支持部167の形状を容易に設定できる。
(第3実施形態)
図4を用いて第3実施形態について説明する。
本実施形態の電磁クラッチ201は、デフケース203と差動機構205(第1と第2の相対回転部材)と、コイル207、ヨーク209からなる電磁石211と、電磁石211に近接配置されヨーク209との間で磁力線が透過するロータ213と、デフケース203と差動機構205間で駆動トルクを伝達するメインクラッチクラッチ(摩擦クラッチ)215と、ロータ213からの磁力線が透過しパイロットクラッチ(摩擦クラッチ)229の締結を操作するアーマチャ217を備えている。そして、本実施形態の電磁クラッチ201では、ロータ213は、少なくとも磁力線のループ219を形成するための第1の磁性部221と第2の磁性部223とを備え、第1の磁性部221と第2の磁性部223とは異なる材料で形成され、第1の磁性部221は、第2の磁性部223よりも径方向外側に配置されると共に、磁束ループの外側に位置するように径方向に延設された円板部(円筒部)225を備え、この円板部225は動力伝達系のギヤ(他の駆動部材)227の駆動トルクが伝達される伝達部である。
図4に示すように、デフケース203は、ロータ213とケース本体231とから構成され、ケース本体231とロータ213とがボルト233で一体的に固定されている。また、デフケース203は、ボス部235、237が形成されている。これらのボス部235、237でベアリング239、241を介してデフキャリア243にデフケース203が回転自在に支承されている。さらに、デフケース203には、リングギヤ245がボルト233で固定されている。このリングギヤ245は、エンジンの駆動力を伝達する動力伝達系のギヤ227と噛み合い、エンジンの駆動力がデフケース203側に伝達される。この駆動力によってデフケース203が回転駆動され、差動機構205を介して左右の車軸247、249に駆動力が伝達される。
差動機構205は、ピニオンシャフト251と、ピニオンシャフト251に回転可能に支持されたピニオンギヤ253と、ピニオンギヤ253と噛み合うと共に左右の車軸247、249に連結されたサイドギヤ255、257とから構成されている。
ピニオンシャフト251は、両端部がデフケース203に係合され、デフケース203と一体に回転駆動される。ピニオンギヤ253は、左右のサイドギヤ255、257にエンジンからの駆動力を伝達すると共に、噛み合っている左右のサイドギヤ255、257に差回転が生じると回転駆動されるようにピニオンシャフト251に支承されている。
サイドギヤ255、257は、ボス部259、261が形成され、デフケース203に形成された支承部263、265で支承されている。サイドギヤ255、257のボス部259、261の内径側には、車軸247、249がスプライン連結されている。この車軸247、249を介して左右の車輪側に駆動力が伝達される。また、サイドギヤ255に連結された車軸247の外周には、サンギヤ267がスプライン連結されている。そして、サイドギヤ255が電磁クラッチ201によりデフケース203に連結されると差動がロック状態となる。
電磁クラッチ201は、電磁石211と、電磁石211の磁気的吸引力により軸方向へ移動可能に配置されたアーマチャ217と、アーマチャ217の軸方向への移動により締結されるパイロットクラッチ229と、パイロットクラッチ229の締結によりスラスト力を発生するカム機構269と、カム機構269のスラスト力をメインクラッチ215へ伝達するプレッシャリング271と、プレッシャリング271の軸方向への移動により締結されるメインクラッチ215とを備えている。
電磁石211は、コイル207とヨーク209とから構成され、デフキャリア(静止部材)243に固定されている。また、ヨーク209の内周側には、ベアリング273を介してデフケース203のボス部235が支承されている。このボス部235が形成されたデフケース203のロータ213は、電磁石211に隣接配置されている。このロータ213は、後述する第1の磁性部221と第2の磁性部223とから構成され、電磁石211への通電により、ヨーク209、ロータ213、パイロットクラッチ229、アーマチャ217に磁力線が透過し磁束ループ219が形成される。
パイロットクラッチ229は、デフケース203の内周にスプライン連結された複数の外側クラッチ板275と車軸247の外周に嵌合されたカムリング277の外周にスプライン連結された複数の内側クラッチ板279とから構成されている。このパイロットクラッチ229は、アーマチャ217に押圧されることにより締結され、カムリング277とプレッシャリング271との間に差回転を生じさせてカム機構269でカムスラスト力を発生させる。
カム機構269は、カムリング277と、車軸247の外周に軸方向へ移動可能に配置されたプレッシャリング271と、カムリング277とプレッシャリング271との間に配置されたカムボール281とから構成されている。パイロットクラッチ229が締結されると、パイロットクラッチ229に連結されたカムリング277とプレッシャリング271との間に差回転が生じ、カム機構269のカムスラスト力によってプレッシャリング271がメインクラッチ215側へ移動されてメインクラッチ215が締結する。
メインクラッチ215は、デフケース203の内周にスプライン連結された複数の外側クラッチ板283と車軸247に連結されたサンギヤ267の外周にスプライン連結された複数の内側クラッチ板285から構成されている。メインクラッチ215は、パイロットクラッチ229の締結によってメインクラッチ215側に移動されたプレッシャリング271によって締結される。メインクラッチ215が締結されると、差動機構205での差動が制限される。
この電磁クラッチ201におけるロータ213は、磁力線の透過状態と周辺部材への取付状態や駆動力の伝達状態などが考慮されている。以下に、ロータ213について説明する。
ロータ213は、ケース本体231と一体的に設けられ、第1の磁性部221と第2の磁性部223とから構成されている。第1の磁性部221は、第2の磁性部223よりも径方向外側に配置され、非磁性材287を介して第1の磁性部221と第2の磁性部223とが一体的に設けられている。この非磁性材287は、ステンレス合金材料などが用いられ、この材料の軸方向の内外周境界面を電子ビーム溶接している。この非磁性材287によって、電磁石211への通電により、ヨーク209、ロータ213、パイロットクラッチ229、アーマチャ217に磁力線を透過し、磁束ループ219を形成することができる。また、第1の磁性部221には、円板部225が形成されている。この円板部225には、ボルト233を介してリングギヤ245が固定されている。さらに、第2の磁性部223には、軸方向に延設された円筒部289が形成されている。この円筒部289の外周には、支持部291が設けられている。この支持部291によって、ベアリング239を介してデフケース203がデフキャリア243に回転可能に支承されている。また、円筒部289の内周には、摺動部293が形成されている。この摺動部293には、車軸247が摺動している。
このように、第1の磁性部221は、磁束ループ219を形成する部分と、リングギヤを固定している円板部225を有している。また、第2の磁性部223は、磁束ループ219を形成する部分と、デフキャリア243に支持される支持部291と、車軸247と摺動する摺動部293を有している。従って、ロータ213は、磁力線の透過状態と周辺部材への取付状態や駆動力の伝達状態とを考慮して、材料の選定をする必要がある。以下に、ロータ213の材料について説明する。
第1の磁性部221は、例えばJIS G 5101 炭素鋼鋳鋼品(SCM415H)などが用いられ、第2の磁性部223にはJIS G 4051 機械構造用炭素鋼鋼材(S10C)などが用いられており、第1の磁性部221の材料の方が第2の磁性部223の材料よりも炭素含有量が多い。また、第1の磁性部221は、第2の磁性部223よりも材料剛性が高くなっている。これは、リングギヤ245を固定した第1の磁性部221は、リングギヤ245の噛み合い駆動力(曲げ力)が円板部225に作用するためである。さらに、第2の磁性部223の摺動部293には、窒化などの表面硬化処理が施されて車軸247との摺動磨耗を抑制している。また、ベアリング239が当接する第2の磁性部223の支持部291にも、窒化などの表面処理が施されてフレッチングを防止している。
このような電磁クラッチ201では、第1の磁性部221と第2の磁性部223とが異なる材料で形成されているので、ロータ材料に2種類以上の材料を組み合わせることによって、周辺部材への取付状態や駆動力の伝達状態による制約を抑制し、電磁クラッチ単体装置又は電磁クラッチを組込んだ装置の構造の複雑化、大型化を抑制しながらアプリケーション設計の適用範囲を拡大できる。
また、第1の磁性部221には炭素含有量が多い硬い材料を選定しているので、磁力線の透過率は多少低下するが、それ以上に電磁クラッチ単体装置又は電磁クラッチを組込んだ装置のアプリケーション設計の適用範囲が拡大できる。
さらに、第1の磁性部221には剛性が高い材料が選定されており、駆動トルクによる捩りや曲げなどの外力を第1の磁性部221が受け持つことができるので、電磁クラッチ単体装置又は電磁クラッチを組込んだ装置のアプリケーション設計の適用範囲が拡大できる。
加えて、第1の磁性部221の円板部225は動力伝達系のギヤ227の駆動トルクが入力するので、円板部225で駆動トルクを受けることができる。また、第1の磁性部221の方が第2の磁性部223よりも硬いので、円板部225を駆動トルクを伝達する伝達部としての入出力部に設定し易い。
また、第2の磁性部223の円筒部289には車軸247と摺動する摺動部293が形成されており、摺動部293には、窒化などの表面硬化処理が施されているので、車軸247との摺動磨耗を抑制することができる。
さらに、第2の磁性部223の円筒部289にはベアリング239が当接する支持部291が形成されており、支持部291には、窒化などの表面硬化処理が施されているので、フレッチングを防止することができる。
(第4実施形態)
図5を用いて第4実施形態について説明する。
本実施形態の電磁クラッチ301は、第1と第2の相対回転部材303、305と、コイル307、ヨーク309からなる電磁石311と、電磁石311に近接配置されヨーク309との間で磁力線が透過するロータ313と、第1と第2の相対回転部材303、305間で駆動トルクを伝達するメインクラッチ(摩擦クラッチ)315と、ロータ313からの磁力線が透過しパイロットクラッチ(摩擦クラッチ)325の締結を操作するアーマチャ317を備えている。そして、本実施形態の電磁クラッチ301では、ロータ313は、少なくとも磁力線のループ319を形成するための第1の磁性部321と第2の磁性部323とを備え、第1の磁性部321と第2の磁性部323とは異なる材料で形成されている。
図5に示すように、第1の回転部材303は、駆動トルクが入力するハウジング本体304とハウジング本体304の一端壁として取付固定されたロータ313とからなり、キャリア(静止部材)327に配置されたベアリング329と、キャリア327に固定された電磁石311に配置されたベアリング331を介して、キャリア327に回転可能に支承されている。第1の回転部材303の内周側には、凹部333が形成されている。この凹部333に配置されたベアリング335と第1の回転部材303の内周に配置されたベアリング337とを介して第2の回転部材305が第1の回転部材303と相対回転可能に支承されている。
電磁石311は、コイル307とヨーク309とから構成され、キャリア327の支持部339で固定されると共に、キャリア327の軸方向に開口した凹部341に配置される回り止め用のピン343を介してキャリア327に固定されている。この電磁石311の一側には、ロータ313が近接配置されている。
ロータ313は、第1の回転部材303と一体的に設けられている。このロータ313は、後述する第1の磁性部321と第2の磁性部323とから構成され、電磁石311への通電により、ヨーク309、ロータ313、パイロットクラッチ325、アーマチャ317に磁力線が透過し磁束ループ319が形成される。
パイロットクラッチ325は、第1の回転部材303の内周にスプライン連結された複数の外側摩擦板345と、第2の回転部材305の外周に嵌合されたカムリング347の外周にスプライン連結された複数の内側摩擦板349とから構成されている。このパイロットクラッチ325は、電磁石311への通電により、電磁石311側に吸引されたアーマチャ317によって締結される。アーマチャ317は、パイロットクラッチ325の一側に設けられている。そして、電磁石311への通電によってパイロットクラッチ325が締結されると、カムリング347と第2の回転部材305の外周にスプライン連結されたプレッシャリング351との間に差回転が生じ、カム機構353でカムスラスト力を発生させる。
カム機構353は、カムリング347と、プレッシャリング351と、カムリング347とプレッシャリング351との間に配置されたカムボール355とから構成されている。そして、カム機構353でカムスラスト力が発生すると、プレッシャリング351が軸方向に移動されてメインクラッチ315を押圧してメインクラッチ315が締結される。
メインクラッチ315は、第1の回転部材303の一側にスプライン連結された複数の外側摩擦板357と、第2の回転部材305の外周にスプライン連結された複数の内側摩擦板359とから構成されている。そして、電磁石311への通電によってメインクラッチ315が締結されると、第1と第2の回転部材303、305が接続されて駆動トルクが伝達される。
この電磁クラッチ301におけるロータ313は、磁力線の透過状態と周辺部材への取付状態や駆動力の伝達状態などが考慮されている。以下に、ロータ313について説明する。
ロータ313は、第1の回転部材303と一体的に設けられ、第1の磁性部321と第2の磁性部323とから構成されている。第1の磁性部321は、第2の磁性部323よりも径方向内側に配置され、非磁性材361を介して第1の磁性部321と第2の磁性部323とが一体的に設けられている。この非磁性材361は、第1の磁性部321と第2の磁性部323との間に銅リングを鋳込むことによって形成されている。この非磁性材361によって、電磁石311への通電により、ヨーク309、ロータ313、パイロットクラッチ325、アーマチャ317に磁力線を透過し、磁束ループ319を形成することができる。また、第1の磁性部321には、ベアリング331,335やシールベアリング336、シール369などの接触部材を配置する形状が内外周面に形成された磁束ループ319の外側に位置し、軸方向に延設された円筒部363を有している。この円筒部363の外周は、支持部365が設けられている。この支持部365によって、ベアリング331を介して第1の回転部材303がキャリア327に回転可能に支承されている。また、円筒部363の外周の端部は、摺動部367が形成されている。この摺動部367は、キャリア327と円筒部363との間に配置されたシール369と摺動している。
このように、第1の磁性部321は、磁束ループ319を形成する部分と、キャリア327に支持される支持部365と、キャリア327と円筒部363との間に配置されたシール369と摺動する摺動部367とを有している。従って、ロータ313は、磁力線の透過状態と周辺部材への取付状態や駆動力の伝達状態とを考慮して、材料の選定をする必要がある。以下に、ロータ313の材料について説明する。
第1の磁性部321は、例えばJIS G 5101 炭素鋼鋳鋼品(SCM415H)などが用いられ、第2の磁性部323に用いられるJIS G 4051 機械構造用炭素鋼鋼材(S10C)などの材料よりも炭素含有量が多い。また、第1の磁性部321は、第2の磁性部323よりも材料剛性が高くなっている。さらに、第1の磁性部321には、高周波焼入などの熱処理によって表面硬化処理を施すこともできる。なお、第1の磁性部321の電磁石311のヨーク309と対向する対向部371及びパイロットクラッチ325と対向する対向部373には、切削又は研磨が施されている。
このような電磁クラッチ301では、第1の磁性部321と第2の磁性部323とが異なる材料で形成されているので、ロータ材料に2種類以上の材料を組み合わせることによって、周辺部材への取付状態や駆動力の伝達状態による制約を抑制し、電磁クラッチ単体装置又は電磁クラッチを組込んだ装置の構造の複雑化、大型化を抑制しながらアプリケーション設計の適用範囲を拡大できる。
また、第1の磁性部321には炭素含有量が多い硬い材料を選定しているので、磁力線の透過率は多少低下するが、それ以上に電磁クラッチ単体装置又は電磁クラッチを組込んだ装置のアプリケーション設計の適用範囲が拡大できる。
さらに、第1の磁性部321には剛性が高い材料が選定されており、外力を第1の磁性部321が受け持つことができるので、電磁クラッチ単体装置又は電磁クラッチを組込んだ装置のアプリケーション設計の適用範囲が拡大できる。
加えて、第1の磁性部321は第2の磁性部323よりも小径であるので、剛性が高い材料を選定することにより、周辺部材への取付状態や駆動力の伝達状態を考慮した場合の肉厚増大を抑制することができる。また、半径方向内周側に配置された第1の磁性部321を用いて周辺部材への取付を考慮して形状設定できるので、大型化を抑制しながら電磁クラッチ単体装置又は電磁クラッチを組込んだ装置のアプリケーション設計の適用範囲を拡大できる。
また、第1の磁性部321の円筒部363にはキャリア327側に対して支持される支持部365が形成されているので、支持部365を考慮した材料設定ができる。また、第1の磁性部321が第2の磁性部323よりも硬いので、支持部365の形状を容易に設定できる。
さらに、シール369と摺動する摺動部367が形成された第1の磁性部321には、高周波焼入などの表面硬化処理が施される場合には、シール369との摺動磨耗を抑制することができる。
加えて、ベアリング331が当接する支持部365が形成された第1の磁性部321には、高周波焼入などの表面硬化処理が施される場合には、フレッチングを防止することができる。
なお、第4実施形態においては、符号323を第1の磁性部材とし、符号321を第2の磁性部材としても良い。このとき、第1の磁性部材323は外側に位置するので磁束ループ319の磁路断面積を確保しやすく部材材料中の炭素成分が多少増しても大型化は抑制される。つまり、磁束ループ319の外側に円筒部が位置するので、円筒部が磁束ループ319に影響を与えない。したがって、摩擦クラッチの締結性が良好に保持できる。第2の磁性部材321は材料中の炭素成分が低いものを選定して磁束透過性を向上させると共に、周辺の接触部材の配置形状に合わせて切削性を向上させることができる。よって、電磁クラッチ全体としての装置の大型化を抑制することができる。
(第5実施形態)
図6、7を用いて第5実施形態について説明する。
本実施形態の電磁クラッチ401は、第1と第2の相対回転部材と、コイル407、ヨーク409からなる電磁石411と、電磁石411に近接配置されヨーク409との間で磁力線が透過するロータ413と、第1と第2の相対回転部材間で駆動トルクを伝達する摩擦クラッチ415と、ロータ413からの磁力線が透過し摩擦クラッチの締結を操作するアーマチャ417を備えている。そして、本実施形態の電磁クラッチ401では、ロータ413は、少なくとも磁力線のループ419を形成するための第1の磁性部421と第2の磁性部423と第3の磁性部425とを備え、第1の磁性部421と第2の磁性部423と第3の磁性部425とは異なる材料で形成されている。なお、本実施形態では、第1と第2の相対回転部材については図示省略し、摩擦クラッチ415については概略図とするが、本実施形態の構成を他の実施形態にも適用することができ、得られる効果も同等である。
図6、7に示すように、電磁石311は、コイル407とヨーク409とから構成され、静止部材(不図示)に固定されている。この電磁石411の一側には、ロータ413が近接配置されている。
ロータ413は、第1の磁性部421と第2の磁性部423と第3の磁性部425とから構成され、電磁石411への通電により、ヨーク409、ロータ413、摩擦クラッチ415、アーマチャ417に磁力線が透過し磁束ループ419が形成される。なお、アーマチャ417とロータ413との間には、リターンスプリング427が配置され、アーマチャ417を付勢している。また、アーマチャ417には、非磁性部429が形成されている。
第1の磁性部421は、第2の磁性部423よりも径方向内側に配置され、非磁性材431を介して第1の磁性部421と第2の磁性部423とが一体的に設けられている。この非磁性材431は、第1の磁性部421と第2の磁性部423との間に銅リングを圧入してろう付けされている。第2の磁性部423は、第3の磁性部425よりも径方向内側に配置され、非磁性材433を介して第2の磁性部423と第3の磁性部425とが一体的に設けられている。この非磁性材433は、第2の磁性部423と第3の磁性部425との間に銅リングを圧入してろう付けされている。また、第1の磁性部421には、軸方向に延設された円筒部435が形成されている。この円筒部435の内周には、連結部437が形成されている。この連結部437には、他の駆動部材が連結される。
このようにロータ413は、複数の磁性部421、423、425から構成されており、磁力線の透過状態と周辺部材への取付状態や駆動力の伝達状態とを考慮して、材料の選定をする必要がある。以下に、ロータ413の材料について説明する。
第1の磁性部421には、JIS G 5101 炭素鋼鋳鋼品(SCM415H)が用いられている。第2の磁性部423には、JIS G 4051 機械構造用炭素鋼鋼材(S10C)が用いられている。第3の磁性部425には、JIS G 4051 機械構造用炭素鋼鋼材(S30C)が用いられている。これらの材料設定は、第1の磁性部421は、連結部437を有しているので、駆動トルクの伝達を考慮している。第2の磁性部423は、磁束ループ419のように磁力線を回折させるので、最も磁束透過効率の高い材料を選定している。第3の磁性部425は、最外周側の部材となるので、高回転時や熱膨張時の変形を防止できるように硬さをもたせる材料を選定している。また、第1の磁性部421の円筒部435の連結部437には、浸炭、窒化、高周波などの熱処理によって表面硬化処理が施されている。
このような電磁クラッチ401では、第1の磁性部421と第2の磁性部423と第3の磁性部425とが異なる材料で形成されているので、ロータ材料に2種類以上の材料を組み合わせることによって、周辺部材への取付状態や駆動力の伝達状態による制約を抑制し、電磁クラッチ単体装置又は電磁クラッチを組込んだ装置の構造の複雑化、大型化を抑制しながらアプリケーション設計の適用範囲を拡大できる。
なお、各磁性部の材料選定については、磁性部の連結形状、支持形状、接触、摺動状況、耐熱、耐候、耐蝕等の保持環境などの周辺部材への取付状態や駆動力の伝達状態を考慮して、異なる材料を選定すれば良い。
また、本願では、磁力を用いて一対の回転部材間の駆動トルクを断続する電磁クラッチとしたが、一対の回転部材間の駆動トルクを磁力を用いて断続する構成の一般機械にも本願の構成を適用することができる。
電磁クラッチ1の断面図である。 第1の回転部材3の側面図である。 電磁クラッチ101の断面図である。 電磁クラッチ201の断面図である。 電磁クラッチ301の断面図である。 電磁クラッチ401の断面図である。 ロータ413の側面図である。
符号の説明
1、101、201、301、401…電磁クラッチ
3、103、203、303…第1の回転部材(デフケース)
5、105、203、303…第2の回転部材(差動機構)
7、107、207、307、407…コイル
9、109、209、309、409…ヨーク
11、111、211、311、411…電磁石
13、113、213、313、413…ロータ
15、115、125、215、229、315、325、415…摩擦クラッチ(メインクラッチ、パイロットクラッチ)
17、117、217、317、417…アーマチャ
19、119、219、319、419…磁束ループ
21、121、221、321、421…第1の磁性部
23、123、223、323、423…第2の磁性部
43…接合部
45…開口
47…円筒部
49…支持部
51…連結部
127…ハウジング
163…非磁性材
165…円筒部
167…支持部
169…円筒部
169…連結部
225…円板部
227…動力伝達系のギヤ
243…デフキャリア(静止部材)
245…リングギヤ
287…非磁性材
289…円筒部
291…支持部
293…摺動部
327…キャリア(静止部材)
361…非磁性材
363…円筒部
365…支持部
367…摺動部
425…第3の磁性部
431…非磁性材
433…非磁性材
435…円筒部
437…連結部

Claims (8)

  1. 相対的に回転可能な第1及び第2の回転部材と、コイルとヨークとからなる電磁石と、前記電磁石に近接配置され、前記電磁石により発生する磁力線が透過するロータと、前記第1及び第2の回転部材の間で駆動トルクを伝達する摩擦クラッチと、前記ロータからの磁力線が透過し、前記摩擦クラッチの締結を操作するアーマチャとを備えた電磁クラッチであって、
    前記ロータは、少なくとも前記磁力線が磁束ループを形成するための第1の磁性部と第2の磁性部とを備え、前記第1の磁性部と前記第2の磁性部は炭素鋼で形成されており、前記第1の磁性部は、前記第2の磁性部よりも炭素含有量が多く、前記第1の磁性部は軸方向に延設された円筒部を備え、当該円筒部は軸受けを介して前記ヨークを支承し、前記第2の磁性部は前記第1の磁性部よりも半径方向外周側に配置されていることを特徴とする電磁クラッチ。
  2. 請求項1記載の電磁クラッチであって、
    前記第1の磁性部は、前記第2の磁性部よりも材料剛性が高いことを特徴とする電磁クラッチ。
  3. 請求項1又は2に記載の電磁クラッチであって、
    前記第1の磁性部は、他の駆動部材と連結する連結部を備えることを特徴とする電磁クラッチ。
  4. 請求項1記載の電磁クラッチであって、
    前記第1の磁性部は、他の回転部材と連結する連結部を備えると共に、少なくとも前記連結部には表面硬化処理が施されていることを特徴とする電磁クラッチ。
  5. 請求項1又は2に記載の電磁クラッチであって、
    前記第1の磁性部は、他の駆動部材の駆動トルクを伝達する伝達部を備えることを特徴とする電磁クラッチ。
  6. 請求項1又は2に記載の電磁クラッチであって
    円筒部には他の部材と摺動する摺動部が形成されていることを特徴とする電磁クラッチ。
  7. 請求項1又は2に記載の電磁クラッチであって
    円筒部には静止部材側に対して支持される支持部が形成されていることを特徴とする電磁クラッチ。
  8. 請求項記載の電磁クラッチであって、
    前記第1の磁性部は、前記磁束ループの外側に位置する他の部材と関連付けられる円筒部を有することを特徴とする電磁クラッチ。
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