JP2001193757A - カップリング - Google Patents

カップリング

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JP2001193757A
JP2001193757A JP37584199A JP37584199A JP2001193757A JP 2001193757 A JP2001193757 A JP 2001193757A JP 37584199 A JP37584199 A JP 37584199A JP 37584199 A JP37584199 A JP 37584199A JP 2001193757 A JP2001193757 A JP 2001193757A
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JP
Japan
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clutch
coupling
torque
pilot
main
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JP37584199A
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English (en)
Inventor
Shinji Yamazaki
伸司 山崎
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GKN Driveline Japan Ltd
Original Assignee
Tochigi Fuji Sangyo KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 構造簡単で小型軽量にし、ヒステリシスを軽
微にする。 【解決手段】 メインクラッチ7及びパイロットクラッ
チ9の一側をトルク伝達部材5に連結し、クラッチ7の
他側をトルク伝達部材29に連結し、クラッチ9の他側
を押圧部材11に連結し、ボールカム13を押圧部材1
1とトルク伝達部材29との間に設けた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両の動力伝達系
などに用いられるカップリングに関する。
【0002】
【従来の技術】特開平10−2352号公報に図6のよ
うな蓄圧式ハイブリッド車501が記載されている。こ
の蓄圧式ハイブリッド501車において、エンジン50
3の駆動力はアクスル505を介して左右の車輪50
7,509を駆動する。
【0003】蓄圧式ハイブリッド501車は動力切換装
置511と動力伝達装置513とを備えている。
【0004】動力切換装置511は、主入力部515、
副入力部517、出力部519、切換部521などを備
えている。
【0005】出力部519はポンプ/モータ523に連
結されており、切換部521は主入力部515と副入力
部517を、選択的に、出力部519(ポンプ/モータ
523)と連結する。
【0006】動力伝達装置513は、駆動軸525とク
ラッチ装置527とを備えており、図6のように、駆動
軸525の一側はアクスル505に連結され、他側は上
記の主入力部515に連結されている。
【0007】図7のように、クラッチ装置527は、動
力伝達部材529、クラッチディスク組立体531、ク
ラッチカバー組立体533、レリーズ機構535、ハウ
ジング537などから構成されている。
【0008】動力伝達部材529は副入力部517に連
結されており、クラッチディスク組立体531はスプラ
イン部539によって駆動軸525に連結されている。
【0009】クラッチカバー組立体533はクラッチカ
バー541、ダイヤフラムスプリング543、プレッシ
ャプレ−ト545などから構成されている。
【0010】クラッチカバー541はボルト547で動
力伝達部材529に固定されており、ダイヤフラムスプ
リング543はスタッドピン549などによってクラッ
チカバー541に揺動自在に連結されている。プレッシ
ャプレ−ト545はクラッチディスク組立体531の摩
擦部材551,551とダイヤフラムスプリング543
の外周部との間に配置されている。
【0011】ダイヤフラムスプリング543はその付勢
力によって摩擦部材551,551を動力伝達部材52
9に押圧してクラッチ装置527を締結している。
【0012】レリーズ機構535は、レリーズベアリン
グ553を介して連結されたピストン555と押圧リン
グ557、コイルスプリング559、ピストン555に
圧力を与える圧力供給孔561などから構成されてい
る。
【0013】コイルスプリング559は、ピストン55
5に圧力が与えられていない間、ピストン555とレリ
ーズベアリング553と押圧リング557とを介してダ
イヤフラムスプリング543の内側端部を図7の左方へ
押圧し、ダイヤフラムスプリング543によるクラッチ
装置527の締結を解除する。
【0014】圧力供給孔561からピストン555に圧
力が与えられると、ピストン555が移動してコイルス
プリング559が撓み、押圧リング557が右方へ戻
り、クラッチ装置527が、上記のようなダイヤフラム
スプリング543による締結状態に戻る。
【0015】車両の走行中、クラッチ装置527は締結
が解除されており、動力切換装置511は、回転が停止
している動力伝達部材529側の副入力部517を出力
部519に連結させ、ポンプ/モータ523をエンジン
503から切り離して、エンジン503に対する負担の
増加を防止する。
【0016】車両の制動時は、クラッチ装置527が締
結され、制動トルクによって回転する動力伝達部材52
9から副入力部517と出力部519とを介してポンプ
/モータ523が駆動される。更に、主入力部515
(駆動軸525)と同期するまで副入力部517(動力
伝達部材529)の回転数が上昇すると、動力切換装置
511は、副入力部517を切り離し、主入力部515
を出力部519(ポンプ/モータ523)に連結する。
【0017】こうして、制動トルクがポンプ/モータ5
23を回転駆動し、そのポンプ機能によって発生した油
圧がアキュムレータに蓄圧される。
【0018】車両が発進する時は、動力切換装置511
で主入力部515が出力部519(ポンプ/モータ52
3)に連結されると共に、アキュムレータの圧力がポン
プ/モータ523に与えられ、そのモータ機能による回
転がクラッチ装置527を介してエンジン503に伝達
され、この補助動力によって発進性が改善され、エンジ
ン503の燃費が向上する。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のクラッ
チ装置527では、ダイヤフラムスプリング543を押
圧する回転側の押圧リング557と静止側のピストン5
55の間の相対回転を吸収するためにレリーズベアリン
グ553が必要であり、それだけ部品点数が多く、コス
ト高である。
【0020】また、クラッチ装置527では、トルク伝
達経路になっているクラッチディスク組立体531のボ
ス部563が、図8に拡大して示したように、スプライ
ン部539で駆動軸525に連結されており、クラッチ
装置527の断続に伴って、クラッチディスク組立体5
31はこのスプライン部539にトルクが掛かった状態
で大きな摩擦抵抗を受けながら、矢印565,567の
ように、駆動軸525上を往復移動しなければならな
い。
【0021】このような状態ではトルク伝達特性にヒス
テリシスが生じる。
【0022】図9はトルク伝達特性に生じたヒステリシ
スのグラフ569を示す。縦軸は伝達トルク(T)であ
り、横軸はクラッチディスク組立体531(ボス部56
3)の移動距離(A)である。
【0023】ここで、ボス部563が矢印565のよう
に右移動するときの特性をグラフ569の下半部のグラ
フ571とすると、矢印567のように左移動するとき
の特性はグラフ569の上半部のグラフ573になる。
このように、移動方向が変わるとトルク伝達特性は異な
ったグラフ上で変化することになる。
【0024】例えば、クラッチディスク組立体531が
A1の位置からA2の位置まで距離△Aだけ移動する
と、伝達トルクはグラフ571上をT1からT2に変化
する。しかし、クラッチディスク組立体531が反対に
A2の位置からA1の位置に戻るとき、伝達トルクはグ
ラフ573上をT3からT4に変化する。
【0025】こうして、クラッチディスク組立体531
の移動方向によって伝達トルクが大きく変動すると共
に、伝達トルクは最初のトルクT1には戻らず、クラッ
チディスク組立体531がA1の位置に戻ったときのト
ルクは最初のトルクT1からトルクT4に大きく変化す
る。
【0026】例えば、車両の動力伝達経路中に配置され
るカップリングや発進クラッチのように、トルク伝達特
性を精密に制御する必要のある装置にクラッチ装置52
7を用いると、上記のようなヒステリシス現象の影響を
受けて、トルク伝達特性を精密に制御することが難し
い。
【0027】また、クラッチ装置527は、圧力によっ
て締結するように構成されており、ポンプ、その駆動
源、配管などが必要であるから、構造が複雑で、コスト
高であり、配置するために必要なスペースが広い上に重
量が嵩んで車載性に劣り、また、圧力漏れが生じ易く、
信頼性が不充分であり、更に、トルク伝達特性を精密に
制御することが難しい。
【0028】また、クラッチ装置527の場合、2枚の
摩擦部材551と動力伝達部材529及びプレッシャプ
レ−ト545との間で摩擦面が2面あるから、クラッチ
装置527を湿式クラッチにすると、締結を解除すると
きに大きい引き摺りトルクが生じる。
【0029】従って、自動変速機を用いた車両の発進ク
ラッチに多板クラッチを用い、自動変速機用のオイル
(ATF)でこれを湿式クラッチにすると、引き摺りト
ルクによる騒音(ジャダ音)が発生する上に、トルクを
完全に遮断することができないから円滑な変速が難し
く、シンクロ機構の容量を大きくする必要がある。
【0030】そこで、本発明は、構造が簡単で、低コス
トであり、配置スペースが狭くてすみ、小型、軽量で、
車載性にも優れ、信頼性が高く、ヒステリシスが極めて
軽微であって、トルク伝達特性の精密かつ安定した制御
が可能であり、相対回転部材の間に配置するベアリング
が不要なカップリングの提供を目的とする。
【0031】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載のカップ
リングは、入力側と出力側の各トルク伝達部材と、これ
ら両トルク伝達部材の間でトルクを伝達するメインクラ
ッチと、操作手段によって連結操作されるパイロットク
ラッチと、パイロットクラッチを介して伝達トルクを受
け、これを操作力に変換する変換手段と、この操作力を
メインクラッチに伝達する操作部材とを備え、メインク
ラッチ及びパイロットクラッチの一側が一方のトルク伝
達部材に連結され、メインクラッチの他側が他方のトル
ク伝達部材に連結され、パイロットクラッチの他側が操
作部材に連結され、変換手段が操作部材と他方のトルク
伝達部材との間に設けられており、パイロットクラッチ
が連結されると伝達トルクを受けて変換手段が作動し、
操作部材を介してメインクラッチを連結または連結解除
することを特徴としている。
【0032】このように、本発明のカップリングでは、
相対回転する部材間でトルクが伝達されないから、相対
回転を吸収するためのベアリングが不要であり、それだ
け部品点数が低減され、低コストに構成することがで
き、設計の自由度が向上する。
【0033】また、従来例と異なって、トルクを受けた
状態で部材が移動するスプライン部などの連結部がトル
ク伝達経路に含まれていないから、ヒステリシス現象が
極めて軽微である。
【0034】従って、トルク伝達特性を精密に制御する
ことが可能であり、例えば、車両の動力伝達経路に配置
するカップリングや発進クラッチのようにトルク伝達特
性を精密かつ長期にわたり安定して制御する必要のある
装置に好適である。
【0035】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
のカップリングであって、変換手段が、伝達トルクを増
幅しながら操作力に変換する増幅機構であることを特徴
とし、請求項1の発明と同等の作用・効果が得られる。
【0036】これに加えて、増幅機構がメインクラッチ
の操作力を増幅するから、カップリングのトルク伝達容
量が強化される。
【0037】また、メインクラッチとカップリングの小
型軽量化が可能になる。
【0038】請求項3に記載の発明は、請求項2に記載
のカップリングであって、増幅機構が、カム機構である
ことを特徴とし、請求項2の発明と同等の作用・効果が
得られる。
【0039】これに加えて、カム機構は小型で大きな操
作力が得られるから、配置スペ−ス上の負担を増加させ
ずに、カップリングのトルク伝達容量が更に強化され
る。
【0040】請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の
いずれかに記載のカップリングであって、パイロットク
ラッチの操作手段が、電磁石であることを特徴とし、請
求項1〜3の発明と同等の作用・効果が得られる。
【0041】これに加えて、操作手段に電磁石を用いた
ことにより、圧力システムを操作手段にした従来例と異
なって、ポンプとその駆動源及び配管などが不要である
から、構造が簡単で、低コストであり、配置スペースが
狭くてすみ、軽量で車載性に優れ、高い信頼性が得られ
る。
【0042】また、トルク伝達特性を精密かつ容易に制
御することができると共に、クラッチトルク伝達特性の
経時変化を電流値によって容易に補正可能であり、長期
にわたり、さらに安定したトルク伝達特性を得ることが
できる。
【0043】請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の
いずれかに記載のカップリングであって、パイロットク
ラッチが、コーンクラッチであることを特徴とし、請求
項1〜4の発明と同等の作用・効果が得られる。
【0044】これに加えて、摩擦面数の少ないコーンク
ラッチは、連結を解除するときの引き摺りトルクが小さ
い。
【0045】従って、このカップリングを、例えば、自
動変速機(AT)の発進クラッチに用い、そのオイル
(ATF)で湿式クラッチにしても、引き摺りトルクが
小さいから騒音レベルが極めて低い。
【0046】また、変速時にトルクをほぼ完全に遮断で
きるから円滑な変速が可能であり、例えば、本発明のカ
ップリングを変速機構と直列に組み合わせた場合には、
シンクロ機構の容量を小さくすることができるから、そ
れだけコストが低減される。
【0047】また、自動変速機用のオイルポンプを利用
し、カップリング内部の潤滑環境を共有する場合におい
ては、専用のオイルポンプが不要になり、コストが低減
される。
【0048】
【発明の実施の形態】図1によって第1実施形態のカッ
プリング1を説明する。
【0049】このカップリング1は請求項1,2,3,
4,5の特徴を備えている。本実施形態のカップリング
1は車両の自動変速機(AT)の一部を構成する発進ク
ラッチである。なお、左右の方向は図1での左右の方向
であり、符号を与えていない部材等は図示されていな
い。
【0050】カップリング1は、エンジンのクランク軸
3、磁性材料のロータ5(一方のトルク伝達部材)、多
板式のメインクラッチ7、パイロットクラッチ9(コー
ンクラッチ)、押圧部材11(操作部材)、ボールカム
13(変換手段:増幅機構:カム機構)、電磁石15
(操作手段)、自動変速機構側の出力軸17などから構
成されている。エンジンはカップリング1の図右側に配
置され、自動変速機構は図左側に配置されている。
【0051】クランク軸3にはフランジ部材19がボル
ト21で固定されており、エンジン起動用のリングギヤ
23が外周に溶接されたディスク25とフランジ部材1
9はトーションスプリング27を介して連結されてい
る。トーションスプリング27はそのダンパー機能によ
ってエンジンの回転変動を吸収する。
【0052】ディスク25にはクラッチケーシング29
(他方のトルク伝達部材)がボルト31で固定されてい
る。
【0053】ロータ5は出力軸17にスプライン18に
よって連結されている。
【0054】メインクラッチ7は軸方向に交互配置され
た複数枚のアウタープレート33とインナープレート3
5とを有し、クラッチケーシング29とロータ5との間
に配置されている。アウタープレート33は、クラッチ
ケーシング29の外周側に形成された円筒部37の内周
側スプライン部39に軸方向移動自在に連結され、イン
ナープレート35は、ロータ5の外周に形成された円筒
部41に溶接されたリング43の外周側スプライン部4
5に軸方向移動自在に連結されている。
【0055】また、これらアウタープレート33,イン
ナープレート35の左側には受圧部材47が配置されて
おり、該受圧部材47は円筒部37のスプライン部39
に連結されスナップリング49によって位置決めされて
いる。
【0056】これらのアウタープレート33とインナー
プレート35にはスティール、カーボン、ペーパーのい
ずれのプレートをカップリングに対して、所要の強度、
耐久性、潤滑オイル等周辺環境の適性に併せて選択して
用いることができる。
【0057】パイロットクラッチ9は一対の円錐状摩擦
面51,53を有し、摩擦面51はロータ5の円筒部4
1とリング43とに固定された摩擦板55の内周に形成
され、摩擦面53はリング43の径方向内側に配置され
たアーマチャ57の外周に形成されている。
【0058】このように、メインクラッチ7とパイロッ
トクラッチ9は軸方向のほぼ同位置に配置され(軸方向
にほぼ完全にオーバーラップし)ており、パイロットク
ラッチ9はメインクラッチ7の径方向内側に配置されて
いる。
【0059】なお、本実施形態では、メインクラッチ7
は、アウタープレート33,インナープレート35、受
圧部材47とから成る部分を、パイロットクラッチ9と
は、摩擦面51,53が形成されるロータ5とアーマチ
ャ57とから成る部分を意味している。
【0060】また、「軸方向にオーバーラップする」と
は、径方向の投影が互いに重なることを意味し、「径方
向にオーバーラップする」とは、軸方向の投影が互いに
重なることを意味する。
【0061】また、上記のように、ロータ5の円筒部4
1とリング43の径方向外側にメインクラッチ7が配置
され、径方向内側にパイロットクラッチ9が配置されて
いる。
【0062】押圧部材11は、径方向内側に形成された
ボス部59と、径方向外側に形成されメインクラッチ7
と軸方向に対向する押圧部61と、これらを連結するデ
ィスク状の連結部63から構成されている。
【0063】なお、押圧部材11とアーマチャとの間に
は、図示外の自然長で配置されたスプリング(弾性位置
決め手段)により両部材間の対向隙間が設定されてい
る。
【0064】また、この弾性位置決め手段はゴム体など
を用いても良く、レスポンス向上のため微少に両部材間
に与圧を与えても良い。
【0065】ボス部59はニードルベアリング65を介
して出力軸17に支承されており、上記のアーマチャ5
7はスプライン部97によってボス部59の外周に連結
されている。
【0066】ボールカム13は、押圧部材11のボス部
59とクラッチケーシング29の円板部67にそれぞれ
形成されたカム溝にボール69を配置して構成されてい
る。
【0067】このように、ボールカム13はパイロット
クラッチ9の径方向内側に配置されており、押圧部材1
1の連結部63はパイロットクラッチ9を跨いでボール
カム13側と押圧部61とを連結している。
【0068】電磁石15のコア71はクラッチハウジン
グ77に固定されており、ロータ5に形成された凹部7
3に所定のエアギャップを介して配置されている。ロー
タ5には径方向の外側と内側とを分断する非磁性材料の
リング75が内外周を電子ビーム溶接され、磁力の短絡
を防止している。
【0069】なお、溶接等の接合手段は後述する部材9
3の一体化手段を取りうる。
【0070】クラッチハウジング77は車体側に固定さ
れており、出力軸17はノーシ−ルのボールベアリング
79を介してクラッチハウジング77に支承されてい
る。
【0071】電磁石15が励磁されると、アーマチャ5
7が吸引されてパイロットクラッチ9が締結され、押圧
部材11が出力軸17側に連結される。この状態でエン
ジンのトルクがボールカム13に掛かり、発生したカム
スラスト力(操作力:押圧力)によって押圧部材11が
左方に移動し、押圧部61でメインクラッチ7を押圧し
て締結させる。
【0072】こうして、カップリング1が連結され、車
両が発進可能になる。
【0073】なお、このときメインクラッチ7を押圧す
るボールカム13のカムスラスト力はクラッチケーシン
グ29上の受圧部材47に掛かり、カム反力はクラッチ
ケーシング29の円板部67に掛かる。このように、メ
インクラッチ7の押圧力とその反力はクラッチケーシン
グ29上で相殺される。
【0074】また、電磁石15の励磁電流を制御してア
ーマチャ57の吸引力を調整すると、パイロットクラッ
チ9に滑りが生じてボールカム13のカムスラスト力が
変わり、メインクラッチ7(カップリング1)の伝達ト
ルクが変化し、車輪に送られるエンジンの駆動力を調整
することができる。
【0075】また、変速時は電磁石15の励磁を停止す
る。
【0076】電磁石15の励磁を停止すると、パイロッ
トクラッチ9が開放されてボールカム13のカムスラス
ト力が消失し、メインクラッチ7が開放されてカップリ
ング1の連結が解除され、変速が容易になる。
【0077】また、円板部67にボールカム13のカム
溝が形成されたクラッチケーシング29はカム溝の強度
(負荷容量)を高く保つために、例えば、高周波焼き入
れ、軟窒化処理などの表面硬化処理を施す必要がある。
【0078】そこで、矢印91のように円板部67を分
割すれば、カム溝が形成される形状が簡単で質量の小さ
い内側の部材93だけを表面硬化処理することができる
から、クラッチケーシング29全体を熱処理する場合と
較べて、熱処理コストが大幅に低減され、生産性が大き
く向上する。
【0079】熱処理後の部材93は、溶接、圧着、銅ろ
う付け、溶剤による接着、あるいは、その他の固着手段
で外側の部材と一体にする。
【0080】なお、エンジンのトルクは例えば100〜
300Nmであり、更に、大きなトルクはクラッチケー
シング29の円筒部37からメインクラッチ7を通り、
円板部67には大きなトルクが掛からないから、内側の
部材93に硬化処理した材料を用いないでも充分な耐久
性が得られる。
【0081】一方、上記のように、トルクの通過経路で
あるロータ5には、非磁性材料のリング75を配置する
代わりに、回転方向の長孔と連結部分とを交互に設けて
もよい。
【0082】非磁性リングと長孔は、これらの強度、耐
久性、クラッチ特性などに応じて適宜に選択すればよ
い。
【0083】また、リング75を矢印95で示したよう
な形状にすれば、接合面積が広くなって強度が向上する
と共に、磁気の遮断機能も向上する。
【0084】こうして、カップリング1が構成されてい
る。
【0085】上記のように、カップリング1では、相対
回転する部材間でトルクが伝達されないから、従来例で
部材555,557の間に配置されたベアリング553
のような、相対回転を吸収するためのベアリングが不要
であり、それだけ部品点数が少なく、低コストに構成す
ることができ、設計の自由度が向上する。
【0086】また、例えば、クラッチケーシング29
と、これと相対回転する外部部材との間に、押圧力を受
けるためのスラストベアリングを配置しなくてもセルフ
ロックすることがないから、このようなスラストベアリ
ングが必要なくなり、更に、コストが低減され、小型に
なり、設計上の自由度が向上する。
【0087】また、押圧部材11には、パイロットクラ
ッチ9側のアーマチャ57とのスプライン部97からパ
イロットトルクが掛かるだけであり、これ以外のトルク
は掛からない。
【0088】このように、カップリング1には、従来例
と異なって、トルクを受けた状態で部材563が移動す
るスプライン部539のような連結部がトルク伝達経路
に含まれていないから、発生するヒステリシスが極めて
軽微であり、トルク伝達特性を精密に制御することがで
きる。
【0089】従って、発進クラッチのようにトルク伝達
特性を制御する必要のある装置に好適であり、車輪に送
られるエンジンの駆動力を精密に調整することができ
る。
【0090】また、ボールカム213の増幅機能によっ
てメインクラッチ7の操作力が増幅され、カップリング
1のトルク伝達容量が強化されるるから、メインクラッ
チ7とカップリング1の小型軽量化が可能になる。
【0091】また、ボールカム213は小型で大きな押
圧力が得られるから、配置スペ−ス上の負担を掛けず
に、カップリング1のトルク伝達容量を強化できる。
【0092】また、操作手段に電磁石15を用いたこと
により、圧力システムを操作手段にした従来例と異なっ
て、ポンプとその駆動源や配管などが不要であるから、
カップリング1は構造が簡単で、低コストであり、配置
スペースが狭くてすみ、軽量で車載性に優れ、高い信頼
性が得られると共に、クラッチ伝達特性の経時変化を電
流値によって容易に補正可能であり、長期にわたり安定
したトルク伝達特性が得られる。
【0093】例えば、車両の長期使用において、エンジ
ン側の対回転数発生トルクの減少やカップリングにおけ
るパイロットクラッチ9、メインクラッチ49の摩擦係
数変化、電装系の抵抗値変化に起因するカップリング1
の伝達トルク低下に対しては、車両の挙動を安定させる
ために従来から用いられている車輪・車軸間の回転速度
センサや、前後及び水平加速度センサ、舵角センサなど
を用いて、カップリングに対する伝達トルクの補正値を
電流指令に加えることにより容易にトルク伝達特性を安
定化させることができる。つまり、車両挙動を安定させ
るためにエンジン側燃料系による出力トルク制御との連
動制御レスポンスが良く、長期にわたって安定してい
る。
【0094】また、電磁石15の励磁電流を調整するこ
とによって、トルク伝達特性を精密に制御することがで
きる。
【0095】また、パイロットクラッチ9に摩擦面数の
少ないコーンクラッチを用いたカップリング1は 摩擦
面数の多い多板クラッチに較べて、連結を解除するとき
の引き摺りトルクが小さい。
【0096】従って、自動変速車の発進クラッチに用い
たカップリング1は、引き摺りトルクが小さいからジャ
ダ音のレベルが大幅に低減される。
【0097】また、変速に当たってトルクをほぼ完全に
遮断できるから、円滑な変速が可能であると共に、シン
クロ機構の容量も小さくすることができるから、それだ
けコストが低減される。
【0098】以上の効果に加えて、カップリング1は、
次のような効果が得られる。
【0099】パイロットクラッチ9とメインクラッチ7
とが軸方向にほぼ完全にオーバーラップしている(軸方
向の同位置に配置されている)から、カップリング1は
軸方向にコンパクトに構成され、車載性が大きく向上す
る。
【0100】また、メインクラッチ7が径方向外側に配
置されているから、クラッチ容量を大きくし易く、クラ
ッチ容量が同一の場合はアウタープレート33とインナ
ープレート35の枚数が減るから、カップリング1は軸
方向に更にコンパクトになり、軽量になる。
【0101】電磁石15が、パイロットクラッチ9の軸
方向に隣接配置されているから、例えば、中間部材を介
してパイロットクラッチ9を操作する構成に較べて、カ
ップリング1の操作レスポンスが大きく向上する。
【0102】また、メインクラッチ7及びパイロットク
ラッチ9と、ボールカム13の一部を構成する押圧部材
11とが互いに軸方向に配置されている(半径方向にオ
ーバーラップしている)ことにより、カップリング1は
径方向にも小型化されており、車載性が更に向上してい
る。
【0103】また、クランク軸3と出力軸17間の伝達
トルクを受けて作動するボールカム13を、メインクラ
ッチ7及びパイロットクラッチ9より径方向内側の回転
軸に近い箇所に配置したことによって、ボールカム13
に掛かるトルクが大きくなるから、メインクラッチ7と
カップリング1のトルク伝達容量が強化されると共に、
これらを更に小型軽量にすることが可能になる。
【0104】また、径方向に配置されているメインクラ
ッチ7とパイロットクラッチ9とボールカム13のそれ
ぞれ軸方向に対向して、メインクラッチ7の押圧部材1
1を配置したことにより、この押圧部材11を径方向に
配置する構成と較べて、カップリング1が径方向に更に
小型化する。
【0105】また、メインクラッチ7を、ロータ5の円
筒部41及びリング43の径方向外側に配置し、パイロ
ットクラッチ9を同部材の径方向内側に配置したことに
より、これらを異なった部材に連結する構成に較べて、
部品点数が低減され、カップリング1が更に小型で軽量
になると共に、メインクラッチ7とパイロットクラッチ
9を上記のように径方向に配置することが可能になる。
【0106】また、メインクラッチ7の押圧部材11と
クラッチケーシング29との間にボールカム13を配置
したことによって、メインクラッチ7の押圧力とその反
力がメインクラッチ7の内部で相殺されるから、メイン
クラッチ7の周辺部材に負担が掛からず、これらの耐久
性が大きく向上する。
【0107】なお、この実施形態では、開放タイプのカ
ップリング1の例を示したが、受圧部材47とクラッチ
ケーシング29及びロータ5との間、あるいは、受圧部
材47とクラッチハウジング77との間にオイルシ−ル
を配置すればカップリング1を密封型にできる。
【0108】密封型のカップリング1では、例えば、ロ
ータ5のボス部81と出力軸17との間に仮想線で示す
ように流入側のオイル流路87を形成し、矢印83のよ
うに、ここから自動変速機構のATポンプ(オイルポン
プ)でATオイルを内部に供給すると、オイルはポンプ
の圧力と遠心力とによってニードルベアリング65、パ
イロットクラッチ9、メインクラッチ7などに与えられ
る。
【0109】これらを潤滑・冷却したオイルは押圧部材
11の連結部63とクラッチケーシング29の円板部6
7との間を通ってボールカム13を潤滑・冷却し、矢印
85のように、出力軸17に形成されたオイル流路87
を通って自動変速機構側に戻る。
【0110】押圧部材11の連結部63には開口89が
設けられており、このようなオイルの循環を促進すると
共に、押圧部材11に掛かるオイルの抵抗を低減し、カ
ップリング1の操作レスポンスを高めている。
【0111】従って、このように自動変速車の発進クラ
ッチに用いた密閉型のカップリング1は、上記のよう
に、ATオイルによって湿式にしても、引き摺りトルク
が小さいからジャダ音のレベルが大幅に低減される。
【0112】また、カップリング1を密封型にし、AT
オイルで湿式にする構成では、金属の磨耗粉のようなコ
ンタミネーションの少ない状態で充分に潤滑・冷却され
るから、メインクラッチ7のアウタープレート33とイ
ンナープレート35にカーボンやペーパーを用いても充
分な耐久性が得られ、低コストに実施できる。
【0113】また、自動変速機用のオイルポンプを利用
することによって、専用のオイルポンプが不要になり、
コストが更に低減される。
【0114】なお、パイロットクラッチにコーンクラッ
チを用いたカップリング1のような構成では、メインク
ラッチに、多板クラッチ以外に、コーンクラッチを用い
てもよく、また、単板クラッチを用いてもよい。
【0115】また、多板クラッチや単板クラッチのクラ
ッチ板は、スティール、カーボン、ペーパーのいずれを
用いてもよい。
【0116】次に、図2によって第2実施形態のカップ
リング101を説明する。
【0117】このカップリング101は請求項1,2,
3,4の特徴を備えている。カップリング101は、第
1実施形態のカップリング1と同様に、車両の自動変速
機(AT)を構成する発進クラッチである。また、符号
を与えていない部材等は図示されていない。
【0118】カップリング101は、エンジンのクラン
ク軸3、磁性材料のロータ5、多板式のメインクラッチ
7及びパイロットクラッチ103、押圧部材11、ボー
ルカム13、電磁石15、自動変速機構側の出力軸17
などから構成されており、エンジンはカップリング10
1の右側に配置され、自動変速機構は左側に配置されて
いる。
【0119】以下、カップリング1と同機能の部材には
同一の符号を与えて引用しながら説明し、カップリング
1との重複説明は省く。
【0120】多板式のパイロットクラッチ103は、軸
方向に交互配置された複数枚のアウタープレート105
とインナープレート107からなり、ロータ5とボール
カム13の押圧部材11との間に配置されている。
【0121】ロータ5外周の円筒部41にはリング10
9が溶接されており、アウタープレート105は、この
リング109の内周に設けられたスプライン部111に
軸方向移動自在に連結され、インナープレート107は
押圧部材11のボス部59外周に設けられたスプライン
部97に軸方向移動自在に連結されている。
【0122】パイロットクラッチ103の右側にはアー
マチャ113が配置され、スナップリング115によっ
てリング109に位置決めされている。
【0123】なお、第1実施形態と同様に弾性位置決め
手段を用いても良い。
【0124】また、リング109の外周にはメインクラ
ッチ7のインナープレート35が連結されるスプライン
部117が設けられている。
【0125】メインクラッチ7の左側には受圧部材11
9が配置されており、クラッチケーシング29の円筒部
37にスナップリング121で位置決めされている。
【0126】円筒部37と受圧部材119との間にはO
リング123が配置されており、受圧部材119とクラ
ッチハウジング77との間にはオイルシール125が配
置され、カップリング101を密封型にしている。
【0127】メインクラッチ7のアウタープレート33
とインナープレート35及びパイロットクラッチ103
のアウタープレート105とインナープレート107に
は、スティール、カーボン、ペーパーのいずれを用いて
もよい。
【0128】上記のように、メインクラッチ7とパイロ
ットクラッチ103は軸方向のほぼ同位置に配置され
(軸方向にほぼ完全にオーバーラップし)ており、パイ
ロットクラッチ103はメインクラッチ7の径方向内側
に配置されている。
【0129】また、上記のように、ロータ5の円筒部4
1及びリング109の径方向外側にメインクラッチ7が
配置され、径方向内側にパイロットクラッチ103が配
置されている。
【0130】電磁石15が励磁されると、アーマチャ1
13が吸引されてパイロットクラッチ103が締結さ
れ、エンジンのトルクを受けて作動したボールカム13
が押圧部材11を介してメインクラッチ7を押圧し、カ
ップリング101が連結されて、車両が発進可能にな
る。
【0131】このとき、メインクラッチ7を押圧するボ
ールカム13の押圧力とその反力はクラッチケーシング
29上で相殺される。
【0132】また、電磁石15の励磁電流を制御する
と、パイロットクラッチ103の滑りによってボールカ
ム13のカムスラスト力が変わり、メインクラッチ7
(カップリング101)の伝達トルクが変化し、車輪に
送られるエンジンの駆動力を調整することができる。
【0133】変速時は、電磁石15の励磁を停止する
と、パイロットクラッチ103が開放されてボールカム
13のカムスラスト力が消失し、メインクラッチ7が開
放されてカップリング101の連結が解除され、変速が
容易になる。
【0134】密封型のカップリング101は、密封型に
した場合のカップリング1と同様に、ロータ5のボス部
81と出力軸17との間にオイル流路を形成し、矢印8
3のように、ここから自動変速機のATポンプでATオ
イルを内部に供給するように構成されている。
【0135】供給されたオイルはポンプの圧力と遠心力
とによってニードルベアリング65、パイロットクラッ
チ103、メインクラッチ7などに与えられ、これらを
潤滑・冷却した後、ボールカム13を潤滑・冷却し、矢
印85のように、出力軸17のオイル流路87を通って
自動変速機構側に戻る。
【0136】こうして、カップリング101が構成され
ている。
【0137】カップリング101は、第1実施形態のカ
ップリング1でパイロットクラッチ9にコーンクラッチ
を用いたことによる効果を除いて、カップリング1と同
等の効果が得られる。
【0138】なお、カップリング101では、オイルシ
ール125を配置する代わりに、受圧部材119とロー
タ5との間にOリングを配置してもよい。
【0139】こうすれば、相対回転部材の間に配置され
るシ−ルがなくなり、シ−ルとカップリング101の耐
久性が向上する。
【0140】次に、図3によって第3実施形態のカップ
リング201を説明する。
【0141】このカップリング201は、第2実施形態
のカップリング101からOリング123とオイルシー
ル125とを取り去って、メインクラッチ7とパイロッ
トクラッチ103を乾式にしたものである。
【0142】従って、このカップリング201は、第2
実施形態のカップリング101を湿式にしたことによる
効果を除いて、カップリング101と同等の効果が得ら
れる。
【0143】なお、第2,3実施形態のカップリング1
01とカップリング201は、カップリング1と同様
に、ボールカム13のカム溝が形成される内側の部材9
3だけを表面処理してもよい。
【0144】また、ロータ5の磁気短絡を防止するリン
グを矢印95で示したような形状にしてもよく、あるい
は、ロータ5に回転方向の長孔と連結部分とを交互に設
けてもよい。
【0145】次に、図4によって第4実施形態のカップ
リング301を説明する。
【0146】このカップリング301は請求項1,2,
3,4の特徴を備えており、上記各実施形態と同様に、
車両の駆動入出力軸間に設けた伝達トルクの中間制御可
能なトルク断続クラッチであり、本実施形態では、4W
D装置のプロペラシャフト上に配置されたものである。
なお、左右の方向は図4での左右の方向であり、符号を
与えていない部材等は図示されていない。
【0147】カップリング301は、エンジンのクラン
ク側に連結した駆動入力軸303、車輪側に連結した出
力軸305、多板式のメインクラッチ307及びパイロ
ットクラッチ309、パイロットクラッチ309のクラ
ッチケーシング311及びこれと一体の中空軸313
(一方のトルク伝達部材)、メインクラッチ307のク
ラッチケーシング315(他方のトルク伝達部材)、中
空軸317及びこれと一体の押圧部材319(操作部
材)、ボールカム321(変換手段:増幅機構:カム機
構)、電磁石323(操作手段)、アーマチャ325な
どから構成されている。エンジンはカップリング301
の右側に配置され、自動変速機構は左側に配置されてい
る。
【0148】駆動入力軸303はクラッチケーシング3
15に連結されており、クラッチケーシング315はベ
アリング327によって車体側のクラッチハウジング3
29に支承されている。出力軸305はエンジン側の端
部をベアリング331によってクラッチケーシング31
5に支承されている。
【0149】クラッチハウジング329には電磁石32
3のコア333が固定されている。出力軸305はクラ
ッチケーシング311に固定されており、クラッチケー
シング311はベアリング335によりコア333を介
してクラッチハウジング329に支承されている。
【0150】中空軸317は中空軸313の内側に配置
され、出力軸305は中空軸313の内側を貫通してい
る。中空軸313とクラッチケーシング315はベアリ
ング337によって互いに支承し合っている。
【0151】メインクラッチ307は中空軸313とク
ラッチケーシング315との間に配置されており、パイ
ロットクラッチ309はクラッチケーシング311と中
空軸317との間に配置されている。クラッチケーシン
グ315にはメインクラッチ307の受圧部材339が
連結され、軸方向に位置決めされている。
【0152】ボールカム321はクラッチケーシング3
15の壁部341と押圧部材319との間に配置されて
いる。
【0153】電磁石323が励磁されると、アーマチャ
325が吸引されてパイロットクラッチ309が締結さ
れ、中空軸317を介して押圧部材319が出力軸30
5側に連結される。この状態でエンジンのトルクがボー
ルカム321に掛かり、発生したカムスラスト力(操作
力:押圧力)によって中空軸317が左方に移動し、押
圧部材319が受圧部材339との間でメインクラッチ
307を押圧して締結させる。
【0154】こうして、カップリング301が連結さ
れ、車両が発進可能になる。
【0155】なお、このときメインクラッチ307を押
圧するボールカム321のカムスラスト力はクラッチケ
ーシング315上の受圧部材339に掛かり、カム反力
はクラッチケーシング315の壁部341に掛かる。こ
のように、メインクラッチ307の押圧力とその反力は
クラッチケーシング315上で相殺される。
【0156】また、電磁石323の励磁電流を制御して
アーマチャ325の吸引力を調整すると、パイロットク
ラッチ309の滑りによってボールカム321のカムス
ラスト力が変わり、メインクラッチ307(カップリン
グ301)の伝達トルクが変化し、車輪に送られるエン
ジンの駆動力を調整することができる。
【0157】また、変速時は電磁石323の励磁を停止
する。
【0158】電磁石323の励磁を停止すると、パイロ
ットクラッチ309が開放されてボールカム321のカ
ムスラスト力が消失し、メインクラッチ307が開放さ
れてカップリング301の連結が解除され、変速が容易
になる。
【0159】こうして、カップリング301が構成され
ている。
【0160】上記のように、カップリング301では、
相対回転する部材間でトルクが伝達されないから、相対
回転を吸収するためのベアリングが不要であり、それだ
け部品点数が少なく、低コストに構成することができ、
設計の自由度が向上する。
【0161】また、例えば、クラッチケーシング315
と、これと相対回転する外部部材との間に、押圧力を受
けるためのスラストベアリングを配置しなくてもセルフ
ロックすることがないから、このようなスラストベアリ
ングが必要なくなり、それだけカップリング301はコ
ストが低減され、更に小型になって設計上の自由度が向
上する。
【0162】また、押圧部材319と中空軸317に
は、パイロットクラッチ309のインナープレート34
3とのスプライン部からパイロットトルクが掛かるだけ
であり、これ以外のトルクは掛からない。
【0163】従って、カップリング301では、ヒステ
リシスの発生が極めて軽微であり、トルク伝達特性を精
密に制御することが可能であるから、車両の駆動系トル
ク伝達特性を制御する装置に好適であり、車輪に送られ
るエンジンの駆動力を精密に調整することができる。
【0164】また、ボールカム321の増幅機能によっ
てメインクラッチ307の操作力が増幅され、カップリ
ング301のトルク伝達容量が強化されるるから、メイ
ンクラッチ307とカップリング301の小型軽量化が
可能になる。
【0165】また、ボールカム321は小型で大きな操
作力が得られるから、配置スペ−ス上の負担を掛けず
に、カップリング301のトルク伝達容量を強化でき
る。
【0166】また、操作手段に電磁石323を用いたこ
とによって、従来例のようなポンプとその駆動源と配管
などが不要になるから、カップリング301は構造が簡
単で、低コストであり、配置スペースが狭くてすみ、軽
量で車載性に優れ、高い信頼性が得られる。
【0167】また、電磁石323の励磁電流を調整する
ことによって、トルク伝達特性を精密に制御することが
できる。
【0168】次に、図5によって第5実施形態のカップ
リング401を説明する。
【0169】このカップリング401は請求項1,2,
3,4の特徴を備えており、上記各実施形態と同様に、
車両の駆動入出力軸間に設けた伝達トルクの中間制御可
能な断続クラッチであり、本実施形態では4WD装置の
プロペラシャフト上に配置されたものである。なお、左
右の方向は図5での左右の方向であり、符号を与えてい
ない部材等は図示されていない。
【0170】以下、カップリング301と同機能の部材
には同符号を与えて引用し、重複説明は省く。
【0171】カップリング401は、エンジンのクラン
ク側に連結した駆動入力軸303、車輪側に連結した出
力軸305(一方のトルク伝達部材)、多板式のメイン
クラッチ307及びパイロットクラッチ309、パイロ
ットクラッチ309のクラッチケーシング311、メイ
ンクラッチ307のクラッチケーシング315(他方の
トルク伝達部材)、押圧部材403(操作部材)、ボー
ルカム321、電磁石323、アーマチャ325などか
ら構成されている。駆動入力軸303はカップリング4
01の右側に配置され、自動変速機構は左側に配置され
ている。
【0172】出力軸305はベアリング405によって
クラッチケーシング311に支承されている。
【0173】押圧部材403はスプライン部407によ
ってクラッチケーシング311に連結されている。
【0174】ボールカム321はクラッチケーシング3
15の壁部409と押圧部材403との間に配置されて
いる。
【0175】カップリング301と同様に、電磁石32
3が励磁されるとカップリング401が連結され、車両
は発進可能になり、電磁石323の励磁電流制御によっ
てカップリング401の伝達トルクが変化し、車輪に送
られるエンジンの駆動力が調整される。電磁石323の
励磁を停止するとカップリング401の連結が解除さ
れ、変速が容易になる。
【0176】また、メインクラッチ307が押圧されて
いる間、ボールカム321のカムスラスト力はクラッチ
ケーシング315の壁部411に掛かり、カム反力はク
ラッチケーシング315の壁部409に掛かるから、メ
インクラッチ307の押圧力とその反力はクラッチケー
シング315上で相殺される。
【0177】こうして、カップリング401が構成され
ている。
【0178】カップリング401は、カップリング30
1と同等の効果が得られる。
【0179】なお、本発明では、両トルク伝達部材のい
ずれを入力側にしても、また、出力側にしてもよい。
【0180】また、メインクラッチやパイロットクラッ
チは、例えば、多板クラッチ、単板クラッチ、コーンク
ラッチなど摩擦クラッチであればいずれの形式のクラッ
チを用いてもよい。
【0181】また、これらは湿式でも乾式でもよい。
【0182】また、多板クラッチや単板クラッチのクラ
ッチ板は、スティール、カーボン、ペーパーなどのいず
れを用いてもよい。
【0183】本発明のカップリングは、発進クラッチ、
駆動系入出力軸の断続装置に限らず、ハイブリッド自動
車の駆動源の切替え装置等の他用途にも適用可能であ
る。
【0184】
【発明の効果】請求項1のカップリングは、部材間で相
対回転を吸収するためのベアリングが必要であり、それ
だけ部品点数が低減され、低コストに構成することがで
き、設計の自由度が向上する。
【0185】また、ヒステリシス現象が極めて軽微であ
るから、トルク伝達特性を精密に制御することが可能で
あり、車両の動力伝達経路に配置するカップリングや発
進クラッチのようにトルク伝達特性を精密かつ長期にわ
たり安定して制御する装置に好適である。
【0186】請求項2のカップリングは、請求項1の発
明と同等の効果が得られると共に、増幅機構によってメ
インクラッチの操作力が増幅され、カップリングのトル
ク伝達容量が強化され、メインクラッチとカップリング
の小型軽量化が可能になる。
【0187】請求項3のカップリングは、請求項2の発
明と同等の効果が得られると共に、カム機構は小型で大
きな操作力が得られるから、配置スペ−ス上の負担を掛
けずに、カップリングのトルク伝達容量が強化される。
【0188】請求項4のカップリングは、請求項1〜3
の発明と同等の効果が得られると共に、電磁石を用いた
ことによって、構造が簡単で、低コストになり、配置ス
ペースが狭くてすみ、軽量で車載性に優れ、高い信頼性
が得られ、トルク伝達特性を精密かつ容易に制御できる
と共に、クラッチトルク伝達特性の経時変化を電流値に
よって容易に補正可能であり、長期にわたり、さらに安
定したトルク伝達特性を得ることができる。
【0189】請求項5のカップリングは、請求項1〜4
の発明と同等の効果が得られると共に、摩擦面数の少な
いコーンクラッチをパイロットクラッチに用いたことに
よって、自動変速機の発進クラッチに用いそのオイルで
湿式クラッチにしても、引き摺りトルクが小さいから、
騒音レベルを極めて低くできる。
【0190】また、変速時にトルクをほぼ完全に遮断で
きるから円滑な変速が可能であり、シンクロ機構の容量
を小さくすることができるから、それだけコストが低減
される。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の断面図である。
【図2】第2実施形態の断面図である。
【図3】第3実施形態の断面図である。
【図4】第4実施形態のスケルトン機構図である。
【図5】第5実施形態のスケルトン機構図である。
【図6】従来例の構成を示すブロック図である。
【図7】図6の従来例に用いられたクラッチ装置の断面
図である。
【図8】図7の要部拡大図である。
【図9】トルク伝達特性のヒステリシスを示すグラフで
ある。
【符号の説明】
1,101,201,301,401 カップリング 5 ロータ(一方のトルク伝達部材) 7,307 多板式のメインクラッチ 9 パイロットクラッチ(コーンクラッチ) 11,403 押圧部材(操作部材) 13,321 ボールカム(変換手段:増幅機構:カム
機構) 15,323 電磁石(操作手段) 29,315 クラッチケーシング(他方のトルク伝達
部材) 103,309 多板式のパイロットクラッチ 305 出力軸(一方のトルク伝達部材) 311 クラッチケーシング(一方のトルク伝達部材) 319 押圧部材(操作部材)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力側と出力側の各トルク伝達部材と、
    これら両トルク伝達部材の間でトルクを伝達するメイン
    クラッチと、操作手段によって連結操作されるパイロッ
    トクラッチと、パイロットクラッチを介して伝達トルク
    を受け、これを操作力に変換する変換手段と、この操作
    力をメインクラッチに伝達する操作部材とを備え、メイ
    ンクラッチ及びパイロットクラッチの一側が一方のトル
    ク伝達部材に連結され、メインクラッチの他側が他方の
    トルク伝達部材に連結され、パイロットクラッチの他側
    が操作部材に連結され、変換手段が操作部材と他方のト
    ルク伝達部材との間に設けられており、パイロットクラ
    ッチが連結されると伝達トルクを受けて変換手段が作動
    し、操作部材を介してメインクラッチを連結または連結
    解除することを特徴とするカップリング。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の発明であって、変換手
    段が、伝達トルクを増幅しながら操作力に変換する増幅
    機構であることを特徴とするカップリング。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の発明であって、増幅機
    構が、カム機構であることを特徴とするカップリング。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の発明で
    あって、パイロットクラッチの操作手段が、電磁石であ
    ることを特徴とするカップリング。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の発明で
    あって、パイロットクラッチが、コーンクラッチである
    ことを特徴とするカップリング。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP1318319A1 (fr) * 2001-12-07 2003-06-11 Renault s.a.s. Disposif d'embrayage de véhicule automobile
EP2551159A1 (en) 2011-07-28 2013-01-30 Mazda Motor Corporation Control method and control apparatus for four-wheel drive vehicle

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