JP3777402B2 - 駆動力伝達装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、駆動力伝達装置に係り、詳しくは摩擦クラッチ(電磁クラッチ)を有する駆動力伝達装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、特開平11−153159号公報に提案されている駆動力伝達装置が知られている。
【0003】
この駆動力伝達装置は、互いに同軸的かつ相対回転可能に位置する内外両回転部材と、摩擦係合により前記両回転部材間のトルク伝達を行うメインクラッチ機構と、通電により作動して摩擦係合する電磁式のパイロットクラッチ機構を備えている。また、駆動力伝達装置には、前記メインクラッチ機構と前記パイロットクラッチ機構間にカム機構を備え、同カム機構は同パイロットクラッチ機構の摩擦係合力を前記メインクラッチ機構に対する押圧力に変換する。
【0004】
前記パイロットクラッチ機構には、前記内外両回転部材間に配設された摩擦クラッチと、通電により作動して前記摩擦クラッチを摩擦係合させる電磁式の駆動手段を含んでいる。前記駆動手段は、前記摩擦クラッチと対向する鉄材からなるアーマチャと、前記外側回転部材の外側に位置して外側回転部材の側壁を挟んで前記摩擦クラッチと対向する電磁石を備えている。
【0005】
前記カム機構は、パイロットクラッチ機構の摩擦係合力が伝達される第1カム部材と、第1カム部材から前記摩擦係合力が伝達され、かつメインクラッチ機構を押圧する鉄材からなる第2カム部材とを備えている。前記第2カム部材はアーマチャとメインクラッチ機構との間に位置されている。
【0006】
そして、電磁石の電磁コイルへの通電により、電磁石を支持するヨーク、外側回転部材の前部側壁、摩擦クラッチ、アーマチャ、摩擦クラッチ、前部側壁及びヨークを循環する磁路が形成され、アーマチャは磁気誘導作用により摩擦クラッチ側へ吸引される。この結果、アーマチャは摩擦クラッチを押圧して摩擦係合させることにより、カム機構はメインクラッチ機構を作動させ、外側回転部材と内側回転部材をトルク伝達可能に連結する。
【0007】
ところで、上記構成の駆動力伝達装置では、パイロットクラッチは電磁クラッチとなっているため、前記磁路を効率的に形成させるために、磁束漏れ対策が施されている。すなわち、例えば、外側回転部材であるハウジング全体を、アルミ材にて形成したり、或いは、部分的に磁路が形成される部位に対応して非磁性体であるステンレスを、磁性体である鉄製の外側部材に対して溶接したりして、磁束漏れ防止を行っている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、車両搭載の関係から駆動力伝達装置においては、ハウジング全体の強度を上げることが要望されることがある。この問題を解決するために、例えばハウジング全体を強度増強のため磁性体である鉄製にすることが考えられる。しかし、ハウジング全体を鉄製にすると前記磁路が形成される部位から磁束漏れが生じたり、従来の単純な磁路ではなく、複雑な磁路になったりしてアーマチャ吸引不良(アーマチャ作動不良)を起こし、駆動力伝達不良の虞がある。
【0009】
従って、本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は従来に比して外側回転部材の強度を上げる材料を使用することが可能であり、電磁クラッチを作動した際に、複雑な磁路を形成することがないためアーマチャ吸引不良(アーマチャ作動不良)を生ずることがなく、駆動力伝達不良が生じない駆動力伝達装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、互いに相対回転可能に位置する内外両回転部材間に配設された摩擦クラッチと、通電により作動して前記摩擦クラッチを摩擦係合させる電磁式の駆動手段を備え、同駆動手段を、前記外側回転部材の内側に位置して前記摩擦クラッチと対向するアーマチャと、前記外側回転部材の外側に位置して同外側回転部材の側壁を挟んで前記摩擦クラッチと対向する電磁石を備えた構成とし、同電磁石への通電により前記アーマチャを吸引して前記摩擦クラッチを摩擦係合し、同摩擦クラッチの摩擦係合力にて前記両回転部材をトルク伝達可能な連結状態とする駆動力伝達装置において、前記アーマチャの摩擦クラッチと対向する側面側を磁性材にて形成し、摩擦クラッチと対向しない他の側面を非磁性材にて覆ったことを要旨とする。
【0011】
なお、本明細書中における磁性材とは強磁性を備えた物体のことを言いい、非磁性材とは常磁性を備えた物体のことを言う。
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記外側回転部材全体を磁性材にて形成したことを要旨とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、内外両回転部材間に、摩擦係合によりこれら両回転部材間のトルク伝達を行うメインクラッチ機構と、通電により作動して摩擦係合する電磁式のパイロットクラッチ機構と、前記メインクラッチ機構と前記パイロットクラッチ機構間に位置し同パイロットクラッチ機構の摩擦係合力を前記メインクラッチ機構に対する押圧力に変換するカム機構を備え、前記パイロットクラッチ機構には、前記内外両回転部材間に配設された摩擦クラッチと、通電により作動して前記摩擦クラッチを摩擦係合させる電磁式の駆動手段を含み、前記駆動手段を、前記摩擦クラッチと対向するアーマチャと、前記外側回転部材の外側に位置して同外側回転部材の側壁を挟んで前記摩擦クラッチと対向する電磁石を備えた機構とし、同電磁石への通電により前記アーマチャを吸引して前記摩擦クラッチを摩擦係合し、同摩擦クラッチの摩擦係合力にて前記両回転部材をトルク伝達可能な連結状態とする駆動力伝達装置において、前記アーマチャに対向するカム機構側の部材の少なくとも表面に非磁性材を設けたことを要旨とする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項3において、前記アーマチャに対向するカム機構側の部材は、全体が非磁性材にて構成されていることを要旨とする。
請求項5に記載の発明は、請求項3又は請求項4において、前記外側回転部材全体を磁性材にて形成したことを要旨とする。
(作用)
従って、請求項1に記載の発明においては、電磁石へ通電すると、電磁石、摩擦クラッチ、アーマチャ、摩擦クラッチ、及び電磁石間を循環する磁路が形成される。この際、アーマチャは摩擦クラッチと対向しない他の側面が非磁性材にて覆われているため、アーマチャから摩擦クラッチ以外への磁束漏れが防止でき、アーマチャは磁気誘導作用により電磁石側へ確実に吸引される。すると、摩擦クラッチは確実に摩擦係合され、両回転部材の間には確実にトルク伝達が行われる。
【0014】
請求項2に記載の発明においては、請求項1の作用に加えて、アーマチャ側でアーマチャと摩擦クラッチ以外の部材との間の磁束漏れ防止を図っている。そのため、外側回転部材を磁性材のみで形成しても、電磁石への通電によりアーマチャは電磁石側へ確実に吸引される。
【0015】
請求項3に記載の発明においては、電磁石へ通電すると、電磁石、摩擦クラッチ、アーマチャ、摩擦クラッチ、及び電磁石間を循環する磁路が形成される。この際、アーマチャに対向するカム機構側の部材において、アーマチャに対向するカム機構側の部材の少なくとも表面には非磁性材が設けられている。そのため、アーマチャから前記部材へ磁束漏れが生ずることがなく、アーマチャは前記部材側へ吸引されず、電磁石側へ確実に吸引される。すると、摩擦クラッチは確実に摩擦係合され、両回転部材の間には確実にトルク伝達が行われる。
【0016】
請求項4に記載の発明においては、アーマチャに対向するカム機構側の部材全体を非磁性材にて形成することにより、請求項3の作用を実現する。
請求項5に記載の発明においては、アーマチャは、請求項3の作用により、アーマチャに対向するカム機構側の部材に吸引されることがない。そのため、外側回転部材を磁性材のみで形成しても、電磁石への通電によりアーマチャは電磁石側へ確実に吸引される。
【0017】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態を図1〜図5に従って説明する。
【0018】
図1には、本発明を具体化した第1実施形態の駆動力伝達装置を示している。この駆動力伝達装置11は、図2に示すように、四輪駆動車12における後輪側への駆動力伝達経路に配設されている。
【0019】
前記四輪駆動車12は、駆動力伝達装置11、トランスアクスル13、エンジン14、一対の前輪15、及び一対の後輪16を備えている。
前記エンジン14の駆動力はトランスアクスル13を介してアクスルシャフト17に出力し、前輪15を駆動する。
【0020】
また、トランスアクスル13にはプロペラシャフト18を介して駆動力伝達装置11が連結され、同駆動力伝達装置11にはドライブピニオンシャフト19を介してリヤデファレンシャル20が連結されている。リヤデファレンシャル20には、アクスルシャフト21を介して後輪16が連結されている。前記プロペラシャフト18とドライブピニオンシャフト19が駆動力伝達装置11にてトルク伝達可能に連結された場合には、エンジン14の駆動力は後輪16に伝達される。
【0021】
駆動力伝達装置11はリヤデファレンシャル20とともにディファレンシャルキャリヤ22内に収容され、且つディファレンシャルキャリヤ22に支持され、同ディファレンシャルキャリヤ22を介して車体に支持されている。
【0022】
次に駆動力伝達装置11について説明する。
図1に示すように、駆動力伝達装置11はアウタケース30a、内側回転部材としてのインナシャフト30b、メインクラッチ機構30c、パイロットクラッチ機構30d、及びカム機構30eを備えている。
【0023】
前記アウタケース30aは、有底筒状のフロントハウジング31aと、フロントハウジング31aの後端開口部に螺着され、且つその開口部を覆蓋するリヤハウジング31bとから構成されている。前記フロントハウジング31aは外側回転部材に相当し、前記リヤハウジング31bが外側回転部材の側壁に相当する。前記フロントハウジング31aの前端部には入力軸50が突出形成され、同入力軸50は前記プロペラシャフト18に連結されている。
【0024】
前記入力軸50が一体に形成されたフロントハウジング31a、及びリヤハウジング31bは、磁性材である鉄材(例えば機械構造用炭素鋼S35C、S10Cなど)にて形成されている。リヤハウジング31bの径方向の中間部には、非磁性材であるステンレス製の筒体51が埋設され、同筒体51は環状の非磁性部位を形成し、後述する磁路Zが形成されるようになっている。
【0025】
前記アウタケース30aはフロントハウジング31aの前端部外周において、ディファレンシャルキャリヤ22(図2参照)に対して図示しないベアリング等を介して回転可能に支持されている。また、アウタケース30aは、リヤハウジング31bの外周において、ディファレンシャルキャリヤ22(図2参照)に対して支持されたヨーク36にベアリング等を介して支持されている。
【0026】
前記インナシャフト30bは、リヤハウジング31bの中央部を液密的に貫通してフロントハウジング31a内に挿入され、軸方向への移動を規制された状態でフロントハウジング31aとリヤハウジング31bに対して相対回転可能に支持されている。インナシャフト30bには、ドライブピニオンシャフト19(図2参照)の先端部が挿入されている。なお、図1においてはドライブピニオンシャフト19は図示していない。
【0027】
図1,3に示すように、メインクラッチ機構30cは湿式多板式の摩擦クラッチ機構であって、多数のインナクラッチプレート32a及びアウタクラッチプレート32bを備えており、フロントハウジング31aの奥壁側に配設されている。
【0028】
摩擦クラッチ機構を構成する各インナクラッチプレート32aは、インナシャフト30bの外周にスプライン嵌合されて軸方向へ移動可能に組み付けられている。一方、各アウタクラッチプレート32bは、フロントハウジング31aの内周にスプライン嵌合されて軸方向へ移動可能に組み付けられている。各インナクラッチプレート32aと各アウタクラッチプレート32bは交互に位置されて互いに当接して摩擦係合するとともに、互いに離間して非係合の自由状態になる。
【0029】
パイロットクラッチ機構30dは、電磁石33、摩擦クラッチ34、及びアーマチャ35を備えている。前記電磁石33とアーマチャ35にて駆動手段が構成されている。
【0030】
図1に示すように、鉄材からなるヨーク36はディファレンシャルキャリヤ22(図2参照)に対して軸方向に沿って支承され、かつリヤハウジング31bの後端部の外周に対して相対回転可能に支持されている。前記ヨーク36には環状をなす電磁石33が嵌着され、同電磁石33はリヤハウジング31bの環状凹所53に嵌合されている。この結果、リヤハウジング31bとヨーク36との間に所定のクリアランスが形成されている。
【0031】
前記摩擦クラッチ34は、鉄材からなる複数のインナクラッチプレート34a、及び鉄材からなる複数のアウタクラッチプレート34bからなる多板式の摩擦クラッチとして構成されている。各インナクラッチプレート34aは、後述するカム機構30eを構成する第1カム部材37の外周にスプライン嵌合されて軸方向へ移動可能に組み付けられている。一方、各アウタクラッチプレート34bは、フロントハウジング31aの内周にスプライン嵌合されて軸方向へ移動可能に組み付けられている。
【0032】
各インナクラッチプレート34aと各アウタクラッチプレート34bとは交互に位置して、互いに当接して摩擦係合するとともに、互いに離間して非係合の自由状態になる。
【0033】
アーマチャ35は環状をなしており、フロントハウジング31aの内周にスプライン嵌合されて軸方向への移動可能に組み付けられている。前記アーマチャ35は摩擦クラッチ34に対して一側に位置し、摩擦クラッチ34に対向している。
【0034】
図4に示すように、アーマチャ35は鉄材にて形成され、アウタクラッチプレート34bに対向しない他の側面、すなわち、第2カム部材38側、アウタケース30a側(外周側)、内周側ものそれぞれの側面はアルミニウムAにて覆われている。なお、アルミニウムは非磁性材である。
【0035】
図3に示すように、前記電磁石33の電磁コイルへの通電により、ヨーク36、リヤハウジング31b、摩擦クラッチ34、アーマチャ35、摩擦クラッチ34、リヤハウジング31b、及びヨーク36間を循環する磁路Zが形成される。
【0036】
図1,3に示すように、カム機構30eは、第1カム部材37、鉄材からなる第2カム部材38、及びカムフォロア39にて構成されている。前記第2カム部材38は、アーマチャ35に対向するカム機構側の部材に相当する。
【0037】
第1カム部材37及び第2カム部材38には、対向面に互いに対向する図示しないカム溝が周方向に所定間隔を保持して複数形成されている。第1カム部材37はインナシャフト30bの外周に回転可能に嵌合されるとともに、リヤハウジング31bに回転可能に支承されている。第1カム部材37の外周には、各インナクラッチプレート34aがスプライン嵌合されている。
【0038】
第2カム部材38はインナシャフト30bの外周にスプライン嵌合されており、インナシャフト30bに対して一体回転可能に組み付けられている。同第2カム部材38はメインクラッチ機構30cのインナクラッチプレート32aに対向して位置されている。前記第2カム部材38と第1カム部材37の互いに対向するカム溝には、ボール状のカムフォロア39が介在されている。
【0039】
この結果、アーマチャ35がフロントハウジング31aの内側にて摩擦クラッチ34の一側に位置し、且つ電磁石33がフロントハウジング31aの外側にてリヤハウジング31bを挟んで摩擦クラッチ34の他側に位置し、リヤハウジング31bは磁路形成部材として機能する。
【0040】
リヤハウジング31bはインナシャフト30bの外周に液密的かつ回転可能に嵌合された状態で、その前側壁部の周縁部にてフロントハウジング31aに螺着されている。また、リヤハウジング31bは、その後側筒部の後端部の外周にて図示しないオイルシールを介して、ディファレンシャルキャリヤ22(図2参照)に液密的かつ回転可能に支持されている。
【0041】
上記のような駆動力伝達装置11においては、パイロットクラッチ機構30dを構成する電磁石33の電磁コイルへの通電がなされていない場合には磁路Zは形成されず、摩擦クラッチ34は非係合状態にある。このため、パイロットクラッチ機構30dは非作動の状態にあって、カム機構30eを構成する第1カム部材37は、カムフォロア39を介して第2カム部材38と一体回転可能であり、メインクラッチ機構30cは非作動状態にある。このため、四輪駆動車12は二輪駆動の駆動モードを構成する。
【0042】
一方、電磁石33の電磁コイルへ通電されると、パイロットクラッチ機構30dには磁路Zが形成され、電磁石33はアーマチャ35を吸引する。このため、アーマチャ35は摩擦クラッチ34を押圧して摩擦係合させ、カム機構30eの第1カム部材37をフロントハウジング31a側へ連結させ、第2カム部材38との間に相対回転を生じさせる。この結果、カム機構30eではカムフォロア39が両カム部材37,38を互いに離間する方向へ押圧する。
【0043】
この結果、第2カム部材38はメインクラッチ機構30c側へ押圧され、メインクラッチ機構30cを摩擦クラッチ34の摩擦係合力に応じて摩擦係合させ、アウタケース30aとインナシャフト30bとの間のトルク伝達を行う。このため、四輪駆動車12はプロペラシャフト18とドライブピニオンシャフト19が非直結状態の四輪駆動の駆動モードを構成する。
【0044】
また、電磁石33の電磁コイルへの印加電流を所定の値に高めると、電磁石33のアーマチャ35に対する吸引力が増大する。そして、アーマチャ35は強く電磁石33側へ吸引され、摩擦クラッチ34の摩擦係合力を増大させ、両カム部材37,38間の相対回転を増大させる。この結果、カムフォロア39は第2カム部材38に対する押圧力を高めて、メインクラッチ機構30cを結合状態とする。このため、四輪駆動車12はプロペラシャフト18とドライブピニオンシャフト19が直結した四輪駆動の駆動モードを構成する。
【0045】
次に、上記第1実施形態のように構成された駆動力伝達装置11が特徴とする作用について説明する。
電磁石33の電磁コイルへ通電すると、前記磁路Zが形成され磁気誘導作用により電磁石33はアーマチャ35を吸引する。このとき、電磁石の電磁コイルへの通電により、ヨーク36、リヤハウジング31b、フロントハウジング31a、アーマチャ35、第2カム部材38、インナシャフト30b、リヤハウジング31b、ヨーク36へと磁束が通過することがある。しかし、図4に示すように、アーマチャ35はアウタクラッチプレート34bに対向しない他の側面は非磁性材のアルミニウムAにて覆われている。
【0046】
そのため、アーマチャ35と第2カム部材38との間のクリアランスが小さい場合でも、アーマチャ35とフロントハウジング31a、及びアーマチャ35と第2カム部材38との間には磁束が通過しない。すると、ヨーク36、リヤハウジング31b、フロントハウジング31a、アーマチャ35、第2カム部材38、インナシャフト30b、リヤハウジング31b、ヨーク36を循環する磁路が形成されない。この結果、第2カム部材38を介しての磁路の磁気誘導作用が発生しないことから、アーマチャ35が第2カム部材38に吸引されることがなくなり、アーマチャ35はパイロットクラッチ機構30dの一部として正常に機能する。
【0047】
図5は横軸に電磁石33の電磁コイルへ通電する電流を示し、縦軸に駆動力伝達装置11からドライブピニオンシャフト19へ伝達するトルク(伝達トルク)を示している。
【0048】
曲線CHは、アルミニウムAにて覆われたアーマチャ35を有する本実施形態の駆動力伝達装置11が描く曲線である。一方、曲線CZは、アーマチャ35及びフロントハウジング31aを鉄材のみ、すなわち、アルミニウムAをアーマチャ35に設けない場合の駆動力伝達装置において、アーマチャ35と第2カム部材38との間のクリアランスが小さい場合の描く曲線である。曲線CZを描く駆動力伝達装置では、第2カム部材38を介しての磁路が形成され、アーマチャ35が第2カム部材38側に吸引されることから、パイロットクラッチ機構30dが十分に機能しないことを示している。
【0049】
従って、本実施形態の駆動力伝達装置11は、上記曲線CZを描く駆動力伝達装置と比べて安定性のある所定の電流−トルク特性が得られる。
従って、上記第1実施形態の駆動力伝達装置11によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0050】
(1)本実施形態の駆動力伝達装置11では、アーマチャ35を鉄材にて形成し、そのアーマチャ35のアウタクラッチプレート34bに対向しない他の側面、すなわち、第2カム部材38側、アウタケース30a側(外周側)、内周側ものそれぞれの側面をアルミニウムAにて覆った。そして、フロントハウジング31aを鉄材のみにて形成した。
【0051】
このため、電磁石33へ通電を行っても、アーマチャ35の一側面を除く他の側面にはアルミニウムAが覆われているため、アーマチャ35とフロントハウジング31a、及びアーマチャ35と第2カム部材38との間には磁路が形成されない。一方、ヨーク36、リヤハウジング31b、摩擦クラッチ34、アーマチャ35、摩擦クラッチ34、リヤハウジング31b、及びヨーク36間を循環する磁路Zは良好に形成される。
【0052】
従って、フロントハウジング31aを鉄材のみで形成しても、第2カム部材38を介してのアーマチャ35を通過する磁路が形成されず、アーマチャ35はパイロットクラッチ機構30dの一部として正常に機能でき、フロントハウジング31aとインナシャフト30bとの間のトルク伝達を確実に行うことができる。
【0053】
(2)本実施形態では、入力軸50を一体に有するフロントハウジング31aを鉄材のみにて形成した。
ところで、特開平11−153159号公報に示す駆動力伝達装置において、アルミ合金にて形成されたフロントハウジングには鉄材からなるプロペラシャフトをボルトにて締結していた。本実施形態のフロントハウジング31aは、上記駆動力伝達装置のフロントハウジングと比べて、異なる金属からなる二つの部材をボルトにて締結していないことからコンパクト化、量産化ができる。
【0054】
また、特開平6−193689号公報に示すデファレンシャル装置において、デフケース(フロントハウジング31aに相当する)は、ほぼ全体を鉄材にて形成しているが、クラッチ板(摩擦クラッチ34に相当する)及びアーマチャに対向する部分にステンレス鋼を溶接固定していた。本実施形態のフロントハウジング31aは、上記デファレンシャル装置のデフケースのように、溶接作業を必要としないので作業コストを削減でき、かつステンレス鋼を使用しないことから材料コストを削減できる。
【0055】
(第2実施形態)
以下、本発明を具体化した第2実施形態を図1〜図3,図5に従って説明する。なお、第2実施形態は、前記第1実施形態を変更したものであり、前記第1実施形態と同様の構成については、同一符号を付して、その詳細な説明を省略し、異なるところを詳しく説明する。
【0056】
本実施形態の駆動力伝達装置61は、前記駆動力伝達装置11におけるアーマチャ35を覆うアルミニウムAを省略して、アーマチャ35全体を鉄材にて形成し、第2カム部材38をステンレス材にて形成したものである。
【0057】
従って、電磁石33の電磁コイルへの通電により、ヨーク36、リヤハウジング31b、フロントハウジング31aへ磁束が通過しても、そこから非磁性材よりなる第2カム部材38へ磁束は流れない。
【0058】
この結果、フロントハウジング31a、第2カム部材38、アーマチャ35、フロントハウジング31aを循環する磁路が形成されず、前記第1実施形態の作用及び効果と同様の作用及び効果を奏する。
(他の実施形態)
なお、上記各実施形態は以下のような他の実施形態に変更して具体化してもよい。
【0059】
・前記第1実施形態では、アーマチャ35のアウタクラッチプレート34bに対向しない他の側面をアルミニウムAにて覆っていた。しかし、アーマチャ35を覆うものはアルミニウムAに限らず、ステンレス、すず、白金、合成樹脂、セラミックス等の非磁性材にて覆ってもよい。覆う方法としては、例えばメッキや、モールド等の公知の方法でよい。
【0060】
・前記第2実施形態では、第2カム部材38をステンレス材にて形成した。しかし、これに限らず第2カム部材38を、非磁性材からなり耐摩耗性を有する材料であれば、これに限定されるものではない。
【0061】
・前記第2実施形態では、第2カム部材38を非磁性材からなるステンレス材にて形成していた。これに限らず、第2カム部材38を磁性材からなる金属、例えば鉄にて形成し、同第2カム部材38の少なくともアーマチャ35側の側面を非磁性材にて覆うようにしてもよい。例えば、非磁性材としては、アルミニウム、ステンレス、すず、白金、合成樹脂、セラミックス等を挙げることができる。
【0062】
・前記第1実施形態において、駆動力伝達装置11の第2カム部材38を第2実施形態の駆動力伝達装置61の第2カム部材38に変更してもよい。また、駆動力伝達装置11の第2カム部材38を上記他の実施形態における何れか一方の第2カム部材38に変更してもよい。
【0063】
次に、上記各実施形態及び他の実施形態から把握できる請求項に記載した発明以外の技術的思想について、それらの効果と共に以下に記載する。
(イ) 前記アーマチャに対向するカム機構側の部材の表面において、非磁性材を設ける部分はアーマチャに向かい合う側面のみであることを特徴とする請求項3に記載の駆動力伝達装置。このようにすると、アーマチャに対向するカム機構側の部材において、非磁性材を設けるところはアーマチャに向かい合う側面のみでよい。
【0064】
【発明の効果】
請求項1又は請求項2に記載の発明によれば、電磁式の駆動手段を作動した際に、複雑な磁路を形成することがないためアーマチャ作動不良を生ずることがなく、内外両回転部材間のトルク伝達を確実に行うことができる。
【0065】
請求項2に記載の発明によれば、外側回転部材を磁性材よりなる一材料で形成できるため、外側回転部材の低コスト化、量産化ができる。
請求項3〜請求項5に記載の発明によれば、電磁式の駆動手段を作動した際に、複雑な磁路を形成することがないためアーマチャ作動不良を生ずることがなく、内外両回転部材間のトルク伝達を確実に行うことができる。
【0066】
請求項4に記載の発明によれば、アーマチャに対向するカム機構側の部材を全体を非磁性体にて形成することにより、請求項3の効果を得ることができる。
請求項5に記載の発明によれば、外側回転部材を磁性材よりなる一材料で形成できるため、外側回転部材の低コスト化、量産化ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施形態における駆動力伝達装置の部分断面図。
【図2】 第1実施形態における駆動力伝達装置を搭載した四輪駆動車の説明図。
【図3】 第1実施形態における駆動力伝達装置の要部断面図。
【図4】 第1実施形態における第2カム部材の表面状態を示す説明図。
【図5】 第1実施形態におけるアーマチャの板厚とトルクとの関係を示す特性図。
【符号の説明】
11,61…駆動力伝達装置、30a…外側回転部材としてのアウタケース、
30b…内側回転部材としてのインナシャフト、
30c…メインクラッチ機構、30d…パイロットクラッチ機構、
31b…外側回転部材の側壁としてのリヤハウジング、30e…カム機構、
33…電磁石、34…摩擦クラッチ、35…アーマチャ、
38…アーマチャに対向するカム機構側の部材としての第2カム部材。

Claims (5)

  1. 互いに相対回転可能に位置する内外両回転部材間に配設された摩擦クラッチと、通電により作動して前記摩擦クラッチを摩擦係合させる電磁式の駆動手段を備え、
    同駆動手段を、前記外側回転部材の内側に位置して前記摩擦クラッチと対向するアーマチャと、前記外側回転部材の外側に位置して同外側回転部材の側壁を挟んで前記摩擦クラッチと対向する電磁石を備えた構成とし、
    同電磁石への通電により前記アーマチャを吸引して前記摩擦クラッチを摩擦係合し、同摩擦クラッチの摩擦係合力にて前記両回転部材をトルク伝達可能な連結状態とする駆動力伝達装置において、
    前記アーマチャの摩擦クラッチと対向する側面側を磁性材にて形成し、摩擦クラッチと対向しない他の側面を非磁性材にて覆ったことを特徴とする駆動力伝達装置。
  2. 前記外側回転部材全体を磁性材にて形成したことを特徴とする請求項1に記載の駆動力伝達装置。
  3. 内外両回転部材間に、摩擦係合によりこれら両回転部材間のトルク伝達を行うメインクラッチ機構と、通電により作動して摩擦係合する電磁式のパイロットクラッチ機構と、前記メインクラッチ機構と前記パイロットクラッチ機構間に位置し同パイロットクラッチ機構の摩擦係合力を前記メインクラッチ機構に対する押圧力に変換するカム機構を備え、
    前記パイロットクラッチ機構には、前記内外両回転部材間に配設された摩擦クラッチと、通電により作動して前記摩擦クラッチを摩擦係合させる電磁式の駆動手段を含み、
    前記駆動手段を、前記摩擦クラッチと対向するアーマチャと、前記外側回転部材の外側に位置して同外側回転部材の側壁を挟んで前記摩擦クラッチと対向する電磁石を備えた機構とし、
    同電磁石への通電により前記アーマチャを吸引して前記摩擦クラッチを摩擦係合し、同摩擦クラッチの摩擦係合力にて前記両回転部材をトルク伝達可能な連結状態とする駆動力伝達装置において、
    前記アーマチャに対向するカム機構側の部材の少なくとも表面に非磁性材を設けたことを特徴とする駆動力伝達装置。
  4. 前記アーマチャに対向するカム機構側の部材は、全体が非磁性材にて構成されていることを特徴とする請求項3に記載の駆動力伝達装置。
  5. 前記外側回転部材全体を磁性材にて形成したことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の駆動力伝達装置。
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