JP2009121600A - 電磁クラッチ、電磁クラッチの製造方法及び駆動力伝達装置 - Google Patents

電磁クラッチ、電磁クラッチの製造方法及び駆動力伝達装置 Download PDF

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Koji Kitahata
浩二 北畑
Daisuke Ozaki
大輔 尾▲崎▼
Masaya Segawa
雅也 瀬川
Takashi Matsumoto
崇 松本
Ryoji Nogami
良治 野上
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Abstract

【課題】簡易な作業工程にて磁路形成部材を形成できる電磁クラッチ、該電磁クラッチの製造方法及び駆動力伝達装置を提供すること。
【解決手段】電磁クラッチを、円筒部14とインナシャフト13との間に配置されるクラッチ機構22と、クラッチ機構22の軸方向に底部15を挟んで並置された電磁コイル30と、該電磁コイル30との間にクラッチ機構22を介在させて軸方向移動可能に設けられたアーマチャ25とから構成した。そして、アウタハウジング12の底部15を、準安定オーステナイト系ステンレス鋼により形成するとともに、冷間加工により環状の第1磁性領域41と、同第1磁性領域41の径方向外側に電磁コイル30と対向する第1非磁性領域42を挟んで第2磁性領域43とを形成した。
【選択図】図2

Description

本発明は、電磁クラッチ、該電磁クラッチの製造方法及び駆動力伝達装置に関するものである。
従来、円筒部を有する外側回転部材と、該外側回転部材の円筒内に回転自在に同軸配置された軸状の内側回転部材とを備え、これら外側回転部材と内側回転部材との間でトルクを伝達する複数のクラッチプレートを電磁コイルにより摩擦係合させる電磁クラッチがある。一般に、このような電磁クラッチは、各クラッチプレートと電磁コイルとの間に設けられた磁路形成部材と、該磁路形成部材との間に各クラッチプレートを介在させて軸方向移動可能に設けられたアーマチャとを備え、電磁コイルへの通電によりアーマチャを吸引して各クラッチプレートを摩擦係合させるようになっている。
例えば、特許文献1に記載の駆動力伝達装置に用いられる電磁クラッチでは、アウタハウジングの開口部を覆蓋するリヤハウジングを磁路形成部材としている。このようなリヤハウジングは、磁性材料からなる環状の外周筒部と、同外周筒部内側に設けられた磁性材料からなる環状の内周筒部と、外周筒部と内周筒部との間に設けられた非磁性材料からなる環状の磁路遮断部とを備え、例えばレーザ溶接により磁路遮断部が外周筒部及び内周筒部に固定されている。このように、リヤハウジングの径方向中間部に磁路遮断部を設けたことで、電磁コイルを支持するヨークとリヤハウジングとの間で循環する磁路が形成されることが防止される。そして、電磁コイルへの通電により、ヨーク、リヤハウジング、各クラッチプレート、アーマチャ、各クラッチプレート、リヤハウジング、及びヨーク間を循環する磁路が形成され、効率よく各クラッチプレートが摩擦係合するようになっている。
特開平11−153156号公報
ところで、上記従来の構成では、リヤハウジングが外周筒部、内周筒部及び磁路遮断部に3分割されおり、これらをレーザ溶接により固定する必要があるため、作業工程が煩雑となり、コストの増大を招いていた。なお、このような問題は、磁性材料の間に非磁性材料を固定する場合に発生し、リヤハウジングを磁路形成部材とした場合に限らず、例えば有底筒状に形成されたアウタハウジングの底部を磁路形成部材とした場合等においても同様に発生する。
また、溶接では、固定する部材間における各表面のばらつき、即ち各表面の小さな段差や傾きが影響して溶接不良が発生することがあり、歩留まりが低下する虞があった。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、簡易な作業工程にて磁路形成部材を形成できる電磁クラッチ、該電磁クラッチの製造方法及び駆動力伝達装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、円筒部を有する外側回転部材と、前記外側回転部材内に回転自在に同軸配置された軸状の内側回転部材と、前記外側回転部材と前記内側回転部材との間でトルクを伝達する複数のクラッチプレートと、前記各クラッチプレートの軸方向の一側に軸方向移動可能に設けられたアーマチャと、前記各クラッチプレートの軸方向の他側に並置されるとともに前記アーマチャを吸引する磁力を発生する電磁コイルと、前記外側回転部材又は前記内側回転部材と一体回転し、前記各クラッチプレートと前記電磁コイルとの間に介在する磁路形成部材と、を備えた電磁クラッチであって、前記磁路形成部材はオーステナイト系ステンレス鋼よりなる一体の部材であり、該磁路形成部材には、冷間加工によって加工誘起マルテンサイト相を生成することにより形成された環状の第1磁性領域と、該第1磁性領域の径方向外側に前記電磁コイルと対向する第1非磁性領域を挟んで冷間加工によって加工誘起マルテンサイト相を生成することにより形成された環状の第2磁性領域とが形成され、前記第1磁性領域及び前記第2磁性領域が前記電磁コイルへの通電により発生する磁界の磁路を形成することを要旨とする。
オーステナイト系ステンレス鋼は、固溶化熱処理された状態では非磁性のオーステナイト相であるが、冷間加工(冷間鍛造など)を施すことで、オーステナイト相の一部が強磁性の加工誘起マルテンサイト相に変態し磁性を帯びる。特に、準安定オーステナイト系ステンレス鋼(SUS304等)では、冷間加工により加工誘起マルテンサイト相が生成されやすく、容易に磁性化することができる。従って、上記構成によれば、例えば磁性部材の間に非磁性部材をレーザ溶接により固定することで磁路形成部材を形成する場合のように煩雑な作業を行わずに済むため、簡易な作業工程にて磁路形成部材を形成でき、コスト増大を防止することが可能になる。また、磁路形成部材が一体の部材で形成されるため、溶接不良等による不適合品の発生が低減されて歩留まりの向上が図られる。
請求項2に記載の発明は、円筒部を有する外側回転部材と、前記外側回転部材内に回転自在に同軸配置された軸状の内側回転部材と、前記外側回転部材の円筒部の内側にて、前記外側回転部材及び前記内側回転部材のうちの何れか一方との相対回転が規制されるとともに軸方向移動可能に配置されるアーマチャと、前記アーマチャを吸引する磁力を発生する電磁コイルと、前記外側回転部材及び前記内側回転部材のうちの何れか他方と一体回転し、前記アーマチャと前記電磁コイルとの間に介在する磁路形成部材とを備えた電磁クラッチであって、前記磁路形成部材はオーステナイト系ステンレス鋼よりなる一体の部材であり、該磁路形成部材には、冷間加工によって加工誘起マルテンサイト相を生成することにより形成された環状の第1磁性領域と、該第1磁性領域の径方向外側に前記電磁コイルと対向する第1非磁性領域を挟んで冷間加工によって加工誘起マルテンサイト相を生成することにより形成された環状の第2磁性領域とが形成され、前記第1磁性領域及び前記第2磁性領域が前記電磁コイルへの通電により発生する磁界の磁路を形成することを要旨とする。
上記構成によれば、簡易な作業工程にて磁路形成部材を形成でき、コスト増大を防止することが可能になる。また、磁路形成部材が一体の部材で形成されるため、溶接不良等による不適合品の発生が低減されて歩留まりの向上が図られる。さらに、アーマチャと磁路形成部材とが摩擦係合することで、外側回転部材と内側回転部材とがトルク伝達可能に連結されるため、クラッチプレートを用いずに済み、部品点数を削減することができるとともに、電磁クラッチの軸方向の小型化が図られる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の電磁クラッチにおいて、前記外側回転部材は、塑性変形により円筒状、且つ前記磁路形成部材と一体に形成されたことを要旨とする。
上記構成によれば、外側回転部材が磁路形成部材と一体に形成されるため、外側回転部材と磁路形成部材とを別部材により形成し組み付ける場合に比べ、部品点数を削減することが可能になり、コスト増大の防止が図られる。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の電磁クラッチにおいて、前記外側回転部材における前記各クラッチプレート及び前記アーマチャの外周側に対応する領域が第2非磁性領域とされたことを要旨とする。
上記構成によれば、外側回転部材における各クラッチプレート及びアーマチャの外周側に対応する領域が第2非磁性領域であるため、磁束が各クラッチプレート及びアーマチャを介して外部へ漏洩することが防止されるため、電磁クラッチの作動効率の低下が防止される。
請求項5に記載の発明は、円筒部を有する外側回転部材と、前記外側回転部材内に回転自在に同軸配置された軸状の内側回転部材と、前記外側回転部材と前記内側回転部材との間でトルクを伝達する複数のクラッチプレートと、前記各クラッチプレートの軸方向の一側に軸方向移動可能に設けられたアーマチャと、前記各クラッチプレートの軸方向の他側に並置されるとともに前記アーマチャを吸引する磁力を発生する電磁コイルと、前記外側回転部材又は前記内側回転部材と一体回転し、前記各クラッチプレートと前記電磁コイルとの間に介在する磁路形成部材と、を備えた電磁クラッチの製造方法であって、前記磁路形成部材をオーステナイト系ステンレス鋼よりなる一部材とし、該磁路形成部材に冷間加工によって加工誘起マルテンサイト相を生成した環状の第1磁性領域と、該第1磁性領域の径方向外側に電磁コイルと対向する第1非磁性領域を挟んで冷間加工によって加工誘起マルテンサイト相を生成した環状の第2磁性領域とを形成するステップを備えたことを要旨とする。
上記構成によれば、例えば磁性部材の間に非磁性部材をレーザ溶接により固定することで磁路形成部材を形成する場合のように煩雑な作業を行わずに済むため、簡易な作業工程にて磁路形成部材を形成でき、コスト増大を防止することが可能になる。また、磁路形成部材が一体の部材で形成されるため、溶接不良等による不適合品の発生が低減されて歩留まりの向上が図られる。
請求項6に記載の発明は、円筒部を有する外側回転部材と、前記外側回転部材内に回転自在に同軸配置された軸状の内側回転部材と、前記外側回転部材の円筒部の内側にて、前記外側回転部材及び前記内側回転部材のうちの何れか一方との相対回転が規制されるとともに軸方向移動可能に配置されるアーマチャと、前記アーマチャを吸引する磁力を発生する電磁コイルと、前記外側回転部材及び前記内側回転部材のうちの何れか他方と一体回転し、前記アーマチャと前記電磁コイルとの間に介在する磁路形成部材とを備えた電磁クラッチの製造方法であって、前記磁路形成部材をオーステナイト系ステンレス鋼よりなる一部材とし、該磁路形成部材に冷間加工によって加工誘起マルテンサイト相を生成した環状の第1磁性領域と、該第1磁性領域の径方向外側に電磁コイルと対向する第1非磁性領域を挟んで冷間加工によって加工誘起マルテンサイト相を生成した環状の第2磁性領域とを形成するステップを備えたことを要旨とする。
上記構成によれば、簡易な作業工程にて磁路形成部材を形成でき、コスト増大を防止することが可能になる。また、磁路形成部材が一体の部材で形成されるため、溶接不良等による不適合品の発生が低減されて歩留まりの向上が図られる。さらに、アーマチャと磁路形成部材とが摩擦係合することで、外側回転部材と内側回転部材とがトルク伝達可能に連結されるため、クラッチプレートを用いずに済み、部品点数を削減することができるとともに、電磁クラッチの軸方向の小型化が図られる。
請求項7に記載の発明は、請求項5又は6に記載の電磁クラッチの製造方法において、前記磁路形成部材を前記第2磁性領域よりも大きな板状に形成するとともに、該第2磁性領域の径方向外側部分を円筒状に塑性変形させるステップを備えたことを要旨とする。
上記構成によれば、外側回転部材と磁路形成部材とが一体に形成されるため、外側回転部材と磁路形成部材とを別部材により形成し組み付ける場合に比べ、部品点数を削減することが可能になり、コスト増大の防止が図られる。
請求項8に記載の発明は、円筒部を有する外側回転部材と、前記外側回転部材内に回転自在に同軸配置された軸状の内側回転部材と、前記外側回転部材と前記内側回転部材との間でトルクを伝達するメインクラッチと、前記メインクラッチの軸方向に並置されたパイロットクラッチと、前記メインクラッチと前記パイロットクラッチとの間に設けられ前記パイロットクラッチを介して伝達される前記外側回転部材と前記内側回転部材との回転差に基づくトルクを軸方向の押圧力に変換してカム部材を軸方向移動させることにより前記メインクラッチを押圧するカムとを備え、前記パイロットクラッチは、前記外側回転部材と前記内側回転部材との間でトルクを伝達する複数のクラッチプレートと、前記各クラッチプレートの軸方向の一側に軸方向移動可能に設けられたアーマチャと、前記各クラッチプレートの軸方向の他側に並置されるとともに前記アーマチャを吸引する磁力を発生する電磁コイルと、前記各クラッチプレートと前記電磁コイルとの間に設けられ、前記外側回転部材又は前記内側回転部材と一体回転する磁路形成部材と、を備えた電磁クラッチとして構成された駆動力伝達装置であって、前記磁路形成部材はオーステナイト系ステンレス鋼よりなる一体の部材であり、該磁路形成部材には、冷間加工によって加工誘起マルテンサイト相を生成することにより形成された環状の第1磁性領域と、該第1磁性領域の径方向外側に前記電磁コイルと対向する第1非磁性領域を挟んで冷間加工によって加工誘起マルテンサイト相を生成することにより形成された環状の第2磁性領域とが形成され、前記第1磁性領域及び前記第2磁性領域が前記電磁コイルへの通電により発生する磁界の磁路を形成することを要旨とする。
上記構成によれば、電磁クラッチ(パイロットクラッチ)と、該電磁クラッチにより伝達されるトルクを増幅するメインクラッチ及びカム機構を備えた駆動力伝達装置において、簡易な作業工程にて磁路形成部材を形成でき、コスト増大を防止することが可能になる。また、磁路形成部材が一体の部材で形成されるため、溶接不良等による不適合品の発生が低減されて歩留まりの向上が図られる。
本発明によれば、簡易な作業工程にて磁路形成部材を形成可能な電磁クラッチ、該電磁クラッチの製造方法及び駆動力伝達装置を提供することができる。
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、電磁クラッチ11は、有底筒状のアウタハウジング12と、同アウタハウジング12の筒内に回転自在に同軸配置された軸状のインナシャフト13とを備えている。アウタハウジング12は、円筒状に形成された外側回転部材としての円筒部14と、同円筒部14のインナシャフト13側(同図中、左側)に一体形成されるとともに円環状に形成された磁路形成部材としての底部15とから構成されている。また、アウタハウジング12には、円筒部14の開口部16にエンドハウジング17が固定されるようになっている。エンドハウジング17の円板状に形成されたフランジ部18は、開口部16の内周に螺着されるとともに、該フランジ部18の径方向中央にはアウタハウジング12の反対側に突出した軸状のシャフト部19が形成されている。また、内側回転部材としてのインナシャフト13は、底部15の内周に設けられたボール軸受20及びフランジ部18に設けられた円錐ころ軸受21により回転自在に支承されている。なお、本実施形態では、インナシャフト13が駆動源に接続された入力軸(図示略)に接続されるとともに、シャフト部19が出力軸に接続されるようになっている。
円筒部14の内側には、アウタハウジング12とインナシャフト13とをトルク伝達可能に連結可能なクラッチ機構22が設けられている。クラッチ機構22には、軸方向に移動可能に設けられた複数のアウタクラッチプレート23及びインナクラッチプレート24を交互に配置してなる多板式の摩擦クラッチが採用されている。具体的には、各アウタクラッチプレート23は円筒部14の内周に、各インナクラッチプレート24はインナシャフト13の外周にスプライン嵌合されることにより、それぞれ軸方向に移動可能、且つ対応するアウタハウジング12又はインナシャフト13と一体回転可能に設けられている。また、円筒部14の内周には、円環状に形成されたアーマチャ25が、同アーマチャ25と底部15との間にアウタクラッチプレート23及びインナクラッチプレート24を介在させて、軸方向に摺動可能にスプライン嵌合されている。
また、インナシャフト13の基端側(図1中、左側)には、ボール軸受26,27を介して支持部材28及び該支持部材28に螺着されたヨーク29がインナシャフト13に相対回転可能に支持されている。そして、支持部材28により、ヨーク29に包囲された電磁コイル30がクラッチ機構22の軸方向に底部15を挟むように並置されている。なお、支持部材28には、外部と接続されて電磁コイル30に電力を供給する電源線31が設けられている。
本実施形態では、アウタハウジング12は準安定オーステナイト系ステンレス鋼(例えば、SUS304)により形成されている。オーステナイト系ステンレス鋼は、固溶化熱処理された状態では非磁性のオーステナイト相であるが、冷間加工(冷間鍛造など)を施すことで、オーステナイト相の一部が強磁性の加工誘起マルテンサイト相に変態し磁性を帯びる。特に、準安定オーステナイト系ステンレス鋼では、冷間加工により加工誘起マルテンサイト相が生成されやすく、容易に磁性化できる。
底部15には、その径方向内側部分に環状に形成される第1磁性領域41と、同第1磁性領域41の径方向外側に電磁コイル30と対向する第1非磁性領域42を挟んで環状の第2磁性領域43とが一部材内に形成されている(図2参照)。また、円筒部14におけるクラッチ機構22及びアーマチャ25の外周側に対応する領域(底部15側)に第2非磁性領域44が形成されるとともに、円筒部14の開口部16側に第3磁性領域45が形成されている。なお、第1及び第2非磁性領域42,44とはオーステナイト相の領域をいい、第1〜第3磁性領域41,43,45とは加工誘起マルテンサイト相が生成されて、第1及び第2非磁性領域42,44よりも透磁率が大きくなった領域をいう。また、図1及び2において、アウタハウジング12における磁性化された部分については、ハッチングの間隔を小さくして示している。
電磁コイル30と第1非磁性領域42とが対向するため、図2に示すように、電磁コイル30に電流が供給された場合に、第1非磁性領域42によりヨーク29と底部15との間で循環する磁路が形成されることが防止され、電磁クラッチ11には一点鎖線で示すように循環する磁路M1が発生する。即ち、ヨーク29、底部15(第1磁性領域41)、クラッチ機構22、アーマチャ25、クラッチ機構22、底部15(第2磁性領域43)及びヨーク29を循環する磁路M1が形成される。すると、アーマチャ25が電磁コイル30の電磁力により吸引され、底部15との間にクラッチ機構22を挟み込むように移動することにより、各アウタクラッチプレート23及び各インナクラッチプレート24が効率よく摩擦係合するようになっている。そして、クラッチ機構22が摩擦係合することで、アウタハウジング12とインナシャフト13とがトルク伝達可能に連結されるようになっている。
また、円筒部14におけるクラッチ機構22及びアーマチャ25の外周側に対応する領域が第2非磁性領域44であるため、アウタクラッチプレート23及びアーマチャ25から円筒部14を介して磁路M1から磁束が漏洩することが防止される。なお、円筒部14の開口部16側が第3磁性領域45となっているが、アウタクラッチプレート23及びアーマチャ25が位置しない部分であるため、磁路M1に影響しない。
次に、電磁クラッチの製造方法について説明する。図3のフローチャートに示すように、本実施形態の電磁クラッチ11は、アウタハウジング12を形成するアウタハウジング製造工程(ステップ101)によりアウタハウジング12が製造された後、組み付け工程(ステップ102)において、インナシャフト13などがアウタハウジング12に組み付けられて製造される。そして、上記ステップ101のアウタハウジング製造工程は、底部15の所定領域を磁性化させる磁性化工程(ステップ101a)と、アウタハウジング12の円筒部14を形成する円筒部形成工程(ステップ101b)を含んで構成されている。
アウタハウジング12は、準安定オーステナイト系ステンレス鋼により形成された円環状の環状素材46から製造される。本実施形態では、先ず磁性化工程(ステップ101a)において、環状素材46に冷間加工を施すことにより、底部15の径方向内側部及び外側部が磁性領域になるとともに電磁コイル30と対向する径方向中間部が非磁性領域になるように、環状素材46の所定領域を磁性化させる。具体的には、図4に示すように、環状素材46に環状の第1磁性領域41と、同第1磁性領域41の径方向外側に第1非磁性領域42を挟んで第2磁性領域43とを形成し、第2磁性領域43の径方向外側を第2非磁性領域44とする(図4において、磁性化された部分を便宜的にハッチングにより示す)。これにより、底部15が第2磁性領域43よりも大きな円環状に形成される。
続いて、円筒部形成工程(ステップ101b)において、環状素材46における第2磁性領域43の径方向外側部分を円筒状に塑性変形させ、アウタハウジング12を形成する。本実施形態では、環状素材46を回転させながら該環状素材46に加工治具を押し当てて塑性加工するフローフォーミングにより、第2磁性領域43と第2非磁性領域44との境界C1から径方向外側の部分、即ち第2非磁性領域44を円筒状に塑性変形させる。具体的には、図5に示すように、回転駆動される主型47と、該主型47に対して回転軸方向に移動可能なリバース型48との間に環状素材46を挟持する。そして、主型47を回転駆動することにより、主型47、リバース型48及び環状素材46を一体に回転させながら該環状素材46にローラなどの加工治具49を押し当てることで円筒部14を成形する。このようにして、第2磁性領域43の径方向外側部分を円筒状に塑性変形させて円筒部14と底部15とを一体にしてアウタハウジング12を形成する。なお、このときに円筒部14に大きな力が加わることで、開口部16付近に加工誘起マルテンサイト相が生成され、第3磁性領域45が形成される。そして、組み付け工程(ステップ102)において、アウタハウジング12にインナシャフト13等が組み付けられることで電磁クラッチ11が製造される。
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)電磁クラッチ11を、円筒部14とインナシャフト13との間に配置されるクラッチ機構22と、クラッチ機構22の軸方向に底部15を挟んで並置された電磁コイル30と、該電磁コイル30との間にクラッチ機構22を介在させて軸方向移動可能に設けられたアーマチャ25とから構成した。そして、アウタハウジング12の底部15を、準安定オーステナイト系ステンレス鋼により形成するとともに、冷間加工により環状の第1磁性領域41と、同第1磁性領域41の径方向外側に電磁コイル30と対向する第1非磁性領域42を挟んで第2磁性領域43とを形成した。そのため、上記従来のように、例えば磁性部材の間に非磁性部材をレーザ溶接により固定することで底部を形成する場合のように煩雑な作業を行うことなく、簡易な作業工程にて磁路形成部材としての底部15を形成することができ、コスト増大を防止することができる。また、底部15が一体の部材で形成されるため、溶接不良等による不適合品の発生が低減されて歩留まりの向上を図ることができる。
(2)環状素材46(底部15)における第2磁性領域43の径方向外側部分を円筒状に塑性変形させ、円筒部14と底部15とを一体にしてアウタハウジング12を形成したため、円筒部14と底部15とを別部材により形成し組み付ける場合に比べ、部品点数を削減することが可能になり、コスト増大の防止を図ることができる。
(3)第2非磁性領域44の部分がフローフォーミングにより円筒部14とされるため、円筒部14におけるクラッチ機構22及びアーマチャ25の外周側に対応する領域が第2非磁性領域44となり、磁束がクラッチ機構22及びアーマチャ25を介して外部へ漏洩することが防止されるため、電磁クラッチの作動効率の低下を防止できる。
(第2実施形態)
以下、本発明を具体化した第2実施形態を図面に従って説明する。
なお、説明の便宜上、同一の構成については上記第1実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
図6に示すように、本実施形態の電磁クラッチ51では、円環状に形成されたアーマチャ52がインナシャフト13の外周にスプライン嵌合されることにより、軸方向に移動可能、且つインナシャフト13と一体回転可能に設けられている。アーマチャ52における底部15と対向する摺接面53には円環状の溝54が形成されるとともに、該溝54には底部15におけるアーマチャ52と対向する摺接面55との間で摩擦係合力を発生する摩擦材56が設けられている。なお、本実施形態では、摩擦材56には不織布を基材としたものが用いられている。
電磁コイル30に電流が供給された場合に、第1非磁性領域42によりヨーク29と底部15との間で循環する磁路が形成されることが防止され、図7に示すように、電磁クラッチ51には一点鎖線で示すように循環する磁路M2が発生する。即ち、ヨーク29、底部15(第1磁性領域41)、アーマチャ52、底部15(第2磁性領域43)及びヨーク29を循環する磁路M2が形成される。すると、アーマチャ25が電磁コイル30の電磁力により吸引され、アーマチャ52の摺接面53と底部15の摺接面55とが摩擦係合するようになっている。このようにして、本実施形態では、アーマチャ52と底部15とが摩擦係合することで、クラッチプレートを用いずに、アウタハウジング12とインナシャフト13とがトルク伝達可能に連結されるようになっている。なお、電磁クラッチ51は、上記第1実施形態の電磁クラッチ11と同様な方法で製造される(図3参照)。また、図6及び7において、アウタハウジング12における磁性化された部分については、ハッチングの間隔を小さくして示している。
以上記述したように、本実施形態によれば、第1実施形態の(1)〜(3)の効果と同様の効果に加えて以下の効果を奏する。
(4)アーマチャ52と底部15とが摩擦係合することで、アウタハウジング12とインナシャフト13とがトルク伝達可能に連結されようしたため、クラッチプレートを用いずに済み、部品点数を削減することができるとともに、電磁クラッチ51の軸方向の小型化を図ることができる。
(5)アーマチャ52に、同アーマチャ52の摺接面53と底部15の摺接面55との間で摩擦係合力を発生する摩擦材56を設けた。そのため、例えば摺接面53,55にDLC皮膜(ダイヤモンド状炭素被膜)を形成するなどの高価な表面処理を行わずとも、電磁クラッチ51の耐久性を向上させることができ、コスト増大を防止できる。
(第3実施形態)
以下、本発明を具体化した第3実施形態を図面に従って説明する。
図8に示すように、駆動力伝達装置61は、カップリングケース62内に回転自在に収容された有底筒状のアウタハウジング63と、同アウタハウジング63の筒内に回転自在に同軸配置された軸状のインナシャフト64とを備えている。
アウタハウジング63は、円筒状に形成された外側回転部材としての円筒部65と、円筒部65の端部に一体形成されるとともに円環状に形成された磁路形成部材としての底部66(同図中、右側)とから構成されている。円筒部65の開口部67には、同開口部67を閉塞する閉壁部68が固定されるとともに、底部66の内周にはアウタハウジング63の外側に向かって円筒部65よりも小径の小径部69が設けられている。そして、アウタハウジング63は、閉壁部68に設けられたボール軸受70によりカップリングケース62に対して回転自在に支承されている。
また、内側回転部材としてのインナシャフト64は、小径部69の内周に設けられたニードル軸受71及び閉壁部68の径方向中央に設けられたボール軸受72により回転自在に支承されている。そして、アウタハウジング63の筒内は、小径部69の内周とインナシャフト64の外周との間に設けられたシール部材73により封止され、その筒内には潤滑油が収容されている。
なお、閉壁部68は、プロペラシャフト(図示略)に設けられたフランジ部(図示略)と、ボルト74によって連結される。これにより、アウタハウジング63は、駆動源であるエンジン(図示略)の発生する駆動力の入力により回転する。また、インナシャフト64の上記ニードル軸受71に支承された側の軸端(同図中、右側)の内周には、図示しないリヤディファレンシャルとの連結部(スプライン嵌合部)75が形成されている。即ち、駆動力伝達装置61は、車両搭載時において、アウタハウジング63は主駆動輪である前輪側と、インナシャフト64は補助駆動輪である後輪側と連結されるようなっている。
また、アウタハウジング63の筒内には、アウタハウジング63とインナシャフト64とをトルク伝達可能に連結可能なメインクラッチ76が設けられるとともに、メインクラッチ76の軸方向、底部66側にはパイロットクラッチ77が並置されている。そして、これらメインクラッチ76とパイロットクラッチ77との間にカム機構78が設けられている。
メインクラッチ76には、軸方向に移動可能に設けられた複数のアウタクラッチプレート79及びインナクラッチプレート80を交互に配置してなる多板式の摩擦クラッチが採用されている。具体的には、各アウタクラッチプレート79はアウタハウジング63の内周に、各インナクラッチプレート80はインナシャフト64の外周にスプライン嵌合されることにより、それぞれ軸方向に移動可能、且つ対応するアウタハウジング63又はインナシャフト64と一体回転可能に設けられている。そして、メインクラッチ76は、これら各アウタクラッチプレート79及びインナクラッチプレート80が軸方向に押圧され、互いに摩擦係合することにより、アウタハウジング63とインナシャフト64とをトルク伝達可能に連結するようになっている。
カム機構78は、インナシャフト64に回転自在に支承されたパイロットカム81と、インナシャフト64の外周にスプライン嵌合されることにより同インナシャフト64と一体回転可能且つ軸方向に移動可能に設けられたカム部材としてのメインカム82と、パイロットカム81とメインカム82との間に介在されたボール部材83とを備えてなる。パイロットカム81及びメインカム82は、ともに円環状に形成されている。パイロットカム81のメインカム82との対向面の反対側の面は、小径部69との間に設けられたニードル軸受84に当接している。これにより、パイロットカム81は小径部69と一定の間隔を保持して相対回転可能に支持されている。また、メインカム82は、インナクラッチプレート80が嵌合しているインナシャフト64のスプライン溝のパイロットクラッチ77側にスプライン嵌合している。
これらパイロットカム81及びメインカム82の対向面には、周方向に対して傾斜する複数のV字溝が互いに対向するように形成されており、ボール部材83は、これら対向する各V字溝内に配置された状態でパイロットカム81及びメインカム82により挟持されている。そして、カム機構78は、パイロットカム81とメインカム82とが相対回転することにより、これらパイロットカム81とメインカム82との間が離間、即ちパイロットカム81がメインクラッチ76側に軸方向移動して、メインクラッチ76を押圧するように構成されている。
パイロットクラッチ77には、上記メインクラッチ76と同様に、軸方向に移動可能に設けられた複数のアウタクラッチプレート85及びインナクラッチプレート86を交互に配置してなる多板式の摩擦クラッチが採用されている。具体的には、各アウタクラッチプレート85は、円筒部65の内周に、インナクラッチプレート86はパイロットカム81の外周にスプライン嵌合されることにより、それぞれ軸方向に移動可能、且つ対応するアウタハウジング63又はパイロットカム81と一体回転可能に設けられている。そして、パイロットクラッチ77は、これら各アウタクラッチプレート85及びインナクラッチプレート86が軸方向に押圧され、互いに摩擦係合することにより、アウタハウジング63とパイロットカム81とをトルク伝達可能に連結するようになっている。
即ち、メインカム82との間にボール部材83を挟持したパイロットカム81は、パイロットクラッチ77の非作動時、同メインカム82、即ちインナシャフト64とともに一体回転する状態となっており、アウタハウジング63とパイロットカム81との間には、同アウタハウジング63とインナシャフト64との回転差に相当する回転差が生じている。そして、パイロットクラッチ77は、その作動により、アウタハウジング63とパイロットカム81とをトルク伝達可能に連結することで、アウタハウジング63とインナシャフト64(パイロットカム81)との回転差に基づくトルクをカム機構78に伝達するようになっている。
つまり、駆動力伝達装置61では、パイロットクラッチ77の作動により、アウタハウジング63とインナシャフト64との回転差に基づくトルクがカム機構78に伝達され、カム機構78は、そのトルクにより生ずるメインカム82とパイロットカム81との回転差に基づいて同メインカム82を軸方向メインクラッチ76側に移動させる。即ち、カム機構78は、パイロットクラッチ77を介して伝達されたアウタハウジング63とインナシャフト64との回転差に基づくトルクを軸方向の推力に変換し、かつ増幅する。そして、そのメインカム82がメインクラッチ76を押圧することにより、同メインクラッチ76が作動、即ちアウタハウジング63とインナシャフト64とがトルク伝達可能に連結されるようになっている。
本実施形態では、パイロットクラッチ77は、電磁コイル87を駆動源とする電磁クラッチとして構成されている。具体的には、電磁コイル87は、同電磁コイル87を包囲するヨーク88がボール軸受89を介して小径部69に相対回転可能に支持されるとともに、パイロットクラッチ77の軸方向に底部66を挟むように並置されている。また、アウタハウジング63の筒内には、円環状に形成されたアーマチャ90が、同アーマチャ90と底部66との間にアウタクラッチプレート85及びインナクラッチプレート86を介在させて、軸方向に摺動可能にスプライン嵌合されている。そして、パイロットクラッチ77は、このアーマチャ90が、電磁コイル87の電磁力に吸引され、底部66との間に各アウタクラッチプレート85及びインナクラッチプレート86を挟み込むように移動することにより、該各アウタクラッチプレート85及びインナクラッチプレート86が摩擦係合するようになっている。
このように、駆動力伝達装置61は、電磁コイル87に対する電力供給を通じてパイロットクラッチ77の作動を制御することが可能である。そして、このパイロットクラッチ77の作動を通じてメインクラッチ76の作動、即ち、アウタハウジング63とインナシャフト64との間で伝達可能なトルクを自在に制御可能な構成となっている。
本実施形態では、アウタハウジング63は準安定オーステナイト系ステンレス鋼により形成されている。底部66には、その径方向内側部分に環状に形成される第1磁性領域101と、同第1磁性領域101の径方向外側に電磁コイル87と対向する第1非磁性領域102を挟んで環状の第2磁性領域103とが一部材内に形成されている(図9参照)。また、円筒部65におけるパイロットクラッチ77及びアーマチャ90の外周側に対応する領域(底部66側)に第2非磁性領域104が形成されるとともに、円筒部65の開口部67側に第3磁性領域105が形成されている。なお、図8及び9において、アウタハウジング63における磁性化された部分については、ハッチングの間隔を小さくして示している。
電磁コイル87と第1非磁性領域102とが対向するため、図9に示すように、電磁コイルに電流が供給された場合に、ヨーク88と底部66との間で循環する磁路が形成されることが防止され、図9に一点鎖線で示すように循環する磁路M3が発生する。即ち、ヨーク88、底部66(第1磁性領域101)、パイロットクラッチ77、アーマチャ90、パイロットクラッチ77、底部66(第2磁性領域103)及びヨーク88を循環する磁路M3が形成される。すると、アーマチャ90が電磁コイル87に電磁力に吸引され、底部66との間に各アウタクラッチプレート85及びインナクラッチプレート86を挟み込むように移動することにより、該各アウタクラッチプレート85及びインナクラッチプレート86が摩擦係合するようになっている。なお、アウタハウジング63が上記第1実施形態と同様に製造される。即ち、底部66には、冷間加工により所定領域が磁性化されるとともに、円筒部65がフローフォーミングにより形成されることで、円筒部65と底部66とが一体に形成されている。
以上、本実施形態によれば、第1実施形態で記載した効果と同様の効果を奏する。
なお、本実施形態は、以下の態様で実施してもよい。
・上記各実施形態では、アウタハウジング12,63を準安定オーステナイト系ステンレス鋼により形成したが、これに限らず、完全オーステナイト系ステンレス鋼(SUS316等)により形成してもよい。
・上記各実施形態では、環状素材46における第2磁性領域43の径方向外側に第2非磁性領域44を形成したが、これに限らず、第2磁性領域43の径方向外側に磁性領域を形成し、円筒部14,65が磁性領域となるようにしてもよい。また、環状素材46における第2磁性領域43の径方向外側に磁性領域を形成するとともに、該磁性領域の径方向外側に非磁性領域を形成し、円筒部14,65におけるクラッチ機構22,パイロットクラッチ77及びアーマチャ25,90の外周側に対応する領域の一部が磁性領域となるようにしてもよい。
・上記各実施形態では、円環状の環状素材46からアウタハウジング12,63を形成したが、円環状の素材に限らず、円板状などその他の板状の素材からアウタハウジング12,63を形成してもよい。
・上記各実施形態では、円筒部14,65と底部15,66とを一体に形成したが、これに限らず、円筒部14,65と底部15,66とは、別部材で形成してもよい。例えば、上記特許文献1に示された構成のように、磁路形成部材としてのリヤハウジングをオーステナイト系ステンレス鋼により形成するとともに、該リヤハウジングに第1及び第2磁性領域と第1非磁性領域とを形成してもよい。
・上記第1及び第3実施形態では、底部15,66が円筒部14,65と一体回転するようにしたが、円筒部14,65と底部15,66とを別部材で形成し、インナシャフト13,64と一体回転するようにしてもよい。
・上記第2実施形態では、底部15を円筒部14と一体に形成することで、磁路形成部材としての底部15が円筒部14と一体回転するようにし、アーマチャ52をインナシャフト13と一体回転するようにした。しかし、これに限らず、磁路形成部材がインナシャフト13と一体回転するようにし、アーマチャ52が円筒部14と一体回転するようにしてもよい。
・上記第3実施形態では、電磁クラッチにより伝達されるトルクを増幅するメインクラッチ及びカム機構を備えた駆動力伝達装置に本発明の電磁クラッチを適用したが、これに限らず、電磁クラッチを有するその他の装置に適用してもよい。
第1実施形態の電磁クラッチの概略構成を示す断面図。 第1実施形態の電磁クラッチに形成される磁路を示す模式図。 第1実施形態の電磁クラッチの製造過程を示すフローチャート。 環状素材における第1及び第2磁性領域を示す模式図。 円筒部形成工程を示す模式図。 第2実施形態の電磁クラッチの概略構成を示す断面図。 第2実施形態の電磁クラッチに形成される磁路を示す模式図。 駆動力伝達装置の概略構成を示す断面図。 駆動力伝達装置に形成される磁路を示す模式図。
符号の説明
11,51…電磁クラッチ、12,63…アウタハウジング、13,64…インナシャフト、14,65…円筒部、15,66…底部、22…クラッチ機構、25,52,90…アーマチャ、29,88…ヨーク、30,87…電磁コイル、41,101…第1磁性領域、42,102…第1非磁性領域、43,103…第2磁性領域、44,104…第2非磁性領域、46…環状素材、61…駆動力伝達装置、76…メインクラッチ、77…パイロットクラッチ、78…カム機構、M1〜M3…磁路。

Claims (8)

  1. 円筒部を有する外側回転部材と、前記外側回転部材内に回転自在に同軸配置された軸状の内側回転部材と、前記外側回転部材と前記内側回転部材との間でトルクを伝達する複数のクラッチプレートと、前記各クラッチプレートの軸方向の一側に軸方向移動可能に設けられたアーマチャと、前記各クラッチプレートの軸方向の他側に並置されるとともに前記アーマチャを吸引する磁力を発生する電磁コイルと、前記外側回転部材又は前記内側回転部材と一体回転し、前記各クラッチプレートと前記電磁コイルとの間に介在する磁路形成部材と、を備えた電磁クラッチであって、
    前記磁路形成部材はオーステナイト系ステンレス鋼よりなる一体の部材であり、該磁路形成部材には、冷間加工によって加工誘起マルテンサイト相を生成することにより形成された環状の第1磁性領域と、該第1磁性領域の径方向外側に前記電磁コイルと対向する第1非磁性領域を挟んで冷間加工によって加工誘起マルテンサイト相を生成することにより形成された環状の第2磁性領域とが形成され、前記第1磁性領域及び前記第2磁性領域が前記電磁コイルへの通電により発生する磁界の磁路を形成することを特徴とする電磁クラッチ。
  2. 円筒部を有する外側回転部材と、前記外側回転部材内に回転自在に同軸配置された軸状の内側回転部材と、前記外側回転部材の円筒部の内側にて、前記外側回転部材又は前記内側回転部材の何れか一方との相対回転が規制されるとともに軸方向移動可能に配置されるアーマチャと、前記アーマチャを吸引する磁力を発生する電磁コイルと、前記外側回転部材又は前記内側回転部材の何れか他方と一体回転し、前記アーマチャと前記電磁コイルとの間に介在する磁路形成部材とを備えた電磁クラッチであって、
    前記磁路形成部材はオーステナイト系ステンレス鋼よりなる一体の部材であり、該磁路形成部材には、冷間加工によって加工誘起マルテンサイト相を生成することにより形成された環状の第1磁性領域と、該第1磁性領域の径方向外側に前記電磁コイルと対向する第1非磁性領域を挟んで冷間加工によって加工誘起マルテンサイト相を生成することにより形成された環状の第2磁性領域とが形成され、前記第1磁性領域及び前記第2磁性領域が前記電磁コイルへの通電により発生する磁界の磁路を形成することを特徴とする電磁クラッチ。
  3. 前記外側回転部材は、塑性変形により円筒状、且つ前記磁路形成部材と一体に形成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の電磁クラッチ。
  4. 前記外側回転部材における前記各クラッチプレート及び前記アーマチャの外周側に対応する領域が第2非磁性領域とされたことを特徴とする請求項3に記載の電磁クラッチ。
  5. 円筒部を有する外側回転部材と、前記外側回転部材内に回転自在に同軸配置された軸状の内側回転部材と、前記外側回転部材と前記内側回転部材との間でトルクを伝達する複数のクラッチプレートと、前記各クラッチプレートの軸方向の一側に軸方向移動可能に設けられたアーマチャと、前記各クラッチプレートの軸方向の他側に並置されるとともに前記アーマチャを吸引する磁力を発生する電磁コイルと、前記外側回転部材又は前記内側回転部材と一体回転し、前記各クラッチプレートと前記電磁コイルとの間に介在する磁路形成部材と、を備えた電磁クラッチの製造方法であって、
    前記磁路形成部材をオーステナイト系ステンレス鋼よりなる一部材とし、該磁路形成部材に冷間加工によって加工誘起マルテンサイト相を生成した環状の第1磁性領域と、該第1磁性領域の径方向外側に電磁コイルと対向する第1非磁性領域を挟んで冷間加工によって加工誘起マルテンサイト相を生成した環状の第2磁性領域とを形成するステップを備えたことを特徴とする電磁クラッチの製造方法。
  6. 円筒部を有する外側回転部材と、前記外側回転部材内に回転自在に同軸配置された軸状の内側回転部材と、前記外側回転部材の円筒部の内側にて、前記外側回転部材又は前記内側回転部材の何れか一方との相対回転が規制されるとともに軸方向移動可能に配置されるアーマチャと、前記アーマチャを吸引する磁力を発生する電磁コイルと、前記外側回転部材又は前記内側回転部材の何れか他方と一体回転し、前記アーマチャと前記電磁コイルとの間に介在する磁路形成部材とを備えた電磁クラッチの製造方法であって、
    前記磁路形成部材をオーステナイト系ステンレス鋼よりなる一部材とし、該磁路形成部材に冷間加工によって加工誘起マルテンサイト相を生成した環状の第1磁性領域と、該第1磁性領域の径方向外側に電磁コイルと対向する第1非磁性領域を挟んで冷間加工によって加工誘起マルテンサイト相を生成した環状の第2磁性領域とを形成するステップを備えたことを特徴とする電磁クラッチの製造方法。
  7. 前記磁路形成部材を前記第2磁性領域よりも大きな板状に形成するとともに、該第2磁性領域の径方向外側部分を円筒状に塑性変形させるステップを備えたことを特徴とする請求項5又は6に記載の電磁クラッチの製造方法。
  8. 円筒部を有する外側回転部材と、前記外側回転部材内に回転自在に同軸配置された軸状の内側回転部材と、前記外側回転部材と前記内側回転部材との間でトルクを伝達するメインクラッチと、前記メインクラッチの軸方向に並置されたパイロットクラッチと、前記メインクラッチと前記パイロットクラッチとの間に設けられ前記パイロットクラッチを介して伝達される前記外側回転部材と前記内側回転部材との回転差に基づくトルクを軸方向の押圧力に変換してカム部材を軸方向移動させることにより前記メインクラッチを押圧するカムとを備え、前記パイロットクラッチは、前記外側回転部材と前記内側回転部材との間でトルクを伝達する複数のクラッチプレートと、前記各クラッチプレートの軸方向の一側に軸方向移動可能に設けられたアーマチャと、前記各クラッチプレートの軸方向の他側に並置されるとともに前記アーマチャを吸引する磁力を発生する電磁コイルと、前記外側回転部材又は前記内側回転部材と一体回転し、前記各クラッチプレートと前記電磁コイルとの間に介在する磁路形成部材と、を備えた電磁クラッチとして構成された駆動力伝達装置であって、
    前記磁路形成部材はオーステナイト系ステンレス鋼よりなる一体の部材であり、該磁路形成部材には、冷間加工によって加工誘起マルテンサイト相を生成することにより形成された環状の第1磁性領域と、該第1磁性領域の径方向外側に前記電磁コイルと対向する第1非磁性領域を挟んで冷間加工によって加工誘起マルテンサイト相を生成することにより形成された環状の第2磁性領域とが形成され、前記第1磁性領域及び前記第2磁性領域が前記電磁コイルへの通電により発生する磁界の磁路を形成することを特徴とする駆動力伝達装置。
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