JP2013221541A - 駆動力伝達装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】電磁クラッチ装置を作動させた際にパイロットクラッチを確実に係合できる駆動力伝達装置を提供する。
【解決手段】駆動力伝達装置1は、強磁性体で形成され、外側回転部材10に対して相対回転不能かつ軸方向移動可能に設けられ、磁力によりヨーク41側に引き寄せられる強磁性アーマチュア43と、強磁性アーマチュア43と別体でかつ非磁性体で形成され、移動カム部材52に接触可能となるように強磁性アーマチュア43と移動カム部材52との軸方向間に介在され、外側回転部材10に対して相対回転不能に設けられる非磁性アーマチュア44を備える。
【選択図】図1
【解決手段】駆動力伝達装置1は、強磁性体で形成され、外側回転部材10に対して相対回転不能かつ軸方向移動可能に設けられ、磁力によりヨーク41側に引き寄せられる強磁性アーマチュア43と、強磁性アーマチュア43と別体でかつ非磁性体で形成され、移動カム部材52に接触可能となるように強磁性アーマチュア43と移動カム部材52との軸方向間に介在され、外側回転部材10に対して相対回転不能に設けられる非磁性アーマチュア44を備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、駆動力伝達装置に関するものである。
いわゆる電子制御カップリングと称される駆動力伝達装置は、例えば、特開平8−105512号公報(特許文献1)および特開2010−96239号公報(特許文献2)に記載されたものがある。この種の駆動力伝達装置は、以下のように構成される。電磁クラッチ装置のパイロットクラッチを介して外側回転部材と内側回転部材との回転差に応じたトルクをカム機構に伝達し、カム機構により当該トルクをメインクラッチに対する軸方向の押付力に変換し、押し付けられたメインクラッチにより外側回転部材と内側回転部材との間でトルクが伝達される。
電磁クラッチ装置において、アーマチュアがヨーク側に引き寄せられることにより、アウタパイロットクラッチとインナパイロットクラッチとの間でトルクが伝達される状態となる。このアーマチュアのヨークの軸方向反対側には、カム機構を構成する移動カム部材が配置されている。移動カム部材は、トルク伝達部材であるため、一般に、鉄を主成分とする材料により形成される。すなわち、移動カム部材は、磁性材料である。そのため、アーマチュアを通過する磁束が移動カム部材側へ漏れるおそれがある。この漏れ磁束が大きいと、電磁クラッチ装置のコイルに電流を供給した場合に、アーマチュアがヨーク側に引き寄せられずに、移動カム部材側に引き寄せられるおそれがある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、電磁クラッチ装置を作動させた際にパイロットクラッチを確実に係合できる駆動力伝達装置を提供することを目的とする。
(請求項1)本手段に係る駆動力伝達装置は、円筒形状の外側回転部材と、前記外側回転部材内に相対回転可能に同軸上に配置された内側回転部材と、前記外側回転部材と前記内側回転部材との間でトルクを伝達するメインクラッチと、磁力によりアーマチュアをヨーク側へ引き寄せることで前記外側回転部材のトルクを伝達可能なパイロットクラッチを備える電磁クラッチ装置と、前記メインクラッチと前記パイロットクラッチとの間に設けられ、前記パイロットクラッチを介して伝達される前記外側回転部材の回転と前記内側回転部材の回転との位相差を軸方向の押圧力に変換して、移動カム部材を軸方向移動させることにより前記メインクラッチを押圧するカム機構と、を備える駆動力伝達装置において、前記アーマチュアは、強磁性体で形成され、前記外側回転部材に対して相対回転不能かつ軸方向移動可能に設けられ、磁力により前記ヨーク側に引き寄せられる強磁性アーマチュアと、前記強磁性アーマチュアと別体でかつ非磁性体で形成され、前記移動カム部材に接触可能となるように前記強磁性アーマチュアと前記移動カム部材との軸方向間に介在され、前記外側回転部材に対して相対回転不能に設けられる非磁性アーマチュアと、を備える。
(請求項2)好ましくは、前記駆動力伝達装置は、前記強磁性アーマチュアと前記非磁性アーマチュアとの軸方向間に配置され、前記強磁性アーマチュアと前記非磁性アーマチュアに挟圧された場合に両者の間隔を拡大する付勢力を発生する付勢部材をさらに備える。
(請求項3)好ましくは、前記付勢部材は、ウェーブワッシャである。
(請求項3)好ましくは、前記付勢部材は、ウェーブワッシャである。
(請求項1)本手段によれば、アーマチュアを、非磁性アーマチュアと強磁性アーマチュアとに分割して、非磁性アーマチュアを強磁性アーマチュアと移動カム部材との間に介在させている。そのため、非磁性アーマチュアにより、強磁性アーマチュアから移動カム部材への漏れ磁束が小さくなる。さらに、非磁性アーマチュアを強磁性アーマチュアに対して別体に形成することによって、強磁性アーマチュアをヨーク側へ引き寄せることが容易となる。これらにより、電磁クラッチ装置を作動させたときに、磁力によって強磁性アーマチュアをヨーク側へ引き寄せることができ、その結果、パイロットクラッチを確実に係合させることができる。
ところで、移動カム部材のうちアーマチュア側を非磁性化することによっても、アーマチュアをヨーク側へ引き寄せることが可能となる。しかし、移動カム部材は、メインクラッチに対して大きな押付力を付与する部材であるため、局所的に非磁性材料とすることは容易ではない。これに対して、非磁性部材である非磁性アーマチュアを、移動カム部材とは別体にすることで、容易に非磁性部材を強磁性アーマチュアと移動カム部材との間に介在させることができる。
(請求項2)付勢部材を強磁性アーマチュアと非磁性アーマチュアとの間に配置することにより、強磁性アーマチュアが非磁性アーマチュア側に例えば潤滑油などにより吸着されそうになったとしても、付勢部材が強磁性アーマチュアと非磁性アーマチュアを引き離すように作用する。従って、潤滑油などの吸着力が生じたとしても、磁力により強磁性アーマチュアをヨーク側へ引き寄せることができる。
また、付勢部材を挟む2つの部材である強磁性アーマチュアと非磁性アーマチュアは、どちらも外側回転部材に対して相対回転不能に設けられている。つまり、強磁性アーマチュアと非磁性アーマチュアは、相対回転しない。このように、付勢部材は、相対回転しない2つの部材に挟まれているため、両者に対して周方向のすべりが発生しにくい状態となる。つまり、付勢部材は、確実に軸方向力を発生することができ、結果として、強磁性アーマチュアを確実にヨーク側へ引き寄せることができる。
(請求項3)付勢部材をウェーブワッシャとすることにより、付勢部材が強磁性アーマチュアと非磁性アーマチュアとにより挟圧されている状態において、強磁性アーマチュアと非磁性アーマチュアとの間には隙間を形成することができる。従って、強磁性アーマチュアと付勢部材とが潤滑油により吸着しようとしたとしても、隙間の存在により、両者が離脱しやすくなる。その結果、付勢部材による付勢力が生じたときに、磁力によって強磁性アーマチュアがヨーク側へ確実に引き寄せることができる。
(駆動力伝達装置の全体構成)
本実施形態の駆動力伝達装置1について、図1、図2A、図2Bを参照して説明する。駆動力伝達装置は、例えば、4輪駆動車において、車両の走行状態に応じて駆動力が伝達される補助駆動輪側への駆動力伝達系に適用される。より詳細には、4輪駆動車において、駆動力伝達装置1は、例えば、エンジンの駆動力が伝達されるプロペラシャフトと補助駆動輪としてのリヤディファレンシャルとの間、もしくは、リヤディファレンシャルとドライブシャフトとの間に連結されている。以下の説明においては、前者の場合を例にあげて説明する。そして、駆動力伝達装置1は、プロペラシャフトから伝達される駆動力を、伝達割合を可変にしながら、補助駆動輪に伝達している。この駆動力伝達装置1は、例えば、前輪と後輪との回転差が生じた場合に、回転差を低減するように作用する。
本実施形態の駆動力伝達装置1について、図1、図2A、図2Bを参照して説明する。駆動力伝達装置は、例えば、4輪駆動車において、車両の走行状態に応じて駆動力が伝達される補助駆動輪側への駆動力伝達系に適用される。より詳細には、4輪駆動車において、駆動力伝達装置1は、例えば、エンジンの駆動力が伝達されるプロペラシャフトと補助駆動輪としてのリヤディファレンシャルとの間、もしくは、リヤディファレンシャルとドライブシャフトとの間に連結されている。以下の説明においては、前者の場合を例にあげて説明する。そして、駆動力伝達装置1は、プロペラシャフトから伝達される駆動力を、伝達割合を可変にしながら、補助駆動輪に伝達している。この駆動力伝達装置1は、例えば、前輪と後輪との回転差が生じた場合に、回転差を低減するように作用する。
駆動力伝達装置1は、いわゆる電子制御カップリングからなる。この駆動力伝達装置1は、図1に示すように、外側回転部材としてのアウタケース10と、内側回転部材としてのインナシャフト20と、メインクラッチ30と、パイロットクラッチ機構を構成する電磁クラッチ装置40と、カム機構50とを備えている。
アウタケース10は、円筒形状のホールカバー(図示せず)の内周側に、当該ホールカバーに対して回転可能に支持されている。このアウタケース10は、全体として円筒形状に形成されており、車両前側に配置されるフロントハウジング11と車両後側に配置されるリヤハウジング12とにより形成されている。
フロントハウジング11は、例えばアルミニウムを主成分とする非磁性材料のアルミニウム合金により形成され、有底筒状に形成されている。フロントハウジング11の円筒部の外周面が、ホールカバーの内周面に軸受を介して回転可能に支持されている。さらに、フロントハウジング11の底部が、プロペラシャフト(図示せず)の車両後端側に連結されている。つまり、フロントハウジング11の有底筒状の開口側が車両後側を向くように配置されている。そして、フロントハウジング11の内周面のうち軸方向中央部には、雌スプライン11aが形成されており、当該内周面の開口付近には、雌ねじが形成されている。
リヤハウジング12は、円環状に形成されており、フロントハウジング11の開口側の径方向内側に、フロントハウジング11と一体的に配置されている。リヤハウジング12の車両後方側には、全周に亘って環状溝が形成されている。このリヤハウジング12の環状溝底の一部分には、非磁性材料としての例えばステンレス鋼により形成された環状部材12aを備えている。リヤハウジング12のうち環状部材12a以外の部位は、磁気回路を形成するために強磁性材料である鉄を主成分とする材料(以下、「鉄系材料」と称する)により形成されている。リヤハウジング12の外周面には、雄ねじが形成されており、当該雄ねじはフロントハウジング11の雌ねじにねじ締めされる。なお、フロントハウジング11の雌ねじをリヤハウジングの雄ねじに締め付け、フロントハウジング11の開口側端面をリヤハウジングの段部の端面に当接することにより、フロントハウジング11とリヤハウジング12とを固定する。
インナシャフト20は、外周面の軸方向中央部に雄スプライン20aを備える軸状に形成されている。このインナシャフト20は、リヤハウジング12の中央の貫通孔を液密的に貫通して、アウタケース10内に相対回転可能に同軸上に配置されている。そして、インナシャフト20は、フロントハウジング11およびリヤハウジング12に対して軸方向位置を規制された状態で、フロントハウジング11およびリヤハウジング12に軸受を介して回転可能に支持されている。さらに、インナシャフト20の車両後端側(図1の右側)は、ディファレンシャルギヤ(図示せず)に連結されている。なお、アウタケース10とインナシャフト20とにより液密的に区画される空間内には、所定の充填率で潤滑油が充填されている。
メインクラッチ30は、アウタケース10とインナシャフト20との間でトルクを伝達する。このメインクラッチ30は、鉄系材料により形成された湿式多板式の摩擦クラッチである。メインクラッチ30は、フロントハウジング11の円筒部内周面とインナシャフト20の外周面との間に配置されている。メインクラッチ30は、フロントハウジング11の底部とリヤハウジング12の車両前方端面との間に配置されている。このメインクラッチ30は、複数のインナメインクラッチ板31と複数のアウタメインクラッチ板32とにより構成され、軸方向に交互に配置されている。各インナメインクラッチ板31は、内周側に雌スプライン31aが形成されており、インナシャフト20の雄スプライン20aに嵌合されている。各アウタメインクラッチ板32は、外周側に雄スプライン32aが形成されており、フロントハウジング11の雌スプライン11aに嵌合されている。
電磁クラッチ装置40は、磁力により強磁性アーマチュア43をヨーク41側に引き寄せることでパイロットクラッチ46同士を係合させる。つまり、電磁クラッチ装置40は、アウタケース10のトルクを、カム機構50を構成する支持カム部材51に伝達する。この電磁クラッチ装置40は、ヨーク41と、電磁コイル42と、強磁性アーマチュア43と、非磁性アーマチュア44と、ウェーブワッシャ45と、パイロットクラッチ46とにより構成されている。
ヨーク41は、環状に形成されており、リヤハウジング12に対して相対回転可能となるように隙間を介してリヤハウジング12の環状溝に収容されている。ヨーク41は、ホールカバーに固定されている。また、ヨーク41の内周側が、リヤハウジング12に軸受を介して回転可能に支持されている。電磁コイル42は、巻線を巻回することにより円環状に形成され、ヨーク41に固定されている。
強磁性アーマチュア43は、例えば鉄系材料である強磁性体で形成されており、外周側に雄スプラインを備える円環状に形成されている。強磁性アーマチュア43は、メインクラッチ30とリヤハウジング12との軸方向間に配置されている。そして、強磁性アーマチュア43の外周側が、フロントハウジング11の雌スプライン11aに嵌合されている。つまり、強磁性アーマチュア43は、アウタケース10に対して相対回転不能かつ軸方向移動可能に設けられている。そして、電磁コイル42に電流が供給されると、強磁性アーマチュア43は、磁力によりヨーク41側に引き寄せられるように作用する。
非磁性アーマチュア44は、強磁性アーマチュア43と別体で形成されており、アルミニウムやステンレスなどの非磁性体で形成され、強磁性アーマチュア43と厚みを薄くする以外は同形状に形成されている。非磁性アーマチュア44は、フロントハウジング11の雌スプライン11aに嵌合されている。つまり、非磁性アーマチュア44は、強磁性アーマチュア43と同様に、アウタケース10に対して相対回転不能かつ軸方向移動可能に設けられている。非磁性アーマチュア44は、前記移動カム部材に接触可能となるように強磁性アーマチュア43とカム機構50を構成する移動カム部材52との軸方向間に介在される。
ウェーブワッシャ45は、図2Aおよび図2Bのように、円環板状に形成されており、両端面が波状に形成されている。つまり、ウェーブワッシャ45は、軸方向に圧縮された状態で、復帰する軸方向力を発生する。ウェーブワッシャ45は、強磁性アーマチュア43と非磁性アーマチュア44との軸方向間に配置され、強磁性アーマチュア43と非磁性アーマチュア44とに挟圧された場合に両者の間隔を拡大する付勢力を発生する。このウェーブワッシャ45は、アウタケース10、強磁性アーマチュア43および非磁性アーマチュア44に対して何ら係止されていないため、これらに対して相対的に移動可能である。
パイロットクラッチ46は、アウタケース10と支持カム部材51との間でトルクを伝達する。このパイロットクラッチ46は、鉄系材料により形成されている。パイロットクラッチ46は、フロントハウジング11の円筒部内周面と支持カム部材51の外周面との間に配置されている。さらに、パイロットクラッチ46は、強磁性アーマチュア43とリヤハウジング12の車両前方端面との間に配置されている。このパイロットクラッチ46は、インナパイロットクラッチ板46aとアウタパイロットクラッチ板46bとにより構成され、軸方向に交互に配置されている。インナパイロットクラッチ板46aは、内周側に雌スプラインが形成されており、支持カム部材51の雄スプラインに嵌合されている。アウタパイロットクラッチ板46bは、外周側に雄スプラインが形成されており、フロントハウジング11の雌スプライン11aに嵌合されている。
そして、電磁コイル42に電流が供給されると、図1の矢印にて示すように、ヨーク41、リヤハウジング12の外周側、パイロットクラッチ46、強磁性アーマチュア43、パイロットクラッチ46、リヤハウジング12の内周側、ヨーク41を通過する磁気回路が形成される。そうすると、強磁性アーマチュア43がヨーク41側に引き寄せられて、インナパイロットクラッチ板46aとアウタパイロットクラッチ板46bとが摩擦係合する。そして、アウタケース10のトルクを支持カム部材51に伝達する。一方、電磁コイル42への電流供給を遮断すると、強磁性アーマチュア43に対する吸引力がなくなり、インナパイロットクラッチ板46aとアウタパイロットクラッチ板46bとの摩擦係合力が解除される。
カム機構50は、メインクラッチ30とパイロットクラッチ46との間に設けられ、パイロットクラッチ46を介して伝達されるアウタケース10とインナシャフト20との回転差に基づくトルクを軸方向の押圧力に変換してメインクラッチ30を押圧する。このカム機構50は、支持カム部材51と、移動カム部材52と、カムフォロア53とから構成されている。
支持カム部材51は、外周側に雄スプラインを備えた円環状に形成されている。この支持カム部材51の車両前方端面には、カム溝が形成されている。支持カム部材51は、インナシャフト20の外周面に対して隙間を介して設けられ、リヤハウジング12の車両前方端面にスラスト軸受60を介して支持されている。つまり、支持カム部材51は、インナシャフト20およびリヤハウジング12に対して相対回転可能であり、軸方向に対して規制されて設けられている。さらに、支持カム部材51の雄スプラインは、インナパイロットクラッチ板46aの雌スプラインに嵌合している。
移動カム部材52は、大部分を鉄系材料により形成され、内周側に雌スプラインを備える円環状に形成されている。移動カム部材52は、支持カム部材51の車両前方に配置されている。移動カム部材52の車両後方端面には、支持カム部材51のカム溝に対して軸方向に対向するように、カム溝が形成されている。移動カム部材52の雌スプラインが、インナシャフト20の雄スプライン20aに嵌合している。従って、移動カム部材52は、インナシャフト20と共に回転する。
さらに、移動カム部材52の車両前方端面は、メインクラッチ30のうち最も車両後方に配置されるインナメインクラッチ板31に当接し得る状態となっている。移動カム部材52は、車両前方に移動すると、当該インナメインクラッチ板31に対して車両前方へ押し付ける。
この移動カム部材52の車両後方端面(リヤハウジング12側)のうち外周縁には、環状の突起部52aが形成されている。つまり、突起部52aは、非磁性アーマチュア44側に環状に突出して形成されている。この突起部52aは、非磁性アーマチュア44に当接することにより、非磁性アーマチュア44および強磁性アーマチュア43がヨーク41側とは反対の軸方向への移動することを規制する。
カムフォロア53は、ボール状からなり、支持カム部材51と移動カム部材52の互いに対向するカム溝に介在している。つまり、カムフォロア53およびそれぞれのカム溝の作用により、支持カム部材51と移動カム部材52に回転差が生じた際には、移動カム部材52が支持カム部材51に対して軸方向に離間する方向(車両前方)へ移動する。支持カム部材51に対する移動カム部材52の軸方向離間量は、支持カム部材51と移動カム部材52とのねじれ角度が大きいほど大きくなる。
(駆動力伝達装置の基本的な動作)
次に、上述した構成からなる駆動力伝達装置1の基本的な動作について図1を参照して説明する。アウタケース10とインナシャフト20とが回転差を生じている場合について説明する。電磁クラッチ装置40の電磁コイル42に電流が供給されると、電磁コイル42を基点としてヨーク41、リヤハウジング12、強磁性アーマチュア43を循環するループ状の磁気回路が形成される。
次に、上述した構成からなる駆動力伝達装置1の基本的な動作について図1を参照して説明する。アウタケース10とインナシャフト20とが回転差を生じている場合について説明する。電磁クラッチ装置40の電磁コイル42に電流が供給されると、電磁コイル42を基点としてヨーク41、リヤハウジング12、強磁性アーマチュア43を循環するループ状の磁気回路が形成される。
このように、磁気回路が形成されることで、強磁性アーマチュア43がヨーク41側、すなわち軸方向後方に向かって引き寄せられる。その結果、強磁性アーマチュア43は、パイロットクラッチ46を押圧して、インナパイロットクラッチ板46aとアウタパイロットクラッチ板46bとが摩擦係合する。そうすると、アウタケース10の回転トルクが、パイロットクラッチ46を介して支持カム部材51へ伝達されて、支持カム部材51が回転する。
ここで、移動カム部材52はインナシャフト20とスプライン嵌合しているため、インナシャフト20と共に回転する。従って、支持カム部材51と移動カム部材52とに回転差が生じる。そうすると、カムフォロア53およびそれぞれのカム溝の作用により、支持カム部材51に対して移動カム部材52が軸方向(車両前側)に移動する。移動カム部材52がメインクラッチ30を車両前側へ押圧することになる。
その結果、インナメインクラッチ板31とアウタメインクラッチ板32とが相互に当接して摩擦係合状態となる。そうすると、アウタケース10との回転トルクが、メインクラッチ30を介してインナシャフト20に伝達される。そうすると、アウタケース10とインナシャフト20との回転差を低減することができる。なお、電磁コイル42へ供給する電流量を制御することで、メインクラッチ30の摩擦係合力を制御できる。つまり、電磁コイル42へ供給する電流量を制御することで、アウタケース10とインナシャフト20との間で伝達されるトルクを制御できる。
(非磁性アーマチュアおよびウェーブワッシャの作用)
次に、非磁性アーマチュア44およびウェーブワッシャ45の作用について、図3および図4を参照して説明する。図3に示すように、電磁コイル42に電流を供給していない状態において、すなわち強磁性アーマチュア43はヨーク41側へ引き寄せられる磁力は発生しない。従って、パイロットクラッチ46は係合しておらず、移動カム部材52は支持カム部材51側(図3の右側)に位置している。
次に、非磁性アーマチュア44およびウェーブワッシャ45の作用について、図3および図4を参照して説明する。図3に示すように、電磁コイル42に電流を供給していない状態において、すなわち強磁性アーマチュア43はヨーク41側へ引き寄せられる磁力は発生しない。従って、パイロットクラッチ46は係合しておらず、移動カム部材52は支持カム部材51側(図3の右側)に位置している。
従って、強磁性アーマチュア43は、移動カム部材52の環状の突起部52aに最も接近した状態になっている。特に、強磁性アーマチュア43から移動カム部材52への漏れ磁束によって、強磁性アーマチュア43には、移動カム部材52側へ移動しようとする力が発生する。
しかし、移動カム部材52の突起部52aと強磁性アーマチュア43との間には、非磁性アーマチュア44が介在している。例えば、非磁性アーマチュア44は、突起部52aに接触する。従って、強磁性アーマチュア43から突起部52aへの漏れ磁束は、非常に小さい。
さらに、漏れ磁束によって、強磁性アーマチュア43が突起部52a側に移動することによって、ウェーブワッシャ45が潰れるように変形し、強磁性アーマチュア43と非磁性アーマチュア44との間隔を拡大する付勢力を発生している。つまり、当該状態においては、漏れ磁束により強磁性アーマチュア43が突起部52a側へ移動しようとする力と、ウェーブワッシャ45による付勢力とが釣り合っている。
続いて、電磁コイル42に電流を供給する。そうすると、磁気回路が形成されることで、磁力により強磁性アーマチュア43にはヨーク41側へ引き寄せる力が発生する。つまり、電磁コイル42に電流を供給した直後においては、強磁性アーマチュア43には、ウェーブワッシャ45によるヨーク41側への付勢力と、磁力によるヨーク41側への引き寄せ力と、漏れ磁束による突起部52a側への引き寄せ力とが生じる。
上記したように、ウェーブワッシャ45による付勢力と漏れ磁束による引き寄せ力とは釣り合っていたため、磁力による引き寄せ力によって、強磁性アーマチュア43をヨーク41側へ移動する力が大きくなる。従って、強磁性アーマチュア43は、ヨーク41側へ引き寄せられ、図4に示すようになる。その結果、パイロットクラッチ46は係合し、アウタケース10と支持カム部材51との間でトルク伝達される。
ところで、内部には潤滑油が存在している。従って、非磁性アーマチュア44が移動カム部材52の突起部52aに潤滑油によって吸着される場合がある。このように、吸着されていたとしても、強磁性アーマチュア43をヨーク41側へ移動する力は変化しないため、電磁コイル42に電流を供給した場合には、強磁性アーマチュア43はヨーク41側に引き寄せられる。
また、ウェーブワッシャ45を挟む2つの部材である強磁性アーマチュア43と非磁性アーマチュア44は、どちらもアウタケース10に対して相対回転不能に設けられている。つまり、強磁性アーマチュア43と非磁性アーマチュア44は、相対回転しない。このように、ウェーブワッシャ45は、相対回転しない2つの部材43,44に挟まれているため、両者43,44に対して周方向のすべりが発生しにくい状態となる。つまり、ウェーブワッシャ45は、確実に軸方向力を発生することができ、結果として、強磁性アーマチュア43を確実にヨーク41側へ引き寄せることができる。
付勢部材としてウェーブワッシャ45を適用することにより、ウェーブワッシャ45が強磁性アーマチュア43と非磁性アーマチュア44とにより挟圧されている状態において、強磁性アーマチュア43と非磁性アーマチュア44との間には隙間を形成することができる。従って、強磁性アーマチュア43とウェーブワッシャ45とが潤滑油により吸着しようとしたとしても、隙間の存在により、両者が離脱しやすくなる。その結果、ウェーブワッシャ45による付勢力が生じたときに、磁力によって強磁性アーマチュア43がヨーク41側へ確実に引き寄せることができる。
なお、上記実施形態においては、ウェーブワッシャ45を強磁性アーマチュア43と非磁性アーマチュア44との間に配置した。この他に、ウェーブワッシャ45を配置しないとしても、従来に比べて、強磁性アーマチュア43をヨーク41側へ確実に引き寄せることができる。
非磁性アーマチュア44により、強磁性アーマチュア43から移動カム部材52の突起部52aへの漏れ磁束が小さくなる。さらに、非磁性アーマチュア44を強磁性アーマチュア43に対して別体に形成することによって、強磁性アーマチュア43をヨーク41側へ引き寄せることが容易となる。これらにより、電磁コイル42に電流を供給したときに、磁力によって強磁性アーマチュア43をヨーク41側へ引き寄せることができ、その結果、パイロットクラッチ46を確実に係合させることができる。
なお、移動カム部材52の突起部52aを非磁性化する場合には、メインクラッチ30に対して大きな押付力を付与する移動カム部材52を局所的に非磁性材料とすることは容易ではない。これに対して、本実施形態のように、非磁性部材である非磁性アーマチュア44を、移動カム部材52とは別体にすることで、容易に非磁性部材を強磁性アーマチュア43と移動カム部材52との間に介在させることができる。
1:駆動力伝達装置、 10:アウタケース(外側回転部材)、 20:インナシャフト(内側回転部材)、 30:メインクラッチ、 40:電磁クラッチ装置、 41:ヨーク、 43:強磁性アーマチュア、 44:非磁性アーマチュア、 45:ウェーブワッシャ(付勢部材)、 46:パイロットクラッチ、 50:カム機構、 51:支持カム部材、 52:移動カム部材
Claims (3)
- 円筒形状の外側回転部材と、
前記外側回転部材内に相対回転可能に同軸上に配置された内側回転部材と、
前記外側回転部材と前記内側回転部材との間でトルクを伝達するメインクラッチと、
磁力によりアーマチュアをヨーク側へ引き寄せることで前記外側回転部材のトルクを伝達可能なパイロットクラッチを備える電磁クラッチ装置と、
前記メインクラッチと前記パイロットクラッチとの間に設けられ、前記パイロットクラッチを介して伝達される前記外側回転部材の回転と前記内側回転部材の回転との位相差を軸方向の押圧力に変換して、移動カム部材を軸方向移動させることにより前記メインクラッチを押圧するカム機構と、
を備える駆動力伝達装置において、
前記アーマチュアは、
強磁性体で形成され、前記外側回転部材に対して相対回転不能かつ軸方向移動可能に設けられ、磁力により前記ヨーク側に引き寄せられる強磁性アーマチュアと、
前記強磁性アーマチュアと別体でかつ非磁性体で形成され、前記移動カム部材に接触可能となるように前記強磁性アーマチュアと前記移動カム部材との軸方向間に介在され、前記外側回転部材に対して相対回転不能に設けられる非磁性アーマチュアと、
を備える、駆動力伝達装置。 - 前記駆動力伝達装置は、前記強磁性アーマチュアと前記非磁性アーマチュアとの軸方向間に配置され、前記強磁性アーマチュアと前記非磁性アーマチュアに挟圧された場合に両者の間隔を拡大する付勢力を発生する付勢部材をさらに備える、請求項1の駆動力伝達装置。
- 前記付勢部材は、ウェーブワッシャである、請求項2の駆動力伝達装置。
Priority Applications (1)
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JP2012092025A JP2013221541A (ja) | 2012-04-13 | 2012-04-13 | 駆動力伝達装置 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2018048735A (ja) * | 2016-09-16 | 2018-03-29 | デーナ、オータモウティヴ、システィムズ、グループ、エルエルシー | ボールを保持するボールアンドランプアセンブリ |
-
2012
- 2012-04-13 JP JP2012092025A patent/JP2013221541A/ja active Pending
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US10473168B2 (en) | 2016-09-16 | 2019-11-12 | Dana Automotive System Group, Llc | Ball retaining ball and ramp assembly |
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