JP2015090166A - 駆動力伝達装置 - Google Patents

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齋藤 泰成
Yasunari Saito
泰成 齋藤
峻 大野
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峻 大野
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Abstract

【課題】簡素な構成で温度に応じてクラッチプレート間の隙間を調整し、引き摺りトルクを低減することが可能な駆動力伝達装置を提供する。
【解決手段】駆動力伝達装置1は、円筒部211及び底部212を有するハウジング2と、インナシャフト3と、ハウジング2に係合した複数のメインアウタクラッチプレート41ならびにインナシャフト3に係合した複数のメインインナクラッチプレート42を有するメインクラッチ4と、メインクラッチ4を底部212に向かって押圧するカム機構5と、メインアウタクラッチプレート41に対向する対向面71a、及びテーパ状に傾斜した傾斜面71bを有する可動リング71とを備え、可動リング71は、その熱膨張率が傾斜面71bに接触する相手部材の熱膨張率と異なり、傾斜面71bが相手部材に接触したときの対向面71aの底部212に対する位置が温度によって回転軸線O方向に変位する。
【選択図】図2

Description

本発明は、車両等の駆動源の駆動力を伝達する駆動力伝達装置に関する。
従来、同一の回転軸線上で相対回転可能な外側回転部材と内側回転部材との間にクラッチを配置し、このクラッチによって外側回転部材から内側回転部材へ駆動力を伝達する駆動力伝達装置がある。クラッチは、外側回転部材にスプライン係合する複数の外側クラッチプレートと、内側回転部材にスプライン係合する複数の内側クラッチプレートとを備え、外側クラッチプレートと内側クラッチプレートとが軸方向に交互に配置されている。外側クラッチプレート及び内側クラッチプレートは、軸方向に押圧されることによって互いに摩擦係合してトルクを伝達する。また、外側回転部材と内側回転部材との間には潤滑油が封入される。
この潤滑油は、外側クラッチプレート及び内側クラッチプレートの摩耗を抑制するために用いられるが、外側クラッチプレート及び内側クラッチプレートが軸方向に押圧されていない非作動時にも、潤滑油の粘性によって引き摺りトルクが発生してしまうことがある。本出願人は、この引き摺りトルクを低減することを目的として、特許文献1及び2に記載の駆動力伝達装置を提案している。
特許文献1に記載の駆動力伝達装置は、四輪駆動車両の被二輪牽引時(主駆動輪である前輪が持ち上げられ、補助駆動輪である後輪が接地した状態で牽引されること)における引き摺りトルクによるクラッチの過熱を抑制するために、外側回転部材と内側回転部材との差動回転によって動作する油圧ポンプを備え、この油圧ポンプの吐出圧によってクラッチを押圧する押圧部材をクラッチから離間する方向に押し付けるように構成されている。
特許文献2に記載の駆動力伝達装置は、潤滑油の粘性が増す低温時における引き摺りトルクを抑制するために、潤滑油の温度が所定値以下の場合に軸方向に膨出するダイヤフラムを複数の内側クラッチプレートの側面にそれぞれ配置し、このダイヤフラムの膨出によって内側クラッチプレートと外側クラッチプレートとの間隔が広がるように構成されている。
特開2008−14387号公報 特開2008−196512号公報
近年の車両の高性能化及び低価格化の要請により、車両に搭載される駆動力伝達装置にも、性能を確保しながらコストを抑えることが求められている。特許文献1に記載の駆動力伝達装置では、油圧ポンプの設置及び油路の形成のため、部品点数ならびに組み付け工数が増大してしまい、製造コストが大きく上昇してしまう。また、特許文献2に記載の駆動力伝達装置においても、熱収縮率が異なる2種の金属を組み合わせたダイヤフラムを形成し、このダイヤフラムをそれぞれの内側クラッチプレートに組み込む工程が必要となるので、特許文献1に記載の駆動力伝達装置と同様に、製造コストが大きく上昇してしまうという問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡素な構成で温度に応じてクラッチプレート間の隙間を調整し、引き摺りトルクを低減することが可能な駆動力伝達装置を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するため、円筒部及び前記円筒部の一方の端部を閉塞するように形成された底部を有する有底円筒状の外側回転部材と、前記外側回転部材と同一の回転軸線上で相対回転可能な内側回転部材と、前記外側回転部材に対して軸方向に移動可能かつ相対回転不能に前記円筒部に係合した複数の外側クラッチプレート、及び前記内側回転部材に対して軸方向に移動可能かつ相対回転不能に係合した複数の内側クラッチプレートを有するクラッチと、前記複数の外側クラッチプレートと前記複数の内側クラッチプレートとを前記底部に向かって軸方向に押圧する押圧機構と、前記クラッチを潤滑する潤滑油と、前記外側回転部材の前記底部と前記クラッチとの間に配置され、前記複数の外側クラッチプレートのうち最も前記底部側に配置された外側クラッチプレートに対向する対向面、及び前記底部側で前記回転軸線方向に対してテーパ状に傾斜した傾斜面を有する環状部材とを備え、前記環状部材は、その熱膨張率が前記傾斜面に接触する相手部材の熱膨張率と異なり、前記傾斜面が前記相手部材に接触したときの前記対向面の前記底部に対する位置が温度によって前記回転軸線方向に変位する、駆動力伝達装置を提供する。
本発明によれば、簡素な構成で温度に応じてクラッチプレート間の隙間を調整し、引き摺りトルクを低減することが可能となる。
本発明の第1の実施の形態に係る駆動力伝達装置が搭載された四輪駆動車の構成例を示す概略構成図である。 駆動力伝達装置の構成例を示す断面図である。 隙間調整機構及びその周辺部を拡大して示す拡大断面図であり、(a)は常温時の状態を、(b)は高温時の状態を、それぞれ示す。 第2の実施の形態における駆動力伝達装置の隙間調整機構及びその周辺部を拡大して示す拡大断面図であり、(a)は常温時の状態を、(b)は高温時の状態を、それぞれ示す。 第3の実施の形態における駆動力伝達装置の隙間調整機構及びその周辺部を拡大して示す拡大断面図であり、(a)は常温時の状態を、(b)は高温時の状態を、それぞれ示す。 第4の実施の形態における駆動力伝達装置の隙間調整機構及びその周辺部を拡大して示す拡大断面図であり、(a)は常温時の状態を、(b)は高温時の状態を、それぞれ示す。 第5の実施の形態における駆動力伝達装置の隙間調整機構及びその周辺部を拡大して示す拡大断面図であり、(a)は常温時の状態を、(b)は低温時の状態を、それぞれ示す。
[第1の実施の形態]
以下、本発明の第1実施の形態について図1乃至図3を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る駆動力伝達装置が搭載された四輪駆動車の構成例を示す概略構成図である。
この四輪駆動車100は、駆動源であるエンジン102と、トランスミッション及びフロントデファレンシャルを有するトランスアクスル103と、一対の前輪104と、一対の後輪105と、リヤディファレンシャルキャリア106と、プロペラシャフト107と、駆動力伝達装置1とを備えている。
駆動力伝達装置1は、四輪駆動車100における前輪側から後輪側に至る駆動力伝達経路に配置され、かつ車体101にリヤディファレンシャルキャリア106を介して支持されている。そして、駆動力伝達装置1は、プロペラシャフト(入力軸)107とドライブピニオンシャフト(出力軸)108とをトルク伝達可能に連結し、この連結状態においてエンジン102の駆動力を一対の後輪105に伝達し得るように構成されている。
また、駆動力伝達装置1は、制御装置10から電流の供給を受け、この電流に応じた駆動力をプロペラシャフト107からドライブピニオンシャフト108に伝達する。制御装置10は、例えば一対の前輪104と一対の後輪105との回転速差や、運転者による加速操作量(アクセルペダルの踏込量)等に基づいて、駆動力伝達装置1に供給する電流を増減制御する。
上記構成により、エンジン102は、その駆動力をフロントアクスルシャフト109にトランスアクスル103を介して出力することにより、一対の前輪104を駆動する。また、エンジン102は、その駆動力をリヤアクスルシャフト111に、トランスアクスル103,プロペラシャフト107,駆動力伝達装置1,ドライブピニオンシャフト108,及びリヤディファレンシャル110を介して出力することにより、一対の後輪105を駆動する。
(駆動力伝達装置1の構成)
図2は、駆動力伝達装置1の構成例を回転軸線Oを含む断面で示す断面図である。
駆動力伝達装置1は、ハウジング2と、ハウジング2と同一の回転軸線O上で相対回転可能に支持された内側回転部材としての筒状のインナシャフト3と、複数のクラッチプレートからなるメインクラッチ4と、メインクラッチ4を押圧する押圧力を発生させる押圧機構としてのカム機構5と、カム機構5を作動させる電磁クラッチ6と、メインクラッチ4のクラッチプレート間の隙間を温度に応じて調整する隙間調整機構7とを有して構成されている。
ハウジング2は、有底円筒状のフロントハウジング21と、フロントハウジング21の開口内面に形成された雌ねじに螺合して固定されたリヤハウジング22とを有する。フロントハウジング21は、円筒状の円筒部211、及び円筒部211の一方の端部(リヤハウジング22とは反対側の端部)を閉塞するように形成された底部212を一体に有している。フロントハウジング21の底部212には、図略のクロスジョイントを介してプロペラシャフト107が連結される。フロントハウジング21は、本発明の「外側回転部材」の一態様である。
本実施の形態では、フロントハウジング21が非磁性体であるアルミニウム合金からなり、電磁クラッチ6を作動させる磁束の漏えいが抑制されている。円筒部211の内周面には、回転軸線Oに方向に延びる複数の内周スプライン突起211aが形成されている。
リヤハウジング22は、軟鋼等の磁性材料からなる第1環状部材221、第1環状部材221の内周側に溶接等により一体に結合されたオーステナイト系ステンレス等の非磁性材料からなる第2環状部材222、及び第2環状部材222の内周側に溶接等により一体に結合された軟鋼等の磁性材料からなる第3環状部材223からなる。このリヤハウジング22は、後述する電磁クラッチ6の電磁コイル60が発生する磁束の磁路Mの一部を構成する。第1環状部材221と第3環状部材223との間には、電磁コイル60を収容する環状の収容空間22aが形成されている。
インナシャフト3は、針状ころ軸受11及び玉軸受12によってハウジング2の内周側に支持されている。インナシャフト3は、フロントハウジング21の底部212側に配置される大径部31と、フロントハウジング21の開口側に配置される小径部32とを一体に有している。大径部31の外周面には、回転軸線Oに平行な方向に延びる複数の外周スプライン突起31aが形成されている。また、小径部32の内周面には、複数の内周スプライン突起32aが形成され、ドライブピニオンシャフト108(図1参照)の一端部が挿入されて相対回転不能に嵌合する。
フロントハウジング21の円筒部211とインナシャフト3の大径部31との間には、メインクラッチ4を収容する環状の収容空間2aが形成されている。この収容空間2aには、メインクラッチ4を潤滑する潤滑油Lが例えば80%の充填率で充填されている。潤滑油Lは、例えば炭化水素系合成油を主成分とする基油に、リン化合物及びアルカリ土類金属スルフォネート等の有機酸塩を加えた潤滑油組成物からなる。
収容空間2aは、リヤハウジング22の外周側に配置された第1シール部材13、及びリヤハウジング22の内周側に配置された第2シール部材14によって液密に密封されている。第1シール部材13はリヤハウジング22の外周面とフロントハウジング21の円筒部211の内周面との間を、第2シール部材14はリヤハウジング22の内周面とインナシャフト3の小径部32の外周面との間を、それぞれシールしている。本実施の形態では、第1シール部材13及び第2シール部材14がOリングからなる。
メインクラッチ4は、ハウジング2に対して軸方向に移動可能かつ相対回転不能に円筒部211に係合した複数のメインアウタクラッチプレート41、及びインナシャフト3に対して軸方向に移動可能かつ相対回転不能に大径部31に係合した複数のメインインナクラッチプレート42を有する湿式の多板クラッチからなる。複数のメインアウタクラッチプレート41及び複数のメインインナクラッチプレート42は、ハウジング2の回転軸線Oに沿って交互に配置されている。
メインアウタクラッチプレート41の外周部には、フロントハウジング21の円筒部211に形成された複数の内周スプライン突起211aにスプライン係合する複数の突起41aが設けられている。また、メインインナクラッチプレート42の内周部には、インナシャフト3の大径部31に形成された外周スプライン突起31aにスプライン係合する複数の突起42aが設けられている。また、メインインナクラッチプレート42には、潤滑油Lを流通させるための複数の油孔42bが形成されている。
メインクラッチ4は、カム機構5からの押圧力を受けてメインアウタクラッチプレート41とメインインナクラッチプレート42とが摩擦係合し、ハウジング2とインナシャフト3との間で駆動力を伝達する。
カム機構5は、パイロットカム51と、メインクラッチ4を軸方向に押圧するメインカム52と、パイロットカム51とメインカム52との間に配置された複数の球状のカムボール53とを有して構成され、メインアウタクラッチプレート41とメインインナクラッチプレート42とをフロントハウジング21の底部212に向かって軸方向に押圧する。
パイロットカム51には、その外周部に回転軸線Oに平行に延びる複数の外周スプライン突起51aが形成されている。また、パイロットカム51には、メインカム52との対向部に、軸方向の深さが周方向に沿って変化するカム溝51bが形成されている。パイロットカム51とリヤハウジング22の第3環状部材223との間には、スラスト針状ころ軸受15が配置され、パイロットカム51のリヤハウジング22側への移動が規制されている。
メインカム52には、複数のメインインナクラッチプレート42のうち、最もカム機構5側に配置されたメインインナクラッチプレート42に面接触する平板状の押圧面52aが形成されている。また、メインカム52には、パイロットカム51との対向部に、軸方向の深さが周方向に沿って変化するカム溝52bが形成されている。またさらに、メインカム52には、インナシャフト3の外周スプライン突起31aとスプライン係合するスプライン歯52cが形成されている。これにより、メインカム52は、インナシャフト3に対して相対回転不能かつ軸方向に移動可能である。
インナシャフト3における大径部31と小径部32との間の段差面3aと、メインカム52との間には、メインカム52をパイロットカム51側に付勢する皿バネ16が配置されている。
球状のカムボール53は、パイロットカム51のカム溝51bとメインカム52のカム溝52bとの間に転動可能に配置されている。そして、カム機構5は、パイロットカム51をメインカム52に対して相対回転させることにより、メインカム52にメインクラッチ4を押し付ける軸方向の押圧力を付与する。
電磁クラッチ6は、電磁コイル60と、複数のパイロットアウタクラッチプレート61及び複数のパイロットインナクラッチプレート62と、アーマチャ63とを有して構成されている。
電磁コイル60は、磁性材料からなる環状のヨーク600に保持され、リヤハウジング22の収容空間22aに収容されている。ヨーク600は、玉軸受17によってリヤハウジング22の第3環状部材223に支持され、その外周面が第1環状部材221の内周面に対向している。また、ヨーク600の内周面は、第3環状部材223の外周面に対向している。電磁コイル60には、電線601を介して制御装置10(図1に示す)から励磁電流が供給される。
複数のパイロットアウタクラッチプレート61及び複数のパイロットインナクラッチプレート62は、アーマチャ63とリヤハウジング22との間に、回転軸線Oに沿って交互に配置されている。パイロットアウタクラッチプレート61の外周部には、フロントハウジング21の円筒部211に形成された複数の内周スプライン突起211aにスプライン係合する複数の突起61aが設けられている。パイロットインナクラッチプレート62の内周部には、パイロットカム51の外周スプライン突起51aにスプライン係合する複数の突起62aが設けられている。パイロットアウタクラッチプレート61は、フロントハウジング21に対して相対回転不能かつ軸方向に移動可能である。また、パイロットインナクラッチプレート62は、パイロットカム51に対して相対回転不能かつ軸方向に移動可能である。
アーマチャ63は、鉄等の磁性材料からなる環状の部材であり、その外周部にはフロントハウジング21の複数の内周スプライン突起211aにスプライン係合する複数の突起63aが設けられている。アーマチャ63は、フロントハウジング21に対して相対回転不能かつ軸方向に移動可能である。
隙間調整機構7は、フロントハウジング21の底部212とメインクラッチ4との間に配置された固定リング70及び可動リング71によって構成されている。固定リング70は、フロントハウジング21の底部212に嵌着されている。より具体的には、固定リング70は、フロントハウジング21の底部212に形成された環状の突起212aに外嵌されて固定されている。
可動リング71は、固定リング70のメインクラッチ4側に配置され、固定リング70に対して軸方向移動可能に配置されている。この可動リング71は、本発明の「環状部材」の一態様である。
固定リング70と可動リング71とは、共に金属材料からなり、熱膨張率が互いに異なっている。本実施の形態では、可動リング71が固定リング70の熱膨張率よりも高い熱膨張率を有している。換言すれば、可動リング71の金属材料の線膨張係数は、固定リング70の金属材料の線膨張係数よりも高い。可動リング71は、アルミニウム又はアルミニウムを主成分とするアルミニウム合金からなり、固定リング70は、鉄又は鉄を主成分とする鉄系合金からなる。なお、周知のように、アルミニウムの線膨張係数は23×10−6/℃であり、鉄の線膨張係数は12×10−6/℃である。
図3は、隙間調整機構7及びその周辺部を拡大して示す拡大断面図であり、(a)は常温時(例えば25℃)の状態を、(b)は高温時(例えば190℃)の状態を、それぞれ示す。
可動リング71は、複数のメインアウタクラッチプレート41のうち、最もフロントハウジング21の底部212側に配置されたメインアウタクラッチプレート41に対向する対向面71aと、回転軸線Oに平行な方向に対してテーパ状に傾斜した傾斜面71bとを有する環状である。対向面71aは可動リング71におけるメインクラッチ4側の端部に、傾斜面71bは対向面71aよりもフロントハウジング21の底部212側の内面に、それぞれ形成されている。対向面71aは、回転軸線Oの径方向に平行な平面であり、メインクラッチ4がカム機構5からの押圧力を受けると、最も底部212側に配置されたメインアウタクラッチプレート41が可動リング71の対向面71aに当接する。
固定リング70は、フロントハウジング21の底部212に接触する接触面70aと、可動リング71の傾斜面71bに対向し、カム機構5の作動による押圧力をメインクラッチ4及び可動リング71を介して受ける受け面70bとを有する環状の部材である。この受け面70bは、カム機構5の作動時に可動リング71の傾斜面71bと接触する。つまり、固定リング70は、可動リング71の傾斜面71bに接触する相手部材である。
本実施の形態では、可動リング71の傾斜面71bが内周側を指向する内テーパ面として形成され、固定リング70の受け面70bは、外周側を指向する外テーパ面として形成されている。可動リング71の傾斜面71bと固定リング70の受け面70bとは互いに平行であり、電磁クラッチ6及びカム機構5の作動によってメインカム52がメインクラッチ4を押圧すると、隙間調整機構7がその押圧力をメインクラッチ4を介して受け、可動リング71が固定リング70に押し付けられることにより、可動リング71の傾斜面71bと固定リング70の受け面70bとが面接触する。
固定リング70の受け面70bが回転軸線Oに平行な方向となす角度(テーパ角α)、及び可動リング71の傾斜面71bが回転軸線Oに平行な方向となす角度(テーパ角β)の望ましい範囲は30〜60°である。本実施の形態では、テーパ角αとテーパ角βとが同一であり、テーパ角α及びテーパ角βが共に45°に設定されている。
(駆動力伝達装置の動作)
上記のように構成された駆動力伝達装置1は、制御装置10から電磁コイル60に励磁電流が供給されると、ヨーク600、リヤハウジング22の第1環状部材221ならびに第3環状部材223、複数のパイロットアウタクラッチプレート61、複数のパイロットインナクラッチプレート62、及びアーマチャ63を通過する磁路Mに磁束が発生する。そして、この磁束の電磁力によってアーマチャ63がリヤハウジング22側に吸引されて軸方向に移動し、複数のパイロットアウタクラッチプレート61と複数のパイロットインナクラッチプレート62とを押圧する。
これにより複数のパイロットアウタクラッチプレート61と複数のパイロットインナクラッチプレート62とが摩擦摺動し、ハウジング2の回転力がカム機構5のパイロットカム51に伝達され、パイロットカム51がメインカム52に対して相対回転する。
このパイロットカム51とメインカム52との相対回転によって、カムボール53がカム溝51b,52bを転動し、メインカム52がパイロットカム51から離間する方向の軸方向の推力が発生する。そして、この推力によってメインカム52がメインクラッチ4を押圧し、メインアウタクラッチプレート41とメインインナクラッチプレート42とが摩擦係合してハウジング2とインナシャフト3とがトルク伝達可能に連結される。これにより、図1に示すプロペラシャフト107からドライブピニオンシャフト108にエンジン102の駆動力が伝達されて一対の後輪105が駆動され、四輪駆動車100が四輪駆動状態となる。
一方、電磁コイル60への励磁電流が遮断されると、皿バネ16の付勢力によりメインカム52がパイロットカム51側に押し戻され、カムボール53がカム溝51b,52bの最も深い位置に移動する。これによりメインクラッチ4のメインアウタクラッチプレート41とメインインナクラッチプレート42の間に隙間が形成され、この隙間に潤滑油Lが流れ込んでハウジング2とインナシャフト3との連結状態が解除される。これにより、プロペラシャフト107からドライブピニオンシャフト108にエンジン102の駆動力が伝達されなくなり、四輪駆動車100が二輪駆動状態となる。
ここで、例えば被二輪牽引時等においてハウジング2とインナシャフト3の差動回転が大きくなると、メインアウタクラッチプレート41とメインインナクラッチプレート42との間における潤滑油Lの撹拌等によって潤滑油Lの温度が上昇する。この潤滑油Lの熱は固定リング70及び可動リング71にも伝わり、固定リング70及び可動リング71の温度が上昇する。前述のように、可動リング71の熱膨張率は固定リング70の熱膨張率よりも高いので、可動リング71は固定リング70よりも大きな割合で内外径が拡大する。
これにより、図3(b)に示すように、可動リング71は、その傾斜面71bが固定リング70の受け面70bに接触したときの対向面71aの底部212に対する位置が回転軸線O方向に変位する。本実施の形態では、可動リング71の傾斜面71bが内テーパ面であり、固定リング70の受け面70bが外テーパ面であるので、固定リング70及び可動リング71の温度の上昇に伴って可動リング71が固定リング70に対して膨張すると、可動リング71の対向面71aの位置がフロントハウジング21の底部212側に変位する。このため、メインカム52の押圧面52aと可動リング71の対向面71aとの間の距離が長くなり、メインアウタクラッチプレート41とメインインナクラッチプレート42との間隔が広がって、引き摺りトルクが低減される。
(第1の実施の形態の効果)
以上説明した第1の実施の形態によれば、可動リング71が固定リング70に対して膨張することによってメインアウタクラッチプレート41とメインインナクラッチプレート42との間隔が広がり、引き摺りトルクが低減される。これにより、例えば被二輪牽引時における駆動力伝達装置1の過熱が抑制され、第1シール部材13や第2シール部材14のシール性の低下等を抑制することができる。また、駆動力伝達装置1の温度が低下した際には、メインアウタクラッチプレート41とメインインナクラッチプレート42との間隔が元に戻るので、常温時等における駆動力伝達装置1の応答性(電磁コイル60に供給された電流に対するメインクラッチ4のトルク伝達量の変化の速さ)を損なうことなく、被二輪牽引時等における引き摺りトルクを低減することが可能となる。またさらに、相手部材としての固定リング70は、フロントハウジング21とは別体の環状の部材であるので、可動リング71を介して受けるメインクラッチ4の押圧力に対する変形を抑えることができると共に、可動リング71との熱膨張率を容易に異ならせることができる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について、図4を参照して説明する。
図4は、第2の実施の形態における駆動力伝達装置1の隙間調整機構7及びその周辺部を拡大して示す拡大断面図であり、(a)は常温時の状態を、(b)は高温時の状態を、それぞれ示す。図4において、第1の実施の形態について説明したものと実質的に共通する機能を有する構成要素については、第1の実施の形態で用いたものと同一の符号を付してその重複した説明を省略する。
第2の実施の形態に係る隙間調整機構7は、第1の実施の形態と同様に、フロントハウジング21の底部212に固定された固定リング70と、固定リング70よりも高い熱膨張率を有する可動リング71とを有し、可動リング71の傾斜面71bが固定リング70の受け面70bに接触したときの対向面71aの位置が温度の上昇に伴ってフロントハウジング21の底部212側に変位するように構成されているが、第2の実施の形態に係る隙間調整機構7は、温度が所定値以下である場合に可動リング71の縮径が抑制される構成を有している点で第1の実施の形態とは異なる。
具体的には、可動リング71は、傾斜面71b以外の外面が他部材に当接することにより、温度が所定値(例えば0℃)以下である場合における縮径が抑制される。本実施の形態では、可動リング71の傾斜面71bよりも対向面71a側に形成された円筒内面71cが固定リング70に当接することにより、可動リング71の縮径が抑制される。
固定リング70には、メインクラッチ4側に向かって軸方向に突出する円筒状の鍔部701が内周部に設けられ、この鍔部701の外周面701aに可動リング71の円筒内面71cが当接する。図4(a)及び(b)に示す例では、可動リング71の対向面71a側の端部に回転軸線Oに向かって突出する環状の内方突起711が設けられ、この内方突起711の先端面が円筒内面71cとして形成されている。
この構成により、温度下降時において可動リング71が縮径し、円筒内面71cが固定リング70の鍔部701の外周面701aに当接すると、可動リング71のさらなる縮径が抑制される。
本実施の形態によれば、第1の実施の形態の効果と同様の効果が得られると共に、温度が所定値以下である場合に必要以上にメインアウタクラッチプレート41とメインインナクラッチプレート42との間隔が狭くなり、引き摺りトルクが増大してしまうことを抑制することができる。
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について、図5を参照して説明する。
図5は、第3の実施の形態における駆動力伝達装置1の隙間調整機構7及びその周辺部を拡大して示す拡大断面図であり、(a)は常温時の状態を、(b)は高温時の状態を、それぞれ示す。図5において、第1の実施の形態について説明したものと実質的に共通する機能を有する構成要素については、第1の実施の形態で用いたものと同一の符号を付してその重複した説明を省略する。
第1の実施の形態では、フロントハウジング21がアルミニウム合金からなり、固定リング70が鉄又は鉄を主成分とする鉄系合金からなる場合について説明したが、本実施の形態では、フロントハウジング21が鉄又は鉄を主成分とする鉄系合金からなり、固定リング70がフロントハウジング21と一体となっている。すなわち、フロントハウジング21の底部212に、可動リング71の傾斜面71bに接触する受け面212bが形成されている。受け面212bは、可動リング71の傾斜面71bと平行であり、外周側を指向する外テーパ面である。また、受け面212bは、カム機構5の作動時に、カム機構5の押圧力をメインクラッチ4及び可動リング71を介して受ける。
このように、本実施の形態では、隙間調整機構7が可動リング71と、受け面212bが形成されたフロントハウジング21の底部212とによって構成される。つまり、本実施の形態では、フロントハウジング21が可動リング71の傾斜面71bに接触する相手部材である。
本実施の形態によれば、可動リング71の熱膨張率がフロントハウジング21の熱膨張率よりも高いので、第1の実施の形態と同様に、可動リング71の傾斜面71bがフロントハウジング21の受け面212bに接触したときの対向面71aの位置が温度の上昇に伴ってフロントハウジング21の底部212側に変位し、高温時における引き摺りトルクが低減される。また、第1の実施の形態に比較して、部品点数を削減することが可能となる。
[第4の実施の形態]
次に、本発明の第4の実施の形態について、図6を参照して説明する。
図6は、第4の実施の形態における駆動力伝達装置1の隙間調整機構7及びその周辺部を拡大して示す拡大断面図であり、(a)は常温時の状態を、(b)は高温時の状態を、それぞれ示す。図6において、第1の実施の形態について説明したものと実質的に共通する機能を有する構成要素については、第1の実施の形態で用いたものと同一の符号を付してその重複した説明を省略する。
第1の実施の形態では、可動リング71が、アルミニウム又はアルミニウムを主成分とするアルミニウム合金からなり、傾斜面71bが内周側を指向する内テーパ面である場合について説明したが、本実施の形態では、可動リング71が鉄又は鉄を主成分とする鉄系合金からなり、傾斜面71bが外周側を指向する外テーパ面である。
また、フロントハウジング21は、アルミニウム又はアルミニウムを主成分とするアルミニウム合金からなり、フロントハウジング21の底部212には、可動リング71の傾斜面71bに接触する受け面212cが形成されている。受け面212cは、可動リング71の傾斜面71bと平行であり、内周側を指向する内テーパ面である。本実施の形態に係る可動リング71は、フロントハウジング21よりも低い熱膨張率を有している。
このように、本実施の形態では、隙間調整機構7が可動リング71と、受け面212cが形成されたフロントハウジング21の底部212とによって構成される。つまり、本実施の形態では、フロントハウジング21が可動リング71の傾斜面71bに接触する相手部材である。
本実施の形態によれば、可動リング71の熱膨張率が、可動リング71の傾斜面71bに接触するフロントハウジング21の熱膨張率よりも低く、可動リング71の傾斜面71bが外テーパ面であり、フロントハウジング21の底部212に受け面212cが形成されているので、第1の実施の形態と同様に、可動リング71の傾斜面71bがフロントハウジング21の受け面212cに接触したときの対向面71aの位置が温度の上昇に伴ってフロントハウジング21の底部212側に変位し、高温時における引き摺りトルクが低減される。また、第1の実施の形態に比較して、部品点数を削減することが可能となる。
[第5の実施の形態]
次に、本発明の第5の実施の形態について、図7を参照して説明する。
図7は、第5の実施の形態における駆動力伝達装置1の隙間調整機構7及びその周辺部を拡大して示す拡大断面図であり、(a)は常温時の状態を、(b)は低温時(例えば、−25℃)の状態を、それぞれ示す。図7において、第1の実施の形態について説明したものと実質的に共通する機能を有する構成要素については、第1の実施の形態で用いたものと同一の符号を付してその重複した説明を省略する。
第1乃至第4の実施の形態は、主として被二輪牽引時等の高温時における引き摺りトルクを低減し、第1シール部材13や第2シール部材14等が熱により損傷することを抑制することを目的としていたが、本実施の形態は、低温時に潤滑油Lの粘度が増すことによる引き摺りトルクの増大を抑制することを目的とする。
そのため、第1の実施の形態に係る隙間調整機構7では、可動リング71が固定リング70よりも高い熱膨張率を有していたが、本実施の形態では、可動リング71が固定リング70よりも低い熱膨張率を有し、可動リング71の傾斜面71bが内テーパ面として、また固定リング70の受け面70bが外テーパ面として、それぞれ形成されている。可動リング71は、例えば鉄又は鉄を主成分とする鉄系合金からなり、固定リング70は、アルミニウム又はアルミニウムを主成分とするアルミニウム合金からなる。
本実施の形態において固定リング70及び可動リング71の温度が下降すると、固定リング70及び可動リング71が共に収縮するが、固定リング70の熱膨張率は可動リング71の熱膨張率よりも高いので、可動リング71に比較して固定リング70がより大幅に収縮する。これにより、図5(b)に示すように、可動リング71の傾斜面71bが固定リング70の受け面70bに接触したときの対向面71aの位置が温度の下降に伴ってフロントハウジング21の底部212側に変位し、メインカム52の押圧面52aと可動リング71の対向面71aとの間の距離が長くなる。これにより、メインアウタクラッチプレート41とメインインナクラッチプレート42との間隔が広がり、引き摺りトルクが低減される。
また、可動リング71の傾斜面71b以外の外面が他部材に当接することにより、温度が所定値以上である場合における可動リング71の拡径を抑制するようにしてもよい。例えば、温度が所定値以上である場合に、可動リング71の外周面がフロントハウジング21の内周スプライン突起211aに当接するように各部の寸法を設定すれば、高温時にメインアウタクラッチプレート41とメインインナクラッチプレート42との間隔が狭くなって引き摺りトルクが増大してしまうことを抑制できる。
またさらに、フロントハウジング21の底部212に外テーパ面又は内テーパ面を形成することにより、固定リング70を省略してもよい。この際、可動リング71の熱膨張率がフロントハウジング21の熱膨張率よりも高い場合には、可動リング71の傾斜面71bを外テーパ面として形成し、フロントハウジング21の底部212に内テーパ面を形成する。また、可動リング71の熱膨張率がフロントハウジング21の熱膨張率よりも低い場合には、可動リング71の傾斜面71bを内テーパ面として形成し、フロントハウジング21の底部212に外テーパ面を形成する。これにより、低温時における引き摺りトルクの増大を抑制することができる。
以上、本発明の駆動力伝達装置を上記実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。
1…駆動力伝達装置、2…ハウジング、2a…収容空間、3…インナシャフト(内側回転部材)、3a…段差面、4…メインクラッチ(クラッチ)、5…カム機構(押圧機構)、6…電磁クラッチ、7…隙間調整機構、10…制御装置、11…針状ころ軸受、12…玉軸受、13…第1シール部材、14…第2シール部材、15…スラスト針状ころ軸受、16…皿バネ、17…玉軸受、21…フロントハウジング(外側回転部材)、22…リヤハウジング、22a…収容空間、31…大径部、31a…外周スプライン突起、32…小径部、32a…内周スプライン突起、41…メインアウタクラッチプレート(外側クラッチプレート)、41a…突起、42…メインインナクラッチプレート(内側クラッチプレート)、42a…突起、42b…油孔、51…パイロットカム、51a…外周スプライン突起、51b…カム溝、52…メインカム、52a…押圧面、52b…カム溝、52c…スプライン歯、53…カムボール、60…電磁コイル、61…パイロットアウタクラッチプレート、61a…突起、62…パイロットインナクラッチプレート、62a…突起、63…アーマチャ、63a…突起、70…固定リング(相手部材)、70a…接触面、70b…受け面、71…可動リング(環状部材)、71a…対向面、71b…傾斜面、71c…円筒内面、100…四輪駆動車、101…車体、102…エンジン、103…トランスアクスル、104…前輪、105…後輪、106…リヤディファレンシャルキャリア、107…プロペラシャフト、108…ドライブピニオンシャフト、109…フロントアクスルシャフト、110…リヤディファレンシャル、111…リヤアクスルシャフト、102…エンジン、211…円筒部、211a…内周スプライン突起、212…底部、212a…突起、212b,212c…受け面、221…第1環状部材、222…第2環状部材、223…第3環状部材、600…ヨーク、601…電線、701…鍔部、701a…外周面、711…内方突起、L…潤滑油、M…磁路、O…回転軸線、α,β…テーパ角

Claims (9)

  1. 円筒部及び前記円筒部の一方の端部を閉塞するように形成された底部を有する有底円筒状の外側回転部材と、
    前記外側回転部材と同一の回転軸線上で相対回転可能な内側回転部材と、
    前記外側回転部材に対して軸方向に移動可能かつ相対回転不能に前記円筒部に係合した複数の外側クラッチプレート、及び前記内側回転部材に対して軸方向に移動可能かつ相対回転不能に係合した複数の内側クラッチプレートを有するクラッチと、
    前記複数の外側クラッチプレートと前記複数の内側クラッチプレートとを前記底部に向かって軸方向に押圧する押圧機構と、
    前記クラッチを潤滑する潤滑油と、
    前記外側回転部材の前記底部と前記クラッチとの間に配置され、前記複数の外側クラッチプレートのうち最も前記底部側に配置された外側クラッチプレートに対向する対向面、及び前記底部側で前記回転軸線方向に対してテーパ状に傾斜した傾斜面を有する環状部材とを備え、
    前記環状部材は、その熱膨張率が前記傾斜面に接触する相手部材の熱膨張率と異なり、前記傾斜面が前記相手部材に接触したときの前記対向面の前記底部に対する位置が温度によって前記回転軸線方向に変位する、
    駆動力伝達装置。
  2. 前記環状部材は、前記傾斜面が前記相手部材に接触したときの前記対向面の位置が温度の上昇に伴って前記底部側に変位する、
    請求項1に記載の駆動力伝達装置。
  3. 前記環状部材は、前記相手部材の熱膨張率よりも高い熱膨張率を有し、前記傾斜面が内周側を指向する内テーパ面として形成されている、
    請求項2に記載の駆動力伝達装置。
  4. 前記相手部材は、前記底部に嵌着されて前記環状部材の前記傾斜面に接触する外テーパ面を有する環状の部材である、
    請求項3に記載の駆動力伝達装置。
  5. 前記相手部材は、前記外側回転部材であり、前記底部に前記環状部材の前記傾斜面に接触する外テーパ面が形成されている、
    請求項3に記載の駆動力伝達装置。
  6. 前記環状部材は、前記傾斜面以外の外面が他部材に当接することにより、温度が所定値以下である場合における縮径が抑制される、
    請求項3乃至5の何れか1項に記載の駆動力伝達装置。
  7. 前記環状部材は、前記相手部材よりも低い熱膨張率を有し、前記傾斜面が外周側を指向する外テーパ面として形成されている、
    請求項2に記載の駆動力伝達装置。
  8. 前記相手部材は、前記外側回転部材であり、前記底部に前記環状部材の前記傾斜面に接触する内テーパ面が形成されている、
    請求項7に記載の駆動力伝達装置。
  9. 前記環状部材は、前記傾斜面が前記相手部材に接触したときの前記対向面の位置が温度の下降に伴って前記底部側に変位する、
    請求項1に記載の駆動力伝達装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018091371A (ja) * 2016-11-30 2018-06-14 株式会社ジェイテクト 駆動力伝達装置
WO2020227336A1 (en) * 2019-05-06 2020-11-12 Magna Powertrain Of America, Inc. Rear axle drive assembly with pinion clutch having thermal stability
JP2021143711A (ja) * 2020-03-12 2021-09-24 株式会社Subaru 多板クラッチ

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