JP2010116968A - 駆動力配分装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】引きずりトルクを大幅に低減し、更には高価な表面処理を施さなくても、安価な構成で、長期間にわたり安定した良好な摩擦特性と耐久性とを維持し、クラッチ伝達トルク特性のバラツキを防止する駆動力配分装置を提供する。
【解決手段】駆動力配分装置1は、カップリングケース20及びドライブピニオンシャフト6間の伝達トルクを調整するパイロットクラッチ50の両側に、カップリングケース20の端部ケース23内に収容された電磁石70とカップリングケース20の内周面に設けられたアーマチュア80とを備えている。アーマチュア80及び端部ケース23間には、磁路部品30、及びアーマチュア80の突出部81が介在されている。電磁石70、端部ケース23、磁路部品30、及びアーマチュア80間を循環する磁路Lが形成される。
【選択図】図1

Description

本発明は、電磁式摩擦クラッチを用いた駆動力配分装置に関する。
従来から、例えば電磁式摩擦クラッチを備えた四輪駆動車における各種の駆動力配分装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載された従来の駆動力配分装置は、入力回転部材と出力回転部材との間のトルク伝達を行うメインクラッチの締結を、電磁石の通電により締結するパイロットクラッチにより調整している。そのパイロットクラッチは、フロントハウジング内に設けられており、パイロットクラッチの一側には、アーマチャが配置されている。パイロットクラッチの他側には、リヤハウジングが配置されており、そのリヤハウジング内には、ヨーク内に嵌着された電磁石が配置されている。
この従来の駆動力配分装置によれば、電磁石への通電により、ヨーク、リヤハウジング、アーマチャ、パイロットクラッチ、リヤハウジング及びヨーク間を循環する磁気回路が形成される。電磁石によりアーマチャを吸引してパイロットクラッチを押付けることでパイロットクラッチが締結される。その締結によりスラスト力を発生するカム機構により、メインクラッチに対する押付け力に変換し、その押付け力をメインクラッチへ伝達することで、入力回転部材から出力回転部材へ駆動力が伝達される。
パイロットクラッチに対する押付け力は、電磁石の電磁コイルにより励起された磁束がパイロットクラッチを貫通してアーマチャを吸引することで発生する。そのため、パイロットクラッチは、磁気を通し易いという特性とクラッチプレートの摩擦特性との両方を兼ね備えた構成を必要とする。これにより、パイロットクラッチは鉄製であり、その鉄製のクラッチプレートの摺動面には、摩擦係合による摩耗を抑制する表面処理が施されている。パイロットクラッチの表面処理としては、クラッチプレートの摺動面にダイヤモンド状炭素薄膜を施している。
この種の駆動力配分装置の他の一例としては、例えばクラッチプレートの摺動面に同心円上に設けられた多数の微細な幅の溝部を形成したものがある(例えば、特許文献2参照)。この種の駆動力配分装置の更に他の一例としては、例えばクラッチプレートの摺動面に多数の格子状の溝部を形成したものがある(例えば、特許文献3参照)。
特開2003−28218号公報 特許第3009382号公報 特許第3834419号公報
ところで、オイルで潤滑されたときクラッチプレート同士が対向する2面間に介在するオイルの粘性抵抗により引きずりトルクが発生する。大きな引きずりトルクが発生する原因の一つとしては、クラッチプレートの摺動面が広いことにある。すなわち、オイル粘性による引きずりトルクは、クラッチプレート同士が対向する2面の面積に比例する。
上記特許文献1〜3に記載された従来の駆動力配分装置は、パイロットクラッチが磁気回路の一部を構成しているため、パイロットクラッチの磁気通路断面積を、磁気を通し易くする所定の広さに設定する必要があり、次の(1)〜(4)の様々な問題点があった。
(1)クラッチプレートの摺動面に加えて、クラッチプレートの摺動面としては必要としない磁気通路断面を形成しなければならず、パイロットクラッチを大きく形成せざるを得なかった。その結果、引きずりトルクを減少させるのには限界があり、引きずりトルクを小さくすることが困難になるという問題点があった。
(2)低温時の大きな引きずりトルクを前提としてデファレンシャルやドライブシャフトの強度を大きくして設計しなければならず、重量が嵩み、大型化し、製作コストが高騰するという問題点があった。また、低温時にはタイトコーナーブレーキング現象の発生を回避することができないという操縦性の悪化を招くという問題点があった。
(3)クラッチプレートが鉄同士の摩擦のため、スティック・スリップによる振動、騒音が発生し易い。その対策として、クラッチプレートの摺動面に種々の油溝を設けたり、耐摩耗性を持たせたりするために窒化処理又は焼き入れ焼き戻し処理あるいはダイヤモンド状炭素薄膜を施しているが、加工コストが高くなるという問題点があった。
(4)これらの加工処理を施したとしても、油溝の摩耗などによりパイロットクラッチの摩耗特性(μ−V特性)が使用中に悪化して、車両の振動・騒音が発生するという問題点があった。
従って、本発明は、上記従来の課題を解消すべくなされたものであり、その具体的な目的は、引きずりトルクを大幅に低減することを可能とし、更には高価な表面処理を施さなくても、安価な構成で、長期間にわたって安定した良好な摩擦特性と耐久性とを維持することを可能とし、クラッチ伝達トルク特性のバラツキを防止することを可能とした駆動力配分装置を提供することにある。
[1]本発明は、上記目的を達成するため、回転軸部とともに回転する有底筒状のカップリングケースを有する入力回転部材と、前記カップリングケースの内部に相対回転可能に支持された出力回転部材と、これらの入力回転部材及び出力回転部材間のトルク伝達を行う第1の摩擦クラッチと、前記カップリングケースの開口端部側にあって、前記第1の摩擦クラッチの伝達トルクを調整する第2の摩擦クラッチと、前記第2の摩擦クラッチの伝達トルクを前記第1の摩擦クラッチに対する押付け力に変換するカム機構と、前記第2の摩擦クラッチの一側にあって前記カップリングケースの開口端部に設けられ、前記第2の摩擦クラッチの荷重を受ける端部ケースと、前記端部ケースの内部に収容された電磁石と、前記第2の摩擦クラッチの他側にあって、前記カップリングケースの内周面に設けられたアーマチュアと、前記アーマチュア及び前記端部ケース間にあって、前記カップリングケースの内周面に設けられた磁路部品とを備えたことを特徴とする駆動力配分装置にある。
[2]上記[1]記載の発明にあって、前記第2の摩擦クラッチは、互いに摩擦係合する複数のクラッチプレートのうち、一方のクラッチプレートの摺動面に紙製のフェーシングを設けたことを特徴としている。
[3]上記[1]又は[2]記載の発明にあって、前記アーマチュア及び前記磁路部品は、所定の空隙をもって配されたことを特徴としている。
[4]上記[1]〜[3]のいずれかに記載の発明にあって、前記アーマチュアの端面には、前記第2の摩擦クラッチに形成された貫通孔を介して前記端部ケースに向けて突出する突出部が設けられ、前記突出部及び前記端部ケースは、所定の空隙をもって配されたことを特徴としている。
[5]上記[1]〜[4]のいずれかに記載の発明にあって、前記端部ケースには、前記第2の摩擦クラッチの摺動面に対応して、磁気を遮断する切欠き窓部が設けられたことを特徴としている。
[6]上記[5]記載の発明にあって、前記切欠き窓部は、前記第2の摩擦クラッチ側に向けて多段に縮径する円弧状に形成され、前記第2の摩擦クラッチ側の前記切欠き窓部は、前記第2の摩擦クラッチの摺動面よりも小さく設定されたことを特徴としている。
[7]上記[1]〜[6]のいずれかに記載の発明にあって、前記端部ケース及び前記第2の摩擦クラッチ間には、磁気を遮断する非磁性部材が介在されたことを特徴としている。
[8]上記[1]〜[7]のいずれかに記載の発明にあって、前記第2の摩擦クラッチは、互いに摩擦係合する複数のクラッチプレートのうち、一方のクラッチプレートを前記磁路部品に対して軸線方向移動可能に係合し、他方のクラッチプレートを前記カム機構に対して軸線方向移動可能に係合したことを特徴としている。
本発明は、第2の摩擦クラッチに磁気を通過させることなく磁路を形成することで、第2の摩擦クラッチの摺動面の面積を小さくすることができる。そのため、特にオイルの粘性による引きずりトルクを小さくすることができるようになり、デファレンシャルやドライブシャフトの強度を小さくすることができる。
高価な油溝加工や表面処理を施さずに安価に製作することができるとともに、長期間にわたり安定した良好な摩擦特性と耐久性とを維持することができるようになる。電磁石及びカップリングケース間の空隙長を安定化させることができるようになり、クラッチ伝達トルク特性のバラツキを抑制することが可能となる。
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて具体的に説明する。
(駆動力配分装置の構成)
図1は、本発明の代表的な実施の形態である駆動力配分装置の内部構造を概略的に示す断面図である。同図において、符号1は、四輪駆動車のプロペラシャフトとリヤデファレンシャルとの間に配置された駆動力配分装置の全体構成を概略的に示している。この実施の形態に係る典型的な駆動力配分装置1は、回転軸部21を有するカップリングケース20を入力回転部材として備えている。このカップリングケース20の回転軸部21は、エンジンからの駆動力が伝えられるプロペラシャフト側のフランジ2の円筒部内にナット3により締付固定されている。そのフランジ2には、プロペラシャフトと一体に取り付けられたフランジが連結固定されるようになっている。
このカップリングケース20は、図1に示すように、回転軸線方向(車体前後方向)に延びる一対のケースを組み合わせたリヤデフケース4,4により覆われており、リヤデフケース4の内周面及びカップリングケース20の外周面間により所要の内部空間5が形成されている。リヤデフケース4の内部には、リヤデファレンシャルを回転駆動する出力回転部材であるドライブピニオンシャフト6がカップリングケース20の回転軸部21と同一軸線上に配置されている。
(リヤデフケースの構成)
ドライブピニオンシャフト6の前端部は、図1に示すように、円筒状のハブ29の内周面にスプライン連結されており、ベアリング7及びニードルベアリング8を介してカップリングケース20に相対回転可能に支持されている。ドライブピニオンシャフト6の後端部は、図示しない一対のテーパローラベアリングを介してリヤデフケース4の内周面に回転可能に支承されており、スペーサ及びナットにより一体化されている。ドライブピニオンシャフト6の後端部先端には、図示しないリヤデファレンシャルのギヤ機構と噛合されるギヤが一体に形成されている。
リヤデフケース4の後端部には、図1に示すように、カップリングケース20の軸受部となる円筒壁部9がカップリング側に向けて延在されている。リヤデフケース4の前端部に形成された開口とプロペラシャフト側のフランジ2の外周面との間には、オイルシール10が配されている。リヤデフケース4の円筒壁部9の内周面とドライブピニオンシャフト6との間には、オイルシール11が配されている。それらのオイルシール10,11により、リヤデフケース4の内部空間3とリヤデファレンシャル側の内部空間とを区画しており、その内部空間3を密封している。プロペラシャフト側のフランジ2には、ダストカバー12が固定されており、リヤデフケース4の内部空間3にダストなどが浸入するのを防止している。
(カップリングケースの構成)
このカップリングケース20は、図1に示すように、回転軸部21よりも大径のケース本体22と、ケース本体22の後端開口部を内嵌固定する内外二重円筒状の端部ケース23とを有しており、有底筒状に形成されている。カップリングケース20は、ベアリング13,14を介してリヤデフケース4内に回転可能に支承されている。
図2(a)は、カップリングケースの端部ケースを概略的に示す平面図であり、図2(b)は、図2(a)のII−II線の矢視断面図である。これらの図において、端部ケース23は、内側円筒部24と、外側円筒部25と、内側円筒部24及び外側円筒部25を連結した円環状の連結壁部26とを有している。その内側円筒部24及び外側円筒部25間に形成された円環状の空間27には、図1に示すように、円環状の電磁石70が収容されている。電磁石70のヨーク71の外周面は、リヤデフケース4の円筒壁部9に固定されている。電磁石70のヨーク71の内周面は、ベアリング14を介して端部ケース23の内側円筒部24を回転可能に支承している。
端部ケース23の連結壁部26には、図1及び図2に示すように、パイロットクラッチ50の摺動面に対応して、磁気を遮断する6個の切欠き窓部28が周方向に所定の間隔をおいて配されている。切欠き窓部28は、大径部28a、中径部28b、及び小径部28cからなり、パイロットクラッチ50側に向けて多段に縮径する円弧状に形成されている。切欠き窓部28は、パイロットクラッチ50のアウタクラッチプレート51の摺動面よりも小さく設定されている。パイロットクラッチ50側の切欠き窓部28の切欠き面積を小さく設定することで、パイロットクラッチ50の荷重を受けることができるようになっている。一方、パイロットクラッチ50側とは反対側の切欠き窓部28の切欠き面積を大きく設定することで、磁気遮断性能を高めることができる。なお、切欠き窓部28の内部にステンレス材等からなる円環状の非磁性部材を埋設してもよく、高トルク仕様のものに効果的に適用することができる。また、切欠き窓部28の形態としては、適宜決定できるものであり、図示例に限定されるものではなく、例えば台形形状などの所望の断面形状を有する形態で使用することができる。
(クラッチ機構の構成)
この駆動力配分装置1は、図1に示すように、カップリングケース20及びドライブピニオンシャフト6間のトルク伝達を制御するクラッチ機構をカップリングケース20内に回転軸部21と同一軸線上に配している。このクラッチ機構の基本構成は、第1の摩擦クラッチであるメインクラッチ40と、メインクラッチ40の伝達トルクを調整する第2の摩擦クラッチである電磁式のパイロットクラッチ50と、パイロットクラッチ50の伝達トルクをメインクラッチ40に対する押付け力に変換するカム機構60と、クラッチ機構を断続操作する電磁石70と、電磁石70の通電により吸引されるアーマチュア80とを備えている。
(メインクラッチの構成)
メインクラッチ40は、図1に示すように、カップリングケース20の内周面にスプライン連結された複数の円環状のアウタクラッチプレート41と、ハブ29の外周面にスプライン連結された複数の円環状のインナクラッチプレート42とを有している。インナクラッチプレート42の摩擦係合面を除く部位には、カップリングケース20の回転軸線を中心とする同一円周上に所定の位相差をもって複数の円形状の油孔が形成されている。アウタクラッチプレート41及びインナクラッチプレート42のいずれか一方の摺動面には、紙製のフェーシングを取り付けることが好適である。メインクラッチ40とカップリングケース20の壁部22aとの間には、クラッチ隙間を規制する円環状のスペーサ43が配されている。メインクラッチ40は、パイロットクラッチ50の締結によりメインクラッチ40側に移動するカム機構60のプレッシャリング61を介して締結される。メインクラッチ40が締結されると、カップリングケース20及びハブ29が接続されるので、カップリングケース20からドライブピニオンシャフト6へ駆動力が伝達される。
(パイロットクラッチの構成)
図3(a)は、パイロットクラッチのアウタクラッチプレートを概略的に示す平面図であり、図3(b)は、パイロットクラッチのインナクラッチプレートを概略的に示す平面図である。これらの図において、アウタクラッチプレート51の外周面には、回転トルクに耐えられる必要最小限の8個のスプライン部51aが形成されており、磁路部品30に回転軸線方向移動可能にスプライン連結される。一方のインナクラッチプレート52の内周面には、複数個のスプライン部52aが形成されており、カム機構60のカムリング62に回転軸線方向移動可能にスプライン連結される。インナクラッチプレート52の中間部には、6個の円弧状の貫通孔52bが形成されている。これらの貫通孔52bのそれぞれには、アーマチュア80の円弧状の突出部81が挿入され、インナクラッチプレート52の径方向の位置決めがなされる。
パイロットクラッチ50は、図1に示すように、複数のアウタクラッチプレート51と複数のインナクラッチプレート52とを有する。これらのクラッチプレート51,52の摺動面は、磁路部品30及びアーマチュア80の突出部81間に形成された空間部内に配されている。その空間部内には、磁気の短絡を防止する円環状の非磁性スペーサ53がアーマチュア80の端面に対向して設けられている。パイロットクラッチ50は、アーマチュア80の押付け力により締結される。なお、パイロットクラッチ50のインナクラッチプレート52の枚数としては、1枚に設定してもよく、2枚以上の枚数に設定してもよい。また、非磁性スペーサ53は、端部ケース23の連結壁部26と対向して配してもよい。
インナクラッチプレート52の摺動面52cには、図3(b)に示すように、紙製のフェーシングが取り付けられている。アウタクラッチプレート51の摺動面に紙製のフェーシングを取り付けてもよい。従来の鉄製クラッチプレートでは、上述したように、磁気を通すために摩擦クラッチとしては必要としない広い面積を形成しなければならなかった。これに対し、この実施の形態にあっては、パイロットクラッチ50に磁気を通過させることなく、アーマチュア80が電磁石70に吸引される荷重をパイロットクラッチ50に対して付加する構成となっているので、パイロットクラッチ50に紙製フェーシングを使用することが可能となり、従来の鉄製クラッチプレートと比べてクラッチプレート摺動面の面積を小さくすることができる。これにより、オイルで潤滑されたときクラッチプレートの対向摺動面間に介在するオイルの粘性抵抗による引きずりトルクの発生を減少させている。摩耗特性がよく、シャダー性能及び耐久性に優れたクラッチが得られる。
ところで、上記従来技術においては、パイロットクラッチに非磁性体の紙フェーシングを設けると磁気を遮断してしまうため、充分な磁気吸引力が得られない。また、引きずりトルクはカム機構により増幅されることでメインクラッチを押付けるため、パイロットクラッチの引きずりトルクが増大する。駆動力配分装置の内部温度が低温になると、駆動力配分装置内のオイルの粘性抵抗が大きくなり、パイロットクラッチが非作動状態であっても、オイルの粘性抵抗による引きずりトルクが非常に大きくなる。低温時には、タイトコーナーブレーキング現象の発生を回避することはできず、車両操縦性の悪化を招くこととなる。
この実施の形態においては、図1に示すように、カップリングケース20にパイロットクラッチ50を係合させないで、パイロットクラッチ50を磁路部品30及びカム機構60間にそれぞれスプライン連結するので、パイロットクラッチ50に磁気を通過させることなく、電磁石70、端部ケース23、磁路部品30及びアーマチュア80間を循環する磁路Lを形成する磁気回路が構成される。図示例によれば、電磁石70に対して、端部ケース23及びパイロットクラッチ50を介してアーマチュア80が隣接して配されている。端部ケース23及びアーマチュア80間には、磁路部品30及びアーマチュア80の突出部81が介在されている。
(磁路部品の構成)
図4は、図1のIV−IV線の矢視要部断面図である。磁気回路の一構成部品である磁路部品30は、図1及び図4に示すように、円環状をなす磁性体からなる。磁路部品30の外周面は、端部ケース23及びアーマチュア80間のカップリングケース20の内周面に回転軸線方向移動可能にスプライン連結されている。磁路部品30の内周面は、パイロットクラッチ50におけるアウタクラッチプレート51のスプライン部51aに連結するスプライン部を有している。磁路部品30の端面は、アーマチュア80との間に所定の空隙G1をもって配されている。
(アーマチュアの構成)
図5(a)は、アーマチュアの平面図であり、図5(b)は、図5(a)のV−V線の矢視断面図である。これらの図において、電磁石70の通電により吸引されるアーマチュア80は、磁気回路の一構成部品である6個の円弧状の突出部81を有している。この突出部81は、円環状のアーマチュア本体の内径側端面から端部ケース23に向けて突出形成されており、周方向に同一の位相差をもって配されている。突出部81は、図1及び図4に示すように、パイロットクラッチ50におけるインナクラッチプレート52の貫通孔52bを貫通している。突出部81の端面は、端部ケース23の連結壁部26との間に所定の空隙G2をもって配されている。磁路部品30及び突出部81間に形成された空間部内に配された非磁性スペーサ53の厚みを適宜決定することで、アーマチュア80及び磁路部品30間の空隙G1と、アーマチュア80及び端部ケース23間の空隙G2とを所定の値に設定することができる。
(電磁石の構成)
電磁石70は、図1に示すように、コイル72を支持するヨーク71を有している。そのヨーク71は、小径円筒部71aと大径円筒部71bとを有している。小径円筒部71a及び大径円筒部71b間には、円環状の段差部が形成されている。その小径円筒部71aの外周面には、円環状のコイル72が液密にシールされ、嵌着固定されている。電磁石70は、端部ケース23の内側円筒部24及び外側円筒部25間に形成された円環状の空間27に収容されている。
電磁石70には、リヤデフケース4の外部へ引き出されたリード線が電気的に接続されている。リード線を介して電磁石70に通電すると、パイロットクラッチ50に磁気を通過させることなく、ヨーク71、端部ケース23、磁路部品30及びアーマチュア80間を循環する磁路Lが形成され、アーマチュア80が端部ケース23の連結壁部26に吸引される荷重をパイロットクラッチ50に付加する。電磁石70への通電電力を調整することで、パイロットクラッチ50への押付け力を調整することができる。
(カム機構の構成)
カム機構60は、図1に示すように、プレッシャリング61と、カムリング62と、プレッシャリング61及びカムリング62間に配されたカムボール63とを有している。カム機構60は、端部ケース23の連結壁部26の内周面にスラスト軸受64を介してハブ29の外周面に配されている。プレッシャリング61には、回転軸線を中心とする同一円周上に所定の位相差をもって油孔が貫通して形成されている。
カム機構60は、図1に示すように、メインクラッチ40の締結力を無段階に制御する。電磁石70の通電によりパイロットクラッチ50が締結されると、パイロットクラッチ50に連結されたカムリング62及びプレッシャリング61間に回転トルクが生じる。カムボール63がカムリング62及びプレッシャリング61を互いに離反する方向に押圧するスラスト力により、プレッシャリング61がメインクラッチ40側へ移動し、メインクラッチ40が締結する。
(実施の形態の効果)
上記のように構成された駆動力配分装置1によると、次の様々な効果が得られる。
(1)パイロットクラッチ50に磁気を通過させることなく、ヨーク71、端部ケース23、磁路部品30及びアーマチュア80間を循環する磁路Lが形成され、アーマチュア80と電磁石70とが互いに吸引し合う吸引力により回転軸線方向に作用する荷重をパイロットクラッチ50に対して付与する構成としたため、パイロットクラッチ50に紙製のフェーシングを使用することができるようになり、クラッチプレート51,52の摺動面の面積を小さくすることが可能となる。それにより、オイルの粘性による引きずりトルクを大幅に低減することが可能となる。
(2)アーマチュア80及び磁路部品30間の空隙G1と、アーマチュア80及び端部ケース23間の空隙G2長が安定化し、クラッチ伝達トルク特性のバラツキを少なくすることができる。
(3)オイルの粘性による低温時の引きずりトルクを大幅に小さくすることができるようになり、デファレンシャルやドライブシャフトの強度増大を避けることで小型軽量化を達成することができるとともに、安価に製作することができる。
(4)鉄製のパイロットクラッチに油溝加工が不要となり、高価な表面処理を必要としないため、加工コストを低減することができるとともに、長期間にわたって安定した良好な摩擦特性と耐久性とを維持することができる。
(5)パイロットクラッチ機構をコンパクトに構成することができるようになり、装置全体の軽量小型化と車載性とを向上させることが可能となる。
(6)小さな電流で大きなトルクを制御することができるので、コントローラのコストも安価となる。
以上の説明からも明らかなように、本発明の駆動力配分装置は、前後輪間の駆動力配分に適用することで、前輪のみ、あるいは後輪のみを駆動する2WDモード、車両状態に応じて前後輪間の駆動力を自動制御するオートモード、最大駆動力に保持するロックモードを備えた構成とすることができることは勿論であり、本発明の初期の目的を十分に達成することができる。本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲内で様々に設計変更が可能である。
本発明は、例えば農業機械、建設土木機械、運搬機械等の作業用車両、バギー車及び自動車などの各種の車両における駆動力配分装置に効果的に使用することができる。
本発明の代表的な実施の形態である駆動力配分装置の内部構造を概略的に示す断面図である。 (a)は、カップリングケースの端部ケースを概略的に示す平面図であり、(b)は、(a)のII−II線矢視断面図である。 (a)は、パイロットクラッチのアウタクラッチプレートを概略的に示す平面図であり、(b)は、パイロットクラッチのインナクラッチプレートを概略的に示す平面図である。 図1のIV−IV線の矢視要部断面図である。 (a)は、アーマチュアの平面図であり、(b)は、(a)のV−V線矢視断面図である。
符号の説明
1 駆動力配分装置
2 フランジ
3 ナット
4 リヤデフケース
5 内部空間
6 ドライブピニオンシャフト
7,13,14 ベアリング
8 ニードルベアリング
9 円筒壁部
10,11 オイルシール
12 ダストカバー
20 カップリングケース
21 回転軸部
22 ケース本体
22a 壁部
23 端部ケース
24 内側円筒部
25 外側円筒部
26 連結壁部
27 空間
28 切欠き窓部
28a 大径部
28b 中径部
28c 小径部
30 磁路部品
40 メインクラッチ
41,51 アウタクラッチプレート
42,52 インナクラッチプレート
43 スペーサ
50 パイロットクラッチ
51a,52a スプライン部
52b 貫通孔
52c 摺動面
53 非磁性スペーサ
60 カム機構
61 プレッシャリング
62 カムリング
63 カムボール
64 スラスト軸受
70 電磁石
71 ヨーク
71a 小径円筒部
71b 大径円筒部
72 コイル
80 アーマチュア
81 突出部
G1,G2 空隙
L 磁路

Claims (8)

  1. 回転軸部とともに回転する有底筒状のカップリングケースを有する入力回転部材と、
    前記カップリングケースの内部に相対回転可能に支持された出力回転部材と、
    これらの入力回転部材及び出力回転部材間のトルク伝達を行う第1の摩擦クラッチと、
    前記カップリングケースの開口端部側にあって、前記第1の摩擦クラッチの伝達トルクを調整する第2の摩擦クラッチと、
    前記第2の摩擦クラッチの伝達トルクを前記第1の摩擦クラッチに対する押付け力に変換するカム機構と、
    前記第2の摩擦クラッチの一側にあって前記カップリングケースの開口端部に設けられ、前記第2の摩擦クラッチの荷重を受ける端部ケースと、
    前記端部ケースの内部に収容された電磁石と、
    前記第2の摩擦クラッチの他側にあって、前記カップリングケースの内周面に設けられたアーマチュアと、
    前記アーマチュア及び前記端部ケース間にあって、前記カップリングケースの内周面に設けられた磁路部品と、
    を備えたことを特徴とする駆動力配分装置。
  2. 前記第2の摩擦クラッチは、互いに摩擦係合する複数のクラッチプレートのうち、一方のクラッチプレートの摺動面に紙製のフェーシングを設けたことを特徴とする請求項1記載の駆動力配分装置。
  3. 前記アーマチュア及び前記磁路部品は、所定の空隙をもって配されたことを特徴とする請求項1又は2記載の駆動力配分装置。
  4. 前記アーマチュアの端面には、前記第2の摩擦クラッチに形成された貫通孔を介して前記端部ケースに向けて突出する突出部が設けられ、
    前記突出部及び前記端部ケースは、所定の空隙をもって配されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の駆動力配分装置。
  5. 前記端部ケースには、前記第2の摩擦クラッチの摺動面に対応して、磁気を遮断する切欠き窓部が設けられたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の駆動力配分装置。
  6. 前記切欠き窓部は、前記第2の摩擦クラッチ側に向けて多段に縮径する円弧状に形成され、
    前記第2の摩擦クラッチ側の前記切欠き窓部は、前記第2の摩擦クラッチの摺動面よりも小さく設定されたことを特徴とする請求項5記載の駆動力配分装置。
  7. 前記端部ケース及び前記第2の摩擦クラッチ間には、磁気を遮断する非磁性部材が介在されたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の駆動力配分装置。
  8. 前記第2の摩擦クラッチは、互いに摩擦係合する複数のクラッチプレートのうち、一方のクラッチプレートを前記磁路部品に対して軸線方向移動可能に係合し、他方のクラッチプレートを前記カム機構に対して軸線方向移動可能に係合したことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の駆動力配分装置。
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