JP2006138485A - 駆動力伝達装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】駆動力伝達装置における電磁式摩擦クラッチのトルク伝達特性の向上と耐久性の向上を図る。
【解決手段】インナクラッチプレート14aとして、鉄製の基材の表面に窒素化合物層を形成し、同窒素化合物層の表面側に酸化被膜を有する複層構造のクラッチプレートを採用して、その耐腐食性、耐摩耗性、および耐疲労性の相乗的作用により、クラッチプレート14a、14bの摩擦係合面の鏡面化を抑制して、トルク伝達特性の低下を防止する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、パイロットクラッチ機構の摩擦係合力を調整して前記外側回転部材と内側回転部材間で伝達される駆動力分配比を制御する駆動力伝達装置に関する。
摩擦クラッチの一形式として、特開平7−71563号公報に示されているように、インナクラッチプレートとアウタクラッチプレートを備え、磁力の作用にて前記両クラッチプレートを摩擦係合させるように構成された電磁式摩擦クラッチがある。当該電磁式摩擦クラッチは、内外回転部材間のトルク伝達を行うメインクラッチを作動させるパイロットクラッチ機構に構成されて、駆動力伝達装置に組み込まれている。また、各クラッチプレートにおいては、その摩擦係合面が所定の面粗度の凹凸形状に形成されていて、その凸部が摩擦係合することによりパイロットクラッチ機構が作動するようになっている。この場合、摩擦係合面の凹部には、電磁摩擦クラッチを潤滑および冷却するためのオイルが保持される。
特開平7−71563号公報
ところで、摩擦クラッチにおいては、長期間の使用により、各クラッチプレートの摩擦係合面の凹凸形状が消失して摩擦係合面が鏡面化する。摩擦係合面に凹凸形状が残っている場合にはその凹部内にオイルが保持されるが、摩擦係合面が鏡面化すると摩擦係合面間にオイルの油膜が形成されやすくなり、両クラッチプレート間の相対回転が小さい場合には、両クラッチプレート間に存在するオイルの油膜力が摩擦係合力より大きくて、両クラッチプレートの相対回転に対する伝達トルクが漸次低下する現象が認められる。
図3に示すグラフaおよびcは、当該電磁摩擦クラッチを構成機構とする駆動力伝達装置の新品、および長期間使用後を見立てた耐久試験の前後における両クラッチプレート間の相対回転数と伝達トルクの関係を示している。同図におけるグラフにおいて、グラフcは両クラッチプレートが新品(耐久試験前)で所定の面粗度に形成されている場合、グラフaは両クラッチプレートが長期間使用されてその表面が摩耗して鏡面化した場合(耐久試験後)の場合である。グラフaにみられるように、摩擦クラッチの長期間の使用により、両クラッチプレートの表面が摩耗して鏡面化すると、両クラッチプレート間の相対回転が小さい場合には、伝達トルクが大きく減少することが認められる。
また、両クラッチプレート間には、摩擦係合面の凹凸形状に起因するギャップが存在する。このギャップは、摩擦クラッチが磁力の作用にて摩擦係合する電磁式摩擦クラッチにおいては、作用する磁力を減少させて摩擦クラッチの摩擦係合力を低下させるが、このギャップは摩擦クラッチ毎の平坦度(面粗度)のバラツキにより一定せず、このことは電磁式摩擦クラッチにおける製品毎のトルク伝達特性のバラツキとなる。
従って、本発明の目的は、これらの問題に対処して、駆動力伝達装置における電磁式摩擦クラッチのトルク伝達特性を向上させることにある。
上記の目的を達成するため、本発明は、互いに相対回転可能に同軸上に支持した外側回転部材と内側回転部材の間に位置して摩擦係合により同両回転部材間のトルク伝達を行うメインクラッチ機構と、電磁力の作用により摩擦係合するインナクラッチプレートとアウタクラッチプレートを備えた電磁式パイロットクラッチ機構と、同パイロットクラッチ機構の摩擦係合力を前記メインクラッチ機構に伝達して同メインクラッチ機構を摩擦係合させるカム機構を備え、前記パイロットクラッチ機構の摩擦係合力を調整して前記外側回転部材と内側回転部材に伝達される駆動力分配比を制御する駆動力伝達装置において、前記パイロットクラッチ機構を構成する両クラッチプレートがその摩擦係合面にそれぞれ所定の粗面度の凹凸を形成した鉄製の摩擦プレートであって、これら摩擦プレートのいずれか一方または両方の摩擦係合面に窒素化合物層が20−40μmの厚みに形成され同窒素化合物層の表面に酸化被膜が形成されていることを特徴とする駆動力伝達装置を提供するものである。
本発明に係る駆動力伝達装置においては、パイロットクラッチ機構に採用する複層構造のクラッチプレートは、表面側から酸化被膜と窒素化合物層を有するもので、耐腐食性、耐摩耗性、および耐疲労性が相乗的に発揮されて、摩擦係合面での鏡面化が防止される。このため、摩擦係合面の鏡面化に起因する両クラッチプレート間での伝達トルクの低下が抑制されて、駆動力伝達装置におけるトルク伝達特性を向上させることができる。
この場合、インナクラッチプレートとアウタクラッチプレート間では、硬度差がある方が伝達トルクが大きくなるため、硬度が大きい複層構造のクラッチプレートはインナクラッチプレートおよびアウタクラッチプレートのいづれかに一方に採用することが有利である。
また、複層構造のクラッチプレートは、その構造上から透磁率が低下して磁力の強度を若干低下させるが、磁力の低下はクラッチプレートの平坦度のバラツキの影響を減少させるべく機能し、新品時における駆動力伝達装置の製品毎のトルク伝達特性のバラツキを小さくする。
さらに、本発明は上記した複層構造のクラッチプレートとしたことにより、従来のものに比較して、駆動力伝達装置の長期間の使用後におけるトルク伝達特性を向上させ、長期間使用後においても新品時におけるトルク伝達特性を維持することができる。
以下、本発明を図面に基づいて説明すると、図1には、本発明に係る駆動力伝達装置が示されている。駆動力伝達装置10は、図2に示すように、四輪駆動車における後輪側への駆動力伝達経路に搭載される。
当該四輪駆動車において、トランスアクスル21は、トランスミッション、トランスファ、およびフロントディファレンシャルを一体に備えているもので、エンジン22の駆動力をトランスアクスル21を介して、両アクスルシャフト23aに出力して左右の前輪23bを駆動させるとともに、プロペラシャフト24側に出力する。プロペラシャフト24は、駆動力伝達装置10を介してリヤディファレンシャル25に連結しており、プロペラシャフト24とリヤディファレンシャル25がトルク伝達可能に連結された場合には、駆動力はリヤディファレンシャル25に伝達され、同ディファレンシャル25から両アクスルシャフト26aへ出力されて左右の後輪26bを駆動させる。
駆動力伝達装置10は、リヤディファレンシャル25とともにディファレンシャルキャリヤ27内に収容されて同キャリヤ27に支持されていて、同キャリヤ27を介して車体に支持されるもので、図1に示すように、外側回転部材であるアウタケース10a、内側回転部材であるインナシャフト10b、メインクラッチ機構10c、パイロットクラッチ機構10d、およびカム機構10eを備えている。本発明に係る電磁式摩擦クラッチは、パイロットクラッチ機構10dとして構成されている。
アウタケース10aは、有底筒状のフロントハウジング11aと、フロントハウジング11aの後端開口部に螺着されて同開口部を覆蓋するリヤハウジング11bとからなり、フロントハウジング11aは非磁性材料であるアルミ合金にて形成されており、またリヤハウジング11bは磁性材料である鉄にて形成されている。リヤハウジング11bの径方向の中間部には、非磁性材料であるステンレス製の筒体11b1が埋設されていて、筒体11b1は環状の非磁性部位を形成している。
リヤハウジング11bの後端外周部に形成されているネジ部には、ナット部材11cが進退可能に螺着されている。ナット部材11cは、フロントハウジング11aを後端側から締付けていて、フロントハウジング11aのネジ部をリヤハウジング11bのネジ部に押圧して、これら両ネジ部間のガタを解消している。
アウタケース10aは、フロントハウジング11aの前端部外周にてディファレンシャルキャリヤ27に回転可能に支持され、かつ、リヤハウジング11bの後端部外周にてディファレンシャルキャリヤ27に回転可能に支持されている。フロントハウジング11aの前端部には、プロペラシャフト24の後端部がトルク伝達可能に連結される。
インナシャフト10bは、リヤハウジング11bの中央部を液密的に貫通してフロントハウジング11a内に挿入されていて、軸方向の移動を規制された状態でフロントハウジング11aとリヤハウジング11bに回転可能に支持されている。インナシャフト10bには、ドライブピニオンシャフト28の先端部が挿入されてトルク伝達可能に連結される。
メインクラッチ機構10cは、湿式多板式の摩擦クラッチであって、多数のクラッチプレート(インナクラッチプレート12a、アウタクラッチプレート12b)を備えており、フロントハウジング11aの奥壁側に配設されている。摩擦クラッチを構成する各インナクラッチプレート12aは、インナシャフト10bの外周にスプライン嵌合して軸方向へ移動可能に組付けられ、かつ、各アウタクラッチプレート12bは、フロントハウジング11aの内周にスプライン嵌合して軸方向へ移動可能に組付けられている。各インナクラッチプレート12aと各アウタクラッチプレート12bとは交互に位置して、互いに当接して摩擦係合するとともに、互いに離間して自由状態になる。
パイロットクラッチ機構10dは、本発明の一例に係る電磁式摩擦クラッチであり、電磁石13、摩擦クラッチ14、およびアーマチャ15を備えている。電磁石13は環状を呈しているもので、ヨーク16に嵌着された状態でリヤハウジング11bの環状凹所に嵌合されている。ヨーク16は、ディファレンシャルキャリヤ27に支持されていて、リヤハウジング11bの後端部の外周に回転可能に支持されている。
摩擦クラッチ14は、複数のクラッチプレート(インナクラッチプレート14a,アウタクラッチプレート14b)からなる湿式多板式の摩擦クラッチであり、各インナクラッチプレート14aは、後述するカム機構10eを構成する第1カム部材17の外周にスプライン嵌合して軸方向へ移動可能に組付けられ、かつ、各アウタクラッチプレート14bは、フロントハウジング11aの内周にスプライン嵌合して軸方向へ移動可能に組付けられている。各インナクラッチプレート14aと各アウタクラッチプレート14bとは交互に位置して、互いに当接して摩擦係合するとともに、互いに離間して自由状態になる。
なお、両クラッチプレート14a,14bの摩擦係合面は所定の面粗度の凹凸形状に形成されていて、その凸部が摩擦係合することによりパイロットクラッチ機構10dを作動するようになっている。この場合、摩擦係合面の凹部内には、パイロットクラッチ機構10dを潤滑および冷却するためのオイルが保持される。
アーマチャ15は環状を呈するもので、フロントハウジング11aの内周にスプライン嵌合して軸方向へ移動可能に組付けられていて、摩擦クラッチ14の一側に位置して対向している。
パイロットクラッチ機構10dの以上の構成においては、電磁石13の電磁コイルへの通電により、ヨーク16、リヤハウジング11b、摩擦クラッチ14、アーマチャ15、摩擦クラッチ14、リヤハウジング11b、およびヨーク16間に磁路が形成される。なお、電磁石13の電磁コイルへの通電の断続はスイッチの切り替えによりなされ、後述する3つの駆動モードを選択できるようになっている。スイッチは、車室内の運転席の近傍に配設されていて、運転者が容易に操作し得るようになっている。 なお、このスイッチは、後述する第2の駆動モードのみの構成とすればなくてもよい。
カム機構10eは、第1カム部材17、第2カム部材18、およびカムフォロアー19にて構成されている。第1カム部材17および第2カム部材18には、対向面に互いに対向するカム溝が周方向に所定間隔を保持して複数形成されている。第1カム部材17は、インナシャフト10bの外周に回転可能に嵌合されて、リヤハウジング11bに回転可能に支承されており、その外周に摩擦クラッチ14の各インナクラッチプレート14aがスプライン嵌合している。
第2カム部材18は、インナシャフト10bの外周にスプライン嵌合されて一体回転可能に組付けられて、メインクラッチ機構10cのインナクラッチプレート12aに対向して位置している。この第2カム部材18と第1カム部材17の互いに対向するカム溝には、ボール状のカムフォロアー19が介在している。
なお、電磁石13の電磁コイルへ通電するためのリード線13aにおいては、電磁コイル側の先端部が合成樹脂製の支持部材16a内に埋設されていて、支持部材16aはヨーク16に嵌着されている。これにより、リード線13aと回転部材であるアウタケース10aとの接触を阻止して、これらの接触による断線の発生を防止している。
かかる構成の駆動力伝達装置10においては、パイロットクラッチ機構10dを構成する電磁石13の電磁コイルへの通電がなされていない場合には磁路は形成されず、摩擦クラッチ14は非係合状態にある。このため、パイロットクラッチ機構10dは非作動の状態にあって、カム機構10eを構成する第1カム部材17は、カムフォロアー19を介して第2カム部材18と一体回転可能であり、メインクラッチ機構10cは非作動の状態にある。このため、車両は二輪駆動の第1の駆動モードを構成する。
一方、電磁石13の電磁コイルへ通電されると、パイロットクラッチ機構10dには磁路が形成されて、電磁石13はアーマチャ15を吸引する。このため、アーマチャ15は摩擦クラッチ14を押圧して摩擦係合させ、カム機構10eの第1カム部材17をフロントハウジング11a側へ連結させて、第2カム部材18との間に相対回転を生じさせる。この結果、カム機構10eでは、カムフォロアー19が両カム部材17,18を互いに離間する方向へ押圧する。
この結果、第2カム部材18はメインクラッチ機構10c側へ押圧されて、メインクラッチ機構10cを摩擦クラッチ14の摩擦係合力に応じて摩擦係合させ、アウタケース10aとインナシャフト10b間のトルク伝達を行う。このため、車両はプロペラシャフト24とドライブピニオンシャフト28が非結合状態で連続的に可変の四輪駆動の第2の駆動モードを構成する。この駆動モードでは、走行状態に応じて、前後輪間の駆動力分配比を100:0(二輪駆動状態)〜50:50(直結四輪駆動状態)に制御することができる。
また、電磁石13の電磁コイルへの印加電流を所定の値に高めると、電磁石13のアーマチャ15に対する吸引力が増大し、アーマチャ15は強く吸引されて摩擦クラッチ14の摩擦係合力を増大させ、両カム部材17,18間の相対回転を増大させる。この結果、カムフォロアー19は、第2カム部材18に対する押圧力を高めてメインクラッチ機構10cを結合状態とする。このため、車両はプロペラシャフト24とドライブピニオンシャフト28が直結した四輪駆動の第3の駆動モードを構成する。
しかして、駆動力伝達装置10においては、パイロットクラッチ機構10dの摩擦クラッチ14は鉄製の基材を基本構成とする複層構造に形成され、また、アウタクラッチプレート14bは鉄製の基材からなる単層構造に形成されているもので、これら両クラッチプレート14a,14bの摩擦係合面は所定の面粗度に形成されている。
複層構造であるインナクラッチプレート14aは、鉄製の基材の表面側に窒素拡散層を、窒素拡散層の表面側に窒素化合物層を、窒素化合物層の表面側に酸化被膜を有する複層構造体である。このような複合構造体は、ガス窒化−酸化−急冷処理することにより形成される。
ガス窒化−酸化−急冷処理は、近年複合表面処理法として開発されたもので、この複合処理法はナイトロテック法(英国ルーカル社の登録商標)として知られている。
インナクラッチプレート14aは、アウタクラッチプレート14bと同一の基材をナイトロテック処理したもので、例えば、先ず鉄製の基材を窒素雰囲気中、500〜600℃で1〜2時間加熱するガス軟窒化処理し、次いで、酸素雰囲気中、高温で短時間酸化処理し、最後に、水−油のエマルジョン液中で急冷することにより形成される。このナイトロテック処理においては、ガス軟窒化処理により窒素化合物層と窒素拡散層がそれぞれ20〜40μm程度の厚さに形成され、酸化処理により酸化被膜が0.5〜1.5μm程度の厚みに形成され、急冷により強硬度となる。
このように構成したパイロットクラッチ機構10dを構成する摩擦クラッチ14においては、採用する複層構造のクラッチプレート14aは、表面側から酸化被膜、窒素化合物層、および窒素拡散層を有する複層構造のもので、耐腐食性、耐摩耗性、および耐疲労性が相乗的に発揮されて、摩擦係合面での鏡面化が防止される。
図3に示すグラフbは、新品時における両クラッチプレート14a,14bの摩擦係合面の面粗度を従来のものと同等にした場合における、長期間の使用後を見立てた耐久試験後の両クラッチプレート14a,14b間の相対回転数と伝達トルクの関係を示している。この場合には、同図のグラフbに示すように、摩擦係合面の鏡面化により両摩擦係合面間に形成されるオイルの油膜力に起因する両クラッチプレート14a,14b間での伝達トルクの低下が抑制されて、同図のグラフaに示す従来のものに比較して、駆動力伝達装置10の長期間の使用後におけるトルク伝達特性を向上させ、長期間使用後においても新品時におけるトルク伝達特性を維持することができる。
この場合、インナクラッチプレート14aとアウタクラッチプレート14b間では硬度差があるため、伝達トルクが大きくなって有利である。
また、複層構造のインナクラッチプレート14aは、その構造上から透磁率が低下して磁力の強度を若干低下させるが、磁力の低下はクラッチプレートの平坦度(面粗度)のバラツキの影響を減少すべく作用し、電磁式摩擦クラッチにおける製品毎のトルク伝達特性のバラツキを小さくする。
図4は、インナクラッチプレート14aとして、複層構造と単層構造のクラッチプレートをそれぞれ採用した場合の、各パイロットクラッチ機構10dに生じる磁束密度と磁界強度との関係を示すグラフであり、また、図5は、これらの各パイロットクラッチ機構10dにおけるクラッチプレートの平坦度(面粗度)とアーマチャ15の吸引力の関係を示すグラフである。
図4および図5のグラフにおいて、グラフaは複層構造のインナクラッチプレート14aを採用した場合の結果であり、グラフbは単層構造のインナクラッチプレート14aを採用した場合の結果である。これらの結果から明らかなように、複層構造のインナクラッチプレート14aを採用した場合は、単層構造のインナクラッチプレート14aを採用した場合に比較して、磁界強度が小さくてアーマチャ15に対する吸引力が弱く、また、クラッチプレートの摩擦係合面における平坦度(面粗度)の変化に対する吸引力の変化は小さい。このことは、パイロットクラッチ機構10dにおける製品毎のトルク伝達特性のバラツキが小さくなることを意味する。
本発明の一例に係る電磁式摩擦クラッチであるパイロットクラッチ機構を組み込んだ駆動力伝達装置の断面図である。 同駆動力伝達装置を搭載した四輪駆動車の概略構成図である。 クラッチプレートにおける摩擦係合面の各種面粗度の従来のパイロットクラッチ機構における相対回転数と伝達トルクの関係を示すグラフである。 複層構造と単層構造のクラッチプレートをそれぞれ採用した場合の各パイロットクラッチ機構に生じる磁束密度と磁界強度との関係を示すグラフである。 これらのパイロットクラッチ機構におけるクラッチプレートの平坦度とアーマチャの吸引力の関係を示すグラフである。
符号の説明
10…駆動力伝達装置、10a…アウタケース、10b…インナシャフト、10c…メインクラッチ機構、10d…パイロットクラッチ機構、10e…カム機構、11a…フロントハウジング、11b…リヤハウジング、11b1…筒体、11c…ナット部材、12a…インナクラッチプレート、12b…アウタクラッチプレート、13…電磁石、13a…リード線、14…摩擦クラッチ、14a…インナクラッチプレート、14b…アウタクラッチプレート、15…アーマチャ、16…ヨーク、16a…支持部材、17…第1カム部材、18…第2カム部材、19…カムフォロアー、21…トランスアクスル、22…エンジン、23a…アクスルシャフト、23b…前輪、24…プロペラシャフト、25…リヤディファレンシャル、26a…アクスルシャフト、26b…後輪、27…ディファレンシャルキャリヤ、28…ドライブピニオンシャフト。

Claims (2)

  1. 互いに相対回転可能に同軸上に支持した外側回転部材と内側回転部材の間に位置して摩擦係合により同両回転部材間のトルク伝達を行うメインクラッチ機構と、電磁力の作用により摩擦係合するインナクラッチプレートとアウタクラッチプレートを備えた電磁式パイロットクラッチ機構と、同パイロットクラッチ機構の摩擦係合力を前記メインクラッチ機構に伝達して同メインクラッチ機構を摩擦係合させるカム機構を備え、前記パイロットクラッチ機構の摩擦係合力を調整して前記外側回転部材と内側回転部材に伝達される駆動力分配比を制御する駆動力伝達装置において、
    前記パイロットクラッチ機構を構成する両クラッチプレートがその摩擦係合面にそれぞれ所定の粗面度の凹凸を形成した鉄製の摩擦プレートであって、これら摩擦プレートのいずれか一方または両方の摩擦係合面に窒素化合物層が20−40μmの厚みに形成され同窒素化合物層の表面に酸化被膜が形成されていることを特徴とする駆動力伝達装置。
  2. 前記窒素化合物層と酸化被膜が、所定の粗面度の凹凸をその表面に形成した鉄製」プレートをガス窒化−酸化−急冷処理することにより形成されていることを特徴とする請求項1に記載した駆動力伝達装置。

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