JP2006138383A - 断続装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 電磁石、パイロットクラッチ、カム機構、プレッシャリング、メインクラッチを用いた従来の断続装置において、装置の小型化を可能にする。
【解決手段】 デファレンシャル装置100のデフケース101(回転部材の他方)と、デフケース101に収容された差動機構104のサイドギヤ108(回転部材の一方)との間の伝達トルクを断続する断続装置1において、電磁石2と、アーマチャ3と、パイロットクラッチ4と、カム機構5と、プレッシャリング6と、メインクラッチ7との各部材間又は各部材と支持関係にある近接部材とを軸方向にオーバーラップさせて配置した。
【選択図】 図1

Description

本発明は、少なくとも一対の回転部材間の伝達トルクを断続する断続装置に関する。
特許文献1には、連結軸400(第1の回転伝達部材)とハブ407(第2の回転伝達部材)との間の伝達トルクを断続する電磁石506を用いた連結装置500が記載されている。
図8に示すように、連結軸400は、後輪側の差動装置を収容するキャリア401を貫通し、ベアリング402によってキャリア401に支承されると共にスプライン部403によりエンジンの駆動力を伝達するプロペラシャフト側に連結されている。こうして、連結軸400は、エンジンからの駆動力により回転駆動される。また、連結軸400の右端にドラム404が一体に設けられており、このドラム404の内側に支承部405及びベアリング406を介して、ハブ407が連結軸400と相対回転自在に配置されている。
ハブ407には、後輪側にエンジンの駆動力を伝達するドライブピニオンシャフト408がスプライン連結されている。ドライブピニオンシャフト408は、ベアリング409、409によりキャリア401に支承されている。ドライブピニオンシャフト408の右端には、ドライブピニオンギヤ410が形成され、後輪側の差動装置のリングギヤと噛み合っている。
連結軸400と一体に設けられたドラム404の内周には、スプライン411が設けられ、このスプライン411には、その左端側から電磁多板クラッチ501の外側クラッチ板502とアーマチャ503とが移動自在に係合している。ハブ407は、大径部412と小径部413とが形成され、その小径部413にはリング状のカム部材504が左右に移動自在に嵌装されている。カム部材504の外周には、スプラインが設けられ、外側クラッチ板502と交互配置された内側クラッチ板505が移動自在に係合している。
ドラム404の左側壁の左側には、電磁石506が配置され、電磁石506のヨーク507はボルトによりキャリア401に固定されている。ヨーク507と左側壁に設けられた各凸部508、412の間には、エアーギャップ509が設けられ、磁気回路が形成されている。電磁石506に通電するとアーマチャ503が吸引され、その押圧力により電磁多板クラッチ501が締結され、カム部材504がドラム404側に連結される。
ドラム404のスプライン411には、多板クラッチ510の外側のクラッチ板511が移動自在に係合している。ハブ407の大径部412には、スプラインが設けられ、クラッチ板511と交互に配置された内側のクラッチ板512が移動自在に係合している。
電磁多板クラッチ501、多板クラッチ510の間には、リング状の押圧部材513が移動自在に配置されている。押圧部材513の内周は、ハブ407の小径部413に摺動自在に嵌装され、右側の突部は、大経部412のスプラインに移動自在に係合している。押圧部材513とカム部材504との間には、ボール514を介したカム515が形成されている。こうして、連結装置500が構成されている。
連結装置500において、電磁多板クラッチ501は、電磁石506に通電することにより、アーマチャ503が電磁石506側に吸引され締結される。この電磁多板クラッチ501の締結により、電磁多板クラッチ501に連結されたカム部材504と多板クラッチ510に連結された押圧部材513との間に差回転が生じる。この差回転により、カム部材504と押圧部材513との間のカム515が作動して押圧部材513を多板クラッチ510側に押圧し、多板クラッチ510を締結する。こうして、ドラム404とハブ407とが連結される。
従って、連結軸400と一体に設けられたドラム404とドライブピニオンシャフト408に連結されたハブ407とが連結され、エンジンからの駆動力は後輪側の差動装置を介して後輪側に伝達される。
また、特許文献2には、特許文献1と同様の駆動力伝達装置700が記載されている。この駆動力伝達装置700は、外側回転部材であるアウタケース600と、内側回転部材であるインナシャフト601と、メインクラッチ機構705と、パイロットクラッチ機構702及びカム機構707とを備えている。
特許文献2では、図9に示すように、アウタケース600が磁性体であるフロントハウジング602と、リヤハウジング603とから構成され、このフロントハウジング602とリヤハウジング603との間に、非磁性体であるシム701を介在させたことを主な特徴としている。
このシム701により、パイロットクラッチ機構702の電磁石703に通電した際の電磁石703とアーマチャ704との間に形成される磁路zのフロントハウジング602への磁束漏れを低減している。また、フロントハウジング602内に、メインクラッチ機構705、パイロットクラッチ機構702のパイロットクラッチ706とアーマチャ704及びカム機構707等を取り付けたときの軸方向の寸法をシム701の幅xを調節することにより、装置全体の幅寸法を調節している。
そして、これらの特許文献1、2の断続装置は、断続制御機能を向上させるために、磁力線の透過経路部分を近接する部材からいかに隔離して、磁力線の透過効率を向上させるかという視点で改良がなされている。
特開平3−282019号公報(図1) 特開2002−181080号公報(図4)
ところが、上記特許文献1、2で開示されている推力の伝達構造においては、従来どおりの設計的視点に基づく構造にとどまるものであった。つまり、従来の設計的視点については、各々の機能部品間を部品の機能に従って、2部材間に適度の軸方向スペースを確保して隣接配置する隔離的配置、又は、駆動力伝達に関わる部材を駆動力伝達経路に沿って形成配置する直列的配置をしていたので、機能部品各々における軸方向空間を必要としていた。
従って、磁力線の透過効率を向上させるかという設計的視点により、通電電流制御(デューティ制御も含む)に対する断続制御効率は比較的向上したけれども、装置全体のサイズについては小型化に対する技術的課題を残存するままであった。
そこで、この発明は、電磁石、パイロットクラッチ、カム機構、プレッシャリング、メインクラッチを用いた従来の断続装置において、装置の小型化を可能にする断続装置の提供を目的としている。
本願のもっとも特徴とする技術的思想は、電磁石、アーマチャ、パイロットクラッチ、カム機構、メインクラッチ、プレッシャリングを用いた従来の断続装置において、従来の設計的視点を排除し、断続機能部品の連結配置を見直すことにより、装置の小型化を達成するものである。
請求項1の発明は、電磁石と、電磁石の磁気的吸引力により軸方向へ移動可能に配置された環状のアーマチャと、アーマチャの軸方向への移動により締結されるパイロットクラッチと、パイロットクラッチの締結によりスラスト力を発生するカム機構と、カム機構のスラスト力をメインクラッチへ伝達する環状のプレッシャリングと、プレッシャリングの軸方向への移動により締結されるメインクラッチとを備え、少なくとも一対の回転部材間の伝達トルクを断続する断続装置であって、前記電磁石と、前記アーマチャと、前記パイロットクラッチと、前記カム機構と、前記プレッシャリングと、前記メインクラッチとの各部材間又は各部材と支持関係にある近接部材とを軸方向にオーバーラップさせて配置したことを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1記載の断続装置であって、前記アーマチャと前記プレッシャリングとが隣接され、前記アーマチャと前記プレッシャリングとの間に凹凸部が形成されていることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項2記載の断続装置であって、前記アーマチャは、磁力線透過断面積を確保しつつ半径方向に沿って形成された凹部を有し、前記プレッシャリングは、前記アーマチャに形成された前記凹部に嵌入する凸部を有することを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項2又は請求項3記載の断続装置であって、前記アーマチャと前記プレッシャリングとの前記凹凸部間には、突起部が直接的又は部材を介して形成され、前記突起部を介して前記アーマチャと前記プレッシャリングとが当接することを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項2又は請求項3記載の断続装置であって、前記アーマチャと前記プレッシャリングとの前記凹凸部間には、低磁性材が介在し、前記低磁性材を介して前記アーマチャと前記プレッシャリングとが当接することを特徴とする。
請求項6の発明は、電磁石と、電磁石の磁気的吸引力により軸方向へ移動可能に配置された環状のアーマチャと、アーマチャの軸方向への移動により締結されるパイロットクラッチと、パイロットクラッチの締結によりスラスト力を発生するカム機構と、カム機構のスラスト力をメインクラッチへ伝達する環状のプレッシャリングと、プレッシャリングの軸方向への移動により締結されるメインクラッチとを備え、少なくとも一対の回転部材間の伝達トルクを断続する断続装置であって、前記プレッシャリングは、前記一対の回転部材の一方に対して軸方向に相対移動可能で、且つ回転方向に一体回転可能な係合部を有し、前記係合部は、前記一対の回転部材間の駆動力伝達経路に平行する部位に配置されていることを特徴とする。
請求項7の発明は、請求項6記載の断続装置であって、前記係合部は、前記プレッシャリングに形成されたカム面の背面側に形成され、前記カム機構による推力は、前記カム面から前記係合部の外周側の肉部へ伝達されるように前記プレッシャリングの形状が設定されていることを特徴とする。
請求項8の発明は、請求項7記載の断続装置であって、前記係合部は、前記一対の回転部材の一方が前記プレッシャリング側に嵌入することで両部材間の係合がなされることを特徴とする。
請求項9の発明は、請求項7記載の断続装置であって、前記係合部は、前記プレッシャリングが前記一対の回転部材の一方側に嵌入することで両部材間の係合がなされることを特徴とする。
請求項10の発明は、電磁石と、電磁石の磁気的吸引力により軸方向へ移動可能に配置された環状のアーマチャと、アーマチャの軸方向への移動により締結されるパイロットクラッチと、パイロットクラッチの締結によりスラスト力を発生するカム機構と、カム機構のスラスト力をメインクラッチへ伝達する環状のプレッシャリングと、プレッシャリングの軸方向への移動により締結されるメインクラッチとを備え、少なくとも一対の回転部材間の伝達トルクを断続する断続装置であって、前記電磁石は、前記一対の回転部材の他方に対して軸受を介して相対回転可能に支持され、前記電磁石と前記一対の回転部材の他方との間には、磁力線を透過する2つのエアギャップが形成され、エアギャップ部の軸方向内側に前記軸受が配置されていることを特徴とする。
請求項11の発明は、請求項10記載の断続装置であって、前記軸受は、前記電磁石の内径側で、且つ前記電磁石への通電時に形成される磁力線ループの内周側に配置されていることを特徴とする。
請求項1の断続装置は、電磁石、アーマチャ、パイロットクラッチ、カム機構、プレッシャリング、メインクラッチの各部材間又は各部材と支持関係にある近接部材との間を隔離的配置又は直列的配置によらず軸方向にオーバーラップさせて配置しているので、従来の設計的視点を排除することによって、機能部品間の軸方向スペースを抑制することができ、装置の小型化が可能になる。
請求項2の断続装置は、請求項1の断続装置の効果に加えて、アーマチャとプレッシャリングとの間に凹凸部が形成され、アーマチャとプレッシャリングとが軸方向にオーバーラップして配置されているので、従来の両部材間のように隔離的な配置をすることがなく、両部材に関わる軸方向占有スペースを抑制し、装置の小型化が可能になる。
また、アーマチャとプレッシャリングに関わる軸方向占有スペースを抑制することができるので、限られたスペースの中で、アーマチャ又はプレッシャリングの容量を適度に確保することが可能になる。
請求項3の断続装置は、請求項2の断続装置の効果に加えて、アーマチャが磁力線透過断面積を確保しつつ半径方向に沿って形成された凹部を有し、プレッシャリングがアーマチャに形成された凹部に嵌入する凸部を有しているので、電磁石によるアーマチャの吸引機能が低下せずに、アーマチャとプレッシャリングとの配置関係を成立させることができる。
また、プレッシャリングは形成された凸部により、曲げ強度が向上しメインクラッチへの推力伝達時の変形が防止される。
請求項4の断続装置は、請求項2又は請求項3の断続装置の効果に加えて、アーマチャとプレッシャリングとの凹凸部間に突起部が形成され、突起部を介してアーマチャとプレッシャリングとが当接しているので、当接範囲の限られた突起部によってアーマチャからプレッシャリングへの磁力線漏れが抑制される。
請求項5の断続装置は、請求項2又は請求項3の断続装置の効果に加えて、アーマチャとプレッシャリングとの凹凸部間に低磁性材が介在され、低磁性材を介してアーマチャとプレッシャリングとが当接しているので、低磁性材が凹凸部に所定範囲で当接することによってアーマチャからプレッシャリングへの磁力線漏れが抑制される。
請求項6の断続装置は、プレッシャリングにおける推力伝達肉部から、回転部材におけるメインクラッチの係合部や駆動軸のスプライン係合部などの駆動力伝達部に至る駆動力伝達経路に係合部を設けないので、駆動力伝達経路の軸方向スペースを犠牲にすることがない。
請求項7の断続装置は、請求項6の断続装置の効果に加えて、係合部がプレッシャリングに形成されたカム面の背面側に形成され、カム機構による推力がカム面から係合部の外周側の肉部に伝達されるようにプレッシャリングの形状が設定されているので、カム機構による推力は、メインクラッチと対向するようにプレッシャリングの外径肉部側に伝達される。つまり、係合部を比較的強度が緩和されるカム面の背面側に設けることで、スペース効率を上げて、小型化を達成する。
請求項8の断続装置は、請求項7の断続装置の効果に加えて、係合部は回転部材の一方がプレッシャリング側に嵌入することで両部材間の係合がなされるので、回転部材の一方とプレッシャリングとの係合部を軸方向にオーバーラップさせることによって、さらに小型化が可能になる。
請求項9の断続装置は、請求項7の断続装置の効果に加えて、係合部はプレッシャリングが回転部材の一方側に嵌入することで両部材間の係合がなされるので、回転部材の一方とプレッシャリングとの係合部を軸方向にオーバーラップさせることによって、さらに小型化が可能になる。
請求項10の断続装置は、電磁石は回転部材の他方に対して軸受を介して相対回転可能に支持され、電磁石と回転部材の他方との間には、磁力線を透過する2つのエアギャップが形成され、エアギャップ部の軸方向内側に軸受が配置されているので、電磁石と軸受の配置を軸方向にオーバーラップさせることができる。
また、エアギャップ部より軸方向外側に支持軸受を配置していた従来の構造に比べ、電磁石の支持部と軸受が軸方向に突出することがなく、小型化が可能である。また、エアギャップ部の形状は、軸受による形状の制約から解放される。
請求項11の断続装置は、請求項10の断続装置の効果に加えて、軸受が電磁石の内径側で、且つ前記電磁石への通電時に形成される磁力線ループの内周側に配置されているので、軸受を回転部材の他方とエアギャップ部とからなる空間内に配置することができ、他の部材で生じる磨耗粉の影響を抑制することができる。
以下、この発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1〜図3を用いて第1実施形態について説明する。
本実施形態では、デファレンシャル装置100のデフケース101(回転部材の他方)と、デフケース101に収容された差動機構104のサイドギヤ108(回転部材の一方)との間の伝達トルクを断続する断続装置1について説明する。
本実施形態の断続装置1では、部材間であるアーマチャ3と、プレッシャリング6とを軸方向にオーバーラップさせて配置している。
図1に示すように、デフケース101は、カバー体102とケース本体103とから構成され、デフキャリアの内部にベアリングを介して回転自在に支承されている。デフケース101にはリングギヤ(不図示)がボルトで固定されており、エンジンの駆動力を伝達する動力伝達系のギヤと噛み合うことで、エンジンの駆動力が伝達され、この駆動力によってデフケース101が回転駆動され、差動機構104を介して左右の車軸に駆動力が伝達される。
差動機構104は、ピニオンシャフト105と、ピニオンシャフト105に回転可能に支持されたピニオンギヤ106と、ピニオンギヤ106と噛み合うと共に左右の車軸と噛み合った出力側のサイドギヤ107、108とから構成されている。ピニオンシャフト105は、端部をデフケース101に係合し、デフケース101と一体に回転駆動される。ピニオンギヤ106は、左右のサイドギヤ107、108にエンジンからの駆動力を伝達すると共に、噛み合っている左右のサイドギヤ107、108に差回転が生じると回転駆動されるようにピニオンシャフト105に支承されている。
サイドギヤ107、108のボス部109、110は、ピニオンシャフト105の内部に形成された支承部111とデフケース101に形成された支承部112とで支承されており、サイドギヤ107、108は各ボス部109、110に形成されたスプライン部113、114にスプライン連結された車軸を介して左右の車輪側に連結されている。そして、サイドギヤ108が断続装置1によりデフケース101に連結されると差動がロック状態となる。
断続装置1は、電磁石2と、電磁石2の磁気的吸引力により軸方向へ移動可能に配置されたアーマチャ3と、アーマチャ3の軸方向への移動により締結されるパイロットクラッチ4と、パイロットクラッチ4の締結によりスラスト力を発生するカム機構5と、カム機構5のスラスト力をメインクラッチ7へ伝達する環状のプレッシャリング6と、プレッシャリング6の軸方向への移動により締結されるメインクラッチ7とを備え、デフケース101と差動機構104のサイドギヤ108との間の伝達トルクを断続する。
電磁石2は、電磁コイル8とコア9とから構成され、デフキャリアに固定されると共に、ベアリング10を介してデフケース101のボス部115の外周に支持されている。環状のアーマチャ3は、磁性体から形成され、パイロットクラッチ4を挟んで電磁石2の一側に配置されている。
パイロットクラッチ4は、デフケース101の内周にスプライン連結された複数のアウタクラッチ板11とサイドギヤ108のボス部110の外周に嵌合されたカムリング12の外周にスプライン連結された複数のインナクラッチ板13とから構成され、電磁石2とアーマチャ3との間に配置されている。このパイロットクラッチ4は、電磁石2に通電した際にアーマチャ3が電磁石2側に吸引されることにより締結され、カムリング12とプレッシャリング6との間に差回転が生じることによりカム機構5はカムスラスト力を発生する。
カム機構5は、カムリング12と、サイドギヤ108のボス部110の外周にサイドギヤ108と軸方向に相対移動可能で回転方向に一体回転可能に配置された低磁性体からなるプレッシャリング6と、カムリング12とプレッシャリング6との間に配置されたカムボール14とから構成されている。パイロットクラッチ4が締結されると、パイロットクラッチ4に連結されたカムリング12とプレッシャリング6との間に差回転が生じ、カム機構5のカムスラスト力によってプレッシャリング6がメインクラッチ7側へ移動されてメインクラッチ7、7が締結する。
メインクラッチ7、7は、デフケース101の内周にスプライン連結されたアウタクラッチ板15、15とサイドギヤ107、108の肩部116、117の外周にスプライン連結されたインナクラッチ板16、16とから構成されている。メインクラッチ7、7は、パイロットクラッチ4の締結によってメインクラッチ7側に移動されたプレッシャリング6によって締結される。メインクラッチ7、7が締結されると、差動機構104での差動が制限される。
こうして、デフケース101(回転部材の他方)と、デフケース101に収容された差動機構104のサイドギヤ108(回転部材の一方)との間の伝達トルクを断続する断続装置1が構成されている。
次に、アーマチャ3と、プレッシャリング6と、サイドギヤ108との構成について説明する。
図2(a)に示すように、磁性体からなるアーマチャ3は、円板状で中央部分にデフケース101のボス部115が挿通される孔部17が形成されている。アーマチャ3のプレッシャリング6側の面には、プレッシャリング6の凸部20、20、20、20にそれぞれ嵌入する凹部18、18、18、18が、磁力線の透過断面積を確保すると共に半径方向に沿って形成されている。
図2(b)に示すプレッシャリング6は、磁力線透過効率の低い合金成分からなる低磁性体の例えばステンレス合金等の合成鋼で形成され、アーマチャ3からプレッシャリング6への磁力線漏れが抑制されている。プレッシャリング6のアーマチャ3側の面には、カム機構5を構成するカム面19、19、19、19が形成されていると共に、アーマチャの凹部18、18、18、18にそれぞれ嵌入する凸部20、20、20、20が形成されている。この各凸部20の両側面には、突起部21、21、21、21が形成されている。この各突起部21は、プレッシャリング6が焼結材で形成されているので、プレッシャリング6を形成するのと同時に容易に形成することができる。この各突起部21は、アーマチャ3の凹部18とプレッシャリング6の凸部20とを嵌合させてアーマチャ3とプレッシャリング6とをオーバーラップさせた際に、嵌合した凹部18と凸部20との密着を防ぎ、アーマチャ3からプレッシャリング6への磁力線漏れを抑制している。なお、各突起部21は、点状又は線状に形成されると効果が高い。
こうして、アーマチャ3の各凹部18とプレッシャリング6の各凸部20とで、図1に示すアーマチャ3とプレッシャリング6との間の凹凸部22が形成されている。この凹凸部22により、アーマチャ3とプレッシャリング6とをオーバーラップさせることが可能となり、軸方向の幅lを縮小させることができる。
なお、本実施形態において、凹凸部22をアーマチャ3に凹部18、プレッシャリング6に凸部20を形成する構成としたが、アーマチャ3とプレッシャリング6との対向する面にそれぞれ凹部18と凸部20とを交互に形成させて、凹凸部22としても良い。
図3(a)に示すように、サイドギヤ108のプレッシャリング6側の面には、4つの凸部23、23、23、23が形成されている。図3(b)に示すように、プレッシャリング6のサイドギヤ108側の面には、サイドギヤ108の各凸部23に係合する4つの凹部24、24、24、24が形成されている。また、プレッシャリング6のサイドギヤ108側の面の外径には、メインクラッチ7に推力を伝達する推力伝達肉部25が形成されている。図1に示す各凸部23と各凹部24とからなる係合部26は、サイドギヤ108及びプレッシャリング6において、駆動力伝達時に必要とする肉部分の強度を損なわないように形状設定されている。さらに、プレッシャリング6に形成された各凹部24は、周方向に形成されたカム面19、19、19、19の中間部の軸方向に背面側の位置に形成されている。また、プレッシャリング6は、焼結形成されるので、係合部26も容易に同時形成することができる。他の形成方法としては、鍛造形成が有利であり、この場合プレッシャリングの形状の設定自由度が高い。
こうして、サイドギヤ108の各凸部23とプレッシャリング6の各凹部24とでサイドギヤ108とプレッシャリング6との間の係合部26が形成されている。この係合部26により、従来のようにサイドギヤ108のボス部110にスプライン係合部を設ける必要が無くなると共に、サイドギヤ108とプレッシャリング6とをオーバーラップさせることが可能となり、軸方向の幅l(図1参照)を縮小させることができる。
本実施形態における断続装置1では、次のような効果が得られる。
アーマチャ3とプレッシャリング6と、プレッシャリング6とサイドギヤ108とを軸方向にオーバーラップさせることが可能となったので、アーマチャ3とプレッシャリング6間及びプレッシャリング6とサイドギヤ108間の軸方向の幅l、lとを縮小することができ、装置の軸方向の幅Lも縮小されるので、装置の小型化が可能となる。
また、アーマチャ3とプレッシャリング6とが軸方向にオーバーラップして配置されているので、両部材間に関わる軸方向占有スペースを抑制することができる。また、この占有スペースの抑制により、限られたスペースの中でアーマチャ3又はプレッシャリング6の容量を適度に確保することができる。
また、アーマチャ3に形成された凹部18は、磁力線透過断面積を確保しているので、電磁石2によるアーマチャ3の吸引機能が低下せずにアーマチャ3とプレッシャリング6間の配置関係を成立させることができる。また、プレッシャリング6は、形成された各凸部20により、曲げ強度が向上しメインクラッチ7への推力伝達時の変形が防止される。
また、プレッシャリング6の凸部20には、突起部21が形成されているので、アーマチャ3の凹部18とプレッシャリング6の凸部20とが密着することなく、アーマチャ3からプレッシャリング6への磁力線漏れが抑制される。
また、サイドギヤ108の凸部とプレッシャリング6の凹部24とで形成される係合部26により、サイドギヤ108とプレッシャリング6とをオーバーラップさせることが可能となるので、軸方向の幅lを縮小させることができる。
また、プレッシャリング6の推力伝達肉部25からサイドギヤ108のメインクラッチ7との係合部及び駆動軸のスプライン係合部などの駆動力伝達部に至る駆動力伝達経路に係合部26を設けていないので、駆動力伝達経路の軸方向スペースを犠牲にすることがない。
また、カム機構5による推力はメインクラッチ7と対向するようにプレッシャリング6の推力伝達肉部25に伝達されるので、比較的強度が緩和されるカム面19の背面側に凹部24を設けたことにより、スペース効率を上げて装置の小型化を達成することができる。
また、プレッシャリング6の凹部24は、反対側の面に形成されたカム面19の中間部に形成されているので、カム面19で肉薄になる部分を避け、コンパクトでありながらプレッシャリング6の強度低下を防止することができる。
また、係合部26は、軸方向に対向してオーバーラップするプレッシャリング6の各凹部24とサイドギヤ108の各凸部23とで形成される凹凸係合部であるので、凹凸係合部を半径方向に長く形成することが可能であり、軸方向に長い軸スプラインを用いる場合に比べ、係合強度を同一とすれば軸方向スペースを縮小することができ、組付け性も向上する。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について図4〜図6を用いて説明する。
本実施形態では、カップリング200のケース201(回転部材の他方)と、ケース201に収容された回転ケース207(回転部材の一方)との間の伝達トルクを断続する断続装置30について説明する。
本実施形態の断続装置30では、部材間であるアーマチャ32と、プレッシャリング35とを軸方向にオーバーラップさせて配置している。
図4に示すように、ケース201は、ケース本体202とカバー体203とから構成され、ケーシング204の内部にベアリング205を介して回転自在に支承されている。ケース201にはリングギヤがボルトで固定されており、エンジンの駆動力を伝達する動力伝達系のギヤと噛み合うことで、エンジンの駆動力が伝達され、この駆動力によってケース201が回転駆動され、ケース201の内部にベアリング206を介して回転自在に支承された回転ケース207を介して出力側の差動機構などに駆動力が伝達される。
回転ケース207には、エンジンからの駆動力を出力側に伝達する出力軸がスプライン部208に連結されている。回転ケース207は、断続装置30のメインクラッチ36が締結されると、ケース201と一体となって回転駆動されてエンジンの駆動力を出力側に伝達する。
断続装置30は、電磁石31と、電磁石31の磁気的吸引力により軸方向へ移動可能に配置されたアーマチャ32と、アーマチャ32の軸方向への移動により締結されるパイロットクラッチ33と、パイロットクラッチ33の締結によりスラスト力を発生するカム機構34と、カム機構34のスラスト力をメインクラッチ36へ伝達する環状のプレッシャリング35と、プレッシャリング35の軸方向への移動により締結されるメインクラッチ36とを備え、ケース201と回転ケース207との間の伝達トルクを断続する。
電磁石31は、電磁コイル37とコア38とから構成され、ケーシング204に固定されると共に、ベアリング39を介してカバー体203のボス部209の外周に支持されている。環状のアーマチャ32は、磁性体から形成され、パイロットクラッチ33を挟んで電磁石31の一側に配置されている。
パイロットクラッチ33は、ケース201の内周にスプライン連結された複数のアウタクラッチ板40と回転ケース207の中央部の外周に嵌合されたカムリング41の外周にスプライン連結された複数のインナクラッチ板42とから構成され、電磁石31とアーマチャ32との間に配置されている。このパイロットクラッチ33は、電磁石31に通電した際にアーマチャ32が電磁石31側に吸引されることにより締結され、カムリング41とプレッシャリング35との間に差回転が生じることによりカム機構34はカムスラスト力を発生する。
カム機構34は、カムリング41と、回転ケース207の外周のスプライン部210に軸方向に移動可能で回転方向に一体回転可能に連結された低磁性体からなるプレッシャリング35と、カムリング41とプレッシャリング35との間に配置されたカムボール43とから構成されている。パイロットクラッチ33が締結されると、パイロットクラッチ33に連結されたカムリング41とプレッシャリング35との間に差回転が生じ、カム機構34のカムスラスト力によってプレッシャリング35がメインクラッチ36側へ移動されてメインクラッチ36が締結する。
メインクラッチ36は、ケース201の内周にスプライン連結されたアウタクラッチ板44と回転ケース207のスプライン部210に連結されたインナクラッチ板45とから構成されている。メインクラッチ36は、パイロットクラッチ33の締結によってメインクラッチ36側に移動されたプレッシャリング35によって締結される。メインクラッチ36が締結されると、ケース201と回転ケース207とがエンジンからの駆動力によって一体に回転駆動される。
こうして、ケース201(回転部材の他方)と、ケース201に収容された回転ケース207(回転部材の一方)との間の伝達トルクを断続する断続装置30が構成されている。
次に、アーマチャ32と、プレッシャリング35との構成について説明する。
図5(a)に示すように、磁性体からなるアーマチャ32は、円板状で中央部分にケース201のボス部209が挿通される孔部46が形成されている。アーマチャ32のプレッシャリング35側の面には、プレッシャリング35の凸部49、49、49、49に嵌入する凹部47、47、47、47が、磁力線の透過断面積を確保すると共に半径方向に沿って形成されている。
図5(b)に示すプレッシャリング35は、磁力線透過効率の低い合金成分からなる低磁性体の例えばステンレス合金等の合成鋼で形成され、アーマチャ32からプレッシャリング35への磁力線漏れが抑制されている。プレッシャリング35のアーマチャ32側の面には、カム機構34を構成するカム面48、48、48、48が形成されていると共に、アーマチャ32の凹部47、47、47、47にそれぞれ嵌入する凸部49、49、49、49が形成されている。この各凸部49には、凹溝50、50、50、50が形成され、各凹溝50には低磁性体からなるボール51、51、51、51が嵌合されている。この各ボール51の直径は、アーマチャ32の凹部47の幅と略同等に設定され、かつプレッシャリング35の凸部49の幅より大きく設定されている。この各ボール51は、アーマチャ32の凹部47とプレッシャリング35の凸部49とを嵌合させてアーマチャ32とプレッシャリング35とをオーバーラップさせた際に、凸部49から突出したボール51の先端部52が凹部47の両側壁面に当接し、嵌合した凹部47と凸部49との密着を防ぎ、アーマチャ32からプレッシャリング35への磁力線漏れを抑制している。なお、ボール51が嵌合される凹溝50を孔として形成し、ボール51を嵌合させても良い。
また、図6(a)に示すように、各凹部47の内周壁面に、凸部49と凹部47とが所定範囲で当接するように低磁性材53を配置させても良い。この低磁性材53は、アーマチャ32の凹部47とプレッシャリング35の凸部49とを嵌合させてアーマチャ32とプレッシャリング35とをオーバーラップさせた際に、嵌合した凹部47と凸部49との密着を防ぎ、アーマチャ32からプレッシャリング35への磁力線漏れを抑制している。
なお、低磁性材53をプレッシャリング35の凸部49の外周壁面に配置しても良い。また、低磁性材53は、アーマチャ32又はプレッシャリング35へのコーティング、浸炭処理などの熱処理、化学蒸着、テーピング、塗布など種々の方法により形成される。
また、各凸部49に第1実施形態の突起部21を設けることもできると共に、第1実施形態のアーマチャ3とプレッシャリング6との凹凸部22に本実施形態のボール51及び低磁性材53を適用することもできる。
こうして、アーマチャ32の各凹部47とプレッシャリング35の各凸部49とで、図4に示すアーマチャ32とプレッシャリング35との間の凹凸部54が形成されている。この凹凸部54により、アーマチャ32とプレッシャリング35とをオーバーラップさせることが可能となり、軸方向の幅lを縮小させることができる。
本実施形態における断続装置30では、次のような効果が得られる。
アーマチャ32とプレッシャリング35とを軸方向にオーバーラップさせることが可能となったので、アーマチャ32とプレッシャリング35間の軸方向の幅l(図4参照)を縮小することができ、装置の軸方向の幅Lも縮小されるので、装置の小型化が可能となる。
また、アーマチャ32とプレッシャリング35とが軸方向にオーバーラップして配置されているので、両部材間に関わる軸方向占有スペースを抑制することができる。また、この占有スペースの抑制により、限られたスペースの中でアーマチャ32又はプレッシャリング35の容量を適度に確保することができる。
また、アーマチャ32に形成された凹部47は、磁力線透過断面積を確保しているので、電磁石31によるアーマチャ32の吸引機能が低下せずにアーマチャ32とプレッシャリング35間の配置関係を成立させることができる。また、プレッシャリング35は、形成された各凸部49により、曲げ強度が向上しメインクラッチ36への推力伝達時の変形が防止される。
また、プレッシャリング35の凸部49の凹溝50にはボール51が嵌合されているので、ボール51の先端部52によってアーマチャ32の凹部47とプレッシャリング35の凸部49とが密着することなく、アーマチャ32からプレッシャリング35への磁力線漏れが抑制される。
また、アーマチャ32の凹部47には低磁性材53が配置されているので、低磁性材53によってアーマチャ32の凹部47とプレッシャリング35の凸部49とが密着することなく、アーマチャ32からプレッシャリング35への磁力線漏れが抑制される。
(第3実施形態)
図7を用いて第3実施形態について説明する。
本実施形態では、デファレンシャル装置300のデフケース301(回転部材の他方)と、デフケース301に収容された差動機構305のサイドギヤ309(回転部材の一方)との間の伝達トルクを断続する断続装置60について説明する。
本実施形態の断続装置60では、断続装置60と支持関係にある近接部材とを軸方向にオーバーラップさせて配置している。
図7(a)に示すように、デフケース301は、ケース本体302とカバー体303とから構成され、デフキャリアの内部にベアリングを介して回転自在に支承されている。デフケース301にはリングギヤ304がボルトで固定されており、エンジンの駆動力を伝達する動力伝達系のギヤと噛み合うことで、エンジンの駆動力が伝達され、この駆動力によってデフケース301が回転駆動され、差動機構305を介して左右の車軸に駆動力が伝達される。
差動機構305は、ピニオンシャフト306と、ピニオンシャフト306に回転可能に支持されたピニオンギヤ307と、ピニオンギヤ307と噛み合うと共に左右の車軸と噛み合った出力側のサイドギヤ308、309とから構成されている。ピニオンシャフト306は、端部をデフケース301に係合し、デフケース301と一体に回転駆動される。ピニオンギヤ307は、左右のサイドギヤ308、309にエンジンからの駆動力を伝達すると共に、噛み合っている左右のサイドギヤ308、309に差回転が生じると回転駆動されるようにピニオンシャフト306に支承されている。
サイドギヤ308、309のボス部310、311には、スプライン部312、313が形成され、左右の車輪側に連結されている車軸がスプライン連結されている。そして、サイドギヤ309が断続装置60によりデフケース301に連結されると差動がロック状態となる。
断続装置60は、電磁石61と、電磁石61の磁気的吸引力により軸方向へ移動可能に配置されたアーマチャ62と、アーマチャ62の軸方向への移動により締結されるパイロットクラッチ63と、パイロットクラッチ63の締結によりスラスト力を発生するカム機構64と、カム機構64のスラスト力をメインクラッチ66へ伝達する環状のプレッシャリング65と、プレッシャリング65の軸方向への移動により締結されるメインクラッチ66とを備え、デフケース301と差動機構305のサイドギヤ309との間の伝達トルクを断続する。
電磁石61は、電磁コイル67とコア68とから構成され、デフキャリアに固定されると共に、摺動可能に嵌合されたブッシュ69を介してデフケース301のボス部314の外周に支持されている。環状のアーマチャ62は、磁性体から形成され、パイロットクラッチ63を挟んで電磁石61の一側に配置されている。
パイロットクラッチ63は、デフケース301の内周にスプライン連結された複数のアウタクラッチ板70とサイドギヤ309のボス部311の外周に嵌合されたカムリング71の外周にスプライン連結された複数のインナクラッチ板72とから構成され、電磁石61とアーマチャ62との間に配置されている。このパイロットクラッチ63は、電磁石61に通電した際にアーマチャ62が電磁石61側に吸引されることにより締結され、カムリング71とプレッシャリング65との間に差回転が生じることによりカム機構64はカムスラスト力を発生する。
カム機構64は、カムリング71と、サイドギヤ309のボス部311の外周にサイドギヤ309と軸方向に相対移動可能で回転方向に一体回転可能に配置された低磁性体からなるプレッシャリング65と、カムリング71とプレッシャリング65との間に配置されたカムボール73とから構成されている。パイロットクラッチ63が締結されると、パイロットクラッチ63に連結されたカムリング71とプレッシャリング65との間に差回転が生じ、カム機構64のカムスラスト力によってプレッシャリング65がメインクラッチ66側へ移動されてメインクラッチ66、66が締結する。
メインクラッチ66、66は、デフケース301の内周にスプライン連結されたアウタクラッチ板74、74とサイドギヤ308、309の外周にスプライン連結されたインナクラッチ板75、75とから構成されている。メインクラッチ66、66は、パイロットクラッチ63の締結によってメインクラッチ66側に移動されたプレッシャリング65によって締結される。メインクラッチ66、66が締結されると、差動機構305で差動が生じず、デフケース301と差動機構305とがエンジンからの駆動力によって一体に回転駆動される。
こうして、デフケース301(回転部材の他方)と、デフケース301に収容された差動機構305のサイドギヤ309(回転部材の一方)との間の伝達トルクを断続する断続装置60が構成されている。
次に、断続装置60と支持関係にある近接部材の構成について説明する。
断続装置60の一側に位置しているサイドギヤ309とプレッシャリング65との間には係合部76が形成されている。また、この係合部76より内径側には、プレッシャリング65のサイドギヤ309側の面に形成されたリブ77と、サイドギヤ309のプレッシャリング65側の面に形成された溝78とで凹凸係合部79が形成されている。この係合部76と凹凸係合部79とにより、サイドギヤ309とプレッシャリング65との軸方向の幅lを縮小できると共に、サイドギヤ309とプレッシャリング65との係合がより確実となっている。
断続装置60の他側に位置している電磁石61の内外周側には、半径方向に向けて一対の磁力線透過部80、81(エアーギャップ部)が形成されている。内周側の磁力線透過部80は、電磁石61の電磁コイル67の背面側に位置する円盤状のコア68の径方向内端部82とデフケース301のボス部314の外周との間に形成されている。外周側の磁力線透過部81は、コア68の径方向外端部83とデフケース301の外周壁部315との間に形成されている。この磁力線透過部80、81によって、電磁石61の通電により磁力線ループ84が形成される。
また、電磁石61は、デフケース301のボス部314に摺動可能に嵌合されたブッシュ69(軸受)を介してデフケース301に支持されている。図7(b)に示すブッシュ69は、低磁性体から形成され、デフケース301のボス部314と当接する当接部85と、デフケース301のボス部314に形成された段部316に支持され当接部85より大径に形成された支持部86とから構成されている。また、ブッシュ69は、磁力線透過部80の軸方向内側に配置されると共に、磁力線ループ84の内周側に配置されている。電磁石61は、コア68の内径側の外周部87をブッシュ69の当接部85に当接し、コア68の内径側のデフケース301側端面88をブッシュ69の支持部86に当接してデフケース301に支持されている。
つまり、電磁石61とブッシュ69とが軸方向にオーバーラップした構成となっている。なお、ブッシュ69は、非磁性体でも良く、また、摺動材に限らず、転動ベアリングであっても良い。
こうして、電磁石61とブッシュ69とをオーバーラップさせることが可能となり、軸方向の幅lを縮小させることができる。
本実施形態における断続装置60では、次のような効果が得られる。
断続装置60と、断続装置60の両側に位置する近接部材とをオーバーラップさせることが可能となったので、軸方向の幅l、lとを縮小することができ、装置の軸方向の幅も縮小されるので、装置の小型化が可能となる。
また、ブッシュ69が磁力線透過部80の軸方向内側に配置されているので、エアーギャップ部より軸方向外側に支持軸受を配置していた従来の構造に比べ、電磁石61の支持部とブッシュ69とが軸方向に突出することがなく、小型化が可能となる。また、磁力線透過部80の形状(電磁石61のコア68の形状)は、ブッシュ69による形状の制約から解放される。
また、ブッシュ69をデフケース301と磁力線透過部80、81とからなる空間内(磁力線ループ84の内側)に配置することができるので、他の部材で生じる磨耗粉の影響を抑制することができる。
なお、本実施形態の断続装置60と、断続装置60に近接する部材とをオーバーラップさせる構成を、第1、第2実施形態の断続装置1、30にも適用させることができる。
なお、アーマチャがロータとの間で摩擦力を発生させる場合には、多板のパイロットクラッチではなく、パイロットクラッチ機能を有するアーマチャを単板クラッチとして機能させる構成になり、この場合にも本発明の技術的概念に含まれることは容易に理解できる。
また、本発明の断続装置は、本実施形態のようにクラッチ装置でデファレンシャル装置の差動回転をロックさせるデフロック装置、デファレンシャル装置に内蔵されたクラッチ装置によって駆動力を断続する断続装置、車両の駆動力伝達系に配置されたクラッチ装置によって駆動力を断続する断続装置だけでなく、一般産業機械の駆動伝達クラッチ装置などにも広く適用することができる。
デファレンシャル装置100と断続装置1の断面図である。 (a)アーマチャ3のプレッシャリング6側正面図である。
(b)プレッシャリング6のアーマチャ3側正面図である。
(a)サイドギヤ108のプレッシャリング6側正面図である。
(b)プレッシャリング6のサイドギヤ108側正面図である。
カップリング200と断続装置30の断面図である。 (a)アーマチャ32のプレッシャリング35側正面図である。
(b)プレッシャリング35のアーマチャ32側正面図である。
(a)アーマチャ32のプレッシャリング35側正面図である。
(b)プレッシャリング35のアーマチャ32側正面図である。
(a)デファレンシャル装置300と断続装置60断面図である。
(b)ブッシュ69の斜視図である。
従来例の断面図である。 従来例の断面図である。
符号の説明
1、30、60…断続装置
2、31、61…電磁石
3、32、62…アーマチャ
4、33、63…パイロットクラッチ
5、34、64…カム機構
6、35、65…プレッシャリング
7、36、66…メインクラッチ
18、47…凹部
19、48…カム面
20、49…凸部
21…突起部
22…凹凸部
23…凸部
24…凹部
25…推力伝達肉部
26…係合部
50…凹溝
51…ボール
52…先端部
53…低磁性材
54…凹凸部
69…ブッシュ
76…係合部
77…リブ
78…溝
79…凹凸係合部
80…磁力線透過部
81…磁力線透過部
84…磁力線ループ
100、300…デファレンシャル装置
101、301…デフケース
104、305…差動機構
108、309…サイドギヤ
200…カップリング
201…ケース
207…回転ケース
…幅
…幅
…幅
…幅
…幅
…幅
…幅
x…幅
z…磁路

Claims (11)

  1. 電磁石と、電磁石の磁気的吸引力により軸方向へ移動可能に配置された環状のアーマチャと、アーマチャの軸方向への移動により締結されるパイロットクラッチと、パイロットクラッチの締結によりスラスト力を発生するカム機構と、カム機構のスラスト力をメインクラッチへ伝達する環状のプレッシャリングと、プレッシャリングの軸方向への移動により締結されるメインクラッチとを備え、少なくとも一対の回転部材間の伝達トルクを断続する断続装置であって、
    前記電磁石と、前記アーマチャと、前記パイロットクラッチと、前記カム機構と、前記プレッシャリングと、前記メインクラッチとの各部材間又は各部材と支持関係にある近接部材とを軸方向にオーバーラップさせて配置したことを特徴とする断続装置。
  2. 請求項1記載の断続装置であって、
    前記アーマチャと前記プレッシャリングとが隣接され、前記アーマチャと前記プレッシャリングとの間に凹凸部が形成されていることを特徴とする断続装置。
  3. 請求項2記載の断続装置であって、
    前記アーマチャは、磁力線透過断面積を確保しつつ半径方向に沿って形成された凹部を有し、前記プレッシャリングは、前記アーマチャに形成された前記凹部に嵌入する凸部を有することを特徴とする断続装置。
  4. 請求項2又は請求項3記載の断続装置であって、
    前記アーマチャと前記プレッシャリングとの前記凹凸部間には、突起部が直接的又は部材を介して形成され、前記突起部を介して前記アーマチャと前記プレッシャリングとが当接することを特徴とする断続装置。
  5. 請求項2又は請求項3記載の断続装置であって、
    前記アーマチャと前記プレッシャリングとの前記凹凸部間には、低磁性材が介在し、前記低磁性材を介して前記アーマチャと前記プレッシャリングとが当接することを特徴とする断続装置。
  6. 電磁石と、電磁石の磁気的吸引力により軸方向へ移動可能に配置された環状のアーマチャと、アーマチャの軸方向への移動により締結されるパイロットクラッチと、パイロットクラッチの締結によりスラスト力を発生するカム機構と、カム機構のスラスト力をメインクラッチへ伝達する環状のプレッシャリングと、プレッシャリングの軸方向への移動により締結されるメインクラッチとを備え、少なくとも一対の回転部材間の伝達トルクを断続する断続装置であって、
    前記プレッシャリングは、前記一対の回転部材の一方に対して軸方向に相対移動可能で、且つ回転方向に一体回転可能な係合部を有し、前記係合部は、前記一対の回転部材間の駆動力伝達経路に平行する部位に配置されていることを特徴とする断続装置。
  7. 請求項6記載の断続装置であって、
    前記係合部は、前記プレッシャリングに形成されたカム面の背面側に形成され、前記カム機構による推力は、前記カム面から前記係合部の外周側の肉部へ伝達されるように前記プレッシャリングの形状が設定されていることを特徴とする断続装置。
  8. 請求項7記載の断続装置であって、
    前記係合部は、前記一対の回転部材の一方が前記プレッシャリング側に嵌入することで両部材間の係合がなされることを特徴とする断続装置。
  9. 請求項7記載の断続装置であって、
    前記係合部は、前記プレッシャリングが前記一対の回転部材の一方側に嵌入することで両部材間の係合がなされることを特徴とする断続装置。
  10. 電磁石と、電磁石の磁気的吸引力により軸方向へ移動可能に配置された環状のアーマチャと、アーマチャの軸方向への移動により締結されるパイロットクラッチと、パイロットクラッチの締結によりスラスト力を発生するカム機構と、カム機構のスラスト力をメインクラッチへ伝達する環状のプレッシャリングと、プレッシャリングの軸方向への移動により締結されるメインクラッチとを備え、少なくとも一対の回転部材間の伝達トルクを断続する断続装置であって、
    前記電磁石は、前記一対の回転部材の他方に対して軸受を介して相対回転可能に支持され、前記電磁石と前記一対の回転部材の他方との間には、磁力線を透過する2つのエアギャップが形成され、エアギャップ部の軸方向内側に前記軸受が配置されていることを特徴とする断続装置。
  11. 請求項10記載の断続装置であって、
    前記軸受は、前記電磁石の内径側で、且つ前記電磁石への通電時に形成される磁力線ループの内周側に配置されていることを特徴とする断続装置。
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