JP4766512B2 - 木材の加工方法 - Google Patents

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Description

本発明は、木材を所定の3次元形状に加工する木材の加工方法に関する。
近年、自然素材である木材が注目されている。木材はさまざまな木目を有するため、原木から形取る箇所に応じて個体差が生じ、その個体差が製品ごとの個性となる。また、長期の使用によって生じる傷や色合いの変化自体も、独特の風合いとなって使用者に親しみを生じさせることがある。これらの理由により、合成樹脂や軽金属を用いた製品にはない、個性的で味わい深い製品を生み出すことのできる素材として木材が注目されており、その加工技術も飛躍的に進歩しつつある。
従来、かかる木材の加工技術として、吸水軟化した一枚の木材を圧縮し、その木材を圧縮方向と略平行に切断して板状の一次固定品を得た後、この一次固定品を加熱吸水させながら所定の3次元形状に成形する技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。また、軟化処理した状態で圧縮した一枚の木材を仮固定し、この木材を型に入れて回復させることによって型成形する技術も知られている(例えば、特許文献2を参照)。
特許第3078452号公報 特開平11−77619号公報
しかしながら、上記従来技術では、気乾状態にある木材を軟化処理して圧縮するため、軟化処理する前の段階で細胞壁に含まれる結合水(木材を構成する分子と結合)の一部が蒸発しており、この結合水の蒸発に伴って樹液成分の一部も蒸発していた。この結果、圧縮後の木材表面が乾燥しすぎてつやが出ないことが多かった。
この問題を解決するために、圧縮後の木材表面につや出し用のラッカーやニスを塗布する別工程を行うことも考えられるが、この場合には使用を重ねるうちに木材表面から塗装が剥離し、つやが失われてしまうことがあった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、加工対象の木材表面のつや出しを別工程を経ることなく容易に実現することができ、使用を重ねても木材表面のつやが失われることのない木材の加工方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、発明に係る木材の加工方法は、木材を所定の3次元形状に加工する木材の加工方法であって、含水率が繊維飽和点以上である木材を、大気よりも高温高圧の水蒸気雰囲気中で圧縮する圧縮工程を含むことを特徴とする。
本発明において、含水率とは、{(木材の乾燥前の重量−全乾状態の重量)/全乾状態の重量}×100(%)で定義される量のことである。ここで、全乾状態とは、木材の細胞壁に含まれて木材を構成する分子と結合する結合水がほとんどなくなった状態のことであり、この全乾状態における含水率はほぼ0%である。また、繊維飽和点とは、木材に含まれる水分のうち、細胞内腔や細胞壁の間隙にある自由水が存在せず、結合水のみが存在する状態における含水率のことである。
発明に係る木材の加工方法は、上記発明において、前記木材は、前記圧縮工程を行うまで、常に繊維飽和点以上の含水率を有する状態にあることを特徴とする。
発明に係る木材の加工方法は、上記発明において、前記圧縮工程を行うに先立って、前記木材に含まれるのと同じ樹液成分を少なくとも含む補充剤を前記水蒸気雰囲気中に添加し、前記補充剤が添加された水蒸気雰囲気中で前記木材を放置することを特徴とする。
発明に係る木材の加工方法は、上記発明において、前記圧縮工程は、前記木材を変形すべき形状に対応して形成された一対の圧縮用金型によって前記木材を挟持して圧縮力を加えることを特徴とする。
発明に係る木材の加工方法は、上記発明において、前記水蒸気雰囲気は、温度が100〜230℃であり、圧力が0.1〜3MPaであることを特徴とする。
発明に係る木材の加工方法は、上記発明において、前記圧縮工程で圧縮した木材を大気中で加熱しつつ前記3次元形状に整形する加熱整形工程をさらに含むことを特徴とする。
発明に係る木材の加工方法は、上記発明において、前記加熱整形工程は、前記3次元形状に対応して形成された一対の加熱整形用金型によって前記木材を挟持して圧縮力を加えるとともに、前記一対の加熱整形用金型の各金型温度を個別に調整することによって前記木材を加熱することを特徴とする。
本発明によれば、繊維飽和点以上の含水率を有する状態にある木材を、大気よりも高温高圧の水蒸気雰囲気中で圧縮することにより、加工対象の木材表面のつや出しを別工程を経ることなく容易に実現することができ、使用を重ねても木材表面のつやが失われることのない木材の加工方法を提供することができる。
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための最良の形態(以後、実施の形態と称する)を説明する。図1は、本発明の一実施の形態に係る木材の加工方法によって形成された圧縮木製品の構成を示す斜視図である。また、図2は、図1のA−A線断面図である。これらの図に示す圧縮木製品1は、略長方形状の表面をなす主板部1aと、主板部1a表面の長手方向に略平行な2辺の各々からその主板部1aに対して所定の角度をなして延出する二つの側板部1bと、主板部1a表面の短手方向に略平行な2辺の各々からその主板部1aに対して所定の角度をなして延出する二つの側板部1cとを備え、全体としてほぼ均一な肉厚rを有する略椀状をなす。なお、図1のB−B線断面は、寸法の違いを除けば図2に示す断面(図1のA−A線断面)と同様である。
圧縮木製品1の木材繊維方向Lは、主板部1aの長手方向に略平行であり、圧縮木製品1の木目1Gは主板部1aの長手方向に沿っている。したがって、図1に示す圧縮木製品1は、柾目材である。
次に、本実施の形態に係る木材の加工方法を説明する。以後の説明では、上述した形状をなす圧縮木製品1を形成する場合について説明するが、この実施の形態に係る木材の加工方法は、他の形状をなす圧縮木製品に対しても適用可能である。
まず、圧縮木製品1の原材料となる木材を、原木である無圧縮状態の無垢材から形取る。図3は、圧縮木製品1の原材料となる木材を無垢材から形取る状況を模式的に示す説明図である。この形取りを行う際には、無垢材50から形取った木材51の容積が、後述する工程によって減少する分の容積を予め加えた分の容積となるようにする。形取られた木材51は、圧縮木製品1が有する主板部1a、側板部1bおよび1cにそれぞれ対応する部位として、主板部51a、側板部51bおよび51cを有する。
なお、無垢材50としては、檜、檜葉、桐、杉、松、桜、欅、黒檀、竹、チーク、マホガニー、ローズウッドなどの中から、圧縮木製品1の用途などに応じて最適なものを選択すればよい。また、図3では木材51が柾目材である場合を示しているが、木材51は柾目材以外でもよく、板目材、追柾材、木口材などでも構わない。すなわち、本実施の形態においては、木材の形状、強度、美観等の条件を考慮した結果、最適な繊維方向や木目を有するような形取りを行えばよい。
無垢材50および木材51は、大気中に放置して乾燥させると、含水率が15%程度の気乾状態に到達する。含水率とは、{(木材の乾燥前の重量−全乾状態の重量)/全乾状態の重量}×100(%)で定義される量のことである。ここで、全乾状態とは、結合水がほとんどなくなった状態のことであり、この全乾状態での含水率はほぼ0%である。
気乾状態にある木材においては、細胞の内腔や細胞壁の間隙等に含まれる自由水は勿論のこと、細胞壁に含まれて木材を構成する分子と結合する結合水の一部も既に外部に蒸発している。このため、結合水と結合している樹液成分の一部も結合水とともに蒸発してしまう。本実施の形態では、無垢材50および木材51が繊維飽和点(=結合水が飽和状態で存在するとともに自由水が存在しない状態の含水率)以上の含水率を有する状態を保持させておく。これにより、木材51では、結合水と結合する樹液成分も外部に蒸発しない。なお、繊維飽和点の値は、木材51の種類等に応じて多少異なるが、概ね25〜30%程度である。また、無垢材50および木材51を上述した状態で保持するにあたっては、適当な温度、湿度、および圧力を有する環境を人工的に作り出し、そのような環境下で無垢材50および木材51を保管すればよい。
続いて、木材51を圧縮する(圧縮工程)。この圧縮工程を行うに際して、木材51を大気よりも高温高圧の水蒸気雰囲気中で所定時間放置し、木材51に水分を過剰に吸収させて軟化させる。ここでいう高温高圧の具体的な値は、温度が100〜230℃、より好ましくは180〜230℃程度であり、圧力が0.1〜3MPa(メガパスカル)、より好ましくは0.45〜2.5MPa程度である。木材51は、繊維飽和点以上の含水率を有する状態にあるため、上述した高温高圧の水蒸気雰囲気中に放置されても、細胞壁内の水分含有率に大きな変化はなく、したがって樹液成分の蒸発等による変化も少ない。
この後、軟化した木材51を同じ水蒸気雰囲気中で圧縮する。図4は、この圧縮工程の概要を示す図である。同図においては、木材51を一対の金型11および12(圧縮用金型)によって挟持して圧縮力を加える前の状態を示している。圧縮時に木材51の上方から圧縮力を加える金型11は、木材51の内側面に嵌合する形状をなす凸部111を有する。木材51の主板部51a(肉厚をRとする)から側板部51bに立ち上がって湾曲する曲面51abの内側面の曲率半径をRIとし、凸部111のうち圧縮時に曲面51abに当接する曲面の曲率半径をRAとすると、その二つの曲率半径はRI>RAという関係を満たしている。
これに対して、圧縮時に木材51の下方から圧縮力を加える金型12は、木材51の外側面を嵌入する形状をなす凹部121を有する。木材51の主板部51aから側板部51bに立ち上がって湾曲する曲面51abの外側面の曲率半径をROとし、凹部121のうち圧縮時に曲面51abの外側面に当接する曲面の曲率半径をRBとすると、その二つの曲率半径はRO>RBという関係を満たしている。
なお、主板部51aおよび側板部51cを通過する断面(図1のB−B断面に相当)で見たときの金型11および12の形状やそれらの金型の木材51との位置関係は、寸法の違いを除けば図4とほぼ同様である。また、主板部51aから側板部51cに立ち上がって湾曲する曲面の内側面の曲率半径は、この内側面に当接する金型11の曲面の曲率半径よりも大きく、主板部51aから側板部51cに立ち上がって湾曲する曲面の外側面の曲率半径は、この外側面に当接する金型12の曲面の曲率半径よりも大きい。
図5は、軟化した木材51を所定の位置に配置した後、金型11および12によって木材51を挟持し、圧縮力を加えている状態を示す図であり、より具体的には、木材51の金型11と金型12との隙間に相当する3次元形状への変形がほぼ完了した状態を示す図である。この図5に示す状態で所定時間放置した後、金型11と金型12を離間させて圧縮を解除し、上記水蒸気雰囲気を解いて大気中で木材51を乾燥させる。
乾燥した木材51の表面には、圧縮によって樹液成分の一部が染み出し、つやが出る。これは、圧縮工程を行う前に木材51が繊維飽和点以上の含水率を有する状態で保持されていたためである。このような状態においては、木材51に含まれる結合水や樹液成分が木材51から蒸発することなく、その木材51の内部に閉じ込められたままであるため、圧縮後につやとなって表面に染み出してくる分の樹液成分が圧縮前に失われてしまうことがない。したがって、木材51の圧縮後のつや出しを、別工程を経ることなく容易に実現することができる。
なお、繊維飽和点以上の含水率を有する木材は、気乾状態の木材と比較して強度的に劣る上、乾燥することによって収縮し、狂いや割れ等を生じるため、通常の建材等に使用されることは少ないが、本実施の形態においては、圧縮工程を行うことによって木材51の繊維密度が顕著に増加し、アルミニウム等の金属と同程度の強度を有するようになるため、加工後の圧縮木製品1の強度に問題が生じることはない。以後、圧縮工程を経た木材51を木材51'と称する。
以上説明した圧縮工程に続いて、大気中で木材51'に熱を加えつつ木材51'の形状を所定の最終形状に整形する(加熱整形工程)。図6は、加熱整形工程の概要を模式的に示す図である。同図に示す加熱整形工程では、一対の金型21および22(加熱整形用金型)を用いて木材51'を挟持、圧縮するとともに、金型21および22を介して木材51'に熱を加える。
木材51'の上方から圧縮力を加える金型21は、木材51'の内側面に嵌合する形状をなす凸部211を備える。この金型21の内部には、熱発生手段であるヒータ31が取り付けられている。このヒータ31は、温度制御機能を有する制御装置41に接続されており、制御装置41の制御のもとで発熱し、金型21に熱を加える。他方、木材51'の下方から圧縮力を加える金型22は、木材51'の外側面を嵌入する形状をなす凹部221を備える。この金型22の内部にもヒータ32が取り付けられている。このヒータ32も制御装置41に接続されており、制御装置41の制御のもとで発熱し、金型22に熱を加える。制御装置41は、ヒータ31および32の各発熱量を個別に制御することが可能である。したがって、木材51'の表面に、圧縮時間や金型温度に応じて異なる色合いやつやを生じさせることができる。
加熱整形工程において、木材51'に圧縮力を加える時間や金型21および22の各金型温度は、木材51'が有する特性や、加工後の木材51'に付与すべき性質等に応じて定めればよい。なお、ここでいう「木材51'が有する特性」には、木材51'の種類、産地、生育環境、生育状態などが含まれる。また、「木材51'に付与すべき性質」には、加工後の木材表面の色、つや、および加工後の木材の強度などが含まれる。
以上説明した加熱整形工程によれば、木材51'に圧縮力を加える時間や金型21および22の各金型温度を個別に制御することにより、各金型に当接した木材51'の色、つやの出方を自在に調整することができる。また、この加熱整形工程で木材51'に圧縮力を加えることにより、木材51'の表面の硬度を増加させることができる。
ところで、加熱整形工程は大気中で行うため、木材51'は軟化しない状態で圧縮力を加えることになる。したがって、この加熱整形工程において木材51'の形状を大きく変形することは困難である。この意味で、木材51'の形状は、圧縮工程を経た段階でほぼ圧縮木製品1の形状に近くなるようにしておき、加熱整形工程では形状はほとんど変えずに肉厚を若干薄くする程度の圧縮を行うようにすればよい。
以上説明した圧縮工程および加熱整形工程を経て完成した圧縮木製品1は、その肉厚が略均一となり、主板部の圧縮率C=(R−r)/Rの具体的な値は、0.5〜0.7程度である。
なお、上述した二つの工程(圧縮工程、加熱整形工程)において、木材を挟持して圧縮力を加える際には、少なくとも一方の金型を、対をなす他方の金型に対して上下動させる。この動作を行うためには、少なくとも一方の金型を電気的に駆動する駆動装置を設けることによって金型の上下動および圧縮力の調整を行うようにすればよい。また、駆動装置を設ける代わりに、上下に対向して位置する金型同士をねじで連結し、このねじを手動または自動で締めることによって金型の上下動および圧縮力の調整を行うようにしてもよい。
図7は、以上のようにして形成された圧縮木製品1の一適用例を示す図であり、より具体的には、圧縮木製品1から形成されるカバー部材によって外装されたデジタルカメラの外観構成を示す斜視図である。同図に示すデジタルカメラ100は、撮像レンズを含む撮像部101、フラッシュ102、およびシャッターボタン103を備え、二つのカバー部材2および3によって外装されて成る。このデジタルカメラ100の内部には、撮像処理等に関する駆動制御を行う制御回路、CCDまたはCMOS等の固体撮像素子、音声の入出力を行うマイクロフォンやスピーカ、および制御回路の制御のもと各機能部材を駆動する駆動回路を含み、デジタルカメラ100の機能を実現する各種電子的部材および光学的部材が収納される(図示せず)。
図8は、デジタルカメラ100の外装材をなすカバー部材2および3の概略構成を示す斜視図である。このうち、デジタルカメラ100の前面側を外装するカバー部材2の主板部2aには、撮像部101を表出する円筒形状の開口部201およびフラッシュ102を表出する直方体形状の開口部202が形成されている。また、このカバー部材2の側板部2bには、半円筒形状の切り欠き203が設けられている。
他方、デジタルカメラ100の背面側を外装するカバー部材3の主板部3aには、画像情報や文字情報を表示するために液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、または有機ELディスプレイ等を用いて実現される表示部(図示せず)を表出する直方体形状の開口部301が形成されている。このカバー部材3の側板部3bには、カバー部材2の切り欠き203と組み合わさってシャッターボタン103を表出するための開口部231をなす半円筒形状の切り欠き302が設けられている。
上述した開口部や切り欠き以外にも、ファインダ取付用の開口部や、操作指示信号の入力を受け付ける入力キー表出用の開口部を設けてもよいし、外部機器との接続用インタフェース(DC入力端子やUSB接続端子等を含む)を表出する開口部を設けてもよい。さらに、デジタルカメラ100内部のスピーカから出力される音声を外部に伝搬するための音声出力用孔部を設けてもよい。
なお、加熱整形工程において、例えばカバー部材2および3の内側面に嵌合する金型21の金型温度が木材51'の炭化温度(350℃程度)よりも高い温度に達するようにヒータ31を発熱させれば、内側面の表面には炭化層が形成される。この炭化層は導電性を有するため、カバー部材2および3の内側面に対し、外部から伝搬してくる電磁波を遮蔽する機能を具備させることができる。この結果、電磁波を遮蔽するための導電性部材を別に設ける必要がなくなり、デジタルカメラを製造する際の部品点数を減らし、工数およびコストを削減することが可能となる。
本実施の形態に係る木材の加工方法によって形成された圧縮木製品1は、デジタルカメラ以外の電子機器、具体的には携帯電話、PHSまたはPDA等の携帯型通信端末、携帯型オーディオ装置、ICレコーダ、携帯型テレビ、携帯型ラジオ、各種家電製品のリモコン、デジタルビデオなどの外装材としても適用可能である。このような小型の携帯用電子機器の外装材として圧縮木製品1を適用する際には、加工後の肉厚を1.6mm程度とするのが好ましい。この場合、例えば木材51の主板部51aの肉厚Rが3.0mm程度となるように無垢材50からの形取りを行い、圧縮工程で1.8mm程度にまで圧縮した後、加熱整形工程でさらに1.6mm程度にまで圧縮すればよい。
以上説明した本発明の一実施の形態によれば、繊維飽和点以上の含水率を有する状態にある木材を、大気よりも高温高圧の水蒸気雰囲気中で圧縮する圧縮工程と、前記圧縮工程で圧縮した木材を大気中で加熱しつつ前記3次元形状に整形する加熱整形工程とを行うことにより、加工対象の木材表面のつや出しを別工程を経ることなく容易に実現することができ、使用を重ねても木材表面のつやが失われることのない木材の加工方法を提供することができる。
また、本実施の形態によれば、形取った後の木材が繊維飽和点以上の含水率を有する状態を保持させておくことにより、結合水や樹液成分を木材内部により多く残留させておくことができるので、圧縮後の木材表面に樹液成分が染み出してくる。したがって、ラッカーやニスを塗装する別工程を経ることなく、木材につやを出すことが可能となる。
ところで、木材の樹液成分には、木材の種類に応じた香りの他、抗菌性や防虫性などを有する種々の有用な精油成分が含まれている。このため、気乾状態の木材の場合には、圧縮することによって樹液成分が失われたり減少したりして、樹液成分に応じた木材の特徴が損なわれてしまうという問題があった。本実施の形態によれば、上記の如く樹液成分の蒸発を防止した上で木材の加工を行うため、気乾状態の木材を用いる場合のように木材の特徴が損なわれてしまうこともない。
なお、使用する木材の特性によっては、圧縮工程終了時において、製品として十分耐え得る程度の色合いやつやが出る場合もある。このような木材を加工する場合には、加熱整形工程を行うことなく、圧縮工程のみによって所望の肉厚に到達するように金型の形状や形取る木材の形状を調整してもよい。
以上、本発明を実施するための最良の形態を詳述してきたが、本発明は上記一実施の形態によってのみ限定されるべきものではない。例えば、気乾状態にある木材を用いて上記同様の色、つやを有する圧縮木製品を製造することも可能である。この場合には、その木材の圧縮工程を行う際の水蒸気雰囲気中に、乾燥して気乾状態に達するまでに木材から蒸発した樹液成分を含む補充剤を添加し、この補充剤が添加された水蒸気雰囲気中で木材を所定時間放置して軟化させる。これにより、圧縮工程を行う段階では、上記一実施の形態における木材51と同等の性質を備えた木材(含水率が繊維飽和点以上)を得ることができる。したがって、最終的に得られる圧縮木製品も、圧縮木製品1と同様、別工程を経ずにつやを出すことができる。
このように、本発明は、ここでは記載していないさまざまな実施の形態等を含みうるものであり、特許請求の範囲により特定される技術的思想を逸脱しない範囲内において種々の設計変更等を施すことが可能である。
本発明の一実施の形態に係る木材の加工方法によって形成された圧縮木製品の構成を示す斜視図である。 図1のA−A線断面図である。 木材を無圧縮状態の無垢材から形取る状況を示す説明図である。 本発明の一実施の形態に係る木材の加工方法の圧縮工程の概要を示す図である。 本発明の一実施の形態に係る木材の加工方法の圧縮工程において木材の変形がほぼ完了した状態で圧縮している状況を示す図である。 本発明の一実施の形態に係る木材の加工方法の加熱整形工程の概要を示す図である。 本発明の一実施の形態に係る木材の加工方法によって形成された圧縮木製品を外装材とするデジタルカメラの外観構成を示す斜視図である。 図7のデジタルカメラを外装するカバー部材の構成を示す斜視図である。
符号の説明
1 圧縮木製品
2、3 カバー部材
1a、2a、3a、51a 主板部
1b、1c、2b、2c、3b、3c、51b、51c 側板部
1G 木目
11、12 金型(圧縮用金型)
21、22 金型(加熱整形用金型)
31、32 ヒータ
41 制御装置
50 無垢材
51、51' 木材
51ab 曲面
100 デジタルカメラ
101 撮像部
102 フラッシュ
103 シャッターボタン
111、211 凸部
121、221 凹部
201、202、231、301 開口部
203、302 切り欠き

Claims (3)

  1. 木材を所定の3次元形状に加工する木材の加工方法であって、
    繊維飽和点以上の含水率を有する状態にある木材を、大気よりも高温高圧の水蒸気雰囲気中で圧縮する圧縮工程と、
    前記圧縮工程で圧縮した木材を大気中で加熱しつつ前記3次元形状に整形する加熱整形工程と、を含み、
    前記木材を、原木の状態から前記圧縮工程を行うまでの間、常に繊維飽和点以上の含水率を有する状態で保管し、かつ、
    前記加熱整形工程は、前記3次元形状に対応して形成された一対の加熱整形用金型によって前記木材を挟持して圧縮力を加えるとともに、前記一対の加熱整形用金型の各金型温度を個別に調整することによって前記木材を加熱することを特徴とする木材の加工方法。
  2. 前記圧縮工程は、前記木材を変形すべき形状に対応して形成された一対の圧縮用金型によって前記木材を挟持して圧縮力を加えることを特徴とする請求項1記載の木材の加工方法。
  3. 前記水蒸気雰囲気は、温度が100〜230℃であり、圧力が0.1〜3MPaであることを特徴とする請求項1または2記載の木材の加工方法。
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