JP2007118454A - 木材の加工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】木材を圧縮成形することによってその木材に含まれる樹液成分に由来する特性が失われたり減少したりすることを防止することができ、加工対象の木材とは異なる種類の木材に含まれる樹液成分に由来する特性を追加することもできる木材の加工方法を提供する。
【解決手段】木材を一対の金型によって3次元形状に加工する際に、前記一対の金型のうち少なくとも一方の金型が有する表面であって前記木材の表面と接触する表面に対し、精油を含み温度が5〜35℃で液体である精油含有液を付着させる精油含有液付着工程と、前記精油含有液が付着した金型を含む前記一対の金型を用いることにより、大気よりも高温高圧の水蒸気雰囲気中で前記木材を挟持して圧縮力を加える圧縮工程と、を行い、前記精油として、前記圧縮工程を行う雰囲気において液体または固体であるような精油を用いる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、木材を圧縮することによって3次元形状に加工する木材の加工方法に関する。
近年、自然素材である木材が注目されている。木材はさまざまな木目を有するため、原木から形取る箇所に応じて個体差が生じ、その個体差が製品ごとの個性となる。また、長期の使用によって生じる傷や色合いの変化自体も、独特の風合いとなって使用者に親しみを生じさせることがある。これらの理由により、合成樹脂や軽金属を用いた製品にはない、個性的で味わい深い製品を生み出すことのできる素材として木材が注目されており、その加工技術も飛躍的に進歩しつつある。
従来、かかる木材の加工技術として、吸水軟化した一枚の木材を圧縮し、その木材を圧縮方向と略平行にスライスして板状の一次固定品を得た後、この一次固定品を加熱吸水させながら所定の3次元形状に成形する技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。さらに、軟化処理した状態で圧縮した一枚の木材を仮固定し、この木材を型に入れて回復させることによって型成形する技術も知られている(例えば、特許文献2を参照)。このような加工技術を用いて圧縮成形された木材(圧縮木材)は、電子機器の外装体としても適用し得る程度の強度を有することが知られている(例えば、特許文献3を参照)。
特許第3078452号公報 特開平11−77619号公報 特開2005−153364号公報
上述した従来の圧縮成形技術では、原木から形取った木材を大気よりも高温高圧の水蒸気雰囲気中で所定時間放置して軟化させる。この際には、水蒸気が木材に浸透することによってその木材内部の樹液成分が水分中に溶け出したり、空気中に揮発したりする。加えて、木材を軟化させた後、上記の如く圧縮成形を行うと、木材繊維中の空隙が縮小することにより、木材内部に含まれる水分とともに木材内部に残っていた樹液成分が外部へと流出する。このため、従来の圧縮成形技術では、圧縮成形前の木材に元来含まれていた樹液成分が、木材圧縮後に減少したり失われたりしてしまうという問題があった。
木材の樹液成分には、木材の種類に応じた芳香などの他に、抗菌性や防虫性などの特性を発現する精油が含まれている。このような精油を含む樹液成分が圧縮成形によって木材から失われたり減少したりすると、その木材の樹液成分に由来する木材の特性が損なわれてしまうことがあった。
また、樹液成分に含まれる精油は木材の種類に応じて異なるため、ある種類の木材の特性を、その木材とは異なる種類の木材に具備させることは不可能であった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、木材を圧縮成形することによってその木材に含まれる樹液成分に由来する特性が失われたり減少したりすることを防止することができ、加工対象の木材とは異なる種類の木材に含まれる樹液成分に由来する特性を追加することもできる木材の加工方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1記載の発明は、木材を一対の金型によって3次元形状に加工する木材の加工方法において、前記一対の金型のうち少なくとも一方の金型が有する表面であって前記木材の表面と接触する表面に対し、精油を含み温度が5〜35℃で液体である精油含有液を付着させる精油含有液付着工程と、前記精油含有液が付着した金型を含む前記一対の金型を用いることにより、大気よりも高温高圧の水蒸気雰囲気中で前記木材を挟持して圧縮力を加える圧縮工程と、を有し、前記精油は、前記圧縮工程を行う雰囲気において液体または固体であることを特徴とする。
この発明における精油とは、植物の花、葉、果実などから抽出される芳香のある揮発性の成分のことを意味している。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記精油は、前記木材と同じ種類の木材の樹液成分に含まれることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、前記精油は、前記木材と異なる種類の木材の樹液成分に含まれることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項記載の発明において、前記精油含有液は、温度が5〜35℃で液体である溶媒に前記精油が溶解されて成ることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項記載の発明において、前記精油含有液は、温度が5〜35℃で液体である分散媒に前記精油が分散されて成ることを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項記載の発明において、前記精油含有液は、複数種類の精油を含むことを特徴とする。
請求項7記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項記載の発明において、前記3次元形状は皿状であり、前記精油含有液付着工程は、前記皿状となる木材の表面のうち皿の外側となる表面と接触する金型の表面に前記精油含有液を付着させることを特徴とする。
本発明に係る木材の加工方法によれば、木材を一対の金型によって3次元形状に加工する際に、前記一対の金型のうち少なくとも一方の金型が有する表面であって前記木材の表面と接触する表面に対し、精油を含み温度が5〜35℃で液体である精油含有液を付着させる精油含有液付着工程と、前記精油含有液が付着した金型を含む前記一対の金型を用いることにより、大気よりも高温高圧の水蒸気雰囲気中で前記木材を挟持して圧縮力を加える圧縮工程と、を行い、前記精油として、前記圧縮工程を行う雰囲気において液体または固体であるような精油を用いることにより、木材を圧縮成形することによってその木材に含まれる樹液成分に由来する特性が失われたり減少したりすることを防止することができ、加工対象の木材とは異なる種類の木材に含まれる樹液成分に由来する特性を追加することもできる。
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための最良の形態(以後、実施の形態と称する)を説明する。本発明の一実施の形態に係る木材の加工方法においては、まず、所定の形状をなす木材を原木から形取る(形取工程)。図1は、この形取工程の概要を模式的に示す図である。同図に示す木材1は、原木である無圧縮状態の無垢材10(木目10Gを有する)から切削等によって形取られ、略長方形状の表面をなす平板状の主板部1aと、この主板部1a表面の長手方向に略平行な2辺の各々から主板部1a表面に対して所定の角度をなして延出する二つの側板部1bと、主板部1a表面の短手方向に略平行な2辺の各々から主板部1a表面に対して所定の角度をなして延出する二つの側板部1cとを備え、皿状(椀状、シェル状、箱状等の形状を含む)をなす。この木材1は、後述する圧縮工程によって減少する分の容積を予め加えた容積を有する。
図1に示す場合、無垢材10から形取る木材1の長手方向とその木材1の繊維方向Lとが略平行であって主板部1aの表面が柾目面をなすように形取りを行っているが、これはあくまでも一例に過ぎない。他にも、木材1の長手方向がその木材1の繊維方向Lと略平行であり、主板部1aの表面が板目面、追柾面をなすように形取ることもできる。また、木材1の長手方向がその木材の繊維方向Lと略直交し、主板部1aの表面が木口面をなすように形取ることもできる。このように、木材を原木からどのように形取るかは、その木材に対して要求する強度や美観等の条件に応じて定められる。このような事情に鑑み、以後の説明で参照する図面においては、木目を省略して記載する。
なお、無垢材10は、ヒノキ、ヒバ、スギ、桐、松、桜、欅、黒檀、竹、チーク、マホガニー、ローズウッドなどの中から、加工した木材の用途等に応じて最適なものを選択すればよい。また、木材を原木から形取る際には平板状に形取ってもよい。
図2は、本実施の形態に係る木材の加工方法において使用する金型の構成および木材1を圧縮する前の状態を示す図であり、図3は図2のA−A線断面図である。これらの図に示すように、木材1は、一対の金型51および61によって挟持され、圧縮力が加えられる。この一対の金型のうち、圧縮時に木材1の上方から圧縮力を加える金型51は、木材1の主板部1aから側板部1bおよび1cに各々立ち上がって湾曲する曲面の内側面に嵌合する形状をなす凸部52を備えたコア金型である。木材1の内側面のうち、主板部1aから側板部1bに立ち上がって湾曲する曲面1ab内側面の曲率半径をRIとし、凸部52のうち曲面1abに当接する曲面の曲率半径をRAとすると、この二つの曲率半径は、RI>RAという関係を満たす。
これに対し、圧縮時に木材1の下方から圧縮力を加える金型61は、木材1の主板部1aから側板部1bおよび1cに各々立ち上がって湾曲する曲面の外側面を嵌入する凹部62を備えたキャビティ金型である。木材1の主板部1aから側板部1bに立ち上がって湾曲する曲面1ab外側面の曲率半径をROとし、凹部62のうち曲面1abの外側面に当接する曲面の曲率半径をRBとすると、この二つの曲率半径は、RO>RBという関係を満たす。
金型61の凹部62の表面(皿状をなす木材1の表面のうち皿の外側に相当する表面と接触する金型の表面)には、精油を含む液体から成る精油含有液101が付着している。精油含有液101は、木材1を金型51と金型61の間にセットする前に、常温(5〜35℃程度)またはそれよりも高い温度(〜100℃程度)を有する状態で凹部62の表面に付着される(精油含有液付着工程)。
精油含有液101は、少なくとも凹部62の表面に付着させる際に液体であればよい。これにより、精油含有液101を凹部62の表面に付着させる際には、刷毛やローラーによって精油含有液101を塗布するか、またはスプレーによって精油含有液101を吹き付ければよいので、精油含有液付着工程を容易にかつ迅速に行うことが可能となる。したがって、精油含有液101は、凹部62へ付着させる際の温度(通常は5〜35℃程度であるが、後述する圧縮工程を経た金型では100℃程度になることもある)で液体である溶媒に精油を溶解させたものであってもよいし、凹部62へ付着させる際の温度で液体である分散媒に精油を分散させたものであってもよい。
ここで、精油含有液101の例を挙げる。まず、ヒノキやアカマツの樹液成分に含まれる精油であるα−ピネンは、融点が−57℃であって常温で液体であるため、α−ピネン単体で精油含有液101と成り得る。他方、ヒノキの樹液成分に含まれる精油であるヒノキオール(融点:234〜235℃)は常温では固体であるため、単体で精油含有液101とすることはできないが、エタノール、エーテル、アセトン、クロロホルムなどに可溶であるため、これらのうちのいずれかを溶媒としてヒノキオールを溶解させた溶液を精油含有液101とすることができる。
以上説明した精油含有液付着工程に続いて、金型51および61を用いて木材1を圧縮する(圧縮工程)。この圧縮工程を行うに際して、木材1を大気よりも高温高圧の水蒸気雰囲気中に所定時間放置することにより、水分を過剰に吸収させて軟化させる。ここでいう高温高圧とは、温度が100〜230℃、より好ましくは150〜230℃、さらに好ましくは180〜200℃程度であり、圧力が0.1〜3.0MPa(メガパスカル)、より好ましくは0.45〜2.5MPa、さらに好ましくは1.0〜1.6MPa程度の状態を指す。なお、上述した水蒸気雰囲気中で木材1を放置して軟化させる代わりに、例えば木材1をマイクロウェーブの如き高周波の電磁波によって加熱して軟化させてもよい。
その後、上記同様の水蒸気雰囲気中で木材1を圧縮する。図4は、軟化した木材1を所定の位置に配置した後、金型51を下降させて金型61との間で木材1を挟持し、この挟持した木材1に対して所定の圧縮力を加えている状態を示す図であり、木材1の圧縮力による変形がほぼ完了した状態を示す図である。図4に示すように、木材1は金型51および61から圧縮力を受けることにより、金型51と金型61との隙間に相当する3次元形状に変形される。この際、凹部62の表面に付着していた精油含有液101の少なくとも一部をなす精油は、圧縮力を受けることによって木材1の外側面に徐々に浸透していき、その外側面の表層に精油含浸部Pを形成する。
図5および図6は、精油が木材1に浸透する前および後の木材1の表層の一部をそれぞれ模式的に示す図であり、より具体的には、木材1が針葉樹(ヒノキ、ヒバなど)である場合の圧縮前(図5)と圧縮後(図6)の木材1の表層の繊維方向Lに垂直な断面を模式的に示す図である。これらの図に示すように、木材1は細胞壁Wに囲まれて連続する仮導管Tを有し、図5に示す圧縮前の状態において、この仮導管Tが比較的大きい開口を有している。これに対して、図6に示す圧縮後の状態では、細胞壁Wが圧縮方向に潰され、仮導管Tの開口が細隙化している。精油含有液101の少なくとも一部をなす精油101Rは、主にこのような細隙化した仮導管Tを通じて木材1の表面から適当な深さの範囲に浸透することによって精油含浸部Pを形成している。このため、木材1の表層に浸透した精油101Rは、木材1を乾燥させた後も仮導管Tの内部に留まる。なお、木材1が広葉樹(桐、欅など)の場合には、上述した仮導管Tの役割を導管が担う。
精油101Rが上記の如く木材1に浸透していくためには、精油101Rの沸点が上記水蒸気雰囲気中でも気化しない程度の値を有している必要がある。すなわち、上記水蒸気雰囲気における温度は100〜230℃程度であるため、精油101Rはこのような高温の水蒸気雰囲気中において液体でなければならない。この水蒸気雰囲気は、大気中の圧力(大気圧)よりも高圧であるため、精油101Rの沸点は大気圧における値よりも上昇する。例えば、精油含有液101としてα−ピネンを用いる場合すなわち精油101Rがα−ピネンである場合を考えると、α−ピネンの大気圧下での沸点は155〜156℃であることが知られているが、上述した水蒸気雰囲気中では、これよりも数℃〜数十℃程度沸点が上昇するため、木材1の材質の選択や水蒸気雰囲気の圧力の設定を適切に行えば、圧縮工程において精油101Rを液体の状態に保持させることができる。
また、精油含有液101としてヒノキオール溶液を適用する場合、上述したエタノール等の溶媒は上記水蒸気雰囲気で揮発する可能性があるが、ヒノキオール自体は沸点が大気圧下でも240〜247℃であるため、依然として液体であるか、または固体である。仮にヒノキオールが圧縮時に固体であったとしても、ヒノキオールが圧縮力を受けて木材1の表層に浸透していくことに変わりはない。
ところで、α−ピネンとヒノキオールは、ともにヒノキに含まれる精油である。ヒノキは、α−ピネンに代表されるモノテルペンや、ヒノキオールに代表されるセスキテルペンを含んでおり、これら各種テルペン類の相乗作用により、芳香に加えて抗菌性を有している。このため、ヒノキは耐久性の高い優れた建築用木材として古来知られている。このようなヒノキの特性に鑑みて、例えばα−ピネンとヒノキオールとの混合液(溶媒を含む)から成る精油含有液101を、ヒノキとは異なる種類の木材1に含浸させれば、ヒノキが有する芳香や抗菌性といった特性を他の種類の木材1に付加することができる。したがって、木材1としてヒノキよりも安価で手に入りやすいスギのような木材を使用すれば、あたかもヒノキであるかのごとき高級感に溢れた圧縮木製品を低コストで製造することが可能となる。
木材1としてスギを用いる場合、α−ピネンやヒノキオールに加えて、クリプトメリオール、クリプトメリジオール、δ−カジネン、β−オイデスモール等のスギの樹液成分に本来含まれる精油をさらに混合させることによって精油含有液101を構成すれば、上記水蒸気雰囲気中で木材1を放置した際や、木材1の圧縮成形を行った際に、その木材1から失われたり減少したりした分の精油を補うことができ、木材1自身が本来有する特性を回復させることができる。
ここで、木材の樹液成分に由来する木材の特性例と各特性を有する代表的な木材の種類を挙げておく。ヒノキと同様に抗菌性を有する木材としては、ヒバ、サワラ、ネズコ、タイヒ、ユーカリ等が知られている。また、クス、センダン、ユーカリなどの木材は防虫性を有することが知られている。特定の虫、例えばダニを死滅させる作用(防ダニ性)がある木材としてはヒノキ、ヒバ、サワラ、スギ、アカマツ、ベイヒバ、ベイスギなどが知られており、シロアリに対する抵抗力がある(防アリ性)木材としてはヒノキ、ヒバ、サワラ、コウヤマキ、イヌマキ、センダンなどが知られている。これらの各種木材に含まれる精油を適当に混合して精油含有液を構成することにより、木材1に対して所望の特性を付加したり再生したりすることが可能となる。
上述した各種特性を発現する精油としては、α−ピネンやヒノキオール等の他に、ヒノキチオール、カンファー、カンフェン、γ−カジネン、α−カジノール、δ−カジノール、クパレン、酢酸ボルニル、サフロール、シネオール、セドレン、セドロール、ツヨプセン、ドラブリン、フェンケン、ボルネオール、リモネンなどがある。
なお、木材は上記以外にもさまざまな特性(例えば、脱臭作用、防カビ作用、ヒトの健康増進作用など)を有しており、各特性を発現する精油もさまざまな種類が知られている。この意味で、本実施の形態において適用可能な精油は、上述したものに限定されるわけではない。
精油含有液101に含有させる精油を木材の樹液成分から抽出する際には、抽出する精油の特性に応じて適当な抽出方法を採用すればよく、例えば、溶出、圧搾、遠心分離、乾留などの抽出方法を採用することができる。また、精油の化学組成が特定されており、人工的に製造可能である場合には、化学的に精製した精油を適用してもよい。
圧縮工程において所定時間(1〜数十分、より好ましくは5〜10分程度)だけ木材1に圧縮力を加えた後、上記水蒸気雰囲気を解いて木材1を乾燥させ、金型51と金型61を離間させて圧縮を解除する。この結果、木材1の肉厚は、圧縮工程を行う前の肉厚の30〜50%程度となる。
以上説明した圧縮工程において金型51を金型61に対して上下動させる際には、しかるべき駆動手段を用いて金型51を電気的に駆動させるようにしてもよいし、金型51と金型61とをねじで連結し、このねじを手動または自動で締めることによって金型51を金型61に対して上下動させるようにしてもよい。
この圧縮工程の結果、木材1の端面等に成形ムラや成形誤差が生じている場合には、切削や研磨等によって適当な端面処理を施せばよい。
図7は、本実施の形態に係る木材の加工方法によって形成された圧縮木製品の構成を示す斜視図である。また、図8は、図7のB−B線断面を模式的に示す縦断面図である。これらの図7および図8に示す圧縮木製品2は、木材1の主板部1a、二つの側板部1b、および二つの側板部1cにそれぞれ対応する主板部2a、二つの側板部2b、および二つの側板部2cを備える。また、主板部2aから湾曲して側板部2bおよび2cに至る外側面には、精油101Rによって精油含浸部Pが形成されている。この精油含浸部Pの浸透深さは、圧縮木製品2の肉厚、圧縮率、木材の密度等によって変わってくる。例えば、精油含浸部Pの浸透深さが、圧縮木製品2を使用する場合に受ける可能性がある傷の深さよりも大きい値となるようにしておけば、傷が付くことによって精油101Rによる特性が失われることがないのでより好ましい。
なお、図8では、精油含浸部Pを木材とは分離した個別の領域であるかの如く記載しているが、これは図8が模式図であるためであり、実際の精油含浸部Pは、図6を参照して説明したように、細胞壁に囲まれた導管または仮導管の内部に精油101Rが浸透することによって形成されていることは勿論である。
図9は、圧縮木製品2の一適用例を示す図であり、より具体的には圧縮木製品2から形成されるカバー部材によって外装されたデジタルカメラの外観構成を示す斜視図である。同図に示すデジタルカメラ81は、撮像レンズを含む撮像部82、フラッシュ83、およびシャッターボタン84を備え、二つのカバー部材3および4によって外装されて成る。デジタルカメラ81の内部には、撮像処理等に関する駆動制御を行う制御回路、CCDやCMOS等の固体撮像素子、音声の入出力を行うマイクロフォンやスピーカ、および制御回路の制御のもと各機能部材を駆動する駆動回路を含み、デジタルカメラ81の機能を実現する各種電子的部材および光学的部材が収納される(図示せず)。
図10は、デジタルカメラ81の外装材をなすカバー部材3および4の概略構成を示す斜視図である。このうち、デジタルカメラ81の前面側を外装するカバー部材3は、圧縮木製品2の主板部2a、ならびに側板部2bおよび2cにそれぞれ対応する主板部3a、ならびに側板部3bおよび3cを備える。このうち、主板部3aには、撮像部82を表出する円筒形状の開口部31およびフラッシュ83を表出する直方体形状の開口部32が形成されている。また、側板部3bには、半円筒形状の切り欠き33が形成されている。
他方、デジタルカメラ81の背面側を外装するカバー部材4は、圧縮木製品2の主板部2a、ならびに側板部2bおよび2cにそれぞれ対応する主板部4a、ならびに側板部4bおよび4cを備える。このうち、主板部4aには、画像情報や文字情報を表示するために液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、または有機ELディスプレイ等を用いて実現される表示部(図示せず)を表出する直方体形状の開口部41が形成されている。また、側板部4bには、カバー部材3に形成された切り欠き33と組み合わさってシャッターボタン84を表出するための開口部341をなす半円筒形状の切り欠き42が形成されている。カバー部材3および4はほぼ均一な肉厚を有しており、各々の外側面には精油含浸部Pが形成されている(点線領域)。
カバー部材3および4がそれぞれ有する開口部や切り欠きは、カバー部材3および4の原材料である木材1を無垢材10から形取る際に一括して形成してもよいし、木材1の圧縮工程を行った後に切削または穿孔等によって形成してもよい。また、カバー部材3または4に対し、ファインダを取り付けたり、操作指示入力ボタンを表出したりするための開口部や切り欠きを設けてもよいし、外部機器との接続用インタフェース(DC入力端子やUSB接続端子等を含む)を表出する開口部を設けてもよい。さらに、カバー部材3または4に対し、デジタルカメラ81の内部に設けられるスピーカが発生する音声を外部に出力するために複数の小さい孔部から成る音声出力用孔部を設けてもよい。
なお、圧縮木製品2は、デジタルカメラ以外の小型携帯用電子機器、例えば、携帯電話、PHSまたはPDA等の携帯型通信端末、携帯型オーディオ装置、ICレコーダ、携帯型テレビ、携帯型ラジオ、各種家電製品のリモコン、デジタルビデオなどの外装材としても適用可能である。また、圧縮木製品2は、電子機器の外装材以外にも、例えばめがねケースや食器等として適用することができる。
以上説明した本発明の一実施の形態に係る木材の加工方法によれば、木材を一対の金型によって3次元形状に加工する際に、前記一対の金型のうち少なくとも一方の金型が有する表面であって前記木材の表面と接触する表面に対し、精油を含み温度が5〜35℃で液体である精油含有液を付着させる精油含有液付着工程と、前記精油含有液が付着した金型を含む前記一対の金型を用いることにより、大気よりも高温高圧の水蒸気雰囲気中で前記木材を挟持して圧縮力を加える圧縮工程と、を行い、前記精油として、前記圧縮工程を行う雰囲気において液体または固体であるような精油を用いることにより、木材を圧縮成形することによってその木材に含まれる樹液成分に由来する特性が失われたり減少したりすることを防止することができ、加工対象の木材とは異なる種類の木材に含まれる樹液成分に由来する特性を追加することもできる。
特に、本実施の形態によれば、加工対象の木材の樹液成分に含まれる精油を含浸させることによってその木材が本来有する特性が失われるのを防止することができる一方で、加工対象の木材とは異なる種類の木材の樹液成分に含まれる精油を加工対象の木材に含浸させることによって異なる木材の特性を付加することもできる。したがって、複数種類の精油を混合することによって加工対象の木材に所望の特性を具備させることが可能となる。
また、本実施の形態によれば、3次元形状として皿状をなす木材の外側面が滑らかな金型の表面に沿って密着して圧縮成形され、その金型に当接して圧縮された木材の表層に精油含浸部が形成されるため、木材表面の平滑性、光沢性に優れるものとなっている。このため、コーティング処理を別工程として行わなくても、工業製品の外装材などに好適な表面を形成することができる。加えて、その表面が樹脂やワックスなどのコーティング層で覆われないため、表面の溶融物層を除去するための表面研磨などの工程を行うことなく、木材表面の触感、色彩、および質感といった木材の風合いを保持することができる。
なお、上記一実施の形態に係る木材の加工方法の精油含有液付着工程では、金型61の凹部62の表面に精油含有液101を付着させた後、圧縮工程によって木材1の外側面に精油含浸部Pを形成したが、これとは逆に、金型51の凸部52の表面に精油含有液101を付着させ、圧縮工程によって木材1の内側面に精油含浸部を形成してもよい。
また、精油含有液付着工程において、金型51の凸部52および金型61の凹部62の各々に対して同じまたは異なる種類の精油を付着させることにより、木材1の内側面と外側面の両方に精油含浸部を形成してもよい。
このように、本発明は、ここでは記載していないさまざまな実施の形態等を含みうるものであり、特許請求の範囲により特定される技術的思想を逸脱しない範囲内において種々の設計変更等を施すことが可能である。
本発明の一実施の形態に係る木材の加工方法における形取工程を模式的に示す図である。 本発明の一実施の形態に係る木材の加工方法において使用する金型の構成および木材を圧縮する前の状態を示す図である。 図2のA−A線断面図である。 本発明の一実施の形態に係る木材の加工方法における圧縮工程において木材を圧縮している状態を示す断面図である。 本発明の一実施の形態に係る木材の加工方法によって形成された圧縮木製品の圧縮前の木材の繊維方向に垂直な断面の構造を模式的に示す図である。 本発明の一実施の形態に係る木材の加工方法によって形成された圧縮木製品の圧縮後の木材の繊維方向に垂直な断面の構造を模式的に示す図である。 本発明の一実施の形態に係る木材の加工方法によって形成された圧縮木製品の構成を示す斜視図である。 図7のB−B線断面図である。 本発明の一実施の形態に係る木材の加工方法によって形成された圧縮木製品を外装材として適用したデジタルカメラの外観構成を示す斜視図である。 図9のデジタルカメラを外装するカバー部材の構成を示す斜視図である。
符号の説明
1 木材
1a、2a、3a、4a 主板部
1b、1c、2b、2c、3b、3c、4b、4c 側板部
1ab 曲面
2 圧縮木製品
3、4 カバー部材
10 無垢材
10G 木目
31、32、41、341 開口部
33、42 切り欠き
51、61 金型
52 凸部
62 凹部
81 デジタルカメラ
82 撮像部
83 フラッシュ
84 シャッターボタン
101 精油含有液
101R 精油
L 繊維方向
P 精油含浸部
T 仮導管
W 細胞壁

Claims (7)

  1. 木材を一対の金型によって3次元形状に加工する木材の加工方法において、
    前記一対の金型のうち少なくとも一方の金型が有する表面であって前記木材の表面と接触する表面に対し、精油を含み温度が5〜35℃で液体である精油含有液を付着させる精油含有液付着工程と、
    前記精油含有液が付着した金型を含む前記一対の金型を用いることにより、大気よりも高温高圧の水蒸気雰囲気中で前記木材を挟持して圧縮力を加える圧縮工程と、
    を有し、
    前記精油は、前記圧縮工程を行う雰囲気において液体または固体であることを特徴とする木材の加工方法。
  2. 前記精油は、前記木材と同じ種類の木材の樹液成分に含まれることを特徴とする請求項1記載の木材の加工方法。
  3. 前記精油は、前記木材と異なる種類の木材の樹液成分に含まれることを特徴とする請求項1または2記載の木材の加工方法。
  4. 前記精油含有液は、温度が5〜35℃で液体である溶媒に前記精油が溶解されて成ることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の木材の加工方法。
  5. 前記精油含有液は、温度が5〜35℃で液体である分散媒に前記精油が分散されて成ることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の木材の加工方法。
  6. 前記精油含有液は、複数種類の精油を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載の木材の加工方法。
  7. 前記3次元形状は皿状であり、
    前記精油含有液付着工程は、前記皿状となる木材の表面のうち皿の外側となる表面と接触する金型の表面に前記精油含有液を付着させることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項記載の木材の加工方法。
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