JP4766374B2 - 給排気構造 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば給湯器、風呂釜、温水循環式暖房機、あるいは、これらを複合させたものなどの燃焼機器において、燃焼用空気の給気や、排気ガスの排気のために用いられる給排気構造に関する。
従来、この種の給排気構造として、排気筒の外周側に給気筒を配設して二重筒状にし、建物の外壁から外方に突出させた排気トップの後側位置に給気口を開口させる一方、排気トップの前面板の上側一部に給気口と連通するように前面給気口を開口させることにより、逆風による排気ガスのショートサイクル(排出された排気ガスが風に押し負けて給気口に流入して再循環されてしまうこと)の発生を抑制又は低減化させようとするものが知られている(例えば特許文献1〜3参照)。
又、他の給排気構造として、上記の如き二重筒状の給排気一体型の他に、例えば図11に例示するように、燃焼機器Dから排気用と給気用との双方の延長配管101,102を互いに独立させて延出させ、個別に建物の外壁2を貫通した後に排気トップ103と給気トップ104とが横並びの各位置に配置される個別方式のものも知られている。この場合には主として横風を受けた場合に上記の排気ガスのショートサイクルが発生するおそれが生じる。すなわち、排気トップ103から出た排気ガスが横風を受けて給気トップ104に回り、給気トップ104から排気ガスが取り込まれてしまって排気ガスの再循環が生じてしまう。このような個別方式の排気トップ103の構造は、例えば図12に例示するように外壁2を貫通した排気筒300の先端に対し排気トップ103が連結され、併せて外壁2に固定するための取付用のフランジ部材5が連結され、上記排気トップ103の下側位置にドレン受け70が取り付けられている。
特開平9−126444号公報 特開平9−126445号公報 特開平9−126446号公報
ところで、近年、燃焼機器においては熱効率をより一層高めるために、燃焼熱により例えば熱交換器を熱交換加熱した後の排気ガスからもその潜熱を回収するという潜熱回収型の燃焼機器が開発されている。これは燃焼による本来の加熱対象である一次熱交換器の下流側であって排気ガスの排出通路の途中に二次熱交換器を横切るように介装し、この二次熱交換器によって排気ガスの潜熱を回収しようとしている。
しかしながら、このような潜熱回収型の場合には、排気ガスの潜熱をも回収するものであるため排気ガス温度がより低くなり、この結果、二次熱交換器が介装されていない従来型の場合と比べ、排気トップ近傍の排気ガスの流速が遅く(例えば2/3程度に遅く)なってしまう。このため、従来よりも弱い風であっても、排気トップから出た排気ガスがその風に押し負けて給気側に流入してしまうというショートサイクルを引き起こす傾向が強まる結果を招くおそれがある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、排気ガスの流速が従来よりも遅くなる傾向にあってもショートサイクルの発生を確実に抑制・防止し得る給排気構造を提供することにある。併せて排気ガスから生じるドレンに対する対策も確保し得るようにする。
上記目的を達成するために、本発明では、燃焼機器から排気ガスを導出するための排気筒と、燃焼機器に外気を導入するための給気筒と、上記排気筒の先端に結合される排気トップとを備えた給排気構造を対象にして、次のような排気カバーを備えることとした。すなわち、排気ガスが通過する開口を強制的に狭めることにより排気ガスの流速を増速させるよう設定された透孔を有する排気カバーであって、上記排気トップの排気口から出た排気ガスが上記透孔を通過して外部空間に出るように配設された排気カバーを備えることとし、上記透孔として、排気ガスが通過する開口として上記排気筒の通路断面積よりも小さくなるように形成する
以上の特定事項部分の場合、上記排気カバーの透孔により排気ガスの通過する開口が強制的に狭められるため、排気口から出た排気ガスが上記透孔を通過する際に増速され、増速された状態で外部に吹き出されることになる。このため、風を受けても給気筒の先端側に流れ込み難くなり、ショートサイクルの発生が抑制・防止されることになる。かかる給排気構造は、排気トップと給気トップとが互いに離隔して並設された個別方式の給排気構造においても、排気筒が内側に給気筒が外側にそれぞれ配置された二重筒方式の給排気一体型の給排気構造においても、いずれでも適用することができ、本発明の適用により上記の作用が得られることになる。又、排気カバーを追加するだけでよいため、既存の排気トップや、設置前の既存構造の排気トップを共用することが可能になり、これらに対しても追加設置することにより上記の作用が得られるようになる。さらに、排気トップが排気カバーにより覆われることになるため、特に既存の排気トップにおいて外観の向上を図り得る。
そして、上記の特定事項部分に加えて、本発明の排気カバーでは、その下部位置において排気ガスドレンを一時的に貯留するよう上方に開口した状態に区画形成されたドレン受けを一体に備えることとし、上記排気カバーとして、上記透孔が形成された前面壁と、筒壁と、ドーナッツ環状の後面壁とを備え、上記前面壁が上記排気トップの前面を覆うように形成する一方、内部下側に、前・後を上記前面壁及び後面壁により区画し、底を上記筒壁により区画して上記ドレン受けを形成することとした(請求項)。この場合、透孔による排気ガスの増速と、ドレン受けによる排気ガスドレンの捕集及び排出とが共に上記排気カバーによって実現し得るようになる。つまり、排気カバーによりドレン受けも兼用し得るため、別部材としてドレン受けを設ける必要もなくなる。加えて、上記ドレン受けにより、外部から見えない状態で排気ガスドレンの貯留を行うことができ、排気ガスドレンの飛散防止や美観向上等をも図ることができるようになる。そして、本発明においては、上記排気トップが、上記排気筒の最下部位置に対応する位置に排気ガスドレンの通過を許容するドレン抜き開口を備え、上記排気カバーが、上記ドレン抜き開口の位置よりも下位でかつ上記ドレン受けの底位置よりも上位において排気ガスドレンの越流を許容する越流開口を備えるようにすることもできる(請求項)。これにより、ドレン抜き開口から滴下又は落下する排気ガスドレンがドレン受けに貯留され、貯留された排気ガスドレンが所定量以上になれば越流開口からオーバーフローすることになり、ドレン受けとして、具体的かつ確実に機能し得ることになる。しかも、排気ガスドレンの排出に支障をきたすことなく確実に排気ガスドレンの排出及び捕集を行うことができる。
このドレン受けとしては、次のように特定事項のさらなる追加により具体化することができる。すなわち、第1として、上記ドレン受けとして、内部に、排気ガスドレンを中和させる中和剤を保持させて構成する(請求項)。この場合、中和剤により排気ガスドレンの中和が図られ、外部に越流等により漏れ出ても外表面を変色等させることもない。
第2として、上記ドレン受けとして、このドレン受けに貯留される排気ガスドレンが接触することになる表面部位に、接触により排気ガスドレンを中和させる中和材料により形成された被覆層を備えるようにする(請求項)。この場合も、被覆層に排気ガスドレンが接触することにより中和され、これにより、排気ガスドレンが外部に越流等により漏れ出ても外表面を変色等させることもない。ここで、上記の表面部位とは排気ガスドレンが接触することになる内表面の他に、越流して流下することになる外表面も含まれる。
第3として、上記ドレン受けとして、接触により排気ガスドレンを中和させる中和材料により形成されて排気トップから排出される排気ガスドレンと接触するように配置された接触部材を備えるようにする(請求項)。この場合も、接触部材に排気ガスドレンが接触することにより中和され、これにより、排気ガスドレンが外部に越流等により漏れ出ても外表面を変色等させることもない。ここで、接触部材としては1又は2以上備えるようにすればよい。
以上、説明したように、請求項1〜請求項のいずれかの給排気構造によれば、排気カバーの透孔により排気ガスが通過する開口を強制的に狭めて排気ガスを増速させることができ、これにより、ショートサイクルの発生を抑制・防止することができるようになる。しかも、かかる効果を排気カバーの追加だけで得ることができ、これにより、既設の排気筒、排気トップ及び給気筒等を共用したり、既存構造の排気トップにも適用したりすることができることになる。さらに、特に既設の排気トップに適用することにより、外観性を向上させることもできる。
加えて、上記の透孔による排気ガスの増速と、ドレン受けによる排気ガスドレンの捕集及び排出とを排気カバーによって共に実現させることができるようになり、別部材としてドレン受けを設ける必要をなくすことができる。そして、上記ドレン受けにより、外部から見えない状態で排気ガスドレンの貯留を行うことができ、排気ガスドレンの飛散防止や美観向上等をも図ることができるようになる。
請求項によれば、ドレン抜き開口から滴下又は落下する排気ガスドレンがドレン受けに貯留され、貯留された排気ガスドレンが所定量以上になれば越流開口からオーバーフローすることになり、ドレン受けとして具体的かつ確実に機能させることができるようになる。しかも、排気ガスドレンの排出に支障をきたすことなく確実に排気ガスドレンの排出及び捕集を行うことができる。
請求項〜請求項のいずれかによれば、排気ガスドレンの中和を図ることができ、ドレン受けから外部に越流等により漏れ出た場合であっても、排気カバーの外表面に変色等が発生することを確実に防止することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る給排気構造を示す。同図中の符号2はこの給排気構造が適用される建物の外壁であり、21は外壁2に貫通された取付孔である。この第1実施形態の給排気構造は、図11に示す個別方式の給排気構造を前提としてその排気側に排気ガスの流速を高めるための排気カバー6を追加設置して構成したものである。なお、図1及び図1以外の断面図においては、図示の都合上、板材により形成された各部材の肉厚や傾斜を誇張して示し、又、取り付け・組み付け等の状態が分かり易いように部分的にサイズを大きく描いている。
この給排気構造における排気側は、上記取付孔21内を内外方向に通された排気筒3と、この排気筒3の先端に連結されて外壁2から外部に露出するように設置される排気トップ4と、フランジ部材5と、排気カバー6とから構成されている。上記排気筒3は取付孔21に対し外方に向けて斜め下り勾配になるように設置され、排気筒3内等を通過する間に排気ガスが冷やされて発生する排気ガスドレンが内部に戻らないようにしている。なお、上記排気筒3の基端側(上流端側)は燃焼機器D(図11参照)から延ばされた延長配管101に接続されるようになっている。
上記排気トップ4は前面壁41と筒壁42と取付片43とを有し、その前面壁41に排気口44,44,…が開口されている。排気口44,44,…は横向きに延びてスリット状に形成されると共に、例えば打ち抜きにより一体に形成されたルーバ45,45,…が付設されて、ガラリ状に構成されている。各ルーバ45は外方に向けて下り勾配となるよう斜めに配向され、排気ガスを外方に対し斜め下方に向けて吹き出させて排出させるようにしている。又、上記前面壁41の最下部位置には内部の排気ガスドレンを外部の後述のドレン受け7に導くドレン抜き開口としてのドレン孔46が貫通形成されている。
ここで、上記排気口44,44,…の合計開口面積は、排気筒3の通路断面積とほぼ同じに設定されており、たとえ若干小さく設定されていたとしても後述の透孔61(他の態様又は実施形態における透孔も含む)の開口面積ほどに小さくはなく、透孔61が最も小さい開口面積を有するように設定される。
上記フランジ部材5は略ドーナッツ形状に形成されたものであり、後述の如く排気筒3及び排気トップ4との互いの結合(例えばビス52による結合)、これらの外壁2への固定、及び、取付孔21の隙間を遮蔽する閉止・化粧等の役割を果たすものである。外壁2への固定は周囲の例えば3カ所に貫通させたコンクリート用ネジ又はアンカーねじ51により行われる。
上記排気カバー6は、図2にも示すように、ドーナッツ環状の所定の開口面積を有する透孔61が形成された前面壁62と、筒壁63と、ドーナッツ環状の後面壁64とを備え、排気トップ4の前面を覆うように形成されたものである。そして、この排気カバー6は、上記後面壁64の内周側が上記排気トップ4又はフランジ部材5に対し溶着又はビス止め等の手段により結合されることにより一体に保持されている。図例では、上記後面壁64の内周端縁側に設けられた接合縁641が排気トップ4の筒壁42に外嵌されて結合されている例を示している。
上記透孔61はその開口面積が排気筒3の通路断面積よりも小さくなるように設定され、これにより排気筒3及び排気口44,44,…を通して流れてきた排気ガスが透孔61を通過することによりその流速が増速されるようにしている。図2に示す場合では、例えば排気筒3の内径(内壁面30の直径)が100mmであるとすれば、透孔61として内径80mmの円孔が形成されている。
そして、上記透孔61に連続して最下部位置から下方に向けて切り欠かれた凹溝部65が形成され、この凹溝部65の底縁651は上記のドレン孔46よりも下位に位置するように設定されている。この凹溝部65が排気ガスドレンの越流開口を構成する。すなわち、排気カバー6の内部下側には、前・後を前面壁62及び後面壁64により区画され、底を筒壁63により区画されたドレン受け7が形成されており、このドレン受け7は排気トップ4のドレン孔46から流下又は滴下する排気ガスドレンを受けて貯留するようになっている。そして、このドレン受け7内の排気ガスドレンは自然蒸発により蒸発するまでの間貯留されるものの、時として上記ドレン受け7内に貯留された排気ガスドレンの液位が上記底縁651の位置を超えて上昇すると、その超えた分だけ排気ガスドレンが凹溝部65から越流して外部空間に排出されるようになっている。なお、このような凹溝部65の代わりに底縁651を共通する位置に貫通孔を形成し、この貫通孔によって越流開口を構成するようにしてもよい。
本実施形態の場合、燃焼機器D(図11参照)から排気筒3を通して流れてきた排気ガスが排気トップ4の排気口44,44,…から出て、次いで排気カバー6の透孔61を通過する際に、通路断面積が排気筒3のそれから狭められて絞られるため、排気ガスは流速を増大させ、流速を増大させたまま上記透孔61から外部に吹き出されることになる。このため、燃焼機器Dが潜熱回収型のもので排気ガス温度が低くて排気ガスの流速が遅いものであっても、外部空間に排出される直前に増速させ、増速させた状態で外部空間に吹き出させることができる。これにより、横風に起因するショートサイクルの発生を効果的に抑制することができるようになる。又、排気カバー6を従来構造の排気トップ4に対し追加するだけで、ショートサイクル発生の防止・抑制を図ることができるようになる。さらに、既存の排気トップ4に対しても適用することができる上に、排気カバー6が既存の排気トップ4の外面を覆い美観の向上にも寄与させ得ることになる。その上に、排気カバー6にはドレン受け7が一体に形成され、又、外部から見えない状態で排気ガスドレンの貯留を行うことができ、排気ガスドレンの飛散防止や美観向上等をも図ることができるようになる。しかも、排気ガスドレンの排出に支障をきたすことなく確実に排気ガスドレンの排出及び捕集を行うことができる。
本実施形態の他の態様として、上記の排気カバー6の変形例を以下に示す。なお、上記と同様構成のものには上記で説明したものと同一の符号を付している。図3(a)に示す排気カバー6aは、透孔61aとして所定内径(例えば図2の透孔61と同内径)の円孔を排気筒3(図1参照)に偏心させた位置で開口するように形成したものである。すなわち、上記の排気カバー6の透孔61は排気筒3の先端位置の内壁面30と同軸配置にて形成されたものであるのに対し、上記排気カバー6aの透孔61aは排気筒3の先端位置の内壁面30よりも下方に偏心した位置で開口するように形成されている。そして、この透孔61aの最下部の孔縁611aが上記の凹溝部65の底縁651と同レベル位置に位置するようにし、この孔縁611aにより、排気カバー6aの内部下側に形成されるドレン受け7からの越流開口を構成するようにしている。あるいは、このような越流開口を構成させるための孔縁611a位置の設定に加えて又はかかる孔縁611a位置の設定に代えて、排気カバー6aの筒壁63の下部の所定のレベル位置に1又は2以上(図例では2つ)のドレン抜き孔71,71を形成するようにしてもよい。孔縁611a及び/又はドレン抜き孔71によって、越流開口が構成される。なお、上記の如きドレン抜き孔71の形成により越流開口を構成し、これにより透孔61への凹溝部65の形成を省略してもよく、又、この詳細な説明欄で説明する透孔61a,61b,61c等の形成位置を上記の凹溝部65の底縁651の位置を考慮することなく自由に設定するようにしてもよい。
図3(b)に示す排気カバー6bは、透孔61bとして、排気トップ4の投影位置と概略下半部分において同じ円弧位置を通る周縁部612bと、上側において弦部613bとを有する形状のものを形成したものである。つまり、上記透孔61bは、上記排気トップ4の排気口44,44,…の形成領域と合致する円形領域の上側部分を閉塞させたものに相当する。そして、透孔61bの最下部の孔縁611bが凹溝部65の底縁651と同レベル位置に位置するようにして、上記と同様に越流開口を構成しているのである。
なお、上記の透孔61a,61bも、図2に示す透孔61の場合と同様に排気筒3の通路断面積よりも小さくされ、例えば内径100mmの円孔を内径80mmの円孔に小さくする場合と同様に小さくされ、図2に示す場合と同程度の増速が図られるようになっている。
<第2実施形態>
図4は、本発明の第2実施形態に係る給排気構造を示す。この第2実施形態の給排気構造は、図11に示す個別方式の給排気構造を前提として、第1実施形態における1つの透孔61,61a,61bの代わりに、これを2つの透孔61cで構成したものである。なお、第2実施形態において、第1実施形態のものと同様構成のものについては、第1実施形態と同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
本実施形態の排気カバー6cは、上下に半月状の2つの透孔61c,61cを有し、両者61c,61c間に所定の上下幅を有する帯状の閉塞壁部66を形成したものである。
この一対の透孔61c,61cの合計開口面積は、上記の1つで構成された透孔61,61a,61bの場合と同様に排気筒3の通路断面積よりも小さくされ、同程度の増速が図られるようになっている。又、下側透孔61cの最下部の孔縁611cの位置を、第1実施形態の凹溝部65の底縁651と同レベル位置に位置するようにして、越流開口を構成している。
この第2実施形態では、排気カバー6cの一対の透孔61c,61cによって排気口44,44,…から出た排気ガスが外部空間に出る前に通過する合計の開口面積が狭められて絞られるため、その分、排気ガスが増速され、増速された状態で外部空間に吹き出されることになる。このため、第1実施形態の場合と同様に横風が吹いたとしても排気ガスのショートサイクルの発生を抑制・防止することができる。しかも、上記閉塞壁部66が、横風方向に対し排気カバー6cの最大幅の部分に形成されているため、ショートサイクルを引き起こすような比較的強い横風が吹いて上下の各透孔61cから出た排気ガスが図5に二点鎖線の矢印で示すように給気トップ104(図11参照)の側に流れたとしても、図5一点鎖線で示すように閉塞壁部66の前面に沿って流れる横風(排気ガスではなくて新鮮な空気)が給気トップ104に流れて給気として吸い込まれることになる。このため、たとえ横向きの強風が吹いて多少のショートサイクルが発生したとしても、給気に含まれる排気ガス成分を大幅に低減させてショートサイクル発生に伴う弊害(燃焼不良等)の発生を軽減させることができる。
<第3実施形態>
図6は、本発明の第3実施形態に係る給排気構造を示す。この第3実施形態の給排気構造は給排気一体型のものに対し第1実施形態で追加した排気カバー6を適用したものである。この第3実施形態において、第1実施形態のものと同様構成のものについては、第1実施形態と同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
本実施形態の給排気構造は、排気筒3の外周側に排気筒3よりも所定量大径の給気筒9が外挿されて二重筒方式とされ、排気筒3の外周面と給気筒9の内周面との間の環状空間が燃焼機器Dへの給気取り込みのための給気通路91とされている。上記給気筒9は先端フランジ92によって外壁2に対し密着され、排気筒3は給気筒9よりも所定寸法だけ前方(外方)に突出した状態に保持され、先端に第1実施形態で説明したと同様の排気トップ4及び排気カバー6が結合されている。
又、上記排気トップ4には外周側に張り出したドーナッツ環状の遮断壁部材10が併せて固定され、この遮断壁部材10の背後であって遮断壁部材10と給気筒9の先端開口との間が所定量離されてこの間に給気取り込みのための給気口93がドーナッツ環状に開口されている。
本実施形態の場合には、上記排気カバー6の透孔61によって第1実施形態で説明したように排気ガスが増速されて上記透孔61から吹き出されることになるため、排気ガスが逆風(図6の右から左に向けて吹く風)に押し負けて給気口93の側に流れ込むことが抑制・防止されることになる。これにより、給排気一体型の場合であっても、排気ガスのショートサイクル発生を抑制・防止することができるようになる。
本実施形態の他の態様として、上記の排気カバー6の代わりに、図3(a)に示す排気カバー6a、図3(b)に示す排気カバー6b、あるいは、図4,図5に示す排気カバー6cを適用してもよい。
<第4実施形態>
図7〜図10は、本発明の第4実施形態として上記の第1〜第3の各実施形態の給排気構造に適用されるその1からその4までの各種構成のドレン受けを示す。つまり、上記第1〜第3の各実施形態をそのドレン受け7に代えて次のドレン受け7a〜7dのいずれかを適用して構成し得ることを意味する。以下、第1実施形態等と同様構成のものについては、第1実施形態等と同一符号を付してその詳細な説明は省略する。なお、図7〜図10の各図において、排気カバーとして符号6,透孔として符号6,孔縁として符号651(底縁)を付しているが、この場合の符号6は符号6,6a,6b又は6cを、符号61は符号61,61a,61b又は61cを、符号651は符号651,611a,611b又は611cを、それぞれ代表するものとする。
(その1)
図7に示すドレン受け7aは、その内部に中和剤(例えば粒状の中和剤)11が所定量充填され、この中和剤11の上面に対し中和剤11を保持するための網状被覆部材(例えば合成樹脂製又は金属製のネット)12が被せられて構成されている。この場合には、排気トップ4のドレン孔46から滴下又は落下してドレン受け7aに貯留された排気ガスドレンは上記中和剤11により中和されるため、底縁651から外部に越流して排気カバー6の外部表面に接触したとしても、その外部表面が変色する事態の発生を確実に防止することができる。すなわち、中和されずに強アルカリ性の排気ガスドレンが越流した場合には、その排気ガスドレンとの接触により排気カバー6の外部表面が変色するおそれがあるものの、上記の如き中和済みであればそのおそれはない。
(その2)
図8に示すドレン受け7bは、ドレン孔46から滴下又は落下する排気ガスドレンが最初に接触する接触部材13を備えたものである。この接触部材13は上記の滴下又は落下する排気ガスドレンを下で受けて斜め下方に向けて流下させるように配置した板片により構成されている。加えて、上記接触部材13は金属又は合成樹脂の基板13aの少なくとも上面(好ましくは図例の如く上下面又は全外表面)を被覆層13bで一体に被覆して形成されたものであり、上記の被覆層13bが排気ガスドレンを中和し得る中和材料(例えばアルミニウム又はアルミナ等の中和能力を有する材料)により形成されたものである。この場合には、排気トップ4のドレン孔46から排気ガスドレンが接触部材13の上面に滴下又は落下して接触する際に、又は、接触したまま上面を流下する間に中和されるため、上記と同様に、排気カバー6の外部表面が変色する事態の発生を確実に防止することができる。なお、上記の接触部材13の全体を上記の中和材料により形成するようにしてもよいし、このような接触部材13に加えて又は接触部材13の代わりに、ドレン受け7bを区画構成する構成壁の表面(前面壁62の内面621,筒壁63の内面631,後面壁64の内面641)に上記の中和材料による被覆層を形成するようにしてもよい。
(その3)
図9に示すドレン受け7cは、図8のドレン受け7bに対しさらに第2接触部材14を追加したものである。この第2接触部材14はその上下面又は全外表面に上記の中和材料製の被覆層が形成されたものであり、ドレン受け7cに貯留される排気ガスドレンに没するように配置される。この場合にも、上記の如くドレン受け7cを区画構成する構成壁の表面621,631,641に上記の中和材料による被覆層を形成するようにしてもよい。
(その4)
図10に示すドレン受け7dは、少なくとも越流開口である底縁651よりも下方領域の前面壁62の外表面側を、あるいは、これに加えてその前面壁62に連続する筒壁63の外表面側を、上記の中和材料製の被覆層67により被覆したものである。この場合には、ドレン受け7dの内部に貯留された排気ガスドレンが増大して底縁651をオーバーフローして前面壁62の外側に流下し出したとしても、その表面が上記被覆層67により覆われているため、オーバーフローした排気ガスドレンがこの被覆層67に接触して中和されることになる。これにより、上記で説明した如き排気カバー6の外部表面が変色する事態の発生を確実に防止することができる。
(以上の各実施形態に共通する他の態様)
排気カバー6,6a〜6cを排気トップ4と同軸配置とするのではなくて、排気トップ4に対し排気カバーを下方位置に偏心させた位置に配置、つまり下方に所定量だけオフセット配置することにより、内底部に区画形成されるドレン受けの深さを大きくして貯留し得る容量を大きくするようにしてもよい。この場合の越流開口の形成位置も、その深くなった分だけ上方位置に変更すればよい。
本発明の第1実施形態を示す断面説明図である。 図1のA−A線矢視状態の説明図である。 第1実施形態の他の態様で適用される排気カバーの正面図であり、図3(a)は1番目の態様、図3(b)は2番目の態様をそれぞれ示す。 第2実施形態の図1対応図である。 図4のB−B線矢視状態の説明図である。 第3実施形態を示す断面説明図である。 第4実施形態のその1のドレン受けの拡大断面説明図である。 第4実施形態のその2のドレン受けの拡大断面説明図である。 第4実施形態のその3のドレン受けの拡大断面説明図である。 第4実施形態のその4のドレン受けの拡大断面説明図である。 個別方式の給排気構造の例を一部破断した斜視状態で示す説明図である。 図11の排気トップの構造例を示す断面説明図である。
符号の説明
2 建物の外壁
3 排気筒
4 排気トップ
6,6a,6b,6c 排気カバー
7,7a,7b,7c,7d ドレン受け
9 給気筒
11 中和剤
13,14 接触部材
13a,67 被覆層
21 取付孔
46 ドレン孔(ドレン抜き開口)
61,61a,61b,61c 透孔
65 凹溝部(越流開口)
611a,611b,611c 透孔の最下部の孔縁(越流開口)
621,631,641 内面(表面部位)
D 燃焼機器

Claims (5)

  1. 燃焼機器から排気ガスを導出するための排気筒と、燃焼機器に外気を導入するための給気筒と、上記排気筒の先端に結合される排気トップとを備えた給排気構造において、
    排気ガスが通過する開口を強制的に狭めることにより排気ガスの流速を増速させるよう設定された透孔を有する排気カバーであって、上記排気トップの前面の排気口から出た排気ガスが上記透孔を通過して外部空間に出るように配設された排気カバーを備え、
    上記透孔は、排気ガスが通過する開口として上記排気筒の通路断面積よりも小さくなるように形成され、
    上記排気カバーは、その下部位置において排気ガスドレンを一時的に貯留するよう上方に開口した状態に区画形成されたドレン受けを一体に備えており、
    上記排気カバーは、上記透孔が形成された前面壁と、筒壁と、ドーナッツ環状の後面壁とを備え、上記前面壁が上記排気トップの前面を覆うように形成される一方、内部下側には、前・後を上記前面壁及び後面壁により区画され、底を上記筒壁により区画されて上記ドレン受けが形成されている
    ことを特徴とする給排気構造。
  2. 請求項に記載の給排気構造であって、
    上記排気トップは、上記排気筒の最下部位置に対応する位置に排気ガスドレンの通過を許容するドレン抜き開口を備え、
    上記排気カバーは、上記ドレン抜き開口の位置よりも下位でかつ上記ドレン受けの底位置よりも上位において排気ガスドレンの越流を許容する越流開口を備えている、給排気構造。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の給排気構造であって、
    上記ドレン受けは、内部に、排気ガスドレンを中和させる中和剤が保持されて構成されている、給排気構造。
  4. 請求項1又は請求項2に記載の給排気構造であって、
    上記ドレン受けは、このドレン受けに貯留される排気ガスドレンが接触することになる表面部位に、接触により排気ガスドレンを中和させる中和材料により形成された被覆層を備えている、給排気構造。
  5. 請求項1又は請求項2に記載の給排気構造であって、
    上記ドレン受けは、接触により排気ガスドレンを中和させる中和材料により形成されて排気トップから排出される排気ガスドレンと接触するように配置された接触部材を備えている、給排気構造。
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