JP4765054B2 - アナログ符号化システム - Google Patents
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Description
このような状況下において、近年様々な符号化方式やシステムに関する発明が開示されている。
例えば、特許文献1には、情報秘匿システムの一つである単位ブロック毎に変換を行なうブロック型の符号変換方式において、次数の小さいラテン方陣Lを複数並べて段を構成し、この段を複数設け、前段の各ラテン方陣Lから後段の少なくとも二つのラテン方陣Lに変換したデータを入力させて、入力データAの各ビットが出力データBの全てのビットに影響を与えるようにして秘匿性を高めた符号化方式の開示がある。
この符号化方式によれば、秘匿性の高い符号変換を簡単にかつ正確に得ることができる。
このような符号化装置によれば、算術符号データにスクランブル処理を施す分、量子化係数を符号化したときのデータ量の増加を防止することができ、画像データの圧縮率の低下を防止できる。
このようなアナログからデジタルに変換することによって、圧縮化あるいは多重化が可能となっている。
また、アナログ情報は、ある一部が雑音、妨害、加工などによって大きく変形することよりも、全体的に少しずつ異なっているほうが、その品質は保障される。しかし、上記のようにデジタルに一度直して符号化する方式は、最上位ビットと最下位ビットにおける情報量のばらつきも生じるので、品質を保障し、かつ効率のよいアナログ符号化法とは言えない可能性があるという課題があった。
さらに、多次元直交変換を施すことによれば、アナログデータの一部に雑音や妨害要素あるいは加工要素が含まれたとしても、それらは変換後のデータに均一に分散され、しかも逆変換される場合にも均一に分散されたままとなるため、例えば音声データのような一次元データや画像データのような二次元データの場合には、雑音などが分散されて復元されるので耳や目にはその雑音などが感知できない程度にまで低減することができる。すなわち、局所的に雑音などが現れるよりも一定の品質が担保される。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るアナログ符号化システムの構成図である。アナログ符号化システムは、大きく入力部1、演算部2、出力部3及びデータベース4から構成されている。入力部1は、データベース4に格納されている各種データが入力されたり、演算部2に対してデータを入力する際に使用されるユーザーとのインターフェースである。
データベース4には、秘匿性の高いアナログ情報である生アナログデータ12が格納されている。この生アナログデータ12の例としては、一次元データとしては音声データ、二次元データとしては画像データがある。また、動画像は静止画像が時間的に連続するものであるため三次元データとして認識される場合がある。この生アナログデータ12は、予めデータベース4に格納されてもよいが、入力部1から演算時に演算部2の第1写像変換部5に入力されてもよい。
生アナログデータ12は演算部2に含まれる第1写像変換部5によって写像変換され、n次元アナログデータ13となる。例えば、一次元の音声データや2次元の画像データを3次元のアナログデータに写像変換されたものである。n次元のnは、秘匿性を考慮すれば生アナログデータ12の次元よりも高い次数を表現するものであり、生アナログデータ12が一次元の音声データであれば、nは2次以上となり、生アナログデータ12が二次元の画像データであればnは3次以上となる。但し、一般的には1以上の任意の数を意味するものである。図1では、n次元アナログデータ13もデータベース4に格納されているが、格納されずに第1写像変換部5に留めておいてもよい。
発生した乱数は演算部2の多次元直交系列発生部6によって乱数発生部7から読み出され、多次元直交系列データ16が一義的に生成される。生成された多次元直交系列データ16はデータベース4に格納されるようにしておくとよい。また、この多次元直交系列データ16は、多次元直交変換部8によってデータベース4から読み出され変換データ17に変換される。この変換データ17もデータベース4に格納される。さらに、演算部2の圧縮部9は、情報格納装置4から変換データ17を読みだして圧縮し、圧縮データ18を生成し、データベース4に格納する。圧縮部9は、多量のデータを送信などする際に設けられるものであるが、多量で重いデータを取り扱う必要がない場合には、必ずしも設けなくともよい。
多次元直交逆変換部10によって逆変換されて得られたn次元アナログデータは、さらに第2写像変換部11によって生アナログデータに変換される。
この演算部2における演算結果をはじめとして、入力部1から入力されるデータやデータベース4に格納されているデータは、出力部3によって他の装置やシステムに対して出力されたり、あるいは出力部3自身に表示される。
本実施の形態においては、送信側演算部19において、変換データ17あるいは圧縮データ18を生成し、それを受信側演算部20へ送信して復元するものである。従って、多次元直交変換部8によって生成された変換データ17あるいは圧縮部9によって生成された圧縮データ18は送信部21によって、受信側演算部20の受信部22へ送信される。
受信部22は、受信した変換データ17あるいは圧縮データ18を多次元直交逆変換部10によって復元するが、その際に用いられる多次元直交系列データ16が必要となる。多次元直交系列データ16は、受信側演算部20の乱数発生部24によって発生される乱数を用いて、多次元直交系列発生部23によって生成される。乱数の発生には、乱数発生関数データ26が用いられるが、その乱数発生関数の初期値を鍵とするため、この初期値を送信部21から受信部22へ伝送する必要がある。あるいは、乱数発生関数とその初期値を鍵として伝送してもよい。
乱数発生部24で発生された乱数を用いて多次元直交系列発生部23では、送信側演算部19と同様に多次元直交系列を生成する。さらに、第2データベース27に格納された圧縮データ28あるいは変換データ29を読み出して受信側演算部20の多次元直交逆変換部10では逆変換を実施する。この逆変換によって、n次元アナログデータ30が得られ、このn次元アナログデータ30は第2データベース27に格納される。さらに、第2写像変換部11は、第2データベース27をデータベース4から読み出して写像変換を行い、送信側演算部19によって写像変換された生アナログデータ31を生成し、第2データベース27に格納する。なお、第2データベース27には、受信部22で受信された圧縮データ28及び変換データ29が格納されているが、必ずしも格納せずとも、受信部22で受信されたそれぞれを多次元直交逆変換部10が受信して逆変換を実行してもよい。また、多次元直交逆変換部10によって生成される多次元直交系列については、第2データベース27に格納されていないが、生成した後に第2データベース27に格納するようにしてもよい。
次元数をn、周期N0=N1・・・Nnとする多次元(n次元)複素系列aを、式(1)のように与える。
周期N0=Nnのn次元直交系列の一般解は、式(7)、(8)で表せる。
ここで、実数系列となる条件は、式(9)で表せる。
さらに、同じようにして、周期2nのn次元3値直交系列が発生でき、またそれを周期4nのn次元3値直交系列に変換できる。
今、n次元情報を式(13)で示すものとする。
ここで、多次元直交変換は次のような2つの性質を有する。第一に、変換後はどのようなデータでもその出力値はガウス分布に近づくので性質の良いスクランブルが可能であるという性質、第二には、局所的な雑音が入ったとしても逆変換後はその雑音は全体に散らばるので誤差の少ない誤り補正が可能な符号化が実現できるという性質である。
さらに、本実施の形態においては、多次元直交系列は無数に存在するのでそれを鍵とすることで、多次元的に情報を複雑に変換できるので秘話性の高い暗号的符号化が可能であると考えられる。
アナログ符号化等の応用には、多次元複素直交系列での直交変換は、実数情報が複素数に変わるために実部と虚部の値を取り扱わなければならない。それゆえ、一般には、複素系列を取り扱うことはデータ量が増え好ましくない。
式(7)に示すように適当な関数f(λ1・・・λn)を与えればよいが、一般には、数多くの異なる関数を与えるのは容易でない。特に実数直交系列である条件式(9)を満たす関数を見つけることは容易でない。ここでは、以下のように関数を与える。
[1]適当な乱数発生法Gを選択する。例えば、合同法やTLP乱数発生などである。今、Gでの初期条件をx0としてi(i≧1)番目の値をxi=G(x0,i)とする。ここでは、xi(0≦xi≦1)とし、式(8)の関係よりyi=Nxiとして議論することにする。
[2]そのまま、乱数の値yiを順に関数f(λ1・・・λn)の出力値として決めていけば多次元複素直交系列が簡単に発生できる。ここで、式(9)を満足するように関数を与えれば実数系列となる。以下、式(9)の制限がある多次元実数直交系列を乱数より発生させる方法を述べる。たとえば、式(16)に示すとおりで、
n=2であることから、λはλ1とλ2の2つが存在し、最上行にそのλ1とλ2及び−λ1と−λ2、さらにf(λ1,λ2)の表示をして、その下の欄にそれぞれ0,1,2を入れると、例えば、2行目のλ1とλ2のそれぞれが0の場合は、式(19)から0となる。
また、λ1が1でλ2が2の場合、すなわち7行目の場合は、−λ1と−λ2は、それぞれ−1と−2となるが、式(17)より−1=(3−1)=2、−2=(3−2)=1となるので、それぞれ2,1が記入されている。このようなλ1とλ2の場合には、f(λ1,λ2)は、f(1,2)となり、これをm4とすれば、f(2,1)は、式(18)から−f(1,2)となり、従ってf(2,1)=−m4となる。
ここで、さらに多次元直交変換の性質よりデータ圧縮を考える。図5(a)に示すように、先ず、アナログデータを多次元直交変換する。実際には、[0056]で述べたように、アナログデータはn次元アナログデータへ1度変換されそれを直交変換する。ここでは視覚的に見て分かりやすいようにアナログデータは画像を用いて考えることにする。変換データは、スクランブルされてまったく原画像(アナログデータ)と異なっていることが分かるように、直交変換したn次元アナログデータを原画像と同じ2次元データに直したものを載せている。その変換データを荒く量子化することにより情報圧縮するものである。これは図1,2の圧縮部9において実行されるものである。図5(b)では、圧縮されたn次元データを逆変換することより情報データに戻す。このとき、量子化ビット数は、原画像(アナログデータ)に近くすることより、なめらかな画像を得ることができる。
図7と図8は、一見同じように見えるが、詳細に画像を検討した結果、次の2点の知見が得られた。第1に、量子化のみを行った場合は,量子化ビットが減るにつれ,段差が目立つ画像となること、また、第2に、直交変換を適用した場合は,量子化ビットが減るにつれ全体的に雑音が現れるものの段差はないことである。
また、多次元直交変換は、アナログデータの一部に雑音や妨害要素あるいは加工要素が含まれたとしても、それらは変換後のデータに均一に分散される性質を備えており、しかも逆変換される場合にも均一に分散されたままとなるため、雑音などが感知できない程度にまで低減させることができ、一定の品質が維持することができる。
さらに、圧縮部を備えることによれば、多次元直交変換後に、圧縮データを生成することができるので多量のデータの送信を行なうことが可能であり、しかも前述のとおり品質の劣化は復元データの全体に亘るため、全体的には一定の品質を担保することができる。
Claims (2)
- 多階調で量子化されたデジタルデータに係る1次元又は2次元のアナログデータが入力される入力部と、
この入力されたアナログデータをn(nは前記アナログデータの次数よりも高い次数,以下同じ。)次元アナログデータに写像変換する第1の写像変換部と、
初期値が入力されることで乱数を発生する乱数発生部と、
この乱数発生部において発生された乱数を用いてn次元直交系列を生成する多次元直交系列発生部と、
前記多次元直交系列発生部から前記n次元直交系列を読みだして、前記第1の写像変換部によって写像変換されたn次元アナログデータを、前記n次元直交系列を用いてn次元直交変換することにより暗号化した変換データを生成する多次元直交変換部と、
前記初期値を鍵として前記乱数発生部が前記乱数の発生を再現し,前記再現された乱数を用いて前記多次元直交系列発生部が前記n次元直交系列を再生成し,前記再生成されたn次元直交系列を用いて前記変換データをn次元直交逆変換することにより前記n次元アナログデータを復元する多次元直交逆変換部と、
前記n次元アナログデータを前記1次元又は2次元のアナログデータに写像変換する第2の写像変換部と、
を有することを特徴とするアナログ符号化システム。 - 多階調で量子化されたデジタルデータに係る1次元又は2次元のアナログデータが入力される入力部と、
この入力されたアナログデータをn次元アナログデータに写像変換する第1の写像変換部と、初期値が入力されることで乱数を発生する乱数発生部と、
この乱数発生部において発生された乱数を用いてn次元直交系列を生成する多次元直交系列発生部と、
前記多次元直交系列発生部から前記n次元直交系列を読みだして、前記第1の写像変換部によって写像変換されたn次元アナログデータを、前記n次元直交系列を用いてn次元直交変換することにより暗号化した変換データを生成する多次元直交変換部と、
前記変換データを量子化によって前記変換データを圧縮して圧縮データを生成するデータ圧縮部と、
前記初期値を鍵として前記乱数発生部が前記乱数の発生を再現し,前記再現された乱数を用いて前記多次元直交系列発生部が前記n次元直交系列を再生成し,前記再生成されたn次元直交系列を用いて、前記圧縮データをn次元直交逆変換することにより前記n次元アナログデータを復元する多次元直交逆変換部と、
前記n次元アナログデータを前記1次元又は2次元のアナログデータに写像変換する第2の写像変換部と、を有することを特徴とするアナログ符号化システム。
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