JP3585697B2 - 情報抽出方法及びその装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、デジタル動画像に対して別の情報を情報多重化する際に、人間の知覚に感知されないように情報多重化を行い、秘密裏に動画像に多重化された情報を抽出する技術分野に係り、特に情報抽出方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
今日、デジタル動画像に対して、人間の知覚に感知されないように別の情報を多重化する技術は、著作権情報や利用ユーザIDなどを情報コンテンツに秘密裏に多重化することによるデジタル情報コンテンツの著作権保護や不正複製抑止システムに広く用いられている。
【0003】
しかしながら、従来の技術では、動画像のビットレートを落すなどの圧縮処理により、簡単に多重化されている情報が消えてしまうといった問題があった。特に非可逆圧縮においては、画像の複雑領域より平坦領域のほうが画素情報を大きく削除することにより、より副情報が消えやすいので、平坦部分の多い画像に対して非可逆圧縮を行った場合には、副情報の読み取りに失敗するといった問題があった。従来、副情報の読取り成功・失敗等の指標となるべく、抽出された副情報の信頼度を測る手法はなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、デジタル動画像に対して多重化された情報(副情報)を抽出する際に、該抽出情報の信頼度を求めることを可能とすることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明では、多重化する副情報に、該副情報を抽出する際の抽出情報の信頼度指標を得るための、予め定めた一定ビットパターンの情報である多重化情報識別ラベルを追加し、該多重化情報識別ラベル及び副情報を多重化処理することを前提とする。情報抽出側は、情報多重化済みデジタル動画像から多重化情報識別ラベル及び副情報を抽出し、予め定めた一定ビットパターンの多重化情報識別ラベルの値と、抽出された情報中の多重化情報識別ラベルに相当する部分の値のハミング距離を求め、該ハミング距離から、抽出された副情報の信頼度を計算し、該信頼度によって、抽出された副情報に重み付けを行う。
【0006】
具体的には、デジタル動画像内に別の副情報を多重化する場合、デジタル動画像と情報多重化パラメタを入力とし、動画像を各静止画像に分解し、各静止画像をn×n(nは2の冪数)サイズの画像に分解し、各n×nサイズの画像について、画素値情報をn×n直交変換し、情報多重化パラメタの一部である乱数の初期値を用いて生成した乱数から1対1写像で選出された直交変換係数値を、情報多重化パラメータの一部である周波数成分変更幅を用いて変更して、情報多重化パラメータの一部である多重化情報識別ラベル及び副情報を多重化し、該情報多重化を行った直交変換行列をn×n逆直交変換し、各n×nサイズの画像からデジタル動画像を再構成する。
【0007】
情報多重化済み動画像から副情報を抽出する場合、情報多重化済みデジタル動画像を各静止画像に分解し、各静止画像をn×nサイズの画像に分解し、各n×nサイズの画像について、画素値情報をn×n直交変換し、情報多重化の際に用いた乱数の初期値と同じものを用いて生成した乱数から1対1写像で選出された直交変換係数値から、情報多重化の際に用いた周波数成分変更幅を用いて情報抽出を行って、多重化されていた多重化情報識別ラベル及び副情報を抽出し、予め定めた一定ビットパターンの多重化情報識別ラベルの値と、抽出された情報中の多重化情報識別ラベルに相当する部分の値のハミング距離を求め、該ハミング距離から、抽出された副情報の信頼度を計算し、該信頼度によって、抽出された副情報に重み付けを行う。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
最初に画像への情報多重化処理について述べる。図1は、情報多重化装置の入出力関係の概略図である。情報多重化装置1は、動画像の原画像(主情報)2と情報埋込みパラメタ(情報多重化パラメタ)3を入力として、情報多重化済み画像4を出力する。情報埋込みパラメタ3は乱数の初期値、周波数成分変更幅情報、及び、多重化すべき情報(副情報)からなる。副情報には、該副情報を抽出する際の抽出情報の信頼度指標を得るための多重化情報識別ラベルが含まれるが、これについては後述する。
【0009】
図2は、情報多重化装置1の全体的構成図である。本情報多重化装置1は、画像分解処理部5と情報多重化処理部6と画像再構成処理部7からなる。以下、各処理部について順次説明する。
【0010】
〈画像分解処理部5〉
図3は画像分解処理部5の処理概要を示した図である。画像分解処理部5は、入力される動画像2を各フレーム毎の静止画像に分解し、さらに、各静止画像をn×n(nは2の冪数)のブロック画像7に分解し、順次情報多重化処理部6へ送る。
【0011】
画像のサイズによっては、端の部分がn×nのサイズにならない場合があるが、この場合は、中途半端な大きさに残っている画像以外のn×nサイズに満たない、足りない部分を平均画素値で補間することにより、n×nの画像を作り、情報多重化処理部6へ送る(図3の(a))。別の方法としては、対称画像を繰り返すことにより、n×nの画像を作ることでもよい(図3の(b))。
【0012】
〈情報多重化処理部6〉
図4は、情報多重化処理部6の詳細構成図である。情報多重化処理部6は、情報埋込みパラメタ3とn×nブロック画像7を入力とし、情報多重化済みn×nブロック画像27を出力して画像再構成処理部7へ送る。以下、情報多重化処理部6の動作について詳述する。
【0013】
情報埋込みパラメタ3は入力パラメタ分解処理部8へ送られる。入力パラメタ分解処理部8は、入力された情報埋込みパラメタ3を分解し、乱数の初期値10、周波数成分変更幅11、副情報12をそれぞれ再構成して出力する。乱数の初期値10は乱数生成処理部13へ、周波数成分変更幅11は直交変換係数変更処理部14へ、副情報12は副情報バッファ15へ、それぞれ送られる。
【0014】
乱数生成処理部13は、乱数の初期値10を一度だけ読み込み、それをもとに各1ビット情報多重化の処理毎に順次、乱数16を生成して出力する。
【0015】
副情報バッファ15は、副情報12を内部バッファに蓄えて、内部情報読出しヘッダにより該情報を1ビットずつ読み出して、1ビット副情報17を出力する。図5は副情報バッファ15の概念図を示したものである。
【0016】
副情報バッファ内のヘッダ制御方法としては、各1ビット情報多重化の処理毎に動かす方法や、各ブロック画像への情報多重化の処理毎に動かす方法など、種々の方法が考えられるが、これは情報多重化装置の実装方式による。なお、副情報バッファの情報読み込み/書き込みを行うヘッダの制御方法は、情報多重化装置および情報抽出装置において、同じ方式で実装する必要がある。
【0017】
一方、n×nブロック画像7は直交変換処理9へ送られる。直交変換処理部9は、n×nブロック画像7をn×n直交変換して、n×nブロック直交変換係数行列18を生成し、直交変換係数変更処理部14へ送る。図6は直交変換処理部9の概念図を示したものである。なお、直交変換処理自体は周知であるので、その詳細は省略する。
【0018】
図7は、直交変換係数変更処理部14の概略構成および処理の概念図である。n×nブロック直交変換係数行列18は、n×n直交変換係数行列バッファ19に格納される。乱数16は座標選択処理部20に入力される。
【0019】
座標選択処理部20は、入力された乱数16を用いて、n×n直交変換係数行列のうち、ひとつの係数を1対1写像により選定し、対応する座標21を出力する。この座標21は座標バッファ23に蓄えられる。座標バッファ23には、各ブロックの多重化処理毎にすべて保存され、各ブロックの多重化処理後、この蓄えられた座標集合24がレンジオーバ回避処理部25へ出力される。図8は座標バッファ23の概念図である。
【0020】
直交変換係数変更処理部14は、選択された座標21に、当たる係数に1ビットの副情報17を周波数成分変更幅11を用いて情報多重化する。情報多重化処理は、ひとつのブロック直交変換係数行列に対してj回(jは1以上の整数で、情報多重化装置を実装する際に決定するパラメタであり、情報抽出装置も同し方式により実装する必要がある)行われて、そのすべてが終了した後、情報多重化済みのn×nブロック直交変換係数行列22を出力する。
【0021】
以下に、入力動画像2のi番目のフレームにおいて、静止画像の左上を[0,0]iブロックとしたときの、[h,v]iブロックへの1ビット情報多重化処理について具体的に説明する。
【0022】
多重化する副情報12をb0b1・・・bk-1(ビット長をkとする)、[h,v]iブロックへ多重化する1ビット副情報17を
【0023】
【外1】
【0024】
多重化に用いる乱数を
【0025】
【外2】
【0026】
周波数成分変更幅をrange、n×nブロック直交変換係数行列を[c(x,y)]iとする。
【0027】
座標選択処理部20では、乱数
【0028】
【外3】
【0029】
から座標
【0030】
【外4】
【0031】
を選択する。直交変換係数変更処理部14は、n×nブロック直交変換係数行列バッファ19内の、この座標にあたる直交変換係数
【0032】
【外5】
【0033】
の値を、
【0034】
【数1】
【0035】
【数2】
【0036】
【数3】
【0037】
に変更することにより、1ビット副情報17を多重化する。多重化を行った係数の座標は、
【0038】
【外6】
【0039】
座標バッファ23へ送られ保管される。
【0040】
副情報バッファ15の副情報読み出しヘッダを予め決められた方法で制御しつつ、上記多重化処理を、ひとつのブロック直交変換係数行列に対して、それの中に多重化する幅情報12のビット数であるj回繰り返すことで、ひとつのブロック直交変換行列の多重化処理が終了する。
【0041】
多重化処理後、情報多重化済みn×nブロック直交変換係数行列22([c′(x,y)]iとする)と座標集合24(図8)は、情報多重化を行なった直交変換係数値および情報多重化を行なった動画像の画像の品質・構成を保持しつつ、情報多重化済み画像の再生不良を避けるために、レンジオーバ回避処理部25へ送られる。
【0042】
図9はレンジオーバ回避処理部25の概念図、図10は逆直交変換処理部26の概念図である。レンジオーバ回避処理部25は、入力された情報多重化済みn×nブロック直交変換係数行列26を用いて逆直交変換したn×nブロック画像27について、座標集合24を参照してレンジオーバ回避処理を行い、全ての画素値が定義域(例えば8ビット濃淡画像であれば0〜255)に収まるように修正して、情報多重化済みn×nブロック画像27を出力する。逆直交変換部26は、図10に示すように、与えられるブロック直交変換行列のサイズと同じn×n逆直交変換を行い、n×nブロック画像を順次出力するものである。
【0043】
ここで、レンジオーバ回避処理部25へ入力された情報多重化済みn×nブロック直交変換係数行列22の[c′(x,y)]iを逆直交変換処理部26を用いて逆直交変換したn×nブロック画像27を[p′(x,y)]iとする。
【0044】
また、レンジオーバ回避処理部25へ入力された係数行列[c′(x,y)]iを、ひとつは、(0,0)成分(直流成分)を、n×nブロック画像の全画素値をすべて最低値にしたものをn×n直交変換したときの(0,0)成分値に変更し(例えば、直交変換をDCTと仮定すると、その値は−Lm×n(Lmは輝度の中間値)である)、かつ、入力された座標集合24のすべての座標の成分値をすべて0にしたものを、もうひとつは、(0,0)成分値と入力された座標集合24のすべての座標の成分以外の値をすべて0に変更したものを、逆直交変換処理部26を用いて逆直交変換したn×n画像を、それぞれ[p1(x,y)]i,[p2(x,y)]iとする。
【0045】
レンジオーバ回避処理部25では、集合
【0046】
【数4】
【0047】
において、Aiが空集合でないときに限り、[p1(x,y)]i,[p2(x,y)]iを用いて、
【0048】
【数5】
【0049】
の計算を行うことにより、情報多重化済みブロック画像27([p″(x,y)]i)を得る。ただし、画素値行列[p2(x,y)]iにおいて、Lminより小さな画素値とLmaxより大きな画素値が混在する場合は、このレンジオーダ回避処理は適用できないため、情報多重化を行う際に、レンジ(range)の値を極端に大きな値にしないように注意する必要がある。
【0050】
情報多重化処理部6では、以上の処理をすべての静止画像の全ブロック画像に対して行い、各情報多重化済みn×nブロック画像27を画像再構成処理部7に出力する。
【0051】
〈画像再構成処理部7〉
図11は、画像再構成処理部7における入出力画像の概念図である。画像再構成処理部7は、入力された各情報多重化済n×nブロック画像をつなぎ合わせ、静止画像、さらには動画像に復元することで、情報多重化済み画像4を得る。
【0052】
次に、情報多重化済み画像からの情報抽出処理について述べる。図12は、本発明による情報抽出装置の入出力関係の概略図である。情報抽出装置28は、情報多重化済み画像(主情報+副情報)29と情報抽出パラメタ30を入力として、画像29内に多重化されていた副情報31を出力する。情報抽出パラメータ30は、情報多重化済み画像29を作成した際に使用した情報多重化鍵の乱数の初期値と周波数成分変更幅からなるものである。
【0053】
図13は、情報抽出装置28の全体的構成図である。本情報抽出装置28は、画像分解処理部32と情報抽出処理部33と副情報再構成構成処理部34からなる。以下、各処理部について順次説明する。
【0054】
〈画像分解処理部32〉
画像分解処理32の処理は、情報多重化装置1で用いた画像分解処理部5と基本的に同じであり、情報多重化済み画像29を各フレーム毎に静止画像に分解し、さらに、各静止像をn×n(nは2の冪数)のブロック画像に分解し、順次情報抽出処理部33へ送る。
【0055】
画像分解処理部32は、情報多重化装置1の画像分解処理6と同じサイズで画像を分解するすように実装する必要がある。また、画像の端の中途半端な部分についても、図3で示したように処理する必要がある。
【0056】
〈情報抽出処理部33〉
図14は、情報抽出処理部33の詳細構成図である。情報抽出処理部33は、情報抽出パラメタ30と情報多重化済みのブロック画像35を入力とし、各ブロック画像内に多重化されていた副情報を1ビットずつ抽出し、この1ビット副情報46を順次、副情報再構成処理部34へ送る。以下、情報抽出処理部33の動作について詳述する。
【0057】
情報抽出パラメタ30は、入力パラメタ分解処理部36へ送られる。入力パラメタ分解処理部36は、入力された情報抽出パラメタ30を分解し、乱数の初期値38と周波数成分変更幅39をそれぞれ構成して出力する。乱数の初期値38は乱数生成処理部40へ、周波数成分変更幅39はブロック内情報抽出処理部41へ、それぞれ送られる。
【0058】
一方、情報多重化されているn×nブロック画像35は直交変換処理部37へ送られる。直交変換処理部37は、情報多重化装置1の情報多重化処理部6で用いた直交変換処理部9と同じ処理を行うもので、n×nブロック画像7をn×n直交変換し、生成したn×nブロック直交変換係数行列42をブロック内情報抽出処理部41へ送る。
【0059】
乱数生成処理部40は、乱数の初期値38を一度だけ読み込み、それをもとに各1ビット情報抽出の処理毎に順次、乱数43を生成して出力する。該情報抽出処理側の乱数生成処理部40と情報多重化処理側の乱数生成処理部13は、同じ乱数の初期値を入力としたとき、同順序で同じ乱数が出力するように実装する必要がある。
【0060】
図15は、ブロック内情報抽出処理部41の概略構成および処理の概念図である。n×nブロック直交変換係数行列42は、n×n直交変換係数バッファ44に格納される。乱数43は、座標選択処理部45に入力される。
【0061】
座標選択処理部45は、情報多重化処理部6の直交変換係数変更処理部14で用いた座標選択処理部20と同じ処理を行う。すなわち、該情報抽出処理側の座標選択処理部45と情報多重化処理側の座標選択処理部20は、同じ乱数を入力としたとき、同じ座標を出力するように実装する必要がある。
【0062】
ブロック内情報抽出処理部41は、n×n直交変換係数行列バッファ44内の、座標選択処理部45が選択した座標に当たる係数を周波数成分変更幅39を用いて剰余計算することにより、1ビット副情報46を出力する。情報抽出処理は、ひとつのブロック直交変換行列に対してj回(jは情報多重化処理において実装された、各ブロック直交変換係数行列に多重化する副情報のビット数jと同じ数である)行われ、順次、多重化されていた1ビット副情報46を出力する。
【0063】
情報抽出処理の回数に伴い、多重化されていた副情報の各ビットの抽出回数が増加するに従い、それらに多数決処理などを施すことで、抽出された副情報の信頼度も向上する。
【0064】
以下に、情報多重化済み画像29のi番目のフレームにおいて、左上を[0,0]iブロックとしたときの、[h,v]iブロックからの1ビット情報抽出処理について具体的に説明する。
【0065】
画像29に多重化されている副情報31をb0b1・・・bk-1(ビット長をkとする)、[h,v]iブロックに多重化されている副情報のひとつ(1ビット副情報46)を
【0066】
【外7】
【0067】
情報抽出に用いる乱数43を
【0068】
【外8】
【0069】
周波数成分変更幅39をrange、n×nブロック直交変換係数行列42を[c(x,y)]iとする。
【0070】
座標選択処理部45では、乱数
【0071】
【外9】
【0072】
から座標
【0073】
【外10】
【0074】
を生成する。ブロック内情報抽出処理部41は、n×n直交変換係数行列バッファ44内の、この座標にあたる直交変換係数
【0075】
【外11】
【0076】
に対して、
【0077】
【数6】
【0078】
を計算することにより、[h,v]iブロックに多重化されているうちの1ビッ
トの副情報46
【0079】
【外12】
【0080】
を得る。この抽出された1ビット副情報46は、副情報再構成処理部34へ送られる。
【0081】
〈副情報再構成処理部34〉
図16は、副情報再構成処理部34の処理概念図である。副情報再構成処理部34は、ブロック画像内に多重化されていた副情報を1ビットずつ順次入力とし、複数回入力される各副情報ビットを多数決などの手法を用いることにより決定し、もとの副情報31を再構成する。該副情報再構成処理部34は1ビット副情報46を受け、副情報書き込みヘッダを予め決められた方法で制御する。
【0082】
この抽出処理をひとつのブロック直交変換係数行列に対して、それの中に多重化されているビット数であるj回繰り返すことで、ひとつのブロック直交変換係数行列からの副情報抽出処理が終了する。
【0083】
以上の処理をすべての静止画像の全ブロック画像に対して行い、副情報31が得られる毎、もしくは、全フレームにおいてその処理が終了した後、情報多重化済み画像29から抽出された副情報31を出力する。
【0084】
次に、情報抽出処理において、情報抽出速度を向上させる方法を以下に説明する。情報抽出装置28における情報抽出処理部33では、図14に示すように、入力されるn×nブロック画像を一旦、直交変換処理防37を用いてn×nブロック直交変換係数行列に変換していたが、この変換処理を行わず、情報多重化を行った直交変換係数のみをn×nブロック画像から直接計算することにより、計算量を軽減することができる。
【0085】
図17は、高速化された情報抽出処理部33の構成図を示したものである。
【0086】
構成は、図14と基本的にほとんど同じで、違いは、直交変換処理部がないことと、ブロック内情報抽出処理部50の入力が、n×nブロック直交変換係数行列から直接n×nブロック画像35にかわったことである。したがって、以下ではブロック内情報抽出処理部50の説明のみを行う。
【0087】
図18は、高速化されたブロック内情報抽出処理部50の概略構成および処理の概念図を示したものである。情報抽出処理自体は、先のブロック内情報抽出処理部41の動作と同様で、異なる部分は、入力されたn×nブロック画像35をn×nブロック画像バッファ51に格納し、そのブロック画像の画素値を用いて、座標選択処理部45が選択した座標にあたる直交変換係数のみを計算するということだけであり、その係数値を計算することにより1ビット副情報を抽出する方法などは同じである。
【0088】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明では、各n×nブロック画像に多重化するjビット分の副情報について、その一部を多重化情報識別ラベルとして利用する。こりにより、抽出情報の信頼度も得ることが可能である。例えば、ラベル情報をa0a1・・・ak-1(各n×nブロック画像に多重化する副情報のビット数jのうち、l(エル)ビット分をラベル情報として利用)とし、情報抽出を行い、得られたラベル情報部分と、本来のラベル情報とのハミング距離をm(m<l)とする。このとき、ラベル情報と同時に抽出された残りj−lビットの副情報の信頼度Sは、
【0089】
【数7】
【0090】
により計算できる。この式をもとに、各抽出ビットに重みをつけて副情報を再構成することにより、さらに情報抽出の精度が向上する。
【0091】
また、ラベルの抽出精度を調べることにより、主情報である動画像の改竄事実の有無を検出することや、一部分切り出した画像についても、乱数の初期値を使った乱数の初期化などにより、情報抽出が可能である。
【0092】
また、情報多重化のさいに用いるレンジは、ブロック画像の特徴をみて、個々のブロックごとに変化させてもよい。例えば、ブロック画像の画素値のエントロピーを計算して、その値によってレンジを変更するなどである。このように、副情報を多重化した変更周波数成分位置および周波数成分変更幅を工夫することにより、人間が知覚できないように情報多重化を行え、かつ、主情報(画像)の劣化による副情報(多重化情報)の劣化に対する強度を制御できる。また、情報多重化時に用いた鍵情報がなければ、副情報の取り出しができない。
【0093】
【発明の効果】
本発明によれば、デジタル動画像に対しての別の情報を多重化し、該多重化された情報を抽出するにあたり、副情報に多重化情報識別ラベルを含めることにより、抽出情報の信頼度を求めることが可能になる。
【0094】
実施の形態は、画像がYUVフォーマットのときの輝度成分のみを対象としたものであるが、本発明は同アルゴリズムを色差成分にも適用することも可能である。また、画像フォーマットがRGBについても同様であり、R,G,Bそれぞれに対して同アルゴリズムを適用することが可能である。これらの方法を適用すると、さらに多くの情報を多重化することが可能となり、また、それぞれの成分に多重化する情報を同一のものとすることにより、画像および多重化情報への改竄事実の有無の検出に用いることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】情報多重化装置の入出力関係の概略図である。
【図2】情報多重化装置の全体的構成図である。
【図3】画像分解処理部の処理の概略を示す図である。
【図4】情報多重化処理部の詳細構成図である。
【図5】副情報バッファの概念図である。
【図6】直交変換係数処理部の概念図である。
【図7】直交変換係数変更処理部の概念図である。
【図8】座標バッファの概略図である。
【図9】レンジオーバ回避処理部の概念図である。
【図10】逆直交変換処理部の概念図である。
【図11】画像再構成処理部の概念図である。
【図12】本発明による情報抽出装置の入出力関係の概略図である。
【図13】情報抽出装置の全体的構成図である。
【図14】情報抽出処理部の詳細構成図である。
【図15】ブロック内情報抽出処理部の概念図である。
【図16】副情報再構成処理部の概念図である。
【図17】高速化された情報抽出処理部の概念図である。
【図18】高速化されたブロック内情報抽出処理部の概念図である。
【符号の説明】
1 情報多重化装置
2 原画像(主情報)
3 情報埋め込みパラメタ(情報多重化パラメタ)
4 情報多重化済み画像
5 画像分解処理部
6 情報多重化処理部
7 画像再構成処理部
29 情報多重化済み画像(主情報+副情報)
30 情報抽出パラメタ
31 副情報
32 画像分解処理部
33 情報抽出処理部
34 副情報再構成構成処理部
Claims (4)
- デジタル動画像に対して、別の副情報が多重化されると共に、前記副情報を抽出する際の抽出情報の信頼度指標を得るための、予め定めた一定ビットパターンの情報である多重化情報識別ラベルが多重化された情報多重化済みデジタル動画像から副情報を抽出する方法であって、
情報多重化済みデジタル動画像から多重化情報識別ラベル及び副情報を抽出し、予め定めた一定ビットパターンの多重化情報識別ラベルの値と、抽出された情報中の多重化情報識別ラベルに相当する部分の値のハミング距離を求め、該ハミング距離から、抽出された副情報の信頼度を計算し、該信頼度によって、抽出された副情報に重み付けを行うことを特徴とする情報抽出方法。 - 請求項1記載の情報抽出方法において、
情報多重化済みデジタル動画像は、デジタル動画像と情報多重化パラメタを入力とし、動画像を各静止画像に分解し、各静止画像をn×n(nは2の冪数)サイズの画像に分解し、各n×nサイズの画像について、その画素値情報をn×n直交変換し、情報多重化パラメタの一部である乱数の初期値を用いて生成した乱数から1対1写像で選出された直交変換係数値を、情報多重化パラメータの一部である周波数成分変更幅を用いて変更して、情報多重化パラメータの一部である多重化情報識別ラベル及び副情報を多重化し、該情報多重化を行った直交変換行列をn×n逆直交変換し、各n×nサイズの画像からデジタル動画像を再構成して構成されており、
前記情報多重化済みデジタル動画像を各静止画像に分解し、各静止画像をn×nサイズの画像に分解し、各n×nサイズの画像について、画素値情報をn×n直交変換し、情報多重化の際に用いた乱数の初期値と同じものを用いて生成した乱数から1対1写像で選出された直交変換係数値から、情報多重化の際に用いた周波数成分変更幅を用いて情報抽出を行って、多重化されていた多重化情報識別ラベル及び副情報を抽出して、
予め定めた一定ビットパターンの多重化情報識別ラベルの値と、抽出された情報中の多重化情報識別ラベルに相当する部分の値のハミング距離を求め、該ハミング距離から、抽出された副情報の信頼度を計算し、該信頼度によって、抽出された副情報に重み付けを行うことを特徴とする情報抽出方法。 - 請求項2記載の情報抽出方法において、n×n直交変換を省略し、情報抽出の際に、乱数から1対1写像で選出された直交変換係数値のみを計算して、多重化情報識別ラベル及び副情報を抽出することを特徴とする情報抽出方法。
- デジタル動画像、及び、乱数の初期値と、周波数成分変換幅と、副情報と、該副情報を抽出する際の抽出情報の信頼度指標を得るための、予め定めた一定ビットパターンの情報である多重化情報識別ラベルとの情報多重化パラメタを入力して、デジタル動画像を各静止画像に分解し、各静止画像をn×n(nは2の冪数)サイズの画像に分解し、各n×nサイズの画像について、画素値情報をn×n直交変換し、乱数の初期値を用いて生成した乱数から1対1写像で選出した直交変換係数値を、周波数成分変更幅を用いて変更して多重化情報識別ラベルと副情報を多重化し、該情報多重化を行った直交変換行列をn×n逆直交変換し、該逆直交変換したそれぞれのn×nサイズの画像からデジタル動画像を再構成することで生成された情報多重化済みデジタル動画像から副情報を抽出する装置であって、
情報多重化済みデジタル動画像及び乱数の初期値と周波数成分変更幅の情報抽出パラメタを入力する手段と、情報多重化済み動画像を各静止画像に分解し、各静止画像をn×nサイズの画像に分解する手段と、各n×nサイズの画像について、画素値情報をn×n直交変換し、乱数の初期値を用いて生成した乱数から1対1写像で選出された直交変換係数値から、周波数成分変更幅を用いて多重化されている多重化情報識別ラベルと副情報を抽出する手段と、予め定めた一定ビットパターンの多重化情報識別ラベルの値と、抽出された情報中の多重化情報識別ラベルに相当する部分の値のハミング距離を求め、該ハミング距離から、抽出された副情報の信頼度を計算し、該信頼度によって、抽出された副情報に重み付けを行い、各n×nの画像から抽出された副情報を再構成する手段とからなることを特徴とする情報抽出装置。
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