以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
まず、本実施形態におけるブラシレスモータの構成を説明する。
図1に示す回転電機としてのブラシレスモータMは、ステータ1と、該ステータ1の内側に配置されるロータ2(図1において一点鎖線で示す)と、ハウジング3とを備えて構成されている。ロータ2は、周方向に配置される複数のマグネット(図示略)を備えており、該マグネットがステータ1と対向配置されるようにして該ステータ1の内側に配置されている。
ステータ1は、略筒状のハウジング3内に配設され、インシュレータ4を介して巻線5が巻装されるコアとしてのステータコア6を備えている。ステータコア6は、鉄系の磁性材料よりなる。
ステータコア6は、ハウジング3の内周に固定される環状部7と、該環状部7の内周面から径方向に沿って延設された12個のティース部8a〜8lとを備えている。ティース部8a〜8lは、周方向に等角度(30°)間隔に配置されている。そして、これらのティース部8a〜8lに巻線5が集中巻きにて巻回されることにより、12個のコイルが形成されている。詳しくは、ティース部8e,8j,8k,8dには、同一相(U相)となるコイルU1〜U4がそれぞれ巻回されており、ティース部8a,8f,8g,8lには、同一相(V相)となるコイルV1〜V4がそれぞれ巻回されている。また、ティース部8i,8b,8c,8hには、同一相(W相)となるコイルW1〜W4がそれぞれ巻回されている。
U相のコイルU1〜U4は、巻線5の巻回方向が同じ向きとなるように巻回されている。そして、図2に示すように、コイルU1,U2間を渡る渡り線5a及びコイルU3,U4間を渡る渡り線5aは、コア6の中心O1を曲率中心とすると共に各渡り線5aの引出し位置Xを通る円弧状をなしている。そして、各渡り線5aの長さは、コア6の中心O1をその中心とし引出し位置Xを通る円C1における、該渡り線5aの両端の引出し位置X間の中心角θ分の円周の長さに等しい。尚、渡り線5aの引出し位置Xとは、渡り線5aが設けられるコア6の軸方向の端面6aを含む面と、各コイルU1〜U4から引き出され渡り線5aとなる巻線5(各コイルにおいて巻始めと巻終わりの巻線)との交点の位置である。また、中心角θは、渡り線5aの両端の引出し位置X間の角度ピッチに等しい。
本実施形態では、コイルU1が巻回されたティース部8eとコイルU2が巻回されたティース部8jとの角度ピッチP(ティース部8eとティース部8jとがなす角度)が150°となっている。また、コイルU1とコイルU2とは巻線5の巻回方向が同じ向きとなるように巻回されている。従って、コイルU1,U2間を渡る渡り線5aの両端の引出し位置X間の中心角θは、ティース部8eとティース部8jとの角度ピッチPから、1つのティース部の周方向幅分の角度(円C1におけるティース部の周方向幅分の円弧の中心角であって、本実施形態では約15°)を除した値である約135°となる。そして、コイルU3,U4間を渡る渡り線5aの両端の引出し位置X間の中心角θも約135°となる。
コイルU1及びコイルU4に設けられた引出し線5b(片側の端部のみコイルに繋がっている巻線5)は、陽極側の給電端子(図示略)に接続されている。また、コイルU2及びコイルU3に設けられた引出し線5bは、陰極側の給電端子(図示略)に接続されている。
U相のコイルU1〜U4と同様に、V相のコイルV1〜V4は、巻線5の巻回方向が同じ向きとなるように巻回されている。そして、コイルV1,V2間を渡る渡り線5a及びコイルV3,V4間を渡る渡り線5aは、コア6の中心O1を曲率中心とすると共に各渡り線5aの引出し位置Xを通る円弧状をなしている。更に、コイルV1及びコイルV4に設けられた引出し線5bは陽極側の給電端子に接続されており、コイルV2及びコイルV3に設けられた引出し線5bは陰極側の給電端子に接続されている。尚、図2においては、U相のコイルU1〜U4に関する渡り線5a及び引出し線5bのみを図示している。
また同様に、W相のコイルW1〜W4は、巻線5の巻回方向が同じ向きとなるように巻回されている。そして、コイルW1,W2間を渡る渡り線5a及びコイルW3,W4間を渡る渡り線5aは、コア6の中心O1を曲率中心とすると共に各渡り線5aの引出し位置Xを通る円弧状をなしている。更に、コイルW1及びコイルW4に設けられた引出し線5bは陽極側の給電端子に接続されており、コイルW2及びコイルW3に設けられた引出し線5bは陰極側の給電端子に接続されている。これらのコイルU1〜U4,V1〜V4,W1〜W4には三相交流電源が供給される。
図1及び図3(a)(b)(c)に示すように、ステータコア6は、周方向に分割された形状で互いの回動が許容される複数の分割コア部13から構成されている。本実施形態では、ステータコア6は、ティース部8a〜8l毎に分割された12個の分割コア部13から構成されている(図1参照)。各分割コア部13は、図4(a)(b)に示す第1積層部材11と、図5(a)(b)に示す第2積層部材12とが交互に積層されて構成されている。
図4(a)に示すように、第1積層部材11は、円弧状に延びる積層前分割環状部11aと、積層前分割環状部11aの長手方向の中央部から略直交方向(前記円弧状の軸中心方向)に延びる積層前ティース部11bとを有している。積層前ティース部11bの先端部には、周方向に延びる積層前突片11cが形成されている。また、積層前ティース部11bには、板厚方向(軸方向)の一方(図4(b)において上方)に第1嵌合凹部11dが形成され、且つ板厚方向の他方(図4(b)において下方)に第1嵌合凸部11eが形成されている。第1嵌合凹部11dと第1嵌合凸部11eとは、板厚方向に並んで形成されると共に、その組が積層前ティース部11bの延設方向に2つ並んで形成されている。
前記積層前分割環状部11aの周方向の一端部(図4(a)において左側の端部)には、軸方向(板厚方向)から見た形状が周方向に円弧凸状の円弧凸部11fが形成されている。また、積層前分割環状部11aの周方向の他端部(図3(a)において右側の端部)には、軸方向から見た形状が周方向に円弧凹状の円弧凹部11gが形成されている。即ち、積層前分割環状部11aの周方向両端部には、複数の第1積層部材11を側方に配列した際(図3(a)参照)に、それぞれが嵌って(案内しながら)第1積層部材11同士の回動を許容するように円弧凸部11fと円弧凹部11gとが形成されている。
積層前分割環状部11aの周方向端部において、円弧凸部11f及び円弧凹部11gよりも環状部7の径方向内側の部分には、周方向当接面11hが形成されている。周方向当接面11hは、前記環状部7の径方向に沿って延びており、隣り合う分割コア部13の回動の終端位置で隣接する積層前分割環状部11aの周方向当接面11hに当接するように形成されている。また、積層前分割環状部11aの周方向他端部において、円弧凹部11gよりも環状部7の径方向外側の部分には、環状部7の径方向に沿って延びる直線部11iが形成されている。更に、積層前分割環状部11aにおける積層前ティース部11bと逆側の面には、その周方向中央部に矩形状に凹設された積層前被係合部11kが形成されている。
前記第2積層部材12は、図5(a)に示すように、第1積層部材11と対称形状に形成されている。即ち、第2積層部材12は、円弧状に延びる積層前分割環状部12aと、積層前分割環状部12aの長手方向の中央部から略直交方向(前記円弧状の軸中心方向)に延びる積層前ティース部12bとを有している。積層前ティース部12bの先端部には、周方向に延びる積層前突片12cが形成されている。また、積層前ティース部12bには、板厚方向(軸方向)の一方(図5(b)において上方)に第2嵌合凹部12dが形成され、且つ板厚方向の他方(図5(b)において下方)に第2嵌合凸部12eが形成されている。第2嵌合凹部12dと第2嵌合凸部12eとは、板厚方向に並んで形成されると共に、その組が積層前ティース部12bの延設方向に2つ並んで形成されている。
積層前分割環状部12aの周方向の他端部(図5(a)において右側の端部)には、軸方向(板厚方向)から見た形状が周方向に円弧凸状の円弧凸部12fが形成されている。また、積層前分割環状部12aの周方向の一端部(図5(a)において左側の端部)には、軸方向から見た形状が周方向に円弧凹状の円弧凹部12gが形成されている。即ち、積層前分割環状部12aの周方向両端部には、複数の第2積層部材12を側方に配列した際(図3(a)参照)に、それぞれが嵌って(案内しながら)第2積層部材12同士の回動を許容するように円弧凸部12fと円弧凹部12gとが形成されている。
積層前分割環状部12aの周方向端部において、円弧凸部12f及び円弧凹部12gよりも環状部7の径方向内側の部分には、周方向当接面12hが形成されている。周方向当接面12hは、前記環状部7の径方向に沿って延びており、隣り合う分割コア部13の回動の終端位置で隣接する積層前分割環状部12aの周方向当接面12hに当接するように形成されている。また、積層前分割環状部12aの周方向一端部において円弧凹部12gよりも環状部7の径方向外側の部分には、環状部7の径方向に沿って延びる直線部12iが形成されている。更に、積層前分割環状部12aにおける積層前ティース部12bと逆側の面には、その周方向中央部に矩形状に凹設された積層前被係合部12kが形成されている。
上記のように構成された第1積層部材11と第2積層部材12とが交互に積層されることにより、図3(b)及び図3(c)に示すように、積層前分割環状部11a,12aよりなる分割環状部13aと、積層前ティース部11b,12bよりなるティース部8a〜8lとを有する分割コア部13が形成されている。また、第1積層部材11と第2積層部材12とが交互に積層されることにより、積層前被係合部11k,12kよりなる被係合部13bが形成されている。この際、第1積層部材11と第2積層部材12とは、第1嵌合凸部11eが第2嵌合凹部12dに圧入嵌合され、第2嵌合凸部12eが第1嵌合凹部11dに圧入嵌合されることにより互いに固定されている(図4(b)及び図5(b)参照)。この分割コア部13における分割環状部13aの周方向の一端部は、円弧凸部11fと円弧凹部12gとにより凹凸を繰り返す形状となり、周方向の他端部は、円弧凸部12fと円弧凹部11gとにより凹凸を繰り返す形状となっている(図3(b)参照)。そして、12個の分割コア部13が分割環状部13aの長手方向(図3(a)の左右方向であって矢印X方向)に移動されて凹凸が互いに嵌め合わされ、ティース部8a〜8lが内側となるように円環状に配列されると、分割環状部13aにより環状部7が形成され、ティース部8a〜8lが周方向に配置される(図1参照)。また、複数の分割コア部13が矢印X方向に沿って配列された状態では、隣り合う分割コア部13における分割環状部13aの周方向の凹凸が互いに嵌り合うことにより、円弧凸部11f,12fが軸方向に重なって配置されている。更に、複数の分割コア部13が配列された状態では、円弧凸部11f,12f及び円弧凹部11g,12gの円弧状の曲面によって、隣接する分割コア部13の回動が案内される。即ち、この状態では、前記円弧凹状及び前記円弧凸状により、隣接する分割コア部13同士の回動が許容される。尚、前記円弧凹状及び前記円弧凸状は、これら同時では互いに連結するものではない。
前記インシュレータ4は、図6乃至図9に示すように、分割コア部13に対応した形状の第1インシュレータ部材21及び第2インシュレータ部材22よりなる。第1及び第2インシュレータ部材21,22は、絶縁性を有する樹脂材料よりなる。第1及び第2インシュレータ部材21,22は、分割環状部13aの軸方向片側端面上に配置される弧状端面部21a,22aと、分割環状部13aの内周面を覆う内周側端面部21b,22bとを備えている。また、第1及び第2インシュレータ部材21,22は、ティース部8a〜8lの軸方向片側端面を覆う端面部21c,22cと、ティース部8a〜8lの両側面を覆う一対の側面部21d,22dとを備えている。前記弧状端面部21a,22aは、ティース部8a〜8lに巻回される巻線5の径方向外側へのはみ出しを規制すべく軸方向に突出して形成され、その一部には巻線5を係止可能な係止溝21e,22eが形成されている。また、前記端面部21c,22cにおける弧状端面部21a,22aと逆側の端部(図7及び図9において下端部)には、ティース部8a〜8lに巻回される巻線5の径方向内側へのはみ出しを規制する内側規制壁21f,22fが軸方向に立設されている。
図6及び図7に示すように、第1インシュレータ部材21における前記分割環状部13aの周方向端部と対応した位置であって弧状端面部21aの周方向両端部には、軸方向に延びる挿入孔21gが形成されている。挿入孔21gには、軸直交方向に延びる(軸方向から見て挿入孔21gの径方向に延びる)鉤状切り欠き部21hが形成されている。一対の鉤状切り欠き部21hは、図7に示すように、内側規制壁21f側(図6において下側)に向かうほど離間するように(図7において、左斜め下方向と右斜め下方向に)延びている。
図8及び図9に示すように、第2インシュレータ部材22における前記分割環状部13aの周方向端部と対応した位置であって弧状端面部22aの周方向両端部には、軸方向に延びる挿入凸部22gが形成されている。挿入凸部22gには、その先端に軸直交方向に延びる(軸方向から見て挿入凸部22gの径方向に延びる)鉤状突出部22hが形成されている。鉤状突出部22hは、第1インシュレータ部材21と第2インシュレータ部材22とが所定の回動角度をなした状態で挿入凸部22gを挿入孔21gに挿入可能とし、且つ所定の回動角度以外の回動角度をなした状態で挿入凸部22gを挿入孔21gに対して挿抜不能とするように形成されている。即ち、鉤状突出部22hは、前記所定の回動角度でのみ鉤状切り欠き部21hと一致するように形成されている。本実施形態では、一対の鉤状突出部22hは、図9に示すように、内側規制壁22f側(図9において下側)に向かうほど離間するように(図9において左斜め下方向と右斜め下方向に)延びている。
前記所定の回動角度は、合わせて12個(6個ずつ)の第1及び第2インシュレータ部材21,22を内側規制壁21f,22fが外側を向くように円環状に配列した際に、第1及び第2インシュレータ部材21,22がなす角度に設定されている。この所定の回動角度では、鉤状突出部22hが鉤状切り欠き部21hと一致し、挿入凸部22gを挿入孔21gに挿入可能となる。鉤状突出部22hと鉤状切り欠き部21hとが軸方向に一致した状態で、挿入凸部22gが挿入孔21gに挿入されることにより、第1及び第2インシュレータ部材21,22は、交互に配列されると共に互いに回動可能に連結される。尚、合わせて12個の第1及び第2インシュレータ部材21,22の両端部(両端部の第1及び第2インシュレータ部材21,22における端部)には、ピン挿入孔23a,23bが形成されている(図1参照)。これらピン挿入孔23a,23bは、軸方向に重なることによりピン15が挿入される1つのピン挿入孔23を形成する。そして、ピン挿入孔23及びピン15は、隣接する分割コア部13を切り離し可能且つ回動可能に連結する連結部を構成している。
また、図1に示すように、ステータコア6(分割コア部13)に第1及び第2インシュレータ部材21,22が装着され、12個の分割コア部13がティース部8a〜8lが内側となるように円環状にされた状態では、鉤状突出部22hが鉤状切り欠き部21hと一致しないため、挿入孔21gから挿入凸部22gが抜脱不能となっている。また、第1及び第2インシュレータ部材21,22が所定の回動角度をなすように配置された状態であっても、軸方向に沿った方向の力が加えられなければ、挿入凸部22gは挿入孔21gから抜けることはない。
上記のように構成されたインシュレータ4は、前記円弧凸部11f,12f同士が軸方向に重なった状態の分割コア部13に装着される。そして、各分割コア部13は、インシュレータ4が装着されることにより該インシュレータ4を介して隣接する分割コア部13に対して回動可能に連結される。尚、挿入孔21g及び挿入凸部22gの軸中心は、前記円弧凸部11f,12f及び前記円弧凹部11g,12gの軸中心と同じとなるように設定され、該軸中心に隣り合う分割コア部13が回動可能となっている。また、インシュレータ4(第1及び第2インシュレータ部材21,22)は、分割コア部13の軸方向に一対、即ち軸方向の一方と他方に上下対称にそれぞれ設けられている。
インシュレータ4が装着されたコア6のティース部8a〜8lには、該インシュレータ4を介して巻線5が巻回される。そして、コア6は、ティース部8a〜8lが内側となるように環状にされた状態でハウジング3に内環されている。
次に、ステータ1を製造するステータの製造システムについて説明する。図10に示すように、ステータの製造システムSは、巻線機31、引出し線押込み機101、及びコア巻取り機201を備えて構成されている。
まず、巻線機31について説明する。図11乃至図14に示すように、巻線機31は、ターンテーブル41、環状化機構51、保持機構61、巻線ガイド71、フライヤ91〜93、巻線案内部95、及び制御装置(図示略)を備えて構成されている。
図13に示すように、巻線機31は、基台32を備えている。基台32の上面には、円筒状の載置台33が上方に向かって突出形成されている。また、基台32の上面中央部(載置台33の内側)には、該上面と直交するように回転軸34が配設されている。回転軸34の基端(基台32側の端部)は、基台32の内部に配置され、同基台32の内部に設けられたサーボモータ35の回転軸(図示略)に連結されている。一方、回転軸34の先端には、ターンテーブル41が固定されている。そして、サーボモータ35が駆動されると、回転軸34が回転され、回転軸34と共にターンテーブル41が回転される。図11に示すように、ターンテーブル41は、回転軸34の軸方向から見た形状が正三角形状の三角柱状をなしている。また、ターンテーブル41は、回転軸34の軸方向から見ると、3つの角部が丸みを帯びている。巻線機31を用いてティース部8a〜8lに巻線5が巻回される際には、このターンテーブル41の外周に、ティース部8a〜8lが外側となるように環状に連結された分割コア部13が配置される。
ターンテーブル41には、前記環状化機構51が設けられている。環状化機構51は、ターンテーブル41において平面状をなす3つの側面41a〜41cの幅方向中央部で側面41a〜41cと直交する方向(回転軸34の径方向)に進退可能に設けられた駆動部材52と、該駆動部材52の先端部に固定された環状化部材53とを備えて構成されている。駆動部材52は、ターンテーブル41の内部に設けられた図示しない駆動機構によって駆動される。
環状化部材53は、側面41a〜41cに当接する平面部53aと、円弧状をなす円弧面53bとを備え、略蒲鉾状をなしている。円弧面53bは、前記分割コア部13をティース部8a〜8lが外側となるように連結して円環状にした場合に分割コア部13の内側で全ての分割環状部13aに接する内接円と同様の曲率で湾曲している。この環状化部材53は、駆動部材52によって側面41a〜41cと直交する方向(回転軸34の径方向)に沿って移動される。そして、駆動部材52がターンテーブル41の内側に向かって最も後退されると、平面部53aが側面41a〜41cに当接する。また、ターンテーブル41の外周に環状のコア6が配置された状態において、駆動部材52がターンテーブル41の外側に向かって最も進出されると、円弧面53bがそれぞれ3つの分割コア部13の分割環状部13aに当接し、12個の分割コア部13を円環状にする。尚、この環状化部材53は、それだけでコア6を保持するものではない。そのため、回転軸34の軸方向から見た環状化部材53の移動範囲内において、環状化部材が最も進出された状態(若しくは僅かに後退された状態)でターンテーブル41が回転されると、環状化部材53はコア6に対して周方向に相対移動される。この時、コア6は円環状にされた状態のまま載置台33上で静止している。尚、ターンテーブル41及び環状化機構51は、連結された分割コア部13を円環状にする場合以外には、分割環状部13aに干渉しない大きさ(径方向の大きさ)となっている。
図14に示すように、前記保持機構61は、ターンテーブル41に設けられている。図12に示すように、保持機構61は、回転軸34の軸方向から見ると、3つの前記環状化部材53の間であって、正三角形状をなすターンテーブル41の頂部に備えられている。この保持機構61は、ターンテーブル41の頂部で回転軸34の径方向に沿って進退可能に設けられた駆動部材62と、該駆動部材62の先端に固定された保持部材63とを備えて構成されている。駆動部材62は、ターンテーブル41の内部に設けられた図示しない駆動機構によって駆動される。
図12及び図14に示すように、保持部材63は、駆動部材62の先端に固定された保持部材本体64と、該保持部材本体64における回転軸34の軸方向の両端部に一体に形成された一対のプレート保持部65とを備えて構成され、周方向から見た形状がコ字状をなしている。
各保持部材本体64は板状をなしており、そのターンテーブル41の回転方向の幅が、前記分割環状部13aの周方向の幅よりも若干小さく形成されている。また、保持部材本体64における回転軸34の軸方向に沿った長さは、分割コア部13(コア6)の軸方向の長さと等しく形成されている。そして、保持部材本体64における回転軸34の径方向外側の面である当接円弧面64aは、各分割環状部13aの反ティース部8a〜8l側の面と等しい曲率の円弧状をなしている。この当接円弧面64aは、ティース部8a〜8lに巻線5を巻回する際に、ターンテーブル41の外周に配置された分割コア部13と対向する。また、当接円弧面64aの幅方向の中央には、回転軸34の軸方向に沿って延びる係合部64bが一体に形成されている。係合部64bは、分割コア部13に形成された被係合部13bに対応した形状をなしている。
一対の前記プレート保持部65は、回転軸34の径方向外側の一端部が当接円弧面64aよりも径方向外側となるようにして保持部材本体64と一体に形成されている。そして、各プレート保持部65における回転軸34の径方向外側の一端面は、前記第1及び第2インシュレータ部材21,22の弧状端面部21a,22aにおける反ティース部8a〜8l側の面と等しい曲率の円弧状をなす当接円弧面65aとなっている。そして、前記保持部材本体64における回転軸34の軸方向の長さが分割コア部13の軸方向の長さと等しく形成されていることから、対をなすプレート保持部65の互いに向き合う面65b間の距離は、分割コア部13の軸方向の長さと等しくなっている。
このような保持部材63と前記環状化部材53とは、図11及び図12に示すように、環状化機構51の駆動機構によって環状化部材53がターンテーブル41から離れる方向に移動(前進)されると、保持機構61の駆動機構によって保持部材63が軸方向から見てターンテーブル41の内側に向かって移動(後退)される。そして、環状化部材53が側面41a〜41cと直交する方向に沿ってターンテーブル41から最も離れた位置に移動された状態では、保持部材63は、軸方向から見た保持部材63の移動範囲内において、最もターンテーブル41の内側寄りの位置に配置される。逆に、環状化部材53が側面41a〜41cと直交する方向に沿ってターンテーブル41に最も近い位置、即ち平面部53aが側面41a〜41cに当接する位置に移動(後退)されると、保持部材63は、軸方向から見た保持部材63の移動範囲内において、最もターンテーブル41の外側寄りの位置まで移動(前進)される。
そして、図12に示すように、保持部材63は、ターンテーブル41の外周に環状のコア6が配置された状態で、軸方向から見て最もターンテーブル41の外側寄りの位置に配置されると、ティース部8a〜8lが外側となるように連結された分割コア部13の内側で、3つ置きの分割コア部13にそれぞれ当接し当該分割コア部13を保持する。詳しくは、保持部材63が前進されると、該保持部材63によって3つ置きの分割コア部13が後述のフライヤ91〜93に向かって移動される。そして、保持部材63は、該保持部材63によって保持された3つの分割コア部13間に位置する分割コア部13の分割環状部13aが略直線状となるまで、駆動機構によって回転軸34の径方向に沿ってターンテーブル41の外側に移動される。この時、保持部材63は、当該保持部材63にて保持された分割コア部13の軸方向、径方向、及び周方向(回転軸34の軸方向、径方向、及び周方向に沿った方向)の移動を規制している。
図11及び図12に示すように、巻線ガイド71は3つ備えられ、ターンテーブル41の外周側に配置されている。詳しくは、巻線ガイド71は、周方向に等角度間隔に配置されると共に、前記保持部材63間に配置されている。また、巻線ガイド71は、保持部材63にて保持された3つの分割コア部13のティース部(図12においては、ティース部8e,8a,8i)の側方に配置されている。巻線ガイド71は、巻線ガイド本体72と、該巻線ガイド本体72と一体に形成されたガイド部材73とを備えて構成されている。そして、図13に示すように、巻線ガイド71は、一端が該巻線ガイド71に固定され、他端が回転軸34に連結されたアーム部材74によってそれぞれ支持されている。従って、巻線ガイド71は、ターンテーブル41と共に回転する。アーム部材74は、例えばエアシリンダにて駆動され、ターンテーブル41及び保持部材63に接触しない範囲で回転軸34の径方向に沿って移動される。尚、巻線ガイド71は、ターンテーブル41と非連結であってもよい。
図12に示すように、巻線ガイド本体72は、軸方向から見ると、ターンテーブル41に近づくに連れて徐々に幅が広くなる台形状をなしている。そして、巻線ガイド本体72のターンテーブル41側の面72aの幅は、保持部材63によって3つ置きの分割コア部13が保持された状態で、保持部材63によって保持された分割コア部13間に配置された3つの分割コア部13のティース部8b〜8d,8f〜8h,8j〜8lの幅と略等しく形成されている。また、巻線ガイド本体72の軸方向の長さは、分割コア部13の軸方向の長さと略等しく形成されている。
前記ガイド部材73は、巻線ガイド本体72の面72aにおけるティース部8a〜8lの配列方向の両端部に延設されている。ガイド部材73は、各巻線ガイド71において、該ガイド部材73の基端から先端に向かうに連れて互いに離れるように形成され、軸方向から見た形状がターンテーブル41側に開くハの字状となっている。前記エアシリンダが駆動されることによりアーム部材74を介して巻線ガイド71がターンテーブル41側に移動されると、巻線ガイド71は、保持部材63によって保持された分割コア部13間に配置された分割コア部13が有するティース部8a〜8lを覆う。
図11に示すように、巻線ガイド71間には、フライヤ91〜93が配置されている。これらのフライヤ91〜93は、保持部材63にて保持される分割コア部13を挟んで保持部材63と対向する位置に配置されている。そして、フライヤ91〜93は、保持部材63によって保持された分割コア部13のティース部8a〜8l、即ちフライヤ91〜93に対向されたティース部8a〜8lに同時に巻線5を巻回する。尚、本実施形態では、フライヤ91にてU相のコイルU1〜U4が巻回され、フライヤ92にてV相のコイルV1〜V4が巻回され、フライヤ93にてW相のコイルW1〜W4が巻回される。
図13及び図14に示すように、ターンテーブル41の上部には、円柱状をなす巻線案内部95が配置されている。ティース部8a〜8lに巻線5が巻回される際に、渡り線5aとなる巻線5が、この巻線案内部95の外周面95aに当接して外周面95a上を伝うことにより、渡り線5aとなる巻線5の長さが巻線案内部95によって調節される。
巻線案内部95は、コア6において渡り線5aが設けられる軸方向の端面6aと軸方向に対向して配置されている。巻線案内部95の外径は、ティース部8a〜8lを径方向内側として円環状に整形されたコア6の外径と内径(各ティース部8a〜8lの先端部を通る円C2の直径)との中間の値となっている。そして、巻線案内部95の外周面95aに当接した巻線5にて形成される渡り線5aの長さが、製造されたステータ1において、渡り線5aの一端側の引出し位置Xから前記円C1に沿って同渡り線5aの他端側の引出し位置Xに至る円弧状とすることが可能な長さとなるように、巻線案内部95の軸方向の配置位置が設定されている(図2参照)。また、巻線案内部95の外周面95aには、引出し線5bの長さを調節するための突起部(図示略)が設けられている。このような巻線案内部95は、モータ等によりコア6の回転と同期して回転するように構成されている。
前記制御装置は、巻線機31の制御を行うためのものである。前記サーボモータ35、環状化機構51の駆動機構、及び保持機構61の駆動機構等を制御する。
次に、引出し線押込み機101について説明する。引出し線押込み機101は、ティース部8a〜8lへの巻線5の巻回が終了した後に、ティース部8a〜8lを径方向外側として環状化されたコア6の径方向内側に向けて引出し線5bを押し込むためのものである。
図15に示すように、引出し線押込み機101は固定テーブル102を備えている。この固定テーブル102は、引出し線押込み機101の基台(図示略)に固定されている。固定テーブル102の中央部には、コア配置部103が配置されている。コア配置部103は略円柱状をなしており、該コア配置部103の外周に、ティース部8a〜8lを径方向外側として円環状にされたコア6が固定される。また、コア配置部103の軸方向の長さは、コア6の軸方向の長さよりも短く形成されている。尚、コア配置部103に固定されるコア6においては、コイルU2とコイルU3との間の渡り線5a、コイルV2とコイルV3との間の渡り線5a、及びコイルW2とコイルW3との間の渡り線5aは、それぞれ各渡り線5aの中央で切断されて、給電端子(図示略)に接続される引出し線5bとなっている。
コア配置部103の周囲には、複数(本実施形態では7個)の引出し線保持部104が周方向に間隔を空けて配置されている。引出し線保持部104の周方向位置は、コア配置部103に固定されたコア6における引出し線5bの周方向位置に対応して配置されている。各引出し線保持部104は、略四角柱状のアーム保持部105と、該アーム保持部105の先端に設けられた2本のアーム106とを備えている。
アーム保持部105は、その長手方向がコア配置部103の径方向に沿うように配置されている。そして、アーム保持部105は、コア配置部103の軸方向に沿って移動可能、且つコア配置部103の径方向に沿って(図15においてはアーム保持部105の長手方向に沿って)移動可能に構成されている。アーム保持部105は、例えば、エアシリンダによりコア配置部103の軸方向や径方向に沿って移動される。
各アーム保持部105に設けられた2本のアーム106は、その基端部を回動中心として回動可能となっている。そして、2本のアーム106間に該アーム106と略直交するように引出し線5bが配置された状態で各引出し線保持部104の2本のアーム106が回動されると、2本のアーム106が交差し、交差したアーム106とアーム保持部105の先端との間で引出し線5bが保持される。
各引出し線保持部104と固定テーブル102との間には、押込み部107が設けられている。押込み部107は、引出し線保持部104と同数設けられ、コア配置部103に固定されたコア6よりもコア配置部103の軸方向に沿って固定テーブル102から離れた位置に配置されている。これらの押込み部107は、棒材108と、略直方体状をなす押込み部材109とを備え構成されている。棒材108は、その長手方向がコア配置部103の径方向に沿うように配置されており、押込み部材109は、棒材108におけるコア配置部103側の先端に設けられている。
このような押込み部107は、コア配置部103の径方向に沿って(図15においては棒材108の長手方向に沿って)移動可能となっている。押込み部107は、例えば、エアシリンダによって駆動される。そして、各引出し線保持部104にて引出し線5bが保持された状態で、押込み部107が前進(コア6の中央に向かって移動)されると、引出し線5bが、押込み部材109によって、ティース部8a〜8lを径方向外側として円環状にされたコア6の径方向内側に向けて押し込まれる。
コア配置部103の周囲には、引出し線保持部104の他に、複数(本実施形態では3個)の渡り線ほぐし部111が設けられている。渡り線ほぐし部111は、引出し線保持部104と軸方向に重ならない位置で、周方向に間隔を空けて配置されている。各渡り線ほぐし部111は、略四角柱状のほぐし部材保持部112と、該ほぐし部材保持部112に保持された棒状のほぐし部材113とを備えて構成されている。ほぐし部材保持部112は、その長手方向が、コア配置部103の径方向に沿うように配置されている。そして、ほぐし部材保持部112は、コア配置部103の軸方向に沿って移動可能に構成されている。ほぐし部材保持部112は、例えば、エアシリンダにて移動される。
ほぐし部材113は、該ほぐし部材113の先端がほぐし部材保持部112の先端から突出した状態でほぐし部材保持部112内に収容されている。そして、ほぐし部材113の先端部は縮径されている。また、ほぐし部材113は、コア配置部103の径方向に沿って(図15においてはほぐし部材保持部112の長手方向に沿って)、進退可能に構成されている。ほぐし部材113は、例えば、エアシリンダにて進退される。ほぐし部材113が前進されると、ほぐし部材113の先端はコア配置部103の略中央部に達する。
コア配置部103の周囲には、クランプ機構115が設けられている。クランプ機構115は、3つのクランプ支持部116と、該クランプ支持部116の先端に固定されたクランプ部117とを備えて構成されている。3つのクランプ支持部116は、コア配置部103の周囲に等角度間隔に配置されている。クランプ支持部116は、コア配置部103の径方向に沿って進退可能に形成されている。このクランプ支持部116は、例えばエアシリンダにて駆動されて進退する。
各クランプ支持部116の先端に固定されたクランプ部117は、各クランプ支持部116が前進(コア配置部103の径方向内側に向かって移動)された状態で、コア配置部103の軸方向から見た形状が正12角形の筒状をなすように構成されている。そして、正12角形の筒状をなす3つのクランプ部117の内側の面117aは、コア配置部103の軸方向から見た形状が正12角形をなすように形成されている。そして、各クランプ支持部116が前進された状態では、面117aに対してティース部8a〜8lの先端が当接される。これにより、クランプ機構115は、コア配置部103に固定されたコア6を周方向に移動不能に支持する。
図16に示すように、引出し線押込み機101は、制御装置121を備えている。制御装置121は、引出し線保持部104、押込み部107、及び渡り線ほぐし部111が互いに干渉しないように、これらの動作を制御する。また、制御装置121は、クランプ機構115の動作を制御する。
次に、コア巻取り機201について説明する。コア巻取り機201は、ティース部8a〜8lが径方向内側となるようにコア6を円環状に整形するためのものである。
図17に示すように、コア巻取り機201は、板状の基台(図示略)を備えており、該基台には支柱(図示略)が立設されている。そして、支柱の上端部には、コア固定部202が固定されている。コア固定部202は、略円柱状をなしており、下端が前記支柱に対して固定されている。コア固定部202の軸方向の長さは、コア6の軸方向の長さと略等しく形成されている。また、コア固定部202の外径は、ティース部8a〜8lを径方向外側として円環状にされた状態のコア6の内径と等しく形成されている。また、コア固定部202の外周面には、軸方向に沿って延びる溝部203が1つ形成されている。そして、コア巻取り機201にてコア6が整形される際には、コア固定部202の外周にティース部8a〜8lを径方向外側として円環状にされたコア6が配置される。コア固定部202に固定されたコア6においては、ティース部8lの周方向位置と溝部203の周方向位置とが一致している。
また、図18に示すように、コア固定部202において、コア固定部202の外周に配置されたコア6のティース部8aの周方向位置と一致する位置には、ティース固定部204が設けられている。ティース固定部204は、略コ字状をなしている。そして、ティース固定部204は、ティース部8aを有する分割コア部13の軸方向一端側(本実施形態では上側から)から該分割コア部13に嵌められ、該分割コア部13を径方向の両側から挟持する。これにより、ティース固定部204は、ティース部8aを有する分割コア部13をコア固定部202に対して径方向及び周方向に移動不能に支持する。
図17に示すように、前記基台と前記コア固定部202との間には、略円板状をなす回転テーブル205が設けられている。回転テーブル205は、コア固定部202よりも軸方向に沿って前記基台寄りの位置、且つ回転テーブル205とコア固定部202とが径方向に重ならない位置に配置されている。
回転テーブル205は、その径方向中央部に貫通孔(図示略)が形成されており、該貫通孔には前記支柱が挿通されている。貫通孔の内周面と支柱の外周面との間には、軸受が介在されており、回転テーブル205は、支柱に対して周方向に回転可能に構成されている。そして、回転テーブル205は、コア固定部202に対し、コア固定部202の中心線L1(コア固定部202の径方向の中央部を通ると共に軸方向に延びる直線)を回転軸線として回転される。尚、図17及び図18には、回転テーブル205の回転角度が0°の状態のコア巻取り機201を図示しており、図19には、回転テーブル205の回転角度が300°の状態のコア巻取り機201を図示しており、図20(a)には、回転テーブル205の回転角度が335°より大きい状態のコア巻取り機201を図示している。
図18に示すように、回転テーブル205上には、巻取り体211が配置されている。巻取り体211は、コア固定部202と径方向に並んでいる。この巻取り体211は、巻取り台212と、巻取り部213と、ティース固定部214を備えている。
巻取り台212は円板状をなしており、その外径は、ティース部8a〜8lを径方向内側として整形されたコア6の外径よりも若干大きく形成されている。巻取り台212は、2つの巻取り台部材221,222から構成されている。2つの巻取り台部材221,222はそれぞれ略半円形状をなしており、互いに組み合わされて円板状の巻取り台212を構成している。そして、巻取り台部材221は、巻取り台212の中央から径方向外側にずれた位置にある回動軸223を回動中心として、巻取り台部材222から離れるように回動可能となっている。本実施形態では、図19に示すように、回転テーブル205が300°回転された時に、ばね等の付勢力により巻取り台部材221が回動されるように構成されている。また、回転テーブル205の外周には、巻取り台部材221の回動量を規制するための回動ストッパ224が設けられている。回動ストッパ224は、巻取り台部材221が所定量だけ回動した際に、巻取り台部材221の外周面が回動ストッパ224に当接する位置に配置されている。よって、巻取り台部材221は、巻取り台部材221の外周面がストッパに当接することにより、その回動が停止される。
前記巻取り部213は円柱状をなしており、その外径は、ティース部8a〜8lを径方向内側として整形されたコア6のティース部8a〜8lの先端を取る円C2(図2参照)の直径と等しく形成されている。言い換えると、巻取り部213の外径は図1に示すエアギャップG(ステータ1とロータ2との間の径方向の隙間)の外径に等しい。この巻取り部213は、2つの巻取り部材231,232から構成されている。2つの巻取り部材231,232は、軸方向から見た形状が半円形状をなしており、互いに組み合わされて円柱状の巻取り部213を構成している。また、巻取り部材231は巻取り台部材221に一体的に形成され、巻取り部材232は巻取り台部材222に一体的に形成されている。そして、巻取り台部材221が回動軸223を回動中心として巻取り台部材222から離れるように回動すると、巻取り部材231が、回動軸223を回動中心として巻取り部材232から離れるように回動される。これにより、巻取り部213の外周の長さが、ティース部8a〜8lを径方向内側として整形されたコア6のティース部8a〜8lの先端を取る円C2の円周の長さよりも長くなる。因みに、巻取り部213の外周の長さは、図19に示す矢印のように、巻取り部213の外周面上を一周した長さである。
図18に示すように、前記ティース固定部214は、巻取り台212上に設けられている。詳しくは、ティース固定部214は、巻取り台212上において、回転テーブル205の回転角度が0°の時に、前記コア固定部202の溝部203と回転テーブル205の径方向に沿って対向する位置に立設されている。また、ティース固定部214は、回転テーブル205の回転角度が0°の時には、コア固定部202に形成された溝部203内に配置されている。そして、ティース固定部214は、巻取り部213の外周面との間に、分割コア部13におけるティース部8lの延設方向に沿った長さと等しい間隔を空けて配置されている。このティース固定部214は、軸方向から見た形状が、分割コア部13の分割環状部13aと同様に湾曲した板状をなしている。ティース固定部214における分割環状部13aの周方向に沿った長さは、分割環状部13aの周方向の長さよりも短く形成されている。また、ティース固定部214の巻取り部213側の面には、軸方向に沿って延びる係合部235が形成されている。係合部235は、各分割コア部13に形成された被係合部13bに対応した形状をなしている。そして、前記コア固定部202にコア6が固定されると、ティース部8lを有する分割コア部13が、巻取り部213の外周面とティース固定部214との間に配置される。ティース部8lを有する分割コア部13が巻取り部213の外周面とティース固定部214との間に配置されると、ティース部8lの先端面が巻取り部213の外周面に当接すると共に、被係合部13bと係合部235とが係合され、当該分割コア部13は巻取り部213に対して周方向及び径方向に移動不能に支持される。
このような巻取り体211は、前記回転テーブル205上に設けられていることから、回転テーブル205が回転されると、コア固定部202の外周を周回する。また、巻取り体211は、回転テーブル205の回転角度と同じだけ、巻取り部213の中心を通ると共にコア6(コア固定部202)の軸方向に沿って延びる当該巻取り部213の中心線L2を回転軸として回転される。言い換えると、巻取り部213の回転に応じて回転テーブル205が回転される。例えば、回転テーブル205が図17において時計方向に30°回転されると、それと同時に巻取り体211も図17において時計方向に30°回転される。巻取り体211と回転テーブル205とは、例えば複数のギアを組み合わせることにより、同じ回転角度だけ回転するように構成されている。そして、ティース部8aを有する分割コア部13がコア固定部202に対して周方向に移動不能に支持されると共に、ティース部8lを有する分割コア部13が巻取り部213に対して周方向に移動不能に支持された状態で、回転テーブル205及び巻取り体211が回転されると、巻取り部213の外周に順次分割コア部13が巻き取られていく。
図20(a)に示すように、回転テーブル205の下面(前記基台側の面)には、略円柱状をなす突起部241が設けられている。また、回転テーブル205の回転角度が0°の状態から、回転テーブル205が335°回転された時に突起部241が当接する位置に、回転ストッパ242が設けられている。回転ストッパ242は、基台に固定されており、付勢部材(例えば圧縮コイルばね)によって回転テーブル205の径方向内側に向かって付勢されている。そして、回転テーブル205が335°回転されると、突起部241が回転ストッパ242に当接し、回転テーブル205の回転が停止される。回転ストッパ242が付勢部材の付勢力に抗して回転テーブル205の径方向外側に向かって引っ張られると、突起部241の軌道から回転ストッパ242が取り除かれ、回転テーブル205は、回転角度を増す方向(図17において時計方向)に回転可能となる。
回転テーブル205において、巻取り体211の近傍には、押圧機構251が配置されている。押圧機構251は、図20(a)のみに図示している。押圧機構251は、コア固定部202の軸方向から見た形状が略L字状をなす押圧部252を備えて構成されている。押圧部252の一端は、4節のリンク機構253を介して操作ハンドル254と連結されている。一方、押圧部252の他端には、押圧部材255が備えられている。そして、押圧機構251は、操作ハンドル254が回転テーブル205から遠ざかるように操作されると、押圧部材255が巻取り体211から遠ざかるように構成されている。また、押圧機構251は、操作ハンドル254が回転テーブル205に近づくように操作されると、押圧部材255が巻取り体211に近づくように構成されている。
また、押圧機構251は、ティース部8aを有する分割コア部13が最後に巻取り部213に巻き取られた後に、操作ハンドル254が操作されると、押圧部材255の先端部256がティース部8aを有する分割コア部13の径方向外側の面に当接するように構成されている。そして、ティース部8aを有する分割コア部13が最後に巻取り部213に巻き取られた後、回転テーブル205及び巻取り体211が更に回転されると、押圧部材255の先端部256がティース部8aを有する分割コア部13の被係合部13bに係合する。尚、押圧部材255は、図示しない付勢手段(例えば圧縮コイルばね)により巻取り部213の中央部に向かって付勢されている。この付勢手段によって、ティース部8aを有する分割コア部13に対して押圧部材255から定圧荷重が付与されるようになっている。この定圧荷重は、巻取り部213の径方向に沿った方向の成分と、ティース部8aを有する分割コア部13からティース部8lを有する分割コア部13に向かう方向の成分とを有している。
次に、上記のように構成されたステータの製造システムSにてステータ1を製造するステータの製造方法について説明する。ステータ1は、ティース部8a〜8lに巻線5が巻回される巻線工程と、ティース部8a〜8lを径方向外側として環状化された状態のコア6の径方向内側に向かって引出し線5bを押し込む押込み工程(引出し線押込み工程)と、ティース部8a〜8lが径方向内側となるようにコア6を整形する巻取り工程との3つの工程を経て製造される。
まず、巻線工程について説明する。巻線工程では、巻線機31にてティース部8a〜8lに巻線5が巻回される。
まず、12個の分割コア部13が、分割環状部13aの円弧凸部11f,12f及び円弧凹部11g,12gにより形成された凹凸を互いに嵌め合わされつつ配列されてコア6が形成される。次いで、この状態のコア6に第1及び第2インシュレータ部材21,22が装着される。各分割コア部13は、第1及び第2インシュレータ部材21,22が装着されることにより、互いにバラバラになることが防止されると共に、隣接する分割コア部13に対して回動可能に連結される。即ち、各分割コア部13は、第1及び第2インシュレータ部材21,22を介して間接的に隣接する分割コア部13に対して回動可能に連結される。そして、連結された分割コア部13は、ティース部8a〜8lが外側となるように環状にされる。この時、連結された第1及び第2インシュレータ部材21,22の両端部に形成されたピン挿入孔23a,23bが軸方向に重ねられ、1つのピン挿入孔23が形成される。そして、ピン挿入孔23にピン15が挿入される。これにより、コア6は環状に維持される。尚、ピン15にて連結された第1インシュレータ部材21,及び第2インシュレータ部材22は、ピン15により回動可能に連結されると共に、ピン挿入孔23からピン15を取り外すことにより切り離し可能である。
次いで、ターンテーブル41の外周にコア6が配置される。この時、図11及び図13に示すように、環状化部材53が軸方向から見た該環状化部材53の移動範囲内において最もターンテーブル41の外側に向かって移動されており、環状化部材53によってコア6は円環状にされている。そして、コア6は、円環状をなした状態で載置台33上に載置されている。尚、この時、保持部材63は、軸方向から見た保持部材63の移動範囲内で、最もターンテーブル41の内側寄りの位置に配置されている。また、巻線ガイド71は、軸方向から見た巻線ガイド71の移動範囲内で、最もターンテーブル41から離れた位置に配置されている。
次いで、図12及び図14に示すように、環状化部材53がターンテーブル41側に移動(後退)されると共に、保持部材63が駆動され、軸方向から見た保持部材63の移動範囲内で最もターンテーブル41から離れた位置に移動(前進)される。これにより、保持部材63によって3つ置きの分割コア部13がフライヤ91〜93に向かって移動される。即ち、図12においては、ティース部8e,8a,8iがフライヤ91〜93に向かって移動され、それぞれフライヤ91〜93に対向配置される。そして、3対の保持部材63は、コア6の内側から3つ置きの分割コア部13を回転軸34の軸方向、径方向、及び周方向に沿った方向に移動不能に保持する。
次いで、巻線ガイド71が、軸方向から見た巻線ガイド71の移動範囲内において最もターンテーブル41側に移動されてティース部8e,8a,8iの側方に配置される。これにより、保持部材63によって保持された分割コア部13間に位置する分割コア部13のティース部8b〜8d,8f〜8h,8j〜8lが、巻線ガイド71によって覆われる。
次いで、保持部材63によって保持された分割コア部13のティース部8e,8a,8iにフライヤ91〜93にて巻線5が巻回される。詳しくは、フライヤ91と対向する位置に配置されたティース部8eにはU相のコイルであるコイルU1が巻回され、フライヤ92と対向する位置に配置されたティース部8aにはV相のコイルであるコイルV1が巻回され、フライヤ93と対向する位置に配置されたティース部8iにはW相のコイルであるコイルW1が巻回される。この時、各ティース部8e,8a,8iの側方に配置された巻線ガイド71によって、巻線5は、各ティース部8e,8a,8iの基端部から巻回されるように案内される。
ティース部8e,8a,8iに巻線5が巻回されることによりコイルU1,V1,W1が形成されると、サーボモータ35が駆動され、ターンテーブル41が所定の角度だけ回転される。ここで、所定の角度とは、次に巻線5を巻回するティース部をフライヤ91〜93に対向する位置まで移動させるためにコア6を回転させる角度である。従って、ここでは、ターンテーブル41は、図12において時計方向に150°回転される。この時、ターンテーブル41に設けられている環状化機構51及び保持機構61がターンテーブル41と共に回転される。同時に、アーム部材74を介して回転軸34に接続されている巻線ガイド71が、ターンテーブル41と共に回転される。これにより、コア6は、保持部材63に保持されながら時計方向に150°回転される。またこの時、巻線案内部95が、コア6と同期して回転される。そして、コア6が回転される際には、フライヤ91〜93から出てコイルU1,V1,W1に繋がる巻線5は、巻線案内部95の外周面95aに当接し、外周面95a上を伝う。フライヤ91〜93から出てコイルU1,V1,W1に繋がる巻線5は、それぞれ次に巻回されるコイルU2,V2,W2に渡る渡り線5aとなる巻線である。従って、渡り線5aとなる巻線5が巻線案内部95に当接された状態でコア6が回転されると、渡り線5aとなる巻線5は、巻線案内部95の外周面95aに沿って取り回され、巻線案内部95の外径及びコア6に対する巻線案内部95の配置位置に応じてその長さが調節される。
本実施形態では、コイルU1と次に巻回されるコイルU2とは巻線5の巻回方向が同一方向となるように巻回される。従って、渡り線5aとなる巻線5が巻線案内部95の外周面95aに当接した状態でコア6が回転されると、コイルU1,U2間の渡り線5aの長さ(渡り線5aの引出し位置X間の長さ)は、150°から1つのティース部の周方向幅分の角度を除した角度(即ち約135°)分の円C1(図2参照)における円周の長さに等しい長さになる。同様に、コイルV1と次に巻回されるコイルV2とは巻線5の巻回方向が同一方向となるように巻回されることから、コイルV1,V2間の渡り線5aは、巻線案内部95に案内されることにより、150°から1つのティース部の周方向幅分の角度を除した角度分の円C1における円周の長さに等しい長さになる。また同様に、コイルW1と次に巻回されるコイルW2とは巻線5の巻回方向が同一方向となるように巻回されることから、コイルW1,W2間の渡り線5aは、巻線案内部95に案内されることにより、150°から1つのティース部の周方向幅分の角度を除した角度分の円C1における円周の長さに等しい長さになる。
次いで、ターンテーブル41と共に回転した巻線ガイド71が後退される。即ち、巻線ガイド71は、軸方向から見た巻線ガイド71の移動範囲内において最もターンテーブル41から離れた位置に移動される。その後、保持部材63が後退されると同時に、環状化部材53が前進される。これにより、保持部材63は、軸方向から見た保持部材63の移動範囲内において最もターンテーブル41側に移動される。同時に、環状化部材53は、軸方向から見た環状化部材53の移動範囲内において、最もターンテーブル41から離れた位置に移動される。そして、コア6は、環状化部材53によって内側から円環状にされる。
次いで、サーボモータ35が駆動され、ターンテーブル41が、前記所定の角度と同じ角度だけ逆方向に回転される。即ち、ターンテーブル41は、反時計方向に150°回転される。この時、環状化機構51、保持機構61、及び巻線ガイド71はターンテーブル41と共に回転されるが、コア6はターンテーブル41と共に回転せず載置台33上で静止している。即ち、コア6に対し、ターンテーブル41、環状化機構51,保持機構61、及び巻線ガイド71が相対回転される。その結果、次に巻線5が巻回されるティース部8j,8f,8bの径方向内側に保持部材63が配置される。
次いで、環状化部材53がターンテーブル41側に移動(後退)されると共に、保持部材63が、軸方向から見た保持部材63の移動範囲内で最もターンテーブル41から離れた位置に移動(前進)される。これにより、保持部材63は、コア6の内側からティース部8j,8f,8bを有する3つの分割コア部13をフライヤ91〜93に向かって移動させると共に保持する。
次いで、巻線ガイド71が、軸方向から見た巻線ガイド71の移動範囲内において最もターンテーブル41側に移動される。そして、フライヤ91と対向する位置に配置されたティース部8jにはU相のコイルであるコイルU2が巻回され、フライヤ92と対向する位置に配置されたティース部8fにはV相のコイルであるコイルV2が巻回され、フライヤ93と対向する位置に配置されたティース部8bにはW相のコイルであるコイルW2が巻回される。この時、各コイルU2,V2,W2は、各コイルU1,V1,W1の巻回方向と同一方向となるように巻回される。
ティース部8j,8f,8bに巻線5が巻回されることによりコイルU2,V2,W2が形成されると、サーボモータ35が駆動され、ターンテーブル41が所定の角度(ここでは30°)だけ時計方向に回転される。これにより、ターンテーブル41と共に保持機構61が回転され、コア6が保持部材63に保持されながら時計方向に30°回転される。この時、巻線案内部95がコア6と同期して回転されると共に、巻線案内部95の外周面95aに形成された突起部に、フライヤ91〜93から出てコイルU2,V2,W2に繋がる巻線5が引っ掛けられて当該巻線5の長さが調節される。詳しくは、外周面95aに形成されフライヤ91〜93から出てコイルU2,V2,W2に繋がる巻線5は、引出し線5bとなる巻線5であるため、突起部に引っ掛けられることにより、コア6の回転角度分(30°分)だけ外周面95a上を伝う場合よりも長めに形成される。
次いで、巻線ガイド71及び保持部材63が後退されると同時に環状化部材53が前進され、コア6が円環状にされる。その後、ターンテーブル41が反時計方向に30°回転される。そして、環状化部材53が後退されると共に、保持部材63が前進される。これにより、保持部材63は、コア6の内側からティース部8k,8g,8cを有する3つの分割コア部13をフライヤ91〜93に向かって移動させると共に保持する。
次いで、巻線ガイド71が、軸方向から見た巻線ガイド71の移動範囲内において最もターンテーブル41側に移動される。そして、フライヤ91と対向する位置に配置されたティース部8kにはU相のコイルであるコイルU3が巻回され、フライヤ92と対向する位置に配置されたティース部8gにはV相のコイルであるコイルV3が巻回され、フライヤ93と対向する位置に配置されたティース部8cにはW相のコイルであるコイルW3が巻回される。
ティース部8k,8g,8cに巻線5が巻回されることによりコイルU3,V3,W3が形成されると、サーボモータ35が駆動され、ターンテーブル41が所定の角度(ここでは150°)だけ時計方向に回転される。これにより、ターンテーブル41と共に保持機構61が回転され、コア6が保持部材63に保持されながら時計方向に150°回転される。また、巻線案内部95がコア6と同期して回転される。この時、渡り線5aとなる巻線5(フライヤ91〜93から出てコイルU3,V3,W3に繋がる巻線5)が巻線案内部95に当接された状態でコア6が回転されるため、渡り線5aとなる巻線5は、巻線案内部95の外周面95aに沿って取り回され、巻線案内部95の外径に応じてその長さが調節される。即ち、コイルU3,U4間、コイルV3,V4間、及びコイルW3,W4間の渡り線5aは、コイルU1,U2間、コイルV1,V2間、コイルW1,W2間の渡り線5aと同様に、巻線案内部95の外周面95a上を伝うことにより、150°から1つのティース部の周方向幅分の角度を除した角度分の円C1における円周の長さに等しい長さになる。
次いで、巻線ガイド71及び保持部材63が後退されると同時に環状化部材53が前進され、コア6が円環状にされる。その後、ターンテーブル41が反時計方向に150°回転される。そして、環状化部材53が後退されると共に、保持部材63が前進される。これにより、保持部材63は、コア6の内側からティース部8d,8l,8hを有する3つの分割コア部13をフライヤ91〜93に向かって移動させると共に保持する。
次いで、巻線ガイド71が、軸方向から見た巻線ガイド71の移動範囲内において最もターンテーブル41側に移動される。そして、フライヤ91と対向する位置に配置されたティース部8dにはU相のコイルであるコイルU4が巻回され、フライヤ92と対向する位置に配置されたティース部8lにはV相のコイルであるコイルV4が巻回され、フライヤ93と対向する位置に配置されたティース部8hにはW相のコイルであるコイルW4が巻回される。
ティース部8d,8l,8hに巻線5が巻回されることによりコイルU4,V4,W4が形成されると、巻線ガイド71及び保持部材63が後退されると同時に環状化部材53が前進され、コア6が円環状にされる。そして、フライヤ91〜93からコイルU4,V4,W4が切り離され、巻線工程が終了する。巻線工程終了後のコア6において、渡り線5a及び引出し線5bは、巻線案内部95と対向するコア6の端面6a側で、ティース部8a〜8lを径方向外側として円環状にされたコア6の径方向内側の部分に配置された状態となっている。巻線工程の終了後、図21に示すように、コイルU2,U3間、コイルV2,V3間、コイルW2,W3間の渡り線5aは、その中央(渡り線5aの長手方向中央部)で切断されて引出し線5bとなる。
次に、押込み工程について説明する。押込み工程では、まず、図15に示すように、巻線工程終了後のコア6が、引出し線押込み機101の固定テーブル102上に配置される。コア6は、コア配置部103の外周に、ティース部8a〜8lを径方向外側として円環状にされた状態で固定される。コア配置部103に固定されたコア6においては、引出し線5bの周方向位置と、引出し線保持部104及び押込み部107の周方向位置とが一致している。この時、クランプ機構115の各クランプ支持部116は後退(コア配置部103の径方向外側に向かって移動)されている。また、各引出し線保持部104のアーム保持部105、各押込み部107、及び各渡り線ほぐし部111のほぐし部材113が後退されている。更に、各アーム保持部105は上昇されおり、各ほぐし部材保持部112は下降されている。
その後、各クランプ支持部116が前進されて、各ティース部8a〜8lの先端にクランプ部117の内側の面117aが当接する。これにより、コア6は、クランプ機構115によって周方向に移動不能に支持される。
次いで、各ほぐし部材113が前進される。そして、各ほぐし部材113の先端がコア6の端面6a側でコア6の径方向中央部付近まで前進されると、各ほぐし部材保持部112は、コア配置部103の軸方向に沿って上方(固定テーブル102から離れる方向)に移動される。すると、ほぐし部材113によって、コイルU1,U2間、コイルU3,U4間、コイルV1,V2間、コイルV3,V4間、コイルW1,W2、及びコイルW3,W4間をそれぞれ接続する渡り線5aの略中央部が上方へ引っ張られる。これにより、各渡り線5aは略アーチ状に変形され、ほぐされる。
次いで、各ほぐし部材113が前進し各ほぐし部材保持部112が上昇されたままの状態で、各アーム保持部105が下降される。各アーム保持部105は、コア6に当接しない程度の位置まで下降される。その後、各アーム保持部105が前進されることにより、各アーム保持部105の先端に設けられた2本のアーム106間に引出し線5bが配置される。この状態で、各アーム保持部105の2本のアーム106が互いに近づくように回動され、交差した2本のアーム106とアーム保持部105の先端との間で引出し線5bが保持される。そして、アーム106と共に引出し線5bを保持した状態のまま、アーム保持部105が上昇される。
次いで、押込み部107が前進される。これにより、アーム106及びアーム保持部105にて保持されていた引出し線5bが、押込み部107の押込み部材109によって、ティース部8a〜8lを径方向外側として円環状にされたコア6の径方向内側に向かって押し込まれる。引出し線5bが当該コア6の径方向内側に向かって押し込まれると、押込み部107は後退される。
次いで、ほぐし部材113が後退される。また、アーム106が互いに離れる方向に回動された後に、アーム保持部105が後退される。そして、各クランプ支持部116が後退され、クランプ部117によるコア6の支持が解除される。その後、コア6がコア配置部103から取り外されて押込み工程が終了する。図23に、押込み工程が終了した後のコア6を示す。図23に示すように、ティース部8a〜8lを径方向外側として円環状にされたコア6の径方向内側に向かって引出し線5bが押し込まれ、該引出し線5bは径方向に沿って延びている。また、各渡り線5aは略アーチ状をなしている。
次に、巻取り工程ついて説明する。図17に示すように、巻取り工程では、まず、コア巻取り機201のコア固定部202の外周に、ほぐし工程終了後のコア6が配置される。コア6は、ティース部8a〜8lを径方向外側として円環状にされている。コア6は、回転テーブル205の回転角度が0°の状態(コア固定部202に形成された溝部203内に巻取り体211に設けられたティース固定部214が配置されている状態)の時にコア固定部202に固定される。そして、コア6がコア固定部202に固定されると、ティース部8lを有する分割コア部13は、巻取り部213の外周面とティース固定部214との間に配置される。この時、ティース部8lを有する分割コア部13の分割環状部13aに形成された被係合部13bに、ティース固定部214の係合部235が係合される。従って、ティース固定部214により、ティース部8lを有する分割コア部13は、ティース部8lを巻取り部213の径方向内側に向けて巻取り部213と一体回転可能に支持されると共に、巻取り部213に対して周方向に移動不能に固定される(図18参照)。
次いで、ティース固定部204によって、ティース部8aを有する分割コア部13が挟持され、ティース部8aを有する分割コア部13は、コア固定部202に対して周方向に移動不能に固定される。この状態で、ピン挿入孔23からピン15が取り外される。従って、12個の分割コア部13が連結されてなるコア6の一端にある分割コア部13(ティース部8lを有する分割コア部13)が巻取り部213と一体回転可能に支持され、他端にある分割コア部13(ティース部8aを有する分割コア部13)がコア固定部202に対して固定された状態となる。
次いで、回転テーブル205が、図17における時計方向に回転され、回転テーブル205上に設けられた巻取り体211がコア固定部202の外周を周回する。同時に、回転テーブル205の回転に伴って巻取り体211が回転テーブル205と同じ回転角度ずつ回転される。巻取り体211は、回転テーブル205の回転方向と同方向(本実施形態では時計方向)に回転される。そして、回転テーブル205及び巻取り体211が30°回転する毎に、1つの分割コア部13が、ティース部8b〜8kを巻取り部213の径方向内側に向けて巻取り部213の外周に巻き取られていく。
そして、回転テーブル205及び巻取り体211が300°回転したところ、即ち11個目の分割コア部13が巻取り部213に巻き取られたところで、巻取り台部材221が、ばね等の付勢力により巻取り台部材222から離れるように回動される(図19参照)。これにより、巻取り部材231が巻取り台部材221と共に回動され、巻取り部材232から離れた位置に配置される。巻取り部材232に対して巻取り部材231が回動されると、巻取り部213の外周の長さ(巻取り部213の外周を一回りした長さ)は、ティース部8a〜8lを径方向内側として整形されたコア6のティース部8a〜8lの先端を通る円C2(図2参照)の円周の長さよりも長くなる。
この状態で、回転テーブル205及び巻取り体211が更に回転され、12個目の分割コア部13(最後の分割コア部)、即ちティース部8aを有する分割コア部13が巻取り部213の外周に巻き取られる。この時、巻取り部213の外周の長さが前記円C2の円周の長さよりも長くなっていることから、ティース部8aを有する分割コア部13がティース部8lを有する分割コア部13に接触することが防止されている。詳しくは、図22に示すように、ティース部8aを有する分割コア部13は、当該分割コア部13に装着された第1インシュレータ部材21に形成された挿入孔21gの中心を通ると共にコア6の軸方向に沿って延びる直線を回動軸線として回動されて、巻取り部213に巻き取られる。図22には、ティース部8aの先端における2つの角部のうちティース部8lと隣接される側の角部K1(ティース部8aを有する分割コア部13に装着された第1インシュレータ部材21の側面部21dにおけるティース部8aの先端側の端部)の軌跡を一点鎖線にて図示している。また、ティース部8aを有する分割コア部13の分割環状部13aにおいて、ティース部8lを有する分割コア部13側の周方向端部に形成された角部K2の軌跡を二点鎖線にて図示している。図22を見て分かるように、巻取り部213の外周の長さが前記円C2の円周の長さよりも長くなっていることから、前記角部K1及び角部K2は、ティース部8aを有する分割コア部13が巻取り部213に巻き取られる際に、ティース部8lを有する分割コア部13の分割環状部13aにおけるティース部8a側の周方向端部Eに接触しない。即ち、前記巻取り部材232に対する前記巻取り部材231の回動角度は、最後に巻き取られる分割コア部13の角部K1,K2が、最初に巻き取られた分割コア部13の周方向端部Eに接触することなく、最後の分割コア部13を巻き取ることができる大きさに設定されている。
巻取り部213の外周に最後の分割コア部13が巻取られた後、回転テーブル205及び巻取り体211は更に回転される。また、回転テーブル205及び巻取り体211の回転に伴って、巻取り台部材221が巻取り台部材222に近づく方向に回動され、巻取り部材231が巻取り部材232に近づく方向に回動される。そして、回転テーブル205の回転角度が335°となったところで、回転テーブル205に形成された突起部241が回転ストッパ242に当接し、回転テーブル205の回転が停止される(図20参照)。この時、巻取り部材231,232は、前記円C2の直径と等しい外径を有する円柱状の巻取り部213を構成している。またこの時、最後に巻き取られた分割コア部13の分割環状部13aにおける周方向端部に形成された複数の凹凸が、最初に巻き取られた分割コア部13の分割環状部13aの周方向端部に形成された複数の凹凸に対してかるく噛み合った状態となっている。尚、複数の凹凸とは、前記円弧凸部11f,12f及び前記円弧凹部11g,12gにより形成された凹凸である(図3(b)参照)。
次いで、押圧機構251の操作ハンドル254が回転テーブル205に近づくように操作され、押圧部材255の先端部256がティース部8aを有する分割コア部13の径方向外側の面に当接する。また、12個目の分割コア部13、即ちティース部8aを有する分割コア部13をコア固定部202に対して周方向に移動不能に固定していたティース固定部204が当該分割コア部13から取り外され、ティース固定部204による当該分割コア部13の支持が解除される。そして、回転ストッパ242が回転テーブル205の径方向外側に向かって引っ張られ、回転テーブル205は、回転角度を増す方向に回転可能となる。
その後、回転テーブル205が更に回転されると共に巻取り体211が更に回転され、押圧部材255の先端部256が、ティース部8aを有する分割コア部13に形成された被係合部13bに係合される。そして、ティース部8aを有する分割コア部13は、押圧機構251によって、ティース部8lを有する分割コア部13に向かって押圧される。この状態で、回転テーブル205及び巻取り体211は回転角度が360°となるまで回転される。すると、ティース部8aを有する分割コア部13が押圧機構251によって押圧されていることから、ティース部8aを有する分割コア部13の周方向端部に形成された前記複数の凹凸と、ティース部8lを有する分割コア部13の周方向端部に形成された前記複数の凹凸とが完全に嵌り合う。こうして、コア6は、ティース部8a〜8lを径方向内側として円環状に整形される。またこの時、合わせて12個の第1及び第2インシュレータ部材21,22の両端部にそれぞれ形成されたピン挿入孔23a,23bが軸方向に一致し、一つのピン挿入孔23が形成される。そして、このピン挿入孔23にピン15が挿入され、コア6は円環状に保たれる。
次いで、押圧機構251の操作ハンドル254が回転テーブル205に近づくように操作され、押圧機構251によるティース部8aを有する分割コア部13の押圧が解除される。その後、巻取り部213からコア6が取り外されて巻取り工程が終了する。
図24に、巻取り工程が終了した後のコア6を示す。押し込み工程でティース部8a〜8lを径方向外側として円環状にされたコア6の径方向内側に向かって引出し線5bが押し込まれたため、巻取り工程にてティース部8a〜8lを径方向内側として整形されたコア6においては、引出し線5bが径方向外側に向かって放射状に延びた状態となっている。また、渡り線5aは、引出し線5bよりもコア6の径方向内側寄りの位置に配置されている。
コア巻取り機201にてコア6がティース部8a〜8lを径方向内側として円環状に整形された後、渡り線5aが整形される。渡り線5aは、図25に示すように、コア6の軸方向から見て、第1及び第2インシュレータ部材21,22の弧状端面部21a,22aと内側規制壁21f,22fとの間に収まるように整えられる。また、渡り線5aは、円環状のコア6の周方向に沿った円弧状に整えられる。これにより、ステータ1が完成する。尚、エアギャップG(図1参照)の外径と等しい外径を有する心金の外周にステータ1を配置し、ステータ1を心金の外周面に密着させつつ、ティース部8aを有する分割コア部13とティース部8lを有する分割コア部13との繋ぎ目を溶接等により接合してもよい。そして、径方向外側に向かって放射状に延びる各引出し線5bは、給電端子(図示略)に接続される。
ここで、角度ピッチPと、巻取り必要長さ係数α及び渡り線長さ係数βとの関係を表すグラフを図26に示す。因みに、渡り線にて接続されたコイルとは、連続して巻線が巻回されてなる2つのコイルのことである。また、角度ピッチPとは、連続して巻線が巻回されてなる2つのコイルを有する2つのティース部間の角度である。
また、巻取り必要長さ係数αについて、図27を用いて説明する。円C5は、ティース部を径方向外側として円環状にされたコアにおいて、各ティース部の基端部を通る円である。円C5上に示す点A1〜A12は、ティース部が12個である場合に、ティース部の基端部における幅方向の中央部となる位置を示している。従って、点A1〜A12は、円C5上において、周方向に等角度間隔、即ち30°間隔となっている。また、図27には、ティース部を径方向内側として円環状に整形したコアにおける各ティース部の先端を通る円の直径と等しい外径を有する巻取り部213を用いて、ティース部が径方向内側となるようにコアを整形した場合に点A1が描く軌跡L5を図示している。更に、図27には、基端部における幅方向中央部が点A1となるティース部と、基端部における幅方向中央部が点A2〜A12となる各ティース部とにそれぞれ連続してコイルが巻回された場合に、巻取り部213の外周にティース部が径方向内側となるようにコアを巻き取るために最低限必要な長さとなる渡り線B2〜B12を二点差線にて図示している。尚、各渡り線の引出し位置X(図1参照)は点A1〜A12付近となるため、図27においては、最低限必要な長さとなる渡り線を図示するに当たり、点A1〜A12を引出し位置Xに見立てて最低限必要な長さとなる渡り線B2〜B12を図示している。この最低限必要な長さとなる渡り線B2〜B12は、基端部における幅方向中央部が点A2〜A12となる各ティース部が巻き取られるまでの点A1の軌跡L5と、各点A2〜A12との間の距離が最も長くなる直線である。従って、例えば、ティース部間の角度ピッチPが120°となる2つのティース部を有するコアが、巻取り部213の外周に巻き取られる際には、当該2つのティース部に巻回されたコイル間の最低限必要な長さとなる渡り線はB5である。また、ティース部間の角度ピッチPが300°となる2つのティース部を有するコアが、巻取り部213の外周に巻き取られる際には、当該2つのティース部に巻回された2つのコイル間の最低限必要な長さとなる渡り線はB11である。
そして、前記巻取り必要長さ係数αは、巻取り部213の外周にティース部が径方向内側となるようにコアを巻き取るために最低限必要な長さとなる渡り線B2〜B12の長さを、前記円C5の半径でそれぞれ除した値である。
更に、渡り線長さ係数βについて説明すると、渡り線長さ係数βは、製造されたステータ1における渡り線の引出し位置Xを通る円C1(図2参照)における、連続して巻回されるコイルを有する2つのティース部間の角度ピッチP分の円周の長さを、前記円C5の半径で除した値である。
そして、図26に示すグラフを見ると、ティース部間の角度ピッチPが120°以上となる場合には、渡り線長さ係数βが巻取り必要長さ係数αを上回っている。従って、連続して巻回されるコイルを有する2つのティース部間の角度ピッチPを120°以上にすると共に、渡り線の長さを、当該2つのティース部間の角度ピッチ分の前記円C1の円周の長さとすると、渡り線は、巻取り部213の外周にティース部が径方向内側となるようにコアを巻き取るために最低限必要な長さよりも長くなる。
尚、図26及び図27に関する上記の説明においては、角度ピッチPを、ティース部間の角度ピッチ(連続して巻線が巻回されてなる2つのコイルを有する2つのティース部間の角度)としている。しかしながら、当然、角度ピッチPを渡り線の両端の引出し位置間の角度ピッチ(円環状にされたコア6の中心O1をその中心とし引出し位置Xを通る円C1における渡り線の両端の引出し位置間の円弧の中心角)として考えた場合にも同様のことが言える。即ち、連続して巻回されるコイル間を渡る渡り線の両端の引出し位置間の角度ピッチを120°以上にすると共に、当該渡り線の長さを該渡り線の両端の引出し位置間の角度ピッチ分の前記円C1の円周の長さとすると、渡り線は、巻取り部213の外周にティース部が径方向内側となるようにコアを巻き取るために最低限必要な長さよりも長くなる。
ところで、連続して巻回されるコイルの巻回方向が互いに逆向きである場合には、これらのコイルが巻回されるティース部間の角度ピッチと、これらのコイル間を渡る渡り線の両端の引出し位置間の角度ピッチとは一致する。従って、角度ピッチPをティース部間の角度ピッチとして考えればよい。しかしながら、連続して巻回されるコイルの巻回方向が同じ向きである場合には、これらのコイルが巻回されるティース部間の角度ピッチと、これらのコイル間を渡る渡り線の両端の引出し位置間の角度ピッチとは、僅かではあるがズレを生じる。従って、本実施形態のように、連続して巻回されるコイル(コイルU1,U2等)の巻回方向が互いに同じ向きである場合には、角度ピッチPを渡り線の両端の引出し位置間の角度ピッチとして考えるのが妥当である。
例えば、本実施形態では、図2に示すように、渡り線5aにて接続されたコイルU1,U2は、ティース部8e,8jに巻回されており、ティース部8eとティース部8jとの角度ピッチPは、150°である。そして、コイルU1とコイルU2とは、巻線5の巻回方向が同じ方向であることから、コイルU1,U2間を渡る渡り線5aの両端の引出し位置X間の角度ピッチは、150°から1つのティース部の周方向幅分の角度を除した角度である約135°となる。従って、コイルU1,U2間を渡る渡り線5aは、巻線工程において、巻線案内部95の外周面95a上を伝うことにより、150°からティース部1個分の幅分の中心角を除した角度(約135°)分の前記円C1の円周の長さとなるように形成される。そして、コイルU3,U4、コイルV1,V2、コイルV3,V4、コイルW1,W2、及びコイルW3,W4も、コイルU1,U2と同様の関係を有している。従って、コイルU3,U4間、コイルV1,V2間、コイルV3,V4間、コイルW1,W2間、及びコイルW3,W4間の渡り線5aも、コイルU1,U2間の渡り線5aと同様に150°から1つのティース部の周方向幅分の角度を除した角度(約135°)分の前記円C1の円周の長さとなるように形成される。このように、渡り線5aの引出し位置X間の角度ピッチが120°よりも大きいことから、巻線案内部95の外周面95aに当接して形成された各渡り線5aの長さは、巻取り部213の外周にティース部8a〜8lが径方向内側となるようにコア6を巻き取る場合に最低限必要な渡り線の長さよりも長い。そのため、コア巻取り機201にて、ティース部8a〜8lを径方向外側として円環状にされたコア6を、ティース部8a〜8lを径方向内側として整形する際に、渡り線5aの長さに余裕が生じる。従って、ティース部8a〜8lを径方向内側としてコア6を容易に整形することができる。また、渡り線5aの長さに余裕があるため、ティース部8a〜8lを径方向内側としてコア6を整形する工程の高速化が可能となる。
上記したように、本実施形態によれば、以下の作用・効果を有する。
(1)巻取り部213が該巻取り部213の中心線L2を回転軸として回転されると、巻取り部213の外周に複数の分割コア部13がティース部8a〜8lを径方向内側として巻き取られていく。従って、ティース部8a〜8lを径方向内側としてコア6を容易に丸められる。また、複数の分割コア部13が巻取り部213の外周に巻き取られることにより、コア6は、ティース部8a〜8lが径方向内側となるように丸められる。従って、渡り線5aが長すぎる場合であっても、ティース部8a〜8lを径方向内側としてコア6を丸める工程は渡り線5aによって邪魔され難い。これらのことから、ティース部8a〜8lが径方向内側となるようにコア6を整形する工程を容易に行うことができる。
(2)ティース部8aを有する分割コア部13は、巻取り部213の外周に最後に巻き取られる。そして、ティース部8aを有する分割コア部13が巻取り部213の外周に巻き取られる際には、巻取り部材232に対して巻取り部材231が回動されていることから、巻取り部213の外周の長さが、ティース部8a〜8lを径方向内側として整形されたコア6におけるティース部8a〜8lの先端を通る円C2の円周の長さよりも長くなっている。従って、最初に巻取り部213に巻き取られたティース部8lを有する分割コア部13の分割環状部13aにおけるティース部8a側の周方向端部Eに、最後に巻取り部213に巻き取られる分割コア部13のティース部8aの角部K1及び同分割コア部13の分割環状部13aにおけるティース部8l側の角部K2が接触しない。その結果、最初に巻取り部213に巻き取られた分割コア部13によって、最後に巻取り部213に巻き取られる分割コア部13が巻取り部213に巻き取られることを妨げられるという不都合を回避し易い。よって、ティース部8a〜8lが径方向内側となるようにコア6を整形する工程をより容易に行うことができる。
(3)フライヤ91〜93に対してコア6が回転される際、渡り線5aとなる巻線5は、巻線案内部95の外周面95aによって案内される。従って、巻線案内部95の大きさによって、渡り線5aの長さを調節することができ、渡り線5aが短すぎたり長すぎたりすることを抑制することができる。その結果、渡り線5aの長さが短すぎてティース部8a〜8lを径方向内側としてコア6を丸める工程が困難となったり、渡り線5aの長さが長すぎて、ティース部8a〜8lが径方向内側となるようにコア6を整形する際に、渡り線が邪魔となり、コア6を整形する工程に時間がかかってしまったりするという不都合を減らすことができる。従って、ティース部8a〜8lが径方向内側となるようにコア6を整形する工程を更に容易に行うことができる。
(4)巻線工程中には、渡り線5aは、巻線案内部95の外周面95a上に配置されることになる。従って、ティース部8a〜8lに巻線5が巻回される際に、フライヤ91〜93や巻回中の巻線5等に渡り線5aが接触することが抑制される。その結果、巻線工程を容易に行うことができる。
(5)本実施形態では、巻線案内部95の外径は、ティース部8a〜8lを径方向内側として円環状に整形されたコア6の外径と内径との中間の値となっている。そして、巻線案内部95は、コア6において渡り線5aが設けられる軸方向の端面6aと軸方向に対向して配置されている。更に、巻線案内部95の外周面95aに当接した巻線5にて形成される渡り線5aの長さが、製造されたステータ1において、渡り線5aの一端側の引出し位置Xから円C1に沿って同渡り線5aの他端側の引出し位置Xに至る円弧状とすることが可能な長さとなるように、巻線案内部95の軸方向の配置位置が設定されている。従って、この巻線案内部95を使用して巻線工程を行って製造されたステータ1では、渡り線5aを、ティース部8a〜8lを径方向内側として整形されたコア6における渡り線5aの引出し位置Xを通る円C1に沿った円弧状とすることができ、渡り線5aにおけるステータ1の径方向に沿った無駄が省かれる。そのため、渡り線が長すぎることによって電気抵抗が大きくなることを防止し、ブラシレスモータMの効率の低下を抑制することができる。
(6)巻取り部213は、回転テーブル205上に設けられていることから、回転テーブル205が回転すると、ティース部8a〜8lを径方向内側として円環状にされたコア6が配置されたコア固定部202の外周を周回する。また同時に、巻取り部213は、回転テーブル205の回転に応じて、当該巻取り部213の中心線L2を回転軸として回転する。そして、巻取り部213及び回転テーブル205のこれらの動作により、巻取り部213の外周に複数の分割コア部13が巻き取られる。従って、ティース部8a〜8lを径方向内側としてコア6を丸める工程を自動化することができる。また、コア巻取り機201にて複数の分割コア部13を巻き取ると、コア6が一直線上となることがない。そのため、ティース部8a〜8lが径方向内側となるようにコア6を丸める際に必要な渡り線5aの長さは、コア6が直線状にされた状態から巻き取る場合よりも短くてもよい。よって、コア6が直線状にされた状態から複数の分割コア部13を巻き取る場合よりも、渡り線5aの長さを短くすることが可能となり、ティース部8a〜8lが径方向内側となるようにコア6を丸める際に、渡り線5aが邪魔になることをより抑制することができる。即ち、ティース部8a〜8lを径方向内側としてコア6を丸める工程が、渡り線が長すぎるために、スムーズに行われないという不都合を回避することができる。
(7)本実施形態では、巻取り工程を行う前に、押し込み工程を行っている。そのため、コア6は、ティース部8a〜8lを径方向内側として円環状にされた当該コア6の径方向内側に向かって引出し線5bが押し込まれた状態で、巻取り工程に移ることになる。この時、ティース部8a〜8lを径方向内側として円環状にされた当該コア6の径方向内側に向かって押し込まれた引出し線5bは、径方向に沿って延びている。そのため、ティース部8a〜8lが径方向内側となるようにコア6が整形されると、引出し線5bは、コア6の径方向外側に向かって延びた状態となる。従って、引出し線5bの給電端子への接続が容易に行われ、ブラシレスモータMの製造を容易に行うことができる。
また、押し込み工程で、渡り線5aは、ほぐし部材113によって略アーチ状にされる。そのため、巻取り工程で、ティース部8a〜8lが径方向内側となるようにコア6が丸められる際に、渡り線5aと引出し線5bとが絡まることが防止される。よって、ティース部8a〜8lが径方向内側となるようにコア6を整形する工程を一層容易に行うことができる。また、コア6がティース部8a〜8lを径方向外側として円環状にされた状態の時に渡り線5aが略アーチ状に整形されていると、コア6がティース部8a〜8lを径方向内側として整形された場合に、渡り線5aはコア6の外周面よりも内側寄りの位置に配置され易い。更に、引出し線5bがティース部8a〜8lを径方向外側として円環状にされたコア6の径方向内側に向かって押し込まれていると、コア6がティース部8a〜8lを径方向内側として整形された場合に、引出し線5bはコア6の径方向外側に配置される。従って、渡り線5aを整形する際、引出し線5bによって渡り線5aの整形作業が邪魔されることが抑制され、渡り線5aの整形を行いやすい。
(8)巻線工程においては、ティース部8e,8a,8iに巻線5が巻回されコイルU1,V1,W1が形成された後、コア6は、フライヤ91〜93に対して150°回転される。そして、次に巻線5が巻回されるティース部8j,8f,8bには、直前にティース部8e,8a,8iに巻回された巻線5の巻回方向と同じ向きとなるように巻線5が巻回されてコイルU2,V2,W2が形成される。また、ティース部8k,8g,8cに巻線5が巻回されてコイルU3,V3,W3が形成された後、コア6はフライヤ91〜93に対して150°回転される。そして、次に巻線5が巻回されるティース部8d,8l,8hには、直前にティース部8k,8g,8cに巻回された巻線5の巻回方向と同じ向きとなるように巻線5が巻回されてコイルU4,V4,W4が形成される。そして、本実施形態では、各渡り線5aは、ティース部を8a〜8lを径方向内側として整形されたコア6における渡り線5aの引出し位置Xを通る円C1に沿った円弧状になる。更に、当該渡り線5aの長さがコア6のフライヤ91〜93に対する回転角度(150°)から1つのティース部の周方向幅分の角度を除した角度(約135°)と同じ角度分の前記円C1の円周の長さとなる。従って、引出し位置X間の角度ピッチが約135°となる各渡り線5aは、引出し位置X間の角度ピッチが120°よりも大きいことから、ティース部8a〜8lを径方向内側としてコア6を丸める際に最低限必要な渡り線の長さよりも長くなる。よって、本実施形態の渡り線5aは、その長さに余裕があるため、ティース部8a〜8lを径方向内側としてコア6を丸める際に、渡り線5aに対して該渡り線5aの長手方向に沿って過剰な張力がかかることが防止される。その結果、ティース部8a〜8lを径方向内側としてコア6を整形する工程をより高速化することが可能になると共に、ティース部8a〜8lを径方向内側としてコア6を丸める工程が更に容易となる。
(9)渡り線5aは、巻線案内部95に案内されることにより、製造されたステータ1において、渡り線5aの一端側の引出し位置Xから円C1に沿って同渡り線5aの他端側の引出し位置Xに至る円弧状とすることが可能な長さとなっている。そのため、渡り線5aは、前記円C1に沿った円弧状に整形されることにより、第1及び第2インシュレータ部材21,22の弧状端面部21a,22aと内側規制壁21f,22fとの間に収まる。従って、渡り線5aがコア6の径方向外側やコア6の径方向内側にはみ出て、ロータ2等に干渉することが防止される。
(10)陽極側の給電端子に接続される引出し線5bを有するコイルU1,U4は、周方向に隣接する位置に形成されている。同様に、陽極側の給電端子に接続される引出し線5bを有するコイルV1,V4、コイルW1,W4も、それぞれ周方向に隣接する位置に形成されている。また、陰極側の給電端子に接続される引出し線5bを有するコイルU2,U3は、周方向に隣接する位置に形成されている。同様に、陰極側の給電端子に接続される引出し線5bを有するコイルV2,V3、コイルW2,W3も、それぞれ周方向に隣接する位置に形成されている。このように、電気極性が同じとなる引出し線5bを有するコイル同士が周方向に隣接するように巻回されていることから、引出し線5bの給電端子への接続を容易に行うことができる。
(11)巻取り工程において、ティース部8aを有する分割コア部13は、ティース固定部204によって、コア固定部202に対して径方向及び周方向に移動不能に固定される。そのため、巻取り部213の外周に分割コア部13が巻き取られる際に、巻取り部213の外周に巻き取られる前の分割コア部13が移動することが防止され、巻取り工程をよりスムーズに行うことができる。
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
○上記実施形態では、巻線案内部95の外径は、ティース部8a〜8lを径方向内側として円環状にされたコア6の外径と内径との中間の値となっているが、これに限らない。コア巻取り機201にて、ティース部8a〜8lが径方向内側となるようにコア6を丸める場合には、渡り線の長さが上記実施形態の渡り線5aより長い場合であっても、ティース部8a〜8lを径方向内側として分割コア部13を容易に巻き取ることができる。従って、巻線案内部95の外径及びコア6に対する巻線案内部の軸方向の配置位置は、適宜変更してもよい。その場合、渡り線5aの長さが、製造されたステータ1の渡り線5aの両端の引出し位置Xを通る円C1における、渡り線5aの両端の引出し位置X間の中心角θ分の円周の長さと等しくなるように、該巻線案内部95の外径及びコア6に対する巻線案内部95の配置位置が設定されるとよい。このようにすると、コア巻取り機201にてティース部8a〜8lを径方向内側としてコア6を整形するのに最適な渡り線5aの長さとすることができる。そして、渡り線5aが長くなりすぎることを抑制して、渡り線5aによる巻線5の電気抵抗の増大を防止することができる。
○上記実施形態では、巻線案内部95は円柱状をなしているが、これに限らない。巻線案内部95は、多角柱状等に形成されていてもよい。
○上記実施形態では、回転テーブル205及び巻取り体211が300°回転したところで、巻取り部材232に対して巻取り部材231が回動されて巻取り部213の外周の長さが長くなるように構成されている。しかしながら、回転テーブル205及び巻取り体211の回転角度が0°の時から、巻取り部材232に対して巻取り部材231が回動されていてもよい。また、巻取り部213は1つの部材から構成されていてもよい。巻取り部213が1つの部材から構成される場合には、巻取り部213は、該巻取り部213の外周の長さが、ティース部8a〜8lを径方向内側として整形されたコア6の先端を通る円C2の円周の長さよりも長くなるように形成される。
尚、最初に巻取り部213に巻き取られた分割コア部13に対し、最後に巻き取られる分割コア部13のティース部等が接触することなくコア6が巻取り部213に巻き取られることが可能な場合には、巻取り部213の外周の長さは、巻取り工程を通して前記円C2の円周の長さと等しくてもよい。
○上記実施形態では、渡り線5aは、コア6の中心O1をその中心とし引出し位置Xを通る円C1における、該渡り線5aの両端の引出し位置X間の中心角θ分(引出し位置X間の角度ピッチ分)の円周の長さに等しく形成されている。しかしながら、渡り線5aは、巻取り部213の外周にティース部8a〜8lを径方向内側としてコア6を巻き取る際に最低限必要な渡り線の長さ以上の長さであればよい。
○上記実施形態では、渡り線5aの両端の引出し位置X間の角度ピッチは、約135°となっているが、これに限らない。渡り線5aの長さが、渡り線5aの両端の引出し位置X間の角度ピッチ分の前記円C1の円周の長さと等しい場合には、引出し位置X間の角度ピッチは、135°より小さくてもよいし、大きくてもよい。尚、この場合には、図26に示す通り、渡り線5aの両端の引出し位置X間の角度ピッチが120°以上であると、巻取り部213の外周にコア6を巻き取る際に最低限必要な渡り線の長さよりも渡り線5aの長さが長くなる。従って、コア巻取り機201にてティース部8a〜8lが径方向内側となるようにコア6を巻き取る工程を高速化することができる。因みに、渡り線5aにて接続されるコイルが巻回されたティース部間の角度ピッチPが120°より小さい場合であっても、コア巻取り機201を使用することにより、ティース部8a〜8lを内側として容易にコア6を整形することができる。
また、渡り線5aの長さが、渡り線5aにて接続されるコイルが巻回されたティース部間の角度ピッチP分の前記円C1の円周の長さと等しい場合には、渡り線5aにて接続されるコイルが巻回されたティース部間の角度ピッチPは150°よりも小さくてもよいし、大きくてもよい。尚、この場合も、図26に示す通り、渡り線5aにて接続されるコイルが巻回されたティース部間の角度ピッチPが120°以上であると、巻取り部213の外周にコア6を巻き取る際に最低限必要な渡り線の長さよりも渡り線5aの長さが長くなる。従って、コア巻取り機201にてティース部8a〜8lが径方向内側となるようにコア6を巻き取る工程を高速化することができる。因みに、渡り線5aにて接続されるコイルが巻回されたティース部間の角度ピッチPが120°より小さい場合であっても、コア巻取り機201を使用することにより、ティース部8a〜8lを内側として容易にコア6を整形することができる。
○上記実施形態では、ティース部8aを有する分割コア部13とティース部8lを有する分割コア部13との間にピン挿入孔23が設けられており、ティース部8aを有する分割コア部13とティース部8lを有する分割コア部13とが切り離し可能となっている。しかしながら、ピン挿入孔23は、12個の分割コア部13のうち、どの2つの分割コア部13間に設けられてもよい。尚、ピン挿入孔23の両側に設けられたティース部に巻回されるコイルが渡り線にて接続される場合には、巻線案内部95の形状を変更したり、巻線案内部95の外周面95aに突起部を設けたりして、渡り線の長さを調節し、コア巻取り機201にてコア6の整形が可能な長さとする。
○上記実施形態では、ティース部8aを有する分割コア部13とティース部8lを有する分割コア部13との間にのみピン挿入孔23が設けられているが、ピン挿入孔23は、複数箇所に設けられてもよい。但し、巻取り工程においては、1箇所のピン挿入孔23に挿入されたピン15のみを外す。
○ティース部8a〜8lに巻回されるコイルU1〜U4,V1〜V4,W1〜W4の配置は、上記実施形態のものに限らない。例えば、コイルU1〜U4,V1〜V4,W1〜W4は、図28に示すようにティース部8a〜8lに対して巻回されてもよい。図28においては、ティース部8aにコイルU1が巻回され、ティース部8lにコイルU2が巻回され、ティース部8gにコイルU3が巻回され、ティース部8fにコイルU4が巻回されている。そして、ティース部8iにコイルV1が巻回され、ティース部8hにコイルV2が巻回され、ティース部8cにコイルV3が巻回され、ティース部8bにコイルV4が巻回されている。また、ティース部8eにコイルW1が巻回され、ティース部8dにコイルW2が巻回され、ティース部8kにコイルW3が巻回され、ティース部8jにコイルW4が巻回されている。そして、各相(U相,V相,W相)のコイルは、連続して巻回されている。そして、コイルU1,V1,W1に設けられた引出し線5bが陽極側の給電端子に接続され、コイルU4,V4,W4に設けられた引出し線5bが陰極側の給電端子に接続されている。
○上記実施形態では、巻取り工程では、コア6は、ティース部8a〜8lを径方向外側として円環状にされた状態から、巻取り部213の外周に順次巻き取られていくが、これに限らない。例えば、図29に示すように、コア6は、12個の分割コア部13が直線状に配置された状態から、巻取り部213の外周に順次巻き取られてもよい。この場合、巻取り体211は、巻取り部213の中心線L2を回転軸線として回転されると共に、図29において、右方向に移動されていく。そして、巻取り部213が300°回転したところで、上記実施形態と同様に、巻取り部材232に対して巻取り部材231が回動され、巻取り部213の外周の長さが、前記円C2の円周の長さよりも長くなる。このようにしても、ティース部8a〜8lが径方向内側となるようにコア6を整形する工程を容易に行うことができる。
○上記実施形態では、コア巻取り機201は、ティース固定部204を備えている。しかしながら、コア巻取り機201は、ティース固定部204を備えない構成であってもよい。
○上記実施形態では、中心線L1を中心に回転テーブル205が回転し、巻取り体211が中心線L2を中心に回転しながらコア固定部202の外周を周回することにより、巻取り部213の外周にコア6が巻き取られていく。しかしながら、回転テーブル205は停止した状態で、中心線L1を中心にコア固定部202を回転させると共に、中心線L2を中心に巻取り体211をコア固定部202と逆向きに回転させることにより、巻取り部213の外周にコア6を巻き取ってもよい。この時、コア固定部202と巻取り体211とは同じ角度ずつ回転される。また、ティース部8aを有する分割コア部13はコア固定部202に対して移動不能に支持することなく、ティース部8lを有する分割コア部13を巻取り体211と一体回転可能に支持した状態で、中心線L2を中心に巻取り体211を回転させ、巻取り部213の外周にコア6を巻き取ってもよい。
○巻線工程後、押込み工程を省略して巻取り工程を行ってもよい。
○上記実施形態では、第1積層部材11と第2積層部材12とを板厚方向に交互に積層して分割コア部13を形成したが、これに限らない。例えば、複数枚置きに第1積層部材11及び第2積層部材12とを積層して分割コア部13を形成してもよいし、第1積層部材11のみ、若しくは第2積層部材12のみを積層して分割コア部13を形成してもよい。
○上記実施形態では、各分割コア部13は、第1及び第2インシュレータ部材21,22を介して間接的に隣接する分割コア部13に対して回動可能に連結されている。しかしながら、複数の分割コア部13は、隣接する分割コア部13に対して回動可能に直接連結される構成であってもよい。
○上記実施形態では、渡り線5aにて接続される2つのコイルは、巻線5の巻回方向が同じ向きとなっているが、巻線5の巻回方向は適宜変更してもよい。
○上記実施形態では、ティース部8a〜8lは12個備えられているが、これに限らない。ティース部は、11個以下であってもよいし、13個以上であってもよい。
1…ステータ、5…巻線、5a…渡り線、5b…引出し線、6…コアとしてのステータコア、6a…渡り線が設けられるコアの端面、8a〜8l…ティース部、13…分割コア部、15…連結部を構成するピン、23…連結部を構成するピン挿入孔、31…巻線機、34…回転手段を構成する回転軸、35…回転手段を構成するサーボモータ、41…回転手段を構成するターンテーブル、61…回転手段を構成する保持機構、91〜93…巻線手段としてのフライヤ、95…巻線案内部、95a…巻線案内部の外周面、101…引出し線押込み機、107…押込み手段としての押込み部、201…コア巻取り機、202…コア固定部、205…回転テーブル、213…巻取り部、C1…製造されたステータの渡り線の引出し位置を通る円、C2…ティース部を径方向内側として整形されたコアにおけるティース部の先端を通る円、L2…中心線、O1…コアの中心、S…ステータの製造システム、U1〜U4,V1〜V4,W1〜W4…コイル、X…引出し位置、θ…中心角。