JP4763156B2 - 自走式ロールベーラ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、家畜の飼料作物として青刈りの水稲等の作物を利用する場合において、この水稲を引き起こしながら刈取ってベーラ室に搬送し、同ベーラ室内でベールに成形することによって持回り作業及び保存作業を容易に行うことができるようにしている自走式ロールベーラに関するものである。特に、粉塵の発生が少なく、そのうえ、成形されるベールの密度バラツキを抑制しながら成形することができるようにしているものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自走可能とした機体前方に刈取り部を配設し、同刈取り部で水稲等の飼料作物の刈取りを行い、刈取られた飼料作物を機体後方に設けたベーラ室に搬送・投入し、同ベーラ室内で略円筒状のベールに成形加工することができるようにした自走式ロールベーラが存在している。
【0003】
このような自走式ロールベーラを用いることによって、水稲のような背丈が高いために倒れやすい飼料を刈取りながらそのままベールに成形することができ、作業効率を向上することができるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような自走式ロールベーラにおいては次のような問題があった。
【0005】
すなわち、丈の長い飼料作物はそのままでは飼料として使用するには長すぎるとともに、ベーラ室に送給する際にも煩雑であって、かつ、ベールへの加工が困難であるため、刈取り部からベーラ室への搬送経路の途中において適当な長さに細断されて搬送され、細断された飼料作物をベーラ室に投入するようにしているので、成形されたベールは飼料作物の投入口近傍部分の密度が高くなることによって密度バラツキの大きいベールとなりやすいという問題があった。
【0006】
特に、ベールに密度バラツキが生起されると、成形後に型くずれを生起したり、発酵速度に不均一が生じてより長期の発酵時間を必要としたりするという問題があった。
【0007】
また、細断された飼料作物を搬送する際に、細断にともなって生起された粉塵が舞いやすく、特に、搬送の際に生起される風によって舞い上がった粉塵が機体の隙間などから吹き出してくることがあり、作業環境が悪化するという問題があった。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明では、刈取り部(6)で刈取った飼料作物をベーラ室(4)に送給してベールを成形する自走式ロールベーラにおいて、刈取り部(6)からベーラ室(4)に飼料作物を搬送する搬送路(5)を、刈取り部(6)に連通連結させた前低後高の上り勾配移送部(5a)と、同上り勾配移送部(5a)に連通連結させた前高後低の下り勾配移送部(5b)とによって構成し、上り勾配移送部(5a)と下り勾配移送部(5b)とが連通連結された屈曲連結部(15)部分に拡散ローター(14)を配設するとともに、拡散ローター(14)に設けた拡散羽根の螺旋のピッチをローター用回転軸(14a)の右側から左側に進むにつれて大きくし、上り勾配移送部(5a)を通って搬送されてきた飼料作物を同拡散ローター(14)によって下り勾配移送部(5b)の幅方向に拡散させて搬送し、ベーラ室(4)に送給するようにしていることを特徴とする自走式ロールベーラを提供せんとするものである。
【0009】
また、下り勾配移送部の後端におけるベーラ室との連通連結部部分に、下り勾配移送部を通って搬送されてきた飼料作物を所定長さに細断しながらベーラ室内に掻込む細断掻込み手段を設けるようにした。
【0010】
特に、前記細断掻込み手段は、下り勾配移送部の後端に、同下り勾配移送部の幅方向に並べて立設した複数の細断刃と、同細断刃が挟入される細断刃挟入間隙を設けた二重羽根構造の掻込み羽根を複数配設した掻込みローラとによって構成することとした。
【0011】
従って、飼料作物を略均等に拡散させながらベーラ室に送給することができ、成形されるベールにおいて密度バラツキが生起されることを抑制することができるとともに、作業にともなって粉塵が舞い上がることがなく、作業環境が悪化することを防止することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の自走式ロールベーラは、機体前方に刈取り部を具備し、同刈取り部で刈取った飼料作物を機体後方に配設したベーラ室に送給してベールを成形することができるようにしている自走式ロールベーラであって、刈取り部からベーラ室に飼料作物を搬送する搬送路を、刈取り部に連通連結させた前低後高の上り勾配移送部と、同上り勾配移送部に連通連結させた前高後低の下り勾配移送部とによって、側面視で逆V字状の搬送経路を形成するように構成している。
【0013】
上り勾配移送部では、刈取り部で刈取られた飼料作物を、移送コンベア等の搬送手段を用いてそのままベーラ室側に搬送するようにしており、同上り勾配移送部の後端となる下り勾配移送部との連結部分に拡散ローターを配設して、搬送されてきた飼料作物を下り勾配移送部の幅方向に拡散させながら同下り勾配移送部に移送して、略均一に拡散された飼料作物をベーラ室に送給することができるようにしている。
【0014】
拡散ローターとは、一方向に伸延させたローター用回転軸の周面に螺旋状に拡散羽根を配設して構成したものであり、同拡散ローターを上り勾配移送部の伸延方向と略直交状態であって、かつ、略水平状態となるように、すなわち、下り勾配移送部の幅方向と略平行となるように配設している。
【0015】
拡散ローターの拡散羽根の螺旋形態は、上り勾配移送部と下り勾配移送部との連結形態に合わせて飼料作物を拡散させることができるようになった形態となっていればよく、たとえば、上り勾配移送部側からみて同上り勾配移送部を下り勾配移送部の右端部分に合わせて連結した場合には、拡散ローターが飼料穀物を左側方向に拡散させるような螺旋とした拡散羽根とすればよく、逆に、上り勾配移送部側からみて同上り勾配移送部を下り勾配移送部の左端部分に合わせて連結した場合には、拡散ローターが飼料穀物を右側方向に拡散させるような螺旋とした拡散羽根とすればよい。
【0016】
あるいは、上り勾配移送部側からみて同上り勾配移送部を下り勾配移送部の略中央部分に連結した場合は、飼料穀物を左右両側方向にそれぞれ拡散させることができるように、ローター用回転軸の左側部分には飼料穀物を左側方向に拡散させるような螺旋とした拡散羽根を、ローター用回転軸の右側部分には飼料穀物を右側方向に拡散させるような螺旋とした拡散羽根を設けるようにしておけばよい。
【0017】
なお、下り勾配移送部は、幅方向の寸法を、ベーラ室で成形される円筒形状のベールの高さ寸法と略一致させるようにしている。従って、拡散ローターによって下り勾配移送部の幅方向に飼料作物を拡散させた後、そのまま飼料作物をベーラ室に移送してベーラ室内に送給することにより、ベーラ室の幅方向において飼料作物を略均等として供給することができる。従って、成形されるベールに密度バラツキが生起されることを抑制することができる。
【0018】
特に、飼料作物は細断されることなく、長い丈のまま搬送されて拡散ローターによって拡散されるので、確実な拡散を行いやすくすることができる。
【0019】
また、下り勾配移送部には特別な搬送装置を設けず、下り勾配の傾斜面に沿って飼料作物の自重によって落下させることにより搬送するようにしている。従って、粉塵の発生を防止することができる。
【0020】
下り勾配移送部の後端におけるベーラ室との連通連結部部分には、下り勾配移送部の幅方向と略平行に掻込みローラを配設し、下り勾配移送部を搬送されてきた飼料作物を同掻込みローラでベーラ室内に掻込むことによって、飼料作物のベーラ室への送給を行うことができるようにしている。さらに、ベーラ室内に掻込みと同時に飼料作物を所用の長さに細断して送給するようにしている。
【0021】
すなわち、ベーラ室への飼料作物の掻込みと、同飼料作物の所定長さへの細断を行う細断掻込み手段は、飼料作物の掻込みを行う掻込みローラと、飼料作物を細断する細断刃とによって構成しており、下り勾配移送部の後端に、同下り勾配移送部の幅方向に並べて複数の細断刃を立設しておく一方で、掻込みローラに配設した複数の掻込み羽根には、細断刃を挟入させることができる細断刃挟入間隙を設けておき、同細断刃挟入間隙に細断刃を挟入させて掻込みローラを配設するようにしているものである。
【0022】
細断刃は、飼料作物の移動方向に伸延させており、また、切断しやすいように切削角に相当する傾斜を設けるようにしてもよい。掻込み羽根は、二枚の同形の羽根を細断刃挟入間隙となる間隙を設けて重合させて二重羽根構造とすることによって、細断刃挟入間隙を具備するようにすることができる。
【0023】
従って、掻込みローラの回転にともなって掻込み羽根が飼料作物を押送する際に、飼料作物は同掻込み羽根の細断刃挟入間隙に挟入された細断刃に横切られることとなり、細断刃の配設間隔の長さに細断されてベーラ室に掻き込まれるようにしている。
【0024】
これにより、ベーラ室には所定長さに細断された飼料作物を投入することができるとともに、ベーラ室の幅方向に略均一に拡散されたまま投入されるので、ベーラ室でのベールへの成形中に密度バラツキが生じることがなく、略均一の密度となったベールの成形を行うことができる。
【0025】
また、飼料作物は、ベーラ室への搬送工程の最終段階で所定の長さに細断されるので、細断にともなう粉塵の生起、及び、生起された粉塵の拡散を抑制することができ、機体周りに粉塵が漏れだしてくることがなく作業環境を清浄に保つことができる。
【0026】
以下において実施例を示した図面に基づいてさらに詳説する。
【0027】
【実施例】
図1は本発明に係る拡散ガイド板を配設した自走式ロールベーラAの一部切欠右側面図、図2は同一部切欠平面図である。
【0028】
自走式ロールベーラAは、左右一対のクローラ走行装置1,1の上部に基台2を配設し、同基台2の右前側部分に運転席3a、操作ハンドル3b、操作レバー3cなど配設した運転部3を設け、同運転部3の後部にエンジン等の駆動装置を配設したエンジン室(図示せず)を設け、自走可能としている。
【0029】
そして、基台2の後部にベールの成形を行うベーラ室4を配設している。同ベーラ室4の前端には、運転部3の左側に配設した搬送路5の後端を連通連結させ、かつ、同搬送路5の前端に刈取り部6を連通連結させて、同刈取り部6で刈取った飼料作物を、搬送路5を介してベーラ室4に送給し、ベーラ室4内においてベールに成形するようにしている。
【0030】
以下、各構成部について飼料作物の流れに沿って順番に詳説する。
【0031】
まず、飼料作物の刈取りを行う刈取り部6では、掻込みリール7によって丈の長い飼料作物を引き起こしながら刈取りデッキ8に送給し、同刈取りデッキ8の前端縁に設けた刈刃9によって飼料作物の根元部分を刈るようにしている。刈取られた飼料作物は、刈取りデッキ8内に配設した刈寄せオーガ10によって、搬送路5の後述するフィーダーハウス12への連通口に送給されるようにしている。符号13は刈取りデッキ8の両側にそれぞれ配設した分草板である。
【0032】
搬送路5は、前方から順番にフィーダーハウス12によって構成される上り勾配移送部5a、同上り勾配移送部5aの後端に設けた拡散ローター14、同拡散ローター14の配設部分を屈曲連結部15として連通連結させた下り勾配移送部5bを配設した筒状としている。
【0033】
特に、上り勾配移送部5aは前低後高となるように傾斜させて配設し、かつ、下り勾配移送部5bを前高後低となるように傾斜させて配設して、屈曲連結部15部分を高位置に位置させた側面視逆V字状の搬送経路を形成するようにしている。
【0034】
上り勾配移送部5aであるフィーダーハウス12では、刈取り部6の刈寄せオーガ10によって送給された飼料作物を、同フィーダーハウス12内に配設した送給コンベア16によって後方に搬送することができるようにしている。送給コンベア16で飼料作物を搬送することにより、搬送にともなって風が生起されることがなく、飼料作物の刈取りの際に生起される粉塵が舞い上がることを抑制することができる。
【0035】
なお、フィーダーハウス12は、後端に配設される枢軸17を介して枢着されることにより回動自在としており、一端を刈取りデッキ8の後部に、他端を基台2に取着した昇降アクチュエータ18によって刈取り部6を昇降させることができるようにし、刈り高さの調整を行うことができるようにしている。
【0036】
フィーダーハウス12の後端まで搬送された飼料作物は拡散ローター14に巻き取られて、さらに搬送路5の後方方向に押送されるようにしている。
【0037】
なお、拡散ローター14は、自走式ロールベーラAの左右方向と略平行に伸延させたローター用回転軸14aの周面に螺旋状に拡散羽根14bを配設して構成し、搬送されてきた飼料作物を搬送路5の後方方向に押送するとともに、搬送路5の後方方向と略直交するローター用回転軸14aと略平行な方向にも回転する拡散羽根14bによって押送するようにしている。
【0038】
すなわち、図2に示すように、上り勾配移送部5aは幅方向の寸法をできる限り小さくして自走式ロールベーラAが大型化することを抑制する一方で、拡散ローター14以降の屈曲連結部15及び下り勾配移送部5bは、ベーラ室4で成形される略円筒形状のベールの高さ寸法と略一致する寸法の幅として、拡散ローター14以降において搬送路5が拡幅されるようにしており、拡幅された下り勾配移送部5bの幅方向に拡散ローター14によって飼料作物を略均等に拡散させることができるようにしている。
【0039】
特に本実施例では、上り勾配移送部5a側からみて、同上り勾配移送部5aを下り勾配移送部5bの右端部分に合わせて連結しているので、拡散ローター14が飼料穀物を左側方向に拡散させるように拡散羽根を配設している。さらに、拡散羽根の螺旋のピッチは一定となっている必要はなく、本実施例では、上り勾配移送部5a側からみてローター用回転軸14aの右側から左側に進むにつれて螺旋のピッチを徐々に大きくし、拡散ローター14による飼料作物のローター用回転軸14aと略平行な方向への押送量を調整して、下り勾配移送部5bの幅方向に飼料作物を略均等に拡散させることができるようにしている。
【0040】
このように、下り勾配移送部5bの幅寸法を、ベーラ室4で成形される略円筒形状のベールの高さ寸法とあらかじめ略一致させ、下り勾配移送部5bの幅方向において飼料作物を略均等に拡散させてベーラ室4への送給を行うことによって、ベーラ室4には飼料作物を略均等に送給することができ、成形されるベールに密度バラツキが生起されることを抑制することができる。
【0041】
さらに、拡散ローター14の後方を下り勾配移送部5bとしていることにより、拡散ローター14によって下り勾配移送部5b側に押送されて押出された飼料作物は一旦自由落下状態となり、拡散ローター14による押出方向に移動しながら落下することにより確実に飼料作物を下り勾配移送部5bの幅方向に拡散させることができ、十分に拡散された飼料作物を下り勾配移送部5bの傾斜底面19で受け止めて、傾斜に沿ってベーラ室4側に移送することができるようにしている。
【0042】
なお、飼料作物は自重によって下り勾配移送部5 b内を移動することになるので、風を生起することがなく、粉塵等が舞い上がることを抑制することができる。
【0043】
下り勾配移送部5bの後端におけるベーラ室4との連通連結部20の部分には、自走式ロールベーラAの左右方向と略平行に掻込み用回転軸24を配設し、同掻込み用回転軸24の周面に複数の掻込み羽根25を設けて掻込みローラ26を形成して、ベーラ室4への飼料作物の送給を行うことができるようにしている。
【0044】
このとき、掻込みローラ26によるベーラ室4への飼料作物の送給と同時に、飼料作物の細断も行うようにしている。
【0045】
すなわち、掻込み用回転軸24に配設する掻込み羽根25は、図1に示すように、周縁に等間隔で複数の掻込み爪21を突設し、それぞれ同形とした第1掻込み羽根25aと第2掻込み羽根25bとを、図2に示すように所定間隔の間隙を設けながら近接させて配設した二重羽根構造としており、形成された間隙を細断刃挟入間隙23とし、同細断刃挟入間隙23に、下り勾配移送部5bの傾斜底面19の後端縁に立設する細断刃22を挟入させて配設することにより、細断掻込み手段としている。
【0046】
なお、本実施例では、図1に示すように、第1掻込み羽根25a及び第2掻込み羽根25bには6本の掻込み爪21を設けているが、6本に限定するものではなく、6本より少なくてもよいし、あるいは、6本より多くてもよい。
【0047】
従って、掻込みローラ26の回転にともなって各掻込み羽根25が飼料作物を押送すると、飼料作物は掻込み羽根25に押送されながら細断刃22部分を押し通されることとなり、同細断刃22によって細断刃22の配設間隔ごとに細断され、そのままベーラ室4に掻き込まれることになる。
【0048】
これにより、ベーラ室4の幅方向に略均一に拡散されて搬送されてきた飼料作物を、そのまま所定長さに細断しながらベーラ室4内に投入することができるので、ベーラ室4でのベールへの成形中に密度バラツキが生じることがなく、略均一の密度のベールを成形することができる。また、飼料作物の細断の際に粉塵が生起されることを抑制することができるので、粉塵の舞い上がりを抑制することができる。
【0049】
細断された飼料作物の送給されるベーラ室4は、基台2に固定配設した固定ケース27と、同固定ケース27の上部後端に設けた枢支点28に枢着して回動自在とした回動ケース29とによって中空の箱状に形成している。そして、固定ケース27及び回動ケース29の内側部分には、掻込みローラ26によって送り込まれた飼料作物をベールに成形するためのベール成形装置30を配設している。
【0050】
同ベール成形装置30は、成形コンベア31と、同成形コンベア31を駆動させる複数の駆動歯車32とによって構成しており、駆動歯車32を固定ケース及び回動ケースの内側に沿って配設し、各駆動歯車32に、成形コンベア31に設けた無端チェーンを歯合さて成形コンベア31を掛装するようにしている。そして、成形コンベア31に、図示していない円弧状ガイドを当接させることにより、側面視略円弧状に湾曲させた転動成形面33を形成するようにしている。
【0051】
すなわち、転動成形面33が、図1に示すように側面視略C字状となるようにしており、開口部分を下り勾配移送部5bの後端に連通させて掻込みローラ26によるベーラ室4への飼料作物の送給を行うことができるようにしている。
【0052】
転動成形面33に掻込みローラ26によって飼料作物を送給しながら、エンジンの動力によって駆動歯車32を回転させて成形コンベア31を駆動させることにより、転動成形面33に送給された飼料作物を同転動成形面33部分において自転させ、その状態で逐次飼料作物を送給することにより、転動成形面33で自転している飼料作物に飼料作物が巻き付けられて、あたかも雪だるまのように徐々に径を大きくし、所定の大きさのベールが成形されるようにしている。
【0053】
ベールが所定の大きさとなると、図示していない結束装置によって紐やテープをベールに巻き付けて結束するようにしている。ベールの結束が終了すると、枢支点28を中心として回動ケース29を回動させることによりベーラ室4が開放され、結束されたベールを放出することができるようにしている。図1中の符号34は、放出されるベールの放出ガイドであって、同放出ガイド34の上面をベールが転がりながら落下していくようにしている。
【0054】
【発明の効果】
請求項1記載の本発明によれば、刈取り部で刈取った飼料作物をベーラ室に送給してベールを成形する自走式ロールベーラにおいて、刈取り部からベーラ室に飼料作物を搬送する搬送路を、刈取り部に連通連結させた前低後高の上り勾配移送部と、同上り勾配移送部に連通連結させた前高後低の下り勾配移送部とによって構成し、上り勾配移送部と下り勾配移送部とが連通連結された屈曲連結部部分に拡散ローターを配設するとともに、拡散ローターに設けた拡散羽根の螺旋のピッチをローター用回転軸の右側から左側に進むにつれて大きくし、上り勾配移送部を通って搬送されてきた飼料作物を同拡散ローターによって下り勾配移送部の幅方向に拡散させて搬送し、ベーラ室に送給するようにしていることにより、飼料作物をベーラ室の幅方向に略均等に拡散させながらベーラ室に送給することができるので、ベーラ室において成形されるベールの密度を略均一とすることができる。従って、成形後の型くずれが少なく、かつ、全体として均一な発酵を促すことができるベールの成形を行うことができる。
【0055】
請求項2記載の本発明によれば、下り勾配移送部の後端におけるベーラ室との連通連結部部分に、下り勾配移送部を通って搬送されてきた飼料作物を所定長さに細断しながらベーラ室内に掻込む細断掻込み手段を設けていることにより、掻込みローラによる飼料作物のベーラ室への送給にともなって飼料作物の細断を行うことができるので、細断にともなう粉塵の生起、及び、生起された粉塵の舞い上がりにともなう拡散を抑制することができ、機体周りに粉塵が漏れだしてくることを防止することができる。
【0056】
特に、請求項3記載の本発明のように、細断掻込み手段を、下り勾配移送部の後端に、同下り勾配移送部の幅方向に並べて立設した複数の細断刃と、同細断刃が挟入される細断刃挟入間隙を設けた二重羽根構造の掻込み羽根を複数配設した掻込みローラとによって構成することにより、簡単に飼料作物の細断を行うことができるとともに、細断及び掻込みにともなって、細断された飼料作物がベーラ室の幅方向に移動することを抑制することができるので、ベーラ室の幅方向に略均一に拡散されて搬送されてきた飼料をそのままの状態でベーラ室内に取り込むことができ、密度バラツキの抑制されたベールを成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る拡散ガイド板を配設した自走式ロールベーラの一部切欠右側面図である。
【図2】本発明に係る拡散ガイド板を配設した自走式ロールベーラの一部切欠平面図である。
【符号の説明】
A 自走式ロールベーラ
1 クローラ走行装置
2 基台
3 運転部
4 ベーラ室
5 搬送路
5a 上り勾配移送部
5b 下り勾配移送部
6 刈取り部
12 フィーダーハウス
14 拡散ローター
14a ローター用回転軸
14b 拡散羽根
15 屈曲連結部
16 送給コンベア
19 傾斜底面
20 連通連結部
21 掻込み爪
22 細断刃
23 細断刃挟入間隙
24 掻込み用回転軸
25 掻込み羽根
25a 第1掻込み羽根
25b 第2掻込み羽根
26 掻込みローラ
27 固定ケース
29 回動ケース
30 ベール成形装置
Claims (3)
- 刈取り部(6)で刈取った飼料作物をベーラ室(4)に送給してベールを成形する自走式ロールベーラにおいて、
刈取り部(6)からベーラ室(4)に飼料作物を搬送する搬送路(5)を、刈取り部(6)に連通連結させた前低後高の上り勾配移送部(5a)と、同上り勾配移送部(5a)に連通連結させた前高後低の下り勾配移送部(5b)とによって構成し、
上り勾配移送部(5a)と下り勾配移送部(5b)とが連通連結された屈曲連結部(15)部分に拡散ローター(14)を配設するとともに、拡散ローター(14)に設けた拡散羽根の螺旋のピッチをローター用回転軸(14a)の右側から左側に進むにつれて大きくし、上り勾配移送部(5a)を通って搬送されてきた飼料作物を同拡散ローター(14)によって下り勾配移送部(5b)の幅方向に拡散させて搬送し、
ベーラ室(4)に送給するようにしていることを特徴とする自走式ロールベーラ。 - 下り勾配移送部(5b)の後端におけるベーラ室(4)との連通連結部(20)部分に、下り勾配移送部(5b)を通って搬送されてきた飼料作物を所定長さに細断しながらベーラ室(4)内に掻込む細断掻込み手段を設けていることを特徴とする請求項1記載の自走式ロールベーラ。
- 前記細断掻込み手段は、下り勾配移送部(5b)の後端に、同下り勾配移送部(5b)の幅方向に並べて立設した複数の細断刃(22)と、同細断刃(22)が挟入される細断刃挟入間隙(23)を設けた二重羽根構造の掻込み羽根(25)を複数配設した掻込みローラ(26)とによって構成していることを特徴とする請求項2記載の自走式ロールベーラ。
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